【実施例】
【0024】
(実施例1)
導電性ポリマーを得るためのモノマーとしてピロール、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、アニリンを、金属イオンとしてCu
2+、Ag
+を、またアニオンとしてCu
2+の場合には塩化物イオン(Cl
−)を、Ag
+に対しては硝酸イオン(NO
3−)を使用して、紫外線照射による導電性ポリマー−金属複合体の析出を行った。モノマーの種類と濃度、金属イオンの種類と濃度を変化させて30通りの実験を行った。もちろん、これらの実施例は単なる例示であって、特許請求の範囲に定義される本発明の技術的範囲を限定するものでないことに注意すべきである。これらの実験の際の実験条件、測定条件は以下の通りである。
【0025】
○具体的な実験条件
温度:室温
溶媒:アセトニトリル、エタノール、水
基材:ガラス
紫外光の強度:50mW/cm
2
波長:436nm・405nm・365nm(輝線)
析出時間:0.5〜240min
○抵抗値の測定方法
三菱化学製Loresta AP MCP−T400を用いた4探針法
(測定原理は良く知られているので省略するが、必要であれば非特許文献6を参照されたい)
【0026】
容器の底に上記の基材を置き、その上に試料(導電性ポリマー−金属複合体)を沈殿(析出)させる方法で、表2の実験番号1〜30の導電性ポリマー−金属複合体を作製した。
このようにして行った実験の結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
ここで金属イオン(Ag
+イオン、Cu
2+イオン)とアニオンは実際にはCuCl
2、AgNO
3の形で与えた。また、表1の抵抗欄で「OL」と表記されているのは、抵抗値が測定可能範囲よりも大きいため測定不能であったことを示す。
【0029】
上述のようにして導電性ポリマー−金属複合体を析出させた基材の例の外観写真を
図3に示す。この写真の例は下の表2中の実験No.3に対応する。また、このようにして析出した導電性ポリマー−金属複合体の顕微鏡写真を
図4に示す。
図4に示されるように、黒色に見える導電性有機ポリマーの間に明るい(元の写真ではオレンジ色)斑点状に見える金属の微粒子が分散している。
図3及び
図4を観察するに、導電性ポリマー−金属複合体は、大小の穴や鬆などが見られない状態で析出している。
【0030】
(実施例2)
本発明と非特許文献4の比較実験を行った。実験条件、測定条件は以下の通りであった。
ピロール濃度:0.1mol/L
金属イオン濃度:0.1mol/L
アニオン:NO
3−、アニオン濃度:0.1mol/L
溶媒:アセトニトリル
基材:ガラス
反応時間:60min
【0031】
その結果、モノマーとしてピロールを、また金属イオンとしてAg
+を使用した場合、非特許文献4の方法では約1時間析出を行うことによって得られた析出物の抵抗値は10
5〜10
7Ωとかなり高い値を示した。また、Ag
+の代わりにCu
2+を使用した場合には、導電性高分子−金属複合体の析出は見られなかった。
【0032】
これに対して、本発明に基いてピロールとAg
+の組合せを処理した場合には、紫外線を照射しながら20分未満の析出を行うことで0.3〜0.6×10
−1Ωの抵抗値を示す導電性高分子−金属複合体が得られた。また、Ag
+の代わりにCu
2+を使用した場合は10分未満の紫外線照射・析出時間で0.2〜0.3×10
2Ωの抵抗値となった。
なお、比較対照実験の結果、導電性ポリピロール単体(PTSアニオンドープ)の抵抗は0.2×10
2Ωであった。
【0033】
表2に示した実験結果などに基き、モノマーとしてピロールを、また金属イオンとしてAg
+またはCu
2+を使用した場合の好適なモノマー濃度及び金属イオン濃度の範囲を表3に示す。表3には、比較対照のため、従来の導電性ポリマー、無電解めっきで形成したCu、及びCVDによって形成したWの抵抗率を示す。
【0034】
また、本発明は導電性高分子−金属複合体の成長速度が、従来技術の他の導電体よりも大きいことも特徴とする。それを示すために、表3には更に、成長速度として膜成長速度(つまり、膜厚方向への成長速度)も示す。
【0035】
【表3】
【0036】
注1: 実測データ(抵抗率については実施例と同じ方法で測定した抵抗を抵抗率に換算した)
注2:非特許文献2からのデータ
注3:特許文献1及び非特許文献3からのデータ
【0037】
また、導電性ポリマー−金属複合体の抵抗率欄はピロールの濃度及び金属イオン濃度に従って変化する。表3の抵抗値欄は対応するピロール濃度範囲及び金属イオン濃度範囲内の実施例のうちで最良のものを記載した。なお、本発明で使用できるアニオンとしては、上の実施例で使用したNO
3−、Cl
−以外に、I
−、BF
4−などがある。更には、プロトン酸イオン(NO
3−以外にも、SO
42−やClO
4−等)、ハロゲン化物イオン(上記Cl
−やI
−の他にも、F
−やBr
−、更にそれらの混合物)、ルイス酸イオン(上記BF
4−の他にも、PF
6−、AsF
6−等)、遷移金属ハロゲン化物(FeCl
3やMoCl
5がおそらくFeCl
4−やMoCl
6−の形になったアニオン)有機化合物(PTS以外にも、PSSなどの有機化合物の置換基をSO
3−のようなアニオン性のものに変えた形のものやTCNQやTCNE、DDQ等)等、多様なアニオンを使用することが可能である。
【0038】
表3から判るように、従来の方法で形成したCuあるいはWからなる金属導電体は、抵抗率は非常に低い。しかし、その成長が非常に遅いために、実用的なTSV形成等には全く不十分である。
【0039】
導電性ポリピロール単体の場合は、金属としてAgを使用した導電性ポリマー−金属複合体に比べるとかなり高い抵抗率を示す。Cuを使用した複合体に対して抵抗率は1/5になっているが、成長速度も1/5と非常に成長が遅いため、TSV形成に採用するのは現実的ではない。
【0040】
これに対して、本発明で得られた導電性ポリマー−金属複合体は、実用に耐える抵抗率を持つ一方で、成長速度が従来のこの種の導電材料に比べてはるかに大きいため、実用的な速度でTSV形成その他の導電体形成を行うことができる。
【0041】
なお、表3で導電性ポリピロール単体の抵抗率(0.36Ωm)が金属として銅を使用した場合の本発明の導電性ポリマー−金属複合体(ポリピロール−銅複合体)の抵抗率(1.8Ωcm)よりも小さいことについては以下のように説明される。
【0042】
ポリピロールの抵抗率はドープされるアニオンの種類と濃度によって変わる。PTSドープが最も低い抵抗率を示すことが報告されているため、今回の比較例として採用した。
【0043】
一方、本発明の導電性ポリマー−金属複合体の導電率(抵抗率)は、ポリピロール自体の導電率と金属の含有量とによって決定されると考えられる。本実施例のポリピロール−銅複合体では、ポリピロールには塩化物イオンがドープされたと推測される。塩化物イオンではPTSアニオンほどの導電性は得られず、また本実施例ではドープ量が小さかったと考えられる。さらに、金属に銅を用いた上記実施例では銅の含有量(析出量)が少なかったことも、複合体としての導電率がポリピロール(PTSドープ)よりも小さくなった原因の一つであると考えられる。いずれにせよ、以上の実施例によれば、本発明では原料や析出条件等を十分に最適化する前に既に上に示す良好な導電性及び成長速度が達成されていることがわかる。
【0044】
更に、本発明の導電性ポリマー−金属複合体のナノレベルの構造を明らかにするため、析出した導電性ポリマー−金属複合体表面のSEM像を調べた。
図5は、もちろんこれに限定する意図はないが、一例として表2中の実験番号3の条件、つまりモノマーとして濃度0.2mol/Lのポリピロールを、金属イオンとしては硝酸銀の形態で1mol/LのAg
+をアセトニトリルに溶解した溶液により析出した導電性ポリマー−金属複合体の表面の4種類の倍率のSEM像を示す。なお、ここで析出のための光照射時間は120分とした。
図5において、低倍率のSEM像(
図5(a))では、直径が5〜20μmの粒子が析出物の表面上に観察される。もう一段高倍率のSEM像(
図5(b))ではいくつかの顆粒状の粒子が観察されるが、これらの粒子は、サブミクロンサイズである更に小さな粒子から構成されている。顆粒状の粒子の表面の大部分はこれら更に小さな粒子で覆われている。更に高倍率のSEM像(
図5(c))では、上述の更に小さな粒子は輝度の高い顆粒状の凝集体の形状として見えていて、また、これらは暗く見える太さが0.1〜1μmで互いに連結している円筒状物体の上にある。
図5中の最大倍率のSEM像(
図5(d))では、10〜200nmサイズである、上述した更に小さな高輝度の粒子が、暗い円筒状物体の上に見える。高輝度の粒子および暗い円筒状物体は夫々金属銀およびポリマーであると考えられる。
【0045】
これらの顕微鏡を用いた観察により、本発明の導電性ポリマー−金属複合体の成長機構が示唆される。ポリマーは一次元方向に成長する傾向があり、他方、金属(ここでの具体的な実験では銀)はポリマー表面に析出して三次元方向に成長する。すなわち、金属のナノ粒子はポリマー内部に埋没してポリマーに被覆されるのではなく、これらの一部はポリマー内部に閉じ込められることもありえるが、傾向としてはポリマー塊の表面を覆うような形で表面に偏在する(
図5(c)、(d)などを参照)。その結果、本発明の導電性ポリマー−金属複合体においては、複合体を構成する諸要素の内の導電率が高い方の要素の少なくとも一部が外部に対して露出した(つまり、ポリマーに被覆されていない)状態で複合体表面に集まるため、複合体全体の導電率が高くなる。更には、ポリマーが一次元方向に成長する傾向があるため、棒状、紐状などの高アスペクト比の構造物(以下、線
状体と
称する)が表面に現れ、従って同じ体積でも表面積が大きくなる。本実施例においては、この様な線
状体のアスペクト比は2〜10程度である。このような構造により、電流の流れやすい高導電率の経路が増加して、複合体の導電率は更に大きくなる。
【0046】
(実施例3)
導電性ポリマー−金属複合体を析出させる際に与えるエネルギーとして光と熱の両者を使用した場合の反応系の挙動の例について以下に示す。
【0047】
基材にはシリカガラス(8×8×0.9mm)を用い、この基材を金属カチオンとドーピングアニオンのソースとなる硝酸銀(1.0mol−dm
−3)、有機モノマーとしてのピロール(0.5mol−dm
−3)を含むアセトニトリル溶液に浸漬した。反応系に対する光照射は超高圧水銀ランプ(輝線波長:436nm、405nm、365nm)を使用し、設定強度を30mW・cm
−2または60mW・cm
−2とした。また反応系の加熱にはホットプレートを使用し、設定温度は50℃または70℃とした。なお、加熱しない場合の反応系の温度は30℃であった。
【0048】
光照射を行わず、加熱温度を変えた場合、30℃及び50℃においては、時間経過によらず溶液は透明なままであった。光照射せずに70℃に加熱した場合には黒色の析出物が得られ、時間経過とともにその生成量が増加した。これは、黒色であるポリピロールに覆われた銀粒子の集合体が生成するとした報告(非特許文献5)と一致している。
【0049】
他方、非加熱状態(30℃)で光照射高度を変化させた場合、光照射を行わなかった場合には時間の経過によらず溶液は透明のままであった。光照射強度が30mW・cm
−2においては、事件経過とともに溶液が黄色透明になり、反応時間30分以降は変化が見られなかった。照射強度60mW・cm
−2場合は、黄色が濃くなるまでの時間が短く、10分経過後は黒色と銀色が混合した析出物が観測され、その生成量は60分経過時点まで増加し、その後は変化がなかった。
【0050】
光照射強度と加熱温度をともに変化させた場合には、黒色と銀色が混合した析出物が観測され、光照射強度及び/または温度を上げることにより、その生成量の増加速度が大きくなる傾向が観測された。光照射下において得られる析出物は導電性ポリマーの表面を金属銀の微粒子が覆う構造を有していることから、銀色の析出物はそのような微粒子の集合体であると考えられる。
【0051】
上述した反応系の挙動から、導電性ポリピロールと金属銀と金属の複合体の形成反応において、光を照射することにより、銀がポリピロール表面を被覆した構造が現れやすくなることが明らかとなった。また、光照射下で加熱することにより、主として析出反応速度を向上させることが出来ることも明らかになった。
【0052】
上記の実施例では、導電性ポリマー−金属複合体を析出させる際に与えるエネルギーとして光と熱の両者を使用したが、光と音の両者を使用することもできる。音一般を併用することができるが、周波数が20kHz以上の超音波を併用することが好ましい。また、超音波としては例えば超音波洗浄装置などで使用される20kHz〜100kHz程度の範囲のものを使用することができる。このように超音波などの音の照射により、得られる粒子を構成するポリマーの長さやアスペクト比、金属粒子の粒子径を制御できる。これは、エマルジョンの分散や粉末の液体への溶解の際に超音波を用いることでよく見られる現象であるところの、粒子のサイズを小さくすることができるという作用を利用するものである。
【0053】
(実施例4)
本発明の導電性ポリマー−金属複合体と基材との密着性を調べるために、以下の条件で、テープ剥離試験を行った。
膜厚の薄い試料を作るために、あらかじめ溶液中に分散した状態の複合体(おそらく従来よりも粒子サイズが小さい)を作製し、その溶液をテープ剥離試験対象の各種の基材上に滴下・乾燥させた。
より詳細な実験条件は以下の通りであった。
○用意した溶液
ピロール濃度:0.2mol/L
金属(Ag)イオン濃度:1.0mol/L
アニオン:NO
3−、アニオン濃度:1.0mol/L
溶媒:アセトニトリル(ピロールをアセトニトリル10mlに溶解)
○重合処理
上記溶液を以下の構造のセル(小さく薄い容器)に収容し、輝線波長436nm、405nm又は365nm、強度60mW/cm
2の光で10分間、室温で重合を行った。
セル構造:厚さ1mmのSiシートを切り抜き、周りを厚さ1mmの光学ガ ラスで挟み込んだもの。
○試験対象基材への複合体の付着処理
重合処理後の複合体が分散した溶液を、マイクロピペットを用いて試験対象基材上に滴下した。滴下量は50μLに固定した。溶液滴下後の基材をドラフト中で自然乾燥させた。自然乾燥時の証明条件は、全暗黒ではなく、通常の室内作業時の照明条件(蛍光灯)下で行った。乾燥中の照明光の照射量は積算光量計で1mW以下であった。
○テープ剥離試験
テープ剥離試験は、めっきの密着性試験方法(JIS-H8504)の中の引きはがし試験方法の1つである。この試験は、めっき面に粘着性のあるテープをはり付け、これを急速にかつ強く引きはがすことによって、めっきの密着性を調べるものである。テープ剥離試験は一般には貴金属のめっき等、比較的薄いめっきに適しており、厚いめっきには適さない。しかし、密着性が良好な場合には、非破壊試験となることから完成品の確認検査として用いられるので、本発明の導電性ポリマー−金属複合体と基材との密着性を調べるために、このテープ剥離試験を用いた。
【0054】
上記のようにして行った試験の結果を表4及び
図6〜
図19に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
表4及び
図6〜
図10、
図14、
図18に示されるように、基材として、ABS樹脂、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニル、オレフィン樹脂、シリコーンゴム、ガラス(表面ブラスト処理)を用いた場合には、本発明の導電性ポリマー−金属複合体と基材との密着性は良好(○)であった。
一部の基材については密着性が不十分(×)、あるいはかなり低い(△)という実験結果が出た(
図11〜
図13、
図15〜
図17、
図19)が、これは本発明の複合体が必ずしも当該基材一般に適合しないことを意味するものではない。基材として表面未処理のガラス(つまり非常に平滑なガラス:
図19)と表面ブラスト処理(表面にブラスト剤を噴射して粗面化)したガラス(
図18)では密着性が大きく異なるというテープ剥離試験結果からわかるように、基材表面の物理的状態(表面粗さなど)が密着性に大きな影響を与える。従って、実施例のテープ剥離試験の結果が十分でなかった基材についても、同種の別の特定の基材を使用した場合には、基材の製造に実際に使用する原料や製造方法、あるいはその後の処理方法の違いから、良好な密着性が得られる可能性があると考えられる。
何れにせよ、重合処理が終わった後の複合体が分散している溶液を単に滴下して乾燥させるという単純でかつ広範な状況に簡単に適用可能な付着方法を使用するだけで、通常密着性が非常に低いテフロンでさえ高い密着性を得ることができる本発明の複合体の実用性は非常に高いと考えられる。
【0057】
密着性試験(テープ剥離試験)の結果において、特にテフロンやポリプロピレンを基材として用いた際の高い密着性は注目すべきであると考える。これは、テフロンやポリプロピレンの表面エネルギーが小さく、一般的に異種材料との密着性が低いとされているからである。そこで、テフロンの密着性を示すため、断面像について検討した。
密着性試験で接着剤、各種塗布剤などの通常の材料との密着性が非常に低いことで知られているテフロンに対して、本発明の導電性ポリマー−金属複合体が高い密着性を示したことに着目して、密着状態にある両者の断面を作成し、これを顕微鏡で観察した写真を
図20に示す。
なお、写真中で「埋込樹脂」と表示しているものは、サンプルをエポキシなどの「樹脂」に「埋込」み、研磨によって、観察する断面を露出させる際に用いるものである。また、小倍率と大倍率の写真を二組示しているが、この理由は以下の通りである。ここで観察した材料は新規な材料であるため、断面調整法が確立されておらず、視野全体に渡ってきれいな平滑面が出ていない(視野全体にわたって焦点があっていない)。そこで、2箇所の観察視野のそれぞれについて、断面作成や撮影についてできるだけ条件を揃えた上で小倍率と大倍率の写真を示し、これらが同様な断面状態になっているように見えることを示した。
断面写真中で、本発明の導電性ポリマー−金属複合体である導電材料とテフロン製の基材との界面を見ると、大倍率側の断面写真である右側の写真で見ても、基材の非常に細かな凹凸にまで導電材料が入り込んでいて、剥離することなく、ほとんど一体化していると言えるまでに密着していることが判る。また、2箇所の断面の何れでも全く同じ密着状況が観察されたことにより、他の任意の断面においても同様な状態になっていることの蓋然性が高い。
テフロンが通常の溶剤に溶解しないことは周知の事項であり、またこの導電材料を基材上に塗布・形成する際に使用した溶媒も当然テフロンを溶解するものではない。それにもかかわらず、両者の間に全く隙間が認められない程度まで両者が密着していることは注目すべきことである。
【0058】
(実施例5)
本発明の導電性ポリマー−金属複合体付き基材を折り曲げ試験をした結果を
図21及び
図22に示す。
本発明の導電性ポリマー−金属複合体を柔軟な材料の上に形成しても、本複合体がそのような基材の変形に対して剥離することなく十分追随し、かつ大きく変形した状態でも導電性を維持することを示すため、紙製の基材上に本発明の導電性ポリマー−金属複合体を形成して実際に基材を変形させる実験を行った。なお、ここで、基材上に形成した本発明の導電性ポリマー−金属複合体は「テープ剥離試験」に使用したポリマー及び金属と同じものを使用した。
1枚目の
図21の写真はそのようにして作製した複合体付き基材である。この複合体が低い抵抗値を有することをテスターで測定した(測定された抵抗値:約340Ω)。
これを基材の左右片がほぼ90度程度の角度をなす程度まで大きく折り曲げてみたが、2枚目の
図22の写真に示すように、剥離などは全く見られなかった。また、この状態における抵抗値を測定したところ、測定点や測定時のプローブの押圧力を無変形時と変形(折り曲げ)時で同一とすることが困難であったため、両者の測定値を直ちに比較することはできないが、それでも測定された抵抗値は2kΩと、十分に低い値を示し、折り曲げによっても導電性が失われないことが判った。