【0010】
本発明で用いる一般式
(化2)
F(C
xF
2xO)
mC
yF
2y−Q−Si(NH)
1.5
(式中、Qは2価の有機基、mは1以上の整数、x及びyはそれぞれ1〜3の整数である。)で表わされるパーフルオロポリエーテル変性ポリシラザン(以下、フッ素変性シラザン)は、車両車体への処理における作業性向上や製品設計でのコスト対応などのため特定の有機溶媒で適当な濃度に希釈できる。
本発明で用いるパーフルオロポリエーテル変性ポリシラザンは、m-キシレンヘキサフロライドに溶解することが知られている。本発明者は、m-キシレンヘキサフロライド及びハイドロフルオローエテル、フルオロカーボン等のフッ素系溶媒、ジメチルポリシロキサン、環状シロキサン、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒、アセトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素から選ばれる群れより選ばれる1種若しくは2種の溶媒からなる混合溶媒に溶解して、塗装被膜上にパーフルオロポリエーテル変性被膜を形成させる車両車体の塗装表面用コーティング剤として有用であることを見出した。
本発明で用いるパーフルオロポリエーテル変性ポリシラザンの良溶媒としては、m-キシレンヘキサフロライドやハイドロフルオロエーテル、フルオロカーボンなどのフッ素系溶媒が挙げられ、本発明で用いるパーフルオロポリエーテル変性ポリシラザンの貧溶媒としては、脂肪族や芳香族炭化水素などの溶媒があげられる。
なお、フッ素変性シラザンのm-キシレンヘキサフロライド希釈溶液は、知られている。
【実施例15】
【0026】
参考例1のコーティング液1.0gをハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム製:Novec7300)79.2gとジメチルポリシロキサン(信越化学工業製:KF-96-1cs)19.8gの混合溶媒に溶解させ、コーティング液とした。
【0027】
(比較例1)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KC-89S)10.0gと末端ヒドロキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業製:KF-9701)1.0g、有機チタン系触媒(信越化学工業製:D-25)0.5gをm-キシレンヘキサフロライド88.5gに溶解させ、コーティング液とした。
【0028】
(比較例2)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KC-89S)10.0gと末端ヒドロキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業製:KF-9701)1.0g、有機チタン系触媒(信越化学工業製:D-25)0.5gをハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム製:Novec7300)88.5gに溶解させ、コーティング液とした。
【0029】
(比較例3)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KC-89S)10.0gと末端ヒドロキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業製:KF-9701)1.0g、有機チタン系触媒(信越化学工業製:D-25)0.5gをフルオロカーボン(住友スリーエム製:Fluorinert FC-40)88.5gに溶解させ、コーティング液とした。
【0030】
(比較例4)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KC-89S)10.0gと末端ヒドロキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業製:KF-9701)1.0g、有機チタン系触媒(信越化学工業製:D-25)0.5gをジメチルポリシロキサン(信越化学工業製:KF-96-1cs)88.5gに溶解させ、コーティング液とした。
【0031】
(比較例5)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KC-89S)10.0gと末端ヒドロキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業製:KF-9701)1.0g、有機チタン系触媒(信越化学工業製:D-25)0.5gをイソプロピルアルコール88.5gに溶解させ、コーティング液とした。
【0032】
(比較例6)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KC-89S)10.0gと末端ヒドロキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業製:KF-9701)1.0g、有機チタン系触媒(信越化学工業製:D-25)0.
5gをジエチレングリコールジメチルエーテル88.5gに溶解させ、コーティング液とした。
【0033】
(比較例7)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KC-89S)10.0gと末端ヒドロキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業製:KF-9701)1.0g、有機チタン系触媒(信越化学工業製:D-25)0.5gを脂肪族炭化水素(出光興産製:IPソルベント1620)88.5gに溶解させ、コーティング液とした。
【0034】
(比較例8)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KR-400)10.0gをm-キシレンヘキサフロライド90.0gに溶解させ、コーティング液とした。
【0035】
(比較例9)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KR-400)10.0gをハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム製:Novec7300)90.0gに溶解させ、コーティング液とした。
【0036】
(比較例10)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KR-400)10.0gをフルオロカーボン(住友スリーエム製:Fluorinert FC-40)90.0gに溶解させ、コーティング液とした。
【0037】
(比較例11)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KR-400)10.0gをイソプロピルアルコール90.0gに溶解させ、コーティング液とした。
【0038】
(比較例12)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KR-400)10.0gをアセトン90.0gに溶解させ、コーティング液とした。
【0039】
(比較例13)
湿気硬化型シリコーンオリゴマー(信越化学工業製:KR-400)10.0gを脂肪族炭化水素(出光興産製:IPソルベント1620)90.0gに溶解させ、コーティング液とした。
【0040】
【表1】
各コーティング液については、以下に示すような方法で基材に処理し、各評価項目については、以下に示す方法と結果で判定し、表1にまとめた。
【0041】
(処理)
アクリル−メラミン系樹脂からなる自動車用塗料をベースコートとトップコートの積層形態で焼付け塗装して作製した塗装板表面に、各コーティング液を含浸させたクロスを用いて均一に処理した。処理されたコーティング液の溶媒が蒸発した後、新しいクロスにてムラがないように拭き取って仕上げた。
【0042】
(評価)
(液外観)
コーティング液を調製した際に、液の外観を目視にて確認し以下のように評価した。
○:無色透明な状態。
△:僅かに白化するが、沈殿等は見られない。
×:液の分層や沈殿が見られる。
【0043】
(基材への濡れ性)
コーティング液を基材に処理した際の、液の濡れ広がりの様子を目視にて確認し、以下のように評価した。
○:均一に基材に濡れ広がる。
△:僅かに液ヨリが見られるが、処理できる。
×:液の分離や沈殿または、ハジキにより、均一に処理できない。
【0044】
(乾燥性)
処理されたコーティング液の溶媒が、蒸発する時間を計測した。
【0045】
(拭き取り性)
溶媒が蒸発した後のコーティング液をクロスにて拭き取る際の様子を確認し、以下のように評価した。
○:拭き取りが軽い。
△:僅かに拭き取りが重く感じる。
×:拭き取るのに力が必要。
【0046】
(仕上がり)
拭き取り後の仕上がりの様子を目視にて確認し、以下のように評価した。
○:ムラなく均一に仕上がっている。
△:僅かにムラが残る。
×:ムラが多く残り解消できない。
【0047】
(水および油のハジキ)
処理、拭き取り後、室温で1日乾燥させ、表面の水および油のハジキ具合を接触角計を用いて測定し、以下のように評価した。なお、油についてはドデカンを使用した。
(水)◎:105°以上
○:100°以上105°未満
△:95°以上100°未満
×:95°未満
(油)◎:50°以上
○:40°以上50°未満
△:30°以上40°未満
×:30°未満
【0048】
【表2】