(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シール部材が、環状弾性部材と、前記環状弾性部材を内側に収容するように当該環状弾性部材に取り付けられたフッ素樹脂材料からなる断面コ字状の環状封止部材と、を有し、
前記一対の環状突出部が、前記環状封止部材における前記軸方向に向く外表面に当該環状封止部材と一体に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のタンクユニット。
【背景技術】
【0002】
高圧液化ガスなどの燃料を収容する燃料タンクには、燃料タンク内の残量を検出する取付体としての液面レベルセンサが設けられており、これら燃料タンクと液面レベルセンサとでタンクユニットを構成している(例えば、特許文献1)。
【0003】
従来のタンクユニットを、
図7に示す。
図7のタンクユニット801は、液体タンク802と、液面レベルセンサ807と、シール部材850を備えている。
【0004】
液体タンク802には、内外を連通する円形の開口部802aが設けられており、この開口部802aを塞ぐようにフランジ受け部材803が設けられている。フランジ受け部材803は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性の高い金属で構成されており、上記開口部802aと同径の円板状の底壁804と底壁804の周縁から立設された周壁805とを備えた、平面視円形の略器形状に形成されている。底壁804の中央部分には、円形貫通孔804aが形成されている。このフランジ受け部材803は、液体タンク802の開口部802aに嵌め込まれて配置されており、溶接によって当該開口部802aの周縁に周壁805の外周面が全周にわたり固定されている。
【0005】
液面レベルセンサ807は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性の高い金属で構成されたケース810を有している。このケース810には、略円筒形状に形成されたケース本体部808と、ケース本体部808の上端部に設けられたフランジ部809と、が設けられている。ケース本体部808は、上記円形貫通孔804aと同径に形成されており、また、フランジ部809は、上記フランジ受け部材803の周壁805の内径と同径に形成されている。
【0006】
液面レベルセンサ807は、ケース本体部808が、上記円形貫通孔804aに挿通されるとともに、フランジ部809が上記周壁805の内側に収容されて、フランジ受け部材803に固定して取り付けられる。このようにしてフランジ受け部材803に液面レベルセンサ807が取り付けられると、これらの間に、後述するシール部材850を収容するための環状の収容空間806が形成される。
【0007】
シール部材850は、例えば、ニトリルゴム(NBR)やクロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴムなどの弾力性を有するゴム状の材料で構成されており、このシール部材850は、全周にわたって断面が楕円形状となる環状に形成されている。
【0008】
シール部材850は、
図8に示すように、フランジ受け部材803の底壁804と液面レベルセンサ807のケース810との間に狭持されて、上記収容空間806に、上下につぶれるように弾性変形した状態で収容されている。これにより、シール部材850は、フランジ受け部材803と液面レベルセンサ807とに外周面850aを押しつけて封止し、液体タンク802内の気密を保っていた。
【0009】
しかしながら、液体タンク802に収容される液体がシール部材850の材料に対して腐食性(変質性や溶解性など材料の性質、状態を変化させる性質を含む)を有するものである場合など、上記シール部材850では、上記液体又は上記液体が気化したガスが触れて腐食してしまう恐れがあった。そのため、このような場合は、上記シール部材850に代えて、
図9に示すように、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの上記液体に対する耐腐食性を有するフッ素樹脂材料で構成された断面コ字状の環状封止部材863と、この環状封止部材863の弾性を補うために当該環状封止部材863の内側に収容される金属ばねで構成された環状ばね861と、を組み合わせてなるシール部材860を用いていた。
【0010】
このシール部材860によれば、環状封止部材863が耐腐食性を有し、そして、環状ばね861が環状封止部材863を内側からフランジ受け部材803及び液面レベルセンサ807に押しつけるので、腐食を防ぎつつ液体タンク802内の気密を保っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記シール部材850においては、軸方向(
図8の上下方向)に向く外周面850aの部分を面接触させて押しつけ、また、上記シール部材860においては、環状封止部材863は軸方向(
図9の上下方向)に向く外表面863a、863bを面接触させて押しつけるので、押しつける力が分散して単位面積当たりの押しつける力が小さくなってしまい、そのため、液体タンク802の気密を十分に保てないおそれがあるという問題があった。特に、上記シール部材860では、環状封止部材863が比較的硬質であるフッ素樹脂材料で構成されているので、うねりや表面凹凸などの外表面863a、863bの乱れなどによって当該外表面863a、863bにおいて上記押しつける力が大きくなる部分と小さくなる部分とが生じ、つまり、上記押しつける力のばらつきが生じて、そのため、上記押しつける力の小さい部分がシール部材860の半径方向に並ぶと、外表面863a、863bとフランジ受け部材803又は液面レベルセンサ807との間に隙間が生じて上記ガスが漏れ出してしまい、液体タンク802の気密を十分に保てないおそれがあるという問題があった。
【0013】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、シール部材を押しつける力の分散を防いで、タンクの気密を確実に保つことができるタンクユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、開口部が設けられたタンクと、前記開口部を塞ぐようにして前記タンクに取り付けられた取付体と、を有するタンクユニットにおいて、前記タンクと前記取付体との間には、前記開口部を囲む環状のシール部材がその軸方向に狭持されるように設けられ、前記シール部材には、前記軸方向に向けて互いに離れるように突出した断面くさび状の一対の環状突出部が設けられ、前記タンク及び前記取付体には、前記一対の環状突出部を内側に収容する断面V字状の一対の環状溝が設けられ、かつ、前記一対の環状突出部が、それぞれ先端を前記一対の環状溝内の角部に突き当てるように形成されていることを特徴とするタンクユニットである。
【0015】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記シール部材が、環状弾性部材と、前記環状弾性部材を内側に収容するように当該環状弾性部材に取り付けられたフッ素樹脂材料からなる断面コ字状の環状封止部材と、を有し、前記一対の環状突出部が、前記環状封止部材における前記軸方向に向く外表面に当該環状封止部材と一体に設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記環状弾性部材が、ゴム状の材料で構成され、前記環状封止部材が、前記環状弾性部材の内縁部分及び外縁部分のうち一方の部分を全周にわたって内側に収容するとともに他方の部分を露出するように当該環状弾性部材に取り付けられ、かつ、前記シール部材が、前記環状封止部材における半径方向を向く外表面を前記タンク内に連通された空間に向けるとともに、前記環状弾性部材の前記他方の部分における前記半径方向を向く端面を前記タンク又は前記取付体に当接するように配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、タンクと取付体との間には、タンクの開口部を囲む環状のシール部材がその軸方向に狭持されるように設けられ、このシール部材には、軸方向に向けて互いに離れるように突出した断面くさび状の一対の環状突出部が設けられ、タンク及び取付体には、一対の環状突出部を内側に収容する断面V字状の一対の環状溝が設けられ、かつ、一対の環状突出部が、それぞれ先端を一対の環状溝内の角部に突き当てるように形成されているので、一対の環状突出部の先端と一対の環状溝内の角部との接触箇所が線状になるようにしてこれらを互いに押しつけ、そのため、押しつける力が分散することなく一対の環状突出部の先端に集中して、単位面積当たりの上記押しつける力を大きくすることができるとともに、線状に接触するため面接触に比べて上記押しつける力のばらつきを少なくすることができ、隙間からのガス漏れを防いで、タンクの気密を確実に確保することができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、シール部材が、環状弾性部材と、この環状弾性部材を内側に収容するように当該環状弾性部材に取り付けられたフッ素樹脂材料からなる断面コ字状の環状封止部材と、を有し、一対の環状突出部が、環状封止部材における軸方向に向く外表面に当該環状封止部材と一体に設けられているので、環状封止部材がフッ素樹脂材料からなるため高い耐腐食性を有するとともに環状弾性部材が環状封止部材をタンク及び取付体に押しつけて封止し、そのため、シール部材の腐食を防いでタンクの気密をより確実に確保することができる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、環状弾性部材が、ゴム状の材料で構成され、環状封止部材が、環状弾性部材の内縁部分及び外縁部分のうち一方の部分を全周にわたって内側に収容するとともに他方の部分を露出するように当該環状弾性部材に取り付けられ、かつ、シール部材が、環状封止部材における半径方向を向く外表面をタンク内に連通された空間に向けるとともに、環状弾性部材の他方の部分における半径方向を向く端面をタンク又は取付体に当接するように配置されているので、タンク内に高圧のガスが収容されている場合、環状封止部材における半径方向を向く外表面がタンク内のガスの圧力受けると、環状弾性部材が半径方向に押し潰され、そのため、環状弾性部材に軸方向に膨張する力が働いて、一対の環状突出部の先端を一対の環状溝の角部により強く押しつけて、タンクの気密をより確実に保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態のタンクユニット及びこのタンクユニットが有するシール部材について、
図1〜
図6を参照して説明する。本実施形態において、タンクユニットは、液化石油ガスを収容する。
【0022】
本発明の一実施形態のタンクユニット(図中、符号201で示す)は、液体タンク1と、取付体としての液面レベルセンサ7と、を有している。
【0023】
液体タンク1は、タンク本体2と、フランジ受け部材3と、を有している。タンク本体2は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属などで構成されており、中空の箱形に形成されている。タンク本体2の上壁2aには、タンク本体2の内外を連通する円形の開口部2bが設けられている。
【0024】
フランジ受け部材3は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性の高い金属で構成されており、タンク本体2の開口部2bと同径の円板状の底壁4とこの底壁4の周縁から立設された周壁5とを備えた、平面視円形の略器形状に形成されている。底壁4の中央部分には、その上面4aと下面4bとを貫通する開口部としての円形貫通孔4cが形成されている。このフランジ受け部材3は、タンク本体2の開口部2bに嵌め込まれて配置されており、溶接によって当該開口部2bの周縁に周壁5の外周面が全周にわたり固定されている。これにより、タンク本体2とフランジ受け部材3との間は気密されている。フランジ受け部材3の底壁4の上面4aには、円形貫通孔4cの周縁の全周にわたって階段状に切り欠いた切欠部4dが形成されている。
【0025】
液面レベルセンサ7は、ケース10と、指針機構部30と、駆動機構部50と、フロート部70と、を有している。
【0026】
ケース10は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属からなり、上ケース部11と、下ケース部21と、がネジ12によって互いに固定されて構成されている。
【0027】
上ケース部11は、略有底円筒形状の上部分11aと、この上部分11aの底面11a1に同軸に重ねられた当該上部分11aより小径の略円筒形状の下部分11bと、が互いに一体に設けられている。上部分11aの外径は、フランジ受け部材3の周壁5の内径と同一にされている。また、下部分11bの外径は、フランジ受け部材3の底壁4の円形貫通孔4cの径と同一にされている。上部分11aは、ケース10におけるフランジ部を構成する。
【0028】
上ケース部11には、上記上部分11aの内側空間として上方に向けて開口された略円柱形状の空間である第1収容室14と、即ち、上記下部分11bの内側空間として下方に向けて開口された略円柱形状の空間である第2収容室15と、が設けられている。第1収容室14には、後述する指針機構部30が収容されている。第2収容室15には、後述する駆動マグネット52が収容されている。
【0029】
下ケース部21は、長尺でかつ上記下部分11bより小径の円筒形状に形成されている。下ケース部21の一端部21aの内側及び他端部21bの内側には、後述する駆動機構部50のシャフト51を回動可能に軸支する軸受部22、23が設けられている。また、下ケース部21の一端部21aには、外周面全周にわたってフランジ24が設けられている。フランジ24の外径は、上ケース部11の一端部11cの外径(即ち、上ケース部11の下部分11bの外径)と同一に形成されている。
【0030】
フランジ24は、上ケース部11の一端部11cに重ねられて、ネジ12によって当該一端部11cに固定される。これにより、第2収容室15の開口が下ケース部21によって塞がれる。
【0031】
指針機構部30は、ベース31と、指針ユニット35と、カバー49と、を備えている。
【0032】
ベース31は、例えば、合成樹脂などを用いて、第1収容室14の径と同一の外径の円板形状に形成されている。ベース31の上面31aの周縁部には、後述の指針ユニット35によって指示される目盛線や数字などの指標31cが形成されている。また、ベース31の上面31aの中央部分には、上方に向けて開口された略円柱形状の空間である指針ユニット収容室32が形成されている。この指針ユニット収容室32の底面32aには、円柱状の凸部33が形成されている。ベース31の下面31bは、第1収容室14の底面と同一形状に形成されており、ベース31が第1収容室14に収容されると、ベース31の下面31bが、第1収容室14の底面と密に重なる。ベース31、指針ユニット収容室32及び凸部33は、互いに同軸になるように配置されている。ベース31は、第1収容室14に固定して収容されている。
【0033】
指針ユニット35は、指針部36と、従動マグネット41と、を備えている。
【0034】
指針部36は、例えば、合成樹脂などを用いて互いに一体に形成された指針部本体37と、指針40と、を備えている。指針部本体37は、指針ユニット収容室32の径より若干小さい外径の略有底円筒形状に形成されている。指針部本体37の底壁37aの中央部分には、指針ユニット収容室32の凸部33が回動自在に嵌め合わされる凹部38が設けられている。また、底壁37aの中心には、後述する止めピン47が挿通される底壁貫通孔39が設けられている。指針40は、指針部本体37の周壁37bの開口側端部に、指針部本体37の半径方向外側に向けて棒状に延設されている。
【0035】
従動マグネット41は、指針部本体37の内径と同一の外径の略円柱形状に形成されており、指針部本体37の内側に固定して収容される。従動マグネット41の中心には、軸方向にマグネット貫通孔42が設けられている。このマグネット貫通孔42は、従動マグネット41が指針部本体37に収容されると、指針部本体37の底壁貫通孔39と重なり互いに連通される。従動マグネット41は、後述する駆動マグネット52と磁気的に結合(磁気カップリング)されている。
【0036】
指針ユニット35は、その凹部38の内側に凸部33が位置づけられるようにして指針ユニット収容室32内に収容される。そして、止めピン47をマグネット貫通孔42及び底壁貫通孔39に挿通して当該止めピン47の先端をベース31の凸部33に固定すると、指針ユニット35は、ベース31に回動自在に取り付けられる。また、指針ユニット35の指針40は、ベース31の上面31a上に配置され、回動位置(即ち、計測量)に応じた指標31cを指示する。指針ユニット35は、従動マグネット41と磁気的に結合された駆動マグネット52の回動に伴って回動される。
【0037】
カバー49は、例えば、透明な合成樹脂を用いて、第1収容室14の径と同一の外径の円板状の上壁部49aと、上壁部49aの周縁全周にわたって下方に向けて立設された周壁部49bと、上壁部49aの中央部分に設けられた遮蔽部49cと、を備えている。カバー49は、周壁部49bの先端(即ち、上壁部49aと反対側の端)がベース31を向くようにして第1収容室14に固定して収容されている。カバー49には、上方から見たときにベース31の上面31aに形成された指標31c及び指針ユニット35の指針40が視認され、指針部本体37及び従動マグネット41が視認されないように、遮光塗料で形成された遮蔽部49cが上壁部49aの中央部分に設けられている。
【0038】
駆動機構部50は、シャフト51と、駆動マグネット52と、第1歯車53と、第2歯車54と、を備えている。
【0039】
シャフト51は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属を用いて、長尺の円柱形状に形成されている。シャフト51は、下ケース部21の軸受部22、23によって、下ケース部21の内側に当該下ケース部21と同軸として回動自在に軸支されている。シャフト51の一端部51aは、下ケース部21の一端部21aから突出して第2収容室15内に位置づけられており、他端部51bは、下ケース部21の他端部21bから突出して下ケース部21外部に位置づけられている。
【0040】
駆動マグネット52は、円板形状(即ち、平たい円柱形状)に形成されており、シャフト51の一端部51aに固定して取り付けられている。駆動マグネット52の中心は、シャフト51の回動軸上に配置されている。
【0041】
第1歯車53は、シャフト51の他端部51bに固定して取り付けられている。第1歯車53の回動軸は、シャフト51の回動軸上に配置されている。第2歯車54は、その回動軸が第1歯車53の回動軸(即ち、シャフト51の回動軸)と直交するようにして、下ケース部21の他端部21bに延設された歯車軸受部25に回動自在に軸支されている。
【0042】
フロート部70は、フロートアーム72及びフロート90を備えたフロートアーム組立体71と、バランサ73と、を備えている。
【0043】
フロートアーム72は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属からなり、略L字形の円柱棒状に形成されている。フロートアーム72の一端部72aは、L字形の短辺側の部分に対応しており、フロート90が取り付けられている。フロートアーム72の他端部72bは、L字形の長辺側の先端付近の部分に対応しており、後述するバランサ73が固定して取り付けられる。
【0044】
フロート90は、例えば、液面レベルの検出対象の液体に対して耐腐食性や耐浸透性を有する合成樹脂やゴムなどの材料が用いられ、当該材料を発泡させて内部に空気(泡)を含んだ状態で円柱形状に固めたり、中空の楕円球形状に形成したりして、液面レベルの検出対象の液体の比重より軽くなるように構成されている。フロート90は、フロートアーム72の一端部72aに取り付けられている。
【0045】
本実施形態において、フロート90は、高密度ポリエチレンに気泡を含ませて円柱形状に固めたもので構成されており、その軸に沿って貫通孔(図示なし)が設けられている。フロート90は、長さがフロートアーム72のL字形の短辺の長さより若干短く形成されている。フロート90は、プッシュナット93及びフロートアーム72のL字型の折り曲げ部分72cとの間に狭持された状態で取り付けられる。勿論、これに限らず、フロート90は、例えば、接着剤などの固定手段により一端部72aに固定して取り付けられていてもよい。
【0046】
バランサ73は、例えば、ステンレスなどの耐腐食性を有する金属からなり、略円柱形状に形成されているとともに、その軸に沿ってフロートアーム72の他端部72bが挿通されるバランサ貫通孔74が設けられている。バランサ73は、その両端をろう77によってフロートアーム72の他端部72bにろう付けして固定されている。
【0047】
上述した液面レベルセンサ7は、上述した液体タンク1に取り付けられる。そして、液面レベルセンサ7のフロート90が、液体タンク1内の液体の液面に浮かべられて、液面の上昇及び下降に伴ってフロート90が上下移動されると、この上下移動が第2歯車54、第1歯車53及びシャフト51に順次伝達されて、フロート90の移動量、即ち、液体タンク1内の液量に応じて駆動マグネット52が回動される。そして、駆動マグネット52の回動によって従動マグネット41が回動されて、これに伴って、指針部36も回動されて、指針部36に設けられた指針40が、液体タンク1内の液体の量に応じた指標31cを指示する。
【0048】
液面レベルセンサ7は、下ケース21部及び上ケース部11の下部分11bが、フランジ受け部材3の円形貫通孔4cに挿通されるとともに、上ケース部11の上部分11a(即ち、フランジ部)がフランジ受け部材3の周壁5の内側に収容されて、フランジ受け部材3に固定して取り付けられる。これにより、円形貫通孔4cが液面レベルセンサ7で塞がれる。このようにしてフランジ受け部材3に液面レベルセンサ7が取り付けられると、これらの間に、後述するシール部材101を収容するための環状の収容空間6が形成される。
【0049】
図5(a)に示すように、この収容空間6は、フランジ受け部材3の切欠部4dにおける軸方向を向く面部分4d1、半径方向内側を向く面部分4d2、液面レベルセンサ7の上部分11aの底面11a1及び下部分11bの外周面11b1によって囲われた平形環状の空間である。そして、軸方向D2(
図5の上下方向)に対向して配置された上記面部分4d1と底面11a1とには、全周にわたって断面V字状に形成された一対の環状溝8、9が形成されている。これら一対の環状溝8、9は、互いに同一形状でかつ反対向き(即ち、面対称)に形成されている。これら一対の環状溝8、9には、後述するシール部材101の一対の環状突出部124、125が収容される。
【0050】
シール部材101は、
図4(a)、(b)に示すように、円環状に形成されている。シール部材101は、環状弾性部材110と、環状封止部材120と、を有している。
【0051】
環状弾性部材110は、例えば、ニトリルゴム(NBR)やクロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴムなどの弾力性を有するゴム状の材料で構成されている。環状弾性部材110は、弾性部材本体部111を有している。この弾性部材本体部111は、全周にわたって半径方向の断面が矩形状となる環状(即ち、平形環状)に形成されている。この弾性部材本体部111の内縁部分(即ち、請求項中の一方の部分に相当)には、後述する環状封止部材120が取り付けられ、弾性部材本体部111の外縁部分(即ち、請求項中の他方の部分に相当)は露出されている。
【0052】
環状封止部材120は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂材料など、環状弾性部材110より硬質でかつ液体タンク1内に収容された液体(封止対象の物質であって、本実施形態においては液化石油ガス)に対して耐腐食性を有する合成樹脂材料で構成されている。
【0053】
環状封止部材120は、平たい(即ち、軸方向D2長さが短い)円筒形状の底壁部121と、底壁部121の両端に半径方向D1外側に向かってフランジ状に立設された一対の側壁部122、123と、が一体に設けられており、全周にわたって断面コ字状に形成されている。
【0054】
環状封止部材120において、底壁部121の外表面121aは、半径方向D1内側に向けられており、一対の側壁部122、123の外表面122a、123aは、軸方向D2に向けられている。また、一対の側壁部122、123の間隔は、上記弾性部材本体部111の内縁部分の厚み(軸方向D2の長さ)と同一又は若干小さくされている。
【0055】
環状封止部材120は、環状弾性部材110と中心Oが重なるようにして環状弾性部材110の内縁部分を全周にわたってコ字形の内側に収容するとともに、環状弾性部材110の外縁部分を露出するように当該環状弾性部材110に取り付けられている。
【0056】
また、環状封止部材120には、一対の環状突出部124、125が設けられている。一対の環状突出部124、125は、一対の側壁部122、123の外表面122a、123aに、周方向に沿って全周にわたって前記軸方向D2に向けて突出して一体に設けられている。つまり、環状封止部材120には、軸方向D2に向けて互いに離れるように突出した一対の環状突出部124、125が、当該環状封止部材120の全周にわたって一体に設けられている。
【0057】
一対の環状突出部124、125は、全周にわたって半径方向D1の断面がくさび状に形成されている。これら一対の環状突出部124、125は、互いに同一形状でかつ反対向き(即ち、面対称)に形成されている。
【0058】
また、
図5(b)に示すように、環状突出部124と環状溝8とについて、環状突出部124の先端124aの角度θpが、環状溝8の角部8aの角度θfより小さくされ、かつ、側壁部122の外表面122aから先端124aまでの高さHpが、角部8aから液面レベルセンサ7の上部分11aの底面11a1までの高さHfより大きくされている。環状突出部125と環状溝9についても、図示はしないが同様である。これにより、一対の環状突出部124、125がそれぞれ一対の環状溝8、9に収容されたとき、それぞれ先端124a、125aを一対の環状溝8、9の角部8a、9aに突き当てて、一対の環状突出部124、125の先端124a、125aと一対の環状溝8、9内の角部8a、9aとの接触箇所が線状になる。
【0059】
勿論、一対の環状突出部124、125の形状は、これに限定されるものではなく、本発明の目的に反しない限り、一対の環状突出部124、125が、それぞれ先端124a、125aを一対の環状溝8、9内の角部8a、9aに突き当てるように形成されていれば、本発明の目的に反しない限り、その形状は任意である。
【0060】
シール部材101は、フランジ受け部材3の底壁4と液面レベルセンサ7のケース10との間にフランジ受け部材3の円形貫通孔4cを囲むように狭持されて、上記収容空間6に、上下(軸方向D2)につぶれるように弾性変形した状態で収容されている。このとき、シール部材101の一対の環状突出部124、125は、それぞれの先端124a、125aを一対の環状溝8、9の角部8a、9aに突き当てるようにして当該一対の環状溝8、9に収容されている。また、シール部材101は、環状封止部材120の底壁部121の外表面121aが収容空間6における半径方向D1内側部分6a寄りに配置されており、即ち、底壁部121の外表面121aを、液体タンク1内に連通された空間に向けるように配置されている。また、シール部材101は、環状弾性部材110(即ち、弾性部材本体部111)の外縁部分における半径方向D1外側を向く端面111cが、フランジ受け部材3の切欠部4dの面部分4d2に当接して配置されている。なお、収容空間6の構成によっては、端面111cに対向して液面レベルセンサ7のケース10が配置される場合があり、このようなときは、端面111cはケース10に当接される。
【0061】
次に、上述したタンクユニット201における本発明に係る作用を説明する。
【0062】
シール部材101は、フランジ受け部材3の底壁4と液面レベルセンサ7のケース10との間に上下(軸方向D2)に潰されるようにして狭持されている。この状態において、環状封止部材120の一対の環状突出部124、125の先端124a、125aが、一対の環状溝8、9の角部8a、9aに突き当てられているので、先端124a、125aが予期せぬ方向に撓むことを防いで、一対の環状突出部124、125の先端124a、125aと一対の環状溝8、9内の角部8a、9aとの接触箇所が線状になる。そのため、環状弾性部材110の復元力による環状封止部材120を押しつける力が、断面くさび状の一対の環状突出部124、125の先端124a、125aに集中して上記押しつける力の分散を防ぐことができる。
【0063】
また、上記先端124a、125aは幅が細くかつ上記押しつける力が集中しているので、上記先端124a、125aに凹凸などがあった場合でも、環状溝8、9の角部8a、9aに沿って変形して互いに密着する。そのため、環状封止部材を面接触させて押しつけた場合に比べて、上記先端124a、125aの部分毎の上記押しつける力のばらつきを防ぐことができる。
【0064】
また、液体タンク1内の液体が気化して当該液体タンク1内の圧力が高まると、環状封止部材120の外表面121aに当該圧力が加わってシール部材101が半径方向D1外側に向けて押し潰されて、そのため、環状弾性部材110に軸方向D2に膨張する力が働いて、一対の環状突出部124、125の先端124a、125aが、一対の環状溝8、9の角部8a、9aにより強く押しつけられる。
【0065】
以上より、本実施形態によれば、フランジ受け部材3と液面レベルセンサ7のケース10との間には、フランジ受け部材3の円形貫通孔4cを囲む環状のシール部材101がその軸方向D2に狭持されるように設けられ、このシール部材101には、軸方向D2に向けて互いに離れるように突出した断面くさび状の一対の環状突出部124、125が設けられ、フランジ受け部材3の面部分4d1及びケース10の上部分11aの底面11a1には、一対の環状突出部124、125を内側に収容する断面V字状の一対の環状溝8、9が設けられ、かつ、一対の環状突出部124、125が、それぞれ先端124a、125aを一対の環状溝8、9内の角部8a,9aに突き当てるように形成されているので、一対の環状突出部124、125の先端124a、125aと一対の環状溝8、9内の角部8a,9aとの接触箇所が線状になるようにしてこれらを互いに押しつけ、そのため、押しつける力が分散されることなく一対の環状突出部124、125の先端124a、125aに集中して、単位面積当たりの上記押しつける力を大きくすることができるとともに、線状に接触するため面接触に比べて上記押しつける力のばらつきを少なくすることができ、隙間からのガス漏れを防いで、液体タンク1の気密を確実に確保することができる。
【0066】
また、シール部材101が、環状弾性部材110と、この環状弾性部材110を内側に収容するように当該環状弾性部材110に取り付けられたフッ素樹脂材料からなる断面コ字状の環状封止部材120と、を有し、一対の環状突出部124、125が、環状封止部材120における軸方向D2に向く外表面122a、123aに当該環状封止部材120と一体に設けられているので、環状封止部材120がフッ素樹脂材料からなるため高い耐腐食性を有するとともに環状弾性部材110が環状封止部材120をフランジ受け部材3及び液面レベルセンサ7のケース10に押しつけて封止し、そのため、シール部材101の腐食を防いで液体タンク1の気密をより確実に確保することができる。
【0067】
また、環状弾性部材110が、ゴム状の材料で構成され、環状封止部材120が、環状弾性部材110の内縁部分を全周にわたって内側に収容するとともに外縁部分を露出するように当該環状弾性部材110に取り付けられ、かつ、シール部材101が、環状封止部材120における半径方向D1内側を向く外表面121aを液体タンク1内に連通された空間(即ち、収容空間6における半径方向D1内側部分6a寄りの部分)に向けるとともに、環状弾性部材110の外縁部分における半径方向D1を向く端面111cをフランジ受け部材3の面部分4d2に当接するように配置されているので、液体タンク1内に高圧のガスが収容されている場合、環状封止部材120の外表面121aが液体タンク1内のガスの圧力受けると、環状弾性部材110が半径方向D2に押し潰され、そのため、環状弾性部材110に軸方向D2に膨張する力が働いて、一対の環状突出部124、125の先端124a、125aを一対の環状溝8、9の角部8a、9aにより強く押しつけて、液体タンク1の気密をより確実に保つことができる。
【0068】
上述した本実施形態において、シール部材101が、環状弾性部材110と、環状弾性部材110の内縁部分を全周にわたって内側に収容するとともに外縁部分を露出するように当該環状弾性部材110に取り付けられた断面コ字状の環状封止部材120と、を有するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、シール部材が収容される収容空間において、その半径方向外側寄りの部分が液体タンク内に連通されている構成の場合は、
図6(a)、(b)に示すように、環状弾性部材110と、環状弾性部材110の外縁部分(請求項中の一方の部分に相当)を全周にわたって内側に収容するとともに内縁部分(請求項中の他方の部分に相当)を露出するように当該環状弾性部材110に取り付けられた断面コ字状の環状封止部材120Aと、を有するシール部材101Aを用いる。この場合でも、一対の環状突出部124、125は、環状封止部材120Aに軸方向D2に向けて互いに離れるように突出して当該環状封止部材120Aと一体に設けられる。
【0069】
また、上述した実施形態においては、環状弾性部材110がゴム状の材料で構成されているものであったが、これに限定されるものではなく、環状弾性部材を、例えば、
図9に示す金属ばねで構成された環状ばねで構成するなど、本発明の目的に反しない限り、環状弾性部材の材料や形状などの構成は任意である。
【0070】
また、上述した実施形態においては、シール部材101が、互いに異なる材料からなる環状弾性部材110と環状封止部材120とを有するものであったが、これに限定されるものではなく、環状弾性部材110と環状封止部材120とを同一の材料で構成しても良く、さらには、環状弾性部材110と環状封止部材120とを同一の材料で一体に構成してもよい。
【0071】
上述した実施形態では、液化石油ガスを収容するタンクユニット201について説明するものであったが、これに限定されるものではなく、液化石油ガス以外にも、亜硫酸やアンモニアなどの腐食性の高い薬液や、プロパンガス、ブタンガスなどの高圧の液化ガスなどを収容するものであってもよく、液体タンク1に収容する液体の種類は任意である。但し、シール部材101の環状封止部材120を、液体タンク1に収容する液体に対して耐腐食性を有する材料で構成する必要がある。
【0072】
また、上述した実施形態では、取付体として液面レベルセンサ7を備えるものであったが、これに限定されるものではなく、取付体として、例えば、液体タンクの液体注入口などの開口部を塞ぐキャップを備えるなど、本発明の目的に反しない限り、取付体の種類は任意である。
【0073】
また、上述した実施形態では、シール部材101が円環状に形成されているものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、多角形環状など、円形貫通孔4cの周囲を囲む環状(周回状)であれば、本発明の目的に反しない限り、シール部材101の形状は任意である。
【0074】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。