(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967894
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】グラフェン電子素子
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20160728BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20160728BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20160728BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20160728BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
H01L29/78 618C
B82Y30/00
H01L29/78 618B
H01L29/78 618E
H01L29/28 100A
H01L29/28 250E
H01L29/06 601N
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-230617(P2011-230617)
(22)【出願日】2011年10月20日
(65)【公開番号】特開2012-119665(P2012-119665A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0120614
(32)【優先日】2010年11月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】許 鎭盛
(72)【発明者】
【氏名】徐 順愛
(72)【発明者】
【氏名】李 晟熏
(72)【発明者】
【氏名】鄭 現鍾
(72)【発明者】
【氏名】梁 喜準
【審査官】
岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−277803(JP,A)
【文献】
特開平10−139411(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/023669(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0221130(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0028681(US,A1)
【文献】
米国特許第06083624(US,A)
【文献】
Bai et al.,'Graphene nanomesh',Nature Nanotechnology,2010年,vol. 5,pp. 190-194
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/00−31/36、
H01L 21/336、29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
前記ゲート電極上に配置されたゲート酸化物と、
前記ゲート酸化物上のグラフェンチャネル層と、
前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極とドレイン電極と、を備え、
前記グラフェンチャネル層には複数のナノホールが形成され、
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の幅方向に1列を形成し、
前記複数のナノホールは、1nm〜20nmのギャップを持って配列されたグラフェン電子素子。
【請求項2】
前記ゲート電極は、シリコン基板である請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項3】
前記グラフェンチャネル層の幅は、100nm〜5μmである請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項4】
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の長手方向に直交して配置された請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項5】
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の長手方向に傾いて配置された請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項6】
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の幅方向にジグザグに配置された請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項7】
前記複数のナノホールの各ナノホールは、1nm〜20nmの直径を持つ請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項8】
前記グラフェンチャネル層は、単層または二層のグラフェンからなる請求項1に記載のグラフェン電子素子。
【請求項9】
基板と、
前記基板上のグラフェンチャネル層と、
前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極とドレイン電極と、
前記グラフェンチャネル層を覆うゲート酸化物層と、
前記ゲート酸化物層上のゲート電極と、を備え、
前記グラフェンチャネル層には複数のナノホールが形成され、
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の幅方向に1列を形成し、
前記複数のナノホールは、1nm〜20nmのギャップをおいて配列されたグラフェン電子素子。
【請求項10】
前記グラフェンチャネル層の幅は、100nm〜5μmである請求項9に記載のグラフェン電子素子。
【請求項11】
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の長手方向に実質的に直交して配置された請求項9に記載のグラフェン電子素子。
【請求項12】
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の長手方向に傾いて配置された請求項9に記載のグラフェン電子素子。
【請求項13】
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の幅方向にジグザグに配置された請求項9に記載のグラフェン電子素子。
【請求項14】
前記複数のナノホールの各ナノホールは、1nm〜20nmの直径を持つ請求項9に記載のグラフェン電子素子。
【請求項15】
前記グラフェンチャネル層は、単層または二層のグラフェンからなる請求項9に記載のグラフェン電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノホールが形成されたグラフェンチャネル層を備えるグラフェン電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元の6角形炭素構造を持つグラフェンは、半導体を代替できる新たな物質である。グラフェンは、ゼロギャップ半導体である。また、キャリア移動度が常温で100,000cm
2V
−1s
−1であって、既存シリコンに比べて約100倍高くて、高速動作素子、例えば、RF(radio frequency)素子に適用できる。
【0003】
グラフェンは、チャネル幅を10nm以下に小さくしてグラフェンナノリボン(graphene nano−ribbon)(GNR)を形成する場合、サイズ効果によってバンドギャップが形成される。このようなGNRを利用して常温で作動できる電界効果トランジスタを製作できる。
【0004】
グラフェン電子素子は、グラフェンを利用した電子素子であって、電界効果トランジスタ、RFトランジスタなどをいう。
【0005】
グラフェンシートをパターニングしてグラフェンナノリボンを製造する過程でグラフェンナノリボンのエッジが不均一になり、これにより、グラフェンナノリボンをチャネル層として使用したトランジスタのキャリア移動度が低くなってトランジスタの性能が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ナノホールが形成されたグラフェンチャネル層を使用したグラフェン電子素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によるグラフェン電子素子は、ゲート電極と、前記ゲート電極上に配置されたゲート酸化物と、前記ゲート酸化物上のグラフェンチャネル層と、前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極とドレイン電極と、を備え、前記グラフェンチャネル層には複数のナノホールが形成される。
【0008】
前記ゲート電極は、シリコン基板である。
【0009】
前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の幅方向に一つの列を形成する。
【0010】
本発明の一側面によれば、前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の長手方向に実質的に直交して配置される。
【0011】
本発明の他の側面によれば、前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の長手方向に傾いて配置される。
【0012】
本発明のさらに他の側面によれば、前記複数のナノホールは、前記グラフェンチャネル層の幅方向にジグザグに配置される。
【0013】
前記複数のナノホールの各ナノホールは、ほぼ1nm〜20nmの直径を持つ。
【0014】
前記複数のナノホールは、ほぼ1nm〜20nmのギャップを持って配列される。
【0015】
前記グラフェンチャネル層の幅は、ほぼ100nm〜5μmである。
【0016】
前記グラフェンチャネル層は、単層または二層のグラフェンからなる。
【0017】
本発明の他の実施形態によるグラフェン電子素子は、基板と、前記基板上のグラフェンチャネル層と、前記グラフェンチャネル層の両端にそれぞれ配置されたソース電極とドレイン電極と、前記グラフェンチャネル層を覆うゲート酸化物層と、前記ゲート酸化物層上のゲート電極と、を備え、前記グラフェンチャネル層には複数のナノホールが形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によるグラフェン電子素子は、グラフェンチャネル層に狭い間隔のナノホールを形成することで、グラフェンナノリボンのようにサイズ効果による半導体特性を持ちながらも、グラフェンチャネル層の幅が相対的に広いため、グラフェンチャネル層のパターニング過程におけるチャネル層の機能低下を回避できる。したがって、グラフェンチャネル層の移動度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態によるグラフェン電子素子の構造を示す概略断面図である。
【
図3】本発明の他の変形例によるグラフェンチャネル層を示す平面図である。
【
図4】本発明の他の変形例によるグラフェンチャネル層を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態によって製作された電界効果トランジスタの性能曲線を示すグラフである。
【
図6】本発明の他の実施形態によるグラフェン電子素子の構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。この過程で図面に図示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して図示されている。明細書にわたって実質的に同じ構成要素には同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0021】
図1は、一実施形態によるグラフェン電子素子100の構造を示す概略断面図であり、
図2は、
図1の平面図であり、便宜のためパッシベーション層を除外した。
図1は、
図2のI−I’線断面図である。
【0022】
図1を参照すれば、シリコン基板110上にゲート酸化物120が形成されている。ゲート酸化物120は、酸化シリコンでほぼ100nm〜300nmの厚さに形成できる。シリコン基板110は導電性基板であって、ゲート電極とも称する。シリコン基板110の代りに他の導電性基板が使われることもある。
【0023】
ゲート酸化物120上にはグラフェンチャネル層130が配置される。グラフェンチャネル層130は、1層または2層のグラフェンからなりうる。
【0024】
図1及び
図2を共に参照すれば、グラフェンチャネル層130には、グラフェンチャネル層130の幅方向に複数のナノホール132が配列されている。複数のナノホール132は一つの列を形成する。複数のナノホール132は、グラフェンチャネル層130の長手方向に対して実質的に直交するように配置されている。
【0025】
ナノホール132は、グラフェンのパターニング時に電子ビームリソグラフィ、集束イオンビームを利用して製造できる。
【0026】
各ナノホール132は、ほぼ1nm〜20nmの直径を持つ。ナノホール132間のギャップはほぼ1nm〜20nmでありうる。ナノホール132のギャップを1nm以下とする場合、隣接したナノホールが重畳しうる。ナノホール132のギャップを20nm以上とする場合、サイズ効果によるバンドギャップの形成が困難になる。ナノホール132間の間隔が狭いので、グラフェンチャネル層130にはグラフェンナノリボンのようにサイズ効果によるバンドギャップが形成され、したがって、半導体の特性を持つ。
【0027】
グラフェンチャネル層130の幅Wはほぼ100nm〜5μmでありうる。グラフェンチャネル層130の幅Wはグラフェンナノリボンの幅より相対的に大きいので、グラフェンチャネル層130のパターニング時に、エッジの損傷がグラフェンチャネル層130に及ぶ影響が低減する。
【0028】
グラフェンチャネル層130の両端上には、それぞれソース電極142及びドレイン電極144が形成される。グラフェンチャネル層130上でソース電極142とドレイン電極144との間には、グラフェンチャネル層130を覆うパッシベーション層150がさらに形成されうる。パッシベーション層150は、酸化シリコンで形成できる。パッシベーション層150は、ほぼ5nm〜30nmの厚さに形成できる。
【0029】
図1のグラフェン電子素子100は、バックゲートタイプ電界効果トランジスタである。グラフェンをチャネルとして使用する電界効果トランジスタ100は常温で作動できる。
【0030】
図3及び
図4は、他の変形例によるグラフェンチャネル層を示す平面図である。
図1及び
図2の構成要素と実質的に同じ構成要素には同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0031】
図3を参照すれば、複数のナノホール133は、
図2とは異なってグラフェンチャネル層130の長手L方向に対して傾いて配列されてもよい。また、複数のナノホール134は、グラフェンチャネル層130の幅W方向にジグザグ形状に配列されてもよい(
図4参照)。
【0032】
図5は、前記実施形態によって製作された電界効果トランジスタの性能曲線である。
【0033】
図5を参照すれば、ON/OFF比がほぼ100以上と高く、特に、移動度が1000cm
2/Vsと非常に良好であった。
【0034】
前記実施形態によるグラフェン電界効果トランジスタは、グラフェンチャネル層に狭い間隔のナノホールを形成することで、グラフェンナノリボンのようにサイズ効果による半導体特性を持ちながらも、グラフェンチャネル層の幅が相対的に広いため、グラフェンチャネル層のパターニング過程におけるチャネル層の機能低下を回避できる。したがって、グラフェンチャネル層の移動度を向上させることができる。
【0035】
図6は、他の実施形態によるグラフェン電子素子200の構造を示す概略断面図であり、
図7は、
図6の平面図であり、便宜のためグラフェンチャネル層上のゲート電極及びゲート酸化物を除外した。
図6は、
図7のVI−VI’線断面図である。
【0036】
図6を参照すれば、シリコン基板210上に絶縁層220が形成されている。絶縁層220は、酸化シリコンであってほぼ100nm〜300nmの厚さに形成できる。絶縁層220上にはグラフェンチャネル層230が配置される。グラフェンチャネル層230は、1層または2層のグラフェンからなりうる。
【0037】
図6及び
図7を共に参照すれば、グラフェンチャネル層230には、グラフェンチャネル層230の幅方向に複数のナノホール232が配列されている。複数のナノホール232は一つの列を形成する。複数のナノホール232は、グラフェンチャネル層230の長手方向に対して実質的に直交するように配置されている。
【0038】
複数のナノホール232は、
図7とは異なってグラフェンチャネル層230の長手方向に対して傾いて配列されてもよい。また、複数のナノホール232はジグザグ形状に配列されてもよい。
【0039】
各ナノホール232は、ほぼ1nm〜20nmの直径を持つ。ナノホール232間のギャップは、ほぼ1nm〜20nmでありうる。ナノホール232間の間隔が狭いので、グラフェンチャネル層230にはサイズ効果によるバンドギャップが形成され、したがって、半導体の特性を持つ。
【0040】
グラフェンチャネル層230の幅Wは、ほぼ100nm〜5μmでありうる。グラフェンチャネル層230の幅Wはグラフェンナノリボンの幅より相対的に大きいので、グラフェン層(図示せず)のパターニング時にエッジの損傷がグラフェンチャネル層230に及ぶ影響が低減する。
【0041】
グラフェンチャネル層230の両端上には、それぞれソース電極242及びドレイン電極244が形成される。グラフェンチャネル層230上でソース電極242とドレイン電極244との間には、ゲート酸化物層250がさらに形成されうる。ゲート酸化物層250は酸化シリコンからなる。
【0042】
ゲート酸化物層250上にはゲート電極260が配置される。ゲート電極260は、通常の金属、例えば、アルミニウムなどからなる。
【0043】
図6及び
図7のグラフェン電子素子200は、トップゲートタイプ電界効果トランジスタである。グラフェンをチャネルとして使用する電界効果トランジスタ200は、常温で作動できる。
【0044】
本発明の実施形態によるグラフェン電子素子は、グラフェンチャネル層に狭い間隔のナノホールを形成することで、グラフェンナノリボンのようにサイズ効果による半導体特性を持ちながらも、グラフェンチャネル層の幅が相対的に広いため、グラフェンチャネル層のパターニング過程におけるチャネル層の機能低下を回避できる。したがって、グラフェンチャネル層の移動度を向上させることができる。
【0045】
以上、添付した図面を参照して説明された本発明の実施形態は例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということを理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は特許請求の範囲によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、電子素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0047】
100 グラフェン電子素子
110 シリコン基板
120 ゲート酸化物
130 グラフェンチャネル層
132 ナノホール
142 ソース電極
144 ドレイン電極
150 パッシベーション層