(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の内視鏡画像及び前記第2の内視鏡画像に所定の文字情報が表示されるように、前記第1ビデオ信号及び前記第2ビデオ信号に所定の信号を重畳する重畳回路を備える、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子内視鏡システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
擬似色素散布処理やエンハンス処理等の画像処理を行うと、被写体である胃内壁や大腸内壁の微妙な凹凸を観察し易くなり、また、ぼやけた画像からでも鮮鋭感の高い画像を得ることが可能となる等の点で有効であるが、一方で画像処理の効果が強すぎると却って画像を見難くする場合もある。そこで、特許文献1のように、複数の画像をモニタ上に表示する場合においては、通常のカラー画像と画像処理されたカラー画像との組み合わせだけではなく、異なる画像処理の設定がなされた複数のカラー画像をモニタ上に同時に表示できるように構成するのが好ましい。
【0006】
しかし、モニタ上に表示される画像の組み合わせを増やすと、ユーザ(術者)の選択肢が増える反面、ユーザは、どの画像をモニタ上に表示するかを手技中に設定(選択)しなければならなくなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、異なる画像処理の設定がなされた複数のカラー画像をモニタ上に同時に表示でき、また簡単な操作でモニタ上のカラー画像を切り換えることが可能な電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の電子内視鏡システムは、先端部に固体撮像素子を備え該固体撮像素子から得られる信号を映像信号として出力する電子内視鏡と、映像信号から画像を取得し、該画像に所定の画像処理を行い、第1のビデオ信号として出力する第1の画像処理回路と、映像信号から画像を取得し、該画像に所定の画像処理を行い、第2のビデオ信号として出力する第2の画像処理回路と、第1のビデオ信号に基づく第1の内視鏡画像と前記第2のビデオ信号に基づく第2の内視鏡画像とを表示するモニタと、ユーザからの入力を受け付け、該入力に基づいて、第1の内視鏡画像をモニタに表示する単一画像表示モードと、第1の内視鏡画像及び第2の内視鏡画像をモニタに表示する複数画像表示モードのいずれかを選択する表示モード選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、モニタに表示される第1の内視鏡画像と第2の内視鏡画像にそれぞれ異なる画像処理の設定を行うことができ、かつ、表示モード選択手段の操作により、モニタ上に表示される画像を簡単に切り換えることができる。
【0010】
また、ユーザからの入力を受け付け、該入力に基づいて第1の画像処理回路の画像処理を有効又は無効にする第1の操作手段と、ユーザからの入力を受け付け、該入力に基づいて第2の画像処理回路の画像処理を有効又は無効にする第2の操作手段と、を備える構成としてもよい。このような構成によれば、第1の操作手段、第2の操作手段及び表示モード選択手段の操作により、モニタ上に表示可能な複数の画像を簡単に切り換えることができる。
【0011】
また、第2の操作手段は、電子内視鏡による観察に先立って操作されるように構成してもよい。このような構成によれば、手技中は、第1の操作手段及び表示モード選択手段の2つの操作によって、モニタ上に表示可能な複数の画像を切り換えることができる。
【0012】
また、第1の画像処理回路の画像処理パラメータを入力する第1のパラメータ入力手段と、第2の画像処理回路の画像処理パラメータを入力する第2のパラメータ入力手段と、を備え、第1の画像処理回路は、第1の画像処理回路の画像処理パラメータに基づいて所定の画像処理を行い、第2の画像処理回路は、第2の画像処理回路の画像処理パラメータに基づいて所定の画像処理を行うように構成してもよい。また、この場合、第1の画像処理回路の画像処理パラメータは、複数のパラメータセットを備える構成としてもよい。
【0013】
また、表示モード選択手段は、電子内視鏡の操作部に設けられた操作ボタンであることが好ましい。
【0014】
また、表示モード選択手段は、フットスイッチであることが好ましい。
【0015】
また、表示モード選択手段は、キーボードであることが好ましい。
【0016】
また、モニタは、表示モード選択手段によって複数画像表示モードが選択されているときに、第1の内視鏡画像を該モニタの右側に表示し、第2の内視鏡画像を該モニタの左側に表示するように構成してもよい。
【0017】
また、第1の内視鏡画像及び第2の内視鏡画像に所定の文字情報が表示されるように、第1ビデオ信号及び第2ビデオ信号に所定の信号を重畳する重畳回路を備える構成としてもよい。このような構成によれば、モニタに表示されている画像の種類が一目瞭然となり、ユーザ(術者)の誤認、誤操作を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、異なる画像処理の設定がなされた複数のカラー画像をモニタ上に同時に表示でき、また簡単な操作でモニタ上のカラー画像を切り換えることが可能な電子内視鏡システムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システムのブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の電子内視鏡システム1は、電子内視鏡100と、プロセッサ200と、モニタ300と、入力インターフェース400とを有する。
【0022】
プロセッサ200は、システムコントローラ202、タイミングコントローラ204を有している。システムコントローラ202は、電子内視鏡システム1を構成する各要素を制御する。タイミングコントローラ204は、信号の処理タイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各種回路に出力する。
【0023】
ランプ208は、ランプ電源イグナイタ206による始動後、白色光を出射する。ランプ208には、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが適している。ランプ208から出射された照明光は、集光レンズ210によって集光されつつ、絞り212を介して適正な光量に制限されて、LCB(Light Carrying Bundle)102の入射端に入射する。
【0024】
絞り212には、図示省略されたアームやギヤ等の伝達機構を介してモータ214が機械的に連結している。モータ214は例えばDCモータであり、ドライバ216の制御下で駆動する。絞り212は、モニタ300に表示される映像を適正な明るさにするため、モータ214の駆動によって開度が変化するように構成されており、ランプ208から出射された照明光の光量を開度に応じて制限する。適正とされる映像の明るさの基準は、術者によるフロントパネル218の輝度調節操作に応じて設定変更される。なお、ドライバ216を制御して輝度調整を行う調光回路は周知の回路であり、本明細書においては省略することとする。
【0025】
LCB102の入射端に入射した照明光は、LCB102内を、全反射を繰り返すことによって伝播する。LCB102内を伝播した照明光は、電子スコープ100の先端に配されたLCB102の出射端から出射する。LCB102の出射端から出射した照明光は、配光レンズ104を介して被写体を照明する。被写体からの反射光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上の各画素で光学像を結ぶ。
【0026】
固体撮像素子108は、IR(InfraRed)カットフィルタ108a、ベイヤ配列カラーフィルタ108bの各種フィルタが受光面前面に配置された単板式カラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであり、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、Bの各色に応じた撮像信号に変換する。変換された撮像信号は、内視鏡側信号処理回路112に入力されAD変換、信号増幅等の処理後、信号処理回路220に出力される。なお、固体撮像素子108は、CMOSイメージセンサに限らず、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサであってもよい。
【0027】
内視鏡側信号処理回路112は、メモリ114にアクセスして電子スコープ100の固有情報を読み出す。電子スコープ100の固有情報には、例えば固体撮像素子108の画素数や感度、対応可能なレート、型番等が含まれる。内視鏡側信号処理回路112は、メモリ114から読み出した固有情報をシステムコントローラ202に出力する。
【0028】
システムコントローラ202は、電子スコープ100の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ202は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている電子スコープ100に適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。また、システムコントローラ202には、フロントパネル218及び入力インターフェース400が接続されている。フロントパネル218は、例えば、タッチパネルスクリーンであり、システムコントローラ202の制御の下、後述するように、電子内視鏡システム1の各種設定値を変更するための画面表示等を行うと共に、ユーザによる入力操作が受け付けられる。フロントパネル218にユーザからの入力があった場合には、システムコントローラ202は入力された内容に応じて各種設定値の変更処理等(例えば、画像処理パラメータの設定処理)を実行する。
【0029】
入力インターフェース400は、例えば、キーボード、フットスイッチ等、ユーザからの入力を受け付ける入力装置であり、入力インターフェース400に入力があると、システムコントローラ202は、入力インターフェース400の入力に応じた処理(すなわち、キーボードのキーやフットスイッチに予め割り当てられた機能(例えば、送気/送水機能)を実行するための処理を行う。
【0030】
また、本実施形態の電子内視鏡100の操作部(不図示)には、第1画像処理回路制御ボタン120(以下、「第1制御ボタン120」という。)及び表示モード設定ボタン121が備えられている。ユーザによる第1制御ボタン120及び表示モード設定ボタン121の操作は、内視鏡側信号処理回路112を介してシステムコントローラ202によって検出される。詳細は後述するが、本実施形態においては、第1制御ボタン120の操作を通じて、第1画像処理回路222の画像処理機能の有効/無効を切り換えることができるようになっており、ユーザが、第1制御ボタン120を「ON」すると、第1画像処理回路222の画像処理機能は有効(ON)になり、第1制御ボタン120を「OFF」すると、第1画像処理回路222の画像処理機能は無効(OFF)となる。また、表示モード設定ボタン121の操作を通じて、モニタ300に表示する内視鏡画像の表示態様(表示モード)を、単一の内視鏡画像を表示するモード(以下、「単一画像表示モード」という。)、又は複数の内視鏡画像を表示するモード(以下、「複数画像表示モード」という。)に設定できるようになっている。なお、
図1中、図面を簡明化するため、第1制御ボタン120及び表示モード設定ボタン121と他のブロックとの結線は省略している。
【0031】
タイミングコントローラ204は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、内視鏡側信号処理回路112にクロックパルスを供給する。内視鏡側信号処理回路112は、タイミングコントローラ204から供給さるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0032】
信号処理回路220は、第1画像処理回路222、第2画像処理回路224及び画像合成回路226を備えている。信号処理回路220は、内視鏡側信号処理回路112から出力されるデジタルの画像データを不図示の画像メモリに記憶する。第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224は、それぞれ、画像メモリに記憶された画像データを所定の(すなわち、モニタ300の水平及び垂直同期周波数に対応した)タイミングで読み出し、読み出した画像データに所定の画像処理(例えば、後述する輪郭強調処理など)を行い、画像処理が行われた後の画像データを、画像合成回路226に出力する。画像合成回路226は、ユーザ(術者)によって設定される表示モードに応じて、第1画像処理回路222から出力される画像データ、又は第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224から出力される画像データを1つの画像となるように合成した画像データを、所定の形式のビデオ信号(例えば、NTSC(National Television System Committee)形式)に変換し、モニタ300に出力する。この結果、モニタ300には、第1画像処理回路222から出力される内視鏡画像(以下、「第1映像IM1」という。)、又は第1映像IM1と第2画像処理回路224から出力される内視鏡画像(以下、「第2映像IM2」という。)の両方が表示されることになる。上述したように、本実施形態においては、表示モード設定ボタン121の操作を通じて、モニタ300に表示する内視鏡画像の表示モードを設定することができ、単一画像表示モードのとき、第1映像IM1が表示され、複数画像表示モードのとき、第1映像IM1及び第2映像IM2の両方が表示されるように構成されている。また、本実施形態の画像合成回路226は、不図示のOSD(On-Screen Display)回路を備えており、システムコントローラ202の指示に従って、文字や記号等の情報を画像データに重畳することができる(すなわち、第1映像IM1及び第2映像IM2と共に文字や記号を表示することができる)ように構成されている。
【0033】
図2は、本実施形態のモニタ300に表示される第1映像IM1と第2映像IM2を示す模式図である。
図2(a)は、単一画像表示モードの時にモニタ300に表示される第1映像IM1を示している。
図2(b)は、複数画像表示モードの時にモニタ300に表示される第1映像IM1及び第2映像IM2を示している。
図2に示すように、単一画像表示モードでは、第1映像IM1のみがモニタ300に表示されるが、複数画像表示モードでは、第1映像IM1及び第2映像IM2が、モニタ300上で左右に並べられて表示され、これらを同時に観察しながら診断が行えるようになっている。そして、第1映像IM1及び第2映像IM2の画像処理の設定値(すなわち、画像処理パラメータ)は、後述する画像処理パラメータ設定処理によって、それぞれ独立して設定することが可能に構成されており、画像処理の条件の異なる2つの画像を同時に観察しながら診断が行えるようになっている。
【0034】
(第1映像IM1の画像処理パラメータの設定処理)
次に、本実施形態の電子内視鏡システム1で実行される第1映像IM1の画像処理パラメータ設定処理について説明する。
図3は、本実施形態のシステムコントローラ202で実行される第1映像IM1の画像処理パラメータ設定処理のフローチャートである。本処理は、フロントパネル218の操作によって、第1映像IM1の画像処理パラメータ(以下、「第1パラメータ」という。)を設定する旨の入力があった時に実行されるサブルーチンである。なお、説明の便宜上、本明細書中の説明並びに図面において、処理ステップは「S」と省略して記す。
【0035】
本ルーチンが開始されると、S11が実行される。S11では、システムコントローラ202は、フロントパネル218に第1画像処理設定画面P1を表示し、ユーザによる操作を受け付ける。
図4は、本実施形態の第1画像処理設定画面P1の一例を示す図である。
図4に示すように、第1画像処理設定画面P1は、設定する画像処理の項目を選択するボタンA1〜A9と、ボタンA1〜A9によって選択された画像処理の項目の設定値を変更するボタンA21(ダウンボタン)、A22(アップボタン)と、第1パラメータの設定の終了を入力するボタンA23と、第1パラメータのパラメータセットを切り換えるボタンA31〜A33と、を備えたユーザインターフェースである。
【0036】
ボタンA1は、第1映像IM1の輪郭強調の度合いを設定するためのボタンであり、ボタンA1を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「OFF、+1、+2、+3、+4、+5、+6」の7段階で輪郭強調の度合いを設定することができる。
【0037】
ボタンA2は、第1映像IM1の表面強調(局所的に存在する微細な凹凸の強調)の度合いを設定するためのボタンであり、ボタンA2を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「OFF、+1、+2、+3、+4、+5、+6」の7段階で表面強調の度合いを設定することができる。
【0038】
ボタンA3は、第1映像IM1のコントラストの強調度合いを設定するためのボタンであり、ボタンA3を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「OFF、+1、+2、+3、+4、+5、+6」の7段階でコントラストの強調度合いを設定することができる。
【0039】
ボタンA4は、第1映像IM1の色調(トーン)を設定するためのボタンであり、ボタンA4を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「c:大腸」、「g:胃」等、観察対象部位に適した色調を設定することができる。
【0040】
ボタンA5は、第1映像IM1のノイズ除去の度合いを設定するためのボタンであり、ボタンA5を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「Low、Middle、High」の3段階でノイズ除去の度合いを設定することができる。
【0041】
ボタンA6は、第1映像IM1の赤味を設定するためのボタンであり、ボタンA6を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「−5〜+5」の11段階で赤味の度合いを設定することができる。
【0042】
ボタンA7は、第1映像IM1の青味を設定するためのボタンであり、ボタンA7を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「−5〜+5」の11段階で青味の度合いを設定することができる。
【0043】
ボタンA8は、第1映像IM1のブライトネス(明るさ)を設定するためのボタンであり、ボタンA8を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「−5〜+5」の11段階で明るさを設定することができる。
【0044】
ボタンA9は、第1映像IM1の測光アルゴリズム(最大輝度値を用いたピーク測光又は平均輝度値を用いた平均測光)を設定するためのボタンであり、ボタンA9を選択し、ボタンA21又はA22を操作することにより、「Peak(ピーク測光)、Ave(平均測光)」を設定することができる。
【0045】
ボタンA31〜A33は、第1パラメータのパラメータセットの切り換えボタンである。本実施形態においては、ボタンA31〜A33を切り換えることにより、第1パラメータとして、3つの異なるパラメータセットを記憶できるように構成されている。つまり、頻繁に使用する第1パラメータをボタンA31〜A33に割付けておくことで、第1パラメータの設定変更(切り換え)を容易に行うことができるように構成されている。
【0046】
このように、S11では、ユーザは、第1画像処理設定画面P1のボタンA1〜A9、A21、A22、A31〜A33を操作することにより、3種類の第1パラメータを設定することができる。次いで、処理はS12に進む。
【0047】
S12では、システムコントローラ202は、第1パラメータの設定が終了したか否か(すなわち、終了ボタンA23の押下を検出したか否か)を判断する。ユーザによる終了ボタンA23の押下を検出すると(S12:YES)、処理はS13に進み、ユーザによる終了ボタンA23の押下が検出されないと(S12:NO)、処理はS11に戻り、S11、S12を繰り返し実行する。
【0048】
S13では、システムコントローラ202は、S11で設定された第1パラメータを不図示のメモリに記憶し、本処理を終了する。なお、ボタンA31〜A33に割付けられた各パラメータセットは、メモリ上の異なるアドレスにそれぞれ記憶される。詳細は後述するが、メモリに記憶された第1パラメータは、第1制御ボタン120が「ON」のときに、後述する内視鏡画像観察処理において読み出され、設定された第1パラメータに従って画像処理された第1映像IM1(以下、第1パラメータに従って画像処理された第1映像IM1を「第1特殊画像」という。)がモニタ300に出力される。一方、第1制御ボタン120が「OFF」のときは、後述する内視鏡画像観察処理において読み出されることなく、画像処理のされない第1映像IM1(以下、画像処理のされない第1映像IM1を「第1通常画像」という。)がモニタ300に出力される。
【0049】
(第2映像IM2の画像処理パラメータの設定処理)
次に、本実施形態の電子内視鏡システム1で実行される第2映像IM2の画像処理パラメータ設定処理について説明する。
図5は、本実施形態のシステムコントローラ202で実行される第2映像IM2の画像処理パラメータ設定処理のフローチャートである。本処理は、フロントパネル218の操作によって、第2映像IM2の画像処理パラメータ(以下、「第2パラメータ」という。)を設定する旨の入力があった時に実行されるサブルーチンである。
【0050】
本ルーチンが開始されると、S21が実行される。S21では、システムコントローラ202は、フロントパネル218に第2画像処理設定画面P2を表示し、ユーザによる操作を受け付ける。
図6は、本実施形態の第2画像処理設定画面P2の一例を示す図である。
図6に示すように、第2画像処理設定画面P2は、設定する画像処理の項目を選択するボタンA1〜A7と、これらのボタンによって選択された画像処理の項目の設定値を変更するボタンA21(ダウンボタン)、A22(アップボタン)と、第2パラメータの設定の終了を入力するボタンA23と、第2パラメータの有効/無効(すなわち。第2画像処理回路224の有効/無効)を切り換えるボタンA41、A42と、を備えたユーザインターフェースである。
図4の第1画像処理設定画面P1と比較すると分かるように、第2画像処理設定画面P2には、ボタンA8、A9、A31〜A33がなく、ボタンA41、A42を備える点で、第1画像処理設定画面P1と異なる。第1画像処理設定画面P1と第2画像処理設定画面P2とで共通するボタンA1〜A7、A21〜A23の各機能は、第1画像処理設定画面P1と同様であるため説明を省略し、以下、異なる構成についてのみ説明する。
【0051】
ボタンA41、A42は、第2画像処理回路制御ボタン(以下、「第2制御ボタンA40」という。)であり、第2制御ボタンA40の操作を通じて、第2画像処理回路222の画像処理機能の有効/無効を切り換えることができるようになっている。ユーザが、ボタンA42を押下すると、第2画像処理回路222の画像処理機能は有効(ON)になり、ボタンA41を押下すると第2画像処理回路222の画像処理機能は無効(OFF)となる。詳細は後述するが、ユーザが、ボタンA42を押下した後に(すなわち、第2画像処理回路222の画像処理機能を有効(ON)に設定した状態で)設定を終了すると(終了ボタンA23を押下すると)、後述する内視鏡画像観察処理において、設定された第2パラメータに従って画像処理された第2映像IM2(以下、第2パラメータに従って画像処理された第2映像IM2を「第2特殊画像」という。)がモニタ300に出力される。一方、ユーザが、ボタンA41を押下した後に(すなわち、第2画像処理回路222の画像処理機能を無効(OFF)に設定した状態で)設定を終了すると(終了ボタンA23を押下すると)、後述する内視鏡画像観察処理において、画像処理のされない第2映像IM2(以下、画像処理のされない第2映像IM2を「第2通常画像」という。)がモニタ300に出力される。
【0052】
このように、S21では、ユーザは、第2画像処理設定画面P2のボタンA1〜A7、A21、A22を操作することにより、第2パラメータを設定することができ、またボタンA41、A42を操作することにより、第2画像処理回路222の画像処理機能の有効/無効を切り換えることができる。次いで、処理はS22に進む。
【0053】
S22では、システムコントローラ202は、第2パラメータの設定が終了したか否か(すなわち、終了ボタンA23の押下を検出したか否か)を判断する。ユーザによる終了ボタンA23の押下を検出すると(S22:YES)、処理はS23に進み、ユーザによる終了ボタンA23の押下が検出されないと(S22:NO)、処理はS21に戻り、S21、S22を繰り返し実行する。
【0054】
S23では、システムコントローラ202は、ステップS21で設定された第2パラメータを不図示のメモリに記憶し、本処理を終了する。そして、メモリに記憶された第2パラメータは、後述する内視鏡画像観察処理において適宜読み出される。
【0055】
(内視鏡画像観察処理)
次に、本実施形態の電子内視鏡システム1で実行される内視鏡画像観察処理について説明する。内視鏡画像観察処理は、システムコントローラ202が信号処理回路220を制御することによって実行される内視鏡画像の表示処理であり、電子内視鏡システム1のシステム起動時に開始される。本処理においては、システムコントローラ202は、第1制御ボタン120、第2制御ボタンA40及び表示モード設定ボタン121をモニタし、これらの設定に基づいて第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224を制御し、所定の画像を第1映像IM1及び第2映像IM2として、モニタ300上に表示する。
【0056】
図7は、第1制御ボタン120、第2制御ボタンA40及び表示モード設定ボタン121の設定と、内視鏡画像観察処理によって表示される画像との関係を示した図である。上述したように、第1制御ボタン120は第1画像処理回路222の画像処理機能の有効/無効を切り換え、第2制御ボタンA40は第2画像処理回路222の画像処理機能の有効/無効を切り換え、表示モード設定ボタン121はモニタ300に表示する内視鏡画像の表示態様(表示モード)を単一画像表示モード又は複数画像表示モードに切り換える。従って、
図7に示すように、第1映像IM1及び第2映像IM2は、これらの組み合わせによって8つの表示態様で切り換えられる。
【0057】
(単一画像表示モード(表示モード設定ボタン121=「OFF」)の場合)
単一画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「OFF」、第1制御ボタン120=「OFF」のとき、システムコントローラ202は、第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224の画像処理機能を無効にし、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データがそのまま画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって第1画像処理回路222からの画像データ(第1映像IM1)のみが選択されて出力される結果、モニタ300には第1通常画像のみが表示される。
【0058】
単一画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「OFF」、第1制御ボタン120=「ON」のとき、システムコントローラ202は、メモリに記憶された第1パラメータを読み出し、第1画像処理回路222に設定すると共に、第2画像処理回路224の画像処理機能を無効にする。その結果、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222に入力されるデジタルの画像データは第1パラメータに従って画像処理され、また、内視鏡側信号処理回路112から第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データは画像処理されず、画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって第1画像処理回路222からの画像データ(第1映像IM1)のみが選択されて出力される結果、モニタ300には第1特殊画像のみが表示される。なお、上述したように、本実施形態においては、第1パラメータとして、3つの異なるパラメータセットを記憶できるように構成されているが、メモリから読み出される第1パラメータは、ユーザによって予め設定されたパラメータセットである。すなわち、ユーザは、ボタンA31〜A33に割付けたパラメータセットのいずれを使用するかを、予め設定することができるようになっている。
【0059】
単一画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「ON」、第1制御ボタン120=「OFF」のとき、システムコントローラ202は、メモリに記憶された第2パラメータを読み出し、第2画像処理回路224に設定すると共に、第1画像処理回路222の画像処理機能を無効にする。その結果、内視鏡側信号処理回路112から第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データは第2パラメータに従って画像処理され、また、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222に入力されるデジタルの画像データは画像処理されず、画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって第1画像処理回路222からの画像データ(第1映像IM1)のみが選択されて出力される結果、モニタ300には第1通常画像のみが表示される。
【0060】
単一画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「ON」、第1制御ボタン120=「ON」のとき、システムコントローラ202は、メモリに記憶された第1パラメータを読み出し、第1画像処理回路222に設定すると共に、メモリに記憶された第2パラメータを読み出し、第2画像処理回路224に設定する。その結果、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222に入力されるデジタルの画像データは第1パラメータに従って画像処理され、また、内視鏡側信号処理回路112から第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データは第2パラメータに従って画像処理され、画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって第1画像処理回路222からの画像データ(第1映像IM1)のみが選択されて出力される結果、モニタ300には第1特殊画像のみが表示される。
【0061】
(複数画像表示モード(表示モード設定ボタン121=「ON」)の場合)
複数画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「OFF」、第1制御ボタン120=「OFF」のとき、システムコントローラ202は、第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224の画像処理機能を無効にし、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データがそのまま画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって、第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224から出力される画像データが1つの画像となるように合成されて出力される結果、モニタ300には第2通常画像と第1通常画像が表示される。
【0062】
複数画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「OFF」、第1制御ボタン120=「ON」のとき、システムコントローラ202は、メモリに記憶された第1パラメータを読み出し、第1画像処理回路222に設定すると共に、第2画像処理回路224の画像処理機能を無効にする。その結果、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222に入力されるデジタルの画像データは第1パラメータに従って画像処理され、また、内視鏡側信号処理回路112から第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データは画像処理されず、画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって、第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224から出力される画像データが1つの画像となるように合成されて出力される結果、モニタ300には第2通常画像と第1特殊画像が表示される。
【0063】
複数画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「ON」、第1制御ボタン120=「OFF」のとき、システムコントローラ202は、メモリに記憶された第2パラメータを読み出し、第2画像処理回路224に設定すると共に、第1画像処理回路222の画像処理機能を無効にする。その結果、内視鏡側信号処理回路112から第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データは第2パラメータに従って画像処理され、また、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222に入力されるデジタルの画像データは画像処理されず、画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって、第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224から出力される画像データが1つの画像となるように合成されて出力される結果、モニタ300には第2特殊画像と第1通常画像が表示される。
【0064】
複数画像表示モードで、第2制御ボタンA40=「ON」、第1制御ボタン120=「ON」のとき、システムコントローラ202は、メモリに記憶された第1パラメータを読み出し、第1画像処理回路222に設定すると共に、メモリに記憶された第2パラメータを読み出し、第2画像処理回路224に設定する。その結果、内視鏡側信号処理回路112から第1画像処理回路222に入力されるデジタルの画像データは第1パラメータに従って画像処理され、また、内視鏡側信号処理回路112から第2画像処理回路224に入力されるデジタルの画像データは第2パラメータに従って画像処理され、画像合成回路226に出力される。そして、画像合成回路226によって、第1画像処理回路222及び第2画像処理回路224から出力される画像データが1つの画像となるように合成されて出力される結果、モニタ300には第2特殊画像と第1特殊画像が表示される。
【0065】
このように、本実施形態の内視鏡画像観察処理によれば、第1制御ボタン120、第2制御ボタンA40及び表示モード設定ボタン121のボタン操作に応じて、色々な組み合わせ(すなわち、通常画像、第1特殊画像及び第2特殊画像の組み合わせ)の内視鏡画像をモニタ300上に表示することができる。そして、上述したように、第1特殊画像及び第2特殊画像の画像処理パラメータは、それぞれ独立して設定することができるようになっているため、異なる画像処理が施された複数の画像を同時にモニタ300に表示することも可能となっている。
【0066】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば、本実施形態の第2制御ボタンA40は、第2画像処理設定画面P2内に表示されるボタンとして説明したが、第1制御ボタン120及び表示モード設定ボタン121と同様、電子内視鏡100の操作部に設ける構成としてもよい。このような構成とすれば、手技中であっても第2制御ボタンの操作を容易に行うことが可能となる。なお、本実施形態のように、第2制御ボタンA40を第2画像処理設定画面P2内に表示されるボタンとして構成すると、電子内視鏡100による実際の観察に先だって第2制御ボタンA40を操作(設定)することになるため、手技中は、実質的に第1の操作手段及び表示モード選択手段の2つの操作によって、モニタ上に表示される内視鏡画像を切り換えることができる点で有効である。
【0067】
また、本実施形態においては、第1制御ボタン120及び表示モード設定ボタン121は、電子内視鏡100の操作部のボタンであるとして説明したが、例えば、これらの機能を入力インターフェース400(例えば、キーボード、フットスイッチ等)に割り当てることも可能である。
【0068】
また、本実施形態においては、第1映像IM1及び第2映像IM2の2つの内視鏡画像がモニタ300に表示される構成として説明したが、この構成に限定されるものではなく、さらに多くの内視鏡画像がモニタ300上に表示されるように構成してもよい。この場合、内視鏡画像の数に応じた画像処理回路を設ければよい。また、第1映像IM1及び第2映像IM2は、それぞれ別々のモニタに表示されてもよい。この場合、画像合成回路226は不要となる。
【0069】
また、本実施形態においては、複数画像表示モードのときに、第1映像IM1及び第2映像IM2が、モニタ300上に左右に並べられて表示されるとしたが、一方の画像を子画面とし、他方の画像に含まれる構成としてもよい。
【0070】
また、画像合成回路226のOSD回路を利用し、モニタ300上の第1映像IM1及び第2映像IM2に画像の種類を示す文字情報を追加してもよい。
図8は、モニタ300上の第1映像IM1及び第2映像IM2の下側に文字情報を追加した状態を示す模式図である。このような構成とすれば、第1映像IM1及び第2映像IM2として表示されている画像の種類が一目瞭然となり、ユーザ(術者)の誤認、誤操作を防止することができる。