(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967973
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】逆止め弁
(51)【国際特許分類】
F16K 27/02 20060101AFI20160728BHJP
F16K 1/20 20060101ALI20160728BHJP
F01D 17/10 20060101ALI20160728BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
F16K27/02
F16K1/20 B
F01D17/10 B
F01D25/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-40160(P2012-40160)
(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公開番号】特開2013-174330(P2013-174330A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年8月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】二橋 謙介
(72)【発明者】
【氏名】高田 智成
(72)【発明者】
【氏名】松村 卓美
(72)【発明者】
【氏名】大西 智之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】西村 利也
(72)【発明者】
【氏名】大河原 章一
(72)【発明者】
【氏名】森 敦紀
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】畑 斉樹
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−139640(JP,A)
【文献】
特開平11−108208(JP,A)
【文献】
実開昭61−142962(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
F01D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路間を連通する連通路を内部に有する弁ケースと、
前記弁ケースの内外を貫通する貫通孔内に設けられる円柱形状の軸受箱本体部を有し、該軸受箱本体部に軸受を格納する軸受箱と、
前記貫通孔に沿う軸線回りに前記軸受箱によって回動可能に支持されるとともに前記弁ケース内外に亘って延在する弁軸と、
前記弁ケース内に設けられ、前記弁軸の回動に追従して揺動して前記連通路を開閉する弁体と、
前記弁ケースの外側において、前記弁軸を回動させる駆動部と、を備え、
前記軸受箱本体部の外周面と前記貫通孔の内周面との間に隙間が形成され、
前記軸受箱は、前記軸受箱本体部の径方向外側に突出し、前記弁ケースの外面に固定されるフランジ部を有し、
前記貫通孔の内周面には、前記貫通孔の径方向内側に突出するとともに周方向に延在する突条が設けられており、
該突条の内周面の内径は前記軸受箱本体部の外径と略同一とされていることを特徴とする逆止め弁。
【請求項2】
流路間を連通する連通路を内部に有する弁ケースと、
前記弁ケースの内外を貫通する貫通孔内に設けられる円柱形状の軸受箱本体部を有し、該軸受箱本体部に軸受を格納する軸受箱と、
前記貫通孔に沿う軸線回りに前記軸受箱によって回動可能に支持されるとともに前記弁ケース内外に亘って延在する弁軸と、
前記弁ケース内に設けられ、前記弁軸の回動に追従して揺動して前記連通路を開閉する弁体と、
前記弁ケースの外側において、前記弁軸を回動させる駆動部と、を備え、
前記軸受箱本体部の外周面と前記貫通孔の内周面との間に隙間が形成され、
前記軸受箱は、前記軸受箱本体部の径方向外側に突出し、前記弁ケースの外面に固定されるフランジ部を有し、
前記軸受箱本体部と前記フランジ部とは一体に形成されており、前記軸受箱本体部と前記フランジ部との接続部近傍において、前記フランジ部の厚さが薄く形成されていることを特徴とする逆止め弁。
【請求項3】
前記軸受箱本体部と前記フランジ部とは一体に形成されており、前記軸受箱本体部と前記フランジ部との接続部近傍において、前記フランジ部の厚さが薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆止め弁。
【請求項4】
前記軸受箱本体部は前記軸受箱本体部の外周面に周方向に沿って延在する断面半円形状の球面突条を有し、前記フランジ部は前記球面突条に嵌合する嵌合孔を有する円板形状とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の逆止め弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止め弁に関し、特に、蒸気タービンへの蒸気流入量を制御するための蒸気止め弁として使用される逆止め弁に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンへの蒸気流入量をオン/オフ制御する蒸気止め弁として、回転する軸に取り付けられた円盤状の弁体が連通路の弁座に接することにより閉状態となるスイング式の逆止め弁が知られている。この方式の逆止め弁は、開状態においては、他のバルブ構造と比較して蒸気流れが滑らかであるため、弁での圧力損失が小さく効率が良い。
【0003】
従来のスイング式の逆止め弁としては、特許文献1に記載されているものが知られている。この逆止め弁101は、
図8に示すように、蒸気流路間と連通する連通路7を有する弁ケース102と、弁ケース102に回動自在に装着される弁軸3と、弁軸3にアーム4を介して一体に取り付けられるとともに、弁軸3の回動に追従して揺動することによって弁ケース102の連通路7を開閉する円盤状の弁体5と、弁軸3を介して弁体5を開閉駆動させる駆動機構6とを備えている。
【0004】
弁軸3は、軸受114を介して軸受箱115,116に支承されている。そして、軸受箱115,116が弁ケース102にボルト固定されていることによって、弁軸3が弁ケース102に対して回動自在とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−42303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の逆止め弁101においては、弁ケース102がクリープや、過渡的な熱応力によって変形を起こした際に、弁ケース102に収められた軸受箱115,116や、軸受114、更には弁軸3も変形し、弁体5の開閉動作時にかじり付きや焼き付きを起こしてしまう問題があった。
また、この問題を解決するために、弁軸を冷却して変形を抑制する方法もあるが、別途冷却装置が必要となるなど構造が複雑となるため、コスト高に繋がる。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、クリープや過渡的な熱応力によって弁ケースが変形した場合においても、軸受や軸への変形の影響を少なくし、弁の信頼性を向上させることができる逆止め弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係る逆止め弁は、流路間を連通する連通路を内部に有する弁ケースと、前記弁ケースの内外を貫通する貫通孔内に設けられる円柱形状の軸受箱本体部を有し、該軸受箱本体部に軸受を格納する軸受箱と、前記貫通孔に沿う軸線回りに前記軸受箱によって回動可能に支持されるとともに前記弁ケース内外に亘って延在する弁軸と、前記弁ケース内に設けられ、前記弁軸の回動に追従して揺動して前記連通路を開閉する弁体と、前記弁ケースの外側において、前記弁軸を回動させる駆動部と、を備え、前記軸受箱本体部の外周面と前記貫通孔の内周面との間に隙間が形成され
、前記軸受箱は、前記軸受箱本体部の径方向外側に突出し、前記弁ケースの外面に固定されるフランジ部を有し、前記貫通孔の内周面には、前記貫通孔の径方向内側に突出するとともに周方向に延在する突条が設けられており、該突条の内周面の内径は前記軸受箱本体部の外径と略同一とされていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、弁ケースと軸受箱との間に隙間が形成されていることによって、弁ケースが変形した場合においても、弁軸への変形の影響を抑制し、逆止め弁の信頼性を向上させることができる。
さらに、上記構成によれば、軸受箱の弁ケースへの固定をフランジ部が受け持つことによって、軸受箱本体部と弁ケースとの間に隙間を設けながら、軸受箱を弁ケースに確実に固定することができる。
加えて、上記構成によれば、貫通孔の内周面に突条を設け、突条の内周面に軸受箱の軸受箱本体部の外周面とを当接させることで、軸受箱の径方向の位置合わせが容易となる。
【0010】
本発明に係る逆止め弁は、流路間を連通する連通路を内部に有する弁ケースと、前記弁ケースの内外を貫通する貫通孔内に設けられる円柱形状の軸受箱本体部を有し、該軸受箱本体部に軸受を格納する軸受箱と、前記貫通孔に沿う軸線回りに前記軸受箱によって回動可能に支持されるとともに前記弁ケース内外に亘って延在する弁軸と、前記弁ケース内に設けられ、前記弁軸の回動に追従して揺動して前記連通路を開閉する弁体と、前記弁ケースの外側において、前記弁軸を回動させる駆動部と、を備え、前記軸受箱本体部の外周面と前記貫通孔の内周面との間に隙間が形成され、前記軸受箱は、前記軸受箱本体部の径方向外側に突出し、前記弁ケースの外面に固定されるフランジ部を有し、前記軸受箱本体部と前記フランジ部とは一体に形成されており、前記軸受箱本体部と前記フランジ部との接続部近傍において、前記フランジ部の厚さが薄く形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、弁ケースと軸受箱との間に隙間が形成されていることによって、弁ケースが変形した場合においても、弁軸への変形の影響を抑制し、逆止め弁の信頼性を向上させることができる。
さらに、上記構成によれば、軸受箱の弁ケースへの固定をフランジ部が受け持つことによって、軸受箱本体部と弁ケースとの間に隙間を設けながら、軸受箱を弁ケースに確実に固定することができる。
加えて、上記構成によれば、弁ケースが変形することによりフランジ部が傾いた場合においても、フランジ部と軸受箱本体部との接続部の剛性が下げられていることによって、フランジ部の傾きが軸受箱本体部に伝達されず、弁軸と軸受の片当たりが発生しにくくなる。
【0012】
また、上記逆止め弁において、前記軸受箱本体部と前記フランジ部とは一体に形成されており、前記軸受箱本体部と前記フランジ部との接続部近傍において、前記フランジ部の厚さが薄く形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、弁ケースが変形することによりフランジ部が傾いた場合においても、フランジ部と軸受箱本体部との接続部の剛性が下げられていることによって、フランジ部の傾きが軸受箱本体部に伝達されず、弁軸と軸受の片当たりが発生しにくくなる。
【0013】
前記軸受箱本体部は前記軸受箱本体部の外周面に周方向に沿って延在する断面半円形状の球面突条を有し、前記フランジ部は前記球面突条に嵌合する嵌合孔を有する円板形状としても良い。
上記構成によれば、弁ケースが変形することによりフランジ部が傾いた場合においても、フランジ部と軸受箱本体部とが球面座によって接続されていることによって、フランジ部の傾きが軸受箱本体部に伝達されず、弁軸と軸受との片当たりが発生しにくくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弁ケースと軸受箱との間に隙間が形成されていることによって、弁ケースが変形した場合においても、弁軸への変形の影響を抑制し、逆止め弁の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の各実施形態に係る逆止め弁が適用される蒸気タービンを備えた発電プラントの概略系統図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る逆止め弁の概略構成図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る逆止め弁の特徴を示す部分拡大図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る逆止め弁を構成する軸受を示す部分拡大図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る逆止め弁の特徴を示す部分拡大図である。
【
図7】本発明の第三実施形態に係る逆止め弁の特徴を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、本実施形態の逆止め弁1が適用される発電システム80について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る逆止め弁1を備えた蒸気タービンを含む発電システム80の概略系統図である。
【0017】
発電システム80は、高圧蒸気タービン82、中圧蒸気タービン83、及び低圧蒸気タービン84からなる蒸気タービン81と、高圧蒸気を高圧蒸気タービン82に供給するボイラ85と、高圧蒸気タービン82から排出された蒸気を再加熱して、中圧蒸気タービン83に供給する再熱器86と、蒸気タービン81の回転駆動力により駆動される発電機87とから構成されている。
【0018】
また、ボイラ85と高圧蒸気タービン82とを接続する配管には、蒸気止め弁88と蒸気制御弁89とが設けられており、高圧蒸気タービンへの蒸気の供給を蒸気止め弁88の全閉により阻止、又は蒸気の供給流量を蒸気制御弁89によって制御するようになっている。同様の蒸気止め弁90と蒸気制御弁91が、再熱器86と中圧蒸気タービン83とを接続する配管にも設けられている。
本発明の各実施形態に係る逆止め弁1,1B,1Cは、例えば上述したような蒸気タービン81の蒸気止め弁88,90に用いられる弁である。
【0019】
図2及び
図3に示すように、逆止め弁1は、蒸気流路間と連通する連通路7を有する弁ケース2と、弁ケース2に回動自在に装着される弁軸3と、弁軸3にアーム4を介して一体に取り付けられるとともに、弁軸3の回動に追従して揺動することによって弁ケース2の連通路7を開閉する円盤状の弁体5と、弁軸3を介して弁体5を開閉駆動させる駆動機構6とを備えている。
【0020】
弁ケース2は、略同一軸上に流入口8及び流出口9が位置しいている連通路7を有し、この連通路7の流出口9側に弁座10が設けられ、この弁座10に弁体5が当接、離間することで連通路7が開放、閉塞されるものである。連通路7の上部には連通路7と連通する弁室11が設けられ、この弁室11と連通路7との間を弁体5が揺動するようになっている。
【0021】
弁ケース2の弁室11から視て両側方には、連通路7の軸方向と直交する方向に貫通する弁軸孔12が設けられている。弁軸孔12は、弁軸3を挿通させるための孔である。弁軸3と弁軸孔12との間には、第一軸受箱15及び第二軸受箱16が介在している。
弁ケース2は、例えば鋳造によって製造され、例えばアルミニウムによって形成されている。
【0022】
弁軸3は、丸棒状をなすものであって、弁室11を貫通して一端が弁ケース2の外部に突出し、その突出している部分に駆動機構6が取り付けられるようになっている。弁体5は、円盤状をなすものであって、アーム4を介して弁軸3に一体に取り付けられ、弁軸3の回動に追従してアーム4を介して弁室11と連通路7との間を揺動するようになっている。弁体5とアーム4とは、キー19を介して一体に連結されるようになっている。
【0023】
駆動機構6は、弁ケース2に連設されるハウジング20に設けられるものであって、ハウジング20の下部に設けられる油圧シリンダ21と、油圧シリンダ21のロッド22と弁軸3とを連結するとともに、ロッド22の直線運動を回転運動に変換するリンク機構23とを備えている。
ハウジング20は、第二軸受箱16と一体に形成されており、第二軸受箱16を弁ケース2に固定することによって、ハウジング20も弁ケース2に固定される。
【0024】
リンク機構23は、弁軸3に一体に連結されているレバー24と、レバー24とロッド22との間に設けられているリンク25と、レバー24とリンク25とを相対的に回動自在に連結するピン26と、リンク25とロッド22とを相対的に回動自在に連結するピン27とを備えている。
【0025】
図4に示すように、弁軸3と第一軸受箱15、及び弁軸3と第二軸受箱16との間には軸受14が介在しており、弁軸3は軸受14によって回転自在とされている。第一軸受箱15、及び第二軸受箱16は、一部(後述する軸受箱本体部29)が弁軸孔12に挿入された上で、弁ケース2にボルト固定されている。
軸受14は、すべり軸受(ブシュ、ドライベアリング)であり、例えば銅合金によって形成されている。また、軸受14の材料としては、POMなどの樹脂材料を採用することもできる。
【0026】
第一軸受箱15は、弁ケース2の弁軸孔12に挿入される円筒形状の軸受箱本体部29と、軸受箱本体部29の一端に形成されたフランジ部30とから構成されている。即ち、第一軸受箱15を弁ケース2に固定する際は、弁軸孔12に第一軸受箱15の軸受箱本体部29を挿入し、ボルト31によってフランジ部30を弁ケース2の側面2aに固定する。
【0027】
本実施形態の弁ケース2の弁軸孔12の内径は、第一軸受箱15の軸受箱本体部29の外径よりも所定寸法だけ大きく形成されている。例えば、弁軸孔12の内径が20mmであるとすると、軸受箱本体部29の外径は21mmとされている。即ち、第一軸受箱15を弁ケース2に装着した際、円柱形状の軸受箱本体部29と弁軸孔12との間には、軸受箱本体部29の周方向に沿って例えば約0.5mmの略同一幅の隙間Gが形成される。
【0028】
また、弁軸孔12の弁ケース2の側面2a側の端部であって、弁軸孔12の内周面には、内周面の周方向に連続する突条32が設けられている。突条32は、弁軸孔12の中心方向に突出しており、かつ、周方向に連続して形成されている。突条32の内径は、第一軸受箱15の軸受箱本体部29の外径と略同一に形成されている。具体的には、軸受箱本体部29と弁軸孔12の突条32とのはめあい関係は、しまりばめとすることが好ましい。
【0029】
また、
図5に示すように、軸受14の内周面であって、軸受14の軸方向両端部には、所謂クラウニングが形成されている。具体的には、軸受14の両端部には、通常の面取りとは別に、例えば曲率半径が100mm以上の面取りが形成されている。
【0030】
なお、以上の説明においては、第一軸受箱15及び第一軸受箱15が取り付けられる弁軸孔12についてその形状を説明したが、
図3に示すように、第二軸受箱16及び第二軸受箱16が取り付けられる第二弁軸孔34についても同様の特徴を有している。即ち、第二軸受箱16の外周面と弁軸孔12との間には、隙間Gが設けられており、第二弁軸孔34には、その内周面の内径が第二軸受箱16の第二軸受箱本体部35の外径と略同一とされた突条が設けられている。また、第二軸受箱16は、第二フランジ部36において弁ケース2に固定されている。
【0031】
次に、本実施形態の逆止め弁1の作用について説明する。まず、逆止め弁1を開いて流体の流通を許容する場合には、駆動機構6の油圧シリンダ21を作動させてロッド22を下方に突出させ、ロッド22の直線運動をリンク機構23を介して回動運動に変換し、弁軸3を一方に回動させて弁軸3の回動に追従させて弁体5を揺動させて弁体を弁座10から離間させ、連通路7を開放して連通路7を介して流路間を連通する。
【0032】
次に、逆止め弁1を閉じて流体の流通を阻止する場合には、駆動機構6の油圧シリンダ21の作動を停止させてロッド22を上方(没入する方向)に押し上げ、ロッド22の直線運動をリンク機構23を介して回動運動に変換し、弁軸3を他方に回動させて弁軸3の回動に追従させて弁体5を揺動させて弁体5を弁座10に当接させ、連通路7を閉じて流路間を遮断する。
【0033】
上記実施形態によれば、第一軸受箱15及び第二軸受箱16を弁ケース2の側面2a,2bで固定するとともに、弁ケース2と第一軸受箱15及び弁ケース2と第二軸受箱16との間に隙間Gを設けることによって、弁ケース2が変形した場合においても、軸受14や弁軸3への変形の影響を抑制し、逆止め弁1の信頼性を向上させることができる。
【0034】
また、弁軸孔12の内周面に突条32を設け、この突条32の内周面に第一軸受箱15及び第二軸受箱16の軸受箱本体部29の外周面とで位置合わせをする構成としたことによって、所謂インロー嵌合により軸受箱15,16の位置合わせを容易とすることができる。
また、軸受14の内周面に曲率半径100mm以上の面取りを形成したことによって、軸受14の端部に生じる面圧を下げることができる。
【0035】
(第二実施形態)
図6は、第二実施形態に係る逆止め弁1Bの第一軸受箱15Bを示す部分拡大図である。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の第一軸受箱15Bは、円柱形状の軸受箱本体部40と、軸受箱本体部40の軸方向略中央に設けられたフランジ部41とから構成されている。第一実施形態と同様に、軸受箱本体部40の外周面と弁軸孔12の内周面との間には所定の隙間Gが形成されている。
【0036】
フランジ部41の板厚は、軸受箱本体部40との接続部近傍で薄くされている。具体的には、フランジ部41の基端部(軸受箱本体部40に最も近い部位)に周方向に沿う断面半円形の溝条42が形成されている。即ち、第一軸受箱15Bを構成する軸受箱本体部40とフランジ部41との剛性が下げられており、フランジ部41が軸受箱本体部40に対して僅かに傾くことを許容している。
なお、以上の説明においては、第一軸受箱15Bについてその形状を説明したが、第二軸受箱も同様の特徴を有している。
【0037】
上記実施形態によれば、弁ケース2が変形し、ボルト31によって弁ケース2に固定されている軸受箱15Bのフランジ部41が傾いた場合においても、フランジ部41と軸受箱本体部40との接合部の剛性が下げられていることによって、フランジ部41の傾きが軸受箱本体部40に伝達されず、弁軸3と軸受14との片当たりが発生しにくくなる。
【0038】
(第三実施形態)
図7は、第三実施形態に係る逆止め弁1Cの第一軸受箱15Cを示す部分拡大図である。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態の第一軸受箱15Cは、円柱形状の軸受箱本体部44と、軸受箱本体部44の軸方向略中央に設けられた球面突条45に嵌合されたフランジ部46とから構成されている。第一実施形態、及び第二実施形態と同様に、軸受箱本体部44の外周面と弁軸孔12の内周面との間には所定の隙間Gが形成されている。
【0039】
球面突条45は、軸受箱本体部44の外周面であって軸方向中央に周方向に沿って形成されている断面半円形状の連続突起である。フランジ部46は円板形状をなし、その中央部に形成された嵌合孔47が球面突条45と嵌合するようになっている。即ち、フランジ部46の嵌合孔47の径は、軸受箱本体部44の外径と略同一に形成されており、嵌合孔47の内周面の断面形状が球面突条45の曲率半径と同一凹円弧形状とされている。即ち、軸受箱本体部44の球面突条45とフランジ部46の嵌合孔47とは球面座を構成している。
なお、以上の説明においては、第一軸受箱15Cについてその形状を説明したが、第二軸受箱も同様の特徴を有している。
【0040】
上記実施形態によれば、弁ケース2が変形し、ボルト31によって弁ケース2に固定されている軸受箱15Cのフランジ部46が傾いた場合においても、フランジ部46と軸受箱本体部44とが球面座によって接続されていることによって、フランジ部46の傾きが軸受箱本体部44に伝達されず、弁軸3と軸受14との片当たりが発生しにくくなる。
【0041】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、以上で説明した各実施形態では、弁ケース2の弁軸孔12に突条32を設けることによって、所謂インロー嵌合により弁ケース2と軸受箱15,16との位置合わせを容易としたが、ボルト31による固定で位置合わせが十分である場合などは、突条32を省略することができる。
【0042】
また、弁軸3の一方側と他方側とで、軸受箱の構成を異にすることもできる。例えば弁軸3の一方側に配置される軸受箱として第一実施形態の第一軸受箱15を採用し、弁軸3の他方側に配置される軸受箱として、第二実施形態の第二軸受箱16Bを採用する構成としてもよい。あるいは、弁軸3の一方側のみ、従来の軸受箱を用いる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 逆止め弁
2 弁ケース
3 弁軸
4 アーム
5 弁体
6 駆動機構(駆動部)
7 連通路
11 弁室
12 弁軸孔(貫通孔)
14 軸受
15 第一軸受箱(軸受箱)
16 第二軸受箱(軸受箱)
20 ハウジング
21 油圧シリンダ
22 ロッド
23 リンク機構
29 軸受箱本体部
30 フランジ部
32 突条