(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カルボキシル基含有樹脂(ただし、(i)2価のエポキシ化合物と2価のカルボン酸および不飽和モノカルボン酸とのエステル化反応生成物および(ii)前記エステル化反応生成物の水酸基と多塩基酸無水物との反応生成物のうち少なくともいずれか1つから選ばれる1種または2種以上の反応生成物である、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する感光性プレポリマーを除く。また、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートと2塩基酸の反応生成物、および、ビスフェノールF型エポキシアクリレートと2塩基酸の反応生成物を除く。)と、光重合開始剤と、3種以上の光反応性化合物、熱硬化性成分とを含む光硬化性樹脂組成物であって、
前記3種以上の光反応性化合物が、(メタ)アクリロイル基の官能基数が2以上3未満の光反応性化合物、3以上5未満の光反応性化合物、および、5以上10未満の光反応性化合物を含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂と、光重合開始剤と、3種以上の光反応性化合物とを含む光硬化性樹脂組成物であって、前記3種以上の光反応性化合物が、(メタ)アクリロイル基の官能基数が2以上10未満の範囲で互いに異なる3種以上の光反応性化合物を含むことを特徴とするものである。そのような光反応性化合物を配合することにより、光硬化性樹脂組成物の硬化収縮が抑えられ、また、低CTEの硬化物を得ることができる。また、3種以上の光反応性化合物として、前記官能基数が2以上3未満の光反応性化合物、3以上5未満の光反応性化合物、および、5以上10未満の光反応性化合物を少なくとも含むことが好ましい。更に、より低CTEの硬化物が得られるため、カルボキシル基含有樹脂がフェノール化合物を出発原料として得られるカルボキシル基含有樹脂を含むことが好ましい。
【0016】
[カルボキシル基含有樹脂]
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。また、カルボキシル基含有樹脂が、後述する(9)、(10)のごときフェノール化合物を出発原料として得られるカルボキシル基含有樹脂を含む場合、より低いCTEの硬化物を得ることができるため好ましい。これは、連鎖移動反応が抑えられるためだと考えられる。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0017】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0018】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0019】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0020】
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0021】
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0022】
(6)後述するような2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0023】
(7)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0024】
(8)後述するような2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0025】
(9)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0026】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0027】
(11)前記(1)〜(10)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0028】
前記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、前記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
【0029】
また、前記カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがある。
【0030】
このようなカルボキシル基含有樹脂の配合量は、固形分換算で、光硬化性樹脂組成物中に、20〜60質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲が適当である。カルボキシル基含有樹脂の配合量が前記範囲より少ない場合、被膜強度が低下したりするので好ましくない。一方、前記範囲より多い場合、光硬化性樹脂組成物の粘性が高くなったり、キャリアフィルムへの塗布性等が低下するので好ましくない。
【0031】
これらカルボキシル基含有樹脂は、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。特に前記カルボキシル基含有樹脂の中で芳香環を有している樹脂が屈折率が高く、解像性に優れるので好ましく、さらにノボラック構造を有しているものが解像性だけでなく、PCTやクラック耐性に優れているので好ましい。中でも、前記カルボキシル基含有樹脂(9)、(10)のごときフェノール化合物を出発原料として合成されるカルボキシル基含有樹脂はHAST耐性、PCT耐性に優れ、また、本発明においては低CTE化にも優れ、その結果クラック耐性にも優れるため好適に用いることが出来る。具体的には、フェノールノボラック樹脂をアルキルオキシド変性したフェノール樹脂を、部分的にアクリル化し、酸無水物を導入することにより、二重結合当量300〜550、酸価40〜120mgKOH/gの範囲で理論上水酸基を有さない樹脂が容易に入手できる。
【0032】
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、特に限定されないが、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を好適に使用することができる。
【0033】
前記オキシムエステル系開始剤は、配合量も少なくて済み、アウトガスが抑えられるため、PCT耐性やクラック耐性に効果があり好ましい。前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤と前記チタノセン系光重合開始剤は、長波長(400nm以上)まで光吸収波長を有し、深部硬化性が増加するため好ましい。
【0034】
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02、ADEKA社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、結合か、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルを表し、nは0か1の整数である。)
【0035】
特に、前記一般式中、X、Yが、それぞれメチル基またはエチル基であり、Zはメチルまたはフェニルであり、nは0であり、Arは、結合か、フェニレン、ナフチレン、チオフェンまたはチエニレンであることが好ましい。
【0036】
また、好ましいカルバゾールオキシムエステル化合物として、下記一般式で表すことができる化合物を挙げることもできる。
(式中、R
1は、炭素原子数1〜4のアルキル基、または、ニトロ基、ハロゲン原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
R
2は、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、または、炭素原子数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
R
3は、酸素原子または硫黄原子で連結されていてもよく、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基を表す。
R
4は、ニトロ基、または、X−C(=O)−で表されるアシル基を表す。Xは、炭素原子数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいアリール基、チエニル基、モルホリノ基、チオフェニル基、または、下記式で示される構造を表す。)
【0037】
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
【0038】
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
【0039】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のルシリンTPO、イルガキュアー819などが挙げられる。
【0040】
チタノセン系光重合開始剤としては、具体的にはビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2、3、4、5、6ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2、6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどが挙げられる。市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー784などが挙げられる。
【0041】
また、光重合開始剤としてはBASFジャパン社製のイルガキュア389も好適に用いることが出来る。
【0042】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤の他に、光開始助剤、増感剤を用いることができる。好適に用いることができる光開始助剤および増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。
【0043】
また、光重合開始剤の配合量(含有する場合にはさらに光開始助剤および増感剤との合計量)は、通常の量的割合で適宜調整すればよいが、固形分換算で、一般にはカルボキシル基含有樹脂100質量部(カルボキシル基含有樹脂を2種以上使用する場合には合計量、以下同様)に対して、好ましくは0.01〜30質量部、より好ましくは0.1〜15質量部の範囲が適当である。光重合開始剤の配合量が0.01質量部未満であると、光硬化性が不足し、塗膜が剥離したり、耐薬品性等の塗膜特性が低下するので好ましくない。一方、30質量部を超えると、アウトガスが発生し、メッキの汚染等があるために好ましくない。
【0044】
ベンゾイン化合物としては、具体的には、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0045】
アセトフェノン化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
【0046】
アントラキノン化合物としては、具体的には、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどが挙げられる。
【0047】
チオキサントン化合物としては、具体的には、例えば2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
【0048】
ケタール化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0049】
ベンゾフェノン化合物としては、具体的には、例えばベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0050】
3級アミン化合物としては、具体的には、例えばエタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、市販品では、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)などのジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などが挙げられる。
【0051】
これらのうち、チオキサントン化合物および3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることが、深部硬化性の面から好ましい。中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン化合物を含むことが好ましい。
【0052】
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量部を超えると、厚膜硬化性が低下するとともに、製品のコストアップに繋がる。より好ましくは10質量部以下である。
【0053】
また、3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜450nmの範囲内にあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物およびケトクマリン類が特に好ましい。
【0054】
ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。ジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が350〜410nmと紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な光硬化性樹脂組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが、波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
【0055】
このような3級アミン化合物の配合量としては、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.1質量部未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。一方、20質量部を超えると、3級アミン化合物による乾燥ソルダーレジスト塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0056】
これらの光重合開始剤、光開始助剤および増感剤は、単独でまたは2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤の総量は、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、35質量部以下であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
【0057】
[光反応性化合物]
光反応性化合物は、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。光反応性化合物は、活性エネルギー線照射によるカルボキシル基含有樹脂の光硬化を助けるものである。本発明においては、(メタ)アクリロイル基の官能基数が2以上10未満の範囲で互いに異なる3種以上の光反応性化合物を含むことにより、光硬化性樹脂組成物の硬化収縮が抑えられ、また、低CTEの硬化物を得ることができる。そのような3種以上の光反応性化合物を含有する本発明の光硬化性樹脂組成物は、光反応性化合物を単独で含有する場合と比べて諸物性に優れている。例えば、2官能の光反応性化合物のみを含む場合と比べて耐熱性が良好であり、また、6官能等の大きい官能基数の光反応性化合物のみを含む場合と比べて反り性等の寸法安定性が良好である。また、3種以上の光反応性化合物として、前記官能基数が2以上3未満の光反応性化合物、3以上5未満の光反応性化合物、および、5以上10未満の光反応性化合物を少なくとも含むことが好ましい。これは、官能基数が少ない光反応性化合物と多い光反応性化合物に、中程度の光反応性化合物を配合することによって、バランスが改善され、歪が少なくなったことによるものと考えられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を総称する用語として用いられる。
【0058】
(メタ)アクリロイル基が2以上10未満の光反応性化合物としては、当該範囲の官能基数を有する慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、トリエチレングリコールジアクリレート、PEGジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、フェニルグリシジルエーテル、アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2官能ポリエステルアクリレート(A−(M−N)n−M−A(A:アクリル酸、M:2価アルコール、N:2塩基酸))などの2官能アクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、3官能ポリエステルアクリレートなどの3官能アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの4官能アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの5官能アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの6官能アクリレート;トリペンタエリスリトールヘプタアクリレートなどの7官能アクリレート;トリペンタエリスリトールオクタアクリレートなどの8官能アクリレート;テトラペンタエリスリトールノナアクリレートなどの9官能アクリレート;およびこれらに対応するメタクリレートが挙げられる。光反応性化合物の中でも、多価アルコールまたはそのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などのアクリレートが好ましい。これら(メタ)アクリロイル基が2以上10未満の光反応性化合物は、前記列挙したものに限らず使用することができ、また、同じ官能基数の光反応性化合物を複数用いてもよい。
【0059】
(メタ)アクリロイル基の官能基数が2以上10未満ではない光反応性化合物を併用してもよい。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどの単官能アクリレートや、テトラペンタエリスリトールデカアクリレートなどの10官能以上のアクリレートおよびこれらに対応するメタクリレートを併用してもよい。
【0060】
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物、核体数2〜9のクレゾールノボラックにプロピレンオキシドやエチレンオキシドを付加させアクリル酸を反応させたアクリレート変性樹脂などを光反応性化合物として用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる
【0061】
前記(メタ)アクリロイル基の官能基数が2以上10未満の範囲で互いに異なる3種以上の光反応性化合物の合計の配合量は、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜70質量部の割合である。前記配合量が、1質量部未満だと、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となる場合がある。一方、100質量部を超えると、希アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して塗膜が脆くなる場合がある。
【0062】
3種以上の光反応性化合物として、前記官能基数が2以上3未満の光反応性化合物、3以上5未満の光反応性化合物、および、5以上10未満の光反応性化合物を配合する場合は、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、2以上3未満の光反応性化合物の配合量は、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部の割合であり、3以上5未満の光反応性化合物の配合量は、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部の割合であり、5以上10未満の光反応性化合物の配合量は、好ましくは0.8〜60質量部、より好ましくは3〜40質量部の割合である。
【0063】
(フィラー)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知の無機または有機フィラーが使用でき、例えば、硫酸バリウム、ハイドロタルサイト、シリカまたはタルクを用いることができる。さらに、白色の外観や難燃性を得るために酸化チタンや金属酸化物、水酸化アルミなどの金属水酸化物を体質顔料フィラーとしても使用することができる。
【0064】
(熱硬化性成分)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、耐熱性、絶縁信頼性等の特性を向上させる目的で更に熱硬化性成分を含んでいてもよい。熱硬化性成分としては、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、シクロカーボネート化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、エポキシ樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。
【0065】
前記アミノ樹脂としては、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体などのアミノ樹脂が挙げられる。例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物などがある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物およびアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。
【0066】
前記アミノ樹脂の市販品としては、例えばサイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(以上、三井サイアナミッド社製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−270、同Mx−280、同Mx−290、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30、同Mw−30HM、同Mw−390、同Mw−100LM、同Mw−750LM、(以上、三和ケミカル社製)等を挙げることができる。
【0067】
前記イソシアネート化合物としては、分子中に複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を用いることができる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが用いられる。芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートおよび2,4−トリレンダイマーが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体が挙げられる。
【0068】
ブロックイソシアネート化合物に含まれるブロック化イソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基である。所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
【0069】
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型等が挙げられる。ブロックイソシアネート化合物を合成する為に用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、先に例示したような化合物が挙げられる。
【0070】
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
【0071】
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(以上、住友バイエルウレタン社製、商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(以上、日本ポリウレタン工業社製、商品名)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(以上、三井武田ケミカル社製、商品名)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(以上、旭化成ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。
【0072】
前記ポリイソシアネート化合物またはブロックイソシアネート化合物の配合量は、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは、2〜70質量部である。前記配合量が、1質量部未満の場合、十分な塗膜の強靭性が得られないことがあり、好ましくない。一方、100質量部を超えた場合、保存安定性が低下することがあるので好ましくない。
【0073】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、さらにウレタン化触媒を加えることができる。ウレタン化触媒としては、錫系触媒、金属塩化物、金属アセチルアセトネート塩、金属硫酸塩、アミン化合物およびアミン塩の少なくとも何れか1種よりなる群から選択される1種以上のウレタン化触媒を使用することが好ましい。
【0074】
前記錫系触媒としては、例えばスタナスオクトエート、ジブチルすずジラウレートなどの有機すず化合物、無機すず化合物などが挙げられる。
【0075】
前記金属塩化物としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、CuおよびAlからなる群から選ばれる金属の塩化物で、例えば、塩化第二コバルト、塩化第一ニッケル、塩化第二鉄などが挙げられる。
【0076】
前記金属アセチルアセトネート塩は、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、CuおよびAlからなる群から選ばれる金属のアセチルアセトネート塩であり、例えば、コバルトアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネートなどが挙げられる。
【0077】
前記金属硫酸塩としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、CuおよびAlからなる群から選ばれる金属の硫酸塩で、例えば、硫酸銅などが挙げられる。
【0078】
前記マレイミド化合物としては、多官能脂肪族/脂環族マレイミド、多官能芳香族マレイミドが挙げられる。多官能脂肪族/脂環族マレイミドとしては、例えば、N,N’−メチレンビスマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸とを脱水エステル化して得られるイソシアヌレート骨格のマレイミドエステル化合物、トリス(カーバメートヘキシル)イソシアヌレートと脂肪族/脂環族マレイミドアルコールとをウレタン化して得られるイソシアヌレート骨格のマレイミドウレタン化合物等のイソシアヌル骨格ポリマレイミド類;イソホロンビスウレタンビス(N−エチルマレイミド)、トリエチレングリコールビス(マレイミドエチルカーボネート)、脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸と各種脂肪族/脂環族ポリオールとを脱水エステル化、または脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸エステルと各種脂肪族/脂環族ポリオールとをエステル交換反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドエステル化合物類;脂肪族/脂環族マレイミドカルボン酸と各種脂肪族/脂環族ポリエポキシドとをエーテル開環反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドエステル化合物類、脂肪族/脂環族マレイミドアルコールと各種脂肪族/脂環族ポリイソシアネートとをウレタン化反応して得られる脂肪族/脂環族ポリマレイミドウレタン化合物類等がある。
【0079】
多官能芳香族マレイミドとしては、マレイミドカルボン酸と各種芳香族ポリオールとを脱水エステル化、またはマレイミドカルボン酸エステルと各種芳香族ポリオールとをエステル交換反応して得られる芳香族ポリマレイミドエステル化合物類、マレイミドカルボン酸と各種芳香族ポリエポキシドとをエーテル開環反応して得られる芳香族ポリマレイミドエステル化合物類、マレイミドアルコールと各種芳香族ポリイソシアネートとをウレタン化反応して得られる芳香族ポリマレイミドウレタン化合物類の如き芳香族多官能マレイミド類等がある。
【0080】
多官能芳香族マレイミドの具体例としては、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N’−2,6−トリレンビスマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジメチル−ビフェニレン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジメチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−〔3,3’−ジエチルジフェニルメタン〕ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−t−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−s−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕デカン、1,1−ビス〔2−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)−5−t−ブチルフェニル〕−2−メチルプロパン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−メチレン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ジ−s−ブチルベンゼン〕、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、4,4’−メチレンビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2−ノニルベンゼン〕、4,4’−(1−メチルエチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン〕、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4’−(1−メチルヘプチリデン)−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン〕、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス〔1−(マレイミドフェノキシ)−3−メチルベンゼン〕、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス〔3−メチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3,5−ジメチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−エチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、3,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、4,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、3,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、4,9−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕−トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、1,8−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン、1,8−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕メンタン等を挙げることができる。
【0081】
前記マレイミド化合物の市販品としては、例えばBMI−1000、BMI−1000H、BMI−1000S、BMI−1100、BMI−1100H、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−3000H、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−7000H、およびBMI−TMH(以上、大和化成工業社製)、MIA−200(DIC社製)等を挙げることができる。
【0082】
これらのビスマレイミド誘導体は常法により合成してもよく、市販品を用いてもよい。特にビスマレイミド誘導体の中で、環境に負荷をかけない点からは、分子内にハロゲン原子を含有しない物が好ましい。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
前記ベンゾオキサジン化合物としてはビスフェノールA型ベンゾオキサジン、ビスフェノールF型ベンゾオキサジン、ビスフェノールS型ベンゾオキサジン等が挙げられる。これらの市販品としては、「F−a」(四国化成社製)を挙げることができる。
【0084】
前記オキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を含有していれば特に限定されない。これら市販品としてはエポクロス(日本触媒社製)のK−2010E、K−2020E、K−2030E、WS−500、WS−700、RPS−1005が挙げられる。
【0085】
前記カルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド等が挙げられる。
【0086】
前記シクロカーボネート化合物としては、環状化合物でカーボネート結合を有していれば特に限定されない。例としては多官能構造を有するアルキレンカーボネート化合物が挙げられる。
【0087】
前記多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0088】
前記エピスルフィド樹脂としては、例えば、三菱化学社製のYL7000(ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂)や、東都化成社製YSLV−120TEなどが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0089】
前記エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する公知慣用の多官能エポキシ樹脂が使用できる。エポキシ樹脂は、液状であってもよく、固形ないし半固形であってもよい。
【0090】
エポキシ樹脂としては、例えば、三菱化学社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、NC−3000、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299、新日鐵化学社製のYDCN−700−2、YDCN−700−3、YDCN−700−5,YDCN−700−7、YDCN−700−10、YDCN−704 YDCN−704A、DIC社製のエピクロンN−680、N−690、N−695(いずれも商品名)等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製jER807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER604、東都化成社製のエポトートYH−434、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL−931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
(熱硬化触媒)
前記の熱硬化性成分を含有する場合は、さらに熱硬化触媒を含有することが好ましい。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物などが挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。
【0092】
熱硬化触媒の配合量は、固形分換算で、前記熱硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
【0093】
(着色剤)
本発明の光硬化性樹脂組成物は、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。具体的には、カラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しない着色剤であることが好ましい。
【0094】
赤色着色剤:
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などが挙げられる。
【0095】
青色着色剤:
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物があり、上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0096】
緑色着色剤:
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0097】
黄色着色剤:
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられる。
【0098】
その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
【0099】
(有機溶剤)
上記の光硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物の調製のためや、基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために、有機溶剤を使用することができる。
【0100】
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0101】
(その他の任意成分)
本発明の光硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、エラストマー、メルカプト化合物、密着促進剤、ブロック共重合体、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、本発明の光硬化性樹脂組成物には、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤およびレベリング剤の少なくとも何れか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0102】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、例えば前記有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布し、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの塗膜を形成できる。
【0103】
上記基材としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR−4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0104】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、フィルム(以下、キャリアフィルムとも称する)上に塗布乾燥して、ドライフィルムの形態とすることもできる。ドライフィルム化に際しては、本発明の光硬化性樹脂組成物を前記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等でキャリアフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、5〜150μm、好ましくは10〜60μmの範囲で適宜選択される。
【0105】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることが好ましい。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0106】
キャリアフィルム上に本発明の光硬化性樹脂組成物を成膜した後、さらに、膜の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、膜の表面に剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。
剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、カバーフィルムを剥離するときに膜とキャリアフィルムとの接着力よりも膜とカバーフィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
【0107】
本発明のドライフィルムをラミネーター等により基材と接触するように基材上に張り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、樹脂絶縁層を形成できる。
【0108】
本発明の光硬化性樹脂組成物を基材上にまたはキャリアフィルム上に塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0109】
本発明の光硬化性樹脂組成物を塗布し、溶剤を揮発乾燥した後に得られた塗膜またはドライフィルムに対し、露光(活性エネルギー線の照射)を行うことにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。また、接触式(または非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光もしくはダイレクト露光機により直接パターン露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジストパターンが形成される。必要に応じて、レーザー加工によりパターンを形成してもよい。
【0110】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接活性エネルギー線で画像を描くダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機の光源としては、水銀ショートアークランプ、LED、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーいずれでもよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20〜800mJ/cm
2、好ましくは20〜600mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0111】
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
【0112】
本発明の光重合性樹脂組成物、および、ドライフィルムにより形成された硬化塗膜はプリント配線板の永久被膜として好適であり、中でもソルダーレジストや層間絶縁材料として好適である。
【実施例】
【0113】
以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。尚、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0114】
樹脂合成例A−1
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、およびハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却後、固形分酸価89mgKOH/g、固形分65%のカルボキシル基含有樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液A−1とする。
【0115】
樹脂合成例A−2
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(昭和電工社製、商品名「ショーノールCRG951」、OH当量:119.4)119.4g、水酸化カリウム1.19gおよびトルエン119.4gを仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8gを徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cm
2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56gを添加混合して水酸化カリウムを中和し、固形分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0g、アクリル酸43.2g、メタンスルホン酸11.53g、メチルハイドロキノン0.18gおよびトルエン252.9gを、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6gの水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35gで中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1gで置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5gおよびトリフェニルホスフィン1.22gを、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8gを徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させた。固形物の酸価88mgKOH/g、固形分71%のカルボキシル基含有樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液A−2とする。
【0116】
上記合成例の樹脂溶液を用い、表1に示す種々の成分とともに表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。
【0117】
【表1】
*1:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
(ルシリンTPO:BASFジャパン社製)
*2:C.I.Pigment Blue 15:3
*3:C.I.Pigment Yellow 147
*4:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP:新中村化学工業社製)
*5:ポリエチレングリコール#200ジアクリレート(A−200:新中村化学工業社製)
*6:ビスフェノールF EO変性ヂアクリレート(M−208:東亜合成社製)
*7:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(M−350:東亜合成社製)
*8:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PE−4A:共栄社化学社製)
*9:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:日本化薬社製)
*10:硫酸バリウム(B−30:堺化学工業社製)
*11:ビキシレノール型エポキシ樹脂(YX−4000:ジャパンエポキシレジン社製)
*12:フェノール/変性ノボラック型エポキシ樹脂(N−865:DIC社製)
【0118】
特性評価:
<ドライフィルムの作製>
実施例1〜
5、参考例6および比較例1〜5の樹脂組成物をそれぞれメチルエチルケトンで適宜希釈した後、アプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が20μmになるようにPETフィルム(東レ社製、FB−50:16μm)に塗布し、80℃で30分乾燥させドライフィルムを得た。
<プリント基板の作製>
回路形成された基板をバフ研磨した後、上記で得られたドライフィルムを真空ラミネーター(名機製作所社製、MVLP(登録商標)−500)を用いて加圧度:0.8MPa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、未露光のソルダーレジスト層を有する基板(未露光の基板)を得た。この基板に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、最適露光量でパターン露光し、PETフィルムの剥離をした。その後30℃の1wt%Na
2CO
3水溶液をスプレー圧2kg/cm
2の条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板に対して以下のように特性を評価した。
【0119】
<はんだ耐熱性>
上記で得られたプリント基板にロジン系フラックスを塗布し、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:10秒間浸漬を6回以上繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を4〜5回繰り返すとレジスト層に膨れ、剥がれがある。
×:10秒間浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
【0120】
<線膨張係数>
上記で得られたドライフィルムを用いて得られた3mm×10mmのサイズの硬化塗膜を、セイコーインスツル社製TMA6100にて10gの荷重を加えながら一定の昇温速度で0℃〜260℃の温度範囲で引張り試験を行った。温度に対する硬化塗膜の伸び量から線膨張係数を算出した。
【0121】
<低反り性>
上記で得られたドライフィルムを、25μm厚のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン100H)に加熱ラミネートして、未露光のソルダーレジスト層を有する基板(未露光の基板)を得た。この基板に、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、最適露光量でパターン露光し、PETフィルムの剥離をした。その後30℃の1wt%Na
2CO
3水溶液をスプレー圧2kg/cm
2の条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。得られた評価基板を50mm×50mm□に切り出し、4角の反りを測定して平均値を求め、以下の基準で評価した。
◎:反りが5mm未満であるもの。
○:反りが5mm以上、10mm未満であるもの。
×:反りが10mm以上であるもの。
【0122】
<クラック耐性>
上記で得られたプリント基板に、−65℃で30分間、150℃で30分間を1サイクルとして熱履歴を加え、1000サイクル経過後、光学顕微鏡観察によってクラック発生の有無を確認し、下記基準に従って評価した。
○:クラック発生なし。
△:若干のクラック発生あり。
×:クラック発生著しい。
【0123】
上記各試験の結果を表2にまとめて示す。
【0124】
【表2】
【0125】
表2に示されるように、実施例1〜
5は比較例1〜5と比較して線膨張係数が低く、更にクラック耐性に関しても良好な結果が得られていることが分かる。また、実施例1〜
5は良好な低反り性を示したことから、硬化収縮が少ないことが分かる。
実施例1〜
5において、官能基数2以上3未満の光反応性化合物、3以上5未満の光反応性化合物、および5以上10未満の光反応性化合物を含み、光反応性化合物の種類の数が3種であって、フェノール出発のカルボキシル基含有樹脂を用いた実施例1、2、4、5は特に線膨張係数が低く、反り、クラック耐性に優れていることが分かる。