特許第5968087号(P5968087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5968087-冊子支え機構を備えた三方断裁機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968087
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】冊子支え機構を備えた三方断裁機
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/06 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   B26D7/06 E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-127020(P2012-127020)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-248720(P2013-248720A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103791
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 勝弘
(74)【代理人】
【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
(72)【発明者】
【氏名】神原 完太
(72)【発明者】
【氏名】谷内 知則
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−330409(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0066781(US,A1)
【文献】 特開2005−153075(JP,A)
【文献】 特開2002−326185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冊子の搬送方向と直交する方向に小口断裁刃と断裁台を配置した小口断裁部と、冊子の搬送方向と平行する方向の両側に天断裁刃と天断裁台および地断裁刃と地断裁台を配置した天地断裁部と、前記小口断裁部で小口断裁した冊子を前記天地断裁部に搬送し、前記天地断裁部の天断裁台と地断裁台上に位置決めするチャック機構とを備えた三方断裁機において、前記チャック機構に、そのチャック機構の上下チャックに挟持した冊子の搬送方向の下方から支える旋回可能の受け板を設けるとともに、前記天地断裁部の機枠のそれぞれに、前記天地断裁部の天断裁台および地断裁台のそれぞれと平行し、天断裁台と前記上下チャックの間および地断裁台と前記上下チャックの間で出し入れ自在の支え棒を設け、必要に応じて前記チャック機構の上下チャックに挟持した冊子が前記天地断裁部に到達するとき、前記受け板と前記支え棒により、上下チャックに挟持した冊子を平坦状に支えることを特徴とする冊子支え機構を備えた三方断裁機。
【請求項2】
前記チャック機構は、下チャックを冊子の搬送路とその所定上方間を上下移動させる第1のシリンダと、上チャックを前記下チャックへ接近および離間させる第2のシリンダと、前記下チャックと前記上チャックとを同時に、前記上チャックが前記搬送路の下方に位置する位置と前記下チャックが搬送路に位置する位置間を上下移動させる第3のシリンダを有することを特徴とする請求項1に記載の冊子支え機構を備えた三方断裁機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子支え機構を備えた三方断裁機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冊子の背面に表紙を固着してその背面を綴じた冊子を三方断裁機に送り、ここでその冊子の小口および天地の三方を切りそろえて製本を仕上げる場合がある。図4は、この場合の三方断裁機の一例の構成を示すもので、この図4を参照して概略説明すると、Hは表紙付き冊子で冊子の天を先頭に冊子の小口を外側(図示右側)にして搬送路1を経由して例えば無線綴じ製本機から搬送され、その冊子Hは三方断裁機の搬入ベルトコンベア2に載せられ、位置決めストッパ3に当接して位置決めされる。
【0003】
位置決めストッパ3で位置決めされた冊子Hは、冊子Hの小口側に待機しているプッシャ4で冊子Hの小口断裁刃5を備えた小口断裁部A方向へ押し移動し、冊子Hの小口の断裁位置が小口断裁刃5の下方に位置するように位置決めし、その冊子Hの小口を小口断裁刃5の下降で断裁する。
【0004】
そして、小口が断裁された冊子Hをチャック機構6の上チャックと下チャックで掴み、掴んだ冊子Hを、天を断裁する天断裁刃7および冊子Hの地を断裁する地断裁刃8を平行に備える天地断裁部Bに搬送し、位置決め後天地断裁刃7、8を下降してその冊子の天および地を断裁する。そのときチャック6は冊子Hを離した冊子の下方を通過して待機位置に戻り、次の冊子Hの小口が断裁されるのを待つ。天地断裁された冊子Hはチャック9で掴んで排出路10へ運んで排出する。
【0005】
一般に三方断裁機の天地断裁部Bは、断裁する冊子Hを位置決め載置する断裁台と、断裁台に載置した冊子Hを断裁台に押圧する押え板、および押え板で押圧した冊子Hの所定位置を断裁する断裁刃からなる断裁機の二つが冊子Hの搬送路の両側に分かれて搬送路と平行してそれぞれ配置され、配置された二つの断裁機間は、断裁する冊子Hの天地間の寸法の違いに対応するように互いに接近しまた離間するように構成されており、小口断裁部Aから天地断裁部Bへ冊子Hを搬送するチャック機構は、この二つの断裁機間の空間を移動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−330409号公報
【特許文献2】特開2001−252890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような三方断裁機における天地断裁部Bは、天断裁刃7側の断裁台と地断裁刃8側の断裁台が冊子の搬送方向と直交する方向に分けられているため、天地断裁部Bで天地を断裁する冊子Hは、その分けられた断裁台にまたがって位置決めすることとなる。一方、各断裁台の冊子の搬送方向と直交する方向の幅は、天地間の寸法の最も短い冊子に対応させる必要からできるだけ狭く形成されており、チャック機構の特に上チャックと下チャックの搬送方向と直交する方向の幅も狭くなっている。また、チャック機構の特に上チャックと下チャックの搬送方向と同方向の幅も小口断裁部Aの断裁台上の冊子Hを掴むために狭くなっている。そのため、たとえば断裁する冊子の天地間の幅寸法が大きくなると、天地の各断裁台間の空間幅も大きくなる。その空間幅が大きくなると図5に示すように、チャック機構6の上チャック6aと下チャック6bで掴んだ冊子Hを両側の断裁台に載せると冊子Hが撓み、天断裁刃7側の押え板7a、地断裁刃側の押え板8aで適切に押さえることができず、そのまま断裁すると断裁面が乱れるといった問題、また、断裁する冊子の小口と背間の幅寸法が大きくなると、冊子の搬送方向で撓み天地の各断裁台で擦り傷が付くといった問題があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、三方断裁機における天地断裁部の冊子搬送方向と直交方向の空間幅や断裁する冊子のサイズにかかわらず、断裁する冊子に擦り傷を付けることなく、かつ、断裁精度の乱れを抑制することができるようにし、斯かる問題を解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、冊子の搬送方向と直交する方向に小口断裁刃と断裁台を配置した小口断裁部と、冊子の搬送方向と平行する方向の両側に天断裁刃と天断裁台および地断裁刃と地断裁台を配置した天地断裁部と、前記小口断裁部で小口断裁した冊子を前記天地断裁部に搬送し、前記天地断裁部の天断裁台と地断裁台上に位置決めするチャック機構とを備えた三方断裁機において、前記チャック機構に、そのチャック機構の上下チャックに挟持した冊子の搬送方向の下方から支える旋回可能の受け板を設けるとともに、前記天地断裁部の機枠のそれぞれに、前記天地断裁部の天断裁台および地断裁台のそれぞれと平行し、天断裁台と前記上下チャックの間および地断裁台と前記上下チャックの間で出し入れ自在の支え棒を設け、必要に応じて前記チャック機構の上下チャックに挟持した冊子が前記天地断裁部に到達するとき、前記受け板と前記支え棒により、上下チャックに挟持した冊子を平坦状に支える構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、冊子のサイズが大きい場合には、搬送チャック機構の上下チャックに挟持した冊子が天地断裁部に到達するとき、冊子の小口と背間を受け板で、冊子の天地間を支え棒によりその冊子が平坦状になるように支えるので、冊子の撓みの無い状態で両側の天断裁台と地断裁台上に位置決めすることができる。これにより、冊子に擦り傷を付けることなく、かつ、天断裁刃側および地断裁刃側の押え板で冊子の天地側端部を適切に押さえること、つまり冊子サイズ大きさにかかわらず常に断裁精度の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る三方断裁機の概略構成を示す平面図である。
図2図1に示す三方断裁機におけるチャック機構の図1に示すC方向から見た受け板の動作説明図である。
図3図1に示す三方断裁機における天地断裁部の図1に示すD方向から見た支え棒の動作説明図である。
図4】三方断裁機の一例の概略構成を示す平面図である。
図5】従来のチャック機構の問題点を説明する説明図である。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例に係る三方断裁機について、図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1において図4に示す従来の三方断裁と同一の部分または対応する部分には同一の符号を付し、その部分の詳細な説明は省略する。図1において、16は小口断裁部Aで小口が断裁された冊子Hを上チャック16aと下チャック16b(図2および図3参照)で掴み、掴んだ冊子Hを、天を断裁する天断裁刃7と天断裁台および冊子Hの地を断裁する地断裁刃8と地断裁台を平行に備える天地断裁部Bに搬送するチャック機構、17はチャック機構に旋回可能に取り付けた受け板、18aは天断裁側の機枠に出し入れ自在に取り付けた支え棒、18bは地断裁側の機枠に出し入れ自在に取り付けた支え棒、C1〜C4は支え棒を出し入れ駆動するエアシリンダである。
【0013】
上下チャック16a、16bの幅とほぼ同幅で所定の長さを有する平坦状の受け板17は、特に図2(c)に示すように下面端部から斜めに延びる支持アーム17aを有し、その支持アーム17aの一端はチャック機構16の下チャック16bの下方から伸びる基部に回動自在に取り付けられ、支持アーム17aの他端は下チャック16bに固定した支持金具19の端部に一端を固定したエアシリンダC5に連結されている。このエアシリンダC5の駆動により受け板17は、図2(b)に示すように回動自在の取付け点Pを支点として旋回して受け板17の平面が下チャック16bの平面の延長線に位置し、また、その位置から逆旋回して図2(a)に示すように下方の退避位置に位置する。
【0014】
なお、図2に示す一点鎖線は、小口断裁台と天地断裁台の平面を結ぶ水平線で、通常冊子を搬送する搬送路の高さであり、図2では、その搬送路の高さよりも僅か高い位置に冊子を上下チャック16a、16bで持ち上げて搬送している。これは冊子に断裁台などによる擦り傷を付けないためである。
【0015】
チャック機構16の下チャック16bの基部の下端は、基台20に下端を固定したエアシリンダC6に連結されており、エアシリンダC6の駆動により搬送路の高さに位置する下チャック16bを搬送路の高さより僅か上方に位置させている。すなわち、エアシリンダC6は下チャック16bを僅かに上下させる機能を備えたシリンダである。受け板17は下チャック16bの基部に取付けているので、下チャック16bが上下に移動しても受け板17の上方へ旋回した平面は下チャック16bの平面の延長線に常に位置することができる。
【0016】
そして、チャック機構16の上チャック16aは、エアシリンダC7に連結され、エアシリンダC7の下端は緩衝部材21を介して基台20に固定されており、エアシリンダC7の駆動により下チャック16bに当接した状態から下チャック16bの上方へ離間する。すなわち、エアシリンダC7は上チャック16aを下チャック16bに対して上下させる機能を備えたシリンダである。緩衝部材21は弾性部材で構成され、エアシリンダC6の駆動による下チャック16bの僅かの上方への移動に対応するように機能する。
【0017】
そして、基台20はエアシリンダC8に連結されており、エアシリンダC8の駆動により上下チャック16aおよび16bはともに上下に移動する。この下方への移動により下チャック16bは搬送路の高さより下方に位置させることができる。すなわち、エアシリンダC8は主として下チャック16bを搬送路の高さより下方に位置させるように機能する。その下方の位置と搬送路の高さ位置との距離は、上下チャック16aおよび16bが当接した状態で上チャック16aが搬送路の高さ位置より下方となる距離であり、この状態で断裁した冊子Hの下方を通過し、天地断裁部Bから小口断裁部Aへ復路移動する。
【0018】
エアシリンダC8はスライダー22に固定され、そのスライダー22は小口断裁部Aから天地断裁部Bにまたがって設置したスライドガイド軸23に嵌められている。スライダー22に固定されたチャック機構16は、図示しないチェーンなどの移動によりスライドガイド軸23に沿って小口断裁部Aと天地断裁部B間を往復移動する。
【0019】
チャック機構16が小口断裁部Aの手前で待機しているときは、下チャック16bは搬送路の高さより下方に位置し、上チャック16aは下チャック16bから離間した上方に位置する。小口断裁部Aの冊子Hを掴むときは、チャック機構16を小口断裁部Aへ移動し、下チャック16bを搬送路の高さ位置に戻すと同時に上チャック16aを下方へ移動して小口断裁部Aの冊子Hを上下チャック16aおよび16bで掴む。そしてエアシリンダC6を駆動して掴んだ冊子Hを図2(b)に示すように搬送路の高さより僅か上方へ持ち上げ、天地断裁部Bへ搬送する。
【0020】
チャック機構16が天地断裁部Bへ到達すると、まず図2(b)に示すように、エアシリンダC5を駆動し、図2(c)に示すように、受け板17を下チャック16bの平面の延長線に位置させ、上チャック16aと下チャック16bで挟み持った冊子Hの搬送方向における撓みを抑制する。また、天地断裁部Bに設置した支え棒18aおよび18bを、図3(a)に示す断裁台7bおよび8bの下方の待機位置から天断裁台7bと地断裁台8bの平面高さ位置(搬送路の高さ位置)までシリンダC1〜C4の同時駆動でそれぞれ斜め上方、つまり支え棒18aが天断裁台7bと上下チャックとの間、支え棒18bが地断裁台8bと上下チャックとの間に位置するように押し出す。
【0021】
そして、チャック機構16のシリンダC6の下方駆動により、図3(b)に示すように下チャック16bの平面が天断裁台7bと地断裁台8bの平面高さ位置となる位置に戻す。これにより上チャック16aと下チャック16bで挟み持った冊子Hは、上チャック16aと下チャック16bから食み出す部分が支え棒18aおよび18bで支えられ、搬送方向と直交する方向における撓みを抑制する。すなわち、受け板17による支えと支え棒18aおよび18bとの支えにより冊子Hに撓みが無く平坦な状態で天断裁台7bと地断裁台8b上に位置決めされ、押え板7aおよび8aを下降し冊子Hを押さえて天地が断裁される。
【0022】
なお、上チャック16aと下チャック16bで挟み持った冊子Hに撓みが発生しない小サイズの冊子の場合には、受け板17および支え棒18a、18bは待機位置に置けばよい。なお、図3における符号24は先端に支え棒(18a、18b)を固定したスライダー、25はスライドレール、26はシリンダ(C1〜C4)に連結する帯体であり、シリンダ(C1〜C4)の駆動によりスライダーがスライドレールに沿って移動し、この移動によって支え棒(18a、18b)は天断裁台7bと地断裁台8bの間の空間内を出入りする。
【0023】
天地断裁後、チャック機構16のシリンダC7の駆動で上チャック16aを上昇させ、ほぼ同時にシリンダC8の駆動で下チャック16bを下降させて掴んだ冊子Hを開放し、その状態でチャック機構16を搬送方向に所定量移動し、シリンダC7による下降駆動で上チャック16aを下降して下チャック16bに当接させ、ほぼ同時に上チャック16aが搬送面の下方に位置するように基台20用のシリンダC8の下降駆動により下降させ、その状態で天地断裁部Bの下方を通過させて小口断裁部Aの手前の待機位置の下方に移動させ、シリンダC7の上方駆動により上チャック16aを上昇させて待機する。
【0024】
以上の実施例では上下チャックで冊子を掴むときおよび離すとき上下チャック、特に下チャックで冊子を擦ることがなく、この擦りによる冊子へ擦り傷の発生を防止することができる。
【0025】
なお、天地断裁された冊子Hは、チャック機構16が待機位置へ移動したとき、別のチャック機構により排出部10へ排出する。また、チャック機構16の移動、上チャック16a、下チャック16bならびに基台20の上下移動のタイミングは図示しない断裁制御装置からの信号により行う。
【符号の説明】
【0026】
1 搬送路
2 搬入ベルトコンベア
3 位置決めストッパ
4 プッシャ
5 小口断裁刃
7 天断裁刃
7a 天押え板
7b 天断裁台
8 地断裁刃
8a 地押え板
8b 地断裁台
16 チャック機構
16a 上チャック
16b 下チャック
17 受け板
18a、18b 支え棒
C1〜C4 支え棒駆動用エアシリンダ
C5 受け板駆動用エアシリンダ
図1
図2
図3
図4
図5