(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、この先行技術では、外枠に対して回動可能に軸支された前面枠に設けられたリヤプレートに回路ボックスが設けられているため、通常時はパチンコ機の裏側に回路ボックスは位置し、当該回路ボックスの点検の際、前面枠を回動させることによってパチンコ機の表側に露出することになる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、デッドスペースに電子機器を配設すると共に、当該電子機器の点検を可能にする電子機器配設構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る電子機器配設構造は、室内空間を区画する壁部と、前記壁部内に配設され、電力の供給先を制御する制御手段と接続された電子機器と、前記壁部に軸支されて当該壁部に形成され電子機器と対向する位置に設けられた開口部を開閉し、当該壁部から突出する方向へ回動して当該開口部を開放し前記電子機器を露出させる開閉扉と、
を備え、前記制御手段に電力の使用状況が表示されるモニタが備わり、前記モニタが取り付けられた壁部が前記電子機器が配設された壁部と異なっており、天井裏を通じて当該モニタと電子機器とが接続されている。
【0007】
請求項1に記載の発明に係る電子機器配設構造では、電力の供給先を制御する制御手段と接続された電子機器が室内空間を区画する壁部内に設けられている。一般的に、壁部内には中空部が設けられており、当該中空部によって通気性が得られるようになっている。このため、壁部内に電子機器が配設されたとしても、当該電子機器の作動によって生じる熱を放熱することができる。
【0008】
また、壁部には電子機器と対向する位置に設けられた開口部が形成されている。この開口部は、壁部に軸支された開閉扉によって水平方向及び鉛直方向に沿って開閉可能とされており、開閉扉が壁部から突出する方向へ回動すると当該開口部が開放され電子機器が露出する。これにより、電子機器の点検(メンテナンス)等が可能となる。
【0009】
一般的に、電力の供給先を制御する制御手段と接続された電子機器、特に拡張ECUは室内に配置される場合が多い。しかし、この拡張ECUは設置時及び点検時に調整等を行うものである。つまり、拡張ECUは年に数回しか調整しないにも拘わらず、当該拡張ECUが室内に配置されていると邪魔であり、意匠上も好ましくない。このため、本発明では、電子機器が壁部内に設けられ、通常は見えないようになっている。そして、必要なときだけ、開閉扉を開放させて当該電子機器を露出させるようにしている。
【0010】
また、本発明では、開閉扉は壁部に軸支され、当該壁部から突出する方向へ回動して開口部が開放されるようにしている。例えば、電子機器が天井裏に配設された場合、一般的には、天井には電子機器の近傍に開口穴が形成され、当該開口穴を塞ぐ蓋体を持ち上げて開口穴を開放させるが、開口穴を塞ぐ際の蓋体の位置決めが面倒である。しかし、本発明では、開閉扉は壁部に軸支されているため、軸部を中心にして開閉扉を回動させるだけで壁部の開口部を塞ぐことができるため、作業性が良い。
さらに、本発明では、制御手段に電力の使用状況が表示されるモニタが備わり、当該モニタと電子機器とが天井裏を通じて接続されるようになっている。このため、電子機器の配線を複数本単位でスッキリとまとめることができ、電子機器の点検時に配線が邪魔にならないようにすることができる。
【0011】
なお、ここでの「室内空間」とは建物内の空間を指しており、部屋に限るものではなく、例えば、押入れや階段下の空間であっても良い。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る電子機器配設構造は、請求項1に記載の電子機器配設構造において、前記電子機器は、前記壁部の一部を構成する壁材の表面に取り付けられた板材を介して前記壁材に取り付けられている。
【0013】
電子機器はビスなどによって壁部の一部を構成する壁材に取付けられるが、当該電子機器を直接壁材に取り付ける場合、ビスが壁材を打ち抜いてしまう可能性がある。このため、請求項2に記載の発明に係る電子機器配設構造では、壁材の表面に板材を取り付け、当該板材を介して電子機器が壁材に取り付けられるようにしている。これにより、ビスの壁材への打ち抜きを防止している。
【0014】
請求項3に記載の発明に係る電子機器配設構造は、請求項1に記載の電子機器配設構造において、前記電子機器は前記開閉扉の裏面に設けられている。
【0015】
電力の供給先を制御する制御手段として、住宅内のエネルギの管理や制御を行うHEMS(Home Energy Management System)が一例として挙げられるが、当該HEMSと接続される拡張ECUは電子機器としては質量が小さい(数百g)。
【0016】
このため、請求項3に記載の発明に係る電子機器配設構造では、電子機器が開閉扉の裏面に設けられている。これにより、当該電子機器を点検する際、開閉扉を開放させると当該開閉扉と一体に電子機器が移動し外部に露出することになるので、大変便利である。
【0017】
請求項4に記載の発明に係る電子機器配設構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子機器配設構造において、前記開閉扉の下部には、当該開閉扉を鉛直方向に沿って回動させる軸部が設けられている。
【0018】
請求項4に記載の発明に係る電子機器配設構造では、開閉扉の下部に軸部が設けられ、当該軸部を中心に開閉扉は鉛直方向に沿って回動する。開閉扉を開放させるときは、当該開閉扉は上から下へ向かって回動することになるため、開閉扉を開放させた状態で自重により当該開閉扉は静止する。つまり、開閉扉が水平方向に沿って回動する場合と比較して、開放された状態で開閉扉が回動するということはなく、作業性が良い。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る電子機器配設構造は、デッドスペースに電子機器を配設すると共に、当該電子機器の点検を容易にする、という優れた効果を有する。
【0022】
請求項2記載の本発明に係る電子機器配設構造は、壁材をビス等が打ち抜かないように防止することができる、という優れた効果を有する。
【0023】
請求項3記載の本発明に係る電子機器配設構造は、開閉扉と一体に電子機器が移動し外部に露出するため作業性が向上する、という優れた効果を有する。
【0024】
請求項4記載の本発明に係る電子機器配設構造は、開放された開閉扉は静止状態が維持されるため作業性が向上する、という優れた効果を有する。
【0025】
請求項5記載の本発明に係る電子機器配設構造は、配線を配策するため天井裏に形成された貫通孔を介して天井裏と壁部内とが連通されるため、壁部内の通気性がさらに向上する、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る電子機器配設構造について説明する。
(電子機器配設構造の構成)
【0028】
まず、本実施の形態に係る電子機器配設構造を備えた住宅10について説明する。
図1及び
図2に示されるように、この住宅10は太陽光発電装置12を備えており、太陽光によって発電された電力を住宅10で使用可能とされている。太陽光発電装置12は、パワーコンディショナー14を含んで構成されており、太陽光発電装置12によって発電された直流電力がパワーコンディショナー14によって交流電力に変換されて分電盤16に供給されることにより、住宅10に電力が供給される。
【0029】
また、分電盤16には、電力会社から供給される系統電力18、及び太陽光発電装置12の発電電力の少なくとも一方の電力を蓄電する蓄電池20が接続されており、太陽光発電装置12によって発電された電力の他に、系統電力18や蓄電池20に蓄電された電力を住宅に供給することが可能とされていると共に、太陽光発電装置12や系統電力18によって蓄電池20を充電することが可能とされている。なお、蓄電池20は、リチウムイオン電池、鉛電池、ナトリウム電池等の各種蓄電池を適用することができる。
【0030】
ここで、分電盤16には、住宅に設けられた住設機器22や家電機器24等が接続されている。すなわち、太陽光発電装置12による発電電力や、系統電力18、蓄電池20に蓄電された電力などの電力が分電盤16を介して住設機器22や家電機器24に供給される。
【0031】
さらに、分電盤16には、住宅内のエネルギの管理や制御を行う制御手段としてのHEMS(Home Energy Management System)26が接続されている。HEMS26は、分電盤16を制御することにより、太陽光発電装置12の発電電力、蓄電池20の電力、及び系統電力18の何れかを住宅10へ供給するために電力の切換制御等を行う。
【0032】
蓄電池20は拡張ECU(電子制御ユニット)28を介してHEMS26に接続されている。拡張ECU28には、ハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載された車両用蓄電池30を充電するための充電スタンド32が接続されており、分電盤16から充電スタンド32に電力を供給して車両用蓄電池30を充電することが可能とされている。また、本実施形態では、充電スタンド32は、非常時などの場合には、車両用蓄電池30から交流に電力を変換して分電盤16に電力を供給可能とされている。なお、電力の使用状況は、HEMS26に接続されたモニタ34によって表示されるようになっている。
【0033】
ところで、本実施形態では、
図3に示されるように、拡張ECU28が、室内空間を区画する壁部36内に配設されている。なお、ここでの「室内空間」とは住宅10内の空間を指しており、部屋に限るものではなく、例えば、押入れや階段下の空間であっても良い。
【0034】
図4(A)に示されるように、壁部36内には、断面形状が矩形状を成し、高さ方向に沿って配設されたスタッド38と、断面形状が矩形波形状を成し、壁部36の水平方向に沿って配設され隣接するスタッド38間を繋ぐランナー40と、が配設されている。なお、スタッド38及びランナー40については、説明の便宜上、
図4(A)以外の図では図示を省略している。
【0035】
そして、これらのスタッド38及びランナー40を介して、
図3に示されるように、壁材としての例えば石膏ボード42、44が固定されている。このため、石膏ボード42と石膏ボード44の間には、部分的に中空部46が設けられている。
【0036】
また、石膏ボード42の裏面側(壁部36内側)には、木質部材で形成された板材としてのパッキング材48が接着されており、当該パッキング材48には、拡張ECU28がビス等の固定部材を介して固定されている。また、石膏ボード44には拡張ECU28と対向する面に矩形状の開口部50が形成されている。この開口部50はアルミニウム製の開閉扉52によって開閉可能とされており、開閉扉52が開放された状態で、壁部36内に配設された拡張ECU28が外部へ露出する(視認可能な状態となる)。つまり、この状態で拡張ECU28の調整等が可能となる。
【0037】
また、石膏ボード44における開口部50の下縁部には軸受部54が設けられており、開閉扉52の下部に設けられたピン56が当該軸受部54によって軸支されている。これにより、開閉扉52は鉛直方向に沿って回動可能となっており、壁部36から突出する方向へ回動して開口部50が開放されるようになっている。軸受部54には、図示しないストッパが設けられており、ピン56に設けられた図示しない当接部が当接可能とされている。そして、開閉扉52の回動角度が約90度になると、当接部がストッパに当接して当該開閉扉52が静止するように設定されている。
【0038】
一方、
図4(A)に示されるように、拡張ECU28の上方側に位置するランナー40には、高さ方向に沿って貫通孔58が形成されており、拡張ECU28に接続された配線60が挿通可能とされている。この配線60は天井側へ向かって配策されており、
図4(B)に示されるように、天井材62には貫通孔64が形成され、当該貫通孔64内へ挿通されている。つまり、拡張ECU28に接続された配線60は天井裏66を配策して、拡張ECU28が配設された壁部36とは異なる壁部38の表面に取り付けられたモニタ34に接続される。
【0039】
(電子機器配設構造の作用・効果)
次に、本実施の形態に係る電子機器配設構造の作用・効果について説明する。
【0040】
本実施形態では、
図1及び
図4(A)、(B)に示されるように、壁部36内に拡張ECU28が配設されている。壁部36内には中空部46が設けられており、当該中空部46によって通気性が得られるようになっている。このため、壁部36内に拡張ECU28が配設されたとしても、当該拡張ECU28の作動によって生じる熱を放熱することができる。
【0041】
また、壁部36の一部を構成する石膏ボード44には、拡張ECU28と対向する位置に設けられた開口部50が形成されている。この開口部50は、石膏ボード44に軸支された開閉扉52によって鉛直方向に沿って開閉可能とされており、開閉扉52が石膏ボード44から突出する方向へ回動すると当該開口部50が開放され拡張ECU28が外部へ露出する。これにより、拡張ECU28の点検等が可能となる。そして、開閉扉52の回動角度が約90度になると、図示しない当接部がストッパに当接して当該開閉扉52が静止するように設定されている。このため、開放された状態の開閉扉52を作業台として使用することも可能である。
【0042】
ところで、一般的に、HEMS26と接続された拡張ECU28は室内に配置される場合が多い。しかし、この拡張ECU28は設置時及び点検時に調整等を行うものである。つまり、拡張ECUは年に数回しか調整しないにも拘わらず、当該拡張ECU28が室内に配置されていると邪魔であり、意匠上も好ましくない。このため、本実施形態では、拡張ECU28が壁部36内に設けられ、通常は見えないようになっている。そして、必要なときだけ、開閉扉52を開放させて当該拡張ECU28を露出させるようにしている。これにより、拡張ECU28をデッドスペースに配設すると共に、当該拡張ECU28の点検を容易にすることができる。
【0043】
また、拡張ECU28に接続された配線60は、天井裏66を配策して拡張ECU28が配設された壁部36とは異なる壁部38の表面側に取り付けられたモニタ34に接続される。このため、拡張ECU28の配線60を複数本単位でスッキリとまとめることができ、拡張ECU28の点検時に配線60が邪魔にならないようにすることができる。そして、配線60を配策するために、天井裏66に形成された貫通孔58を介して天井裏66と壁部36内とが連通されるため、壁部36内の通気性がさらに向上する。なお、モニタ34が取り付けられた壁部と拡張ECU28が配設された壁部とが同じ場合は、配線60は天井裏66を配策しない場合もある。
【0044】
さらに、例えば、拡張ECU28が天井裏66に配設された場合、図示はしないが、一般的には、天井には拡張ECU28の近傍に開口穴が形成され、当該開口穴を塞ぐ蓋体を持ち上げて開口穴を開放させる。このため、開口穴を塞ぐ際の蓋体の位置決めが面倒である。しかし、本実施形態では、開閉扉52は壁部36に軸支され、当該壁部36から突出する方向へ回動して開口部50が開放されるようにしている。これにより、軸受部54を中心にして開閉扉52を回動させるだけで、開閉扉52によって壁部36の開口部50を塞ぐことができるため、作業性が良い。
【0045】
また、一般的に、分電盤16は壁部の天井側に配設されている。このため、例えば、図示はしないが天井に開口部が設けられた場合、開口部の位置は分電盤16の高さとは異なってしまう。このため、分電盤16及び拡張ECU28を点検する際、それぞれの高さに合わせて脚立が必要になる場合がある。しかし、開口部50の位置を分電盤16の高さに合わせることによって、同じ高さで作業が行われるため、同じ脚立をそのまま使用することができると共に、作業性も向上する。
【0046】
また、本実施形態では、拡張ECU28は、石膏ボード42の裏面側に接着されたパッキング材48に固定され、これによって、拡張ECU28を石膏ボード42に固定している。拡張ECU28を直接石膏ボード42に取り付ける場合、ビス(図示省略)が石膏ボード42を打ち抜いてしまう可能性がある。このため、パッキング材48を介して拡張ECU28が石膏ボード42に取り付けられるようにすることで、ビスの石膏ボード42への打ち抜きを防止することができる。
【0047】
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、
図3に示されるように、石膏ボード42に拡張ECU28を取り付けるようにしているが、HEMS26と接続される拡張ECU28は電子機器としては質量が小さい(数百g)。このため、
図5に示されるように、開閉扉52の裏面側に拡張ECU28を取り付けるようにしても良い。但し、この場合も、パッキング材48を介して拡張ECU28が開閉扉52に固定されるようにする。このように、開閉扉52の裏面側に拡張ECU28を取り付けるようにすることで、開閉扉52を開放させると、当該開閉扉52と一体に拡張ECU28が移動し外部に露出することになるので、大変便利であり、作業性が向上する。
【0048】
また、本実施形態では、開閉扉52は回動角度が約90度となるように設定されているが、開閉扉52の回動角度は90度に限るものでない。例えば、開閉扉52の回動角度が、180度となるように設定されても良い。
【0049】
なお、本実施形態では、石膏ボード44に軸受部54が設けられ、開閉扉52の下部にピン56が設けられて、当該ピン56が軸受部54によって軸支されて開閉扉52が石膏ボード44に対して回動可能となっているが、開閉扉54が回動可能であれば良い。このため、石膏ボード44側にピンを設け、開閉扉54側で当該ピンを軸支するようにしても良い。また、ピンと軸受部以外の構成によって開閉扉54を回動させるようにしても良い。
【0050】
さらに、本実施形態では、開閉扉52の下部が軸支され、開閉扉52は鉛直方向に沿って回動するように設定されているが、開閉扉52の側壁が軸支され、開閉扉52が水平方向に沿って回動するようにしても良い。
【0051】
また、本実施形態では、太陽光発電装置12(
図1参照)を備えた例を説明するが、これに限るものではなく、例えば、風力、水力、火力等の各種自然エネルギを利用した発電装置を備えるようにしても良いし、燃料電池等の発電装置を備えるようにしても良い。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。