(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
押出側シールド掘進機と受入側シールド掘進機とを互いに対向して掘進させ、対向して停止された押出側シールド掘進機から受入側シールド掘進機内へ向けて突出される貫入リングの先端部を、受入側シールド掘進機内に設けられた受圧リングで保持する地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機において、
受圧リングは、受入側シールド掘進機内で圧力室と大気室とを区画する圧力隔壁と、受入側シールド掘進機本体を形成する胴部との間であって、前記圧力隔壁の外周近傍に周方向に沿って設けられ、
前記圧力室から前記大気室側へ掘削土砂を排出する排土装置は、圧力室内に泥水を供給する送泥管と、圧力室から泥水に同伴して掘削土砂を排出する排泥管とを具備し、
前記排泥管は、前記圧力隔壁に出退自在に貫設されて、その先端部が受圧リングの前方空間に配置され、
貫入リングの受入時に、前記圧力隔壁から離脱された前記排泥管の先端部を受圧リングの前方空間から出退させる排土用出退機構が前記排泥管に設けられること
を特徴とする地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機。
貫入リングの受入時に、受圧リングを前方へ突出させるリング突出機構が受圧リングに設けられることを特徴とする請求項1に記載の地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の地中接合用掘削設備においては、受入側シールド掘進機の受圧リングが弾性部材により形成され、圧力隔壁の前部で圧力室の外周部に、胴板(胴部)の間に内胴を介して設置されている。このように掘削土砂を取り込んで切羽崩壊土圧を保持しつつ排土装置により掘削土砂を排出する圧力室内で、最も土砂の流れが速く撹拌を促す外周部に受圧リングが配置されると、掘削土砂の流れが阻害されて排出がスムーズに行われず、掘削土砂や礫が滞留するおそれがあった。また、掘削土砂や滞留した礫の流れや押し込みによって、弾性部材が破損すると、接合時に貫入リングと受圧リングとが良好に接続されず、土圧・水圧が遮断できないおそれがあった。
【0005】
この対策として、受圧リングを圧力隔壁の奥まで後退させることが考えられるが、接合作業に際して、押出側シールド掘進機の貫入リングが受入側シールド掘進機内に押し込まれた時に、貫入リングにより圧力室の下部に滞留する礫が受圧リングに押し付けられ、その礫の押し付けにより受圧リングが損傷するという問題があった。また貫入リングの長さや貫入ストロークが拡大されて、シールド掘進機の長さが長くなるという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、圧力室内で掘削土砂の流動性を保持して良好に排出することができ、さらに接合作業時に、掘削土砂に含まれる礫に阻害されることなく、押出側シールド掘進機の貫入リングを、受入側シールド掘進機のリング状の受圧リングに良好に接合して止水可能な地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、第1の発明に係る地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機は、押出側シールド掘進機と受入側シールド掘進機とを互いに対向して掘進させ、対向して停止された押出側シールド掘進機から受入側シールド掘進機内へ向けて突出される貫入リングの先端部を、受入側シールド掘進機内に設けられた受圧リングで保持する地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機において、受圧リングが、受入側シールド掘進機内で圧力室と大気室とを区画する圧力隔壁と、受入側シールド掘進機本体を形成する胴部との間であって、前記圧力隔壁の外周近傍に周方向に沿って設けられ、前記圧力室から前記大気室側へ掘削土砂を排出する排土装置が、
圧力室内に泥水を供給する送泥管と、圧力室から泥水に同伴して掘削土砂を排出する排泥管とを具備し、前記排泥管が、前記圧力隔壁に出退自在に貫設されて、その先端部が受圧リングの前方空間に配置され、貫入リングの受入時に、前記圧力隔壁から離脱された
前記排泥管の先端部を受圧リングの前方空間から出退させる排土用出退機構が
前記排泥管に設けられたものである。
【0008】
また、第2の発明に係る地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機は、第1の発明に係る地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機において、貫入リングの受入時に、受圧リングを前方へ突出させるリング突出機構が受圧リングに設けられたものである。
【0011】
さらにまた、
第3の発明に係る地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機は、
第1又は第2の発明に係る地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機において、地盤を掘削するカッタヘッドが胴部の前部に回転自在に配置され、前記カッタヘッドのヘッド本体の外周部に、貫入リングが通過可能なリング挿通空間を介して配置される外周リングと、前記ヘッド本体から出退可能に設けられて前記外周リングを支持する外周リング支持具とが設けられたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、上記地中接合用掘削設備の受入側シールド掘進機によると、受圧リングが圧力隔壁の外周部近傍に配置され、圧力室内で、排土装置の先端部が受圧リングの前方空間に配置されることから、掘削した土砂及び礫を滞留させることなく、良好に排出することができる。また、排土装置で受圧リングの前方に壁を設けることにより、掘削土砂や礫の流れ及び押し込みによって、受圧リングが損傷されるのを防止することができる。また、圧力室の下部で礫の滞留が予想される場合、運転状態の排土装置の先端部を出退させることで、礫の排出が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施形態に係る地中接合用掘削設備1の構成について図面に基づき説明する。
【0015】
[第1実施形態に係る地中接合用掘削設備]
図1に示すように、地中接合用掘削設備1は、受入側シールド掘進機10と、押出側シールド掘進機60とから構成される。地中接合用掘削設備1は、受入側シールド掘進機10と押出側シールド掘進機60とを互いに対向して掘進させ、対向して停止させた後、受入側シールド掘進機10の前部が押出側シールド掘進機60の前部を受け入れることにより、受入側シールド掘進機10及び押出側シールド掘進機60により構築されたトンネル同士を接合するものである。すなわち、地中接合用掘削設備1においては、対向して停止された押出側シールド掘進機60から受入側シールド掘進機10内へ向けて突出される貫入リング61の先端部が、受入側シールド掘進機10内に設けられた受圧リング11に保持され、止水される。なお、貫入リング61及び受圧リング11については後述する。
【0016】
[受入側シールド掘進機の概要]
図2に示すように、受入側シールド掘進機10は、前胴部12と、後胴部13とからシールド本体が形成される。前胴部12及び後胴部13は、筒状に形成されて連結部14を介して屈曲可能に連結される。
【0017】
後胴部13に、掘削されたトンネルを覆工するためのセグメントSを組立てるエレクタ装置45が設けられる。
また、前胴部12と後胴部13との連結部分の内部に、受入側シールド掘進機10を前進させる複数の推進ジャッキ46が周方向に所定間隔ごとに配設される。推進ジャッキ46は、その出力端に設けられた押圧部材46aを、エレクタ装置45により組立てられたセグメントSに押付けることで、受入側シールド掘進機10本体を前進させることができる。
【0018】
さらに、シールド本体内には、前胴部12に設けられた圧力隔壁16により、前部で切羽崩壊土圧を保持する圧力室17が設けられ、後部で大気側に連通された大気室15が設けられる。
【0019】
さらにまた、圧力隔壁16には、シールド軸心(シールド本体の軸心)O上に旋回軸受18を介してカッタ軸19が回転自在に支持される。このカッタ軸19の前部(前胴部12の前端部側)には、カッタヘッド20が取り付けられる。
【0020】
さらにまた、大気室15には、カッタ軸19を介してカッタヘッド20を回転駆動するカッタ駆動装置21が設けられる。カッタ駆動装置21は、カッタ軸19に取り付けられた大ギヤ21aと、大ギヤ21aに噛合する複数の駆動ピニオン21bと、各駆動ピニオン21bをそれぞれ回転駆動するカッタ回転駆動装置(油圧モータ)21cとから構成される。
【0021】
[受圧リング]
図2に示すように、受圧リング11は、中空孔を有する環状の合成ゴム製のリング体で、外周が鋭角で前面が内周側に傾斜する台形断面に形成される。なお、受圧リング11は、合成ゴム製に限定されるのではなく、貫入リング61を受け入れて、止水可能なリング状の弾性体であればよい。
【0022】
受圧リング11は、圧力隔壁16の外周部に取り付けられた円筒状のガイド筒48と、前胴部12のスキンプレートの間の収納空間に収納される。
【0023】
[排土装置]
図2に示すように、排土装置40は、カッタヘッド20により掘削されて圧力室17に取り込まれた掘削土砂を、切羽崩壊土圧を保持しつつ圧力室17から大気室15側へ排出するスクリュー式の排土装置である。この排土装置40は、筒状ケーシング41と、筒状ケーシング41内に回転自在に配置されるスクリュー42とから構成されている。筒状ケーシング41には、スクリュー側フランジ41aが設けられている。
【0024】
また
図2及び
図3に示すように、排土装置40は、圧力隔壁16の外周下部からシールド軸心O側に所定角度傾斜され、入口側が圧力隔壁16にケーシング支持筒44を介して出退自在に貫設される。
【0025】
前記ケーシング支持筒44に止水シール材43を介して筒状ケーシング41が内嵌されており、ケーシング支持筒44は、その上部が圧力隔壁16の下部に固定され、その下部にガイド筒48が固定される。
【0026】
また、排土装置40は、その入口端部(圧力室17側端部)が受圧リング11前方の圧力室17の下部空間(以下、前方空間という)に位置するように設けられる。また、排土装置40の後端側(大気室15側)が前胴部12にチェーン等の支持部材を介して吊り下げられた状態で保持される。
【0027】
[カッタヘッド]
次に、カッタヘッド20について説明する。
図6に示すように、カッタヘッド20は、カッタ軸19(
図2参照)に取り付けられてセンタービット22を有するセンター部材23と、センター部材23から90°ごとに半径方向へ延びる4本の伸縮スポーク24と、これら伸縮スポーク24間からそれぞれ半径方向へ延びる4本の支持スポーク25と、カッタヘッド20本体の外周部に配置される外周リング26とを具備し、伸縮スポーク24と支持スポーク25との間に土砂取入口29が形成され、外周リング26の内周側にリング挿通空間Rが形成されている。そして伸縮スポーク24及び支持スポーク25の前面板に、掘削ビット27がそれぞれ取り付けられる。
【0028】
伸縮スポーク24は、センター部材23に取り付けられたスポーク基部24aに、半径方向へ出退自在に設けられた外周リング支持具24b及びコピーカッタ28と、スポーク基部24aに内装されて外周リング支持具24b及びコピーカッタ28を出退可能な伸縮駆動装置(油圧シリンダ)24cとを具備する。また、支持スポーク25は、センター部材23に取り付けられたスポーク基部25aに、半径方向へ出退自在に設けられた外周リング支持具25bと、スポーク基部25aに内装されて外周リング支持具25bを出退可能な伸縮駆動装置(油圧シリンダ)25cとを具備する。
【0029】
そして、
図6(b)に示すように、伸縮駆動装置24c及び伸縮駆動装置25cを収縮させて外周リング支持具24b及び外周リング支持具25bを基端側に移動させた時に、貫入リング61が挿通可能なリング挿通空間Rが形成される。
【0030】
[リング突出機構]
次に、リング突出機構30について説明する。
図2に示すように、受圧リング11を前方へ突出させるための機構であるリング突出機構30は、受圧リング11の後方に前胴部12の周方向に沿って複数個設けられる。また、リング突出機構30は、前胴部12の内壁とガイド筒48とから形成される空間に収納される。
【0031】
さらに、リング突出機構30は、本体を構成し前端部で受圧リング11を支持する本体部31と、本体部31の後端部に設けられ受圧リング11を前後方向へ動かすための駆動ジャッキ装置32(例えば、油圧ジャッキ)と、本体部31の前後端部に複数個設けられ本体部31と前胴部12の内壁との間及び本体部31とガイド筒48との間をシールするためのシール部33とから構成される。
【0032】
本体部31は、その両端部にシール部33を嵌め込み可能な嵌め込み部分(凹部分)が形成される。
シール部33は、本体部31の嵌め込み部分(凹部分)に嵌めこみ可能で、その外周面が前胴部12の内壁に接する径である環状の部材と、本体部31の嵌め込み部分(凹部分)に嵌めこみ可能で、その内周面がガイド筒48に接する径である環状の部材と、から構成される。シール部33は、本体部31が前後動した場合であっても、本体部31と前胴部12の内壁との間及び本体部31とガイド筒48との間を有効にシールする。
【0033】
このようにリング突出機構30を設けることにより、通常掘削時には、受圧リング11を後方(大気室15側)へ後退させておき、接合作業時(貫入リング61の受入時)に、受圧リング11を前方(圧力室17側)へ移動させることができる。
【0034】
[排土用出退機構]
次に、排土用出退機構50について説明する。
前記排土装置40を圧力隔壁16に固定するケーシング固定具は、ケーシング支持筒44の後側(大気室15側)端部外周に設けられたフランジ部44aと、筒状ケーシング41に突設されたスクリュー側フランジ41aと、これらフランジ部44aおよびスクリュー側フランジ41aとを連結固定可能な複数のボルト等の連結部材(図示せず)からなる。そして当該連結部材を取り外すことにより、筒状ケーシング41がケーシング支持筒44に沿って後退および出退可能となる。
【0035】
図2及び
図3に示すように、この排土用出退機構50は、圧力隔壁16から離脱された排土装置40の先端部(圧力室17側端部)を受圧リング11の前方空間に対して後退または出退させるためのもので、筒状ケーシング41及びケーシング支持筒44の外周部に複数個設けられた直線駆動機構により構成される(図においては1つのみ図示)。
【0036】
[排土用出退機構の第1実施例]
図3に示すように、排土用出退機構50の第1実施例の直線駆動機構として、複数の油圧式シリンダ装置51を具備している。これらシリンダ装置51は、シリンダ本体51aがケーシング支持筒44の外周面に設けられた支持部52に所定角度隔てて支持されるとともに、シリンダロッド51bが筒状ケーシング41のロッド支持部41bに連結されている。
【0037】
この排土用出退機構50により、通常掘削時には[
図3(a)参照]、排土装置40(筒状ケーシング41及びスクリュー42)は、その先端部が受圧リング11の前方に固定される。また、接合作業時(貫入リング61の受入時)には[
図3(b)参照]、排土装置40(筒状ケーシング41及びスクリュー42)を後方(大気室15側)へ後退させ、場合によっては出退駆動させることができる。
【0038】
[排土用出退機構の第2実施例]
次に、排土用出退機構80の第2実施例について説明する。
図4に示すように、排土用出退機構80は、筒状ケーシング41及びケーシング支持筒44の外周面に複数設けられており、直線駆動機構である押し引きボルト機構で構成される。すなわち排土用出退機構80は、排土装置40を斜め前後方向へ移動させる押し引きボルト81aと、筒状ケーシング41に設けられて押し引きボルト81aを回転自在に支持するボルト支持部82aと、ケーシング支持筒44の外周面に設けられて押し引きボルト81aが螺合される雌ねじ部を有するボルト受け部82bとを具備している。したがって、ケーシング固定具を解除した後、排土用出退機構80の押し引きボルト81aを、手動または回転駆動器具により回転させることにより、排土装置40を前後方向に押し引き駆動することができる。
【0039】
[排土用出退機構の第3実施例]
次に、排土用出退機構90の第3実施例について説明する。
図5に示すように、排土用出退機構90は、直線駆動機構であるチェーンブロックなどの引き抜き用の電動式、油圧式、手動式の引き抜き工具を使用するものであり、例えば排土装置40の先端部を受圧リング11の前方空間から引き出すための引出機構90Aにより構成される。また、引出機構90Aに加えて、排土装置40の先端部を受圧リング11の前方空間に押し込むための押込機構90Bを設けることもできる。
【0040】
引出機構90Aは、排土装置40の先端部を受圧リング11の前方空間から引き出すためのチェーン部90aと、チェーン部90aをギヤの回転により駆動させるための回転駆動部90bを具備する。また、引出機構90Aは、そのチェーン部90a側端部が筒状ケーシング41に設けられるチェーン支持部41cに連結され、その回転駆動部90b側端部がエレクタ装置45の支持部材45aに設けられるブラケット45bに連結される。したがって、ケーシング固定具を解除した後、回転駆動部90bのギヤを回転させてチェーン部90aを駆動させることにより、排土装置40を後方向に引き駆動することができる。
【0041】
また、押込機構90Bは、排土装置40の先端部を受圧リング11の前方空間に押し込むためのチェーン部90cと、チェーン部90cをギヤの回転により駆動させるための回転駆動部90dを具備する。また、押込機構90Bは、そのチェーン部90c側端部が筒状ケーシング41に設けられるチェーン支持部41dに連結され、その回転駆動部90d側端部がケーシング支持筒44に設けられるブラケット44bに連結される。したがって、ケーシング固定具を解除した後、押込機構90Bの回転駆動部90dのギヤを回転させてチャーン部90cを駆動させることにより、排土装置40を前方向に押し込み駆動することができる。
【0042】
[押出側シールド掘進機]
次に、押出側シールド掘進機60について説明する。なお、受入側シールド掘進機10と同じ構成部材については説明を省略する。
【0043】
図1に示すように、押出側シールド掘進機60の本体を形成する前胴部62の中央内周部には、環状に形成された中空状の貫入室63が設けられる。また、貫入室63の内部には、貫入リング61が前後方向へ移動可能に収納される。さらに、貫入室63の前端部には、貫入室63と貫入リング61との間をシールする土砂シール64が設けられる。さらにまた、貫入室63の後端部には、貫入リング61を前方向へ押し出すための押出用ロッド65が設けられる。押出用ロッド65は貫入リング61の後端部を支持する。
【0044】
[受圧リング及び排土装置の動作]
次に、受圧リング11及び排土装置40の動作について説明する。なお、排土装置40の動作については、排土用出退機構50(実施例1)を用いた場合について説明する。
【0045】
図3(a)に示すように、受入側シールド掘進機10は、通常掘削時において、排土装置40(筒状ケーシング41及びスクリュー42)の先端部が受圧リング11の前方の圧力室17下部に突出された位置で固定されている。
【0046】
これにより、排土装置40の土砂取込位置が受圧リング11の高さより低くなり、受圧リング11の前方を排土装置40の先端部で覆う状態になる。そのため、最も滞留しやすい圧力室17下部の礫を良好に排出できる。
【0047】
また、
図3(b)に示すように、接合作業時(貫入リングの受入時)において、排土用出退機構50により、排土装置40(筒状ケーシング41及びスクリュー42)の先端部を、受圧リング11の前方から大気室15側へ貫入リング61に干渉しない位置まで後退させる。さらに、リング突出機構30により、受圧リング11を前方(圧力室17側)に移動させる。これにより、受圧リング11の前に滞留した掘削土砂や礫を崩すことができる。また、受圧リング11が前方位置で貫入リング61の先端部を受けることで、貫入リング61の突出ストロークを削減でき、または貫入リング61の出退方向の長さを縮小することができる。また、リング突出機構30が受圧リング11を前後方向へ移動を、数回繰り返して行うことにより、受圧リング11前方の掘削土砂や礫が崩壊させて、貫入リング61の貫入をスムーズに行うことができる。
【0048】
なお、突出された貫入リング61が受圧リング11まで達することができず、貫入リング61と受圧リング11の間に礫が介在されていると考えられる場合には、受圧リング11を後退させた後、排土装置40を運転状態で再度突出させることにより、礫を効果的に排出することができる。
【0049】
このように、排土装置40及び受圧リング11を移動させることにより、貫入リング61がスムーズに突出されて先端部が受圧リング11に保持され、貫入リング61と受圧リング11の接合部における止水性が向上する。
【0050】
[実施の形態1の効果]
以上のように、地中接合用掘削設備1の受入側シールド掘進機10は、押出側シールド掘進機60と受入側シールド掘進機10とを互いに対向して掘進させ、対向して停止された押出側シールド掘進機60から受入側シールド掘進機10内へ向けて突出される貫入リング61の先端部を、受入側シールド掘進機10内に設けられた受圧リング11で保持する地中接合用掘削設備1の受入側シールド掘進機10において、受圧リング11は、受入側シールド掘進機10内で圧力室17と大気室15とを区画する圧力隔壁16と、受入側シールド掘進機10本体を形成する前胴部12との間であって、圧力隔壁16の外周近傍に周方向に沿って設けられ、圧力室17から大気室15側へ掘削土砂を排出する排土装置40は、圧力隔壁16に出退自在に貫設されるとともに、排土装置40の先端部が受圧リング11の前方空間に配置され、貫入リング61の受入時に、圧力隔壁16から離脱された排土装置40の先端部を受圧リング11の前方空間から出退させる排土用出退機構50(80、90)が排土装置40に設けられたものである。
【0051】
このように地中接合用掘削設備1の受入側シールド掘進機10を構成することにより、受圧リング11が圧力隔壁16の外周部近傍に配置され、圧力室17内で、排土装置40の先端部が受圧リング11の前方空間に配置されることから、掘削した土砂及び礫を滞留させることなく、良好に排出することができる。これにより、通常掘削時に、受圧リング11の損傷が防止され、さらに接合作業時に、排土装置40の先端部を後退させて、貫入リング61の受け入れる際に、礫による受圧リング11が損傷することを防止することができる。また、礫が滞留される場合、排土装置40の先端部を出退させることで、礫の排出が可能となる。
【0052】
また、地中接合用掘削設備1の受入側シールド掘進機10は、貫入リング61の受入時に、受圧リング11を前方へ突出させるリング突出機構30を受圧リング11に設けたものである。
【0053】
このように地中接合用掘削設備1の受入側シールド掘進機10を構成することにより、受圧リング11の前に滞留した土砂や礫を崩壊させることができる。そのため、接合作業時(貫入リング61の受入時)に貫入リング61をスムーズに突出させて、貫入リング61と受圧リング11による止水を確実に行うことができる。
【0054】
さらに、地中接合用掘削設備1の受入側シールド掘進機10は、排土装置40が、筒状ケーシング41にスクリュー42が回転自在に配置され、排出する掘削土砂によりプラグを形成して圧力室17内の切羽崩壊土圧を保持するスクリュー式排土装置であり、排土用出退機構50(80、90)が、筒状ケーシング41及びスクリュー42を出退するように構成されるものである。
【0055】
さらにまた、地中接合用掘削設備1の受入側シールド掘進機10は、地盤を掘削するカッタヘッド20が前胴部12の前部に回転自在に配置され、カッタヘッド20のヘッド本体の外周部に、貫入リング61が通過可能なリング挿通空間Rを介して配置される外周リング26と、前記ヘッド本体から出退可能に設けられて外周リング26を支持する外周リング支持具24b(25b)とが設けられるものである。
【0056】
[第2実施形態に係る地中接合用掘削設備]
次に、本発明の第2実施形態に係る地中接合用掘削設備7の構成について
図7および
図8に基づき説明する。
【0057】
第2実施形態に係る地中接合用掘削設備7は、第1実施形態に係る地中接合用掘削設備1と比較して、排土装置の構成が異なる。従って、以下では排土装置70について説明する。
【0058】
[排土装置]
図7に示すように、排土装置70は、カッタヘッド20により掘削されて圧力室17に取り込まれた掘削土砂を、圧力室17側から大気室15側へ排出する装置である。排土装置70は、出口端部(圧力室17側端部)が圧力隔壁16を貫くように設けられ開閉弁を介して圧力室17に泥水を供給する送泥管71と、入口端部が圧力隔壁16に出退自在に貫いて開口され圧力室17から掘削土砂を泥水と共に開閉弁を介して排出する排泥管72とを具備する。
【0059】
排泥管72は、排泥管本体73と、この排泥管本体73の入口側に接続されて、圧力隔壁16の外周底部からシールド軸心O側に所定角度傾斜されたスライド筒部74と、排泥管本体73とスライド筒部74とを伸縮自在に接続する伸縮部75を具備し、スライド筒部74に開閉弁76が介在されている。
【0060】
スライド筒部74の入口端側は、圧力隔壁16に固定されたケーシング支持筒44に出退自在に支持されている。また、ケーシング支持筒44のフランジ部44aと、排泥管72のフランジ72aとが、ボルト等の連結部材(図示せず)により連結固定されたケーシング固定構造により、受入側シールド掘進機10A内に固定され、当該ケーシング固定構造の連結部材を取り外すことにより、スライド筒部74が軸心方向に移動可能となる。
【0061】
伸縮部75は、開閉弁76から出口側に伸びる内筒部75aと、排泥管本体73のエルボ部73aから伸びる内筒部75aにスライド自在に外嵌される外筒部75bと、開閉弁76から出口側に伸び外筒部73bに遊嵌されるスペーサ筒75cと具備し、スペーサ筒75cの出口端部に、外筒部75bを押圧する押圧リング75dが取り付けられ、これら部材のスライド部分にシール部材が介装されて、泥水や土砂の漏水、漏出を防止するシール構造に構成される。
【0062】
そして、排泥管72は、通常掘削時に、その先端部(圧力室17側端部)が圧力室17内で受圧リング11の前方空間に位置するように、ケーシング固定構造により固定されている。
【0063】
図7及び
図8に示すように、排土用出退機構50は、排泥管72のスライド筒部74及びケーシング支持筒44の外周側に、複数個設けられた油圧式シリンダ装置51により構成される(図においては1つのみ図示)。なお、排土用出退機構50の構成は、第1実施形態に係る受入側シールド掘進機10と実質的に同一であり、シリンダロッド51bの先端部が、スライド筒部74の外周面に設けられるロッド支持部72bに支持される構成のみが異なる。
【0064】
なお、排土用出退機構50の代わりに第2実施例である排土用出退機構80や第3実施例である排土用出退機構90を用いてもよい。
【0065】
[接合作業]
次に、接合作業について説明する。なお、排土装置70の動作については、排土用出退機構50(実施例1)を用いた場合について説明する。
【0066】
図7に示すように、通常掘削時、ケーシング固定構造によりスライド筒部74の先端が受圧リング11の前方空間まで突出され、圧力室17の下部空間に流動された掘削土砂や礫などを泥水と共に排泥管72から排出する。排泥管72の先端部が、礫が多く流動する圧力室17下部内で受圧リング11の前方を覆う状態になるため、圧力室17内下部の礫の滞留を防ぐとともに、受圧リング11への礫の衝突を防止して破損を防止することができる。
【0067】
接合作業時には、ケーシング固定構造を解除した後、排土用出退機構50のシリンダ装置51を収縮して、スライド筒部74の先端を受圧リング11の前方空間から後退させ、貫入リング61と干渉しない高さまで後退させる。
【0068】
同時に、リング突出機構30の駆動ジャッキ装置32を進展させて、受圧リング11を前方(圧力室17側)へ移動させる。
そして、受入側シールド掘進機10及び押出側シールド掘進機60のカッタヘッド20で伸縮スポーク24および支持スポーク25を収縮させてリング挿通空間Rを形成する。次いで押出側シールド掘進機60から貫入リング61を突出させ、貫入リング61をカッタヘッド20,20のリング挿通空間R,Rから受入側シールド掘進機10から受入側シールド掘進機10の圧力室17に挿入する。そして貫入リング61の先端部を受圧リング11の前面に接合させる。
【0069】
この時、貫入リング61をスムーズに貫入できない時には、受圧リング11の前方に礫が滞留していると判断される。この場合、排土装置70を運転し、受圧リング11を前後方向に数回繰り返して出退させることで、排泥管72から礫を排出することができる。さらに、受圧リング11を後退させ、排土装置70を運転しつつ、排土用出退機構50によりスライド筒部74を突出させることで、受圧リング11の前方に滞留した礫を排出することもできる。
【0070】
このように、排泥管72及び受圧リング11を移動させることにより、貫入リング61の先端部が受圧リング11に保持され易くなるとともに、受圧リング11における止水性が向上する。
【0071】
以上のように、第2実施形態に係る地中接合用掘削設備7の受入側シールド掘進機10Aは、排土装置70が、圧力室17内に泥水を供給する送泥管71と、圧力室17から泥水に同伴して掘削土砂を排出する排泥管72とを具備し、排土用出退機構50が、排泥管72の先端部を出退するように構成されるものである。
【0072】
このように第2実施形態に係る地中接合用掘削設備7の受入側シールド掘進機10Aによれば、受圧リング11を圧力隔壁の外周部に配置して、圧力室17の外周部に十分な土砂の流動空間を確保し、排泥管72のスライド筒部74を、受圧リング11の前方の圧力室17の下部に突出させて通常掘削を行うことにより、滞留する掘削土砂や礫をスムーズに排出することができるとともに、礫などによる受圧リング11の破損を防止することができる。また、受入側シールド掘進機10A及び押出側シールド掘進機60の接合作業時に、排泥管72のスライド筒部74を、受圧リング11の前方から後退させ、受圧リング11を圧力室17内に突出させることにより、貫入リング61の突出ストロークを短くできるとともに貫入リング61の長さを短縮することができる。さらに、受圧リング11を出退させることで滞留する礫や掘削土砂を撹拌して、排泥管72から排出することができる。さらに、排泥管72のスライド筒部74を出退させることで、受圧リング11の前方で圧力室17の下部に滞留する土砂や礫を効果的に排出することができる。