(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面により本発明の実施の形態を詳述する。
[各実施形態の特徴]
第1の実施形態の特徴は、本発明の基本的な構成例であり、異なるカテゴリーの指標が回転板の回転中心に対して対角に配置されたレトログラード表示を実現する多機能時計である。第2の実施形態の特徴は、回転板の径方向に異なる機能モードに対応する指標が配置され、文字板の窓が各カテゴリー毎に文字板の回転中心に対し、異なる角度領域に配置される多機能時計である。第3の実施形態の特徴は、回転板の径方向に同じ機能モードに対応する指標が配置され、文字板の窓が各カテゴリーとも、文字板の回転中心に対し、同じ角度領域に配置される多機能時計である。第4の実施形態の特徴は、文字板の窓が周回方向で連続して配置され、この連続した窓によって同一カテゴリーの指標が表示される多機能時計である。
【実施例1】
【0012】
[第1の実施形態の多機能時計の概略説明:
図1]
第1の実施形態の多機能時計を
図1を用いて説明する。
図1において、符号1は第1の実施形態の多機能時計である。多機能時計1は、金属等によって成る外装2、文字板3、時刻を表示する秒針4a、分針4b、時針4c、時刻の修正や後述する回転板の操作を行うリューズ5、使用者の腕に装着するためのバンド6などを有している。ここで、秒針4a、分針4b、時針4cは、図示しないステップモータと輪列機構によって、文字板3の回転中心3xを基準にして回転し、時刻を表示する。なお、秒針4a、分針4b、時針4cをまとめて指針4と称する。
【0013】
また、文字板3の下面には、回転可能に構成された円形の回転板10(後述する
図2参
照)が配置され、回転板10の回転中心10x(
図2参照)と文字板の回転中心3xは、厚み方向から見た位置が一致している。すなわち、文字板3は、回転板10の上面に配置される。文字板3には、回転板10の回転中心10xからの距離が異なる3つの窓3a、3b、3cが開口しており、この窓3a、3b、3cによって回転板10上の指標を表示することが出来る。
【0014】
窓3aは、回転板10上に配置された機能モードの名称を表示するものであり、一例として、文字板3の回転中心3xに近い9時方向に配置される。また、窓3bは、機能モードの名称に対応するカテゴリーの指標を表示する窓であり、一例として、円弧形状であって、文字板3の4時〜5時付近に配置され、回転板10上に配置されたカテゴリーの指標を表示する。窓3cは、機能モードに対応する他のカテゴリーの指標を表示する窓であり、一例として、窓3bより小さな円弧形状であって、文字板3の10時〜11時付近に配置され、回転板10上に配置された他のカテゴリーの指標を表示する。
【0015】
このように、3つの窓3a、3b、3cは、回転板10に記載されている複数の指標に対応して文字板3の回転中心3xに対し、異なる角度領域に配置されている。また、2つの窓3bと窓3cは、文字板3の回転中心3x(または回転板10の回転中心10x)に対して対角に配置されている。また、窓3a、3b、3cの文字板3の回転中心3x(または回転板10の回転中心10x)からの距離は、窓3aが最も近く、窓3cが最も離れている。なお、文字板3に開口する窓は3個に限定されず、表示する指標に応じて3個以上設けてよい。また、窓3b、3cは円弧形状であるが、窓の形状は限定されない。
【0016】
また、窓3bと窓3cから見える位置に、それぞれの指標を指し示す小針7a、7bが配置されている。小針7a、7bは、ここでは図示しないが、それぞれステップモータによって駆動され、窓3bと窓3cから見える回転板10上の指標を指し示すことができる。すなわち、小針7a、7bは、厚み方向で文字板3と回転板10の間に配置され、その先端部分が、窓3bと窓3cから見えるのである。
【0017】
[第1の実施形態のデイモードの表示説明:
図1]
次に、第1の実施形態の多機能時計のデイモードの表示例を
図1を用いて説明する。
図1において多機能時計1は、機能モードとしてデイモードの表示例を示しており、窓3aは、多機能時計1の機能モードがデイモードであるので、名称“DAY”を表示している。また、窓3bは、デイモードに対応するカテゴリーとして月齢を表示しており、一例として、小針7aによって月齢が満月であることを表示している。また、窓3cは、デイモードに対応するカテゴリーとして曜日を表示しており、一例として、小針7bによって曜日がW(水曜)であることを表示している。
【0018】
このように、第1の実施形態の多機能時計によれば、3個の窓3a、3b、3cが開口されている文字板3を有し、この文字板3の下面に回転板10を配置することで、複数の機能モードに対応する複数のカテゴリーに対応した指標を文字板3のスペースを有効に活用して効率よく表示することができる。また、円弧形状の窓3b、3cによって、
図1の例では、複数のカテゴリーである月齢表示と曜日表示を同時に表示でき、カテゴリーの階層表示か可能である。また、この2つの窓3b、3cは、文字板3の回転中心3xに対して対角に配置されているので、表示される2つの指標の対応関係が分かりやすい利点がある。
【0019】
[第1の実施形態の回転板の指標配置例の説明:
図2]
次に、第1の実施形態の多機能時計に使用される回転板の指標配置例を
図2を用いて説明する。
図2において、回転板10は薄い円板状であり、前述した文字板3(
図1参照)の下面に配置され、回転中心10xを基準として、リューズ5(
図1参照)の操作によっ
て、図示しない手段により回転する構成である。
【0020】
回転板10の表面には、一例として4つの機能モードの名称に対応する複数のカテゴリーに対応した複数の指標が記載されている。4つの機能モードは、一例として、デイモード、カレンダモード、エコモード、ミニッツリピータモードである。デイモードは、“DAY”を表示する名称11aと、デイモードに対応するカテゴリーの月齢の指標11bと、デイモードに対応する他のカテゴリーの曜日の指標11cを有している。
【0021】
この月齢の指標11bは、月の満ち欠けを表しており、一例として、絵とマークで新月から満月まで、満月から次の新月までの月の満ち欠けを表している。なお、指標11bの両端にある小さな三角形のマークは、新月と次の新月の位置を示している。また、曜日の指標11cは、日曜から土曜までの一週間を表しており、一例として、曜日の英語読みの頭文字7つ“SMTWTFS”で表している。
【0022】
またカレンダモードは、“CAL”を表示する名称12aと、カレンダモードに対応するカテゴリーの月の指標12bと、カレンダモードに対応する他のカテゴリーの経年(閏年からの経過年)の指標12cを有している。
【0023】
この月の指標12bは、1月から12月までの1年間を文字とマークによって表しており、一例として、月の英語読みの省略形を1ヶ月おきに図示するように表している。また、経年の指標12cは、閏年からの経過年を数字と文字によって表しており、一例として、“1”、“2”、“3”、“L/Y“で表している。なお、“L/Y”は閏年(LEAP YEAR)の省略形である。
【0024】
またエコモードは、“ECO”を表示する名称13aと、エコモードに対応するカテゴリーの日パワーリザーブの指標13bと、エコモードに対応する他のカテゴリーの年パワーリザーブの指標13cを有している。
【0025】
この日パワーリザーブの指標13bは、当日の充電量を日数で表示しており、一例として“−2”〜“0”〜“+3”の数字で表しており、たとえば、“+2”は当日に約2日分の充電がされたことを示し、また、“−1”は当日に充電がされずに、約1日分の電気が消費されたことを示している。また、年パワーリザーブの指標13cは、時計の動作可能時間を年数で表示しており、一例として“0”〜“3”の数字で表しており、たとえば、“0”は充電量として時計の動作可能時間が1年以下であることを示し、また、“3”は充電量として時計の動作可能時間が約3年分以上蓄えられていることを示している。
【0026】
またミニッツリピータモードは、“RPT”を表示する名称14aと、ミニッツリピータモードに対応するカテゴリーのミニッツリピータ文字の指標14bと、ミニッツリピータモードに対応する他のカテゴリーの音階ゲージの指標14cを有している。
【0027】
このミニッツリピータ文字の指標14bは、一例として、文字“Minutes Repeater”で表している。また、このミニッツリピータモードにおいて、時の単位と15分の単位と1分の単位のそれぞれ異なる音階で時刻を表現する場合を例とすると、音階ゲージの指標14cは、ト音記号と、時の音階である高音階の音符記号、15分の音階である高音階と低音階の音符記号、1分の音階である低音階の音符記号で表している。
【0028】
このように複数の指標が配置された回転板10が回転して、“DAY”を表示する名称11aが文字板3の窓3a(
図1参照)で表示される位置に停止したとき、月齢の指標11bが文字板3の窓3bで表示され、曜日の指標11cが文字板3の窓3cで表示されるように、月齢の指標11bと曜日の指標11cは、各窓に対応して回転板10上に配置さ
れる。
【0029】
また、回転板10が矢印A方向に回転して、“CAL”を表示する名称12aが文字板3の窓3a(
図1参照)で表示される位置に停止したとき、月の指標12bが文字板3の窓3bで表示され、経年(閏年からの経過年)の指標12cが文字板3の窓3cで表示されるように、月の指標12bと経年の指標12cは、各窓に対応して回転板10上に配置される。
【0030】
さらに、回転板10が矢印A方向に回転して、“ECO”を表示する名称13aが文字板3の窓3a(
図1参照)で表示される位置に停止したとき、日パワーリザーブの指標13bが文字板3の窓3bで表示され、年パワーリザーブの指標13cが文字板3の窓3cで表示されるように、日パワーリザーブの指標13bと年パワーリザーブの指標13cは、各窓に対応して回転板10上に配置される。
【0031】
さらに、回転板10が矢印A方向に回転して、“RPT”を表示する名称14aが文字板3の窓3a(
図1参照)で表示される位置に停止したとき、ミニッツリピータ文字の指標14bが文字板3の窓3bで表示され、音階ゲージの指標14cが文字板3の窓3cで表示されるように、ミニッツリピータ文字の指標14bと音階ゲージの指標14cは、各窓に対応して回転板10上に配置される。
【0032】
ここで、各指標が弧を描くように、回転板10に記載されているのは、これらの指標を表示する窓3b、窓3cが円弧形状であることに対応しており、スペースを有効に活用できるレトログラード表示を行うためである。
【0033】
また前述したように、文字板3の窓3bと窓3cは、回転板10の回転中心10xに対して対角に配置されているので、回転板10上の各機能モードに対応する複数のカテゴリーに対応した指標は、窓3bと窓3cの配置に合わせて、回転板10の回転中心10xに対して対角に配置されている。たとえば、デイモードに対応するカテゴリーの月齢の指標11bと、デイモードに対応する他のカテゴリーの曜日の指標11cは、回転板10の回転中心10xに対して対角に配置されている。
【0034】
また、回転板10が回転することによって機能モードが切り替わり、各機能モードに対応する複数のカテゴリーも切り替わるので、回転板10上の各機能モードに対応するカテゴリーの指標は、回転板10の回転中心10xに対し、異なる角度領域に配置される。たとえば、デイモードに対応するカテゴリーの月齢の指標11bと、カレンダモードに対応するカテゴリーの月の指標12bは、回転板10の回転中心10xに対し、90度異なる角度領域に配置されている。これは、窓3bがデイモードでは月齢の指標11bを表示し、カレンダモードでは月の指標12bを表示するためである。
【0035】
また、前述したように、文字板3の窓3a、窓3b、窓3cは、回転板10の回転中心10xからの距離が異なるように開口されているので、窓3aによって表示される機能モードの名称11a、12a、13a、14aと、窓3bによって表示されるカテゴリーに対応した指標11b、12b、13b、14bと、窓3cによって表示されるカテゴリーに対応した指標11c、12c、13c、14cとは、回転板10の回転中心10xからの距離が異なる位置に配置される。
【0036】
たとえば、デイモードの“DAY”を表示する名称11aと、デイモードに対応するカテゴリーの月齢の指標11bと、デイモードに対応する他のカテゴリーの曜日の指標11cとは、回転板10の回転中心10xからの距離が異なる位置に配置されている。すなわち、“DAY”名称11aが回転中心10xに最も近く、曜日の指標11cが回転中心1
0xから最も離れた位置に配置されている。
【0037】
[第1の実施形態のカレンダモードの表示説明:
図3]
次に、第1の実施形態の多機能時計のカレンダモードの表示例を
図3を用いて説明する。
図3は第1の実施形態の多機能時計1のカレンダモードの表示例を示しており、
図3において、多機能時計1の外装2、文字板3、窓3a、3b、3c、指針4、リューズ5などは、
図1のデイモードの表示例と同様であるので説明は省略する。
【0038】
ここで、多機能時計1は、
図1に示すデイモードからリューズ5を操作して回転板10を90度右回転させると(
図2の矢印A方向)、
図3に示すカレンダモードに切り替わる。すなわち、多機能時計1は回転板10を回転させることで、後述する制御手段によって機能モードを切り替えることができる。このカレンダモードにおいて、窓3aは、多機能時計1の機能モードがカレンダモードに切り替えられたので、名称12a“CAL”を表示している。
【0039】
また、窓3bは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして月の指標12bを表示しており、一例として小針7aによって、月がJUL(7月)であることを表示している。また、窓3cは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして経年の指標12cを表示しており、一例として小針7bによって、経年が2年であることを表示している。
【0040】
このように、第1の実施形態の多機能時計1が機能モードとしてカレンダモードであるとき、窓3aによってカレンダモードの名称の表示と、対角に配置された窓3bと窓3cによって、そのカレンダモードに対応した複数のカテゴリーの月表示と経年表示を分かりやすく表示することができる。
【0041】
なお、第1の実施形態の多機能時計1は、指針4が常に時刻を表示しているが、このカレンダモードと前述したデイモードでは、外装2の横に設けられる図示しないプッシュボタンを使用者が押下することで、秒針4aが秒針目盛りを使って日付を所定の時間だけ表示するとよい。たとえば、7日であれば、使用者がプッシュボタンを押下すると、秒針4aが秒針目盛りの7秒(図示せず)の位置に移動し、所定の時間静止して日付の7日を表示し、その後再び秒針4aが移動して現在の秒を表示する。この動作によって使用者はいつでも日付を確認することができる。
【0042】
[第1の実施形態のエコモードの表示説明:
図4(a)]
次に、第1の実施形態の多機能時計のエコモードの表示例を
図4(a)を用いて説明する。
図4(a)は第1の実施形態の多機能時計1のエコモードの表示例を示しており、
図4(a)において、多機能時計1の外装2、文字板3、窓3a、3b、3c、指針4、リューズ5などは、
図1のデイモードの表示例と同様であるので説明は省略する。また、
図4(a)、
図4(b)では、バンド6の図示は省略している。
【0043】
ここで、
図3に示すカレンダモードから、リューズ5を操作して回転板10を90度右回転させると(
図2の矢印A方向)、
図4(a)に示すエコモードに切り換えることができる。このエコモードにおいて、窓3aは、多機能時計1の機能モードがエコモードに切り替えられたので、名称13a“ECO”を表示している。
【0044】
また、窓3bは、エコモードに対応するカテゴリーとして指標13bの日パワーリザーブを表示しており、一例として小針7aによって“+1”、すなわち、当日に約1日分の充電がなされたことを表示している。また、窓3cは、エコモードに対応するカテゴリーとして指標13cの年パワーリザーブを表示しており、一例として小針7bによって“1”、すなわち、充電量として時計の動作可能時間が約1年分以上蓄えられていることを表
示している。
【0045】
このように、第1の実施形態の多機能時計1が機能モードとしてエコモードであるとき、窓3aによってエコモードの名称13aの表示と、対角に配置された窓3bと窓3cによって、エコモードに対応したカテゴリーの指標13bの日パワーリザーブ表示と、指標13cの年パワーリザーブ表示とを、分かりやすく表示することができる。
【0046】
[第1の実施形態のミニッツリピータモードの表示説明:
図4(b)]
次に、第1の実施形態の多機能時計のミニッツリピータモードの表示例を
図4(b)を用いて説明する。なお、ミニッツリピータモードは、現在時刻を音の数で知らせる機能を言う。
図4(b)は第1の実施形態の多機能時計1のミニッツリピータモードの表示例を示しており、
図4(b)において、多機能時計1の外装2、文字板3、窓3a、3b、3c、指針4、リューズ5などは、
図1のデイモードの表示例と同様であるので説明は省略する。
【0047】
ここで、
図4(a)に示すエコモードから、リューズ5を操作して回転板10を90度右回転させると(
図2の矢印A方向)、
図4(b)に示すミニッツリピータモードに切り換えることができる。このミニッツリピータモードにおいて、窓3aは、多機能時計1の機能モードがミニッツリピータモードに切り替えられたので、名称14a“RPT”を表示している。
【0048】
また、窓3bは、ミニッツリピータモードに対応するカテゴリーとして指標14bのミニッツリピータ文字を表示しており、この場合、一例として小針7aは、窓3bから隠れた位置に置かれている。また、窓3cは、ミニッツリピータモードに対応したカテゴリーの音階ゲージの指標14cを表示しており、一例として小針7bによって、時の音階である高音階に合わせて、高音階の音符記号を示している。
【0049】
このミニッツリピータモードは、外装2の側面に配置される図示しないプッシュボタンを使用者が押すことで、ミニッツリピータ機能が動作し、時の単位、15分の単位、1分の単位の順で、図示しない発音体から鐘の音が発せられる。このとき、窓3cから見える小針7bが、時の単位の音が発せられているときは、指標14cの中で時の音階である高音階の音符記号を指し、15分の単位の音が発せられているときは、15分の音階である高音階と低音階の音符記号を指し、1分の単位の音が発せられているときは、1分の音階である低音階の音符記号を指すと、使用者に分かりやすい。
【0050】
このように、第1の実施形態の多機能時計1が機能モードとしてミニッツリピータモードであるとき、窓3aによってミニッツリピータモードの名称14aの表示と、対角に配置された窓3bと窓3cによって、ミニッツリピータモードに対応したカテゴリーの指標14bのミニッツリピータ文字表示と、指標14cの音階ゲージとを表示して、ミニッツリピータモードの動作を使用者に分かりやすく示すことができる。
【0051】
[第1の実施形態の多機能時計のシステム構成の説明:
図5]
次に、第1の実施形態の多機能時計のシステム構成の一例を
図5のブロック図を用いて説明する。
図5において、第1の実施形態の多機能時計1は、多機能時計1の全体の動作を制御する制御手段としてのワンチップのマイクロコンピュータ20(以下、マイコン20と略す)、指針4を回転制御する第1ステップモータ31、小針7aを回転制御する第2ステップモータ32、小針7bを回転制御する第3ステップモータ33、基準信号源である水晶振動子34、回転板10の回転を検出する回転センサ35などによって構成されている。
【0052】
第1ステップモータ31は、秒針、分針、時針によってなる指針4を図示しない輪列を介して回転駆動させて時刻を表示する。また、第2ステップモータ32は、窓3bから露出する小針7aを回転させて、前述したように、回転板10に配置されるカテゴリーに対応する指標を指して、月齢や月などを表示する。また、第3ステップモータ33は、窓3cから露出する小針7bを回転させて、前述したように、回転板10に配置されるカテゴリーに対応する指標を指して、曜日や経年などを表示する。
【0053】
マイコン20は、演算機能備えた制御部21、水晶振動子34に接続して基準信号を発振し、計時信号P1を出力する計時回路22、制御部21に対して作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)23、制御プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)24、第1〜第3ステップモータ31〜33をそれぞれ駆動する駆動回路25、26、27などによって構成される。
【0054】
また、回転板10は、前述したように、リューズ5を使用者が操作することで、図示しない機械的な回転手段によって矢印Aの方向に回転可能である。なお、回転板10の回転方向は限定されない。また、回転センサ35は、回転板10の回転を検出し、回転信号P2をマイコン20の制御部21に出力する。ここで、回転センサ35は、機械的な接点バネなどで構成してもよく、または磁気センサなどで構成してもよい。また、回転板10の回転手段は、リューズ5の操作による機械的な手段ではなく、ステップモータなどによる電気的な回転手段でもよい。
【0055】
なお、実際の多機能時計1には、電源となる電池、エコモードに対応するためのソーラーセル、ミニッツリピータ機能をスタートさせるためのプッシュボタン、及び、発音体などが必要であるが、これらは本発明に直接係わらないので、図示は省略する。
【0056】
[第1の実施形態の多機能時計の動作説明:
図5]
次に、第1の実施形態の多機能時計1の動作の概略を
図5を用いて説明する。
図5において、マイコン20は、計時回路22によって水晶振動子34を発振させ、たとえば、1秒信号である計時信号P1を制御部21に出力する。制御部21は、ROM24に記憶している制御ブログラムによって動作し、計時信号P1を入力して、時刻の秒、分、時、曜日、月、年等を取得して、時刻データとしてRAM23に記憶する。
【0057】
また、制御部21は、RAM23に記憶している時刻データを周期的に参照し、駆動回路25を制御して第1パルスモータ31を駆動し、指針4によって現在の時刻を表示する。
【0058】
また、制御部21は、回転センサ35からの回転信号P2を常に監視し、回転板10の回転位置が、4つの機能モードのいずれかであるか、すなわち、デイモード、カレンダモード、エコモード、ミニッツリピータモードのいずれかであるかを検出して、現在の機能モードをRAM23に記憶している。
【0059】
ここで、マイコン20が、回転板10の回転位置から機能モードが、たとえば、デイモード(
図1参照)であると検出したならば、窓3bに表示されているカテゴリーが月齢であり、月齢の指標11bが表示されているので、駆動回路26を制御して第2ステップモータ32を駆動し、現在の月齢の位置に小針7aを移動させて月齢表示を行う。
【0060】
また、マイコン20は、窓3cに表示されているカテゴリーが曜日であり、曜日の指標11cが表示されているので、駆動回路27を制御して第3ステップモータ33を駆動し、現在の曜日の位置に小針7bを移動させて曜日表示を行う。
【0061】
ここで、使用者(図示せず)が、リューズ5を操作して回転板10をカレンダモード(
図3参照)に切り換えたとする。すると、マイコン20の制御部21は、前述したように、回転センサ35からの回転信号P2を常に監視しているので、回転板10がカレンダモードに切り換えられたことを瞬時に判断することができる。
【0062】
これにより、マイコン20は、窓3bに表示されているカテゴリーが月であり、月の指標12bが表示されているので、駆動回路26を制御して第2ステップモータ32を駆動し、現在の月の位置に小針7aを移動させて月表示を行う。また同様にマイコンは、窓3cに表示されているカテゴリーが経年であり、経年の指標12cが表示されているので、駆動回路27を制御して第3ステップモータ33を駆動し、現在の経年の位置に小針7bを移動させて経年表示を行う。
【0063】
以下同様に、マイコン20は、回転板10の回転位置を常に監視し、回転板10の回転位置に応じた機能モードに切り換えて、第2ステップモータ32と第3ステップモータ33を駆動させ、現在の機能モードに対応した動作を行う。なお、リューズ5の操作によって回転板10が回転するが、その回転に不具合が生じて回転板10の回転位置がずれた場合には、マイコン20がその回転ずれを検出し、小針7a、7bを窓3b、3cから見えなくする、または秒針4aを変則運針(2秒運針など)させる、またはアラーム音を出す、またはこれらの複合動作を行うなどを実施して使用者に不具合を伝えて、誤認識を防ぐ手段をとることもできる。
【0064】
以上のように、第1の実施形態の多機能時計によれば、複数の機能モードに対応する複数のカテゴリーに対応した指標を複数有する回転板10を、リューズ5によって回転させることで、多機能時計に備えられている複数の機能モードを瞬時に切り換えることができる。そして、文字板3に配置した3つの窓3a、3b、3cによって、機能モードの名称表示と共に、選択された機能モードに対応する複数の異なるカテゴリーに対応した指標を表示し、さらに小針7a、7bによって、各カテゴリーに対応した指標を指し示して表示することができる。
【0065】
このように、機能モードが簡単に切り替えられると共に、文字板3の3つの窓によって複数のカテゴリーを表示できるので、月齢表示と曜日表示、月表示と経年表示というように、カテゴリーの階層表示が可能であり、多彩な機能表現を実現可能とする多機能時計を提供することができる。また、3つの窓によって複数のカテゴリーに対応した指標を切り換えて表示できるので、文字板3の限られたスペースを有効に活用でき、各窓から表示する指標の文字やマークのサイズを十分大きくすることが可能であり、視認性に優れた見やすい多機能時計を提供できる。
【0066】
また、異なるカテゴリーの指標を対角に配置された2つの窓3b、3cによって表示するので、使用者にとって対角に表示される指標の対応関係が分かりやすく、機能モードが切り替わっても、切り替わった指標を瞬時に理解しやすい利点がある。また、窓の領域以外の文字板3のスペースを広く確保できるので、文字板のデザインやロゴのために多くのスペースを活用でき、多様なデザインを備えた多機能時計を提供できる。さらに、第1の実施形態の多機能時計は、複数のカテゴリーを表示する2つの窓3b、3cと小針7a、7bによって、レトログラード表示を実現しているので、デザイン性に優れた多機能時計を提供できる。
【0067】
なお、第1の実施形態の多機能時計の4つの機能モードは、デイモード、カレンダモード、エコモード、ミニッツリピータモードとして説明したが、機能モードはこれらに限定されず、たとえば、ローカルタイム表示モード等、仕様に応じて任意の機能モードを選択してよい。
【実施例2】
【0068】
[第2の実施形態の多機能時計の回転板の説明:
図6]
次に、第2の実施形態の多機能時計に用いられる回転板の概略を
図6を用いて説明する。なお、第2の実施形態の多機能時計は、標準電波を受信して時刻修正を行う電波時計であることを前提とする。
図6において、符号40は第2の実施形態の多機能時計に用いられる回転板である。回転板40は回転中心40xを基準として、リューズ5(
図1参照)の操作によって、図示しない手段により回転する構成である。回転板40の表面には、異なる3つの機能モードに対応する複数のカテゴリーに対応した複数の指標が記載されている。
【0069】
3つの機能モードは、一例として、時刻モード、カレンダモード、電波受信確認モードである。ここで、時刻モードに対応するカテゴリーとして、後述する文字板のデザインと一体化する指標41a、41b、41cが、回転板40の回転中心40xに対し、異なる角度領域に配置されている。
【0070】
また、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、日の指標42a、月の指標42b、経年の指標42cが、回転板40の回転中心40xに対し、異なる角度領域に配置されている。ここで、日の指標42aは、1日から31日までの1ヶ月を1日ごとの目盛線によって表している。なお、日の指標42aは概略図であって、目盛線は正確ではない。また、月の指標42bは、1月から12月までの1年間を文字によって表しており、一例として、月の英語読みの省略形を1ヶ月おきに図示するように表している。また、経年の指標42cは、閏年からの経過年を数字と文字によって表しており、一例として、“1”、“2”、“3”、“L/Y“で表している。
【0071】
また、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、時差設定の指標43a、受信局の指標43b、受信結果の指標43cが、回転板40の回転中心40xに対し、異なる角度領域に配置されている。ここで、時差設定の指標43aは、グリニッジ標準時に対する時差を−12時間から+12時間まで表している。また、受信局の指標43bは、受信した受信局を示すものであり、一例として、日本(JPN)、アメリカ(USA)、ヨーロッパ(EUR)、中国(CHN)の4地域を配置している。また、受信結果の指標43cは、一例として、電波受信が成功したときの電波の強さ表示(“H”、“M”、“L”)、受信失敗表示“NO”、受信中表示“RX”を配置している。
【0072】
このように、第2の実施形態の回転板40は、回転板40の径方向に異なる機能モードに対応するカテゴリーが配置されると共に、回転板40の回転中心40xに対し、異なる角度領域に各機能モードに対応するカテゴリーが配置されている。
【0073】
[第2の実施形態の多機能時計の説明:
図7]
次に、第2の実施形態の多機能時計を
図7を用いて説明する。
図7において、符号50は、第2の実施形態の多機能時計である。多機能時計50は、第1の実施形態の多機能時計1と同様に、外装2、リューズ5、バンド6などを有しているが、説明が重複するので図示は省略し、文字板51と秒針4a、分針4b、時針4cのみを図示している。なお、以降の第3および第4の実施形態においても、説明が重複するので外装2、リューズ5、バンド6などの図示は省略している。
【0074】
文字板51の下面には、前述した回転板40(
図6参照)が回転可能に配置されており、文字板51には、3つのカテゴリーを表示するための3つの窓51a、51b、51cが開口している。この3つの窓51a、51b、51cは、文字板51の回転中心51xからの距離が異なる位置に配置され、また、文字板51の回転中心51xに対し、異なる
角度領域に配置されている。
【0075】
すなわち、窓51aは回転中心51xから最も遠い位置に配置され、窓51cは回転中心51xから最も近い位置に配置され、窓51bはその中間の位置に配置される。また、窓51a、51b、51cの周回方向の中心は、それぞれ約120度ずれており、回転中心51xに対し、異なる角度領域に配置されている。
【0076】
[第2の実施形態の多機能時計の電波受信確認モードの表示説明:
図7]
次に、第2の実施形態の多機能時計の電波受信確認モードの表示例を
図7を用いて説明する。
図7は第2の実施形態の多機能時計50が、電波受信確認モードである表示例を示しており、窓51aは、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、時差設定の指標43aを表示しており、秒針4aによって、時差が+9時間であることを示している。
【0077】
また、窓51bは、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、受信局の指標43bを表示しており、分針4bによって、受信局が日本(JPN)であることを示している。また、窓51cは、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、受信結果の指標43cを表示しており、時針4cによって、受信が成功し電波が強い状態(H)であることを示している。
【0078】
このように、第2の実施形態の多機能時計50が機能モードとして電波受信確認モードであるとき、窓51aによって時差設定を表示し、窓51bによって受信局を表示し、窓51cによって受信結果を表示するので、スペースが限られた文字板51を有効に活用して、電波受信確認モードを分かりやすく表示することができる。
【0079】
[第2の実施形態の多機能時計のカレンダモードの表示説明:
図8(a)]
次に、第2の実施形態の多機能時計のカレンダモードの表示例を
図8(a)を用いて説明する。
図8(a)は第2の実施形態の多機能時計50が、カレンダモードである表示例を示しており、窓51aは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、日の指標42aを表示しており、秒針4aによって、所定の日付を示している。
【0080】
また、窓51bは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、月の指標42bを表示しており、分針4bによって、月がJUL(7月)とSEP(9月)の間の8月であることを示している。また、窓51cは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、経年の指標42cを表示しており、時針4cによって、経年がLY(閏年)であることを示している。
【0081】
[第2の実施形態の多機能時計の時刻モードの表示説明:
図8(b)]
次に、第2の実施形態の多機能時計の時刻モードの表示例を
図8(b)を用いて説明する。
図8(b)は第2の実施形態の多機能時計50が、秒針4a、分針4b、時針4cによって時刻を表示する時刻モードである表示例を示しており、窓51aには指標41aが表示され、窓51bに指標41bが表示され、窓51cに指標41cが表示されている。
【0082】
ここで、指標41a、41b、41cは、前述したように、文字板51のデザインと一体化するデザインであり、文字板51が白の無地であれば、指標41a、41b、41cも白の無地がデザインされるとよい。これによって、時刻モードにおいては、文字板51の窓51a、51b、51cが目立たず、秒針4a、分針4b、時針4cによる時刻表示を見やすくすることができる。
【0083】
以上のように、第2の実施形態の多機能時計50は、回転板40の径方向に異なる機能モードに対応するカテゴリーが配置されると共に、回転板40の回転中心40xに対し、
異なる角度領域に各機能モードに対応するカテゴリーが配置されている。また、複数のカテゴリーを表示する3つの窓51a、51b、51cは、文字板51の回転中心51xからの距離が異なる位置に配置され、また、文字板51の回転中心51xに対し、異なる角度領域に配置されている。
【0084】
これにより、3つの機能モードに対応する3つのカテゴリーの指標をスペースが限られた文字板51を有効に活用して見やすく配置できるので、視認性に優れた使いやすい多機能時計を提供することができる。また、第2の実施形態の多機能時計50は、時刻を表示する秒針4a、分針4b、時針4cを併用して各カテゴリーの指標を指し示す構成であるので、第1の実施形態の多機能時計1に必要であった小針7a、7bが不要であり、時計機構を簡略化できる利点を備えている。
【0085】
また、第2の実施形態の多機能時計50のシステム構成は、前述した第1の実施形態の多機能時計1のシステム構成(
図5参照)と大差がなく、違いは、3つのパルスモータ31、32、33が、それぞれ秒針4a、分針4b、時針4cを駆動する専用モータとして構成され、また、標準電波受信部が追加されるだけであり、これらの構成の違いは本発明に直接係わらないので、第2の実施形態のシステム構成の説明は省略する。
【0086】
なお、第2の実施形態の多機能時計の3つの機能モードは、時刻モード、カレンダモード、電波受信確認モードとして説明したが、機能モードはこれらに限定されず、仕様に応じて任意の機能モードを選択してよい。また、機能モードの数も3つに限定されず、たとえば、回転板40の指標を周回方向に約90度ごとに分割して、4つの機能モードを選択できるようにしてもよい。
【実施例3】
【0087】
[第3の実施形態の多機能時計の回転板の説明:
図9]
次に第3の実施形態の多機能時計に用いられる回転板の概略を
図9を用いて説明する。なお、第3の実施形態の多機能時計は、標準電波を受信して時刻修正を行う電波時計であることを前提とする。
図9において、符号60は第3の実施形態の多機能時計に用いられる回転板である。回転板60は回転中心60xを基準として、リューズ5(
図1参照)の操作によって、図示しない手段により回転する構成である。回転板60の表面には、異なる3つの機能モードに対応する複数のカテゴリーに対応した複数の指標が記載されている。
【0088】
3つの機能モードは、一例として、時刻モード、カレンダモード、電波受信確認モードであり、同じ機能モードに対応する指標が回転板60の径方向にまとめて配置される。すなわち、時刻モードに対応するカテゴリーとして、後述する文字板のデザインと一体化する指標61a、61b、61cが、回転板60の径方向にまとめて配置されている。
【0089】
また、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、日の指標62a、月の指標62b、経年の指標62cが、回転板60の径方向にまとめて配置されている。ここで、日の指標62aは、1日から31日までの1ヶ月を1日ごとの目盛線によって表している。なお、日の指標62aは概略図であって、目盛線は正確ではない。また、月の指標62bは、1月から12月までの1年間を文字によって表しており、一例として、月の英語読みの省略形を1ヶ月おきに図示するように表している。また、経年の指標62cは、閏年からの経過年を数字と文字によって表しており、一例として、“1”、“2”、“3”、“L/Y“で表している。
【0090】
また、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、時差設定の指標63a、受信局の指標63b、受信結果の指標63cが、回転板60の径方向にまとめて配置されてい
る。ここで、時差設定の指標63aは、グリニッジ標準時に対する時差を−12時間から+12時間まで表している。また、受信局の指標63bは、受信した受信局を示すものであり、一例として、日本(JPN)、アメリカ(USA)、ヨーロッパ(EUR)、中国(CHN)の4地域を配置している。また、受信結果の指標63cは、一例として、電波受信が成功したときの電波の強さ表示(“H”、“M”、“L”)、受信失敗表示“NO”、受信中表示“RX”を配置している。
【0091】
このように、第3の実施形態の回転板60は、回転板60の径方向に同じ機能モードに対応する複数のカテゴリーの指標がまとめて配置されていることが特徴である。
【0092】
[第3の実施形態の多機能時計の説明:
図10]
次に、第3の実施形態の多機能時計を
図10を用いて説明する。
図10において、符号70は、第3の実施形態の多機能時計である。多機能時計70は、第1の実施形態の多機能時計1と同様に、外装2、リューズ5、バンド6などを有しているが、説明が重複するので、文字板71と秒針4a、分針4b、時針4cのみを図示している。
【0093】
文字板71の下面には、前述した回転板60(
図9参照)が回転可能に配置されており、文字板71には、3つのカテゴリーを表示するための3つの窓71a、71b、71cが開口している。この3つの窓71a、71b、71cは、文字板71の回転中心71xに対し、同じ角度領域に配置されている。すなわち、3つの窓71a、71b、71cは、文字板71の所定の角度領域に図示するようにまとめて配置されており、径方向で一番外側に窓71aが配置され、その内側に窓71bが配置され、その内側に窓71cが配置される。
【0094】
[第3の実施形態の多機能時計のカレンダモードの表示説明:
図10]
次に、第3の実施形態の多機能時計のカレンダモードの表示例を
図10を用いて説明する。
図10は第3の実施形態の多機能時計70が、カレンダモードである表示例を示しており、窓71aは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、日の指標62aを表示しており、秒針4aによって所定の日付を示している。
【0095】
また、窓71bは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、月の指標62bを表示しており、分針4bによって、月がJUL(7月)とSEP(9月)の間の8月であることを示している。また、窓71cは、カレンダモードに対応するカテゴリーとして、経年の指標62cを表示しており、時針4cによって、経年がLY(閏年)であることを示している。
【0096】
[第3の実施形態の多機能時計の電波受信確認モードの表示説明:
図11(a)]
次に、第3の実施形態の多機能時計の電波受信確認モードの表示例を
図11(a)を用いて説明する。
図11(a)は第3の実施形態の多機能時計70が、電波受信確認モードである表示例を示しており、窓71aは、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、時差設定の指標63aを表示しており、秒針4aによって、時差が+9時間であることを示している。
【0097】
また、窓71bは、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、受信局の指標63bを表示しており、分針4bによって、受信局が日本(JPN)であることを示している。また、窓71cは、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、受信結果の指標63cを表示しており、時針4cによって、受信が成功し電波が強い状態(H)であることを示している。
【0098】
[第3の実施形態の多機能時計の時刻モードの表示説明:
図11(b)]
次に、第3の実施形態の多機能時計の時刻モードの表示例を
図11(b)を用いて説明する。
図11(b)は第3の実施形態の多機能時計70が、秒針4a、分針4b、時針4cによって時刻を表示する時刻モードである表示例を示しており、窓71aには指標61aが表示され、窓71bに指標61bが表示され、窓71cに指標61cが表示されている。
【0099】
ここで、指標61a、61b、61cは、前述したように、文字板71のデザインと一体化するデザインであり、文字板71が白の無地であれば、指標61a、61b、61cも白の無地がデザインされるとよい。これによって、時刻モードにおいては、文字板71の窓71a、71b、71cが目立たず、秒針4a、分針4b、時針4cによる時刻表示を見やすくすることができる。また、文字板71には様々なデザインを配置してよく、一例として図示はしないが、12時、3時、6時、9時などの正時の位置にマークを入れて時刻を読みやすくするとよい。
【0100】
以上のように、第3の実施形態の多機能時計70は、回転板60の径方向に同じ機能モードに対応する複数のカテゴリーの指標がまとめて配置され、文字板71の窓71a、71b、71cは、機能モードに対応する各カテゴリーを表示するために、文字板の回転中心に対し、同じ角度領域にまとめて配置されている。
【0101】
これにより、各カテゴリーを表示するための3つの窓を文字板上の所定の角度領域にまとめて配置できるので、文字板のスペースの大部分を様々なデザインやロゴのために使用することが可能となり、文字板のデザインの自由度がアップして、多彩なデザインに対応可能な多機能時計を実現できる。また、第3の実施形態の多機能時計70は、時刻を表示する秒針4a、分針4b、時針4cを併用して各カテゴリーの指標を指し示す構成であるので、第1の実施形態の多機能時計1に必要であった小針7a、7bが不要であり、時計機構を簡略化できる利点を備えている。
【0102】
[第3の実施形態の多機能時計の変形例1の説明:
図12(a)]
次に、第3の実施形態の多機能時計の変形例1を
図12(a)を用いて説明する。
図12(a)は第3の実施形態の多機能時計70の変形例1を示し、機能モードがカレンダモードである表示例を示している。この変形例1の特徴は、文字板71に1つの窓71dのみが開口していることである。
【0103】
この窓71dは、前述した第3の実施形態の多機能時計70の文字板71の窓71a、71b、71cの3つを結合して1つの窓としたものである。すなわち、窓71dは、3つのカテゴリーの指標に対して開口しており、多機能時計70がカレンダモードであるならば、図示するように1つの窓71dによって、3つのカテゴリーの日の指標62aと月の指標62bと経年の指標62cを表示することができる。
【0104】
ここで、文字板71の窓71dを1つに構成できる理由は、第3の実施形態の回転板60(
図9参照)が径方向に同じ機能モードに対応する複数のカテゴリーの指標をまとめて配置しているからである。このように、文字板71の窓71dを1つに構成することで、文字板71の製造が簡略化できると共に、文字板のデザインの自由度をさらにアップさせることが可能となる。
【0105】
[第3の実施形態の多機能時計の変形例2の説明:
図12(b)]
次に、第3の実施形態の多機能時計の変形例2を
図12(b)を用いて説明する。
図12(b)は第3の実施形態の多機能時計70の変形例2を示し、機能モードがカレンダモードである表示例を示している。この変形例2の特徴は、文字板71の手前に配置されている時針73に開口部73aが備えられていることである。
【0106】
ここで、第3の実施形態の多機能時計70は、時刻を表示する秒針、分針、時針を併用して各カテゴリーの指標を指し示す構成であるが、たとえば、時刻モードのときの時針73を見やすくするために時針73の長さを長めに設定すると、カレンダモードのときの窓71dから見える経年の指標62cが、時針73と重なって見えにくいという問題がある。
【0107】
このため、この変形例2では、時針73と経年の指標62cが重なる時針73の位置に開口部73aを設け、この開口部73aを通して経年の指標62cが見えるように改良している。また、この時針73の先端部で、たとえば、月の指標62bを指し示し、この時針73の開口部73aで、他のカテゴリーである経年の指標62cを示すなど、開口部73aを設けることで、1つの時針73で複数のカテゴリーを示すことも可能である。
【0108】
なお、第3の実施形態の多機能時計70のシステム構成は変形例も含めて、前述した第1の実施形態の多機能時計1のシステム構成(
図5参照)と大差がなく、違いは3つのパルスモータ31、32、33が、それぞれ秒針4a、分針4b、時針4c(時針73)を駆動する専用モータとして構成され、また、標準電波受信部が追加されるだけであり、これらの構成の違いは本発明に直接係わらないので、第3の実施形態のシステム構成の説明は省略する。
【実施例4】
【0109】
[第4の実施形態の多機能時計の回転板の説明:
図13]
次に第4の実施形態の多機能時計に用いられる回転板の概略を
図13を用いて説明する。なお、第4の実施形態の多機能時計は、標準電波を受信して時刻修正を行う電波時計であり、また、高度を測定する高度計を備えていることを前提とする。
図13において、回転板80は回転中心80xを基準として、リューズ5(
図1参照)の操作によって、図示しない手段により回転する構成である。
【0110】
回転板80の表面には、3つの機能モードに対応する複数のカテゴリーに対応した複数の指標が配置されている。3つの機能モードは、一例として、高度計モード、電波受信確認モード、カレンダモードである。高度計モードに対応するカテゴリーとしては、高度指標81a、81b、81cによる3つの連続した指標が、回転板80の周回方向で連続して配置されている。ここで一例として、この高度指標81a、81b、81cには、10、20、30〜90までの数字が記載されているが、この数字の単位は100mである。
【0111】
従って、高度1,000m、2,000m、3,000m〜9,000mの指標である。すなわち詳細には、高度指標81aは0〜3,200mまでの高度を表示し、高度指標81bは3、200〜6,400mまでの高度を表示し、高度指標81cは6,400〜9,400mまでの高度を同一カテゴリーとして表示している。
【0112】
また、電波受信確認モードに対応するカテゴリーとしては、受信結果の指標82a、受信局の指標82b、時差設定の指標82cが、回転板80の周回方向で連続して配置されている。また、カレンダモードに対応するカテゴリーとしては、経年の指標83a、月の指標83b、日の指標83cが、回転板80の周回方向で連続して配置されている。なお、電波受信確認モードとカレンダモードの指標の詳細は、前述の第3の実施形態の指標例と同様であるので、説明は省略する。
【0113】
このように、第4の実施形態の回転板80は、機能モードに対応する同一カテゴリー、または異なる複数のカテゴリーの指標が、回転板80の周回方向で連続して配置されていることが特徴である。
【0114】
[第4の実施形態の多機能時計の説明:
図14]
次に、第4の実施形態の多機能時計を
図14を用いて説明する。
図14において、符号90は、第4の実施形態の多機能時計である。多機能時計90は、第1の実施形態の多機能時計1と同様に、外装2、リューズ5、バンド6などを有しているが、説明が重複するので、文字板91、秒針4a、分針4b、時針4c、及び、長針92のみを示している。
【0115】
文字板91の下面には、前述した回転板80(
図13参照)が回転可能に配置されており、文字板91には、機能モードごとのカテゴリーを表示するための3つの窓91a、91b、91cが開口している。この3つの窓91a、91b、91cは、文字板91の回転中心91xからの距離がそれぞれ異なると共に、文字板91の周回方向で連続して配置されている。
【0116】
[第4の実施形態の多機能時計の高度計モードの表示説明:
図14]
次に、第4の実施形態の多機能時計の高度計モードの表示例を
図14を用いて説明する。
図14は第4の実施形態の多機能時計90が、高度計モードである表示例を示しており、窓91aは、高度計モードに対応するカテゴリーとして、低高度の高度指標81aを表示しており、窓91bは、同じく高度計モードに対応するカテゴリーとして、中高度の高度指標81bを表示しており、窓91cは、同じく高度計モードに対応するカテゴリーとして、高高度の高度指標81cを表示している。
【0117】
この構成により、3つの窓91a、91b、91cは、同一カテゴリーの高度指標81a、81b、81cによって、高度を0〜9,000m以上まで連続して広範囲に表示できる。この高度計モードにおいては、第4の指針である長針92が高度指標81a、81b、81cの間を移動して高度を指し示し、秒針4a、分針4b、時針4cが時刻を表示している。すなわち、第4の実施形態の多機能時計90は指針が4本あり、高度計モードでは、指針4によって時刻を表示すると共に、長針92によって高度を表示するのである。
【0118】
[第4の実施形態の多機能時計の電波受信確認モードの表示説明:
図15(a)]
次に、第4の実施形態の多機能時計の電波受信確認モードの表示例を
図15(a)を用いて説明する。
図15(a)は第4の実施形態の多機能時計90が、電波受信確認モードである表示例を示しており、文字板91の窓91aは電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、受信結果の指標82aを表示しており、時針4cによって、受信が成功し電波が強い状態(H)であることを示している。
【0119】
また、窓91bは電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、受信局の指標82bを表示しており、分針4bによって、受信局が日本(JPN)であることを示している。また、窓91cは電波受信確認モードに対応するカテゴリーとして、時差設定の指標82cを表示しており、秒針4aによって、時差が+9時間であることを示している。また、長針92は、機能モードが電波受信確認モード(RC)であることを示している。
【0120】
[第4の実施形態の多機能時計のカレンダモードの表示説明:
図15(b)]
次に、第4の実施形態の多機能時計のカレンダモードの表示例を
図15(b)を用いて説明する。
図15(b)は第4の実施形態の多機能時計90が、カレンダモードである表示例を示しており、文字板91の窓91aはカレンダモードに対応するカテゴリーとして、経年の指標83aを表示しており、時針4cによって、経年がLY(閏年)であることを示している。
【0121】
また、窓91bはカレンダモードに対応するカテゴリーとして、月の指標83bを表示
しており、分針4bによって、月がJUL(7月)とSEP(9月)の間の8月であることを示している。また、窓91cはカレンダモードに対応するカテゴリーとして、日の指標83cを表示しており、秒針4aによって、所定の日付を示している。また、長針92は、機能モードがカレンダモード(CAL)であることを示している。
【0122】
以上のように、第4の実施形態の多機能時計90は、3つの窓91a、91b、91cが文字板91の周回方向で連続して配置されることで、機能モードに対応するカテゴリーを連続的に表示することができる。特に、機能モードが高度計モードのように、広範囲なインジケータが必要である場合、連続した3つの窓91a、91b、91cは、同一カテゴリーである高度計の指標を連続して広範囲に表示することができる。
【0123】
すなわち、周回方向で連続している3つの窓91a、91b、91cは、広範囲な高度インジケータとして機能することが可能であり、高度情報を詳細に読み取ることができる多機能時計を実現できる。なお、第4の実施形態の広範囲なインジケータは、当然であるが高度計に限定されず、深度計など様々な用途に適応できる。
【0124】
また、回転板80を回転させて、機能モードを高度計モードから他の機能モードに切り換えることで、3つの窓91a、91b、91cは、
図15(a)、(b)に示すように、異なるカテゴリーを表示することができる。このように、第4の実施形態の多機能時計90は、同一カテゴリーである連続した広範囲なインジケータと、異なる複数のカテゴリーの表示とを、機能モードの切り換えによって使い分けできるという優れた特徴を有している。
【0125】
なお、第4の実施形態の多機能時計90のシステム構成は、前述した第1の実施形態の多機能時計1のシステム構成(
図5参照)と大差がなく、違いは長針92用のパルスモータが追加され、また、高度計と標準電波受信部が追加されるだけであり、これらの構成の違いは本発明に直接係わらないので、第4の実施形態のシステム構成の説明は省略する。
【0126】
[第4の実施形態の多機能時計の変形例の説明:
図16]
次に、第4の実施形態の多機能時計の変形例を
図16を用いて説明する。
図16は第4の実施形態の多機能時計90の変形例の特徴とする部分のみ示している。
図16において、多機能時計90の変形例は、文字板91の回転中心91xの周囲に第4の窓91dが開口している。この第4の窓91dは、扇状に広がった形状であり、12時方向に2辺からなる凸部91eを有している。
【0127】
文字板91の下面には回転板80´が配置され、この回転板80´の表面の窓91dから見える位置に、図示するように、機能モードの3つの名称“CAL”、“TIME“、”RC“が約120度の角度で周回方向に配置されている。
【0128】
ここで、
図16では、指標“TIME”が12時方向に位置しており、窓91dの凸部91eによって名称“TIME”を指し示すことで、多機能時計90の機能モードが時刻表示モードの“TIME”であることを表示することができる。また、回転板80´が
図16の図面上左に約120度回転するならば、図示しないが、窓91dの凸部91eの位置に名称“CAL”が位置して、多機能時計90の機能モードがカレンダモードの“CAL”であることを表示することができる。
【0129】
また同等に、回転板80´が
図16の図面上右に約120度回転するならば、図示しないが、窓91dの凸部91eの位置に名称“RC”が来て、多機能時計90の機能モードが電波受信確認モードの“RC”であることを表示することができる。
【0130】
このように、第4の実施形態の多機能時計の変形例によるならば、文字板91に第4の窓91dを設けることによって、この窓91dの形状で機能モードの名称を指し示すことができ、使用者が現在の機能モードを認識しやすい多機能時計を提供することができる。また、窓91dの形状で機能モードの名称を指し示すことで、第4の指針である長針92(
図15参照)を不要にすることも可能である。
【0131】
なお、本発明の各実施形態で示した時計の正面図や構成図等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更することができる。