特許第5968222号(P5968222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5968222シート物品およびファスナカバーを使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968222
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】シート物品およびファスナカバーを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A44B 18/00 20060101AFI20160728BHJP
   B32B 7/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   A44B18/00
   B32B7/06
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-527024(P2012-527024)
(86)(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公表番号】特表2013-503010(P2013-503010A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】US2010046965
(87)【国際公開番号】WO2011025946
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年8月27日
(31)【優先権主張番号】61/275,397
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512047335
【氏名又は名称】ハン, ナンリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハン, ナンリン
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0193709(US,A1)
【文献】 特開2004−261303(JP,A)
【文献】 特表平9−500807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 18/00
B32B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート物品であって、
第1の基板と、
該第1の基板の1つの表面のうちの少なくとも一部分上の複数のファスナと、
前記第1の基板に結合され、該複数のファスナを少なくとも部分的に被覆するカバーであって、第2の基板と、前記第2の基板の互いに反対側になる2つの表面上に突出する複数のスタッドを含む、カバーと
を備え、
該カバーは、該複数のファスナを少なくとも部分的に保護するともに、被覆されたファスナが、他のファスナを係合すること、または押下されることを防止するようになっており、前記カバーが除去可能にファスナを被覆する、
シート物品。
【請求項2】
前記複数のファスナは、フック、ループ、アンカ形状フック、釣り針、フォーク、ビッグヘッド、矢形状フック、グループループ、およびグループフックから成る群より選択される、請求項1に記載のシート物品。
【請求項3】
前記フックまたはループ形状フックは、それが、他のシート物品の他のフックまたはループファスナと実際に係合可能であるように、所定レベルまでかたくされる、請求項2に記載のシート物品。
【請求項4】
前記シート物品を積み重ねるために、前記カバーは、設計されたシートの設計された部分(表面シートの設計部分)上のみにあり、3D複合物を形成するために、該シート物品の少なくとも3つのプライを上方に重ね、
全てのプライは、パイル上で、係合されたファスナによって締結されることがあり、マトリクス材料が、少なくとも3つのプライを結合させ、表面側は、ファスナを有することも、有しないこともあり、表面側は、前記設計された部分でカバーを有することも、有しないこともある、請求項1に記載のシート物品。
【請求項5】
シート物品は、プリプレグシートを得るために、ポリマー、樹脂、金属、セラミック、炭素、ガラスの群より選択される1つ以上のマトリクス材料で含浸され、3D複合物を得るために、少なくとも2つのプリプレグプライを上方に重ね、表面側のみは、設計された部分においてカバーを有することも、有しないこともある、請求項1に記載のシート物品。
【請求項6】
2つの物品の結合強度を増加させるために、該2つの物品を結合させる場合に、前記カバーは除去され、前記シート物品を、2つの物品の界面に挿入し、該シート物品上のファスナは、界面強度を増加させるために、2つの結合する物品の本体の中へ延在し、シート物品上のファスナは、該2つの結合する物品が、それら自体でファスナを有する場合、該2つの結合する物品のファスナと相互係止する、請求項1に記載のシート物品。
【請求項7】
前記基板は、連続的にプライされた複数の繊維シートから成り、該複数の繊維シートは、一緒に機械的に締結されている、請求項1に記載のシート物品。
【請求項8】
同じシートにおける繊維は、同じ方向または異なる方向に列設されて、多層多軸シートを形成可能である、請求項7に記載のシート物品。
【請求項9】
前記シート物品を積み重ねるために、前記カバーは、設計されたシートの設計された部分(前記表面シートの設計部分)上のみにあり、3D複合物を形成するために、該シート物品の少なくとも2つのプライは上方に重ねられ、
全てのプライは、パイル上で、前記ファスナによって接続および支持されることが可能であり、マトリクス材料が、該プライおよびファスナのうちの少なくとも一部に浸潤し、該プライは、完全には接触されず、プライ間に中空空間が存在し、表面側は、ファスナを有することも、有しないこともあり、表面側は、該設計された部分においてカバーを有することも、有しないこともある、請求項1に記載のシート物品。
【請求項10】
シート物品は、繊維シート取扱ツールのピンによって嵌入されるために、2つのシート物品間に間隙を有し、該ピンは、前記シート物品を掴持および分離可能である、請求項1に記載のシート物品。
【請求項11】
ファスナは、所望の場所および方向で鋭角に傾斜可能である、請求項1に記載のシート物品。
【請求項12】
ファスナを有するシートを重ね合わせるために、互いに反対側になる第1の表面および第2の表面上に突出する複数のスタッドを含むファスナカバーを使用する方法であって、
前記シートの上の複数のファスナを保護するために、1つのシート上の複数のファスナに被覆材料を塗布するステップであり、前記シート上のファスナの間に複数のスタッドが挿入されており、複数のスタッドは、被覆材料の第1の表面上に立っている、ステップと、
他の1つのシートを前記被覆材料の第2の表面上に重ね合わせ、前記他のシート上の複数のファスナ間に前記第2の表面上の他の複数のスタッドを挿入し、
前記被覆材料の第2の表面から前記他のシートを除去し、
該少なくとも1つのファスナを露出させるために、結合プロセス中に該被覆材料を除去する、
ステップを含む、方法。
【請求項13】
前記塗布するステップは、前記少なくとも1つのファスナをコーティングするために、サイズ剤またはコーティング材料を塗布するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の技術分野に関し、より具体的には、複合物および界面のための3次元繊維構造に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維複合材料は、数十年来、広範な産業(例えば、航空宇宙、航空学、自動車、船舶、建築、スポーツ用品等)において使用されている。繊維複合材料は、一般的に、繊維製品が、フィラメント毎、プライ毎、および層毎に上方に重ねられ、次いで、プラスチック、ゴム、金属、または他の非金属材料といった材料を使用して、ともに結合させるプロセスを通じて製造される。接続界面は、2つのフィラメント/プライ/層間に存在する。繊維複合材料は、通常、接続界面またはラミネート間領域では脆弱である。例えば、プライ内の繊維の引張強度は、一般の鋼よりもずっと高い、3000MPa(メガパスカル)よりも高い可能性があるが、繊維複合材料の界面またはラミネート間強度は、通常、アルミニウムよりもさらに低い、約100MPaである。このため、繊維複合材料の界面またはラミネート間強度は、繊維自体の引張強度のわずか約1/30である。
【0003】
より強力な結合材料(例えば、接着剤、プラスチック、または樹脂等)を使用することによって、繊維複合材料の界面またはラミネート間強度を増加させることは、一般的に困難かつ高価である。複合物のより低い界面またはラミネート間界面強度は、しばしば、ストレス、衝撃、または疲労といった条件下での、層間剥離および分断といった、構造的欠陥につながる。したがって、特に、耐力構造における繊維複合材料の採用は、それらが、低い界面またはラミネート間強度によって引き起こされる、面外破壊を受けやすいことにより、制限されている。これらの問題を軽減するために、3D縫合、3D製織、3D製編、または3D編組といった、トランスラミネートおよび交差界面補強の方法が、層間剥離抵抗を改善し、界面強度を強化するために使用されている。しかしながら、これらの3D補強技術は、高性能の機器を必要とし、複雑な製造プロセスを必要とするため、製造プロセスを長引かせ、製造コストを上昇させ、製造生産性を低下させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、一態様において、本発明は、シート物品であって、該シート物品は、基板と、基板の1つの表面のうちの少なくとも一部分上の複数のファスナと、複数のファスナを少なくとも部分的に被覆するカバーとを含み、カバーは、複数のファスナを少なくとも部分的に保護し、複数のファスナが他のファスナを係合すること、または押下することを防止し、必要とされる場合、被覆されたファスナは露出されることが可能であり、カバーは除去されることが可能である、シート物品を提供する。
【0005】
本発明の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を提供することができる。複数のファスナは、フック、ループ、アンカ形状フック、釣り針、フォーク、ビッグヘッド、矢形状フック、グループループ、およびグループフックから成る群より選択される。カバーは、第2の基板と、第2の基板上の複数の直立または突出するスタッドまたは壁とを含み、複数の直立または突出するスタッドまたは壁は、隣接するシート上の複数のファスナを保護する。フックループ形状フックは、それが、他のシート物品上の他のフックまたはループファスナと係合可能であるように、あるレベルまでかたくされる。シート物品を積み重ねるために、カバーは、設計されたシートの設計された部分(例えば、表面シート上の設計された部分)上のみにあり、3D複合物を形成するように、シート物品の少なくとも3つのプライは上方に重ねられ、全てのプライは、パイル上で係合されたファスナによって締結されることがあり、マトリクス材料が、少なくとも3つのプライを結合させるために使用され、表面側は、ファスナを有することも、有しないこともあり、表面側は、設計された部分でカバーを有しても、有しなくてもよい。シート物品は、プリプレグシートを得るように、ポリマー、樹脂、金属、セラミック、炭素、またはガラスの群より選択される、1つ以上のマトリクス材料で含浸され、3D複合を得るように、少なくとも2つの前記プリプレグプライを上方重ね、表面側のみは、設計された部分でカバーを有しても、有しなくてもよい。
【0006】
本発明の実装はまた、以下の特徴のうちの1つ以上を提供することができる。2つの物品の結合強度を増加させるために、2つの物品を結合させる場合に、カバーは除去され、シート物品を2つの物品の界面領域に挿入し、シート物品上のファスナは、界面強度を増加させるように、2つの結合する物品の本体の中へ延在し、シート物品上のファスナは、それらが、それら自体でファスナを有する場合、2つの結合する物品のファスナと相互係止する。基板は、連続的にプライされる複数の繊維シートでできており、複数の繊維シートは、ともに機械的に締結される。同じシートにおける繊維は、同じ方向または異なる方向に列設させて、多層、多軸シートを形成可能である。シート物品を積み重ねるために、カバーは、設計されたシートの設計された部分(例えば、表面シート上の設計された部分)上のみにあり、3D複合物を形成するように、シート物品の少なくとも2つのプライは上方に重ねられ、全てのプライは、パイル上でファスナによって接続および支持され得、マトリクス材料は、プライおよびファスナのうちの少なくとも一部を浸潤し、プライは、完全には接触されず、プライ間に中空空間が存在し、表面側は、ファスナを有することも、有しないこともあり、表面側は、設計された部分でカバーを有しても、有しなくてもよい。シート物品は、繊維シート取扱ツールのピンを嵌入するように、2つのシート物品間に間隙を有し、ピンは、シート物品を掴持および分離することができる。ファスナは、所望の場所および方向で鋭角に傾斜することができる。基板は、開口の内壁にマトリクス材料を有し、ファスナは、開口を通って整列されることができる。
【0007】
概して、別の態様において、本発明は、シート上のファスナカバーを使用する方法であって、少なくとも1つのファスナを保護するように、シート上の少なくとも1つのファスナに、被覆材料を塗布するステップと、少なくとも1つのファスナを露出させるように、結合プロセスの間にカバー材料を除去するステップとを含む、方法を提供する。
【0008】
本発明の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を提供することができる。該方法は、少なくとも1つのファスナをコーティングするように、サイズ剤またはコーティング材料を塗布するステップをさらに含む。
【0009】
概して、なお別の態様において、本発明は、ファスナを伴うシートを取り扱うためのツールであって、基部と、駆動力に連結することができるコネクタと、基部内の筐体ユニットと、少なくとも部分的に筐体ユニット内に位置付けられ、駆動力に連結される、移動要素と、移動要素の1つの表面のうちの少なくとも一部分上の複数のファスナとを含む、ツールを提供する。
【0010】
本発明の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を提供することができる。移動要素は、基部内の筐体ユニット内に完全に隠れることができ、筐体ユニットから延出することができる。複数のファスナは、それらが移動要素上にない場合、基部の1つの表面のうちの少なくとも一部分上に存在する。
【0011】
概して、さらに別の態様において、本発明は、切断ホイールであって、複数のシートと、複数のシートのうちの少なくとも1つ上の複数のファスナとを含み、隣接するシート上の複数のファスナは、相互係止され、複数のファスナは、切断の間に生成される粒子を抑制および抑止する、切断ホイールを提供する。
【0012】
概して、1つ以上の態様において、本発明は、タイヤまたは切断ホイールであって、複数のシートと、複数のシートのうちの少なくとも1つ上の複数のファスナとを含み、隣接するシート上の複数のファスナは、相互係止される、タイヤまたは切断ホイールを提供する。
【0013】
本発明の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を提供することができる。切断ホイール内の複数のファスナは、切断の間の摩耗に対して、粒子を抑制する。
【0014】
本発明のこれらのおよび他の能力は、本発明自体とともに、以下の図面、発明を実施するための形態、および請求項の査読後、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、その両側にファスナを伴う、例示的な繊維のシートまたは基板を例解する。
図2図2は、ファスナを伴う繊維シートでできている例示的な複合物を例解する。
図3図3は、その両側にファスナを伴う、例示的な3Dプリプレグシートを例解する。
図4図4は、図3の3Dプリプレグシートの断面図を示す。
図5図5は、ファスナを生成する例示的な方法を例解する。
図6A図6Aは、別の例示的なシートの断面図を示す。
図6B図6Bは、図6Aのシートの上面図を示す。
図7A図7Aは、追加の層として繊維マットを伴う、別の例示的なシートの断面図を示す。
図7B図7Bは、図7Aのシートの上面図を示す。
図8図8は、例示的な多層多軸シートを例解する。
図9A図9Aは、マトリクス材料を伴う、例示的な多層多軸プリプレグシートの断面図を示す。
図9B図9Bは、図9Aの多軸プリプレグシートの上面図を示す。
図10A図10Aは、ファスナおよびカバーを伴う、第1の物品の断面図を示す。
図10B図10Bは、ファスナおよびカバーを伴う、第2の物品の断面図を示す。
図11A図11Aは、カバーが除去された状態の、図10Aの第1の物品の断面図を示す。
図11B図11Bは、カバーが除去された状態の、図10Bの第2の物品の断面図である。
図12図12は、両方の繊維シート上のファスナによってともに相互係止される、図11Aおよび11Bの2つの繊維物品の断面図を示す。
図13A図13Aは、ファスナを伴わない、第1の物品の断面図を示す。
図13B図13Bは、ファスナを伴わない、第2の物品の断面図を示す。
図13C図13Cは、両側にファスナを伴う、例示的な繊維シートの断面図を示す。
図13D図13Dは、図13Cの繊維シートのファスナによって、ともに相互係止される、図13Aおよび13Bの2つの物品の断面図を示す。
図13E図13Eは、図13Cの繊維シートを使用して、ファスナがともに相互係止された状態の、2つの物品の断面図を示す。
図14A図14Aは、延長スタッドおよび窓を伴う、シートを例解する。
図14B図14Bは、ファスナを伴う2つのシート間に配置される、図14Aのシートの断面図を示す。
図14C図14Cは、ファスナを伴うシートのロール内に配置される、図14Aのシートの断面図を示す。
図15A図15Aは、例示的な繊維シート取扱ツールを例解する。
図15B図15Bは、別の例示的な繊維シート取扱ツールを例解する。
図15C図15Cは、なお別の例示的な繊維シート取扱ツールを例解する。
図16A図16Aは、複数の繊維シートでできた、切断ホイールを例解する。
図16B図16Bは、図16Aの切断ホイールの断面図を示す。
図17A図17Aは、2つの側面に異なる長さおよび硬度のファスナを伴う、例示的なシートを例解する。
図17B図17Bは、異なる長さおよび剛性のファスナによって、ともに相互係止される、図17Aの2つのシートを例解する。
図17C図17Cは、図17Aのシートの拡大断面図を示す。
図18A図18Aは、開口を伴う例示的なシートの断面図を示す。
図18B図18Bは、停止プレートまたはフィルムと連結される、図18Aのシートの断面図を示す。
図19図19Aおよび19Bは、鋭角で係合および相互係止されるファスナを示す、プロトタイプの写真である。
図20A図20Aは、ファスナを伴う繊維シートで少なくとも部分的に作製することができる、例示的なタイヤを例解する。
図20B図20Bは、図20Aのタイヤの一部分の断面図を示す。
図21図21は、例示的な複合パネルまたはブロックを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は、複合物のラミネート間および界面強度を改善するための装置および方法を提供する。繊維シート上のファスナといった、トランスラミネートおよび交差界面補強は、トランスラミネートおよび交差界面補強を提供するように、係合および相互係止するように構成される。これらの技術は、従来のテキスタイル産業技術、非製織技術、ならびにフックおよびループ(例えば、Velcro(登録商標))技術を利用し、従来の低コストの2D製造プロセスと適合性がある。トランスラミネートおよび交差界面補強は、衝撃および摩耗抵抗を増加させ、熱および/または電気伝導率を改善し、疲労耐久性を強化し、使用寿命を延長し、複合物の製造性を向上させ、複合物の用途を拡張するのに役立つ。
【0017】
ここで図1を参照すると、例示的な繊維のシートまたは基板10は、シートまたは基板の両側に、ファスナ29を有する。ファスナは、フック11、ループ12、アンカ形状フック13、釣り針14、フォーク17および21、ビッグヘッド18、矢形状フック19、グループループ20、またはグループフック15および16の形態であることができる。グループフック15または16は、フックストリングの鎖を形成するように、複数のフックを含むことができる。フック11、13、14、15、16、または19は、異なる長さの複数の糸22を含むことができる。ファスナ29は、パターンを形成可能である。パターンの一例は、特定の方向を有するシートまたは基板10上の列である。ファスナ29はまた、シートまたは基板10上で無作為に分散または混合されることができる。シートまたは基板10は、複数のプライ101および102を含むことができる。「プライ」および「シート」という用語は、糸、フィラメント、ストランド、ヤーン、層、または1つのプライ/シートとして形成される複数のプライを含むが、これらに限定されない、異なる物理的構造を説明するために使用することができる。
【0018】
図2において例解されるように、いくつかのシートまたは基板10は、複合プレフォーム30を形成するように、層毎に一緒に重ねられる。ファスナ(例えば、フックおよびループ)は、トランス層、層間、および界面補強を提供するように、相互に係合するように構成することができる。トランス層ファスナは、複合プレフォーム30を、3D複合物にする。好ましくは、上部シートおよび底部シートは、シートの内側(即ち、隣接するシートに対面する側)のみに、ファスナを有する。上で例解されるように、シートまたは基板10は、複数のプライ101および102を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、多プライシート10は、ポリマーマトリクス(例えば、エポキシまたは樹脂)で浸潤された、プリプレグのシートである。図3は、ポリマーマトリクス35が、プリプレグ33の片を形成するように、シート10を浸潤することを例解する。図4は、ファスナ31、37、および38を伴う、プリプレグ33の断面図を示す。ファスナ31、37、および38のうちの一部分は、少なくとも部分的にポリマーマトリクス35の上にあることができ、他のファスナは、完全にポリマーマトリクス35の表面の下にあることができる。ポリマーマトリクス35は、ファスナのうちの少なくとも一部を被覆し、それらのファスナを保護し、それらが隣接するシート上の他のファスナを係合することを防止するのに役立つ。好ましくは、ポリマーマトリクス35は、その周辺領域よりも低い、少なくとも1つの凹部分36を有することができる。凹部分36は、切断または成形といった手段によって作成することができる。凹部分36はさらに、ファスナ31、37、および38を保護し、それらが隣接するシート上の他のファスナを係合することを防止するのに役立つ。ポリマーマトリクス35によって被覆または保護されるファスナは、ポリマーマトリクス35が、硬化プロセスの間に液体になり、流出する場合に、露出されることができる。
【0020】
図5は、ファスナ11および12を生成する一部の方法を例解する。一実施形態において、鋳型または熱鉄39は、シートを押圧して、ある形状、角度、方向、および寸法のファスナ(例えば、フックおよびループ)11および12を形成するように構成される。別の実施形態において、ある化学ガスまたは蒸気は、シート表面を通って流れ、ある形状、角度、方向、および寸法のファスナ(例えば、フックおよびループ)11および12を形成するように構成される。代替的に、ファスナ11および12を、シートもしくはプライに、結合する、糊付けする、溶接する、圧着する、巻装する、取設する、配置する、植設する、または成長させることができる。加えて、ファスナは、空気または水ジェット噴射によって、シート上に配置することができる。本明細書において説明される、複数の生成方法の組み合わせもまた使用することができる。
【0021】
繊維シートは、製織、製編、巻装、編組、縫合、ならびにフックおよびループ(Velcro(登録商標))技術、または非製織技術(例えば、成形、コーティング、または針貫入)といった、既存のテキスタイル産業技術によって作製することができる。Velcro(登録商標)ループは、一般的に、製織または製編によって作製される。Velcro(登録商標)ループは、Velcro(登録商標)フックを形成するように、所望の場所で切断される。切断は、ナイフ、ハサミ、または他の物理的、化学的、および機械的手段によって達成することができる。例えば、ループを切断して、フックを形成するために、レーザを使用することができる。
【0022】
図6Aは、別の例示的なシート10の断面図を示す。シート10は、少なくとも2つの繊維層101および102でできている。各繊維層は、任意に、トランス層ファスナ(例えば、フックおよびループ)を有することができる。少なくとも2つの層101および102は、製織、製編、および/または縫合によってともに締結されることができる。シート10の上面図を図6Bに示す。
【0023】
図7Aは、なお別の例示的なシート10の断面図を示す。シート10は、少なくとも2つの繊維層101および102でできている。各繊維層は、任意に、トランス層ファスナ(例えば、フックおよびループ)を有することができる。シート10は、任意に、追加の層として、繊維マットまたは基板103を有することができる。繊維マットまたは基板103は、2つの繊維層101および102の外側に配置することができ、代替的に、それを、2つの繊維層101と102との間に挾持されることができる。少なくとも2つの層101および102、ならびに任意の繊維マットまたは基板層103は、製織、製編、および/または縫合によってともに締結させることができる。シート10の上面図を図7Bに示す。
【0024】
図8は、例示的な多層多軸シート10を例解する。シート10は、複数の繊維層101A、101B、102A、および102Bでできている。各繊維層は、任意に、トランス層ファスナ(例えば、フックおよびループ)を有することができる。同じ層における繊維は、ほぼ同じ方向または軸に列設される。異なる層における繊維は、図8、9A、および9Bにおいて示されるように、異なる方向または軸に列設し、多層多軸シートを形成可能である。複数の層101A、101B、102A、および102Bは、製織、製編、および/または縫合によってともに結合することができる。シート10は、図9Aにおいて示されるように、任意に、プリプレグを形成するように、それに流入される、マトリクス材料35を有することができる。
【0025】
多くの状況において、2つ以上の複合構造が、接続または結合される必要がある。接続領域のファスナは、接続強度を改善するのに役立つ。図10Aは、ファスナ11および12、ならびに第1の物品のうちの少なくとも一部分を被覆する第1のカバー104Aを伴う、第1の物品100Aの断面図を示す。第1の物品100Aは、単層もしくは多層繊維シート、複合部品、または基板であることができる。図10Bは、ファスナ、および第2の物品のうちの少なくとも一部分を被覆する第2のカバー104Bを伴う、第2の物品100Bの断面図を示す。第2の物品100Bもまた、単層もしくは多層繊維シート、複合部品、または基板であることができる。カバー104Aおよび104Bは、硬化および成形といった生産プロセスの間に、被覆されたファスナ11および12を保護し、それらが相互に押下、係合、および相互係止することを防止するのに役立つ。
【0026】
カバー104Aおよび104Bは、紙、シリコーン、ゴム、ポリマー、金属ろう、ペースト、粉末等といった材料で作製することができる。カバーはまた、前述の材料の混合物で作製することができる。一実施形態において、ファスナを被覆するように、室温硬化プロセスに好適な低融点合金が使用される。かかる合金の一例は、約50重量%のビスマス、約26.7重量%の鉛、約13.3重量%のスズ、および約10重量%のカドミウムでできた、融点が約70℃(158°F)である、共晶合金である。硬化プロセスの間、カバーを、熱によって除去することができ、次いで、被覆されたファスナを露出させることができる。別の実施形態において、ファスナを被覆するように、ろうおよびRTVシリコーンが使用される。最初に、比較的平滑な表面を達成するために、ろうをサイズ剤として塗布して、ファスナをコーティングする。次いで、RTVシリコーンを使用して、ファスナを被覆する。硬化プロセスの間、RTVシリコーンカバーは、熱または化学溶液によって剥離または除去することができ、ろうコーティングは、熱によって、または化学溶液によって除去することができる。
【0027】
2つの物品100Aおよび100Bが接続される準備が整った場合に、カバー104Aおよび104Bは、図11Aおよび11Bにおいて示されるように、機械的、物理的、および/または化学的手段によって除去して、ファスナを露出させることができる。次いで、図12において示されるように、物品100Aおよび100B上のファスナ11および12をともに係合および相互係止して、第1の物品100Aと第2の物品100Bとの間の接続/結合を形成する。接続された物品は、任意に、少なくとも1つのその後の硬化プロセスのために、接続領域で組み込まれたマトリクス材料35を有することができる。
【0028】
図13Aは、いかなるファスナも伴わない、第1の物品200Aの断面図を示す。第1の物品200Aは、単層もしくは多層繊維シート、複合部品、または基板であることができる。図13Bは、いかなるファスナも伴わない、第2の物品200Bの断面図を示す。第2の物品200Bもまた、単層もしくは多層繊維シート、複合部品、または基板であることができる。図13Cは、両側にファスナを伴う、例示的な繊維シート200Cの断面図を示す。繊維シート200Cは、図13Dにおいて示されるように、接続領域で、2つの物品200Aと200Bとの間に挾持されることができる。繊維シート200C上のファスナは、物品200Aおよび200B上に係止することができ、このため、物品200Aおよび200Bの接続強度を改善するのに役立つ。代替的に、図13Eにおいて示されるように、接続されるべき2つの物品300Aおよび300Bは、接続領域で、それら自体のファスナを有することができる。繊維シート200Cはさらに、接続領域で、2つの物品300Aと300Bとの間に挾持させることができる。繊維シート200C上のファスナは、物品300Aおよび300B上のファスナと係合および相互係止することができ、このため、物品300Aおよび300Bの接続強度を改善するのに役立つ。接続された物品は、任意に、少なくとも1つのその後の硬化プロセスのために、接続領域で組み込まれたマトリクス材料35を有することができる。
【0029】
ここで図14Aを参照すると、シート105は、直立または突出するスタッド106、窓107、および/または壁108を有することができる。シート105は、プレス成形、射出成形、および/または他の手段によって、紙、プラスチック、または他の材料で作製することができる。直立または突出するスタッド106および壁108は、シート105上に載置または溶接することができる。直立または突出するスタッド106、壁108はまた、プレス成形といった手段によって、シート105上に生成することができる。窓107は、切断または成形といった手段によって作製することができる。シート105は、図14Bにおいて示されるように、ファスナ10を伴う2つのシート間に配置することができる。直立または突出するスタッド106、壁108、および窓107は、層化およびロール化といった、生産および輸送プロセスの間、2つのシート10間に空間を形成し、ファスナ11および12を保護するのに役立つ。図14Cは、直立または突出するスタッド106、壁108、および窓107を伴う、シート105が、シートロール10Aのファスナ11および12を分離および保護することを例解する。
【0030】
繊維シートの自動取扱は、これまで複合物産業において大きな課題であり、かつ依然として大きな課題である。多くの状況において、繊維シートを積み上げる作業は、依然として、ほとんどが、効果的なツールの欠如により、手動で、即ち、手で行われている。本発明は、手動、電気的、水圧、磁気、および/または機械的力によって駆動されるように構成することができる、繊維シート取扱ツールを記載する。本発明による、繊維シート取扱ツール108の一実施形態を、図15Aに示す。繊維シート取扱ツール108は、基部115と、コネクタ99とを含む。コネクタ99は、制御信号、ならびに/または手動、電気的、水圧、磁気、および/もしくは機械的駆動力に連結されることが可能である。ツール108は、筐体ユニット114内に位置付けられる、少なくとも1つのロッド109を有する。ロッド109は、その表面のうちの一部の部分上に、ファスナ11および12を有する。ロッド109は、手動、電気的、水圧、磁気、および/または機械的駆動力によって、回転可能である。動作中、ツール108は、ファスナ11’および12’を伴うシート10に隣接して位置付けられる。ロッド109が、そのファスナ11および12を露出するように回転される場合に、ファスナ11および12は、シート10上のファスナ11’および12’と係合および相互係止する。ファスナの係合および相互係止は、ツール108が、シート10を掴持することを可能にする。ロッド109が、そのファスナ11および12を隠すように回転される場合に、ファスナ11および12は、シート10のファスナ11’および12’から係脱および係止解除する。ファスナの係脱および係止解除は、ツール108が、シート10を解放することを可能にする。
【0031】
本発明による、繊維シート取扱ツール108’の別の実施形態を、図15Bに示す。繊維シート取扱ツール108’は、基部115’と、コネクタ99’とを含む。基部115’は、その底部接触表面のうちの少なくとも一部の部分上に、ファスナ11および12を有する。コネクタ99’は、制御信号、ならびに/または手動、電気的、水圧、磁気、および/もしくは機械的駆動力に連結されることが可能である。基部115’はまた、任意に、追加の駆動力にさらに連結するように、軸111を有することができる。ツール108’は、筐体ユニット114’内に位置付けられる、少なくとも1つのバー110を有する。バー110は、手動、電気的、水圧、磁気、および/または機械的駆動力によって、退縮可能である。動作中、ツール108’は、ファスナ11’および12’を伴うシート10に隣接して位置付けられる。バー110が、筐体ユニット114’内に引込むように、退縮される場合に、基部115’の底部接触表面のファスナ11および12は、シート10上のファスナ11’および12’と係合および相互係止する。ファスナの係合および相互係止は、ツール108’が、シート10を掴持することを可能にする。バー110が、筐体ユニット114’の外側に突出するように延伸される場合に、基部115’の底部接触表面のファスナ11および12は、シート10のファスナ11’および12’から係脱および係止解除する。ファスナの係脱および係止解除は、ツール108’がシート10を解放することを可能にする。この実施形態の変形において、基部115’は、その底部接触表面上にファスナを有しないが、バー110が、その底部接触表面の少なくとも一部の部分上に、ファスナを有する。動作中、ツール108’は、ファスナ11’および12’を伴うシート10に隣接して位置付けられる。バー110が、そのファスナを露出させるように、筐体ユニット114’から延伸される場合に、バー110のファスナは、シート10上のファスナ11’および12’と係合および相互係止する。ファスナの係合および相互係止は、ツール108が、シート10を掴持することを可能にする。バー110が、筐体ユニット114’内に引込むように、退縮される場合に、バー110のファスナは、シート10のファスナ11’および12’から係脱および係止解除する。ファスナの係脱は、ツール108’が、シート10を解放することを可能にする。
【0032】
本発明による、繊維シート取扱ツール108’’のなお別の実施形態を、図15Cに示す。繊維シート取扱ツール108’’は、基部プレート115’’と、移動プレート113と、コネクタ99’’とを含む。基部プレート115’’および移動プレート113の両方は、少なくとも1つのピン112を有する。コネクタ99’’は、制御信号、ならびに/または手動、電気的、水圧、磁気、および/もしくは機械的駆動力に連結されることが可能である。ピン112は、2つのシート10間の間隙に嵌入されることが可能である。移動プレート113は、手動、電気的、水圧、磁気、および/または機械的駆動力によって、上昇または降下することができる。動作中、ツール108’’は、ピン112が、2つのシート間の間隙に嵌入するように構成されるように、シート10に隣接して位置付けられる。移動プレート113が上昇される場合に、シート間のファスナは、相互から係脱および係止解除する。係脱および係止解除は、ツール108’’が、シート10を分離および掴持することを可能にする。移動プレート113が降下される場合に、シート間のファスナは、相互に係合および相互係止する。ファスナの係合および相互係止は、ツール108’’が、シート10を解放することを可能にする。
【0033】
複合物および界面のための3次元繊維構造には、広範な用途がある。一例として、切断ホイールは、少なくとも部分的に、3次元繊維構造で作製することができる。かかる切断ホイールの一実施形態を、図16Aおよび16Bに示す。本実施形態において、ファスナ11および12を伴う、複数のシート10は、ともに相互係止され、切断ホイールに、強化されたラミネート強度を提供する。加えて、最外シート上の露出されたファスナ11および12は、切断プロセスの間に生成される粒子120(例えば、おがくず)を抑制および抑止するのに役立つことができ、切断ホイールおよび関連機器の使用寿命を増加させる。切断ホイールは、個々の層が、ファスナを伴うシートでできていることを除き、従来のプロセスの間に製造することができる。別の例として、タイヤが、少なくとも部分的に、3次元繊維構造で作製されることができる。かかるタイヤの一実施形態を、図20Aおよび20Bに示す。本実施形態において、ファスナ11および12を伴う複数のシート10は、ともに相互係止される。少なくとも1つのシート10上のファスナ11および12もまた、織物またはネットといった、タイヤの少なくとも1つの他の層145を、貫入、係合、および相互係止する。係合および相互係止は、タイヤにおいて強力な3D補強を形成することができ、長い使用寿命、より高い貫入抵抗、およびより強力なラミネート間強度といった、特徴を提供する。タイヤのシート10および他の層145は、Kevlar、炭素繊維、ガラス繊維、鋼線、または他の繊維材料といった、種々の材料で作製することができる。タイヤ内のシート10は、任意に、結合のために組み込まれる/塗布される、マトリクス材料35を有することができる。
【0034】
複合物および界面のための3次元繊維構造はまた、内部空間を伴う構造を製造するために使用することができる。図21は、かかる構造の一例を例解する。いくつかのシートまたは基板10は、内側に中空空間を伴う複合パネルまたはブロック215を形成するように、層毎に一緒に重ねられる。ファスナ(例えば、フックおよびループ)は、層間接続および支持を提供するように、相互に係合するように構成することができる。基板10の積重体は、完全には圧縮されず、このため、基板10間に中空空間211が存在する。ファスナ11および12は、複合構造において、基板10間のコネクタ/支持体として、およびスペーサとして作用することができる。複合パネルまたはブロック215内の中空空間は、複合パネルまたはブロック215のある特性(例えば、耐熱性)を改善するのに役立つ。かかるパネル複合パネルまたはブロックは、壁およびドアを作製するといった、建築産業において使用することができる。好ましくは、上部シートおよび底部シートは、シートの内側のみに、ファスナを有する。任意に、上部シートおよび底部シートは、ファスナを全く有しない。複合パネル215は、プリプレグシートの積重体を使用することによって、またはシート10プレフォームの3D積重体に樹脂を浸潤させることによって、製造することができる。
【0035】
シートの2つの側面上のファスナは、必ずしも同じ長さまたは同じ剛性ではない。図17Aは、片側により短く、かつより剛のファスナ121、および他方の側により長く、かつより軟質のファスナ122を伴う、例示的なシート100を例解する。繊維ガラスおよび炭素繊維といった、繊維は、異なる曲げ弾性率を有する。より短いファスナは、一般的に、特定の圧縮負荷下での曲げおよび座屈に対して、より剛、かつより堅固である。より短く、かつより剛のファスナ121が、より長く、かつより軟質のファスナ122に対して押圧される場合に、より短く、かつより剛のファスナ121は、通常、図17Bにおいて示されるように、より長く、かつより軟質のファスナ122に係合および相互係止する。シート平面10上のより短く、かつより剛のファスナ121は、Velcro(登録商標)ファスナ、タオル等を作製するための製織および製編技術を最適化することによって、所望の方向に向かって傾斜する鋭角124を達成することができる。鋭角124に傾斜するファスナはまた、傾斜するファスナを鋭利にするために、ファスナ上で、所望の場所および方向に、コーティングおよびサイジング材料123を塗布することによって得ることができる。鋭角に傾斜するファスナは、隣接するシート上の他のファスナを係合するのに役立つ。図19Aおよび19Bは、相互と係合および相互係止する、鋭角を伴うファスナを示す、プロトタイプの2つの写真である。
【0036】
ここで図18Aおよび18Bを参照すると、シート上でファスナを生成する、別の例示的なプロセスが例解される。図18Aは、少なくとも1つの開口35を伴う、例示的なシート100の断面図を示す。最初に、マトリクス材料35が、開口35の内壁に塗布される。次いで、電場または機械的手段のいずれかを介して、フロッキング技術を使用して、シート100上の開口35にファスナ130を通す。任意に、ファスナ130を、シート100の表面上の所望の高さ/長さを達成するように、プレートまたはフィルム131によって整列されることができる。
【0037】
上の発明を実施するための形態は、対応する図面と併せて、本発明を例解することを意図し、本発明が構築され、および/または利用され得る形態のみを表すことを意図しない。説明は、本発明を実践するための構造およびステップの順序をともに記載する。しかしながら、同じまたは同等の構造およびステップが、本発明の精神および範囲内に網羅されることが同様に意図される、異なる実施形態によって、達成され得るということを理解されたい。したがって、本発明は、請求項によらない限り、制限されないということが意図される。
【0038】
1つ以上の参照文献が本明細書において組み込まれることに留意されたい。組み込まれた資料のうちのいずれかが、本開示と矛盾する範囲においては、本開示が優先されるものとする。さらに、必要な範囲において、本明細書に参照することによって組み込まれる資料は、請求項の妥当性を維持するために必要な場合、無視されるものとする。
さらに、上の説明は本発明に言及するが、該説明は、2つ以上の発明を含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21