【実施例】
【0066】
方法
動物
この研究において使用したOF1及びCBA/Jの雌マウスは、Charles River laboratories(Lyon,France)から購入した。Balb/cマウスは、Harlan(Horst,The Netherlands)から購入した。全ての実験及びアッセイは、Belgian national guidelines for animal experimentationに従ってGlaxoSmithKline Biologicals(GSK,Rixensart,Belgium)で行った。
【0067】
細菌の株及び培養条件
株2/D39は、JC Paton氏(University of Adelaide,Australia)から供与頂いた。株4/CDC及び6B/CDCは、Center for Disease Control and Prevention(CDC)から入手し、19F/2737株は、American type culture collection(ATCC)から入手した。株3/43は、E Yourassowski氏(Brugmann Hospital,University of Brussel,Belgium)から供与頂いた。
【0068】
肺炎連鎖球菌株TIGR4{Tettelin 2001年}は、Andrew Camilli氏(Tufts University School of Medicine,Boston,MA,USA)から供与頂いた。WU2株は、David E Briles氏(University of Alabama at Birmingham,Birmingham,Alabama,USA)から供与頂いた。4型株は、CDC(Center for Disease Control & Prevention)から入手した。
【0069】
肺炎球菌は、慣例的に、37℃/8%のCO
2で0.5%(w/v)の酵母抽出物を含むTodd−Hewittブロス(THB、Difco)中で増殖させた。適切な場合、それぞれ0.2及び250μg/mLの濃度のエリスロマイシン及び/又はスペクチノマイシン(Sigma−Aldrich,Bornem,Belgium)を添加した。
【0070】
大腸菌DH5α及びJM109株(Gibco BRL,Life Technology)は、37℃で16時間、1.5%(w/v)のBacto−agar(Difco)を含む又は含まないLuria−Bertaniブロス(LBT、Difco)中で増殖させた。適切な場合、100μg/mLの濃度のエリスロマイシン又はスペクチノマイシンを添加した。
【0071】
Phtの発生率に関する研究については、23のインハウス及びpneumococcal molecular epidemiology network(PMEN)の株に加えて、34の分離菌をTJ Mitchell氏(Scotland)から、6つの分離菌をRE Gertz氏(USA)から、2つの分離菌をAB Brueggemann(UK)から供与頂き、9つの分離菌をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手した。
【0072】
抗原
CbpA(又はPspC)は、Brookes−WalterらJ.Infect.Dis.67;6533−6542(1999年)に記載の通り切頭型組換え型タンパク質であり、JC Paton氏から供与頂いた。このタンパク質は、D39株の配列から構築されており、したがって、クレードA.PspA(クレード2)に属しており、PsaAは、2/D39株に由来する組換えタンパク質である。OgunniyiらInfect.Immun.68;3028−3033(2000年)。両方とも、JC Paton氏から供与頂いた。
【0073】
DNA処理及び分析
Plasmid Midi又はMini Purification Kit(Qiagen Benelux,Venlo,The Netherlands)を使用して、大腸菌プラスミドDNAを得た。QIAquick PCR Purification Kitを用いてPCR生成物を精製し、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いて1%(w/v)のアガロースゲル上でDNA分解産物を精製した。制限酵素及びライゲーション酵素は、New England BioLabs(Westburg,Leusden,Belgium)から入手した。これら研究の各PCR反応にはExpand High Fidelity System(Roche,Mannheim,Germany)を用いた。全ての市販商品は、供給元により推奨されている条件下で用いた。
【0074】
DNAの配列決定は、Applied Biosystems自動DNAシーケンサ(モデル3100)(Applied Biosystems Inc,Forster City,CA,USA)においてBig Dye Terminator Sequencing Kitを用いて実施した。配列解析は、MacVector V6.5ソフトウェア(Oxford Molecular Ltd.,Madison)又はVector NTI 7.1ソフトウェア(Informax)を用いて実施し、入手可能な肺炎連鎖球菌のTIGR4ゲノム配列(www.tigr.org)と配列を比較した{Peterson 2001年}。
【0075】
肺炎連鎖球菌のゲノムDNA抽出
1又は2つの高濃度に(heavily)接種した血液寒天培地からコンフルエントになるまで一晩増殖させたものを1mLのTE(10mMのTris−HCl;5mMのEDTA;pH7.8)に収集することにより、各株から染色体DNAを得た。微量遠心機において最高速度で5分間細菌懸濁液を遠心分離し、ペレットを75μLのTEに再懸濁させた。リゾチーム(100mg/mL)20μL及びプロテイナーゼK(20mg/mL)20μLを順次添加し、37℃で45分間インキュベートすることにより細胞溶解物を得た。次いで、500μLの溶解バッファ(10mMのTris−HCl、pH8.0;0.14MのNaCl;0.1Mのクエン酸ナトリウム;1mMのEDTA、pH8.0;0.1%(w/v)のデオキシコール酸ナトリウム)を添加し、室温で10分間インキュベートした。このインキュベート期間の最後に、酢酸アンモニウム(7.5mM、pH7.7)250μLを粗溶解物に添加し、氷上で10分間インキュベートした。フェノール/クロロホルム/イソアミル(25:24:1)で粘着性のDNAを2度抽出し、イソプロピルアルコール中で沈殿させた。得られたDNAを70%(v/v)のエタノールで洗浄し、0.6μLのRNaseA(10mg/mL)を含有する50μLのTEに再懸濁させた。DNA懸濁液を4℃で保存した。
【0076】
RNAの単離
THYにおける600nmの光学密度(OD
600)0.01から異なるOD
600まで増殖させた肺炎連鎖球菌から全RNAを単離し、様々な増殖期(初期対数期、OD
600=0.3;後期対数期、OD
600=0.9;静止期、OD
600=1.2)における遺伝子発現を評価した。細胞を遠心分離し、6mgのリゾチームmL
−1及び1mgのデオキシコール酸ナトリウムmL
−1を含有するRNAase不含Tris−EDTAに再懸濁させ、室温で10分間インキュベートした。インキュベート後、製造業者の指示に従って、QIAGEN RNeasy Mini Kitを用いてRNA単離を行った。37Cで1時間、RNA1μg当たり1ユニットのDNaseと共にRNAサンプルをインキュベートし、次いで、65℃で10分間2.5mMのEDTAでDNaseを不活化することによりゲノミックDNAの混入を除いた。製造業者の指示に従って、Ribogreen(登録商標)RNA Quantification Kit(Molecular Probes)を使用して全RNAを定量した。
【0077】
cDNA末端の5’−迅速増幅(RACE)
転写開始点を同定するために使用した方法は、Ranasinghe&Hobbsの改良法であった{Ranasinghe 1998年}。簡潔に述べると、phtE遺伝子の3’末端に特異的なプライマーを用いて、製造業者の指示に従ってSuperscript II逆転写酵素(Invitrogen)で全RNAから第1鎖の相補的DNA(cDNA)を合成した。次いで、室温で1時間かけてRNAaseAを添加し、cDNA−RNAハイブリッドにおいて3’平滑末端を作製した。T4DNAリガーゼを使用して、EcoRVで切断されたpKSプラスミド(Stratagene)に前記ハイブリッドを挿入した(一晩16℃でインキュベート)。別の3’末端に特異的なphtEリバースプライマー及びpKSに特異的なT7プロモータプライマーを使用して、5’末端を増幅させるためのPCR反応を設定した。pKS−cDNA接合物の配列を決定して、+1塩基を同定した。
【0078】
転写ターミネーターの同定
Brendel&Trifonovの方法に基づいてWisconsin Sequence Analysis Packageバージョン10.1(Genetics Computer Group)を用いてターミネータの同定を行った{Brendel 1984年}。
【0079】
RT−PCR
以下の通りRT−PCR研究を行った。まず、全体積10μLの、3’−末端の遺伝子に特異的なリバースプライマー10μM及びRNaseOut20ユニットを含有する混合物中にて、65℃で5分間RNA(2μg)を変性させた。次いで、5mMのジチオトレイトール、1mMのdNTP、15ユニットのThermoscript逆転写酵素(Invitrogen)、1×cDNA合成バッファ、及び体積が20μLになるまでリボヌクレアーゼ不含滅菌水を添加することにより、逆転写反応を行った。1時間56〜58℃で逆転写混合物をインキュベートし、次いで、85℃で5分間逆転写酵素を変性させた。1ユニットのRNaseHと共に20分間37℃で逆転写溶液をインキュベートすることにより、RNA−cDNAハイブリッド上のRNA鎖を分解した。逆転写反応に用いるための様々な5’遺伝子に特異的なフォワードプライマー及び3’遺伝子に特異的なリバースプライマー(最終濃度0.5μM)、0.2mMのdNTP、Taq DNAポリメラーゼ反応バッファ、2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Amersham Biosciences)、及び体積が50μLになるまで滅菌水を用いて、2μLのcDNAに対してPCR反応を実施した。PCRサイクルは、94℃で5分間の初期変性と、次いで、94℃で15〜30秒間の変性、55℃(phtE、phtD)又は63℃(phtB、D、A)で15〜30秒間のアニーリング、及び72℃で1分間の伸長の25〜30サイクルとからなり、そして、72℃で5〜7分間の最後の伸長工程で完了する。RNA調製物におけるDNAの混入を除くために、逆転写反応していないRNAで構成されるネガティブコントコールも実施した。1%(w/v)のアガロースゲル電気泳動によりPCR生成物を分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。
【0080】
Pht突然変異体の調製
肺炎連鎖球菌ではなく大腸菌において複製するpGEM−Tベクター(Promega Benelux,Leiden,the Netherlands)からミューテーターベクターを構築した。それらは、抗生物質耐性遺伝子の周囲に、除去されPCRにより増幅されるpht遺伝子の上流及び下流の領域に相当する組換え領域を含有する(必要に応じて、ミューテーターベクターを構築するために用いられるプライマー及び制限酵素部位を備えてもよい)。Pht欠損四倍変異株を調製するためには、2つの異なる遺伝子座(遺伝子座phtD/phtE、及び遺伝子座phtA/phtB)における欠損を組合せるために、2つの異なる抗生物質耐性遺伝子を使用しなければならなかった。phtD/phtE遺伝子座については、pJDC9ベクターの誘導体から増幅されるエリスロマイシン耐性遺伝子(ermB)を選択した。phtA/phtB遺伝子座については、スペクチノマイシン耐性遺伝子(aad(9)遺伝子))をpR350プラスミド(J Paton氏から供与頂いた)から精製した。
【0081】
様々な構築されたプラスミドを用いてDH5α又はJM109大腸菌株でクローニングを実施し、それぞれの抗生物質を含むLB寒天にプレーティングした。CaCl
2で処理した細胞を用いる標準的な方法により、プラスミドDNAで大腸菌を形質転換した。{Hanahan 1985年}
2つの連続する培養工程により、形質転換用の4/CDC肺炎連鎖球菌株を調製した後、CTM培地(10g/Lのカザミノ酸;5g/Lのトリプトン;5g/LのNaCL;10g/Lの酵母抽出物;0.4MのK
2HPO
4;20%のグルコース;30mg/mLのグルタミン;1%のBSA、0.1MのCaCL
2;pH7.8)に再懸濁させ、分注し、15%グリセロール中で凍結させた。これらアリコートを形質転換に使用した。融解させた後、CSP−1又はCSP−2(CTM培地中100ng/mL)を添加して受容能を誘導し、37℃で細菌をインキュベートした。様々な時間をかけて(5、10、15、及び20分)、受容能を最適化させた。1μgのミューテーターベクターを添加した後、振盪させながら32℃で30分間細胞をインキュベートし、次いで5%CO
2下で37℃にて2〜4時間インキュベートした。最後に、適切な抗生物質を含む血液寒天に細菌をプレーティングした。四重突然変異体については、上記と同じプロトコールを用いることによりPhtA、Bを欠損させるプラスミドでPhtD、E−KO株を形質転換した。
【0082】
SDS−PAGE及びウェスタンブロット分析
5つの高濃度に接種した血液寒天プレートからコンフルエントになるまで一晩増殖させたものを滅菌PBS1mL(0.14MのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのNa
2HPO
4、1.8mMのKH
2PO
4、pH7.2)に収集し、56℃で45分間のインキュベート工程を行うことにより、加熱殺菌された細菌懸濁液を得た。次いで、前記加熱殺菌された懸濁液にサンプルバッファ(60mMのTrizma塩基、1%(w/v)のSDS、10%(v/v)のグリセロール、0.01%(w/v)のブロモフェノールブルー、2%(v/v)のβ−メルカプトエタノール)を添加した。5分間調製物を沸騰させて、2分間微量遠心機において最高速度で遠心分離し、Laemmli{Laemmli 1970年}によって記載されている通り、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分離した。{Towbin 1979年}に記載されている通り、アクリルアミドゲルからタンパク質を電気泳動でニトロセルロース膜(Bio−Rad,Richmond,CA)上に転写した。phtDに対して増加するマウスポリクローナル抗体をプローブとして膜を探索し、次いで、アルカリホスファターゼ(Promega Benelux.)にコンジュゲートしているヤギ抗マウスIgGで探索した。酵素で標識したバンドをNBT/BCIP基質系で可視化した。
【0083】
イオン欠損培地における培養物の増殖
野生型の4/CDC株、及び対応するPhtD−及びPht−欠損四重突然変異体株を、化学的に定義される合成培地(MS)における様々なイオン枯渇又は補充条件下で培養した{SICARD1964年}。あるいは、Mn
2+、Fe
2+、Fe
3+、Cu
2+、又はZn
2+の濃度を上昇させることによりMS培地に補充した。対数増殖期の間及び静止期に600nmにおける光学密度をモニタした。結果を野生型のものと比較した。
【0084】
野生型のWU2株を、Zn特異的キレート剤であるN,N,N’,N’,−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)と共に又は無しで培養して、(RT−PCRにより)RNA及び(フローサイトメトリーにより)タンパク質レベルでPht発現に対する亜鉛枯渇の効果を観察した。
【0085】
フローサイトメトリー
対数増殖期まで、37℃、8%CO
2でTHB+0.5%の酵母抽出物中でWU2細菌を増殖させた。あるいは、培地にTPEN30μM(亜鉛キレート剤)を添加した。遠心分離後に、対照として抗PhtE、抗PhtB/D、抗PhtD/E又は抗3型多糖モノクローナル抗体を含有する溶液中に細菌のペレットを再懸濁させた。4℃で2時間後;溶液を遠心分離し、細菌のペレットをPBS−BSA2%で洗浄した後、PBS−BSA2%中のAlexaFluor(商標)(Molecular Probes)にコンジュゲートしているヤギ抗マウス二次抗体中で室温にて1時間インキュベートした。洗浄後、PBS−ホルムアルデヒド0.25%で細胞を固定し、FACS分析を行った。表面の蛍光のメジアンを記録した。
【0086】
定量逆転写酵素PCR
O.D.が約0.5(対数増殖期の中間)まで増殖させたD39株の全RNAを、RNeasy(商標)Midi Kit(Qiagen)を用いて精製し、Quant−iT(商標)RiboGreen(商標)RNA Assay Kit(Invitrogen)で定量した。37℃で30分間、RQ1 RNase不含DNase(Promega)1.5μLでサンプル(1μg)を2度処理した。1μLのDNase STOPを添加し、次いで、65℃で10分間インキュベートすることにより反応を停止させた。SuperScript(商標)II逆転写酵素(Invitrogen)、ランダムプライマー(Invitrogen)、及び組換え型RNasin(商標)リボヌクレアーゼ阻害剤(Promega)を用いて第1鎖のcDNAを生成した。製造業者が記載の通り、TaqMan(商標)PCR Core Reagents Kit(Applied Biosystems)を用いて、反応体積50μLでリアルタイムPCRを実施した。以下のプライマー及びプローブを用いた:gyrB、GGGAAATAGCGAAGTGGTCAAG(フォワード)、GGAATCGGAGAAGGCTTCAC(リバース)及びTTACCAATCGCCTCTTC(プローブ);phtD、CCCATGCGGACAATATTCG(フォワード)、TGACTGCGTTCCTGCTTCTG(リバース)、CGTTTAATCTCTTCTTTTGT(プローブ)。
【0087】
全てのアッセイをデュープリケートで行い(培養からq−PCRまで)、キャリブレータとしてTHBのみ中で増殖させたgyrBを内部対照として用いて2
−ΔΔCT法(Livak&Schmittgen、2001年)により相対的な遺伝子転写を分析した。
【0088】
Pht出現率の測定
肺炎連鎖球菌の代表的な株を選択するために、MLST(Multi−Locus Sequence Type;www.mlst.net)によって決定したときの株の遺伝子型に従って母集団構造を分析した。MLST分離配列型(ST)に基いて、主なクローンの系統を決定した。各群について、出現率を分析するための代表的な株を選択した。これは、抗PhtDポリクローナル抗体(A、B及びDと交差反応し得る)又は抗PhtEを用いて全細菌抽出物に対してウェスタンブロッティングを行うにより、及びPhtA、B、D又はEに特異的なプライマーを用いて肺炎球菌のゲノミックDNAに対してPCRを行うことにより実施した。
【0089】
PhtD保存分析のためのDNAの配列決定
PhtDに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、107のMLSTで選択された株のDNAをPCR増幅した。107の配列をClustalXプログラムによって整列させ、Superneedleプログラムにより同一性を計算した(同一性の割合は100×(同一数/最短配列の長さ)である。
【0090】
実施例1
pht遺伝子の特性評価
pht遺伝子のゲノムの構成
先行研究において、肺炎連鎖球菌SP64株のゲノミックライブラリーに由来する重複クローンのDNA配列決定{Hamel 2004年}及びPCR分析により、この種の6B株におけるpht遺伝子及びその近傍の遺伝子のゲノムの構成を推定することができた。PhtD及びPhtE遺伝子に加えてphtA及びphtBの遺伝子も対として構成されていた。TIGRウェブサイト(www.tigr.org)におけるBLAST分析{Peterson 2001年}は、2つの遺伝子タンデムが肺炎連鎖球菌TIGR4ゲノム中に161kbp離れて位置していること、及びゲノムの構成がSP64株でみられるものと同一であることを示した(
図1)。また、後者ではphtAが欠けていることを除いて4/CDC株及びWU2株にも同じpht遺伝子構成がみられた(データは示さない)。TIGR4株DNAにおけるpht遺伝子の周囲を配列決定することにより、後者の所見が確認された(データは示さない)。更なる分析により、TIGR4株においてphtA及びphtBは157bpが離れているが、一方phtD及びphtEは209bp離れていることが示され、これを更なる研究のために選択した。
【0091】
phtD−phtEのタンデム側では、ラミニン結合タンパク質をコードするA群及びB群の連鎖球菌lmb遺伝子(それぞれ、アクセッション番号AAK34689{Ferretti 2001年}及びAAD13796{Spellerberg 1999年})に対して72%の類似性を示す遺伝子が、PhtD遺伝子の7bp上流に位置していた(
図1)。また、この遺伝子産物は、最近、AdcAIIと命名され、ABC輸送体様亜鉛結合タンパク質であると説明された{Loisel 2008年}。lmb遺伝子ホモログの142bp上流に位置する1392bpのORFは、枯草菌(Bacillus subtilis)代謝産物輸送体YfnAタンパク質(アクセッション番号D69814)と64%の配列類似性を表し、化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)(アクセッション番号AAK33157)の推定アミノ酸透過酵素と81%の類似性を表すタンパク質をコードしている{Ferretti 2001年、Kunst 1997年}。phtEの最初の481bpと79%の同一性を示す配列(phtFと提案)が、phtEの終止コドンの226bp後にみられた(
図1)。また、この配列は、phtA、B及びD遺伝子と72%の同一性を示す。
【0092】
phtA−phtBのタンデム側では、唾液連鎖球菌(Streptococcus salivarius)のptsI遺伝子(アクセッション番号P30299){Gagnon 1992年}と73%の配列相同性を表す1332bpのORFが、phtA遺伝子の253bp上流に位置していた(
図1)。この遺伝子は、全ゲノム配列(アクセッション番号AAK75285)で見出されたptsI遺伝子と比較して、本発明者らが配列決定したTIGR4株におけるフレームシフトを示した。両方の遺伝子対の直下流には機能的なORFは位置していなかった。
【0093】
実施例2
pht遺伝子の転写機構
pht遺伝子のゲノムの構成は、タンデムな遺伝子が協調して転写される可能性があることを示唆していた。したがって、この仮説について考察するために更なる研究を行った。まず、pht遺伝子の推定上のプロモーター及びリボソーム結合部位を同定した。phtE遺伝子における5’−RACEにより、その転写開始点を同定することができ、それからプロモーター領域を推定した。転写開始部位(+1)は、PhtE翻訳開始部位の96塩基上流、典型的な肺炎連鎖球菌の−10〜−35RNAポリメラーゼ結合部位の下流{Morrison 1990年}、及びリボソーム結合部位の上流に位置することが見出された(
図2a)。類似した配列構成は、phtA、phtB及びyfnA遺伝子の上流にもみられ、これは推定上のプロモーターの存在を示す(
図2b、c及びe)。しかし、lmb遺伝子に極近接しているため(7bp)、phtD遺伝子についてはプロモーター配列が同定されなかった。他方、他のpht遺伝子の−35配列と同一の配列は、lmb遺伝子の上流に位置していた(
図2d)。リボソーム結合部位は、全ての開始コドンの5〜7bp上流に観察された。
【0094】
また、pht及び隣接する遺伝子の転写終結部位を同定した。予測されるmRNA二次構造のコンピューター分析により、遺伝子の3’末端にステムループターミネーター様構造の存在が示唆された。ヘアピン構造を形成することができ、計算された自由エネルギーの解離(ΔG)は、Turnerら(1988年)の方法{Turner 1988年}により測定したとき、それぞれ、phtB、PhtD、phtA、及びPtsIについて−9.4、−27.0、−16.8、及び−21.6kcal mol
−1であった。実際、phtD遺伝子について同定されたターミネーターは、ORF SP1003についてはTIGRウェブサイトによって報告されたものと同一であり、phtD遺伝子のホモログに一致していた(www.tigr.org)。他のpht又は周囲の遺伝子については、TIGRのグループでは転写ターミネーターが同定されなかったが、これは恐らく両方の研究によって使用されるアルゴリズム差が反映されている。ほとんどのヘアピンは、原核生物の転写ターミネーターで典型的にみられるT残基の伸張で終端しており{Rosenberg 1979年}、終止コドンの70bp下流に位置していた(
図3)。興味深いことに、phtEターミネーター配列(ΔGは−4.7kcal mol
−1である)は、その終止コドン及びphtF遺伝子の1867bp下流に位置しており、後者のORFは、インフレームの終止コドンを含有しており、翻訳が妨げられていた(
図3a)。yfnA及びlmbの遺伝子の下流にターミネーター配列は同定されなかった。
【0095】
ゲノムの構成は、phtEがyfnA、lmb、phtD、phtE及びphtF遺伝子から構成されるオペロンの一部である可能性があることを示唆した。しかしながら、5’−RACE(
図2a)及びターミネーター同定(
図3a)は、phtEが、phtE及びphtFの遺伝子から構成されているバイシストロニックなメッセージにおいて転写される最初の遺伝子であることを示し、これは、RT−PCRによって確認された。phtE〜phtFの領域はRT−PCRによって増幅されたが(
図4a、レーン4及び6)、一方、遺伝子phtDとphtEとの間の領域に特異的なプライマー対を用いても増幅産物は得られなかった(
図4a、レーン5)。これは、phtDの下流で転写が終結することを示す(
図3c)。
【0096】
図4a(レーン1〜3)において示されるように、RT−PCRによりyfnA〜phtDの領域が増幅された。更に、Loiselら{Loisel 2008年}は、このphtD転写物が、yfnA、lmb及びphtDに加えて、yfnAの上流の2つの遺伝子もコードすることを示した(シトクロムcの生物発生に関与するccdA及びチオレドキシンと類似性を示すspr0904)。興味深いことに、lmb遺伝子の上流の推定上のプロモーターの同定(
図2d)は、phtD及びlmbの遺伝子の転写カップリングを示唆した。
【0097】
phtB及びphtAの遺伝子について得られた結果は、プロモーター(
図2b及びc)及びターミネーター部位同定(
図3b及びd)によって示唆される通り、これらがモノシストロニックなmRNAとして転写されることを示した。RT−PCRによるphtA及びphtBの転写機構の分析は、phtBに特異的なプライマーを用いてphtBに特異的なアンプリコンを明らかにした(
図4a、レーン7)。phtAとphtBとの間の領域を増幅するプライマーを用いたRT−PCRでは増幅産物は得られなかった(
図4a、レーン8)。これは、phtA及びphtBの遺伝子のモノシストロニックな構成を示す。ターミネーター部位同定(
図3e)は、ptsIがモノシストロニックなメッセージとして転写されることを示し、これはまた、phtAがポリシストロニックな転写物の一部ではないことを確認した。
【0098】
実施例3
Pht突然変異体の構築及び使用
突然変異体の特性評価
突然変異体PhtA
−、PhtB
−、PhtD
−、PhtE
−及び四重突然変異体PhtABDE
−を構築した。組換えの正確さを評価するために、突然変異株のゲノミックDNAを精製し、組み換え領域の配列を決定した(データは示さない)。更に、マウスのポリクローナル抗PhtD抗体を使用して、突然変異体の表現型をイムノブロッティングにより特性評価した(
図5)。この抗体は4つのPhtアイソタイプを全て認識した。しかし、PhtEバンドはより弱く、他の3つからのこのPhtが最も離れていることが確認された。
【0099】
細菌増殖に対する様々なイオンの影響
Phtの四重突然変異体の増殖は、野性型株及び様々なPht単一突然変異体と比べて、MSの培地において劇的に減少した(
図6a)。200μM以下のFe
2+、Zn
2+又はMn
2+を培地に添加した場合、野生型及びPhtD欠損突然変異体の増殖は僅かに改善された(MSのみに対する増殖率:96〜130%)。対照的に、四重突然変異体の挙動は著しかった。MSに対して200μMのFe
2+を添加した場合、増殖は25.3%しか増加しなかったが(
図6d)、同濃度のZn
2+又はMn
2+は、四重突然変異体の増殖能を回復させた(
図6b、c)。これは、MSのみにおいて得られたものと比較して、増殖速度が最大92.3%増加したことを表す。しかし、この増殖速度の回復は遅く、培養の最初の数時間以内には改善がみられず、一晩インキュベートした後にしかみられなかった。Zn
2+又はMn
2+が増殖を回復させたように、Mg
2+の添加は200μMでは完全に増殖を回復させられなかったが、1mg/mLのMg
2+をMSに添加したときには、類似する増殖速度の増加がみられた(データは示さない)。高濃度のCu
2+の添加は、野生型及び突然変異株に対して有毒であった(データは示さない)。
【0100】
実施例4
pht発現に対する亜鉛枯渇の効果
培養培地に亜鉛キレート剤TPENを添加した場合、フローサイトメトリー実験によって測定したとき、Phtタンパク質の発現レベルが増加した(
図7a、b、c)。対照として、同じ亜鉛枯渇条件下における抗3型多糖抗体では平均蛍光の変化がみられなかった(
図7d)。RNAレベルでは、亜鉛枯渇条件でphtE転写レベルが最大25倍増加することをRT−PCRにより測定することができた(データは示さない)。
【0101】
更に、THB又はTHB+25μMのTPENのいずれか中で増殖させた肺炎球菌分離菌(D39株)から精製したmRNAを用いて、q−RT−PCR実験を実施した。培地に添加したキレート剤の濃度は、予備実験で求められた通り、最適以下であった。これは、TPENが、(TPEN濃度が、培地中の全てのイオンをキレート化するのに十分高いときにみられる通り)増殖を妨げはしないが、増殖を遅らせる(データは示さない)ことを意味する。培地にTPENを添加することにより、phtDのmRNA発現レベルが4.84倍増加した。25μMのZnSO
4でTHB+TPENを補償することにより、phtDのmRNAの発現は、培地のみでみられたレベルと同様のレベルにまで回復した。これは、TPENによりキレート化され得る全てのイオン(Zn、Mn、Cd、Co、Ni、Cu、Mg、Ca)の中でも、ZnがphtDの発現レベルに対して大きさ影響を有することを示唆する。
【0102】
実施例5
肺炎球菌におけるPht出現率
合計74株(23のPMEN及びインハウス株を含む)について調査した。この代表的な株のセットでは、18のクローンの系統が示され、27の異なるSTを備えた46株(61%)が3つの主なクローン群(1、11及び23)に属し、56の異なるSTが存在し、その中で更に説明されるのは81、90、124、156、162及び199(22株)であり、27の異なる血清型が存在し、更に説明されるのは19F、6B、3及び23F(全ての株の47%)であった。
【0103】
ゲノミックDNAに対するPCRによって、それぞれ株の100%、97%、81%及び62%にPhtD、PhtE、PhtB及びPhtAの遺伝子が見出された。株の54パーセントは、そのゲノムに4つのpht遺伝子を有することが見出された。PhtDに対して増加するポリクローナル抗体を用いたイムノブロットにおいて、全ての株でPhtDを検出することができた。同様に、他のPhtは、それぞれの遺伝子を有する全ての株においてイムノブロッティングによって見出された。特に、遺伝的に最も分化しているので、PhtEは、それに対して特異的に増加するポリクローナル抗体でよりよく検出された(
図8)。6つの分離菌でより小さなサイズ(10kDa小さい)、及び8つの株で更により小さなサイズ(20kDa小さい)のPhtE等の幾つかの特殊なPhtが見出された。同様に、4株は、切頭型PhtAを生成することが見出され(
図8)、この遺伝子はPCRにより検出されなかった。興味深いことに、これらの4つの株は、20kDa切頭されたPhtEも発現した。少なくとも、phtB陰性株のphtA/B遺伝子座の配列決定により、この遺伝子座の中に存在する唯一の遺伝子がphtA及びphtB、又はphtA及びphtD遺伝子のいずれかのハイブリッドであったことが明らかになった。
【0104】
興味深いことに、配列分析により、pht遺伝子によってコードされるシグナル配列が各Phtファミリーのメンバーにとって特異的であったことが実証された。実際、Phtファミリーのメンバーに特異的なシグナル配列は、別のPhtファミリーのメンバーのシグナル配列と少なくとも1つの位置において異なる(表1を参照されたい)。
【0105】
次に、Pht発現プロファイルと分離物の遺伝子型/血清型との間を関連づけられるかどうか判定することを試みた。分析した株において、血清型2、4、14、6B及び7Fの分離菌は全て4つのPhtを有しており、血清型3、9、19F及び22Fの分離菌は全て、PhtAが欠けているか又はより小さなPhtAを有していた。
【0106】
MLST遺伝子型とPht発現プロファイルとの間の潜在的な関連に関して、以下の特徴を求めることができた:10kDa切頭されたPhtEは、主に遺伝子型ST199群で見出された。これら株の血清型は19F、19A、15A、1及び6Aである。全て同じクローン系統(群1)に属するが、異なる血清型(9、19A、19F、14)を有する8つの分離菌において20kDa切頭されたPhtEが観察された。最後に、異なるクローンの系統においてPhtAを欠く株が観察された。したがって、PhtAの欠損と遺伝子型との間の主な関連は同定されなかった。
【0107】
実施例6
PhtDの保存
Phtの出現率に関する研究では、PhtDは試験された全ての肺炎球菌株中に存在することが見出された。このことは、PhtDがPhtファミリーの中で最良のワクチン候補であることを示す。この点で、肺炎球菌株中の配列保存のレベルを決定することが必須であることが分かった。そのために、DNAの配列決定を実行した。
【0108】
107の株(MLST分類に基いた)の分析から、PhtDの長さが831〜853アミノ酸で変動し、分子量は約100kDaであると求められた。PhtDは、試験された107の株の間で高度に保存されており、1つの配列だけが、切頭型タンパク質(株4/75)のため停止を示した。プロリンの多い領域は、全ての株について13〜15のプロリンを含有していた(7つの株では、プロリンは11〜13のみであった)。4未満のアミノ酸が変異している制限された伸長が、PhtDの配列で見出された。
【0109】
考察
Phtタンパク質は、肺炎球菌感染症に対するワクチンに配合するのに有望な候補である。その点では、肺炎球菌の病因におけるその役割をより明確に定義するために、これらタンパク質の発現をいかに調節するかを調べることが重要であると考えられる。
【0110】
ゲノム分析は、4つの遺伝子ホモログがタンデムに配置されていることを示した。phtE遺伝子の下流に(切頭されてはいるが)pht遺伝子ファミリー5番目のメンバーが存在することも証明され、従来の研究における所見が確認された{Adamou 2001年}。同じ構成が肺炎連鎖球菌のR6株ゲノム(アクセッション番号AAK99714)でもみられるので、この切頭は保存されていると考えられる。{Hoskins 2001年}
pht遺伝子のタンデムな構成がphtのバイシストロニックな転写とは相関していないことが本研究で示された。試験した条件下では、これら遺伝子はいずれもこれらと関連するpht近傍とは共転写されなかった。プロモーター及びターミネーターの分析は、従来のRT−PCR研究とよく相関していた。phtB、phtA及びphtE遺伝子は、全て個々の推定上のプロモーターを有しており、且つ対応する終止コドンの直後でmRNA転写が恐らく終結することが本研究で実証された。他方、phtD遺伝子の特色を観察した。実際、phtDについてインシリコで同定されたプロモーターは存在しなかった。その代り、phtDの上流に位置する2つの遺伝子であるlmb及びyfnA遺伝子についてプロモータは同定されたが、転写ターミネーターは同定されず、これは、これら遺伝子がオペロン系で構成されることを示す傾向があった。これは、上流の4つの遺伝子と共に大規模なオペロン系でphtDが発現し得るという最近の所見に確証を与える{Loisel 2008年}。しかし、yfnA及びlmbについてプロモーターが同定されたという事実は、これらの位置で転写が開始され得ることを示し、これは、異なる長さのphtD含有転写物が生成され得ることを意味する。更に、lmb遺伝子の上流にadcR結合部位が同定され{Loisel 2008年、Panina 2003年}、これはlmb及びphtDを含む亜鉛で調節されるバイシストロニックな転写物も存在し得ることを示す傾向があり、これは、他の研究者によっても示唆されている。Spellerbergらによる研究{Spellerberg 1999年}は、生成物がpht遺伝子産物(アクセッション番号AF062533)の最初の225(phtE)及び最初の228(phtA、phtD及びphtB)アミノ酸と67%の配列相同性を示す遺伝子と、B群連鎖球菌(GBS)のlmb遺伝子とが共転写されることを示した。また、A群連鎖球菌(GAS)のゲノムにおいて同等のゲノム配置が観察された{Ferretti 2001年}。更に、lmb及びphtDの共転写は、機能的な関連を示す可能性があると提唱されており、後者の遺伝子産物は肺炎球菌の接着及び侵入に関与している{Panina 2003年}。
【0111】
それぞれ輸送及び特異的結合活性に関与している可能性がある他の2つの遺伝子yfnA及びlmbを含むポリシストロニックなメッセージとしてphtD遺伝子が転写され得ることに留意することは興味深い。実際、肺炎連鎖球菌におけるYfnA{Hoskins 2001年}、ならびに枯草菌{Yamamoto 1997年}、化膿性連鎖球菌{Ferretti 2001年}及びミュータンス菌{Ajdic 2002年}における相同タンパク質は、透過酵素のスーパーファミリーのメンバーであるアミノ酸輸送体であると考えられる。Lmbタンパク質に関して、それは、ABC輸送体様亜鉛結合タンパク質{Loisel 2008年}及び推定上のラミニン結合タンパク質{Spellerberg 1999年}として記載されている。実際、このタンパク質は、口内連鎖球菌において最初に見出されたが{Jenkinson 1994年}、その後他の連鎖球菌及び属でも発見された{Cockayne 1998年}LraIとして知られているアドへリンファミリーと類似性を示す。LraI様タンパク質は、連鎖球菌によるヒト上皮のコロニー形成及びその後の血流への侵入に関与していることが示唆された{Elsner 2002年}。オペロン系においてyfnA、lmb及びphtDが会合している理由は明らかではない。妥当性のある1つの仮説は、これら3つのタンパク質が、例えばそれらの機能において必ずしも関連する訳ではなく、侵入又は増殖のために細菌サイクルの同時点で必要であるということである。しかし、Phtタンパク質の役割を決定するkとは、このゲノム上の会合について幾つかの糸口を与える可能性がある。種内のPhtタンパク質間の類似性が交換可能な役割を示すと推測することができる。また、タンパク質がその相同領域を通して類似の機能を共有すると同時に、細菌の異なる発生段階でさえも異なる活性を発揮する可能性もある。本発明者らが生成した様々なPht欠損突然変異体からのタンパク質抽出物を用いたイムノブロッティングにおいて得られた結果は、残りのPht遺伝子産物の発現レベルを高めても遺伝子の喪失は補償されないことを示す傾向がある。また、この特徴は、RT−PCRの使用により、RNAレベルにおいても最近報告されている{Ogunniyi 2009年}。
【0112】
上述の通り、Phtタンパク質は全て、金属結合に関与していると考えられるヒスチジントライアドモチーフを共有している{Adamou 2001年、Hamel 2004年、Zhang 2001年}。興味深いことに、これらのモチーフは、特に立体構造的に機能的なPhtタンパク質を生成するための亜鉛結合に関与している可能性があると推測されている{Panina 2003年}。また、同じ著者らは、亜鉛を制限した環境がPhtタンパク質の発現並びに好ましい連鎖球菌属のコロニー形成及び侵入を誘導することができると仮定した。この状況において、本発明者らは、野生型及びPht欠損株を様々なイオン枯渇及び補充条件下で培養する実験を実行した。最小合成培地では、野生型及びPhtD欠損株は、濃縮LB培地中よりも増殖速度が遅かったが、Pht四重欠損突然変異体は最小培地においてほとんど増殖しなかった。特に、Zn
2+又はMn
2+を添加した場合、これは20〜200μMの範囲の濃度で特に顕著であり、四重突然変異体の増殖は野性型まで回復した。しかし、本発明者らの結果は、野生型と比較して、四重突然変異体の増殖が遅かったことを示した。
【0113】
これら所見は、細菌増殖に対するZn
2+及びMn
2+の必要性の確認に加えて、Zn
2+及びMn
2+の取り込みにおけるPhtファミリーの重要な役割を主張する。実際、本発明者らが観察した通り、Zn
2+の喪失がPhtファミリーのタンパク質のデノボ合成を誘導することは、PhtとZn
2+との間の緊密な関係を支持するための更なる論拠である。この調節は、肺炎連鎖球菌における亜鉛の取込みを調節するAdcRタンパク質によって生じる可能性が高い。実際、AdcRタンパク質用の推定上の結合部位は、phtA、phtB及びphtE遺伝子、並びにlmb−phtDオペロンの上流に見出されている{Panina 2003年}。高Zn
2+濃度条件で誘導されるAdcRの結合は、その依存下で遺伝子の転写を阻害する。直接又は間接的な亜鉛飢餓条件下では、この金属の細胞内濃度が低下するので、AdcRによる抑制が軽減される{Brenot 2007年、Claverys 2001年}。この結果及び本研究で観察されたものとは対照的に、培養培地に亜鉛を添加すると、Pht産生が誘発されることが最近報告された{Ogunniyi 2009年}。しかし、本研究では亜鉛の多い培地から亜鉛を除去したが、Ogunniyiらは亜鉛の少ない培地に亜鉛を添加したという意味で、用いられた2つの方法は異なっていた。所与の範囲内の亜鉛濃度において、Phtの産生は釣鐘状に調節されると推測することが合理的である。また、Ogunniyiらにより観察された高亜鉛濃度のPht発現の増加を導く効果は、ヒトホストにおいて利用可能な遊離亜鉛濃度が非常に低いので、インビボではほとんど関係しない可能性がある{Ogunniyi 2009年}。
【0114】
1997年に、Dintilhacらは{Dintilhac 1997年a}、彼らの研究において、ABC型Mn
2+透過酵素として記載されているPsa及びABC型Zn
2+透過酵素であるAdcに加えて、Zn
2+及びMn
2+の両方を輸送することができる第3の輸送体が存在するはずであると結論付けた。Phtタンパク質又はラミニン結合タンパク質が、この機能を果たすための候補であると考えられる。本発明者らの結果は、Phtについて異なる役割を示す。実際、Zn
2+及びMn
2+の非存在下において、最小培地中にて野生型及びPhtD欠損株が増殖することができるという事実は興味深い。更に、最小培地にZn
2+又はMn
2+を添加したとき、四重突然変異体の増殖が遅れて回復したという所見も興味深い。Phtタンパク質が、これら2価カチオンを格納し濃縮する機能を有するZn
2+及びMn
2+スカベンジャーとして作用すると考えれば、これらの所見を説明することができる。野生型及びPhtD欠損突然変異株を最小培地に入れた場合、より濃度の高い培地中に細菌が存在するときはPhtタンパク質内に既に格納されているイオンのために直ちに増殖を開始することができた。対照的に、Pht四重突然変異体は、好ましい条件下に置いたときにこれらイオンを格納することができず、次いで、濃度の低い培地に入れたときに増殖できなかった。Zn
2+又はMn
2+を最小培地に過剰に添加したとき、特定の金属透過酵素がイオンを捕捉することができるようになる前にある程度の時間が必要であった、その理由は、Phtタンパク質の助けなしに培養培地中でランダムにイオンを見つけなければならなかったためである。これは、Pht四重突然変異体がこのような条件で増殖し始めるのが遅れたことを説明できる。更に、Phtタンパク質がスカベンジャーの役割を果たす可能性は、5〜6つの陽イオン結合ドメインが存在することと矛盾しない。
【0115】
確認された場合、この格納についての考察的な機序が、細菌が亜鉛及び恐らくマンガンホメオスタシスを調節する手段と考えることができる。亜鉛及びマンガンのような金属イオンは必須微量元素である。しかし、過剰に存在する場合、細菌に有害である可能性があるが、その理由は、幾つかの重要な酵素について補助因子としての他の元素と競合する場合があるためである。したがって、細菌が金属ホメオスタシスを調節することが必須であり、本発明者らは、これがPhtファミリーの主な役割であると示唆する。このような調節系は、イオンが制限された環境に直面した場合、例えば、ヒトの鼻咽腔におけるコロニー形成過程の初期段階中に肺炎連鎖球菌を生存させることができる{Bunker 1984年、Harlyk 1997年}。
【0116】
PhtDによるポリシストロニックな転写物の存在は、機能を発揮するためにLmb、LraIファミリーのメンバー、及びYfnAがZn
2+又はMn
2+を必要とすることにより説明することができる。部分的にこの状況を支持するために、毒性のための重大な特徴であるタンパク質のLraIファミリーを通して付着するためにMn
2+が必要であることが示唆されている{Dintilhac 1997年b、Papp−Wallace 2006年}。更に、他の状況では、ラミニンがZn
2+に結合して、ラミニンとラミニン結合タンパク質との間の高親和性結合を促進することが実証されている{Ancsin 1996年、Bandyopadhyay 2002年}。したがって、本発明者らは、ラミニンにLmbが遭遇したとき、Zn
2+の存在を確実にするためにLmbがPhtDを必要とすると仮定することができ、これはホスト組織への結合を強化する。また、Phtによる亜鉛ホメオスタシスの調節は、これらタンパク質がC3bの阻害に関係している理由を説明することができる(Hostetter,1999年41/同上;Ogunniyi,2009年98/同上)。実際、H因子の存在下におけるI因子によるC3bの切断は、亜鉛に調節されている{Blom 2003年}。したがって、細菌環境における亜鉛濃度を制御することによって、Phtはいくつかの状況におけるC3b阻害の一因となり得る。これについては更に調査する必要がある。
【0117】
したがって、Phtタンパク質ファミリーを標的とすることによって、免疫系は、細菌がイオンを格納し使用する能力を妨害する可能性があり、これは浸潤過程にとって重大であると考えられる。結果的に、本発明の結果は、Phtタンパク質が肺炎球菌感染に対する真のワクチン候補であることを確認する。Phtファミリーの様々なメンバーは、肺炎球菌ワクチン抗原として使用される可能性について既に評価されている{Adamou 2001年、Hamel 2004年、Ogunniyi 2007年、Zhang 2001年}。これらの発見後、肺炎球菌の分離菌のサブセットからマウスを保護するPhtA、PhtB及びPhtDの能力について検討された{Adamou 2001年}。PhtDは、最も広い保護を提供するPhtタンパク質であることが見出されているが、PhtAによる免疫は、より少ない数の試験株に対して有効であった。これは、PhtAは肺炎球菌株の62%で発現するが、PhtDは100%に存在することを示した本研究の結果と一致している。2つの研究において成功裡に使用されたが、PhtBが交差防御能を誘発する可能性は知られていない。その理由は、1つの株に対してしか評価されていないためである{Adamou 2001年、Zhang 2001年}。しかし、本発明者らは株の81%にPhtBを見出したので、その株間適用範囲は最適ではない可能性があると予測することができる。PhtEに関しては、このタンパク質は株の97%で見出されており、これは、広い交差防御能を示している可能性がある。しかし、このPhtは、3つの他のPhtとわずか32%の同一性しか共有しておらず、最も免疫原性が強く且つ保存されているそのC末端部分は、PhtEに特異的である。他方のPhtと共通のPhtEの領域は抗体に接近できない{Adamou 2001年、Hamel 2004年}。したがって、肺炎球菌の中でも高度に保存されているアミノ酸配列を有し、またPhtA及びPhtBと交差反応性を示す試験株全てに存在するPhtDが、より優れた選択肢である。
【0118】
実施例7
Phtタンパク質による免疫化は、マウス肺炎球菌致死性鼻腔内抗原投与モデルにおいて保護をもたらす
マウスの肺炎球菌鼻腔内抗原投与においてPhtファミリーのメンバーによって付与される保護を評価するために、OF1雌マウス(4週齢;n=20/群)を、3−O−デアシル−4’−モノホスホリルリピドA(MPL)及びQS21を添加した水中油型エマルションからなるAS02アジュバント系と共に製剤化された1μgのPhtD、PhtA、PhtB、又はPhtEで0日目及び14日目に筋肉内(i.m.)免疫した(GarconらExpert Rev.Vaccines 6;723−739(2007年)。対照動物にはAS02のみを注入した。28日目に、3/43型肺炎球菌株(50μL中10
5cfu)でマウスに鼻腔内抗原投与した。抗原投与後10日間死亡率を記録した。
【0119】
他の実験では、1μgのPhtDのワクチン接種を10μgのPspA及び10μgのCbpAと比較した。全ての抗原を、アルミニウム塩とMPLとからなるアジュバント系AS04と共に製剤化した(GarconらExpert Rev.Vaccines 6;723−739(2007年)。0、14及び28日目にi.m.免疫を行った。対照動物にはアジュバントのみを接種した。42日目に、50μL中肺炎連鎖球菌4/CDC型(5×10
6cfu)2/D39型(2×10
5cfu)、又は3/43型(10
5cfu)でマウスに鼻腔内抗原投与した。抗原投与後10日間死亡率を記録した。ログランク検定(Mantel−Haenszel)で生存率のデータを分析した。
【0120】
結果は、Phtタンパク質のいずれかをワクチン接種することにより、マウスの約60%が生存することができたが、対照群ではわずか20%の動物しか生存しなかったことを示す(
図10)。
【0121】
後の実験では、他の群の動物に、3つの異なる肺炎球菌抗原PspA、CbpA、及びPhtファミリーのうちの1つのタンパク質、すなわちPhtDをワクチン接種した。体液性応答の程度を評価し、最後の免疫化の2週間後に3つの異なる肺炎球菌株を動物に抗原投与した。全ての抗原/株の組合せについてマウスの生存率を記録した。
【0122】
得られた抗体のレベルは抗原依存性であった(
図11A)。1μgのPhtDのワクチン接種は、10μgのCbpA又はPspAのワクチン接種よりも高い抗体価を誘発した。しかし、CbpA及びPspAが由来する2/D39株の鼻腔内致死性抗原投与に対する保護のレベルは、3つの抗原とも類似しており、生存率は約70%であった(
図12A)。他の株を使用したときの抗原間の違いを証明した。実際、PhtDのワクチン接種により、それぞれ3/43及び4/CDC株を抗原投与したマウスの60%及び80%が生存することができた。対照的に、CbpA及びPspAは、3型及び4型の抗原投与に対して全く保護をもたらさなかったか又は非常に弱い保護しかもたらさなかった。したがって、PhtDは、3つの株に対して保護をもたらすことができる唯一の抗原であった。
【0123】
実施例8
Phtタンパク質による免疫は、肺炎連鎖球菌の鼻咽頭コロニー形成からマウスを保護する
PhtDに対する免疫が中耳炎を防ぐ能力を評価するために鼻咽頭コロニー形成アッセイを使用した。幾つかの研究によって、鼻咽頭コロニー形成と中耳炎との間の関連が示されている。BogaertらLancet Infect.Dis.4(3);144−154(2004年)は、呼吸器感染症及び中耳炎の期間中に、コロニー形成率がより高い傾向があることを示した。実際、肺炎球菌性疾患は、同種の株による進行性及び/又は同時の鼻咽頭コロニー形成無しに生じることはない(GreyらJ.Infect.Dis.142;923−933(1980年),SyrjaneaらPaediatr.Infect.Dis.J.24;801−806(2005年)。
【0124】
(最後の免疫を除いて)アジュバントとして大腸菌の不安定毒素(LT)0.2μgを添加したPhtD、PhtA、PhtB又はPhtE5μgで、鼻腔内経路により0、14、及び28日目にBalb/cマウス(4週齢;n=10/群)を免疫した。同じプロトコール(スケジュール及び投薬量)を用いた別の実験は、PhtDをCbpA、PsaA及びPspAと比較することからなっていた。対照マウスにはLTのみを注入した。42日目に、7×10
4cfuの6B/CDC型株、4/CDC型、又は2/D39型をマウスに鼻腔内抗原投与した。少量の細菌接種材料(10μL)を使用して、抗原投与を行った。抗原投与の2及び6日後に収集した鼻の洗液中の細菌コロニーを計数した。麻酔をかけたマウスの鼻腔の内部を500μLのPBSで洗い流すことにより、鼻の洗液を得た。次に、細菌コロニーを計数するために、Todd Hewittブロスで鼻の洗液100μLを10倍希釈した。これから、脱繊維滅菌ヒツジ血液及びゲンタマイシン(3μg/mL)を添加したDifco(商標)血液寒天基礎培地に10μLをプレーティングした。サンプルを広げるためにペトリ皿を傾け、37℃で一晩インキュベートした後コロニーを数えた。全てのコロニー計数データを、正規化した後、分散分析で比較し、次いで、分散分析で有意差がみられなかった場合ダネット事後検定を行った。
【0125】
鼻咽頭保菌に対するワクチン接種の保護活性を評価するために、様々なPhtタンパク質でBalb/cマウスを鼻腔内免疫した後、2/D39株を同じ経路を介して抗原投与した。
図13から分かる通り、PhtD又はPhtEのワクチン接種のみが2型株の抗原投与に対して有意な保護をもたらしたが、Phtファミリーの全てのメンバーが、ワクチン接種された動物の鼻咽腔における細菌量を低減することができた。このモデルにおけるPhtDの性能がより優れていたので、PhtDを他の肺炎球菌タンパク質と比較することからなる更なる実験のためにPhtファミリーのこのメンバーを選択した。したがって、PhtDを含む様々な肺炎球菌の抗原でマウスを免疫し、次いで、2型、4型、又は6B型株を抗原投与した。
【0126】
全身免疫後に観察されたように、鼻腔内免疫後に誘発された体液性応答は抗原依存性であった(
図11B)。特に、CbpAはPspA及びPhtDよりも低い抗体価しか誘発しなかった。しかし、クレード相同2/D39株に対してCbpAによってもたらされる保護のレベルは、PspA及びPhtDに類似していた(
図14A)。
【0127】
4/CDC型を抗原投与に使用したとき、PhtDによる免疫のみが、鼻咽腔コロニー形成に対して動物を保護することができ、一方、CbpA、PsaA又はPspAによる免疫は、LT対照と統計的に区別できなかった(
図14B)。最後に、6B/CDC型による抗原投与は、動物がCbpA、PspA又はPhtDのいずれで免疫されたかによって、抗原投与の2日後における保護にいかなる差も証明されなかった(
図14C)。PsaAだけがその点において効率が低いと思われた。抗原投与の6日後では、全ての群間に統計的な差は存在しなかった。しかし、PhtDについての結果を注意深く検討することにより、鼻咽頭コロニー形成から大多数の動物が保護され、不都合な統計的結論は恐らく2つの外れ値の存在にのみ起因することが明らかになった。結論として、PhtDは、この鼻咽頭コロニー形成のモデルにおいて、3つの株に対してある程度の保護を提供することができる唯一の抗原であった。
【0128】
実施例9
PhtDによる免疫は、肺炎連鎖球菌の肺コロニー形成からマウスを保護する
このモデルは、BrilesらJ.Infect.Dis.188;339−348(2003年)の改良法であった。CBA/Jの雌マウス(4週齢;30/群)にAS02をアジュバントとして添加したPhtD3μgを0、14、及び28日目にi.m.免疫した。42日目に、2×10
7cfu/50μLの肺炎連鎖球菌19F/2737をマウスに鼻腔内抗原投与した。対照マウスにはアジュバントのみを注入した。抗原投与の3、4、及び5日後に収集した肺におけるコロニーを計数することにより、細菌量を測定した。全てのコロニー計数データを、正規化した後、分散分析で比較し、分散分析で有意差がみられなかった場合ダネット事後検定を行った。
【0129】
肺炎球菌感染症に罹患しやすい系統であるCBA/JマウスにPhtDをワクチン接種した後、中程度に有毒な19F菌株を抗原投与した。このようなプロトコールは、全身化した敗血症を伴わない気管支肺炎を誘導させる。抗原投与後、3、4及び5日目に肺における生菌数を評価した。
【0130】
プラセボと比較して、PhtDのワクチン接種が、肺における細菌量を大幅に(95%超)低減したことが示された(
図15a)。PhtDワクチン接種の有効性は、コロニー形成されていないマウスの数を分析したとき特に明白であった、その理由は、対照群の10%に比べて、ワクチン接種されたマウスのうちの最大80%が5日目に無細菌のままであったためである(
図15b)。
【0131】
参考文献
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