特許第5968232号(P5968232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968232
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/58 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   H01H13/58 B
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-1019(P2013-1019)
(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-135136(P2014-135136A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】山中 郷司
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−031031(JP,U)
【文献】 特開2004−253368(JP,A)
【文献】 実開昭49−070471(JP,U)
【文献】 米国特許第04506124(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が開放された箱状をなすボディと、
円柱状をなし、回転軸心が前記一面と直交する方向とされて前記ボディに回転可能に収容保持され、回転軸心方向一端側の外周面に複数の第1の歯が周方向に配列されて突出形成され、回転軸心方向他端側の外周面に前記第1の歯と同数の第2の歯が周方向に前記第1の歯と互い違いに配列されて突出形成されているロータと、
前記ボディの内部底面において前記回転軸心を中心とする円周上に配列形成された固定接点と、
前記ロータの前記他端側の端面に取り付けられて前記固定接点と摺動接触する可動接点と、
前記ロータの前記一端側の端面と接して前記ボディの前記一面を蓋するカバーと、
前記カバーに形成されている開口から外部に突出して押下操作される操作部と、前記カバーによって抜け止めされる基部と、前記ロータに向って前記基部から突出形成された突部とを備え、前記一面と直交する方向に移動可能とされ、かつ前記ロータと横並びとされて前記ボディに収容保持されたノブと、
前記ノブを前記開口から突出する方向に付勢するばねとよりなり、
前記第2の歯の前記一端側の側面は、前記ロータの回転方向と反対方向において前記一端側の端面より遠ざかるように傾斜された第1の傾斜面とされ、
前記第1の歯の前記他端側の側面は、前記回転方向と反対方向において前記他端側の端面より遠ざかるように傾斜された第2の傾斜面とされ、
前記第1の歯の、前記第2の傾斜面に続いて前記回転方向の後方に位置する後方側面は、前記回転軸心方向と平行とされており、
初期状態において前記突部は前記後方側面が位置する高さ位置において隣接する前記第1の歯間に位置し、
前記突部は、前記ノブの押下操作により前記第1の傾斜面を押して前記ロータを回転させ、かつ前記ノブの復帰動作により前記第2の傾斜面を押して前記ロータを回転させることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載のプッシュスイッチにおいて、
前記ボディの前記内部底面に、前記ノブを案内するノブ案内軸が突出形成されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項3】
請求項2記載のプッシュスイッチにおいて、
前記ノブは前記ノブ案内軸が挿入され、前記ノブ案内軸の外周面によって案内される穴を有することを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項4】
請求項3記載のプッシュスイッチにおいて、
前記穴は貫通穴とされ、
前記ノブ案内軸に前記ボディの底面に開口する貫通穴が形成されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のプッシュスイッチにおいて、
前記ばねはコイルばねとされ、前記ノブ案内軸回りに位置して前記ボディの前記内部底面と前記ノブとの間に挟み込まれていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項6】
請求項1乃至5記載のいずれかのプッシュスイッチにおいて、
前記ボディの前記内部底面に、前記ロータを支持するロータ支持軸が突出形成されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項7】
請求項1乃至6記載のいずれかのプッシュスイッチにおいて、
前記ボディの前記内部底面における前記固定接点の内周側に凹凸が周方向に配列されて形成され、
前記凹凸と摺動接触する凸部が前記可動接点に一体形成されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項8】
請求項1乃至6記載のいずれかのプッシュスイッチにおいて、
前記ロータの前記一端側の端面に凹凸が前記回転軸心を中心とする周方向に配列されて形成され、
前記凹凸と摺動接触する凸部が前記カバーに形成されていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はノブ(押しボタン)を押下操作すると、可動接点が回転し、ON/OFFが切り替わるオルタネート式のプッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
図15及び16はこの種のプッシュスイッチの従来例として、特許文献1に記載されている構成を示したものである。図15はスイッチが各部に分解された状態を示しており、スイッチ10はアクチュエータハウジング部11と、押しボタン12と、アクチュエータカムフォロワー13と、リターンスプリング14と、回転接触要素15を保持した回転接触担持体16と、固定接触要素17が設けられた固定接触ハウジング部18と、被覆部19とからなる。
【0003】
この例では押しボタン12が押圧されると、アクチュエータカムフォロワー13は押しボタン12により所定位置まで下向きに動かされた後、回転し、この回転によりアクチュエータカムフォロワー13と係合されている回転接触担持体16が回転して回転接触要素15の回転接触部と固定接触要素17の固定接触部との接触状態が切り替わるものとなっている。
【0004】
アクチュエータカムフォロワー13の回転は、押しボタン12とアクチュエータカムフォロワー13の歯の長手方向軸の偏位及び押しボタン12とアクチュエータカムフォロワー13にそれぞれ設けられているカム表面によって生じるものとなっている。なお、回転接触担持体16は四角形のステム16aがアクチュエータカムフォロワー13に形成されている四角状孔部に挿入されて係合されており、アクチュエータカムフォロワー13はステム16aに対して直線状に移動しうるものとなっている。
【0005】
図16は上述したスイッチ10が基板20上に搭載された状態を示しており、図16では基板20上にスイッチ10が3つ搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2779951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したスイッチ10では押しボタン12、アクチュエータカムフォロワー13及び回転接触要素15を保持する回転接触担持体16は一直線上に配置され、回転接触担持体16の上にアクチュエータカムフォロワー13及び押しボタン12が順次積み上げられた構成となっている。従って、スイッチ10の高背化は否めず、この種のプッシュスイッチにおいて低背化が要求される場合にはその要求に答えられないものとなっていた。
【0008】
この発明の目的はこの問題に鑑み、ノブを押下操作すると可動接点が回転する構造を有するオルタネート式のプッシュスイッチにおいて、従来に比し、大幅に低背化を図ることができるようにしたプッシュスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明によれば、プッシュスイッチは、一面が開放された箱状をなすボディと、円柱状をなし、回転軸心が前記一面と直交する方向とされてボディに回転可能に収容保持され、回転軸心方向一端側の外周面に複数の第1の歯が周方向に配列されて突出形成され、回転軸心方向他端側の外周面に第1の歯と同数の第2の歯が周方向に第1の歯と互い違いに配列されて突出形成されているロータと、ボディの内部底面において前記回転軸心を中心とする円周上に配列形成された固定接点と、ロータの前記他端側の端面に取り付けられて固定接点と摺動接触する可動接点と、ロータの前記一端側の端面と接してボディの前記一面を蓋するカバーと、カバーに形成されている開口から外部に突出して押下操作される操作部とカバーによって抜け止めされる基部とロータに向って基部から突出形成された突部とを備え、前記一面と直交する方向に移動可能とされ、かつロータと横並びとされてボディに収容保持されたノブと、ノブを前記開口から突出する方向に付勢するばねとよりなり、第2の歯の前記一端側の側面はロータの回転方向と反対方向において前記一端側の端面より遠ざかるように傾斜された第1の傾斜面とされ、第1の歯の前記他端側の側面は前記回転方向と反対方向において前記他端側の端面より遠ざかるように傾斜された第2の傾斜面とされ、第1の歯の、第2の傾斜面に続いて前記回転方向の後方に位置する後方側面は前記回転軸心方向と平行とされており、初期状態において前記突部は前記後方側面が位置する高さ位置において隣接する第1の歯間に位置し、前記突部はノブの押下操作により第1の傾斜面を押してロータを回転させ、かつノブの復帰動作により第2の傾斜面を押してロータを回転させるものとされる。
【0010】
請求項2の発明では請求項1の発明において、ボディの内部底面にノブを案内するノブ案内軸が突出形成されているものとされる。
請求項3の発明では請求項2の発明において、ノブはノブ案内軸が挿入され、ノブ案内軸の外周面によって案内される穴を有する。
請求項4の発明では請求項3の発明において、前記穴は貫通穴とされ、ノブ案内軸にボディの底面に開口する貫通穴が形成されているものとされる。
【0011】
請求項5の発明では請求項3又は4の発明において、ばねはコイルばねとされ、ノブ案内軸回りに位置してボディの内部底面とノブとの間に挟み込まれているものとされる。
請求項6の発明では請求項1乃至5のいずれかの発明において、ボディの内部底面にロータを支持するロータ支持軸が突出形成されているものとされる。
請求項7の発明では請求項1乃至6のいずれかの発明において、ボディの内部底面における固定接点の内周側に凹凸が周方向に配列されて形成され、前記凹凸と摺動接触する凸部が可動接点に一体形成されているものとされる。
【0012】
請求項8の発明では請求項1乃至6のいずれかの発明において、ロータの前記一端側の端面に凹凸が回転軸心を中心とする周方向に配列されて形成され、前記凹凸と摺動接触する凸部がカバーに形成されているものとされる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ノブと、可動接点を保持し、ノブの押下操作により回転するロータとは、従来のように一直線上に配置されるのではなく、ボディ内に並設され、横並びの状態で配置されるものとなっている。よって、従来に比し、大幅に低背化を図ることができる。
【0014】
加えて、この発明ではノブとロータの2部品で上下動作を回転動作に変換することができるため、図15に示した従来例のように押しボタンとアクチュエータカムフォロワーと回転接触担持体の3部品を用いて上下動作を回転動作に変換する構成に比し、部品点数を削減することができ、その点で安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Aはこの発明によるプッシュスイッチの第1の実施例を示す斜視図、BはAを下方から見た斜視図。
図2図1に示したプッシュスイッチの拡大断面図。
図3図1に示したプッシュスイッチの、図2中に示したA−A線の拡大断面図。
図4図1に示したプッシュスイッチの分解斜視図。
図5】Aは図4におけるボディの平面図、Bはその正面図。
図6】Aは図4におけるロータの平面図、Bはその正面図。
図7】Aは図4における可動接点の正面図、Bはその底面図。
図8】Aは図4におけるノブの正面図、Bはその左側面図。
図9図1に示したプッシュスイッチの動作を説明するための図。
図10図1に示したプッシュスイッチの動作を説明するための図。
図11】この発明によるプッシュスイッチの第2の実施例におけるロータの構成を示す斜視図。
図12】Aはこの発明によるプッシュスイッチの第2の実施例を示す平面図、Bはその断面図。
図13】この発明によるプッシュスイッチの第3の実施例を示す分解斜視図。
図14】Aはこの発明によるプッシュスイッチの第4の実施例を示す斜視図、Bはその正面図。
図15】従来のプッシュスイッチの構成を示す分解斜視図。
図16図15に示したプッシュスイッチの基板上への搭載状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【0017】
図1はこの発明によるプッシュスイッチの第1の実施例の外観を示したものであり、図2及び3はその断面構造を示したものである。また、図4は各部に分解して示したものである。この例ではプッシュスイッチ100は固定接点がインサート成形されたボディ30とロータ40と可動接点50とノブ60とコイルばね70とカバー80とによって構成されている。図5〜8はボディ30、ロータ40、可動接点50及びノブ60の詳細をそれぞれ示したものである。まず、各部の構成について説明する。
【0018】
ボディ30は一面(上面)30aが開放された箱状とされ、この例では直方体形状をなすものとされている。ボディ30の内部底面30bには、この例ではロータ支持軸31とノブ案内軸32が一面30aと直交する方向に、互いに平行に突出形成されている。ロータ支持軸31は円柱状をなし、ノブ案内軸32はボディ30の底面30cに開口する貫通穴33を有する円筒状とされている。貫通穴33の底面30c側の開口部は図2に示したようにさら穴形状とされて拡径されている。
【0019】
ボディ30の内部底面30bにおけるロータ支持軸31の回りには環状の凹部34aが形成され、この凹部34aに複数の凸条34bが放射状に配列されて形成されている。凸条34bは図5Aに示したように幅狭とされ、この例では等角間隔で12本形成されており、これら凸条34bと凹部34aにより周方向に配列された凹凸34が形成されている。
【0020】
凹凸34の回りの内部底面30bには環状の凹部35がさらに形成され、この凹部35に固定接点91a,91b,92a,92b,93が配置されている。これら固定接点91a,91b,92a,92b,93はロータ支持軸31を囲む(ロータ40の回転軸心を中心とする)円周上に配列されており、固定接点91a,91b,92a,92bは中心角の小さい円弧形状とされ、固定接点93は中心角の大きい円弧形状とされている。
【0021】
固定接点91a,91b,92a,92b,93の位置する角度位置は、図5Aにおいて固定接点91aの角度位置を例えば0°とし、右回りに見た時、固定接点91bは60°、固定接点92aは150°、固定接点92bは210°の角度位置にそれぞれ位置し、固定接点93は240°〜330°の角度位置を包含するように位置されている。各固定接点91a,91b,92a,92b,93の上面(露出面)は凹部35の底面と同一面上に位置されている。
【0022】
固定接点91a,91b,92a,92b,93はボディ30にインサート成形されて設けられており、固定接点91aと91bはボディ30内において一体となっている。同様に、固定接点92aと92bもボディ30内において一体となっている。固定接点91a,91bと一体形成されている端子91cはボディ30の底面30cから側壁30dにまたがって露出されて配置され、固定接点92a,92bと一体形成されている端子92cはボディ30の底面30cから側壁30eにまたがって露出されて配置されている。また、固定接点93にはこの例では2つの端子93cが一体形成されており、これら端子93cはボディ30の底面30cから側壁30d,30eにそれぞれまたがって露出されて配置されている。
【0023】
ロータ40は円柱状をなし、その一端側の端面(上面)40aの周縁部には全周に渡って突条41が形成されている。突条41の先端は半円筒面をなす。一方、ロータ40の他端側の端面(下面)40bの中央にはボディ30のロータ支持軸31が挿入される穴42(図2参照)が形成されている。
【0024】
ロータ40の外周面には複数の第1の歯43及び第2の歯44がそれぞれ突出形成されている。第1の歯43はロータ40の上端側(回転軸心方向一端側)に周方向に配列されて形成されており、第2の歯44はロータ40の下端側(回転軸心方向他端側)に周方向に配列されて形成されている。第1の歯43及び第2の歯44はこの例ではそれぞれ30°ピッチで12個形成されており、第1の歯43と第2の歯44は周方向において互い違いに位置するように配列され、即ち15°ずれて配列されている。
【0025】
図6中の矢印aはロータ40の回転方向を示し、第2の歯44の上端側の側面はロータ40の回転方向aと反対方向においてロータ40の上面40aより遠ざかるように傾斜された第1の傾斜面44aとされている。一方、第1の歯43の下端側の側面はロータ40の回転方向aと反対方向においてロータ40の下面40bより遠ざかるように傾斜された第2の傾斜面43aとされている。また、第1の歯43の、傾斜面43aに続いてロータ40の回転方向aの後方に位置する後方側面43bはロータ40の回転軸心方向と平行とされている。なお、第2の歯44の、傾斜面44aに続いてロータ40の回転方向aの後方に位置する後方側面44bもこの例ではロータ40の回転軸心方向と平行とされている。
【0026】
ロータ40の下面40bには可動接点50を取り付けるためのボス45が3本突出形成されている。
【0027】
固定接点91a,91b,92a,92b,93と摺動接触する可動接点50は図7に示したように、この例では3つの摺動子51を有する。摺動子51は円弧状をなし、円環部52の外側に円環部52に沿って120°ピッチで設けられている。各摺動子51は基端側を除いて2本に分割されており、先端には円弧形状をなすように曲げられてなる接点部51aが形成されている。
【0028】
可動接点50には3つの取り付け穴53が形成されており、この例ではボディ30に形成された凹凸34と摺動接触する2つの凸部54が可動接点50に一体形成されている。凸部54は円環部52の内側に支持部55に支持されて設けられており、2つの凸部54は互いに180°をなす位置に位置されている。凸部54の突出方向は図7Aに示したように摺動子51の接点部51aの突出方向と同じとされている。
【0029】
ノブ60は基部61と、基部61上に突出形成されて押下操作される操作部62と、基部61から側方に突出形成された突部63とを有する。操作部62は外形が角柱状とされ、中央には円形の貫通穴64が上下方向に形成されている。
【0030】
基部61はその上面61aが操作部62の上面62aより大きい直方体状とされており、基部61には操作部62の貫通穴64と中心が一致され、かつ連通されて貫通穴64より大径の穴65が上下方向に貫通して形成されている。
【0031】
突部63は基部61の一側面61bの中央に形成されており、断面楔形状をなし、楔の先端は円弧状をなすように丸められている。なお、側面61bと反対側の側面61cには穴65がかかり、これにより側面61cは切り欠かれた状態となっている。この側面61cの幅方向両端には上下方向に延びる突条66が突出形成されており、また他の側面61d,61eにもそれぞれ幅方向一端に突条66が同様に突出形成されている。
【0032】
カバー80は金属板が折り曲げられて形成されている。方形状の平板部81はボディ30の上面30aを蓋する大きさとされ、その平板部81の一半部には方形の開口82が形成されている。平板部81の4辺にはそれぞれ平板部81から直角に折り曲げ形成されてなる脚部83〜86が設けられており、各脚部83〜86には係止窓87がそれぞれ形成されている。
【0033】
以下、各部の組み立てについて説明する。
【0034】
可動接点50はその3つの取り付け穴53にロータ40のボス45がそれぞれ挿通され、ボス45の先端が熱かしめされることによってロータ40の下面40bに取り付け固定される。可動接点50が取り付けられたロータ40はボディ30内に組み込まれ、下面40bに形成されている穴42にボディ30のロータ支持軸31が挿入されることによって図2に示したようにロータ40はロータ支持軸31に回転可能に支持される。
【0035】
一方、ボディ30のノブ案内軸32の回りにはコイルばね70が組み込まれる。ノブ案内軸32はコイルばね70を挿通し、これによりコイルばね70はノブ案内軸32に位置決めされた状態となる。なお、コイルばね70の下端はノブ案内軸32の回りのボディ30の内部底面30bに形成されている環状の凹部36に収容位置決めされる。
【0036】
ノブ60はコイルばね70上に搭載される。コイルばね70の上面側はノブ60の基部61に形成されている穴65に収容され、コイルばね70の上端は穴65と操作部62の貫通穴64の境界の段部67に突き当たった状態となる。ノブ案内軸32の上端は貫通穴64内に挿入位置される。
【0037】
最後に、カバー80がボディ30に取り付けられる。カバー80の4つの脚部83〜86に形成されている係止窓87はボディ30の側壁30d〜30gにそれぞれ形成されている係止突起37に係止され、これによりカバー80がボディ30に取り付け固定され、ボディ30の上面30aが蓋される。ロータ40の上面40aの突条41及びノブ60の基部61の上面61aはカバー80の内面と当接し、ロータ40及びノブ60はカバー80によって押さえ込まれた状態となる。ノブ60の操作部62はカバー80の開口82から外部に突出される。
【0038】
上記のような構成を有するプッシュスイッチ100では、ボディ30の内部底面30bとノブ60との間に挟み込まれたコイルばね70によりノブ60はカバー80の開口82から突出する方向に付勢される。なお、ノブ60はカバー80によって基部61が抜け止めされている。ノブ60の突部63は図2に示したようにロータ40に向って突出しており、図2に示した初期状態(ノブ60の非操作状態)では突部63は図3に示したようにロータ40の第1の歯43の後方側面43bが位置する高さ位置において隣接する第1の歯43間に位置されている。ノブ60は上下方向に移動可能とされており、貫通穴64がノブ案内軸32の外周面に案内されて上下動するものとなっている。
【0039】
次に、上述したプッシュスイッチ100の動作について説明する。
【0040】
図9の(1)〜(5)はノブ60の押下操作に伴うロータ40の回転動作を順に示したものであり、図9(1)の初期状態(ノブ60の非操作状態)では前述したようにノブ60の突部63はロータ40の隣接する第1の歯43間に位置している。ノブ60が押下されると、突部63は下降して図9(2)に示したように第2の歯44の傾斜面44aに当接し、突部63は傾斜面44aを押してロータ40を矢印a方向に回転させる。図9(3)はノブ60が完全に押し下げられた状態を示している。
【0041】
図9(4),(5)はノブ60に対する押圧が解除され、ノブ60がコイルばね70の弾性復元力により復帰動作している途中を順に示したものであり、突部63は上昇し、この突部63によって第1の歯43の傾斜面43aが押される。これにより、ロータ40はさらに矢印a方向に回転する。このように、ロータ40はノブ60の押下操作及び復帰動作のいずれにおいても回転動作するものとなっている。ロータ40はこの例ではノブ60の1回の押下操作と復帰動作、即ち図9の(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(1)の動作により30°回転する。
【0042】
図10の(1)〜(5)は上述した図9の(1)〜(5)の動作と対応して、可動接点50の接点部51aと固定接点91a,91b,92a,92b,93との位置関係及び可動接点50に一体形成されている凸部54とボディ30の凹凸34との位置関係を示したものであり、凸部54の位置は●で示している。
【0043】
プッシュスイッチ100はこの例では固定接点91a,91bと固定接点(共通接点)93とよりなり、ON/OFFされる回路C1と、固定接点92a,92bと固定接点93とよりなり、ON/OFFされる回路C2の2つの回路を有するものとなっており、これら回路C1,C2はノブ60を押下操作する毎にON/OFFが切り替わり、また回路C1がONの時には回路C2はOFFとなり、回路C1がOFFの時には回路C2がONとなるように構成されている。以下、図10を参照して説明する。
【0044】
図10(1)の初期状態では接点部51aは固定接点92aと93上に位置しており、回路C2はON、回路C1はOFFとなっている。ロータ40の回転に伴い、3つの接点部51aは図10の(2)→(3)→(4)→(5)に示したように移動し、ノブ60が押下操作及び復帰動作を経て初期位置に復帰すると、接点部51aは固定接点91bと93上に位置する状態となる。よって、回路C2はOFFとなり、回路C1がONとなる。以下、ロータ40の30°の回転毎に、接点部51aの位置は、
固定接点92b,93→91a,93→92a,93
となって図10(1)の位置に戻る。これに伴い、回路C1,C2は、
C1:OFF,C2:ON→C1:ON,C2:OFF→C1:OFF,C2:ON
となり、交互にONとなる。
【0045】
一方、凸部54はロータ40の30°の回転毎に、凹凸34の凸条34bを1つ通過し、ノブ60の初期位置では凹凸34の凹部34aに位置するものとなっている。これにより、この例ではノブ60の押下操作時に良好な節度感(動作感触)が得られるものとなっており、またロータ40及び接点部51aの位置を規制することができるものとなっている。
【0046】
上述した第1の実施例では、固定接点91a,91b,92a,92b,93の内周側においてボディ30の内部底面30bに形成した凹凸34と、可動接点50に一体形成した凸部54とによって節度感が得られるものとなっているが、他の構成を採用することもできる。
【0047】
図11及び12は節度感を生成するための構成として、第1の実施例とは異なる構成を採用したこの発明の第2の実施例を示したものである。
【0048】
この例では図11に示したようにロータ40’の上面40aに凹凸46を形成し、この凹凸46と摺動接触する凸部88を図12に示したようにカバー80’に形成したものとなっている。ロータ40’の凹凸46は突条41で囲まれた上面40aに複数の凸条46aを放射状に配列形成して構成されており、これにより第1の実施例における凹凸34と同様、回転軸心を中心とする周方向に配列された凹凸46が形成されている。凸条46aはこの例では等角間隔で12本形成されている。なお、ロータ40’の上面40aの中央には1段低い円形の凹部47が形成されている。
【0049】
カバー80’の凸部88は図12Aに示したように平板部81に切り抜かれて形成された接片89の先端に内面側に突出して形成されている。節度感を得ると共にロータ40’、接点部51aの位置を規制する構成として、この図11及び12に示したような構成を採用してもよい。なお、この例ではボディ30’は凹凸34のない構成とされ、可動接点50’は凸部54及び支持部55のない構成とされている。
【0050】
次に、図13に示したこの発明の第3の実施例について説明する。
【0051】
図13はこの発明によるプッシュスイッチの第3の実施例を各部に分解して示したものであり、この例ではボディ30”はノブ案内軸32がない構成とされ、ボディ30”の互いに対向する側壁30d,30eの内面には内壁38が互いに内向きに突出されて形成されている。
【0052】
この例ではノブ60’はノブ案内軸32に案内されるのではなく、ボディ30”の側壁30d,30e,30gの内面及び一対の内壁38によって位置決め案内されて上下動するものとなっている。ノブ60’の基部61の4つの側面の各幅方向両端には上下方向に延びる突条66がそれぞれ形成されており、これら突条66がボディ30”の側壁30d,30e,30gの内面及び一対の内壁38と対向されて案内されるものとなっている。なお、この例では第2の実施例と同様、カバー80”に形成した凸部88とロータ40’の凹凸46とによって節度感を得るものとなっている。
【0053】
図13においてノブ60’は貫通穴64を有するものとなっているが、貫通穴64はなくてもよい。ノブ60’に貫通穴64を設け、ボディ30”にも貫通穴64と対応して貫通穴を設ければ、第1の実施例のプッシュスイッチ100と同様、後述するように照光式のプッシュスイッチを構成することができる。なお、この例ではノブ案内軸32がないものとしているが、ノブ案内軸32がある構成としてもよい。
【0054】
次に、図14に示したこの発明の第4の実施例について説明する。
【0055】
第1の実施例ではプッシュスイッチ100は端子91c,92c,93cがボディ30の底面30c及び側壁30d,30eに配置された構成となっており、プッシュスイッチ100はSMD(surface mount device)タイプとなっているが、この図14に示したプッシュスイッチ100’は接続方式(実装方式)を替え、差込み式としたものである。
【0056】
この例ではボディ30の側壁30fには差込み接続用の3本の端子95が突出して設けられている。各端子95は固定接点91a,91b、固定接点92a,92b及び固定接点93(図5参照)からそれぞれ導出されている。なお、各端子95には良好な接触圧が得られるように、図14に示したような曲げ形状を有する接点部95aが形成されている。要求される接続方式に応じ、このような構成を採用することもできる。
【0057】
以上、この発明によるプッシュスイッチの各種実施例について説明したが、ロータ40(40’)の支持構造については、ボディ30(30’,30”)のロータ支持軸31に支持される構造に限らず、例えばロータ40(40’)の上下面40a,40bに軸部をそれぞれ突設し、それら軸部と対向するボディ30(30’,30”)の内部底面30b及びカバー80(80’,80”)に凹部をそれぞれ設けて、それら凹部によってロータ40(40’)の軸部が軸受支持される構造を採用することもできる。
【0058】
以上説明したプッシュスイッチによれば下記のような効果を得ることができる。
【0059】
1)押下操作されるノブ60(60’)と、回転動作するロータ40(40’)とは、ボディ30(30’,30”)に横並びの状態で収容保持され、ノブ60(60’)の突部63とロータ40(40’)の第1及び第2の歯43,44によって上下動作を回転60動作に変換するものとなっている。よって、このようなノブ60(60’)とロータ40(40’)の並設構造により低背なプッシュスイッチ100(100’)を得ることができる。
【0060】
2)ノブ60(60’)とロータ40(40’)の2部品で上下動作を回転動作に変換し、ロータ40(40’)に取り付けられた可動接点50(50’)により回路のON/OFFを切り替えるものとなっている。よって、図15に示した従来例に比し、部品点数を削減することができ、その分安価に構成することができる。なお、例えばロータに可動接点をインサート成形すれば、部品点数をさらに削減することができる。
【0061】
3)ボディ30(30’,30”)に各部品を順次挿入していくことにより、組み立てることができるため、簡易に組み立てることができる。
【0062】
4)樹脂製のボディ30(30’,30”)、ロータ40(40’)及びノブ60(60’)はいずれもアンダーカット部がなく、上下金型で作製可能であり、イニシャル費(型代)を抑えることができる。
【0063】
5)ノブ60(60’)は押下操作された際、ボディ30(30’,30”)の内部底面30bに突き当たる構造となっている。よって、過剰な荷重が加えられても耐えることができ、故障等は発生しない。
【0064】
6)第1の実施例や第2の実施例の構成を採用すれば、良好な節度感を得ることができ、またロータ40(40’)の位置(信号位置)を規制することができる。
【0065】
7)ノブ60は貫通穴64を有し、ボディ30(30’)のノブ案内軸32にも貫通穴33が形成されている。これら貫通穴33,64は導光路をなすものであり、例えばプッシュスイッチ100が実装される基板に光源を配置するだけで、照光式のプッシュスイッチを簡易に得ることができる。光源は貫通穴33内に位置される。なお、導光路が必要ない場合、ノブ案内軸32を小径とし、ノブ60も小さくできるため、プッシュスイッチの小型化を図ることができる。また、ノブ案内軸32のない第3の実施例の構成において導光路が必要ない場合は、さらにプッシュスイッチの小型化を図ることができる。
【0066】
8)実施例ではノブ60(60’)の1回の操作によりロータ40(40’)は30°回転するものとなっているが、ロータ40(40’)の第1及び第2の歯43,44の歯数を変えれば、1回の回転角度を変えることができる。例えば、歯数を増やせば1回の回転角度は小さくなり、可動接点50(50’)の摺動距離は小さくなるため、高寿命化が可能となる。
【0067】
9)ノブ60(60’)とロータ40(40’)の並設構造により上述したように低背化が可能になると共に、このような並設構造により例えばノブ60(60’)をロングストローク化することも容易に行える。
【符号の説明】
【0068】
30,30’,30” ボディ 31 ロータ支持軸
32 ノブ案内軸 33 貫通穴
34 凹凸 35 凹部
40,40’ ロータ 42 穴
43 第1の歯 43a 傾斜面
44 第2の歯 44a 傾斜面
46 凹凸 50,50’ 可動接点
54 凸部 60,60’ ノブ
61 基部 62 操作部
63 突部 64 貫通穴
70 コイルばね 80,80’,80” カバー
88 凸部
91a,91b,92a,92b,93 固定接点
91c,92c,93c,95 端子 100,100’ プッシュスイッチ
図1
図2
図3
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