【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る根菜収穫機の特徴構成は、根菜の葉部を挟持して根菜を圃場から吊り下げ姿勢で持ち上げ搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される根菜の下端のひげ根を機体横向きの軸芯周りで回転することにより切り落とす回転刃と、
前記回転刃の移動経路の外周側に位置し、前記搬送装置によって搬送される根菜の下端部を前記回転刃に案内するとともに根菜下端部の回転刃移動経路への入り込み長さを規制する案内部とが備えられ、
前記案内部が、前記搬送装置によって搬送される根菜の通過箇所における左右両側に位置する一対のガイド部材を備えて構成され、
前記一対のガイド部材のうちの一方のガイド部材が、機体横向きの軸芯周りで回転する回転式ガイド部材
にて構成され、他方のガイド部材が固定式ガイド部材にて構成されている点にある。
【0008】
本発明によれば、収穫された根菜が、根菜の葉部が挟持される吊り下げ姿勢で、すなわち、葉部が上側に位置して先端部が下側に位置する縦向き姿勢で搬送装置により搬送される。その搬送される根菜の下端部が、案内部によって、回転刃移動経路への入り込み長さを規制する状態で回転刃に案内され、回転刃によって根菜の下端のひげ根が切り落とされる。つまり、案内部の案内作用により、根菜の下端のひげ根部分だけが回転刃移動経路に入り込み、根菜の下端のひげ根だけを適正に切り落とすことができるのである。
【0009】
そして、搬送装置により搬送される根菜の下端部が案内部にて案内作用を受けるときに、根菜に付着している泥土が根菜から分離して案内部に降りかかることがあっても、案内部に備えられた回転式ガイド部材が機体横向きの軸芯周りで回転することにより、降りかかる泥土を外方に振り払うことが可能である。又、案内部に降りかかる泥土の量が多く、泥土により根菜通過用の狭い通過領域が塞がれることがあっても、回転式ガイド部材が回転することにより、その付着する泥土を短時間で分離させることが可能であり、根菜通過用の狭い通過領域が長い時間にわたり塞がれることを回避できる。
【0010】
従って、泥土の付着を回避して根菜の下端のひげ根の切断を良好に行えるようにすることが可能な根菜収穫機を提供できるに至った。
又、本構成によれば、根菜の通過箇所における左右両側のうちの一方に回転式ガイド部材が備えられ、他方に固定式ガイド部材が備えられ、これらの回転式ガイド部材と固定式ガイド部材とにより案内部が構成される。
つまり、左右両側のうちの一方に備えられた回転式ガイド部材が回転することにより、泥土が付着堆積することを回避することができる。一方、他方の固定式ガイド部材により、搬送装置により吊り下げ姿勢で搬送されてくる根菜の下端部を、しっかりと受け止めて回転刃に案内することが可能である。
従って、泥土が付着することを回避することができるものでありながら、吊り下げ姿勢で搬送されてくる根菜の下端部を回転刃による切断作用箇所に向けて良好に移動案内することが可能となった。
【0011】
本発明においては、前記回転式ガイド部材が前記回転刃の回転方向とは反対方向に回転すると好適である。
【0012】
本構成によれば、回転式ガイド部材の回転に伴う根菜の送り作用方向とは反対方向に回転刃が回転するので、回転刃によりひげ根の切断を行う際に、根菜を回転刃に押しつけるように作用することになり、回転刃による切断作用が行い易いものとなる。
【0013】
本発明においては、前記回転式ガイド部材と前記回転刃とが同一軸芯周りで回転すると好適である。
【0014】
本構成によれば、回転式ガイド部材の回転軌跡と回転刃の回転軌跡とが同心円状に位置することになるので、回転式ガイド部材により、回転刃の回転を阻害しないようにしながら、根菜の下端部をできるだけ回転刃による切断作用位置に近づけた状態で根菜を案内することができる。
【0015】
その結果、泥土が付着することを回避することができるものでありながら、根菜の下端部を回転刃に案内するとともに根菜下端部の回転刃移動経路への入り込み長さを規制する、という案内部の本来の機能を良好に発揮させ易いものになる。
【0016】
本発明においては、前記回転式ガイド部材が、前記搬送装置による搬送と同じ方向に沿って前記搬送装置による搬送速度よりも高速の周速度で回転すると好適である。
【0017】
本構成によれば、回転式ガイド部材が搬送装置による搬送と同じ方向に沿って、搬送装置による搬送速度よりも高速の周速度で回転するので、搬送装置により葉部が挟持されて吊り下げ姿勢で搬送される根菜の下端部を葉部よりも先行させる状態で円滑に案内することができる。
【0018】
このように、根菜の下端部が葉部よりも先行する状態で案内されるので、根菜を回転刃に押し付ける作用を発揮させ易いものとなり、回転刃によるひげ根の切断がより一層行い易いものとなる。
【0023】
本発明においては、前記固定式ガイド部材が、前記回転式ガイド部材との協同により根菜の下端部を前記回転刃に案内する円弧状の案内作用部と、その円弧状の案内作用部から機体前方側に向けて直線状に延出された導入案内部とを備えて構成されていると好適である。
【0024】
本構成によれば、固定式ガイド部材が導入案内部を備えるので、吊り下げ姿勢で搬送されてくる根菜の下端部を、導入案内部により受け止めて回転刃による切断作用位置に向けて適切に案内することができる。そして、回転刃による切断作用位置に近づいてくると、根菜の通過箇所における左右両側のうちの一方に、固定式ガイド部材における円弧状の案内作用部が位置し、他方に回転式ガイド部材が位置して、それらの協同により根菜の下端部をしっかりと受け止めて回転刃に案内することができる。
【0025】
従って、搬送装置によって葉部を挟持して搬送される根菜の下端部を良好に切断作用位置に向けて案内することができるとともに、泥土が付着することを回避しながら、根菜の下端部をしっかりと受け止めて回転刃に案内することができる。
【0026】
本発明においては、前記回転式ガイド部材が、略円形状に形成されるとともに、周方向に沿って複数の泥抜き用開口部が形成されていると好適である。
【0027】
本構成によれば、回転式ガイド部材が略円形状であるから、機体横向きの軸芯周りで回転するときに、根菜の下端部に対する案内作用位置がほぼ変化することがないので、根菜を滑らかに案内することができる。又、回転式ガイド部材に周方向に沿って複数の泥抜き用開口部が形成されるから、根菜から泥土が降りかかっても、泥土を泥抜き用開口部を通して外方に排出させ易いものとなる。
【0028】
本発明においては、前記回転式ガイド部材が、
略円環状に湾曲形成された円環状ガイド杆と、この円環状ガイド杆における根菜の通過箇所とは反対側において、周方向に適宜間隔をあけて外方に片持ち状に延設された直線状のガイド杆とを備えて構成され、
前記直線状のガイド杆同志の間にて前記泥抜き用開口部が形成されていると好適である。
【0029】
本構成によれば、円環状ガイド杆は、回転作動しても根菜の下端部に対する案内作用位置がほぼ変化することがないので、根菜の下端部を回転刃に良好に案内するとともに根菜の下端部の回転刃移動経路への入り込み長さを規制する機能を良好に発揮させることができる。
【0030】
又、複数の直線状のガイド杆が円環状ガイド杆における根菜の通過箇所とは反対側において外方に片持ち状に延設されているので、根菜に付着している泥土をこの直線状のガイド杆によって跳ね飛ばして径方向外方に排出することができる。又、直線状のガイド杆同志の間には泥抜き用開口部が形成されているので、回転式ガイド部材に降りかかる泥土が付着しようとしても、泥抜き用開口部を通してその降りかかる泥土を外方に排出させることができる。