(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも溶接条件が記録されたデータベースから溶接条件を検索するに際して、オペレータによる溶接条件の検索が容易になるように当該オペレータに対する検索の支援を行うシステムであって、
予め、前記データベースに記録された項目から、2項目の組合せを複数決めておき、
入力された検索条件にて前記データベースを検索した際に、抽出された検索結果が所定数以上となった場合には、
前記所定数以上となった検索結果を前記2項目の各内容の組合せでグループ化することで、「グループ化した検索結果」を求め、
前記「グループ化した検索結果」に対する評価関数の評価値を求めると共に、前記評価関数による評価値が最適な2項目の組合せを選択し、
前記選択された2項目をそれぞれ行と列とにして「グループ化した検索結果」を表の形で表示し、
表示された表から、溶接条件を検索可能に構成されている
ことを特徴とする溶接条件の検索支援システム。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットや自動機にて溶接を行う際、溶接対象(ワーク)の継手形状や材質に合わせて、溶接機の電流や電圧、溶接速度、トーチ角度など溶接条件を設定する作業を行う。溶接条件は、ワークに対する実際の溶接と溶接条件の変更とを繰り返し、適時修正を施した上で、所望の施工結果が実現できる溶接条件として設定される。その一方で、溶接条件を記録したデータベースを用い、溶接条件設定時に溶接継手情報などを入力して検索し、検索された溶接条件をロボットや自動機に対して設定することも多い。
【0003】
データベースなどの情報記録手段から、効率的に溶接条件を検索して設定する手法として、特許文献1や特許文献2などに開示された技術がある。
例えば、特許文献1は、オフラインティーチングにより作業対象に対する作業プログラムを生成し、これをプログラムとして出力することで被制御対象機器を動作させる作業プログラム生成方法における溶接条件設定方法であり、特に溶接作業を行うための作業プログラムを生成するために、一般的な条件として予め与えられる基本溶接条件データベースから指定された溶接部位に対する溶接条件を設定する溶接条件設定方法であって、実際に溶接を行って得られた溶接条件を実溶接条件データベースとして登録して保存し、指定された溶接部位に対して溶接条件を設定する場合に、前記基本溶接条件データベースと前記実溶接条件データベースの両方のデータベースを検索することで、作業に対する最適な溶接条件を設定する溶接条件設定方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、被溶接物に対する溶接線、溶接順序、各溶接線の溶接を担当する溶接ロボットを含む情報である溶接線パターンを検索条件としてデータベースから取得する段階と、照合の対象となる被溶接物の溶接線を当該溶接線パターンと照合させながら溶接経路を作成する段階と、当該溶接経路に沿って当該被溶接物の溶接線に対する教示点を生成する段階と、当該教示点におけるトーチの配置角度を設定する段階と、当該トーチの配置角度と前記被溶接物の物理的特性から溶接条件を設定する段階と、を含む溶接ティーチング支援方法を開示する。
【0005】
以上述べた特許文献1、2では、いずれも検索条件を設定し、溶接条件を蓄積したデータベースを検索し、作業条件を設定もしくは自動設定するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1、2を用いて、データベースなどから、溶接条件を検索して設定する際に、以下のような不都合が生じる場合がある。
例えば、溶接条件の検索を実施した場合、検索条件を絞りきれず、検索結果が多数ヒットすることがある。このとき、最適な溶接条件を取得するために、追加の検索条件を繰り返し設定し、再検索を実施する必要がある。とはいえ、多数ヒットした検索結果に関し、各検索結果のどこが異なっているのかが判りにくいなど不都合が生じることは否めない。このような状況下で、効率的に絞り込むために追加の検索条件を設定して、所望の結果を得るには、熟練したオペレータであっても時間を要する場合がある。
【0008】
一方、データベース内に、検索したい溶接条件が存在しない場合もある。この場合、出来るだけ近い検索条件を参考にして、検索した条件を編集・修正した上で、求めたい溶接
条件を決定する必要があるが、経験の浅いオペレータには難しい作業となる。例えば、対象の溶接継手によっては、数値的に単純に近いもしくは遠いと判断することは難しく、オペレータによっても参考にしたい検索条件が異なることもある。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、データベースから最適な溶接条件を検索するに際し、検索した結果が多数ある場合や、該当する検索結果が存在しない場合であっても、所望とする溶接条件を迅速に決定することを可能とする溶接条件の検索支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る溶接条件の検索支援システムは、少なくとも溶接条件が記録されたデータベースから溶接条件を検索するに際して、オペレータによる溶接条件の検索が容易になるように当該オペレータに対する検索の支援を行うシステムであって、予め、前記データベースに記録された項目から、2項目の組合せを複数決めておき、入力された検索条件にて前記データベースを検索した際に、抽出された検索結果が所定数以上となった場合には、前記所定数以上となった検索結果を前記2項目の各内容の組合せでグループ化することで、「グループ化した検索結果」を求め、前記「グループ化した検索結果」に対する評価関数の評価値を求めると共に、前記評価関数による評価値が最適な2項目の組合せを選択し、前記選択された
2項目をそれぞれ行と列とにして「グループ化した検索結果」を
表の形で表示し、表示された表から、溶接条件を検索可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記データベースは、溶接方法、溶接設備に関する情報と、継手種類、開先形状、溶接姿勢の少なくとも1つ以上を含む溶接継手情報と、前記溶接継手情報に対応する、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、トーチ姿勢、ウィービングの少なくとも1つ以上を含む溶接条件と、が記録されてなるとよい。
好ましくは、データベースに記録されている項目のうち、2項目を複合した内容を新たな1つの項目として採用するとよい。
【0013】
好ましくは、上記した検索支援システムにより検索を行った後に得られた表に対し、当該表中の1以上のセルを選択した際に、選択したセルに格納されている値が所定値以上の場合、さらに別の2項目の各内容の組合せでグループ化することで、別の「グループ化した検索結果」を求め、前記別の「グループ化した検索結果」に対する評価関数の評価値を求めると共に、前記評価関数による評価値が最適な2項目の組合せを選択し、前記選択された
2項目をそれぞれ行と列とにして前記選択された別の「グループ化した検索結果」を
表の形で表示し、表示された表から、溶接条件を検索可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溶接条件が記録されたデータベースに対して、対象となる溶接継手情報を基に検索し、最適な溶接条件を検索するに際し、検索した結果が多数ある場合や、該当する検索結果が存在しない場合であっても、所望とする溶接条件を迅速に決定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、図面に基づき説明を行う。
まず、本発明の溶接条件の検索を支援するシステムを説明する前に、本発明が適用される溶接ロボット装置について、述べることとする。
図9に示すように、溶接ロボット装置1は、溶接ロボット2と、例えば教示ペンダントとして用いられるロボットペンダント3を有する制御装置4と、パソコン5とを有している。
【0017】
溶接ロボット2は垂直多関節型の6軸の産業用ロボットであり、その先端に設けられたフランジ部に溶接トーチなどから構成される溶接ツール6が取り付けられている。この溶接ロボット2は、溶接ロボット2自体を搭載し移動させるスライダに搭載されていてもよい。
制御装置4は、溶接ロボット2に対する動作指示を予め教示されたプログラム(教示プログラム)に従って出力することで溶接ロボット2の動作を制御するものである。教示プログラムは、制御装置4に接続されたロボットペンダント3を使用して作成する場合や、パソコン5を利用したオフライン教示システムを使用して作成する場合がある。いずれの場合であっても、教示プログラムは、溶接ロボット2が実際に溶接作業を行う前に予め作成されて、溶接作業中の溶接ロボット2の動作を指示するものである。パソコン5によりオフラインで作成された教示プログラムは、磁気的又は電気的にデータを記憶した媒体等を介して制御装置4に受渡しされたり、データ通信により制御装置4に転送されたりする。
【0018】
ところで、
図10に示すように、本発明のロボットペンダント3には、各種情報を表示するための画面部32(モニタ部)が設けられると共に、画面部32における情報を選択し、溶接条件を検索するための操作ボタン31やテンキー33が設けられている。操作ボタン31は、溶接ロボット2を操作したり、溶接ロボット2に対するティーチングを行うための入力ボタンとしても用いられる。
【0019】
このロボットペンダント3においては、溶接条件として記録されたデータベースに対して、対象となる溶接継手情報を検索可能となっている。
具体的には、制御装置4やそれに繋がるロボットペンダント3には、溶接ワイヤ(径や規格)、使用するシールドガス、溶接電源(パルス、定電圧)などの溶接設備に関する情報、継手種類、開先形状、溶接姿勢などの溶接継手情報に対し、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、トーチ姿勢、ウィービングなどの溶接条件の過去実績などが記録されたデータベースが保存されている。
【0020】
このデータベースを用いて、例えば、ロボットペンダント3において、施工する継手、開先形状、溶接姿勢などの溶接継手情報に合せて、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、トーチ姿勢などの溶接条件を検索し、検索した結果(溶接条件)を溶接ロボット2に対して設定することができるようになっている。
さらに、本実施形態のロボットペンダント3では、溶接条件の検索時において、入力された検索条件にて検索した結果が所定数以上の多数がヒットした場合、データベースの各
項目より選択された2項目の組合せを予め設定しておき、検索結果をその組合せでグループ化した際、グループ化の結果を表す評価関数により最適な組合せを自動的に選択し、その組合せで分類したグルーピング結果を、ロボットペンダント3の画面部32に2項目の表として表示することが可能とされている。
【0021】
また、本実施形態のロボットペンダント3では、入力された検索条件にて検索した結果が存在しなかった場合、各項目(フィールド)に対して検索対象として使用する優先度を予め設定しておき、ある所定数以上がヒットする状況まで順次優先度に従って検索条件を減じ、減じた検索条件の対象である項目を含んだ2項目の組合せを新たに設定し、その組合せで分類したグルーピング結果を、ロボットペンダント3の画面部32に2項目の表として表示することができるものとなっている。
【0022】
ロボットペンダント3の画面部32に表示される表示される表の項目は、データベースに記録されている項目そのものでもよいが、例えば「上脚長×下脚長」のような2項目を組み合わせたものを新たな1項目として表に表示することを可能としている。
ロボットペンダント3では、操作ボタン31を操作することで、画面部32に表示された表の各セルに対してカーソルを移動したりすることができ、カーソルの移動やカーソルによる選択の結果、さらに絞り込んだ表形式を表示することを可能としている。なお、画面部32上でのカーソル移動は、付帯されたマウスを用いてもよく、画面部32をタッチパネルにすることで実現してもよい。
[第1実施形態]
以下、
図1〜
図5、
図10などを参照しながら、本発明の実施形態、すなわち、ロボットペンダント3の画面部32に表示される表を用いつつ、溶接条件を検索するシステムについて、説明を行う。
【0023】
なお、以下の説明は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
まず、溶接ロボット2にて溶接する際、対象の溶接継手に合致した溶接電流、溶接電圧、溶接速度、パス数、トーチ角度、ウィービング動作などの溶接条件を設定する必要がある。その際、ロボットペンダント3を通じて、継手種類、開先形状、溶接姿勢などの溶接継手情報を基に、溶接条件の過去実績などが記録されたデータベースを検索し、所望の溶接条件を探索する。
【0024】
検索においては、データベースに記録されている全項目のうち、使用頻度の高いものについて、
図1に示す表のように優先順位を事前につけておく。本実施形態の場合、優先度の高い順に、継手情報、開先情報、溶接姿勢、・・・となっている。
また、表形式で表示するための項目の組合せについても、
図2の表のように事前に設定しておく。本実施形態の場合、組み合わせリスト番号1(リスト1)として、継手情報と開先形状の2項目が選ばれており、モニタ部に表示される場合、「継手」「開先」と表示される。他も同様であり、例えば、リスト3として、開先深さと開先角度の2項目が選ばれており、モニタ部に表示される場合、「開先深さ」「開先角度」と表示される。なお、
図2の表で示すリスト2の「上脚長、下脚長」の表記は、データベースの2つの項目の組合せを1項目として扱う事例である。
【0025】
以下、第1実施形態の詳細、すなわち、検索した結果が多数ある場合、その後の絞り込み検索の方法について説明する。
まず、ロボットペンダント3の操作ボタン31を用いて、対象となる溶接継手情報を入力して溶接条件を検索する。ここでは、
図1の表に設定した優先順位に従って、検索条件を設定していくが、全ての条件が設定される必要は無く、操作者は適当に絞り込めると思われた段階で検索を実行する。
【0026】
溶接継手情報として、「継手情報」=T継手、「開先形状」=隅肉、「上脚長、下脚長」=8×8mm等脚長が検索条件として指定された場合を想定する。
ここでは、候補として例えば41件の合致する条件が検索されたとする。
第1実施形態では、所定数として5件を超える検索結果がある場合は、自動的に、
図2の表に示すような2項目の組合せによるグルーピング(グループ化)を試み、最も評価関
数の値が高かったグルーピング結果(言い換えれば、評価関数の評価値が最適なグルーピング結果)を採用し、ロボットペンダント3の画面部32に表示するようにする。なお、グルーピングの閾値を5件とした理由は、使用するロボットペンダント3の画面部32の大きさを考えたためであり、現場作業で簡単に確認可能な数として5件とした。
【0027】
なお、2項目の組合せによるグルーピングの結果を評価する評価関数としては、様々なものが採用可能であるが、本実施形態では、画面部32に表示される検索結果の表に、空欄が少ないことを示す「充填率」といった評価関数を採用した。
充填率の定義は以下の通りである。すなわち、充填率とは、「継手情報」、「開先形状」、「上脚長、下脚長」などの検索済み項目のある組合せや検索結果に対して意味の無い項目は、グループ数1となり分類できないので対象から除外し、表形式に表示されたときの全グループ数(項目1のグループ数×項目2のグループ数)に対する、有効なグループ数の比率のことである。この充填率が最大の値をとるような表を採用し、ロボットペンダント3の画面部32に表示する。充填率が大きな値となる表を採用することで、ロボットペンダント3などの画面部32に情報の無い空欄ばかりの表が表示されることを回避することができる。
【0028】
図2の表で説明すると、本実施例では、既に「継手情報」=T継手、「開先形状」=隅肉、「上脚長、下脚長」=8×8mm等脚長が検索条件として指定されているので、これらの検索項目「継手情報」、「開先形状」、「上脚長、下脚長」を含むリスト番号1及びリスト番号2は意味の無い組合せとなり除外される。また、「継手情報」=T継手、「開先形状」=隅肉との指定から、「開先深さ」や「ルートフェース」という項目による分類は溶接施工を考慮すると設定されない項目であり結果としてグループ数1となるため、リスト番号3及びリスト番号4は意味の無い組合せとして除外される。
【0029】
最終的に、リスト番号1〜4は除外され、リスト番号5〜8に対してグループ化された結果として、
図3(a)〜
図3(d)で示される表が得られる。
図3(a)は、
図2におけるリスト5の結果であり、縦欄に溶接電流、横欄に溶接速度が記された表の形式で検索結果が示されたものである。この表における「空白が少ない割合」すなわち充填率は0.103となっていて、空欄が多い表となっている。
【0030】
図3(b)は、
図2におけるリスト6の結果であり、縦欄に溶接速度、横欄に溶接姿勢が記された表の形式で検索結果が示されたものである。この表における充填率は0.356となっている。
図3(c)は、
図2におけるリスト7の結果であり、縦欄に溶接電流、横欄に溶接姿勢が記された表の形式で検索結果が示されたものである。この表における充填率は0.394となっており、空欄の少ない表となっている。
【0031】
図3(d)は、
図2におけるリスト8の結果であり、縦欄に溶接速度、横欄に入熱量が記された表の形式で検索結果が示されたものである。この表における充填率は0.162となっている。なお、
図3(d)の項目である「入熱量」に関しては、このような連続値となる項目でグループ数が多い場合は、その項目値の最小〜最大値の範囲から、適切な範囲でクラスタリングを行う。
【0032】
抽出された
図3(a)〜
図3(d)で示される表のうち、充填率が最も高い
図3(c)の表(リスト7)が採用され、
図10に示す如く、ロボットペンダント3の画面部32に表示される。
図4は、
図3(c)乃至は
図10のロボットペンダント3の画面部32に表示される表を拡大して示したものである。オペレータがこの表を利用して溶接条件を設定したいと所望した場合、
図4の表の各項目を選択し、詳細な溶接を表示させ、表示された溶接条件から、溶接ロボット2に対して設定する溶接条件を選定するとよい。
【0033】
例えば、
図4の表に対して、「溶接姿勢」=水平の全事例を見たければ、「水平」列の合計値の記載されているセルをマウスやタッチパネルなどで選択すればよい。この事例では、対象が11件あって5件を超えるため、表2の組合せリストの中から、リスト8が選択され、
図5の表に示す結果が表示される。
また、「水平」かつ溶接電流が一番高い「370アンペア」の事例を見たければ、同様
に対象のセルを選択する。この事例では、対象が4件で5件以下となるため、4件全ての一覧リストが表示される。オペレータは、得られた一覧リストの中から所望の溶接条件を指定する。このとき、
図2の表として有効なものが無くなったにもかかわらず、検索対象が5件以下とならない場合は、ある程度十分絞り込めていると考え、ロボットペンダント3の画面部32に一覧リストを表示する。
【0034】
以上述べたように、本実施形態によれば、溶接条件が記録されたデータベースに対して、対象となる溶接継手情報を基に検索し、最適な溶接条件を検索するに際し、検索した結果が多数ある場合であっても、所望とする溶接条件を迅速に探索することが可能となる。[第2実施形態]
次に、本発明に係る溶接条件の検索を支援する方法の第2実施形態について、述べる。
【0035】
本実施形態は、第1実施形態とは異なり、データベースを検索するに際し、該当する検索結果が存在しない例を示すものである。
本実施形態の場合であっても、まず 第1実施形態と同様に、溶接継手情報などの検索条件を指定する。ここでは、「継手情報」=突合せ継手、「開先形状」=V開先、「開先深さ」=12mm、「開先角度」=45°の4つを指定した場合を想定する。この時、検索結果として0件で全くヒットしなかったとする。
【0036】
検索結果が0件であるため、
図1の表に設定された優先順位の低い項目、例えば「開先角度」の検索条件を外して、再度検索を実施する。
この結果として2件ヒットしたが、所定数5件に満たないため、更に次の優先順位の低い項目、本実施形態では「開先深さ」の検索条件を外した上で、検索を実行する。
その結果、所定件数5件を超える25件が検索結果としてヒットしたとする。そこで、検索条件として除外した「開先角度」と「開先深さ」を組合せの2項目と設定し、グループ化した結果の表を、ロボットペンダント3の画面部32に表示するようにする。その結果を
図6の表として示す。
【0037】
オペレータは、ロボットペンダント3の画面部32に表示された
図6の表を基に、表の各項目を選択し、詳細な溶接を表示させ、表示された溶接条件から、溶接ロボット2に対して設定する溶接条件を選定するとよい。
例えば、
図6の表に対して、「開先深さ」=12mmの全事例を見たければ、「12mm」行の合計値の記載されているセルをマウスやタッチパネルなどで選択すればよい。この事例では、対象が2件であり、2件全ての一覧リストが表示される。オペレータは、得られた一覧リストの中から所望の溶接条件を指定する。つまり、優先順位の低い項目を除外することで検索結果が得られた後は、第1実施形態と同様に、オペレータの判断により、表中のセルを選択し、参照したい溶接条件を抽出するとよい。
【0038】
以上述べたように、第2実施形態によれば、溶接条件が記録されたデータベースに対して、対象となる溶接継手情報を基に検索し、最適な溶接条件を検索するに際し、該当する検索結果が存在しない場合であっても、所望とする溶接条件を迅速に探索することが可能となる。
なお、
図8は、上記した検索手順をフローチャートの形にまとめたものである。
【0039】
このフローチャートに示すように、検索条件を設定し検索を実行した場合(S1)、検索した結果が多数ある場合(S2でYes)は、S3〜S6のステップへ進む。このS3〜S6のステップが第1実施形態の処理ステップである。
検索条件を設定し検索を実行した場合(S1)、該当する検索結果が存在しない場合(S2でNo)は、S7〜S9のステップへ進む。このS7〜S9のステップが第2実施形態の処理ステップである。
【0040】
いずれの場合であっても、本発明の処理ステップを実施することで、所望とする溶接条件を迅速に探索することが可能となる(S10)。
ところで、第1実施形態や第2実施形態の検索を行うにあたり、検索条件である継手や開先形状などによっては、
図2の表にある2項目の組合せが全く意味の無い組合せとなる場合がある。斯かる状況に対応するため、ある項目が絞り込まれた段階で、評価する組合せリストを変更したり、項目ごとに有効乃至は無効の情報などを設定しておくようにし、
無駄な検索処理を行わず、効果的に所望の溶接条件を選定するようにすることは非常に好ましい。
【0041】
例えば、
図7の表に示すように、「継手情報」及び「開先形状」の項目が絞り込まれた段階で、絞り込まれた項目によって組合せリストを変更する方法がある。
また、検索性(速さ、不要なデータの事前除去)を向上する方法として、溶接を実施する対象機器により、使用できるワイヤ、ガス、電源(モード)など施工方法に関わる部分を事前に絞込みを行う方法も考えられる。
【0042】
以上述べたように、本発明の溶接条件の検索を支援する方法を用いることで、溶接条件が記録されたデータベースに対して、対象となる溶接継手情報を基に検索し、最適な溶接条件を検索するに際し、検索した結果が多数ある場合や、該当する検索結果が存在しない場合であっても、所望とする溶接条件を迅速に探索することが可能となる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。