(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モノマーと、連続相と、反応開始剤と、無機ナノ粒子とを含む組成物を重合させてポリマーを形成することを含む方法であって、前記無機ナノ粒子が重合性官能基を実質的に含まず、且つ前記組成物が有機乳化剤を実質的に含まず、前記無機ナノ粒子がオルガノチタネート又はオルガノシランによる表面修飾を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において使用するところの用語、
「a」、「an」、及び「the」は互換可能に使用され、1又はそれよりも多くを意味する。用語「及び/又は」は、生じ得る述べられている場合の一方又は両方を指すために用いられ、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)並びに(A又はB)の両方を包含する。
【0016】
「分散液」は、様々な組成物の連続相中に分散しているポリマー粒子を指し、ここで、「連続相」とは、重合条件下における単一の液体又は液体のブレンドを指し、これら液体は、例えば、水又は二酸化炭素であってよい。
【0017】
「乳化剤」は、連続相と不連続相との間の界面に自身を分配し、静電、立体、又はこれら反発力の組合せを妨げて界面の全表面積を維持することによりエマルション又は分散液を安定化させる物質を指す。
【0018】
「官能基」は、重合を含まない化学反応を受け得る化学実体を意味する。
【0019】
「モノマー」は、重合することができる化学種を意味し、モノマー及びオリゴマーを含む。
【0020】
「有機」は、当該技術分野において一般的な意味を有し、例えば、有機化合物は、炭素含有化合物であるが、カーバイド、酸化炭素、二硫化炭素等の二元化合物;金属シアン化物、ホスゲン、硫化カルボニル等の三元化合物;並びに炭酸カルシウム等の金属炭酸塩を含む幾つかは除外/排除する。
【0021】
本明細書においては更に、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)。
【0022】
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)。
【0023】
本開示は、ポリマーを形成するためのモノマーの重合における無機ナノ粒子の使用に関する。
【0024】
本開示の重合性組成物は、懸濁又は乳化重合において用いることができる。重合中及び重合後、連続相と不連続相とが存在する。本開示では、これら相は、組成物に添加される有効な量の無機ナノ粒子を組み込むことにより維持される。無機ナノ粒子は、不連続相を安定化させ、隣接する不連続相が互いに接触し、合体するのを物理的に防ぎ、無機乳化剤として作用する。
【0025】
本開示の重合性組成物は、界面活性剤、洗剤、タンパク質、及び表面張力の低下を通して分散液を安定化させる他の有機化合物等の従来の有機乳化剤を実質的に含まなくてもよい。実質的に含まないとは、重合性モノマーに対して0.1、0.05、0.01、又は更には0.001重量%未満しか存在しないことを意味する。
【0026】
本明細書で用いるとき、有機乳化剤は、分散液を安定化させる官能基を含む有機化合物を含む。このような官能基としては、例えば、−COO
−、−SO
3−、−N(CH
3)
3+、及び−CH
2OHが挙げられる。例示的な有機乳化剤としては、例えば、オクタン酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシ化アルキルエーテル類、例えば、Dow Chemical Co.,Midland,MIから商品名「TERGITOL 15−S−5」又は「TERGITOL 15−S−7」として入手可能なもの;あるいはアルキルフェノールエーテル、例えば、Dow Chemical Co.から商品名「TRITON X−100」として入手可能なもの等の疎水性及び親水性のセグメントを含む従来の乳化剤が挙げられる。他の例示的な有機乳化剤としては、フッ素化界面活性剤、例えば、ペルフルオロアルカン酸及びその塩、並びに極性水溶性モノマー、例えば、ビニルアルコール又はスチレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0027】
1つの実施形態では、極性水溶性重合性モノマーを重合において用いることができるが、その重合性組成物中の含量は、これら極性水溶性モノマーが単独で分散液を安定化しない程度に十分低くなければならない。このような低量の極性水溶性モノマーは、5、2、1、0.5、又は更には0.1%未満であってよいが、前記低量は、モノマー及び重合性組成物中の成分に基づいて変動し得る。極性水溶性モノマーの量が、単独で分散液を安定化しない程度に十分低いかどうかを判定するために、無機ナノ粒子の有り無しで同一の重合反応を実施してよい。所与の量の極性水溶性モノマーを含み、無機ナノ粒子を含まない重合性組成物が分散液を形成しない場合(換言すれば、組成物が、任意のポリマー微粒子を含まず、且つ乳状で濁った非重合系、乳状で濁ったオリゴマー化系(すなわち、ポリマー主鎖中に20未満のモノマー単位しか含まない)又は二相凝集系である)、前記所与の量の極性水溶性モノマーは、単独で分散液を安定化しない程度に十分低いと考えられる。
【0028】
本開示の得られる分散液は、典型的に、周囲温度下で数日間から数年間安定である。換言すれば、分散液の組成及び微細構造は、経時的に変化せず、不連続相の合体も生じない。しかし、多少の重力による沈降は生じる場合がある。
【0029】
本開示で用いられる乳化剤は、無機ナノ粒子を含む無機乳化剤である。具体的には、本開示の無機ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子を含み得る。このような金属酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化鉄、バナジア、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミナ/シリカが挙げられる。金属酸化物は実質的に純粋であってよいが、アンモニウム及びアルカリ金属イオン等の安定化イオンを少量含有してもよく、又はチタニアとジルコニアとの組合せ等の金属酸化物の組合せであってもよい。
【0030】
本開示で用いられる無機ナノ粒子は、好ましくは、実質的に球形である。
【0031】
無機ナノ粒子は、少なくとも25nm、20nm、15nm、10nm、5nm、又は更には3nm;最大約100nm、50nm、30nm、20nm、又は更には10nmの一次粒子の平均直径を有する。本開示の重合性組成物で用いられる無機ナノ粒子は、典型的に、凝集していない。無機ナノ粒子が一次粒子の凝集体である場合、凝集ナノ粒子の最大断面寸法は、約3nm〜約100nm、約3nm〜約50nm、約3nm〜約20nm、又は更には約3nm〜約10nmの範囲内である。
【0032】
本明細書で用いるとき、無機ナノ粒子は、ヒュームドシリカ、発熱性シリカ、沈殿シリカ等の材料とは区別することができる。このようなシリカ材料は、高剪断混合の非存在下において凝集体の形態で本質的に不可逆的に互いに結合している一次粒子で構成されていることが当業者には公知である。これらシリカ材料は、100nm超(例えば、典型的に少なくとも200ナノメートル)の平均粒径を有し、それから、個々の一次粒子を直接抽出することは不可能である。
【0033】
1つの実施形態では、無機ナノ粒子の表面は、有機部分で修飾されていない。
【0034】
無機ナノ粒子は、コロイド状分散液の形態であってよい。有用な市販の未修飾シリカナノ粒子の例としては、商品名「NALCO COLLOIDAL SILICAS」としてNalco Chemical Co.(Naperville,IL)から入手可能な市販のコロイド状シリカが挙げられる。例えば、このようなシリカとしては、NALCO製品1040、1042、1050、1060、2327及び2329が挙げられる。有用な金属酸化物のコロイド状分散液の例としては、コロイド状酸化ジルコニウム(この好適な例は、例えば、米国特許第5,037,579号(Matchett)に記載されている)、及びコロイド状酸化チタン(この有用な例は、例えば、米国特許第6,432,526号(Arneyら)に記載されている)が挙げられる。
【0035】
本開示の乳化剤は無機乳化剤とも呼ばれるが、1つの実施形態では、無機ナノ粒子は、有機部分による表面修飾を含んでもよい。1つの実施形態では、無機ナノ粒子の表面上の有機部分の重量は、無機ナノ粒子の重量と比べて、50、40、30、25、20、10、5、1%、又は更には0.5%未満である。
【0036】
重合中及び重合後に組成物を安定化させるために本開示の無機ナノ粒子が用いられ、ポリマーは、無機ナノ粒子と不可逆的には結合しない(すなわち、可逆的に結合する、例えば、共有結合する)。これは、無機ナノ粒子がモノマーと共重合する基を実質的に含まない(すなわち、1、0.5、0.1、0.01%未満、又は更には0%)であることを意味する。1つの実施形態では、無機ナノ粒子は、重合性官能基を含んでもよく、これは、重合性組成物中で重合性モノマーと同じ重合機序により重合することはできない。
【0037】
無機ナノ粒子の表面修飾において用いることができる、モノマーとは共重合しない例示的な有機部分としては、官能基を含むアルキル鎖及び有機部分、例えば、親水性ポリエーテル(例えば、修飾ポリエチレングリコール)、第四級塩、酸(例えば、スルホン酸、カルボン酸、又はリン酸誘導体)、アミン、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0038】
有用な表面修飾としては、例えば、オルガノチタネート、アルコール、並びに例えばアルキルトリクロロシラン、トリアルコキシアリールシラン、トリアルコキシ(アルキル)シラン、及びこれらの組合せを含むオルガノシランを含む表面修飾剤により表面修飾されたシリカナノ粒子;並びに例えば、粒子の表面上に吸着されたオレイン酸及びアクリル酸等の有機酸により表面修飾されたジルコニアナノ粒子が挙げられる。
【0039】
ナノ粒子の表面修飾は、当該技術分野において公知である。例えば、シリカ系ナノ粒子は、ナノ粒子の表面上のシラノール基がヒドロキシル基と化学的に結合して表面結合エステル基を生成するような条件下で、一価アルコール、ポリオール、又はこれらの混合物(好ましくは、飽和一級アルコール)で処理してもよい。また、シリカ(又は他の金属酸化物)粒子の表面は、オルガノシラン、例えば、アルキルクロロシラン、トリアルコキシアリールシラン、オレフィン性シラン、若しくはトリアルコキシアルキルシラン、又は他の化学化合物、例えば、オルガノチタネートで処理してもよく、これらは、化学結合(共有又はイオン)又は強力な物理的結合によりナノ粒子の表面に付着することができ、また、選択された反応性モノマーと化学的に適合する。シリカ系ナノ粒子は、相を相溶化する表面処理剤で処理してもよい。更に、ナノ粒子の極性又は疎水性を修飾するために用いられる更なる表面試薬を用いてもよい。これら試薬の代表例としては、例えば、イソオクチルトリメトキシシラン、Wacker Silicones(Adrian、MI)から商品名「BS−1316」として入手可能な製品、及びフェニルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、及びGelest Inc.,Morrisville,PA.から入手可能な3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。非シリカ金属酸化物ナノ粒子は、ナノ粒子の表面上への酸性又は塩基性化合物の吸着を通して表面処理されてもよい。表面処理剤は、好ましくは、望ましい相の表面修飾された重金属酸化物粒子の可溶性及び/又は反応性をもたらす官能基を含有するように選択される。ジルコニア等の金属酸化物粒子は、カルボン酸、リン酸、及びスルホン酸等の酸性化合物、又はホウ素、炭素、リン、及び硫黄のオキシ酸に由来する酸性官能基で処理してよい。
【0040】
重合性組成物中の無機ナノ粒子は、重合性組成物の総重量と比較したとき、少なくとも10ppm、50ppm、100ppm、500ppm、1000ppm、2000ppm、5000ppm、7500ppm、又は更には10000ppm;最大10000ppm、30000ppm、50000ppm、80000ppm、又は更には100000ppmの量で用いられる。
【0041】
重合性組成物は、本明細書に開示される無機乳化剤に加えて、水又は二酸化炭素のうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの重合性モノマーと、少なくとも1つの反応開始剤とを含む無機連続相を含む。
【0042】
重合性組成物で用いられる重合性モノマーは、非フッ素化モノマー、フッ素化モノマー、又はこれらの組合せから選択してよい。
【0043】
非フッ素化モノマーとしては、水と無限に混和することはできない当該技術分野において公知のものが挙げられる。例示的なモノマーとしては、スチレン、塩化ビニル、ビニルエステル、(メタ)アクリレート、及びオレフィン(例えば、エチレン及びプロピレン)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(C1〜C16)アルキル(メタ)アクリレート、例えば、(メタ)アクリル酸、メチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ドデシル(ラウリル)(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート;アリール及びアルカリル(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及び2−オクチル(メタ)アクリレート;ポリ(エチレングリコール)アクリレート;アクリルアミド、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジイソブチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、及び置換アクリルアミド;スチレン;並びにこれらの組合せが挙げられる。ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、及びエポキシ化油のアクリレートを含む他の官能化アクリレートモノマーを用いてもよい。
【0044】
例えば、マレイミド、N−ビニルアズラクトン、及びエポキシド又はビニルエーテル官能基を含有するモノマーを含む更なる重合性モノマーを重合性組成物に添加してもよい。
【0045】
官能化モノマーとしては、部分的に及び完全にフッ素化されている当該技術分野において公知のものが挙げられる。例示的な重合性フッ素化モノマーとしては、フッ素化オレフィン類、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、及びフッ化ビニル;フッ素化エーテル、例えば、フルオロアリルエーテル、フルオロアルキルビニルエーテル、及びフルオロアルコキシビニルエーテル;フッ素化アルコキシド、例えば、ヘキサフルオロプロピレンオキシド;フッ素化スチレン、フッ素化シロキサン;並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0046】
重合性モノマーの組合せを重合中に用いて、例えば、アクリレート−メタクリレート−スチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデンコポリマー、又はエチレン−テトラフルオロエチレン−コポリマー等のコポリマーを生成してもよい。
【0047】
本開示の重合性組成物は、得られるポリマーを架橋することができる成分を含んでもよく、当該技術分野において公知であるこれら成分としては、多官能性モノマーの添加、硬化部位モノマーの添加、連鎖移動剤の使用、及び/又は反応性末端基と窒素との反応が挙げられる。したがって、得られる分散液は、各粒子内に様々な量の架橋を含む個々の分散粒子を含んでもよく、又は後続の架橋工程で架橋することができる硬化性末端基を有する粒子を含んでもよい。しかし、実現可能な分散液を保証するために、硬化部位モノマーの硬化性末端基は、重合工程中に重合してはならない。
【0048】
1つの実施形態では、多官能性モノマーを重合性組成物に添加してもよい。これら多官能性モノマーは、リビング(すなわち、成長)ポリマーと反応して連結ポリマーを形成し、ポリマー鎖を架橋することができる官能基を有する。このような多官能性モノマーとしては、脂肪族ポリアルケニル化合物、芳香族ポリアルケニル化合物、及び複素環式ポリアルケニル化合物が挙げられる。例示的な脂肪族ポリアルケニル化合物としては、ポリビニル及びポリアルキルアセチレン、ジアセチレン、及びジメタクリレート(例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート)が挙げられ;芳香族ポリアルケニル化合物としては、ポリビニルベンゼン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルナフタレン、及びジビニルジュレンが挙げられる。代表的なポリビニル基としては、ジビニル、トリビニル及びテトラビニル基が挙げられる。幾つかの実施形態では、ジビニルベンゼン(DVB)を用いることもでき、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、及びこれらの混合物を含んでもよい。代表的な複素環式ポリアルケニル化合物としては、ジビニルピリジン及びジビニルチオフェンが挙げられる。
【0049】
1つの実施形態では、硬化反応において沈殿し得る基を含む硬化部位モノマーを重合性組成物に添加してもよい。硬化部位モノマーをポリマー主鎖に重合させ、触媒の存在下でポリマーの架橋を促進してもよい。このような硬化反応に関与し得る基としては、ハロゲン(例えば、Br又はI)、並びにニトリル基が挙げられる。これら硬化部位モノマーをポリマー主鎖に重合し、後続の処理においてポリマーを架橋(又は硬化)するために用いてもよい。例示的な硬化部位モノマーとしては、ニトリル含有フッ素化オレフィン;ニトリル含有フッ素化ビニルエーテル;臭素−、塩素、及びヨウ素−含有オレフィン;並びに臭素−、塩素−、及びヨウ素−含有ビニルエーテルが挙げられる。また、硬化部位は、重合中、窒素−、臭素−、又はヨウ素−含有基を含む連鎖移動剤との反応を介して導入され得る。例示的な連鎖移動剤としては、米国特許第6,166,157号(Hungら)に記載されているようなI(CF
2)
nCNが挙げられる。また、連鎖移動剤を添加して、得られるポリマーの分子量を制御してもよく、例えば、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
更に、米国特許第7,375,157号(Amosら)に記載されているように、連鎖移動剤を重合性組成物に添加して、ポリマーの長鎖分岐を生成することができる。
【0051】
本開示では、有効な量の少なくとも1つの反応開始剤を重合性組成物に添加して、重合反応を開始させてよい。有用な反応開始剤としては、放射線(熱又はUV光)及びレドックス反応により開始されるものが挙げられる。1つの実施形態では、反応開始剤は、水溶性ラジカル発生反応開始剤である。
【0052】
光開始放射線系では、紫外線等の光に曝露されたときに分解する化合物を用いて重合を開始させることができる。熱開始放射線系では、熱で分解する化合物を用いて重合を開始させることができる。例示的な熱分解反応開始剤としては、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))、ジスルフィド、及び過硫酸塩が挙げられる。過硫酸塩は、還元剤が存在しなくても単独で用いることができる。
【0053】
レドックス反応開始剤系では、酸化剤と還元剤との組合せを用いて、レドックス反応を通してフリーラジカルを生成させる。好適な酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)、及び過硫酸ナトリウムを含む過硫酸塩が挙げられる。好適な還元剤としては、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム又は重亜硫酸カリウム等のメタ重亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩及びチオ硫酸塩が挙げられ、好ましくは、Na
2S
2O
5、銅、鉄、銀等の金属イオンである。用いることができる別のレドックス系反応開始剤系としては、過マンガン酸カリウム、Mn
3+塩(三酢酸マンガン、シュウ酸マンガン等)から誘導されたもの等のマンガン系が挙げられる。好ましい金属塩は、KMnO
4である。
【0054】
ペルオキシドは、熱反応開始又はレドックス反応開始系で用いることができる。例示的なペルオキシドとしては、ペルオキシド(例えば、アシルペルオキシド、アルキルペルオキシド、過酸化水素、ペルオキソ炭酸塩、及びt−ブチルペルオキシベンゾエート等のペルエステル)が挙げられる。
【0055】
使用される反応開始剤の量は、選択される反応開始剤に応じて、重合性組成物の総重量に基づいて少なくとも0.01、0.03、0.05、0.1、又は更には0.5重量%;最大1、2、5、又は更には10重量%であってよい。反応開始剤の全量を重合開始時に添加してもよく、又は反応開始剤を、70〜80%が変換されるまで重合中に連続的に重合に添加することが可能である。また反応開始剤の一部を開始時に添加し、重合中に残りを1回の又は別々の追加分として添加してもよい。
【0056】
重合は、連続相内で実施される。連続相は、水又は二酸化炭素であってよい。
【0057】
1つの実施形態では、重合性組成物は、重合性組成物の総重量に基づいて、少なくとも20、30、40、50、75、80、90、95、98、99、又は更には100重量%の二酸化炭素を含む。
【0058】
1つの実施形態では、重合性組成物は、重合性組成物の総重量に基づいて、少なくとも20、30、40、50、75、80、90、95、98、99、又は更には100重量%の水を含む水溶液である。有機液体を含む溶媒を水溶液に添加してもよい。例示的な有機液体としては、酸、アルコール、ケトン、アルデヒド、アミン、アミド、エステル、グリコール、エーテル、炭化水素、ハロカーボン、モノマー、オリゴマー、潤滑油、植物油(モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリドを含む)、シリコーン油、保湿油(例えば、鉱油及びホホバ油)、燃料油、燃料(ケロシン、ガソリン、ディーゼル燃料を含む)、エチレングリコールのオリゴマー、アルキル及びアリールニトロ化合物が挙げられ、部分的に又は完全にフッ素化された化合物を用いてもよい。
【0059】
1つの実施形態では、重合性組成物は、バッファ等の補助剤、また望ましい場合、錯体形成剤又は連鎖移動剤、例えば、ジメチルエーテル、メチル第3ブチルエーテル等のジアルキルエーテル;塩素、臭素、又はヨウ素含有連鎖移動剤;チオール;並びにイソオクチルチオグリコレート、ジスルフィド、トリメチルシラン、及びt−ドデシルメルカプタン等のメルカプタンを含んでもよい。
【0060】
本開示の重合性組成物は、硬化性ポリマー製剤で一般的に使用される補助剤のいずれかを含んでもよい。例えば、引張り強度、密度、及び弾性率などの物理的特性を向上させるために、有機又は無機充填剤をこの組成物に添加することができる。充填剤としては、カーボンブラック;シリカ;又はハイドロタルサイト若しくは硫酸バリウム等の他のミネラル充填剤;グラスファイバー及び球;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0061】
幾つかの実施形態では、粘着付与剤及び可塑剤を組成物に添加して、ポリマー組成物、例えば感圧接着剤の接着強度を上昇させることもできる。粘着付与剤としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、水素添加ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリ−t−ブチルスチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。可塑剤としては、例えば、炭化水素油、炭化水素樹脂、ポリテルペン、ロジンエステル、フタレート、リン酸エステル、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、ポリエーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
他の任意の添加剤としては、例えば、安定化剤(例えば、抗酸化剤又はUV及び光安定化剤)、抗微生物剤、顔料(例えば、染料)、難燃剤、薬剤、発泡剤等が挙げられる。このような添加剤の使用は、当業者に周知である。
【0063】
重合性組成物の重合は、連続的に実施してよく、その場合、例えば、重合性モノマー、連続相、無機乳化剤、並びに任意で更にバッファ及び触媒等を、得られるエマルション又は懸濁液を連続的に除去しながら最適な圧力及び温度条件下で撹拌反応器に連続的に供給する。代替技術は、成分を攪拌反応器に供給し、それらを設定温度で一定時間反応させるか、又は成分を反応器内に充填し、所望量のポリマーが形成されるまで一定圧力を維持するように、モノマーを反応器に供給することによるバッチ又は半バッチ(半連続的)重合である。重合は、ガス状フッ素化モノマーの乳化重合のために使用される標準容器又は従来型容器内で実施することができる。
【0064】
重合温度は、10℃、20℃、30℃、又は更には50℃から100℃、150℃、175℃、又は更には200℃の範囲であってよい。重合圧力は、1バール(0.1MPa)、2バール(0.2MPa)、3バール(0.3MPa)、4バール(0.4MPa)、5バール(0.5MPa)、8バール(0.8MPa)、又は更には10バール(1MPa)から20バール(2MPa)、25バール(2.5MPa)、30バール(3MPa)、35バール(3.5MPa)、又は更には40バール(4MPa)の範囲であってよい。1つの実施形態では、重合圧力は、超臨界連続相重合の場合等、40バール(4MPa)超であってよい。
【0065】
ポリマー粒子を含む分散液は、本開示の重合性組成物を重合させることにより得ることができる。分散液は、選択される条件及び反応物質に応じて懸濁重合又はエマルション重合であってよい。
【0066】
得られる重合組成物は、当該技術分野において公知の通り凝固及び乾燥させてよい。得られるポリマーは、選択されるモノマーに応じて、半結晶又は非晶質であってよい。
【0067】
分散液中の得られるポリマー粒子は、少なくとも20、30、40、50、75、100、125、150、200又は更には250nm;最大60、100、200、250、300、350、400、500、1000、3000、5000又は更には10000nm(体積平均)の平均粒径を有する。一般的に、重合後、粒子は球形であるが、ロッド形状の粒子が存在する場合もある及び/又は球形粒子との混合物中に存在する場合もある。分散液の粒径は、例えば、DIN ISO 13321 1996(E)に従って、非弾性光散乱(例えば、Malvern 100 HAS Zetasizerを用いて)を含む当該技術分野において公知の方法により測定することができる。
【0068】
本開示では、無機ナノ粒子は、ポリマー粒子と可逆的に結合する(換言すれば、これらは共有結合しない)。したがって、1つの実施形態では、無機ナノ粒子をポリマー粒子から除去してもよい。
【0069】
得られるポリマー分散液は、分散液が典型的に用いられるか又はポリマー分散液である任意の用途で用いることができる。ポリマー粒子は、当該技術分野において公知の方法により回収し(例えば、乾燥等)、更に加工(例えば、非晶質ポリマー粒子の硬化)して、物品を形成することができる。
【0070】
1つの実施形態では、本開示の得られるポリマーをコーティングし(例えば、ロールコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、押出成形、ダイコーティング等の当該技術分野において公知の様々な従来のコーティング技術により)、シート又はフィルムに形成するか(印刷可能フィルム等)又は部品(ホース、o−リング、又はガスケット)に成形してもよい。
【0071】
1つの実施形態では、本開示の得られるポリマーは、コーティング、フィルム、部品、接着剤、又は感圧性接着剤として用いることができる。
【0072】
1つの実施形態では、本開示の得られるポリマーは、他の材料とブレンドしてもよい。例えば、得られるポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂)を別のポリマー(例えば、アクリレート溶液ポリマー)とブレンドして、ブレンドを形成し、次いで、これをコーティング、フィルム又はシート、又は成形部品等の物品に更に加工してもよい。
【実施例】
【0073】
本開示の利点及び実施形態を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。これらの実施例では、全ての比率、割合及び比は、特に断らないかぎり重量に基づいたものである。
これら以下の略語を実施例で用いる:nm=ナノメートル、soln.=溶液、g=グラム、mL=ミリリットル、mg=ミリグラム、及びL=リットル。
【0074】
方法
MFI:g/10分で報告されるメルトフローインデックス(MFI)は、ASTM D−1238に従って、5.0kgの支持重量で測定された。特に記載のない限り、265℃の温度を適用し、2.1mmの直径及び8.0mmの長さの標準化された押出成形型を使用した。
融点:窒素流量下及び10℃/分の加熱速度で、Perkin−Elmer DSC 7.0(PerkinElmer,Wellesley,MA)を用いて、ASTM 4591に従ってフッ素樹脂の融解ピークを測定した。示された融点は、溶融ピーク極大に合致している。
粒径:特に明記しない限り、ラテックス粒径の決定は、ISO/DIS 13321に従って、Malvern Zetasizer 1000 HSA(Malvern Instruments Inc.,Southborough,MA)を使用し、動的光散乱により実施した。報告された平均粒度は、Z−平均である。測定前に、重合から得られたポリマーラテックスを0.001mol/L KCl溶液で希釈し、測定温度は、すべての場合において20℃であった。
【0075】
材料
材料はいずれも、例えばSigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から市販されているものか、あるいは特に断らない又は明らかでない限り、当業者に公知のものである。
ナノ粒子1
シリカナノ粒子(粒径5nm及び固形分16.19%、Nalco Company,Naperville,ILから商品名「NALCO 2326」として入手した)を、メトキシ化エチレングリコールで以下の通り表面修飾した。
2−メトキシエタノールトリメトキシシランカップリング剤の合成:75gの2−メトキシエタノール(Alfa Aesar,Ward Hill,MAから入手した)、246.2gのイソシアナトトリメトキシシラン(Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手した)、及び4滴のジブチルジラウリルスズを合わせ、一晩撹拌した。ナノ粒子の表面修飾において、生成物を以下の通り使用した。
1000gのシリカナノ粒子、91.56gの2−メトキシエタノールトリメトキシシランカップリング剤、及び300gのメタノール(VWR,Westchester,PAから入手した)を、還流冷却器及び機械的撹拌機を備える2Lの3つ口丸底フラスコ内で合わせた。反応は、撹拌しながら80℃で実施した。400gの水を添加した。ロータリーエバポレータを介してメタノールを除去した。得られたゾルは、固形分15.24重量%であり、それ以上精製することなく用いた。
ナノ粒子2
NALCO 2326シリカナノ粒子(粒径5nm、固形分16.16%)をNalco Company,Naperville,ILから入手した。
ナノ粒子3
NALCO 2326シリカナノ粒子(粒径5nm、固形分16.19%)を以下の通り表面修飾した。
500gのシリカナノ粒子を、145.6gのN−トリメチルシリルプロピル−エチレンジアミン、三酢酸三ナトリウム塩(水中固形分45%、Gelest,Inc.,Morrisville,PAから入手した)と、還流冷却器及び機械的撹拌機を備える1Lの3つ口フラスコ内で合わせた。反応混合物を80℃で一晩撹拌した。得られたゾルは、固形分21.47%であり、それ以上精製することなく用いた。
非フッ素化ポリマーを重合させるための一般的な反応方法の出典は、Sorenson,W.R.,et al,Preparative Methods of Polymer Chemistry,Third Ed.John Wiley and Sons,Inc.New York,2001,p.250 & 273であった。
【0076】
比較例A
有機乳化剤を用いたスチレンの懸濁重合:水(125g)、n−ドデシル硫酸ナトリウム(0.025g、Bethesda Research Lab,Gaithersburg,MD)、ポリアクリル酸ナトリウム(0.375g、25.25%水溶液、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)、硫酸ナトリウム(1.25g、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)、スチレン(37.5g、Alfa Aesar,Wardhill,MAから入手した)、ステアリン酸(0.375g、EMD Chemicals,Gibbstown,NJから入手した)、過酸化ベンゾイル(0.175g、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WI)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(1.66g、商品名「METHOCEL J5M S」として販売されている、Dow Chemical Co.,Midland,MIから入手した)を全て、オーバーヘッドスターラー、N
2口、及び冷却器を備える500mLの3つ口フラスコに添加した。次いで、窒素とともに撹拌しながら1時間溶液を脱気した後、油浴中に入れ、80℃で一晩撹拌した。
【0077】
(
参考例1)
無機乳化剤を用いたスチレンの懸濁重合:水(125g)、ナノ粒子1(0.219g、11.4%溶液)、ポリアクリル酸ナトリウム(1.49g、25.25%水溶液)、硫酸ナトリウム(1.25g)、スチレン(37.5g)、過酸化ベンゾイル(0.175g)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(1.66g)を全て、オーバーヘッドスターラー、N
2口、及び冷却器を備える500mLの3つ口フラスコに添加した。次いで、窒素とともに撹拌しながら1時間溶液を脱気した後、油浴中に入れ、80℃で一晩撹拌した。この場合、比較例Aと視覚的に比較したとき、生成物に顕著な変化はみられなかった。
【0078】
比較例B
有機乳化剤を用いたスチレンの乳化重合:水(100g)、リン酸一水素ナトリウム(0.05g、MP Biomedicals,Aurora,OH)、n−ドデシル硫酸ナトリウム(1.0g、Bethesda Research Lab,Gaithersburg,MD)、及び過硫酸カリウム(0.05g)を茶色のジャー(±250mLの狭口)に添加し、全てが溶解するまで水を通して窒素を吹き込んだ。次いで、スチレン(50g)を添加し、混合物を脱気し、瓶に蓋をし、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)−シールテープ及び絶縁テープで封止した。次いで、瓶を70℃のオーブンに入れた。約10分毎に振盪させながら、70℃で2時間反応を保持した。次いで、連続振盪させながら、2時間かけて温度を95℃に上昇させた。
【0079】
比較例C
乳化剤を用いないスチレンの懸濁重合:水(100g)、リン酸一水素ナトリウム(0.05g、MP Biomedicals,Aurora,OH)、及び過硫酸カリウム(0.05g、Aldrich,Milwaukee,WI)を茶色のジャー(±250mLの狭口)に添加し、全てが溶解するまで水を通して窒素を吹き込んだ。次いで、スチレン(50g、Aldrich,Milwaukee,WI)を添加し、混合物を脱気し、瓶に蓋をし、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)−シールテープ及び絶縁テープで封止した。次いで、瓶を70℃のオーブンに入れた。約10分毎に振盪させながら、70℃で2時間反応を保持した。次いで、連続振盪させながら、2時間かけて温度を95℃に上昇させた。メタノールに入れたとき、乳状の二相溶液から多少の直鎖ポリマーが得られたが、ポリマー粒子は識別できなかった。
【0080】
(実施例2)
無機乳化剤を用いたスチレンの乳化重合:水(100g)、リン酸一水素ナトリウム(0.05g、MP Biomedicals,Aurora,OH)、ナノ粒子1(8.77g、11.4%溶液)、及び過硫酸カリウム(0.05g)を茶色のジャー(±250mLの狭口)に添加し、全てが溶解するまで水を通して窒素を吹き込んだ。次いで、スチレン(50g)を添加し、混合物を脱気し、瓶に蓋をし、PTFE−シールテープ及び絶縁テープで封止した。次いで、瓶を70℃のオーブンに入れた。約10分毎に振盪させながら、70℃で2時間反応を保持した。次いで、連続振盪させながら2時間かけて温度を95℃に上昇させた。この場合、比較例Bと視覚的に比較しとき、生成物に顕著な変化はみられなかった。
【0081】
(実施例3)
無機乳化剤を用いたスチレンの乳化重合:水(100g)、リン酸一水素ナトリウム(0.05g、MP Biomedicals,Aurora,OH)、ナノ粒子2(5.83g、17.15%溶液)、及び過硫酸カリウム(0.05g、Aldrich,Milwaukee,WI)を茶色のジャー(±250mLの狭口)に添加し、全てが溶解するまで水を通して窒素を吹き込んだ。次いで、スチレン(50g)を添加し、混合物を脱気し、瓶に蓋をし、PTFE−シールテープ及び絶縁テープで封止した。次いで、瓶を70℃のオーブンに入れた。約10分毎に振盪させながら、70℃で2時間反応を保持した。次いで、連続振盪させながら、2時間かけて温度を95℃に上昇させた。この場合、比較例Bと視覚的に比較したとき、生成物に顕著な変化はみられなかった。
【0082】
比較例D
有機乳化剤を用いたメチルメタクリレートの重合:用いた装置は、オーバーヘッドスターラー、窒素の出口として機能するゴムの隔膜及び針を備える冷却器、窒素の入口として機能する針を備える小さな継手上のゴムの隔膜、及び内部温度を読み取るためのJ−KEM温調器を備える500mLの樹脂製ケトルであった。
メチルメタクリレート(500g、Alfa,Wardhill,MA)、水性ポリ(アクリル酸)(10g、5%溶液、Aldrich,Milwaukee,WI)、リン酸一水素二ナトリウム(5.0g、MP Biomedicals,Aurora,OH)、水(100mL)、及びAIBN(0.624g、Aldrich,Milwaukee,WI)を全て前記装置に添加し、25分間溶液を窒素で脱気しながら撹拌した。次いで、油浴を作動させ、反応混合物を還流させるために(81.4℃で始まる)、105℃に設定した。温度が1時間以上一定(84.0℃)保たれたら反応を停止させた。
【0083】
(実施例4)
表面修飾無機を用いたメチルメタクリレートの重合:用いた装置は、オーバーヘッドスターラー、窒素の出口として機能するゴムの隔膜及び針を備える冷却器、窒素の入口として機能する針を備える小さな継手上のゴムの隔膜、及び内部温度を読み取るためのJ−KEM温調器を備える500mLの樹脂製ケトルであった。
メチルメタクリレート(500g、Alfa,Wardhill,MA)、ナノ粒子1(4.39g、11.4%溶液)、リン酸一水素二ナトリウム(5.0g、MP Biomedicals,Aurora,OH)、水(100mL)、及びAIBN(0.624g、Aldrich,Milwaukee,WI)を全て前記装置に添加し、25分間溶液を窒素で脱気しながら撹拌した。
次いで、油浴を作動させ、反応混合物を還流させるために(81.4℃で始まる)、105℃に設定した。温度が1時間以上一定(83.8℃)保たれたら反応を停止させた。この場合、比較例Dと視覚的に比較したとき、生成物に顕著な変化はみられなかった。
【0084】
(実施例5)
無機乳化剤を用いたメチルメタクリレートの重合:用いた装置は、オーバーヘッドスターラー、窒素の出口として機能するゴムの隔膜及び針を備える冷却器、窒素の入口として機能する針を備える小さな継手上のゴムの隔膜、及び内部温度を読み取るためのJ−KEM温調器を備える500mLの樹脂製ケトルであった。
メチルメタクリレート(500g、Alfa,Wardhill,MA)、ナノ粒子2(2.85g、17.5%溶液)、リン酸一水素二ナトリウム(5.0g、MP Biomedicals,Aurora,OH)、水(100mL)、及びAIBN(0.624g、Aldrich,Milwaukee,WI)を全て前記装置に添加し、25分間溶液を窒素で脱気しながら撹拌した。
次いで、油浴を作動させ、反応混合物を還流させるために(81.4℃で始まる)、105℃に設定した。温度が1時間以上一定(対照のため73.6℃)保たれたら反応を停止させた。この重合における粒径は、比較例Dよりも著しく小さかった。
【0085】
(
参考例6)
無機乳化剤を用いた乳化重合:360gの脱イオン水、17.6gのアクリル酸、27.8gのナノ粒子2(27.8g)、及びリン酸二ナトリウム一水和物(7.0g)を合わせることにより水相を調製した。アクリル酸イソオクチル(405g、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)、スチレン(4.4g)、メチルメタクリレート(13.2g)、及び四臭化炭素(0.184g、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)で構成されるモノマー相を別のジャーで調製し、二相を2Lのフラスコに注いだ。フラスコに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの固体(4.4g)を添加した。溶液を33℃に加熱し、400rpmの撹拌速度で窒素を用いて脱気した。フラスコに、硫酸第一鉄(2.6mg、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)、過硫酸カリウム(882mg、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)、及びメタ重亜硫酸ナトリウム(220mg、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)を添加した。75分間かけて温度を徐々に60℃まで上昇させた(〜5℃)。反応により発熱が生じ、85℃のピーク温度に達した後、80℃で1時間硬化させた。混合物を冷却し、排出して、固形分55.5%のエマルション接着剤を得た。粒径分析器(商品名「COULTER N4M」(Beckman Coulter,Inc.,Brea,CAから入手した)として販売)を用いて粒径を測定したところ、平均直径は1000nmであった。
【0086】
(実施例7)
無機乳化剤を用いた懸濁重合:2Lのフラスコに、脱イオン水(691g)、酢酸ビニル(259g、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,WIから入手した)、リン酸二ナトリウム一水和物(2.98g)、及びナノ粒子2(16.39g)を添加した。混合物を350rpmで撹拌し、VAZO 52(2.59g、DuPont,Wilmington DEから入手した)を添加した。内容物を30分間撹拌し、次いで、窒素でパージしながら40℃に加熱した。40℃で90分間後、温度を50℃に上昇させ、3.5時間保持した。フラスコの内容物をブフナー漏斗で濾過し、脱イオン水で洗浄し、直径70〜250マイクロメートルの酢酸ビニルビーズを得た。
【0087】
(実施例8)
表面修飾無機乳化剤を用いたフッ素化ターポリマーの重合:240rpmで動作する撹拌機を備える50リットルの体積のステンレススチール反応器に29リットルの脱イオン水を充填した。水に、2.0gのナノ粒子1、0.0365g CuSO
4*5H
2Oの7.5g NH
4OH溶液(25%)、及び200gのNaOH(10%)を添加した。系を脱気した後、反応器を70℃に加熱し、0.47バール(0.047MPa)に達するまでエタンを導入し、次いで、更に2バール(0.20MPa)のTFE(テトラフルオロエチレン)、更に6.4バール(0.64MPa)のHFP(ヘキサフルオロプロピレン)、及び5.2バール(0.52MPa)のVDF(フッ化ビニリデン)を導入した。200mLの脱イオン水に溶解している36.0gの重合反応開始剤ペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)、及び100mLの脱イオン水中6.0gのNa
2S
2O
5を添加することにより重合を開始させた。TFE及び更なるHFP及びVDFを1:0.455:0.855の比で供給することにより圧力を一定に保った。TFEの総量が3.5kgに達したら、モノマーの供給を終了し、反応器を通気することにより重合を停止させた。固形分21.9%の分散液を排出した。ポリマーは以下の特徴を有していた:粒径=364nm、融点=107℃、及びMFI(265℃/5kg/2,095mm)=6.7g/10分(下記方法を用いる)。
【0088】
(実施例9)
表面修飾無機乳化剤を用いたフッ素化ターポリマーの重合:240rpmで動作する撹拌機を備える50リットルの体積のステンレススチール反応器に29リットルの脱イオン水を充填した。水に、2.0gのナノ粒子3、0.0365g CuSO
4*5H
2Oの7.5g NH
4OH溶液(25%)、及び200gのNaOH(10%)を添加した。系を脱気した後、反応器を70℃に加熱し、0.47バール(0.047MPa)に達するまでエタンを導入し、次いで、更に2バール(0.20MPa)のTFE、更に6.4バール(0.064MPa)のHFP、及び5.2バール(0.052MPa)のVDFを導入した。200mLのDI水に溶解している36.0gの重合反応開始剤ペルオキソ二硫酸アンモニウム、及び100mLのDI水中6.0gのNa
2S
2O
5を添加することにより重合を開始させた。TFE及び更なるHFP及びVDFを1:0.455:0.855の比で供給することにより圧力を一定に保った。TFEの総量が3.5kgに達したら、モノマーの供給を終了し、反応器を通気することにより重合を停止させた。固形分21.7%の分散液を排出した。ポリマーは以下の特徴を有していた:粒径=260nm、融点=106℃、及びMFI(265℃/5kg/2,095mm)=2.8g/10分(下記方法を用いる)。
【0089】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本発明に予測可能な改変及び変更を行いうることは当業者には明らかであろう。本発明は、説明を目的として本出願に記載される各実施形態に限定されるべきものではない。