(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のマッチングブロックにおいては、円柱状の容器の中に液体の状態の樹脂を充填するため、その界面張力によって樹脂容器と液との接触部分が盛り上がり、その表面がなだらかな凹状の曲面(メニスカス)となってしまう。この場合、LC(IEC 61754‐20)やMU(JIS C 5983(F14)/IEC 61754‐6)コネクタ等のように接続端部のフェルール端面が凸状湾曲しているものとの接触においては問題が発生しにくい。しかし、MTコネクタ(JIS C 5981(F12)/IEC 61754−5)や、MPOコネクタ(JIS C5982(F13)/IEC61754−7)等のように接続端面が平面の場合には、マッチングブロックの表面が曲面状であるとコネクタ端面とマッチングブロックの接触界面の一部に空気層ができ、接続損失が発生してしまう。特に多心タイプのコネクタを使用する場合には、マッチングブロックと確実に接触させることは困難である。そして、計測の都度、接続端面をマッチングブロックのコネクタ接触端面に押付ける必要があり、押付け方によって各心線の光減衰量測定値に差がでる可能性がある。また、上記マッチングブロックや屈折率整合粘着剤、接着剤等に黒色顔料等の光学吸収特性を有する材料を添加させて、吸収層としてコネクタ端面と直接接触させて使用した場合は、そのファイバとの屈折率差や、高分子フィラーの介在で戻り光が起きる可能性があり、高い光終端特性や、光学反射安定性は得られない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するため、接触端面が平面のコネクタであっても、接続損失が少ない光終端材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題の下、鋭意研究の結果、表面が平面となるフィルム形状とすることによって、平面の端面を有するコネクタとの接続損失を低減させることができることに着目し、更に、フィルムの構成を光拡散層と、光吸収層の二層の構成を有することによって高い光減衰量を実現することができることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明(1)は、屈折率1.35〜1.55の樹脂を含み、最表層に位置し、その表面が平面に形成されたコネクタ押当面を有する、光を拡散させるための光拡散層と、
屈折率1.35〜1.55の樹脂と、光を吸収するための着色料とを含む、光吸収層と、
を有し、前記光拡散層を形成する樹脂の屈折率と、前記光吸収層の樹脂の屈折率の差が、±0.1の範囲内である、光終端フィルムである。
【0009】
本発明(2)は、前記光拡散層の厚みが、10μm以上である、前記発明(1)の光終端フィルムである。
【0010】
本発明(3)は、前記光吸収層の光透過率が、10%以下である、前記発明(1)又は(2)の光終端フィルムである。
【0011】
本発明(4)は、前記光吸収層の着色料の含有量が、0.1〜10重量%である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの光終端フィルムである。
【0012】
本発明(5)は、前記光拡散層が、1〜100gf/25mmの弱粘着性を有する、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの光終端フィルムである。
【0013】
本発明(6)は、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つの光終端フィルムからなる、反射測定用マッチングフィルムである。
【0014】
本発明(7)は、光を拡散させるための光拡散層(例えば、光拡散層11)と、光を吸収するための光吸収層(例えば、光吸収層13)とを有する、光終端フィルム(例えば、光終端フィルム1)と、
前記光終端フィルムが表面に取り付けられたベース基板(例えば、ベース基板2)と、
前記光終端フィルムと光コネクタとを当接するためのコネクタガイド(例えば、コネクタガイド3)と、を有する反射測定用治具である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接触端面が平面のコネクタとの接続損失が少なく、更に、高い光減衰量が得られる光終端材料となる。またコネクタとフィルムを接触させて光拡散層から光を入射させることによって光拡散層中で光が拡散される。拡散された光は、光吸収層へと入射して吸収される。更に、光拡散層と光吸収層の屈折率の差を±0.1の範囲内とすることでこれらの層の界面における反射が少なくなり、戻り光を防止することができる。このように光拡散層と光吸収層とを組み合わせて使用すること、更には、これらの層の屈折率を整合させることによって、フィルム形状のように長い拡散光路を確保できないような形状であっても高い反射減衰量が得られる。尚、本発明に係る光終端フィルムは、シングルモード及びマルチモードの光伝送媒体いずれにも適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の光終端フィルムの概略構成図を示す。本発明の光終端フィルム1は、光を拡散させるための光拡散層11と、光を吸収するための光吸収層13とを有する。このように本発明に係る光終端フィルムは、光拡散層と、光吸収層との二層の組合せに係る構成を有することによって、高い反射減衰量を示す光終端フィルムが得られる。本発明の光終端フィルムは、反射減衰測定において用いられる反射測定用マッチングフィルムとして使用することができる。
【0018】
(光拡散層)
光拡散層11は、透明性の樹脂からなり、光コネクタと当接して使用されて当該層内に光を取り込み拡散させる役割を有する。当該光拡散層11は、本発明の光終端フィルム中、最表層に位置し、その表面が平面に形成された光コネクタ押当面111を有する。当該押当面は、平面に形成されていることによって、コネクタ端面が平面であるものを用いた場合であっても接続損失が少なくなる。
【0019】
光拡散層は、屈折率1.35〜1.55の樹脂からなる。当該屈折率は、1.40〜1.50がより好適である。屈折率は、光ファイバのコアとの屈折率の整合性を有していることが好適である。屈折率は樹脂の配合等、周知技術に基づいて調節可能である。屈折率は、JIS K 7142に準じて測定する。
【0020】
ここで、樹脂は、高分子材料、例えばアクリル系、エポキシ系、ビニル系、シリコーン系、ゴム系、ウレタン系、メタクリル系、ナイロン系、ビスフェノール系、ジオール系、ポリイミド系、フッ素化エポキシ系、フッ素化アクリル系等のポリマーを含む。また必要に応じてこれらを混合したり、フッ素樹脂や硬化剤を加えたりして用いることができる。これらの樹脂の中でも、アクリル系ポリマーとシリコーン系ポリマーが特に好ましく使用される。
【0021】
尚、使用される樹脂は、粘着性を有することが好適である。その際、粘着力は1〜100gf/25mmが好適であり、5〜50gf/25mmがより好適であり、10〜30gf/25mmが更に好適である。このような範囲の粘着力を有することによって、光コネクタとの接続が安定し、剥離が容易になる。そして、粘着力は、粘着剤と硬化剤の組み合わせや配合量等によって適宜調節することができる。なお、上記の粘着力は、JIS Z 0237の180度引きはがし粘着力に準拠して測定した値である。
【0022】
また、光拡散層には、戻り光の要因とならなければ公知の光拡散剤を添加することができ、例えば、アクリル樹脂フィラー、シリカフィラーなどの透光性微粒子を含有させてもよい。
【0023】
光拡散層の厚みは、10μm以上が好適であり、50μm以上がより好適であり、100μm以上が更に好適である。10μm以上であれば、本発明の光拡散層において光を拡散するのに十分な光路を確保することができる。また、光拡散層の厚みを増すことによって、反射減衰量が増加するため、当該厚さを適宜変更することができる。特に700μm以上であることによって、光拡散の効果を最大限に発揮することができるため、特に高い反射減衰量を示すフィルムが得られる。また厚みが増すと構造上安定するために、反射減衰量のばらつきが小さくなる。上限は特に限定されないが、光拡散による反射減衰量が飽和するため、製造コストの観点から例えば750μmが挙げられる。
【0024】
(光吸収層)
光吸収層13は、光拡散層に入射されて拡散された光を吸収する。光吸収層13は、当該光拡散層11と隣接して設けられることが好適である。光吸収層は、樹脂と光を吸収する着色料とを含む。すなわち、光拡散層を通過した光が光吸収層に入射して、着色した物質によって光を吸収する。
【0025】
光吸収層は、屈折率1.35〜1.55の樹脂からなる。当該屈折率は、1.40〜1.50がより好適である。光吸収層の屈折率は、光拡散層の樹脂との屈折率の整合性を有していることが好適であり、光拡散層を形成する樹脂の屈折率と、光吸収層の樹脂の屈折率の差が、±0.1の範囲内であることが好適であり、±0.05の範囲内であることがより好適である。このようにして、光拡散層と光吸収層の界面における樹脂の屈折率を整合させることで、これらの界面での反射を防ぐことができるため、高い光減衰量を得ることができる。光吸収層の屈折率もJIS K 7142に準じて測定し、光吸収層の着色料を含まない樹脂で測定を行う。
【0026】
光吸収層の樹脂は、光拡散層の樹脂として例示したものが使用できるが、光拡散層で用いた樹脂と同一の樹脂を選択することが、光減衰量を高める観点から好適である。
【0027】
光吸収層の光透過率は、10%以下であることが好適であり、より好適には5%以下であり、更に好適には2%以下である。光透過率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1%である。このような範囲の透過率とすることによって、高い反射減衰量を得ることができる。なお、光透過率の範囲は、着色料の種類、含有量や、光吸収層の厚み等の選択によって調整可能である。光透過率は、1310nmの光の透過率を意味し、詳細は実施例に示す。
【0028】
着色料は、光ファイバから通過する光を吸収可能であれば特に限定されず、顔料であっても染料であってもよい。着色料としては、光の吸収のし易さを考慮すると黒色の着色料であることが好適である。より具体的に着色料としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルーが挙げられる。
【0029】
着色料の含有量は、特に限定されないが、光吸収層の樹脂に対して、0.1〜10重量%が好適であり、0.1〜5重量%がより好適である。
【0030】
光吸収層の厚みは、着色料の含有量等の光吸収性能や、光終端フィルムの取扱のし易さに応じて、適宜変更することが可能であるが、例えば、10μm以上が好適であり、50μm以上がより好適であり、100μm以上が更に好適である。特に200μm以上であることによって、光吸収効果を最大限に発揮することができるため、特に高い反射減衰量を示すフィルムが得られる。上限は特に限定されないが、光吸収による反射減衰量が飽和するため、製造コストの観点から例えば、300μmが挙げられる。
【0031】
本発明の光終端フィルムは、公知の方法により製造することができるが、例えば、光吸収層を形成した後に、当該層の上に光吸収層を形成する塗料を塗布して形成することができる。
【0032】
本発明の光終端フィルムの最小反射減衰量は、シングルモードで波長1310nmのときに40dB以上が好適であり、50dB以上がより好適である。上限は特に限定されないが例えば、65dBである。反射減衰量は、光吸収層の透過率と、光拡散層と光吸収層の厚み比を変更することによって調整可能である。ここで、最小反射減衰量は、反射減衰量測定装置(JDSUniphase製 リフレクションメータ RM3750+1FA7)により複数回測定した値のうち最も低い値を意味する。
【0033】
本発明の光終端フィルムの総厚は、特に限定されないが、20〜1500μmが好適であり、200〜1000μmがより好適であり、300〜700μmが更に好適である。当該範囲の厚みとすることにより、フィルムとして取扱がし易くなる。
【0034】
本発明の光終端フィルムは、そのまま光コネクタの端面と当接して使用してもよいが、反射測定用治具を用いて光コネクタとの当接をし易くすることが好適である。
図2は、反射測定用治具の概略構成図である。
図3は、反射測定用治具の分解図である。反射測定治具は、本発明に係る光終端フィルム1と、当該光終端フィルムが表面に取り付けられたベース基板2と、前記光終端フィルムと光コネクタとを当接するためのコネクタガイド板3と、を有する。
【0035】
図3に示すように、ベース基板2の上面に光終端フィルム1が配される。当該フィルムは、光拡散層11が上面、光吸収層13が下面になるようにして、当該基板上に接着剤を介して貼り付けられる。光終端フィルムは、複数設けられていてもよい。
【0036】
コネクタガイド板3は、ベース基板2の上に設けた光終端フィルム1が収まり、光コネクタの少なくとも一辺と合致する幅を有するガイド孔31を有している。ここで、光コネクタとしては、MTコネクタ(JIS C 5981/IEC 61754−5)や、MPOコネクタ(JIS C5982/IEC61754−7)等の端面が平面である多心コネクタが挙げられる。
【0037】
ベース基板2と、コネクタガイド板3を張り合わせて、コネクタガイド板3のガイド孔31内で、光終端フィルム1とベース基板2とを張り合わせて、反射測定用治具が構成される。ガイド孔31は、ベース基板上に設けるフィルム1の枚数に対応する数が設けられる。
【0038】
反射測定用治具のガイド孔から、光コネクタをフィルム1に押し当てて、反射減衰量を測定することができる。この際、ガイド孔を介して押し当てることによって、光コネクタとフィルムが光学的に良好に接続された状態となり、高い光減衰量を得ることができる。
【実施例】
【0039】
<参考例1〜20>
光終端フィルムを作成した。
光拡散層の樹脂として、以下の材料Xを用意した(屈折率は、JIS K 7142に準じて、アッベ屈折率計2T型(株式会社アタゴ製)にて測定した値である(以下、その他の屈折率も同様の測定方法)。)。
【0040】
材料X:
アクリル系粘着剤α(100重量部)+エポキシ系硬化剤(4重量部)、粘着力30gf/25mm、20℃での屈折率1.468
【0041】
また、光吸収層として以下の黒色のPETフィルムを用いた。
【0042】
黒色PETフィルム:
PET樹脂基材からなる遮光性の光学用検査フィルム、PET樹脂の20℃での屈折率1.58
【0043】
厚さ50μmの上記黒色PETフィルムを敷き、その上に材料Xを塗布して、表1記載の50μmの厚みの光拡散層を積層して光終端フィルムを作成した。
【0044】
<実施例1>
材料Xから構成される1000μmの光拡散層に対して、黒色顔料を混合した材料Xから構成される100μmの光吸収層を積層して光終端フィルムを作成した。
【0045】
(反射減衰量の測定方法)
光反射測定には、12心石英系シングルモードの光ファイバテープ心線(住友電工社製、外径0.25mmφ、20℃での屈折率1.452)に片端ファンアウト配線にして8本のSCコネクタを取付、他端にMTコネクタ加工を施したものを用いた。SCコネクタ側は反射減衰量測定装置(JDSUniphase製 リフレクションメータ RM3750+1FA7)に接続し、MTコネクタを上記の光終端フィルムに押し当てて、シングルモードの波長1310nmにて反射減衰量を測定した。なお、以下測定数値は12心各数値が同等であったため、代表値として6番心線の数値を記載することとする。
【0046】
反射減衰量の測定結果を表1に示す。また、光拡散層の厚みと反射減衰量の関係をプロットして
図4に示す。これらの結果より、光拡散層の厚さが増すと、反射減衰量が高くなる傾向にあることがわかった。但し、光拡散層の厚さが700μm以上となると最大反射減衰量は、ほとんど上昇しなかった。尚、700μm以上であっても、厚みが増すことによって、最小反射減衰量は徐々に高い値を示すことがわかったが、厚さ1000μmでも最低値42.2dBとなり、当該最低値が50dBには到達しないことがわかった。実施例1において、光拡散層の樹脂と同組成の樹脂に黒色顔料を添加した光吸収層を設けることによって、最小反射減衰量が52.2dBを示し、上記の参考例よりもはるかに高い値を示した。
【0047】
【表1】
【0048】
(参考例21〜29)
光吸収層のみを有する光終端フィルムを作成した。
厚さ50μmの上記PETフィルムを敷き、光吸収層の樹脂として、上記参考例1〜参考例20において使用した材料Xに、黒色顔料(カーボンブラック)を0.39重量%添加した材料Yを塗布して、表2記載のフィルム厚の光吸収層を積層して光終端フィルムを作成した(材料Xと、材料Yの樹脂の屈折率は同じ値)。
【0049】
上記と同様に反射減衰量を測定した結果を表2に示した。光吸収層の厚みと、反射減衰量の関係をプロットして
図5に示した。これらの結果より、光吸収層の厚さが増すと、反射減衰量が高くなる傾向にあることがわかった。但し、光拡散層の厚さが200μm以上となると最大反射減衰量及び最小反射減衰量の上昇率は鈍化した(プロット「黒色」)。なお、上記参考例1〜20のうち500μmまでのプロットを「透明」として示し、後述の実施例3〜8までのプロットを「黒300+透明」として示した。
【0050】
【表2】
【0051】
(実施例2、参考例30)
光拡散層として上記材料Xを用い、光吸収層として上記材料Y(材料X+黒色顔料)を用いて、表3に係る膜厚の光終端フィルムを作成した(実施例2)。なお、比較として材料Yのみで光終端フィルムを作成した(参考例30)。
【0052】
これらの光終端フィルムについて反射減衰量を測定し、結果を表3に示した。当該結果より、同じフィルム厚において、光拡散層と、光吸収層を組み合わせることによって、高い反射減衰量が得られることがわかった(特に最小反射減衰量)。
【0053】
【表3】
【0054】
(実施例3〜10)
各層の厚みを表4に示した厚みに変更した以外は実施例2と同様にして、光終端フィルムを作成した。これらの光終端フィルムについて反射減衰量を測定し、結果を表4に示した。
図6にフィルムの厚みと反射減衰量の関係を示した(実施例3〜8は「黒300+透明」、「透明」は参考例)。当該結果より、光拡散層と、光吸収層を組み合わせにおいて、光拡散層と光吸収層の屈折率を整合させることによって、高い反射減衰量が得られることがわかった。
【0055】
【表4】
【0056】
(参考例31〜49)
光学用途アクリル系粘着剤(製品名:KP−2254B、日本カーバイト社製、屈折率1.48)に、黒色染料(製品名:Black S−BL、住化ケムテックス社製)を、粘着剤固形分100質量部に対し4.5質量部添加し、ディスパー(撹拌機)で20分攪拌することにより黒色粘着剤を作製した。光吸収層を130μmの黒色PET11の上に、前記黒色粘着剤により形成した20μmの粘着層(合計150μmのPETフィルム)とした以外は参考例1と同様の条件で以下の表5に記載の厚みの光拡散層を有する光終端フィルムを作成した。
【0057】
上記と同様に反射減衰量を測定した結果を表5に示した。光拡散層の厚みと、反射減衰量の関係をプロットして
図7に示した。これらの結果より、光拡散層の厚さが増すと、反射減衰量が高くなる傾向にあることがわかった。但し、光拡散層の厚さが500μm以上となると最大反射減衰量及び最小反射減衰量の上昇率は鈍化した。
【0058】
【表5】
【0059】
(参考例50〜57)
表6に示す単層の光終端フィルムを作成した(参考例51〜57)。尚、「透明層」は光拡散層、「黒」は光吸収層、「濃厚」は顔料の含有量を高めた光吸収層、数値は厚さを意味する。これらのフィルムの透過率及び反射減衰量を測定した(表6)。
図8は、透過率と反射減衰量の関係をプロットした図である。透過率は、島津製作所社製UV−3100を用いて表7の条件で、1310nmの光にて測定した。当該実験より、透過率と反射減衰量には関係性があることがわかった。
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
(吸収層の検討:参考例58〜59)
光拡散層としては、材料Xの粘着剤を使用し、光吸収層として、下記の材料を使用して、表8の光終端フィルムを調製し、光減衰量の測定を行った。なお光吸収層の厚みは、拡散層の厚さよりも圧倒的な厚みを有するものを使用した。これらの結果、吸収層に光吸収層と屈折率の整合しない樹脂を用いた場合には、高い反射減衰量が得られないことがわかった。
【0063】
ABS樹脂:ABS樹脂(20℃における屈折率1.51)と、カーボンブラックを混合
SUS:ステンレス
【0064】
【表8】
【0065】
(反復測定試験)
先に示したMTコネクタ(フラット研磨)を用いて、実施例2の光終端フィルム、及び、市販の反射測定用マッチングブロック(三和電気工業社製)で、反射減衰量測定を繰り返し行い反射減衰量の再現性の試験を行なった。12心線のMTコネクタにおける両端及び中間の光ファイバについて反射減衰量を測定して、光終端材料との接触状態を確認した(表9)。結果、市販のマッチングブロックを用いた場合には、測定値にバラツキが現れたが、本発明の光終端フィルムで測定した場合には、バラツキはほとんど現れなかった。
【0066】
【表9】