【文献】
MANURE BASED BIOETHANOL AND BIOGAS CO-PRODUCTION,BALTIC BIOREFINERY SYMPOSIUM,2005年,pp.41-52
【文献】
BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING,2008年,Vol.99 No.3,pp.529-539
【文献】
APPLIED MICROBIOLOGY AND BIOTECHNOLOGY,2005年,Vol.68 No.5,pp.598-606
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
食物ベースの栄養源が穀物、野菜、穀物の残留物、野菜の残留物、肉加工物の残留品、およびこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
食物ベースの栄養源が、小麦、オーツ麦、大麦、大豆、エンドウ豆、豆類、ジャガイモ、トウモロコシ、米ぬか、コーンミール、小麦ふすま、およびこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、およびこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
有機酸がギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、オレイン酸、リノール酸、グリコール酸、乳酸、γ−ヒドロキシ酪酸、およびこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、本発明は、炭水化物含有材料(例えば、バイオマス材料、バイオマス誘導材料またはキチン)、特にセルロース材料およびリグノセルロース材料、ならびに糖化炭水化物含有材料などの炭素含有材料のバイオ加工に関する。本明細書で開示されるバイオ加工技法には、炭水化物含有材料を、炭水化物含有材料またはその糖化誘導体を活用する微生物と組み合わせて、産生物または中間体を産生することが含まれる。この処理は一般に、液状媒体で実行され、一部の実施形態では、発酵を含む。
【0005】
代表的なバイオマス資源には、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンに加えて、タンパク質、
抽出物および鉱物がより少ない量で含まれる。セルロースおよびヘミセルロースのフラクションに含まれる複合炭水化物は発酵性糖に加工することができ、その後、バイオ加工によって、アルコールまたは有機酸などの種々の産生物に変換することができる。得られる産生物は活用する微生物およびバイオ加工が行われる条件に依存する。
【0006】
トウモロコシ、ブドウなどのような従来の発酵原料とは異なり、セルロース材料およびリグノセルロース材料が含有する栄養素は、一般に、比較的低濃度からごくわずかな濃度である。これは、例えば、
古紙および古紙パルプをドロドロにするなどにより、加工した原料に特に当てはまる。結果として、このような原料を使用すると、発酵は一般に(起きるとしても)ゆっくりと進行し、高濃度のエタノールを得るのは困難になる可能性がある。市販のペプトンまたは酵母窒素原礎培地などの市販の栄養素パッケージを発酵培地に添加することができるが、このような材料は一般に高価であり、大規模な発酵工程の経済的な実行可能性に影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、バイオ加工培地に特定の栄養素を添加して、微生物に供給することにより、バイオ加工の有効性の大幅な向上およびコストの大幅な低減が可能になることを発見するに至った。栄養物には、食物産生物、例えば、穀物または野菜;米ぬかなどの農作物の残留物、または例えば、ストック、レンダリング、ブイヨンまたは牛肉、鶏肉、豚肉などの抽出物などの肉製品の残留物;またはこれらの混合物が含まれる。これらは本明細書中では、「食物
ベースの栄養源」と総称する。食物
ベースの栄養源を使用しているため、栄養物を比較的低コストで発酵工程に供給することができ、この工程で産生される産生物の全体のコストを低減できる。食物
ベースの栄養源は、糖の含有量が低いこともあり得る。これはその材料が主にまたはもっぱら栄養源として使われ、発酵原料として使われていないためである。したがって、糖源としては価値のない材料を使用することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、食物
ベースの栄養源は栄養パッケージの一部として送達され、このパッケージは1つまたは複数の追加栄養素を含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、栄養パッケージは窒素源、例えば、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、およびこれらの混合物をさらに含む。
【0009】
1つの態様では、本発明は、セルロース材料もしくはリグノセルロース材料および/または糖化セルロース材料もしくは糖化リグノセルロース材料などの、炭素含有材料を含む原料を、微生物および食物
ベースの栄養源と組み合わせて、混合物を形成し、微生物が原料を活用して、産生物または中間体を産生することを含む方法を特徴とする。
【0010】
いくつかの実施形態は、以下の特徴を1つまたは複数含む。場合によっては、食物
ベースの栄養源は、穀物、野菜、穀物の残留物、野菜の残留物、肉の残留物(例えば、ストック、抽出物、ブイヨン、レンダリング)またはこれらの混合物から成る群から選択される。例えば、栄養源は小麦、オーツ麦、大麦、大豆、エンドウ豆、豆類、ジャガイモ、トウモロコシ、米ぬか、コーンミール、小麦ふすま、肉加工の残留物およびこれらの混合物から成る群から選択することができる。
【0011】
産生物は、例えば、水素、アルコール、有機酸、炭化水素およびこれらの混合物から成る群から選択される燃料とすることまたは燃料を含むことができる。例えば、産生物はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンおよびこれらの混合物から成る群から選択されるアルコールを含み得る。場合によっては、産生物、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、オレイン酸、リノール酸、グリコール酸、乳酸、γヒドロキシ酪酸およびこれらの混合物から成る群から選択される有機酸とすることができる。炭化水素は、例えば、メタン、エタン、プロパン、イソブタン、ペンタン、n−ヘキサンおよびこれらの混合物を含む。他の産生物および中間体も産生されることがあり得る。
【0012】
活用ステップは、例えば、糖化および/または発酵を含むことができる。場合によっては、活用ステップは同時糖化発酵(SSF)を含む。微生物は、例えば、酵母菌および/または酵素、例えば、本明細書中に詳述されるもののいずれを含んでもよい。場合によっては、糖化は約3.8から4.2のpHで実施することができ、発酵は約4.8から5.2のpHで実施することができ、本方法はpHを糖化と発酵との間で調節することをさらに含んでもよい。場合によっては、混合物は窒素源を含むことができ、この窒素源は栄養パッケージの要素としても、別途に添加することにしてもよい。窒素源は、例えば、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、およびこれらの混合物から成る群から選択することができる。
【0013】
いくつかの好ましい実施形態では、混合物は、例えば、窒素、アミノ酸および脂肪などの栄養素を食物
ベースの栄養源から放出するために選択された酵素系をさらに含む。例えば、酵素系は、アミラーゼ、プロテアーゼ、およびこれらの混合物から成る群から選択される1つまたは複数種の酵素を含むことができる。場合によっては、酵素系は、プロテアーゼおよびアミラーゼを含む。
【0014】
他の定義が記されている場合を除き、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記述されたものと類似または相当する方法および材料を本発明の実践または試験で使用することができるが、以下では適切な方法および材料を記述する。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許およびその他の文献は、それぞれの全体を参照により組み込む。対立がある場合、定義も含め、本明細書が支配する。加えて、材料、方法および例は説明の目的のためだけに提示されるものであり、制限する意図はない。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記述された方法および栄養パッケージを使って、セルロース材料およびリグノセルロース材料ならびにそれらの糖化誘導体などの炭素含有材料を、例えば、発酵を利用してバイオ加工し、有用な中間体および本明細書に記述するような有用な中間体および産生物を産生することができる。
【0018】
発明者らは、低濃度の食品および/または食物残留物を発酵バッチに添加することにより、有効な発酵を得ることができ、例えば、最高10%、15%、25%、またはさらには30%以上もの比較的高濃度のエタノールを産生できる。場合によっては、濃度は例えば、0.1から80g/L、例えば、約0.1から40g/L、約0.5から20g/L、約1から10g/Lになり得、いくつかの実施形態では、約1から5g/Lになり得る。使用される濃度は、使用される材料の栄養プロファイルによって変化する。
【0019】
適切な食物
ベースの栄養源には、穀物、例えば、小麦、オーツ麦、および大麦など、ならびに野菜、例えば、大豆、エンドウ豆、豆類、ジャガイモ、およびトウモロコシなど、ならびに、このような材料の残留物、例えば、米ぬか、コーンミール、および小麦ふすまが含まれる。これらは使用することのできる数多くの穀物および野菜のわずかな例を代表しているに過ぎない。上述したように、これらに加えてまたはこれらの代わりとして、食物
ベースの栄養源は、 牛肉、鶏肉、豚肉またはその他の肉のストック、ブイヨン、抽出物またはレンダリングなどの肉の残留物を含んでもよい。食物
ベースの栄養源は、複数の穀物および/または野菜および/または肉の残留物の混合物を含んでもよい。利点として、このような材料は一般に低コストである。場合によっては、通常は廃棄物、例えば、通常は埋め立てなければならない食品または廃棄物と見なされる材料が使用される。
【0020】
食物
ベースの栄養源に加えて、好ましい栄養パッケージは窒素源を含む。適切な窒素源は、例えば、 尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、およびこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、窒素源は液体培地の容量に対して約1〜10、2〜8、または好ましくは3〜6g/Lの濃度で添加される。
【0021】
栄養パッケージに含まれる可能性のある他の化合物には、リン酸塩があり、これは微生物によって複製のために使用される。
【0022】
好ましい実施形態では、栄養パッケージは、セルロース材料またはリグノセルロース材料を糖化するために選択された1つまたは複数の酵素、ならびに食物
ベースの栄養源から栄養素(例えば、窒素、アミノ酸および脂肪)を放出するために選択された1つまたは複数の酵素を含む特定の組合せの酵素と一緒に用いられる。場合によっては、酵素の組合せには、栄養源中の澱粉を分解するためのアミラーゼ、およびタンパク質を加水分解し、栄養源からペプチドを産生するためのプロテアーゼが含まれる。好ましい酵素の組合せについては、以下で詳述される。
【0023】
食物
ベースの栄養源または栄養パッケージを使用することのできる工程についてこれから述べる。
【0024】
セルロース材料およびリグノセルロース材料のアルコールへの変換
【0025】
図1を参照すると、アルコール、例えば、エタノールを製造するための工程は、例えば、原料を機械的に処理すること(ステップ110)を任意で含むことができ、この処理の前および/または後に、別の物理的な処理、例えば、照射(例えば、電子ビーム照射)などによって原料を任意で処理し、その扱いにくささらに減少させ(ステップ112)、原料を糖化して、糖溶液を形成し(ステップ114)、例えば、パイプライン、鉄道、トラックまたは荷船によって溶液(または糖化を輸送の途中で実行する場合は、原料および水)を製造プラントに輸送し(ステップ116)、その後、処理した原料をバイオ加工することで、所望の産生物を産生し(ステップ118)、その後、例えば、さらに蒸留(ステップ120)によって、加工することを含むことができる。望ましい場合には、参照により、その開示が完全に本明細書に組み込まれる、2009年2月11日出願の米国仮出願第61/151,724号に記述されているように、リグニン含有量を測定し(ステップ122)、その測定値に基いて、加工パラメータを設定する(ステップ124)がことができる。
【0026】
食物
ベースの栄養源または栄養パッケージは、バイオ処理、例えば、発酵中に存在し(ステップ118)、 いくつかの好ましい実施形態では、糖化ステップ(ステップ114)の最中にも存在することがあり得る。いくつかの実施形態では、食物
ベースの栄養源または栄養パッケージは、糖化、発酵および食物
ベースの栄養源からの栄養素の放出に適した酵素の組合せと一緒に、ステップ114の開始時に添加される。糖化は加工条件の第1のセット(例えば、温度およびpH)のもとで実施された後、糖化が所望の程度まで進行した後、工程条件を(例えば、pHを4または5に調節することにより)調節して、酵素が進行できるようにする。
【0027】
ステップ118〜120(および場合によっては、上述のステップの全て)において使用される製造プラントは、例えば、既存の澱粉または糖を原料とするエタノールプラントとしても、バイオ加工システム(代表的なエタノールプラントでは、このシステムは、一般に、穀物受け取り装置(grain receiving equipment)、衝撃式粉砕機、スラリー混合機、調理器、および液化装置を含む)から上流の装置を除去または停止することにより、改造したプラントとしてもよい。場合によっては、プラントが受け取った原料を発酵装置に直接投入することができる。
図2に、改造したプラントの概略図を示す。
【0028】
ステップ110〜112は、例えば、2009年4月23日出願の米国特許第12/429,045に記述されており、その完全な開示が参照により、本明細書に組み込まれる。ステップ114、118、および120(糖化、発酵および蒸留)は、バイオ加工によるアルコールの製造に関係し、以降で論じる。
【0029】
糖化
原料を発酵性糖に変換するためには、原料中のセルロースを糖化剤、例えば、酵素により、糖化と呼ばれるプロセスで加水分解する。セルロースを含む材料を、例えば、材料および酵素を、溶媒、例えば、水溶液中で混合することにより、酵素で処理する。
【0030】
バイオマスのセルロース部および/またはリグニン部など、バイオマスを分解する酵素およびバイオマスを破壊する微生物は、様々なセルロース分解酵素(セルラーゼ)、リグニナーゼ、または様々な小分子のバイオマスを破壊する代謝物を含有または製造する。これらの酵素は、バイオマスのセルロース部またはリグニン部を分解するために、相乗的に働く酵素の複合体であってもよい。セルロース分解酵素の例としては、エンドグルカナーゼ、
セロビオヒドロラーゼ、およびセロビアーゼ(βグルコシダーゼ)が挙げられる。
図5を参照すると、セルロース基質は、最初に、無作為な位置でエンドグルカナーゼによって加水分解され、オリゴマー中間体を産生する。これらの中間体は、続いて、セロビオヒドロラーゼなどの外部分割グルカナーゼの基質になり、セルロースポリマーの端部からセロビオースを産生する。セロビオースはグルコースの水溶性1,4−結合の二量体である。最後に、セロビアーゼがセロビオースを開裂して、グルコースを産生する。
【0031】
適切な糖化剤は、例えば、以下の材料の節に記述されている。
【0032】
前述したように、食物
ベースの栄養源または栄養パッケージは、好ましくは、糖化の前または糖化の最中に添加され、食物
ベースの栄養源から栄養素を放出するために選択された酵素が添加される。適切な酵素については、例えば、以下の材料の節に記述されている。
【0033】
糖化工程は、部分的または完全に、製造プラントのタンク(例えば、少なくとも、4000L、40,000L、400,000L、または1
,000,000Lの容量を有するタンク)で実行され、さらに/または輸送中、例えば、鉄道車、タンカートラック、または超大型タンカーもしくは船倉で実行することも可能である。完全な糖化のために必要な時間は、工程の条件および使用される原料および酵素に依存する。糖化を制御した条件下で、製造プラントで実施する場合、セルロースは約12〜96時間で、ほとんど全てがグルコースに変換され得る。糖化を部分的または完全に輸送中に行う場合は、糖化はより長時間を要する可能性がある。
【0034】
タンクの内容物は、糖化中に、例えば、全開示を参照により本明細書に組み込む米国仮出願第61/218,832に記述されているように、噴流混合を使って混合することが、一般に好ましい。
【0035】
界面活性剤の添加は、糖化の速度を促進することができる。界面活性剤の例としては、ween(登録商標)20またはTween(登録商標)80ポリエチレングリコール界面活性剤などの非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤または両性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
出来上がるグルコース溶液の濃度は、比較的高濃度、例えば、40重量%を超えるか、または50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、または95重量%を超えることが一般に望ましい。糖化と発酵とが異なる場所で行われる場合は、これにより輸送容積を減少し、さらに溶液中での微生物増殖を阻害することができる。ただし、これより低濃度を使ってもよく、この場合は、例えば、広域抗生物質などの抗菌添加剤を低濃度、例えば、50から150ppmで添加することが望ましい。その他の適切な抗生物質としては、アムホテリシンB、アンピシリン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、
ゲンタマイシン、ハイグロマイシンB、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン, ピューロマイシン、ストレプトマイシンが挙げられる。抗生物質は輸送中および保管中の微生物の増殖を阻害し、例えば、15重量ppmから1000重量ppm、例えば、25ppmから500ppm、または50ppmから150ppmなど、適切な濃度で使用することができる。望ましい場合、糖濃度が比較的に高い場合でさえも、抗生物質を含めることができる。
【0037】
比較的高濃度の溶液は、酵素と一緒に原料に添加する水の量を制限することにより得ることができる。この濃度は、例えば、どれだけの糖化を行うのかを制御することにより、制御することができる。例えば、溶液にさらに原料を添加することで、濃度を増加することができる。溶液中で産生されている糖を維持するために、例えば、上述したもののどれかなどの界面活性剤を添加することができる。溶液の温度を増加することで、可溶性も増加することができる。例えば、40〜50℃、60〜80℃またはさらに高い温度で溶液を維持することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、原料は、例えば、粉末状、顆粒状または粒子状などの便利で濃縮された固体材料に変換するように加工される。濃縮材料は精製されるか、または未加工もしくは粗製の形態とすることができる。濃縮された形態は、例えば、全体の糖度が約90重量%から約100重量%の間、例えば、92重量%、94重量%、96重量%、98重量%の糖分を有することができる。このような形態は、特にバイオ加工施設、例えば、バイオ燃料製造プラントなどに出荷するのにコスト効率が高くなり得る。このような形態は、また、保管および取り扱いにも有利となり得、製造がし易く、中間体および産生物のどちらにもなり、バイオ精製所にどの産生物を製造するかについて選択肢を提供する。
【0039】
いくつかの例では、粉末状、顆粒状または粒子状の材料は、1つまたは複数の材料を含有することができ、例えば、本明細書に記述した添加剤または化学薬品、例えば、食物を原料とする栄養素または栄養パッケージ、窒素源、例えば、尿素、界面活性剤、酵素または本明細書で記述した任意の微生物などを含有することができる。いくつかの例では、バイオ加工に必要な材料は、粉末状、顆粒状または粒子状の材料に混合される。このような形態は、遠隔地にあるバイオ加工設備、例えば、遠隔地にあるバイオ燃料設備などに、輸送する場合に特に便利になり得る。このような形態は、保管および取り扱いにも有利になり得る。
【0040】
いくつかの例では、粉末状、顆粒状または粒子状の材料(添加剤および化学薬品などの、添加材料を加える場合も加えない場合も)は、上記の亜参照により組み込まれる米国特許第12/429,045号に記述された物理的処理のいずれかによって処理することができる。例えば、粉末状、顆粒状または粒子状の材料に放射線を照射することで、その可溶性を増加させ、バイオ加工設備がその材料を考えられていた中間体または産生物としての必要に応じて、それぞれのプロセスに直接組み込むことができるように材料を滅菌することができる。
【0041】
ある種の場合、粉末状、顆粒状または粒子状の材料(添加剤および化学薬品などの、添加材料を加える場合も加えない場合も)は、輸送、保管または取り扱いを容易にするために、構造体または担体で運搬することができる。例えば、構造体または担体は、分解可能なバッグまたはライナーなど、バッグまたはライナーを含有または組み込むことができる。このような形態は、バイオ加工システムに直接添加する場合には、特に有用になり得る。
【0042】
発酵
微生物は、処理されたバイオマス材料を糖化することにより産生される低分子量の糖を発酵することにより、数多くの有用な中間体および産生物を産生することができる。例えば、発酵またはその他のバイオ加工は、アルコール、有機酸、炭化水素、水素、タンパク質またはこれらの材料のいずれの混合物も産生することができる。
【0043】
酵母菌およびザイモモナス(Zymomonas)属の細菌は、例えば、発酵または変換に使用することができる。他の微生物については、下記の「材料」の節で論じる。酵母菌にとって最適なpHは、約pH4から5であり、ザイモモナス属にとって最適なpHは、約pH5から6である。代表的な発酵時間は、温度が26℃から40℃の範囲にある状態で約24時間から96時間であるが、好熱性微生物はより高い温度を好む。
【0044】
いくつかの実施形態では、低分子量の糖が完全にエタノールに変換される前に、発酵プロセスの全部または一部を中断することもできる。中間発酵産生物には、高濃度の糖および炭水化物が含まれる。これらの中間の発酵産生物は、ヒトまたは動物が消費するための食物の調整に使用することができる。以上に加えてまたは以上の代わりに、中間発酵産生物は、ステンレス鋼の実験室ミル(stainless-steel laboratory mill)で微粒子のサイズに粉砕して、小麦粉のような物質を産生することもできる。
【0045】
米国仮特許出願第60/832,735号、現在の公開国際出願WO第2008/011598号に記述されているように、可動式発酵装置を活用することもできる。同様に、糖化装置も可動式とすることができる。さらに、糖化および/または発酵は、部分的または完全に輸送中に実行することもできる。
【0046】
蒸留
発酵後、出来上がった液体を、例えば、「ビールカラム(beer column)」を使って蒸留し、エタノールおよびその他のアルコールを水分および残留固形物の大半から分離することができる。ビールカラムから抜ける蒸気は、例えば、35重量%のエタノールとすることができ、精留カラムに供給することができる。精留カラムからのほぼ共沸性(92.5%)のエタノールと水との混合物を、気相分子篩を使用して、純粋な(99.5%)エタノールに精製することができる。ビールカラムの底部は3効果蒸化器の第1効果に送ることができる。精留カラム還流冷却器は、この第1効果のために熱を供給できる。第1効果の後、固形物を遠心分離機を使って分離し、回転式乾燥機で乾燥することができる。遠心分離機の溶出液の一部(25%)は、発酵に再利用することができ、残りは第2および第3の蒸化器効果に送られる。蒸化器凝縮物のほとんどはかなり清潔な凝縮物として工程に戻すことができ、ほんの一部が分離されて、低沸点化合物の蓄積を防ぐために廃水処理に送られる。
【0047】
中間体および産生物
本明細書で論じる工程および栄養素は、炭水化物含有材料、例えば、セルロース材料またはリグノセルロース材料を、エネルギー、燃料および材料などの1つまたは複数の産生物に変換する目的に使用することができる。産生物の具体的な例は、以下に限定されないが、水素、アルコール(例えば、一価アルコール、またはエタノールなどの二価アルコール、n−プロパノールまたはn−ブタノール)、水和または含水アルコール、例えば、10%、20%、30%または40%を超える水、糖、
バイオディーゼル、有機酸(例えば、酢酸および/または乳酸)、炭化水素、副産物(例えば、セルロール分解タンパク質(酵素) または単細胞タンパク質などのタンパク質)、および任意の組合せまたは相対濃度ならびに任意で、例えば、燃料添加剤などの任意の添加剤と組み合わせてこれらのいずれかの混合物を含む。他の例としては、酢酸または酪酸、カルボン酸の塩、カルボン酸とカルボン酸の塩との混合物、およびカルボン酸のエステル(例えば、メチル、エチルおよびn−プロピルエステル)などのカルボン酸、ケトン、アルデヒド、アルファ、ベータ不飽和酸、例えば、
アクリル酸およびオレフィン、例えばエチレンなどが含まれる。その他のアルコールおよびアルコール誘導体には、プロパノール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、これらのアルコールのいずれかのメチルまたはエチルエステルが含まれる。その他の産生物には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、乳酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、これらの酸のいずれかの塩およびこれらの酸のいずれかおよびそれぞれの塩との混合物が含まれる。
【0048】
食物および薬学的産生物も含め、その他の中間体および産生物については、全開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第12/417,900号に記述されている。
【0049】
材料
栄養パッケージの成分
上述したように、好ましい栄養パッケージは、食物ベースのとする栄養源、窒素源、および場合によっては、その他の成分、例えば、リン酸塩を含む。適切な食物
ベースの栄養源は、上述したものおよびその他も含めて、穀物および野菜を含む。食物
ベースの栄養源は、複数の穀物および/または野菜の混合物を含んでもよい。
【0050】
好ましい栄養パッケージは、約2から5容積重量%の食物
ベースの栄養源(例えば、3〜4容積重量%の米ぬかミールまたは4〜5重量%のコーンミール)、約3〜4g/Lの窒素源(例えば、約3.5g/Lの尿素)、および8〜12g/Lの非イオン性界面活性剤(例えば、約10g/LのTween(登録商標)80界面活性剤)を含むことができる。
【0051】
栄養素を放出するための酵素
上述したように、糖化および/または発酵の混合物は、食物
ベースの栄養源から栄養素、例えば、窒素、アミノ酸および脂肪を放出するために選択した酵素系をさらに含むことが好ましい。例えば、酵素系は、アミラーゼ、プロテアーゼ、およびこれらの混合物から成る群から選択される酵素を1つまたは複数含むことができる。
【0052】
場合によっては、酵素系は、プロテアーゼおよびアミラーゼを含む。適切なプロテアーゼの例は、Daniscoの部門の1つであるGenencor(商標)から市販されているFERMGEN(商標)酸タンパク質分解酵素がある。この酵素は、グリセロール、グリセロール、硫酸ナトリウム、および安息香酸ナトリウムと一緒に水溶液中に5〜10%のAspergillopepsin 1を含む真菌製プロテアーゼである。適切なアミラーゼの例は、Daniscoの部門の1つであるGenencor(商標)から市販されているSTARGEN(商標)酵素である。この酵素はグルコアミラーゼとアルファアミラーゼのブレンドであり、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)で発現するアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachi)アルファアミラーゼおよびトリコデルマ・リーゼイ(由来のグルコアミラーゼを含む。
【0053】
いくつかの好ましい実施形態では、アミラーゼおよびプロテアーゼは、それぞれ添加される食物
ベースの栄養源の重量に対して約0.5から1.5重量%、例えば、それぞれ約1重量%の濃度で含まれる。これらは、同じ食物を原料とする材料が、栄養源としてではなく、糖化および発酵のための原料として使用されているときに、通常、必要とされる濃度に比較すると、非常に低い濃度である。例えば、FERMGEN(商標)酵素およびSTARGEN(商標)酵素の推奨されている濃度は、これらの酵素がトウモロコシおよび穀物をエタノールへと糖化および発酵する際に使われているときは、それぞれ26〜38重量%および20〜34重量%より高い。
【0054】
プロテアーゼとアミラーゼとの組合せを使うことが好ましいが、場合によっては、どちらか一方または他方を単独で使うことおよび/または食物
ベースの栄養源.から栄養素を放出することの可能な他の酵素を使うこともできる。
【0055】
バイオマス材料
バイオマスは、例えば、セルロース材料またはリグノセルロース材料とすることができる。このような材料としては、紙および紙製品(例えば、ポリエチレン塗装紙およびクラフト紙など)、木材、木材関連材料、例えば、パーティクルボード、草、もみ殻、バガス、ジュート、麻、亜麻、竹、サイザル麻、アバカ、藁、スイッチグラス、アルファルファ、干草、トウモロコシの穂軸、トウモロコシの茎葉、ココナッツの毛;およびαセルロースの含有量が高い材料、例えば、綿が挙げられる。原料は未使用の断片の織物材料、例えば、端切れ、使用済みの廃棄物、例えば、ぼろ切れから得ることができる。紙製品を使用するとき、それらは未使用の材料、例えば、未使用材料の断片とすることも、使用済み廃棄物とすることもできる。未使用の原材料だけでなく、使用済みの工業廃棄物(例えば、廃物)および加工廃棄物(例えば、紙加工からの廃液)も繊維源として使用することもできる。バイオマス原料はヒト(例えば、下水)、動物または植物の廃棄物から得られることまたは誘導されることもできる。追加のセルロース材料およびリグノセルロース材料は、米国特許第6,448,307号、第6,258,876号、第6,207,729号、第5,973,035号、および第5,952,105号に記述されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、バイオマス材料としては、1つまたは複数のβ−1,4結合を有し、数平均分子量が約3,000から50,000の間である材料である炭水化物またはこのような材料を含む炭水化物が挙げられる。このような炭水化物は、β(1,4)グリコシド結合の縮合を通じて、(βグルコース)から誘導されるセルロースであるか、またはこのようなセルロースを含む。この結合は、澱粉およびその他の炭水化物に存在するα(1,4)グリコシド結合と対照をなす。
【0057】
糖化剤
適切な酵素としては、バイオマスを分解できるセロビアーゼおよびセルラーゼが挙げられる。
【0058】
適切なセロビアーゼとしては、NOVOZYME 188(商標)という商標で販売されているクロコウジカビ(Aspergillus niger)由来のセロビアーゼが挙げられる。
【0059】
セルラーゼはバイオマスを分解することができ、真菌起源でも、細菌起源でもよい。適切な酵素は、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、およびトリコデルマ属(Trichoderma)由来のセルラーゼを含み、かつフミコラ属、コプリナス属(Coprinus)、チエラビア属、フザリウム属、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)、アクレモニウム属、セファロスポリウム属(Cephalosporium)、シタリジウム属(Scytalidium)、ペニシリウム属(Penicillium)、またはアスペルギルス属(Aspergillus)の種(例えば、EP458162)を含み、特に、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)(シタリジウム・サーモフィルム(Scytalidium thermophilum)として再分類されている。例えば、米国特許第4,435,307号を参照されたい)、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、メリピラス・ギガンテウス(Meripilus giganteus)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、アクレモニウム属(Acremonium)の種、アクレモニウム・ペルシシナム(Acremonium persicinum)、アクレモニウム・アクレモニウム(Acremonium acremonium)、アクレモニウム・ブラシペニウム(Acremonium brachypenium)、アクレモニウム・ジクロモスポルム(Acremonium dichromosporum)、アクレモニウム・オブクラバタム(Acremonium obclavatum)、アクレモニウム・ピンケルトニアエ(Acremonium pinkertoniae)、アクレモニウム・ロセオグリセウム(Acremonium roseogriseum)、アクレモニウム・インコロラタム(Acremonium incoloratum)、およびアクレモニウム・フラタム(Acremonium furatum)から選択された株;好ましくは、種フミコラ・インソレンスDSM 1800、フザリウム・オキシスポルムDSM 2672、ミセリオフトラ・サーモフィラCBS 117.65、セファロスポリウム属の種RYM−202、アクレモニウム属の種CBS 478.94、アクレモニウム属の種CBS 265.95、アクレモニウム・ペルシシナムCBS 169.65、アクレモニウム・アクレモニウムAHU 9519、セファロスポリウム属の種CBS 535.71、アクレモニウム・ブラシペニウムCBS 866.73、アクレモニウム・ジクロモスポルムCBS 683.73、アクレモニウム・オブクラバタムCBS 311.74、アクレモニウム・ピンケルトニエCBS 157.70、アクレモニウム・ロセオグリセウムCBS 134.56、アクレモニウム・インコロラタムCBS 146.62、およびアクレモニウム・フラタムCBS 299.70Hによって産生されたセルラーゼを含む。セルロース分解酵素はまた、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、好ましくは、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)の株から得ることもできる。さらに、トリコデルマ(Trichoderma)属(特に、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、およびトリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii))、好アルカリ性バチルス属(例えば、米国特許第3,844,890号およびEP458162を参照されたい)、ならびにストレプトマイセス属(Streptomyces)(例えば、EP458162を参照されたい)を用いることができる。
【0060】
ACCELLERASE(登録商標)という商標のもとでGenencor(登録商標)社から販売されているもの、例えば、Accellerase(登録商標)1500酵素複合体など、酵素複合体を利用することもできる。Accellerase(登録商標)1500酵素複合体には、複数の酵素活性、主にエキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ(2200〜2800CMC U/g)、ヘミセルラーゼ、およびベータ−グルコシダーゼ
(525〜775 pNPG U/g)が含まれ、4.6から5.0のpHを有する。この酵素複合体のエンドグルカナーゼ活性は、カルボキシメチルセルロース活性単位(CMC U)で表されるのに対し、ベータ−グルコシダーゼ活性は、
pNP−グルコシド活性単位(pNPG U)で報告される。もう1つの適切な酵素複合体は、Accellerase(登録商標) Duet酵素複合体である。Accellerase(登録商標) Duet酵素複合体も、複数の酵素活性、主にエキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ
(2400〜3000 CMC U/g)、ヘミセルラーゼ(> 3600 ABX U/gのキシラナーゼを含む)、およびベータ−グルコシダーゼ(>400 pNPG U/g)を含み、4.3から4.6のpHを有する。この酵素複合体のエンドグルカナーゼ活性は、カルボキシメチルセルロース活性単位
(CMC U)で表されるのに対し、ベータ−グルコシダーゼ活性はpNP−グルコシド活性単位(pNPG U)で報告され、キシラナーゼ活性は、酸バーチウッドキシラナーゼ単位(Acid Birchwood Xylanase Units)(ABXU)で報告される。いくつかの実施形態では, Accellerase(登録商標)1500複合体またはAccellerase(登録商標) Duet酵素複合体と1500NOVOZYME(商標)188セロビアーゼとのブレンドが使用される。
【0061】
発酵剤
発酵に使われる微生物は、天然の微生物および/または遺伝子工学を利用して得た微生物とすることができる。例えば、微生物は細菌、例えば、セルロース分解細菌、真菌、例えば、酵母菌、植物または原生生物、例えば、藻、原虫または真菌様原生生物、例えば、粘菌とすることができる、微生物同士が両立できるときは、微生物の混合物を活用することができる。
【0062】
適切な発酵微生物は、炭水化物、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、オリゴ糖または多糖を発酵産生物に変換する能力を有する。発酵微生物は、サッカロミセス(Saccharomyces spp.)属、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(パン酵母)、サッカロミセス・ディアスタティクス(Saccharomyces distaticus)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum);クリベロミセス(Kluyveromyces)属、例えば、クリベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)種、クリベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)種;カンジダ(Candida)属、例えばカンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、およびカンジダ・ブラシカ(Candida brassicae)、クラビスポラ(Clavispora)属、例えばクラビスポラ・ルシタニエ(Clavispora lusitaniae)種およびクラビスポラ・オプンティアエ(Clavispora opuntiae)種 パキソレン(Pachysolen)属、例えばパキソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)種;ブレタノミセス(Bretannomyces)属、例えばブレタノミセス・クラウセニイ(Bretannomyces clausenii)種の株を含む(Handbook on Bioethanol:Production and Ulitization, Wyman, C.E.(編集)、Taylor & Francis、ワシントンD.C.、179−212中のPhilippidis,G.P.,1996, Cellulose bioconversion technology)。
【0063】
市販の酵母菌としては、例えば、Red Star(登録商標)/Lesaffre Ethanol Red(米国Red Star/Lesaffreから入手可能)、FALI(登録商標)(米国のBurns Philip Food Inc.の1つの部門であるFleischmann’s Yeastから入手可能)、SUPERSTART(登録商標)(Alltech、現在はLalemandから入手可能)、GERT STRAND(登録商標)(スウェーデンのGert Strand ABから入手可能)およびFERMOL(登録商標)(DSM Specialitiesから入手可能).が挙げられる。
【0064】
発酵には細菌、例えば、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)およびクロストリジウム・テルモセルム(Clostridium thermocellum)(Philippidis、1996、上記を参照)を使用してもよい。
【0065】
実施例1
原料(実施例2では「XP」と呼ぶ)を以下の手順を使って産生した。
【0066】
30lb/ft
3緊度を有する、未使用の漂白した白色クラフトボードのスキッド1500ポンドを、International Paperから入手した。材料を、ギロチン断裁機を使って8 1/4インチ x 11インチの断片に裁断し、Munson回転式ナイフカッター、モデルSC30に供給した。ディスチャージ・スクリーンには1/8インチの開口部が備わっていた。回転式刃と固定式刃との間の隙間を約0.020インチに設定した。回転式ナイフカッターは裁断された断片をせん断し、繊維材料を放出した。
【0067】
実施例2
4Lの脱イオン水を50℃に加熱し、4%容積重量の米ぬかミール、3.405g/Lの尿素、および10g/LのTween 80(登録商標)の界面活性剤を添加しながら、混合することで、培地を調製した。次に、以下の量で3種類の酵素を添加した:
ACCELLERASE(登録商標)酵素 XP原料の0.25mL/lg
STARGEN(登録商標)酵素 ぬかの1重量%
FERMGEN(登録商標)酵素 ぬかの1重量%
【0068】
ACCELLERASEは0時間目に添加し、他の2つの酵素は3時間目に添加した。
【0069】
次にXP原料を徐々に添加した。添加の量と頻度は、混合物の稠度および混合速度によって決定した。材料は27時間の期間に渡って、150〜275グラムずつ添加した。添加した合計量は1096グラムだった。
【0070】
55℃を超えると、酵素が変性する傾向があるため、加熱が55℃を超えることがないように、温度の変動を混合の間、監視した。
【0071】
この工程の全体を通し、混合はIKA ROTOTRON(登録商標)ミキサーを使って、250rpmで行った。温度は約50℃に維持し、pHは約3.7だった。
【0072】
27時間目に原料の最後の量を添加した後、プロセスの開始から合計70時間まで糖化を継続させた。70時間に達した時点で、グルコース濃度は90g/Lだった。
【0073】
糖化した混合物を、発酵のために、BioFlow(登録商標)115バイオリアクターに移した。続いてパラメータを変更し、混合物に植菌して、発酵を開始させた。混合は250rpmでRushton羽根車を使って行い、空気を0.025vvmで供給し、pHを約5.0に調節した。温度を約30℃に下げた。pHの調節は、1MのH
3PO
4(酸の調節)および1MのNaOH(塩基の調節)を使って行った。植菌は以下の比率に基いて行った:1gのグルコースに対して1mgのSuperstart(登録商標)酵母菌。この酵母菌は、凍結乾燥された接種源として混合物に直接添加した。
【0074】
以上の条件下で20時間、発酵を行った後、混合物中のエタノール濃度は約50g/Lであり、グルコース濃度は約0g/Lに低下していた。これは1.7g/LのYNB、2.27g/Lの尿素、および6.6g/Lの大豆ペプトンを含む培地中で、150g/Lのグルコースおよび40g/Lのキシロースを同じ処理条件下で発酵させることで得られたエタノール濃度をわずかに下回っているに過ぎなかった。
【0075】
その他の実施形態
本発明の数多くの実施形態が記述された。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変を加えることができることを理解されるであろう。
【0076】
例えば、コストの理由から、本明細書に開示した栄養パッケージは、食物(さらに、特に野菜および/穀物)を原料とする栄養源だけを含むことが好ましいが、所望される場合は、栄養パッケージに、これらの栄養源とその他の食物以外の栄養源または穀物以外/野菜以外の食物源との混合物を含めてもよい。
【0077】
したがって、他の実施形態も以下の特許請求の範囲の範囲内である。