(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る成分測定装
置について実施の形態を挙げ、添付の
図1〜
図10を参照しながら説明する。
【0022】
図1、
図2及び
図3に示すように、本発明の成分測定装
置の一実施形態である血糖計10には、先端に試験具としてチップ12が装着される。血糖計10は、患者自身が操作して血糖計測を行うパーソナルユースの用途として主に用いられるが、もちろん特段の改造をすることなく医療従事者が使用する医療施設内用途としても使用可能である。先ずチップ12について説明する。
【0023】
図4に示すように、チップ12は、ベース筒14と、ベース筒14の一方を覆うフランジ16と、フランジ16から突出するノズル18と、フランジ16の裏面に貼られた試験紙20とを有する。ベース筒14には複数のスリット14aが設けられている。ノズル18の中心には、先端の点着部22から試験紙20に連通する直線状の血液導入路24が設けられている。試験紙20の材質としては、例えば、ポリエーテルスルホンが挙げられる。試験紙20に含浸される試薬としては、例えば、グルコースオキシターゼ(GOD)、ペルオキシターゼ(POD)、4−アミノアンチピリン、N−エチルN−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)等の発色剤が挙げられる。また、試薬には所定の緩衝剤が含まれていてもよい。
【0024】
血液導入路24は、血液を毛管現象により吸い上げる程度に十分細径に設定されており、点着部22に接触した血液を試験紙20まで導入する。
【0025】
チップ12は、いわゆるディスポーザブル品であり、個包装体として、ケース26(
図1参照)内に緩く嵌合されて、収納されている。血糖測定を行う際にはケース26の基端側に貼られたフィルム(不図示)を剥がした上で、ケース26ごとチップ装着部28(
図1参照)に被せることにより、嵌合力の差によって自動的に且つ手で触れることなく該チップ装着部28に装着させることができる。血糖測定後にはイジェクタ30を先端側に押し出すことにより図示しない内部のレバーがチップ12に当接して押し出し、取り外すことができる。
【0026】
図1〜
図3に戻り、本形態に係る血糖計10は、チップ12が装着されるチップ装着部28と、チップ装着部28の近傍上面に設けられたイジェクタ30と、上面中央に設けられた液晶のディスプレイ36と、上面の基端側に設けられた操作部38と、基端部近傍の側面に設けられた複数段階設定のボリュームスイッチ40と、基端部側面(
図3参照)に設けられた時間設定ボタン44と、紐で接続されてチップ装着部28を保護するキャップ46とを有する。血糖計10は片手で把持しやすいやや細長い形状であり、先端部は先端方向に向かって細くなるとともにやや下側に屈曲しており、血液の点着が行い易い形状になっている。
【0027】
血糖計10の上面部は平面状に形成されており、ディスプレイ36の視認性と操作部38の操作性がよい。ディスプレイ36は計測した血糖値を3桁で表示する他、所定の入力操作確認や血糖計10の状態を示すインジケータ等の表示が可能である。
【0028】
操作部38は、電源のオン・オフをする電源ボタン50と、過去に記憶された測定値を呼び出す記憶呼出ボタン52と、スピーカ54と、再生ボタン56とを有する。スピーカ54は血糖値の測定結果である測定値や、操作ガイダンス、エラー内容等を音声アナウンスで出力するとともに、操作に応じてビープ音などの音響出力をする。スピーカ54が出力する音声アナウンスについては後述する。再生ボタン56は直近に報知された音声アナウンスを再度報知するために用いられるボタンである。
【0029】
スピーカ54は、血糖計10に内蔵される形式に限らず、例えばアッセンブルの着脱式や外付け式であってもよい。
【0030】
時間設定ボタン44、電源ボタン50、記憶呼出ボタン52及び再生ボタン56の表面には異なるパターンの小突起が設けられており、指先の触覚で識別可能である。
【0031】
図5に示すように、ボリュームスイッチ40は、スライダ59を左右4段階に移動させるスイッチであり右から順に音出力切、音量小、音量中、音量大を選択できる。側面におけるボリュームスイッチ40のすぐ下には、スライダ59の三角突起ポインタに対応して右から順に「切」、「小」、「中」、「大」の表示が設けられている。スライダ59には複数本の縦突起が設けられており指先を宛がうことで横方向へ移動させやすい。
【0032】
図6に示すように、血糖計10には、制御部60が設けられ、制御部60が血糖計10の動作全体を統括的に制御している。血糖計10は内部に電源62と、時計64と、記憶部66と、測定部68とを有する。電源62には、例えばボタン電池が用いられ、血糖計10内部の種々の電気的構成に対し電源ボタン50の作用下に電力を供給する。時計64は時間設定ボタン44の操作によって調整され、現在時刻を制御部60に通知する。時計64にはカレンダー機能が設けられていてもよい。時計64の時間設定操作に関する詳細説明は省略する。
【0033】
測定部68は、光学式であって、試験紙20(
図4参照)に所定パターンで光を照射する発光部68aと、呈色した試験紙20で反射した光を受光する受光部68bと、該受光部68bの受光信号をデジタル値に変換して制御部60に供給するA/D変換器68cとを有する。測定部68は光学式に限らず、例えば、電極式であってもよい。
【0034】
ディスプレイ36、ボリュームスイッチ40、時間設定ボタン44、記憶呼出ボタン52、スピーカ54、再生ボタン56、電源62、時計64、記憶部66及び測定部68は制御部60に接続されている。制御部60は、例えば、前記の各構成が接続される電子回路として構成され、この電子回路には信号の処理を行う図示しないマイクロコンピュータが搭載される。マイクロコンピュータは、所定のプログラムを読み込み各機能部と協働しながらソフトウェア処理を実行する。
【0035】
図7に示すように、記憶部66はプログラム70と、ワークメモリ72と、音声データメモリ74と、設定値メモリ76とを有する。プログラム70は制御部60が読み込み実行するソフトウェアである。ワークメモリ72はプログラム70を実行する際に所定のデータを都度記憶するために用いられる。音声データメモリ74は血糖計10の音声出力における各種の報知内容を音声データとして記憶する領域である。設定値メモリ76は電源オフ時に血糖計10の所定データを記憶・保存しておくメモリである。
【0036】
図7では煩雑になることを避けるために記憶部66を1つにまとめて示しているが、プログラム70及び音声データメモリ74はROM(Read Only Memory)、ワークメモリ72はRAM(Random Access Memory)、設定値メモリ76は書き込み可能な不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)にするとよい。
【0037】
図8に示すように、制御部60は測定回数カウンタ78を備えるモード管理部80と、算出部82と、測定値出力部84と、異常判断部85と、音声出力指示部86とを有する。
図8では本発明の要旨と関係の小さい機能部については省略している。
【0038】
モード管理部80は血糖計10の全体のモード管理及びタイミング管理を行い他の各機能部に動作指示を行う。また、血糖測定のタイミングに関して、チップ12の装着が確認されるまでの準備モード、測定中の測定モード及び結果を表示する表示モードを区別する。測定回数カウンタ78は測定回数Nをカウントする。モード管理部80は測定回数カウンタ78でカウントされた測定回数Nを認識して異常判断部85等に伝える。
【0039】
算出部82は測定部68から供給される信号に基づいてヘマトクリット値及び血糖値を算出する。血糖値はヘマトクリット値によって補正される。算出部82は、得られた血糖値を測定値出力部84及び異常判断部85へ供給し、ヘマトクリット値を異常判断部85へ供給する。
【0040】
測定値出力部84は算出部82で得られた血糖値をディスプレイ36に表示出力するとともに、音声出力指示部86に音声出力指示を与える。
【0041】
異常判断部85は、測定部68の測定における各種の異常の有無を検出するとともに該異常の種類を判断し、さらに測定回数カウンタ78でカウントされた測定回数Nに従って、異常対応ガイダンスを出力するように音声出力指示部86に指示する。検出した異常の種類は記憶部66に記憶しておく。異常判断部85の詳細な作用については後述(
図9及び
図10参照)する。
【0042】
ここで、異常対応ガイダンスとは、異常が発生した場合にユーザがとるべき対処方法を伝えるものであり、異常対応第1ガイダンスと異常対応第2ガイダンスに分かれる。
【0043】
音声出力指示部86は、測定値出力部84から供給される血糖測定値や異常判断部85からの指示に基づき、音声データメモリ74から所定のデータを読み出し音声出力形式データに変換して、図示しないアンプを介してスピーカ54を駆動する。
【0044】
スピーカ54から出力される音声アナウンスとしては、異常対応ガイダンスの他、装置状態通知(例えば「電源が入りました。」、「電池が減っています。」、「時間を設定します。」)、測定状態通知(例えば、「測定をしています。」)、血糖測定値読み上げ(例えば、「血糖値は150です。」)、及び異常内容通知(例えば、「測定中にチップが外れました。」)などがある。これらの音声データは音声データメモリ74に記憶されている。血糖測定値は、桁毎に分解して記憶され、該桁毎に値が読み上げられてもよい。
【0045】
異常対応第1ガイダンスとしては、例えば、「新しいチップと交換して、測定をし直して下さい。」等がある。異常対応第2ガイダンスには「医師に相談してください。」及び「ブドウ糖を服用してください。」等の医療ガイダンスが含まれる。異常対応ガイダンスは、通常は異常内容通知と組み合わせて音声出力される。
【0046】
音声アナウンスのデータは、制御部60の指示下に記憶部66の音声データメモリ74から選択され、場合によっては組合わせて用いられる。音声出力指示部86及びスピーカ54は、異常報知部88を形成し、異常判断部85で異常が検出されたとき、検出された異常の種類に基づきユーザに音声アナウンスとして異常内容通知と異常対応ガイダンスとを音声出力する機能をもつ。
【0047】
次に、このように構成される血糖計10の動作・作用について
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9及び
図10に基づく説明では断りのない限り表記したステップ番号順に、制御部60の作用下に行われるものとする。
【0048】
図9のステップS1において、ユーザが血糖計10の電源ボタン50を押すことにより電源がオンになり、スピーカ54から「電源が入りました。」と音声を出力する。このとき発光部68a(
図1及び
図6参照)がパルス状に発光を開始する。
【0049】
ステップS2において、「チップを装着してください。」と音声アナウンスを出力する。この音声アナウンスに基づいて、ユーザはキャップ46(
図1参照)を外し、ケース26の基端側に貼られたフィルムを剥がし、チップ12をチップ装着部28に装着する。
【0050】
ステップS3において、発光部68aから出射され試験紙20で反射された反射光を受光部68b(
図1及び
図6参照)で計測し、正しくチップ12が装着されていることを確認し、チップ12が正しく装着されていると判断される場合は、スピーカ54から「測定できます。チップに血液を点着させてください。」と音声アナウンスをする。チップ12が正しく装着されていないと判断されるときはその旨を通知しチップの再装着を要求する。ユーザは上記の音声アナウンスに従ってチップ12の点着部22(
図4参照)に血液を点着させる。点着部22に点着した血液は血液導入路24を通り試験紙20に導かれる。
【0051】
ステップS4において、測定回数カウンタ78は、デフォルトで0の測定回数NをN←N+1とカウントする。
【0052】
ステップS5において、チップ12に点着された血液が試験紙20に染みこんだことを受光信号の変化によって検出し、測定(計時)を開始する。このとき試験紙20には血液が含浸されグルコースと試薬との反応により呈色が進行し、受光部68bの受光信号が変化していく。血液点着の検出時から所定時間経過後、得られた受光信号に基づいてヘマトクリット値及び血糖値を求める。血糖値はヘマトクリット値によって補正される。
【0053】
この測定の間には、スピーカ54から「計測中です。」という音声アナウンスや、計測中であることを示す断続ビープ音を出力してもよい。
【0054】
また、この間に各種の異常を検出した場合にはステップS7へ移ってもよい。この間に検出される異常としては、例えば、チップ12が外れたことを検出した場合が挙げられる。
【0055】
ステップS6において、算出部82(
図8参照)は求めた血糖値を測定値出力部84及び異常判断部85に供給するとともに、ヘマトクリット値を異常判断部85に供給する。以下のステップS7〜S17は制御部60の中でも主に異常判断部85によって行われる。
【0056】
図10のステップS7において、異常判断部85(
図8参照)は、供給された血糖値、ヘマトクリット値、及び必要に応じて測定部68の受光信号に基づいて、測定における異常の有無を検出する。
【0057】
ステップS8において、異常判断部85により異常がないと判断されたときにはステップS9に移り、測定値出力部84及び音声出力指示部86に異常がない、すなわち正常である旨の情報を伝える。異常があると判断されたときにはステップS10に移る。
【0058】
ステップS9(正常時)において、測定値出力部84は、異常判断部85から測定結果が正常である情報を受けて血糖値をディスプレイ36に表示させるとともに、音声出力指示部86を介してスピーカ54から音声形式で出力する。例えば血糖値が150であれば、「血糖値は150です。」と出力する。求められた血糖値は所定の過去データ記憶部に記憶しておく。この過去データ記憶部は例えば過去500回分の血糖値を測定順に記憶する機能を有し、記憶呼出ボタン52の操作に応じて記憶値をディスプレイ36に表示できる。
【0059】
ここで、血糖値の測定値が正常ということは、測定自体が正しく行われ、且つ測定値が所定範囲内にあることを示しており、健康状態の指標として測定値が良好であるか否かに拘わらない。例えば、血糖値が400mg/dLであるときには一般的には高血糖と判断されるが、測定値自体は正常と判断される。もちろん、設定条件を変えて、測定値に応じて適当な異常対応ガイダンスを表示し又は音声出力するようにしてもよい。
【0060】
ステップS9を終了した後、すなわち正常な測定がなされると、血糖計10は血糖値の測定を終了する。この際、所定時間経過した後に、血糖計10の電源を自動的にオフするように動作してもよい。また、終了前には、チップ12を血糖計10から取り外すように、ディスプレイ36に表示し又はスピーカ54から音声出力してもよい。なお、終了時には測定回数カウンタ78は測定回数Nを0に戻すよう動作する。
【0061】
一方、ステップS10(異常時)においては、異常判断部85が異常の種類を判断する。異常の種類はまず大別して「装置側異常」と「測定値異常(体液の所定成分の測定値の異常)」とに分かれる。
【0062】
「装置側異常」は、さらに装置そのものの異常とユーザによる測定操作のミスに起因する異常とに分けられる。装置そのものの異常は、さらにメンテナンス不良による異常と装置故障とに分けられる。メンテナンス不良による異常としては、例えば測定部68の光学系に汚れが付着した場合がある。
【0063】
ユーザによる測定操作のミスに起因する異常は、例えば周囲温度が高すぎ又は低すぎる場合、周囲が明るすぎる場合、測定中にチップ12が外れてしまった場合、試験紙20に含浸される血液量が不足している場合、正しいチップ12がついていない場合などである。
【0064】
「測定値異常」は、血糖計10によって測定された血糖値やヘマトクリット値等の測定値が通常の測定可能範囲外である場合であり、例えば、血糖値では20mg/dL未満又は600mg/dLを超える数値で、ヘマトクリット値では20%未満又は60%を超える数値の場合である。
【0065】
ステップS11において、判別された異常の種類をその時点の測定回数Nに対応させて記憶部66に記憶する。
【0066】
ステップS12において、その時点の測定回数Nを確認し、N=1であるときにはステップS13に移り、それ以外(N≧2)であるときにはステップS15へ移る。
【0067】
ステップS13においては、異常判断部85は発生した異常の内容と対処方法とを異常内容通知及び異常対応第1ガイダンスとして音声出力指示部86を介してスピーカ54から音声出力する。また、測定値出力部84にも異常の内容を供給し、該測定値出力部84はディスプレイ36に異常コードや内容を表示する。
【0068】
この時点の音声アナウンスとしての異常内容通知及び異常対応第1ガイダンスをいくつか例示する。
【0069】
「装置側異常」のうち装置そのものの異常であるときには、例えば「測定窓が汚れています。チップをはずして測定窓をふいてください。」と音声出力する。「装置側異常」のうちユーザによる測定操作のミスに起因する異常であるときには、例えば「測定中にチップが外れました。新しいチップと交換して、測定し直してください。」と音声出力する。
【0070】
「測定値異常」のときには、例えば「血糖値が600を超えています。新しいチップと交換して、測定をし直してください。」と音声出力する。いずれの場合も第1文が異常内容通知であり、第2文が異常対応第1ガイダンスである。
【0071】
このステップS13では、基本的にはユーザに再測定を明示的に要請する音声出力をする。
【0072】
ところで、糖尿病においては初期症状として喉の渇き、頻尿、疲れやすい、傷が治りにくい等があるが、通常は高血糖でも自覚症状がないことも多く、放置しておくと毛細血管にダメージを受ける懸念があることから所定の対応をとることが好ましい。血糖計10による測定においても血糖値やヘマトクリット値が通常の測定可能範囲外であればステップS13において即時に対処を求めることも可能である。
【0073】
しかしながら、測定結果が測定可能範囲外である場合は、そもそも該測定値が本当の値であるのか又は何らかの装置側の異常や測定操作のミスに起因して検出された値であるのかの判別は非常に難しい。仮に測定操作のミスに起因しているにも関わらず「測定値異常」と判断されてしまっていたときに、ステップS13で即時に医師への連絡要請をしては、結果的にそのような処置は無駄手間になりかねず、ユーザに不快感を与えかねない。
【0074】
そこで、血糖計10においては、測定回数Nが「1」の場合で「測定値異常」となったときには、本当に「測定値異常」であるか否かを即断することはせず、「装置側異常」である可能性も考慮してステップS13で再測定の要請をする。
【0075】
ステップS14において、血糖計10からチップ12が外されたか否かを確認する。チップ12が装着されている間は待機し、外されたことを検出するとステップS2へ戻り再測定を行うことになる。
【0076】
一方、ステップS15(N≧2)においては、前回(通常はN=1)の異常の種類を記憶部66から読み出して、今回の異常の種類と同一であるか否かを確認する。同一である場合にはステップS16へ移り、異なる場合にはステップS13へ移る。
【0077】
ステップS16において、今回の異常の種類による分岐処理を行う。すなわち、今回の異常が患者の健康状態に関するものである場合(ここでは「測定値異常」の場合。換言すればバイタルサインに係る異常)にはステップS17へ移り、健康状態には関係のないものである場合(ここでは「装置側異常」)にはステップS13へ移る。
【0078】
すなわち、複数回の測定をした場合で、「測定値異常」が2回連続していないとき及び「装置側異常」が連続しているときにはステップS13へ移り再測定を要請し、「測定値異常」が2回連続していて、しかも異常の種類が同一であるときにはステップS17へ移ればよい。「測定値異常」が2回連続していてもその種類が異なるときにはステップS13へ移る。
【0079】
ステップS17(同一の特定種類の異常検出時)では、前回にステップS13で伝えた内容と異なる異常対応第2ガイダンスを音声出力する。すなわち、異常内容通知と、再測定要請以外の異常対応第2ガイダンスとして医師への連絡要請や投薬要請を音声で伝える。例えば「血糖値が600を超えています。すぐに医師に相談してください。」と音声出力する。第1文が異常内容通知であり、第2文が異常対応第2ガイダンスである。
【0080】
このように、再測定が行われて、同一の特定種類の異常を連続的に検出したときに、前回のステップS13で伝えた内容と異なる異常対応第2ガイダンスをユーザに伝えることにより、異常が健康状態に関するものと知らせ、異常の種類に応じてユーザに適切な対処方法を伝えることができる。
【0081】
すなわち、一度だけの測定では異常の正確な検出は難しく、1回目の測定時に「測定値異常」が疑われても実際には「装置側異常」である可能性もあって慎重な判断が求められ、血糖計10は再測定を要請する。そして、2回目も同じ種類の「測定値異常」が連続して検出されたときには、該測定値はユーザの本当の血糖値である蓋然性が高まるので再測定ではない対処方法を要請する。測定を2回繰り返しても測定時間はわずかであり、血糖計10は充分早期に適切な異常対応ガイダンスをユーザに伝えることができる。
【0082】
また、ディスプレイ36は一度に表示できる情報量に限度があるが、音声形式の出力を採用することにより異常の内容や対処方法についてより詳細にユーザに伝えることができる。
【0083】
さらに、ステップS17における異常対応第2ガイダンスは、再測定要請以外の対処方法であって、測定を無駄に繰り返すことを抑制できる。これにより、チップ12の無駄な消費を抑制し医療経済上好適である。
【0084】
さらにまた、ステップS17では対処方法だけでなく測定値に関連付けられた予測病状データをも音声出力すると、ユーザの認識が深まる。例えば、「昏睡に陥る危険があります。」と音声出力する。
【0085】
以上のように、異常対応第2ガイダンスとして、医療ガイダンスを音声出力すると、ユーザは対応が容易になる。
【0086】
なお、設定によっては、前記のステップS16で「装置側異常」のうち特定種類の異常に関しては2回連続したときにステップS17へ移るようにしてもよい。例えば、測定エラーが2回連続したときにステップS17を実行し、「測定エラーです。病院又はABCコールセンターに連絡してください。」と音声出力してもよい。このように、異常対応ガイダンスに医師、病院又はコールセンター等のいずれかの連絡先を含めることにより、ユーザ{患者(特に聴力の衰えた高齢者)、介護者及び看護師等}は迷いなく迅速な連絡が可能となる。
【0087】
ステップS17を実施し、異常の報知をユーザに行った後、血糖計10は血糖値の測定を終了する。この際、例えば、ユーザに異常を確実に知らせるために、異常対応ガイダンスを充分に長い時間出力した後、血糖計10の電源を自動的にオフするように動作するとよい。
【0088】
上述したように、本実施の形態に係る血糖計10によれば、異常が検出され再測定が行われて、同一の特定種類の異常を連続的に検出した同一特定異常検出時のステップS17で、前回のステップS13で異常対応第1ガイダンスにより伝えた内容と異なる異常対応第2ガイダンスをユーザに伝えることにより、異常原因をより正確に判断し、徒に再測定を繰り返すことなく、異常の種類に応じてユーザに適切な対処方法を伝えることができる。特に、測定値に異常があると判断される場合には、慎重且つ早期に適切な異常対応ガイダンスをユーザに伝えることができる。
【0089】
なお、前記実施例では、体液として血液を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、リンパ液、髄液、唾液等であってもよい。更に、体液(血液)中の測定目的とする成分として、ブドウ糖(血糖値)を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、コレステロール、尿酸、クレアチニン、乳酸、ヘモグロビン(潜血)、各種アルコール類、各種糖類、各種タンパク質、各種ビタミン類、ナトリウム等の各種無機イオン、PCBやダイオキシン等の環境ホルモンであってもよい。更にまた、前記実施例では、所定成分の量を測定するものとして説明したが、所定成分の性質を測定するものであってもよく、また、所定成分の量及び性質の双方を測定するものであってもよい。
【0090】
本発明は、体液の所定成分を測定する成分測定装
置に適用可能であるが、これに限らず、例えば、体液成分以外のバイタルサインを測定する医療機器にも適用可能である。バイタルサインとしては心拍数・呼吸(数)・血圧・体温、血流量、酸素飽和度、心電等を含む。また、ここでいう医療機器とはいわゆるパーソナルユース品に限らず、例えば臨床機器を含むことはもちろんである。
【0091】
本発明に係る成分測定装
置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。