【文献】
Nanomedicine: Nanotechnology, Biology and Medicine,2006年,Vol.2,p.113-120
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細胞中への粒子の透過を促進することができ、前記粒子中に均一に分散している官能基を有するセラミックマトリックスの粒子、及び親水性を有し、前記粒子の細孔内に配置され、セラミックマトリックスの溶解によって前記粒子から放出可能な生体分子を含む粒子状物質であって、セラミックマトリックスの官能基がアミノ官能基を含む、前記粒子状物質。
ポリマー又は錯化剤が、生体分子と一緒に前記粒子の細孔内に配置されるように添加され、ここでポリマーが、ポリエチリナミン、ポリリシン、若しくはポリヒスチジン、又はプロトンスポンジ効果をもたらす物質である、請求項7〜18のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中で使用する場合、「粒子の細孔内に配置されている」生体分子に対する言及は、固体の多孔性粒子を効果的に形成するセラミックマトリックスが、該セラミックマトリックスの細孔中に分散又は配置された生体分子を有する実施形態をその範囲内に包含すると解釈される。このことは、生体分子が粒子の外表面に付着又は結合されている状況を包含しないことを意味する。
【0012】
一般に、考え得る比較的極端な条件下を除いて、生体分子は、セラミックマトリックスが溶解しない場合、粒子から浸出によって実質的に放出不可能である。このことに関して、「溶解しない場合、浸出によって実質的に放出不可能である」生体分子への言及は、本明細書中で使用する場合、粒子状物質の提案された貯蔵及び使用条件下での浸出をその範囲内に包含することを意味する。好ましくは、官能基は生体分子と相互作用して浸出を実質的に防止する。
【0013】
好ましくは、官能基は、粒子中に均一に分散している。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、官能基を有するセラミックマトリックスは、官能化されたシリカのマトリックスを含む。しかし、混合金属酸化物を含む一連の金属酸化物、例えば、チタニア、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄、セリア、酸化亜鉛などが適している可能性もある。官能基は、また、有機チタニア、有機アルミナによって、又は有機チタニアシリカ若しくは有機アルミノシリカを形成する別の金属前駆体と共縮合する有機シランによって提供することができる。さらなる実施形態は、粒子の調製に関する後の記載から認識されるであろう。
【0015】
セラミックマトリックスの官能基は、細胞中への粒子の透過を効果的に促進する任意の基を含むことができ、例えば、アミノ基を含むことができる。好ましい実施形態において、官能基は、アミノアルキルアミノ基、第一級アルキルアミノ基、第二級アルキルアミノ基及び第三級アルキルアミノ基、アルキルイミダゾール基、アルキルアミド基、又はアルキルアミノ酸基を含む。さらなる実施形態は、粒子の調製に関する後の記載から認識されるであろう。
【0016】
本発明は、生体分子を含む粒子状物質に関する。この関連において、用語「生体分子」は、生物学的活性を有する、生物学的起源又は天然の物質を指すことができる。該用語は、1以上の分子(異なる分子の混合物を含む)を含む物質をその範囲内に包含する。生体分子は、巨大分子でもよい。生体分子は、約1〜約1000kDa以上、或いは約1〜約100、1〜50、1〜20、1〜10、5〜1000、10〜1000、100〜1000、500〜1000、5〜100、5〜50、5〜20又は10〜20kDa、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900又は1000kDaの分子量を有することができる。一部の例において、生体分子は1kDa未満又は1000kDaを超える分子量を有することができる。生体分子は約0.5〜20nm、或いは約1〜20、2〜20、5〜20、10〜20、0.5〜10、0.5〜5、0.5〜2、0.5〜1、1〜10、2〜10、1〜5、5〜10、又は10〜20nm、例えば、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20nmの直径を有することができる。
【0017】
生体分子は、個々の当該適用分野に応じて選択することができる。粒子の中及び/又は上への生体分子の保持を達成するために、生体分子を負に帯電させることができる。このことは、生体分子が、セラミックマトリックス上の官能基に、例えば、アミノ官能性セラミックマトリックス中のプロトン化されたアミン基に結合することを可能にし得る。代わりに又は付加的に、生体分子は、該分子がセラミックマトリックスの官能基に結合することを可能にする他の官能基を有することができる。代わりに又は付加的に、生体分子は、該分子が粒子中に物理的に捕捉されるほど十分に大きくてもよい(すなわち、十分に大きな分子量又は分子体積を有する)。生体分子は、粒子の細孔を通過することができないほど十分に大きくてもよい。
【0018】
特定の実施形態において、生体分子は、RNAなどの核酸、例えば、siRNA(低分子干渉RNA)、miRNA(マイクロRNA)又はリボザイム、ASODN(アンチセンスヌクレオチド若しくはアンチセンスRNA)、DNA分子、アプタマー、タンパク質(ポリペプチド、ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、免疫グロブリン(例えば、抗体及び抗体フラグメント)、炭水化物、脂質、又はこれらの任意の2種以上の混合物若しくは付加物でよい。一つの特定の実施形態において、生体分子はsiRNAである。生体分子は、疾患、障害又は状態の予防又は治療処置に適用することができる。
【0019】
一部の実施形態では、粒子の表面に表面処理剤を結合させることが有利である。好ましい実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)鎖が粒子の表面に結合されている。代わりに又は付加的に、標的指向性基を粒子の表面に結合させて、使用の際に、該粒子を標的、例えば、腫瘍又は特定の臓器又は他の標的へ標的化することを促進することができる。特定の実施形態では、それらの遠位の末端に標的指向性基を有するPEG鎖を粒子に結合させることができる。
【0020】
特定の実施形態において、粒子状物質の粒子が約0.1〜約1ミクロンの平均粒径を有することが好ましい。しかし、それらの粒子は、約0.1〜10ミクロン、或いは約0.1〜5、0.1〜2、0.1〜1、0.1〜0.5、0.2〜10、0.5〜10、1〜10、2〜10、5〜10、0.2〜2、0.2〜1、0.2〜0.5、0.5〜2又は0.5〜1ミクロン、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9又は10ミクロンの平均粒径を有することができる。
【0021】
一部の実施形態において、平均粒径は、約0.1ミクロン未満であることが好ましいこともある。例えば、それは、約20〜100nm(0.1ミクロン)、或いは約20〜50nm又は約50〜100nm、例えば、約20、30、40、50、60、70、80又は90nmでよい。
【0022】
大きさが約1〜2ミクロンを超える粒子は、細胞内送達に適さない場合があることに留意されたい。しかし、それらの粒子は、より大きなタンパク質を身体中の他の場所に送達するのに有用である可能性があると考えられる。それに関して、数ミクロンまでの粒子は、とりわけ、特殊な貪食細胞によって内在化される可能性がある。
【0023】
粒子は、実質的に単分散性であるか、或いは一部は凝集して存在して粒度分布曲線中で第二のピークを形成することもある。分布曲線は、正規、ガウス分布又は一部は他の分布でよい。粒子は、広い粒度分布、又は中度若しくは狭い粒度分布を有することができる。粒子は、球状又はほぼ球状でよく、或いは卵形若しくは扁平球又は多面体(例えば、8〜約60の面を有する)でよく、或いは他の形状でよい。それらは、不規則形状でもよい。
【0024】
粒子はメソ多孔性(すなわち、細孔径<100nm)であり得る。粒子はマイクロ多孔性(すなわち、細孔径<1.7nm)であってもよい。好ましくは、粒子は、約1〜約50nmの平均細孔径を有する。例えば、平均細孔径は、約1〜20、1〜10、5〜50、10〜50、20〜50、5〜20、5〜10又は10〜20nm、例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50nmでよい。
【0025】
細孔構造は、相互に連結された細孔を含むことができ、又は相互に連結された比較的小さなチャネルによってつながった空隙を含むことができる。細孔径は、細孔からの拡散による生体分子の放出を実質的に防止するように十分に小さくてもよい。或いは、細孔径が生体分子が脱出できるほどの大きさである場合、生体分子を細孔表面の官能基へ引き付けることによって保持することができる。官能基は、細胞中への粒子の透過を促進する基と同一でも異なっていてもよい。
【0026】
粒子は、約1〜約20%w/w、例えば、約1〜10、1〜5、1〜2、2〜20、5〜20、10〜20、2〜10、2〜5又は5〜10%、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%の生体分子担持量(loading)を有することができるが、一部の事例では、1%未満であってもよく、或いは20%を超えてもよい。
【0027】
使用の際、生体分子は、有利には、生体分子を実質的に分解しない条件下での粒子の溶解によって放出可能である。例えば、生体分子は、生体分子を実質的に分解しない生物学的媒体による粒子の溶解によって放出可能であってもよい。或いは、生体分子は、適切な放出用液体で希釈した場合に、放出可能であってもよい。
【0028】
一般には、生体分子は、約0.5〜約50時間にわたって放出可能である(例えば、実質的に完全に放出可能である)。例えば、約0.5〜20、0.5〜10、0.5〜5、0.5〜2、1〜50、5〜50、10〜50、1〜20、1〜10、2〜10又は5〜10時間、例えば、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45又は50時間。溶解速度は、粒子の大きさに依存し得るので、この速度は、以下に記載するように、粒子の大きさを適合させることによって調節することができる。
【0029】
粒子が、生体分子を分解する能力を有する分解剤、例えば酵素に曝露される場合、最も有利には、生体分子は、粒子からのその放出に先立って分解から保護される。すなわち、生体分子は、セラミックマトリックスによって分解から保護される。
【0030】
一部の実施形態では、ポリマー又は錯化剤を生体分子と一緒に粒子の細孔中に配置して、エンドソーム脱出を促進することができると考えられる。典型的には、ポリマーは、ポリエチリナミン(polyethylinamine)、ポリリシン、又はポリヒスチジン、或いはプロトンスポンジ効果をもたらす任意の物質でよい。
【0031】
マイクロ粒子(>
100nm)の形成
一部の実施形態において、マイクロスケールの粒子を形成することが有利である可能性がある。この語の意味について、マイクロ粒子は平均粒径が100nmを超える粒子である。
【0032】
本発明の別の態様によれば、その細孔中に分散された生体分子を含む粒子の製造方法が提供され、前記方法は、
a)疎水性液体、第一セラミック前駆体及び界面活性剤を含む疎水性相、並びに親水性液体、第二セラミック前駆体及び生体分子を含む親水性相を、疎水性相中に分散された親水性相の液滴を含むエマルジョンを形成するように合わせるステップと、
b)液滴の内部に粒子が形成するようにエマルジョンをかき混ぜるステップと
を含み、第一セラミック前駆体は、細胞中への粒子の透過を促進することができる官能基を含む。
【0033】
本明細書中で使用する場合、用語「かき混ぜる」は、必ずしも限定はされないが、撹拌、振盪、渦流撹拌、超音波処理、剪断など、及びこれらの任意の組合せを含む任意の形態のかき混ぜをその範囲内に包含する。
【0034】
粒子の調製において、エマルジョンは、疎水性相を親水性相と合わせることによって形成される。これは、油中水(w/o)型エマルジョンであり、ここで、疎水性相は連続相に相当し、親水性相は分散又は不連続相に相当する。
【0035】
疎水性相は、親油性相又は脂溶性相でよい。疎水性相は、疎水性相を形成するように、界面活性剤を疎水性液体と合わせるステップと、第一セラミック前駆体を添加するステップとによって調製することができ、又は三つのすべての成分を合わせるステップによって調製することができ、又は第一セラミック前駆体を疎水性液体又は界面活性剤の一方と合わせ、次いで他方を添加するステップによって調製することができる。これらのステップは、好ましくは、疎水性相及び親水性相を合わせるステップに先立って実施される。それぞれの合わせるステップは、合わせた成分をかき混ぜることを含むことができる。かき混ぜは、撹拌、振盪、渦流撹拌、超音波処理、又はこれらの組合せを含むことができる。成分が溶液を形成すれば十分であり得る。したがって、疎水性相は、第一セラミック前駆体及び界面活性剤の疎水性液体中の溶液を意味し得る。
【0036】
疎水性相は三種の成分を含む:すなわち、
疎水性液体-これは、例えば、植物油、パラフィン油、鉱油、又は他の適切な疎水性液体でよい。疎水性液体は疎水性成分の混合物、例えば、植物油の混合物、又は植物油とパラフィン油との混合物を含むことができる。疎水性液体は、一般に、中程度の粘度、例えば、約0.5〜約1500mPa・s、或いは約0.5〜1000、0.5〜500、0.5〜250、0.5〜100、0.5〜50、0.5〜20、0.5〜10、0.5〜5、0.5〜1、1〜1500、10〜1500、100〜1500、250〜1500、500〜1500、1000〜1500、10〜1000、10〜200、200〜1000若しくは200〜500mPa・s、例えば、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400若しくは1500mPa・s、又は一部事例では、1500mPa・sを超える粘度を有する。疎水性液体の粘度は、前記方法によって調製される粒子の粒径を調節するのに活用することができる。より粘性の疎水性液体は、一般に、より粘性の疎水性相を提供し、概してより小さい粒径をもたらす。
【0037】
界面活性剤-これは、油中水型エマルジョンを維持するのに適した界面活性剤でよい。界面活性剤は疎水性液体に可溶性、又は疎水性液体と混和性でよい。界面活性剤は非イオン性界面活性剤でよく、又はアニオン性界面活性剤でよく、又は双性イオン性界面活性剤でよい。界面活性剤は、約8〜約16、又は約8〜12、10〜16若しくは8〜10、例えば、約8、9、10、11、12、13、14、15若しくは16のHLBを有することができる。適切な界面活性剤としては、Span(登録商標)20(モノラウリン酸ソルビタン)、Aerosol(登録商標)OT(ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム)、Span(登録商標)20/Tween(登録商標)80混合物、及びSpan(登録商標)20/Brij(登録商標)35混合物が挙げられる。混合された界面活性剤を使用すると、一般には、きわめて微細なエマルジョンが得られるが、一般に、最終粒径は変化しない。
【0038】
第一セラミック前駆体-この成分は、細胞中への生じる粒子の透過を促進することができる官能基を含む。特定の実施形態において、第一セラミック前駆体の官能基は、生体分子と化学的に相互作用する、例えば静電的に相互作用することができる。
【0039】
第一セラミック前駆体は、例えば、アミノ官能性でよい。代わりに、他の正に帯電した基、又は正に帯電させることのできる基を使用することができる。第一セラミック前駆体は、一つの分子に少なくとも一つのアミン基を有し、アミノ官能性セラミックマトリックスに変換され得る化合物でよい。第一セラミック前駆体は、疎水性液体、又は疎水性液体中の界面活性剤の混合物(場合によっては、溶液)に可溶性であり得る。
【0040】
適切なセラミック前駆体としては、アミノ官能性シラン、とりわけアミノ官能性アルコキシシランが挙げられる。これらのシランのアルコキシ基は、例えば、C
1〜C
6アルコキシ基(C
3以上であるなら、分枝状でもよい)、通常C
1〜C
4アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、又はブトキシ基でよい。一部の事例では、他の加水分解性基、例えば、アセトキシ、ケトキシモ(ketoximo)、エノールオキシなどを使用することができる。アミノ官能性セラミック前駆体は、1分子につき2個以上のアミン基を、例えば、1分子につき2、3、4又は5個のアミン基を有することができる。本発明者らは、ジアミノ及びトリアミノセラミック前駆体が、対応するモノアミノセラミック前駆体に比べて、適切な生体分子を結合させる上でより効果的である粒子を通常もたらすことを見出した。各アミン基は、独立に、第一級、第二級又は第三級でよい。好ましい前駆体において、アミン基は、リンカー基、通常、エチレン(-CH
2CH
2-)鎖、プロピレン(-CH
2CH
2CH
2-)鎖、又はブチレン(-CH
2CH
2CH
2CH
2-)鎖などの短いアルキレン鎖によって隔てられる。本発明者らは、ブチレン基は、この基がプトレシン(N-4-N)、スペルミジン(N-3-N-4-N)及びスペルミン(N-3-N-4-N-3-N)などの天然に存在するポリアミンポリヌクレオチドリガンド中に存在するので、とりわけ有用である可能性があると考える。ペンチレン及びヘキシレンを含む種々の組合せも有用である可能性があるが、生体成分の構造とあまりにも異なる基は有毒である可能性がある。とりわけ、本発明者らは、エチレンスペーサーが、アミン基の間に、siRNAの電荷の間隔に許容される接近した距離を提供し、かつ市販製品中に存在するので、このスペーサーは、生体分子がsiRNAである場合に使用に適すると考える。したがって、適切な前駆体としては、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、又は3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリエトキシシラン、及びこれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。第一セラミック前駆体として使用できる他の化合物としては、尿素プロピルトリアルコキシシラン、イソシアネート官能性アルコキシシラン、カルボキシル官能性アルコキシシラン、メルカプト官能性アルコキシシラン(例えば、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン)、カチオン性ペプチド、或いはアルコキシシランにグラフトされた炭水化物又は脂質などが挙げられる。これらの任意の2種以上の、或いは任意の他の適切な第一セラミック前駆体の混合物も使用することができる。
【0041】
一部の事例において、第一セラミック前駆体は混合物でよい。それは、シラン系セラミック前駆体の混合物でよい。それは、さらに、1種以上の非シラン系セラミック前駆体、例えば、ジルコニア系前駆体、アルミナ系前駆体、又はチタニア系前駆体を含むことができる。これらは、例えば、それぞれ、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、及びチタンアルコキシドでよい。
【0042】
通常、界面活性剤の疎水性液体に対する比率は、約5〜約25%w/v(すなわち、100mLの疎水性液体に対して約5〜約25gの界面活性剤)、或いは約5〜20、5〜15、10〜25、15〜25又は10〜20%、例えば、約5、10、15、20又は25%である。
【0043】
通常、第一セラミック前駆体の疎水性液体に対する比率は、v/v基準で約10〜約1000ppm、或いは約10〜500、10〜200、10〜100、10〜50、20〜1000、50〜1000、100〜1000、200〜1000、500〜1000、20〜500、50〜500、50〜200、200〜500又は50〜200ppm、例えば、約10、20、304、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900又は1000ppmである。
【0044】
親水性相は疎脂性相でよい。親水性相は水相でよい。親水性相は三種の成分を含む:すなわち、
親水性液体-これは、疎脂性でよい。親水性液体は、通常、水性であり、例えば、純水をはじめとする水、又は水溶液でよい。親水性液体は溶解された塩を含むこともできる。
【0045】
第二セラミック前駆体-これは、水溶性ケイ酸塩、とりわけメタケイ酸塩でよい。それは、ケイ酸塩自体(例えば、オルトケイ酸テトラメチル又はオルトケイ酸テトラエチルなどのケイ酸テトラアルキルの加水分解による)でよく、或いは式RSi(OR')
xOH
ySi
z(ここで、x+y+z=3であり、本明細書中では、ケイ酸アルキルと称され、例えば、アルキルトリアルコキシシラン、例えばメチルトリメトキシシラン又はエチルトリメトキシシランの加水分解によって生じる)を有する種でよい。ケイ酸アルキルの場合、アルキル基Rは、第二セラミック前駆体が水溶性であるように十分に小さいか、又は十分に親水性でなければならない。このことは、例えば、メチル又はエチルなどの小さなR基で、又はヒドロキシル、ニトロ、硫酸基などの親水性又は極性置換基を有するより大きなR基で達成され得ることが理解されるであろう。
【0046】
第二セラミック前駆体は、例えば、水ガラスでよい。水ガラスは、およそNa
2SiO
3の実験式を有し、通常、水溶液中で多様な水和度を有するオリゴマー又はポリマー性のケイ酸塩材料である。水ガラスは、約1〜約20%の、又は約1〜10、1〜5、1〜2、2〜20、5〜20、10〜20、2〜10、2〜5若しくは5〜10%の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20%の固形分を有することができる。水ガラスは、水中に約25〜約30%のシリカ、及び約1〜約20%の水酸化ナトリウムを有することができる。それは、水に約1:2〜約1:10の、又は約1:2〜1:5、1:5〜1:10若しくは1:3〜1:8の、例えば、約1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9若しくは1:10の比率で希釈することができる。
【0047】
第二セラミック前駆体は、また、チタンアルコキシド(例えば、エトキシド、n-及びイソ-プロポキシド、n-、sec-及びtert-ブトキシド)又はアルミニウムアルコキシド又はジルコニウムアルコキシド、或いは修飾された(例えば、アセチルアセトン又は酢酸で修飾された)金属アルコキシドでよい。第二セラミック前駆体は、混合型金属アルコキシドでもよい。第二セラミック前駆体は、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケートなどを形成する、マグネシウム塩、ジルコニウム塩、又はアルミニウム塩のような別の金属塩でもよい。第二セラミック前駆体は、前もって加水分解されたケイ素アルコキシドでよい。
【0048】
第二セラミック前駆体は、セラミックコロイド、例えば、コロイド状シリカを含むことができる。セラミックコロイドは、50nm未満の、或いは約40、30、20又は10nm未満の、或いは約5〜約50nm、或いは約5〜20、5〜10、10〜50、20〜50又は10〜20nmの粒径を有することができる。それは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50nmの粒径(通常、平均粒径、場合によっては最大粒径)を有することができる。
【0049】
一部の事例において、第二セラミック前駆体は、前記選択肢の二つ以上の組合せを含むことができ、例えば、水溶性ケイ酸塩とコロイド状シリカとの混合物を含むことができる。
【0050】
生体分子-生体分子に関する種々の選択肢は、前に列挙されている。前記のように、これは、負に帯電していても、又は無帯電でもよい。生体分子は、十分に負に帯電して(第一セラミック前駆体に由来する)粒子の官能基に引き付けられることができ、場合によっては結合することができる。生体分子は、RNA、例えば、siRNA(低分子干渉RNA)、miRNA(マイクロRNA)、ASODN(アンチセンスヌクレオチド又はアンチセンスRNA)、アプタマー、DNA、タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、或いはこれらの任意の2種以上の混合物又は付加物であるか、それらを含むことができる。
【0051】
さらに、エンドソーム脱出を促進するために、ポリマー又は錯化剤を、それらが粒子の細孔内に生体分子と一緒に配置されるように添加することができる。典型的には、該ポリマーは、ポリエチリナミン、ポリリシン、又はポリヒスチジン、或いはプロトンスポンジ効果をもたらす任意の物質でよい。
【0052】
親水性相は酸性であり得る。該相は、第一セラミック前駆体(又は、セラミック前駆体が塩基、例えば、アミノ官能性セラミック前駆体であるなら、その共役酸)のpK
a未満のpHを有することができる。親水性相は、約10.5未満の、或いは約10、9、8、7、6、5.5、5、4.5又は4未満、或いは約3〜10.5、5〜10.5、7〜10.5、9〜10.5、7〜10、9〜4、7〜4、9〜7、5〜7、3〜6又は約3〜5、3〜4、4〜6、4〜5又は3.5〜4.5の、例えば、約3、3.5、4、4.5、5、5.5又は6のpHを有することができる。
【0053】
通常、親水性相を調製する際には、親水性液体及び第二セラミック前駆体を合わせ、場合によっては第二セラミック前駆体を親水性液体に溶解させる。該方法は、続いて、pHを、第一セラミック前駆体のpKa未満のpHに、例えば、約10.5未満のpHに、又は酸性pHに、例えば、約7未満、約5未満又は約4未満のpHに調整するステップと、親水性相を形成するように生体分子を添加するステップとを含むことができる。例えば、第二セラミック前駆体が水ガラス又はコロイド状シリカである場合、通常、塩基性溶液がもたらされる。該方法は、それゆえ、この溶液を酸性化するステップを含む。
【0054】
酸性化は、簡便には、溶液を陽イオン交換樹脂に曝露することによって達成することができ、ここで、前記曝露の前に、該樹脂はその酸の(プロトン化された)形態で存在する。曝露は、樹脂と溶液とを合わせるステップと、場合によっては生じる混合物をかき混ぜ、次いで酸性化された溶液から樹脂を(例えば、濾過、デカント、遠心分離などによって)分離するステップとを含むことができ、或いは溶液を樹脂床に通過させるステップを含むことができる。樹脂の第二セラミック前駆体に対する比率は、(前記の)所望のpHが達成されるような比率でよい。代わりに、第二セラミック前駆体を、酸性化剤(例えば酸)又は適切な緩衝液を添加することによって酸性化することもできる。
【0055】
通常、生体分子は、親水性相及び疎水性相を合わせる少し前に、酸性化された溶液に添加される。生体分子は、それらの相を合わせる直前に添加することができる。生体分子は、それらの相を合わせる約2分未満前、または、それらの相を合わせる約1分未満前、或いは約50、40、30、20、15又は10秒前に、例えば、それらの相を合わせる約5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110又は120秒前に添加することができる。これによって、生体分子の有害化学反応が発生する可能性が低下する。生体分子は、最終粒子における所望の担持量を達成するのに十分な量で親水性相中に存在することができる。親水性相中での生体分子の典型的な濃度は、約1〜約10mg/ml、或いは約1〜5、5〜10又は2〜8mg/ml、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10mg/mlである。生体分子は、溶液形態の合わされた親水性液体/第二セラミック前駆体に添加することができる。この溶液の溶媒は、親水性液体と混和性でなければならず、通常、親水性液体と同一物である。生体分子は、水溶液の状態で添加することができる。
【0056】
エマルジョンを形成する際には、疎水性相及び親水性相を、場合によってはかき混ぜながら合わせる。かき混ぜは、撹拌、振盪、渦流撹拌および超音波処理の1種以上を含むことができる。エマルジョンを製造するのに効果的な方法は、疎水性相を前記のように調製し、その相を、親水性相の添加に備えて、撹拌と超音波処理とに同時にかけることである。次いで、生体分子を合わせた第二セラミック前駆体及び親水性液体(例えば、酸性化された水ガラス水溶液)と合わせることによって親水性相を調製し、生じた親水性相を超音波処理され、撹拌された疎水性相に、超音波処理を維持しながら、できる限り急速に添加する。超音波処理は、添加に続いて短時間、例えば、約10〜約120秒、或いは約10〜60、10〜30、20〜120、60〜120、20〜60又は20〜40秒、例えば、約10、20、30、40、50、60、90又は120秒間継続することができる。超音波処理は、通常、エマルジョンの過熱を防止するために、適切な時間の後に停止させる。このような過熱は、例えば、生体分子に有害な影響を及ぼす可能性がある。超音波処理は、約200〜2000W、或いは約200〜1000、200〜500、500〜2000、1000〜2000、500〜1000又は600〜800W、例えば、約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800又は2000Wの電力で実施することができる。
【0057】
疎水性相の親水性相に対する比率は、約10〜約50(すなわち、約10:1〜約50:1)、或いは約10〜40、10〜30、10〜20、20〜50、30〜50、40〜50、20〜40又は25〜25、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45又は50でよい。
【0058】
第一セラミック前駆体の第二セラミック前駆体に対するモル比については、約0.2〜約20モル%、或いは0.5〜20、1〜20、2〜20、5〜20、10〜20、0.2〜10、0.2〜5、0.2〜2、0.2〜1、1〜10、1〜5又は5〜10、例えば、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20モル%で十分であり得る。第一セラミック前駆体がアミノ官能性シランであるか、或いはそれを含む場合、粒子上の電荷を変えるために、第一セラミック前駆体の第二セラミック前駆体に対する比率を変えることができる。量が少ない(例えば、第二セラミック前駆体に対して約1モル%)なら、粒子はほぼ無電荷であり、一方、量がより多い(約10モル%)なら、それらの粒子は正に帯電している。アミノ官能性シランを添加しないと(又はきわめて少量、例えば約0.5モル%未満なら)、粒子は負に帯電している可能性がある。
【0059】
前記のように調製されたエマルジョンにおいて、親水性相の液滴は、約0.1〜約10ミクロンの、或いは約0.1〜5、0.1〜2、0.1〜1、0.1〜0.5、0.2〜10、0.5〜10、1〜10、2〜10、5〜10、0.2〜2、0.2〜1、0.2〜0.5、0.5〜2又は0.5〜1ミクロンの、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9又は10ミクロンの平均直径を有することができる。平均は、数平均又は重量平均直径でよい。液滴は、実質的に単分散性でよく、或いは分布曲線中で第二のピークを形成する若干の凝集が存在してもよい。液滴は、広い粒度分布、又は中程度若しくは狭い粒度分布を有することができる。
【0060】
粒子は、第一及び第二セラミック前駆体の相互作用によって液滴の内部に生じると考えられる。粒子を形成する前駆体の縮合は、通常、きわめて急速(数ミリ秒〜数秒)である。相互作用は、反応であってよく、縮合でもよい。それは、第一セラミック前駆体の加水分解を含むことができる。第一セラミック前駆体がアミノ官能性であり、親水性相に直接添加された場合、急速なゲル化が起こり、その結果、適切な大きさの粒子の形成が妨げられることが観察された。
【0061】
合わせた親水性相及び疎水性相を、粒子を形成するのに十分な時間、撹拌、又は別の方法でかき混ぜることができる。粒子の形成は、少なくとも部分的には反応温度に依存する可能性がある。粒子の形成は、任意の適切な温度で、例えば、室温で、或いは約10〜約35℃で、或いは約10〜30、10〜25、10〜20、15〜35、20〜35、25〜35、15〜30、15〜20又は20〜25℃で、例えば、約15、20、25、30又は35℃で実施することができる。粒子の形成は、生体分子の変性温度未満の温度で実施することができる。粒子の形成は、約10〜約120分を要する可能性があるが、合わせた相を、所望なら、この時間よりもより長く撹拌、又は別の方法でかき混ぜることができる。適切な時間は、約10〜100、10〜60、10〜30、20〜120、30〜120、60〜120、30〜90又は45〜75分、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115又は120分である。
【0062】
粒子が形成されたら、それらの粒子の表面を官能化することができる。これは、in situで、すなわち、粒子を分離又は単離することなく達成することができる。表面官能化は、粒子の表面を処理するために、粒子を形成した後のエマルジョンに表面処理剤を添加することを含むことができる。表面官能化は、PEG化(すなわち、表面にポリエチレングリコール鎖を付加すること)でよい。表面処理剤は、結合基に結合しているポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むことができる。PEG鎖は、約1〜20kDaの、或いは約1〜10、1〜5、1〜2、2〜20、5〜20、10〜20、2〜10、2〜5又は5〜10kDaの、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20kDaの分子量を有することができる。結合基はトリアルコキシシランでよく、すなわち、表面処理剤はトリアルコキシシリルPEGでよい。適切なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ又はプロポキシが挙げられる。他の加水分解可能なシリル基、例えば、トリアセトキシ、トリオキシモ、トリエノールオキシ、トリアミドなどを使用することもできる。粒子の表面は、表面を、粒子表面のOH、或いは粒子の内部及び表面に組み込まれたアミノ基と反応する官能基を有するPEG(又は、他の適切な分子)と反応させることによって官能化することができる。例えば、カルボキシル官能性PEGである表面処理剤を使用して、粒子上の表面のアミノ基とのアミドを形成することができ、或いは(例えば、スクシンイミジル基又はイソチオシアネート基を形成することによって)表面のアミン基を活性化し、次いでアミノ官能性PEGである表面処理剤と反応させることができる。
【0063】
PEG基は、一般に大きく(典型的には>1kDa)、その結果、それらは、球の内部に透過せず、むしろ主として粒子の表面上にグラフトする。このグラフトに適した一連の官能性PEG、例えば、粒子表面上のアミンと反応するとアミド結合を形成するイソチオシアネート修飾PEG及びカルボキシ修飾PEGは、市販されている。
【0064】
粒子の表面を官能化するための、後の表面官能化、例えば、PEG化は、塩基性条件に限定されるが、十分である。塩基性条件において、一部の事例では、第一セラミック前駆体(例えば、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン)を、第二セラミック前駆体(例えば、水ガラス又はコロイド状シリカ)に直接添加することができる。一部の事例において、親水性相のpHは、第一セラミック前駆体のpK
aより低くはない。このような事例では、初めに形成された(塩基性条件下で調製された)粒子懸濁液を続いて酸性化することができる。このことは、生体分子が負に帯電している場合、粒子への生体分子の付着を促進するのに役立つ可能性がある。続いて粒子を表面処理する場合、PEG-シランの付着を促進するために、後の表面処理の前又は処理中に酸性化を実施することができる。粒子上に正電荷が存在しない場合、粒子の細孔を通る生体分子の脱出を防止するほど十分に該生体分子が大きくない限り、生体分子の放出はきわめて迅速(分単位)である可能性がある。
【0065】
一部の事例において、表面処理剤は、患者中の標的を標的化するための標的指向性基を含むことができる。例えば、表面処理剤は、PEGの遠位の末端に標的指向性基を有するトリアルコキシシリル-PEGを含むことができる。すなわち、該処理剤は、トリアルコキシシリル-PEG-標的指向性基の構造を有することができる。標的は、例えば、腫瘍、或いは特定の臓器又は他の標的でよい。標的指向性基は、例えば、抗体又は抗体フラグメント(例えば、F
ab)でよい。適切な標的指向性基の例には、抗体、ペプチドサイトカイン、ペプチドホルモン、マトリックスタンパク質、細胞表面受容体、細胞接着に関わるタンパク質、細胞認識に関わるタンパク質、細胞運動性に関わるタンパク質、細胞動員に関わるタンパク質、細胞分化に関わるタンパク質、疾患認識に関わるタンパク質、生物学的に活性な炭水化物(ヘパリン及び関連物質など)、生物学的に活性な糖タンパク質(限定はされないが上で列挙した部類に包含されるものを含む)、上記の群の任意のリガンド、上記の群の任意のフラグメント、上記の群の任意の相同体、上記の群の任意の親和性又は機能を共有する低分子量物質、他の低分子量生体分子(例えば、ホルモン、栄養素、薬物、毒素、神経伝達物質、内分泌物伝達物質、オートクリン及びパラクリン伝達物質、色素、脂質、油、イオン性リガンド、代謝産物、異化代謝産物)などが含まれる。
【0066】
表面処理剤は、疎水性相中の粒子懸濁液に直接添加することができる。反応は、ほぼ外界温度で、例えば、反応を達成するのに適切な時間撹拌することによって適切に実施することができる。適切な時間は、約8〜約24時間、或いは約8〜16、8〜12、12〜24、18〜24又は12〜18時間、例えば、約8、12、16、20又は24時間である。十分な量の表面処理剤を使用して、例えば、過剰な粒子凝集を防止するのに十分な、又は標的への粒子の許容される標的指向性を提供するのに十分な、適切なレベルの表面官能化を使用の際に達成することができる。
【0067】
粒子が形成されたら、通常、それらの粒子を完全には乾燥させない。このことは、粒子の凝集を抑制する。この凝集は、起こった場合再懸濁を必要とするが、再懸濁は状況によっては困難であることもある。通常、粒子は、溶液から遠心分離により分離される。適切な条件は、約10000〜約50000rpm、或いは約10000〜30000、30000〜50000又は20000〜30000rpm、例えば、約10000、20000、30000、40000又は50000rpmである。適切な分離は、通常、約5〜15分で達成されるが、より長い遠心分離も時には使用できる。
【0068】
不純物を除去するために、生じた粒子を洗浄することができる。洗浄工程は、粒子を溶媒に再懸濁すること、(例えば、沈降及び/又は遠心分離によって)粒子を溶媒から少なくとも部分的に分離させること、及び粒子から溶媒をデカントすることを含むことができる。溶媒は生体分子を変性しないものであることが重要である。このことは、使用される個々の生体分子に対して特異的である可能性がある。例えば、エタノールは、DNA又はRNAの構造に影響を及ぼさないが、多くの大きなタンパク質を変性する可能性がある。適切な洗浄用溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素;エタノール又はイソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。粒子は、数回(例えば、2、3、4又は5回、或いはそれ以上)、同一溶媒で又は異なる溶媒で洗浄することができる。
【0069】
生じた粒子は、適切な溶媒に再懸濁させて、後の使用のため、その溶媒中の懸濁液として貯蔵することができる。粒子が患者に送達される場合、この溶媒は臨床的に許容される溶媒でよい。貯蔵に適した溶媒はエタノールである。通常、粒子は、約-210〜+10℃、或いは約-210〜0、-90〜0、-210〜-100、-210〜-65、-90〜-30、-30〜0、-30〜-10、-20〜+10、-10〜+10、0〜10又は0〜5℃、例えば、約-210、-200、-180、-160、-140、-120、-100、-90、-80、-70、-60、-50、-40、-30、-25、-20、-15、-10、-5、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10℃の温度で貯蔵される。それらは、ほぼ液体窒素の温度で貯蔵することができる。それらはドライアイスの温度で貯蔵することができる。それらは、冷凍庫又は冷蔵庫中に貯蔵することができる。
【0070】
前節において、エタノールについて言及する場合、該エタノールは、約30%までの水を含むことができる。したがって、エタノールは、約70〜約100%のエタノール、或いは約80〜100、90〜100、70〜90又は80〜90%、例えば、約70、80、90又は100%のエタノールでよく、残りは水である。水含有量を同様に限定して、エタノールをイソプロパノール、n-プロパノール又はn-ブタノールで代替することもできる。エタノール又はプロパノールを使用することの利点は、それによって、患者に送達するために又は滅菌が有益である他の応用のために粒子に滅菌環境が提供されることである。一部の例ではメタノールを使用することができる。
【0071】
生体分子は概して高価であるので、生体分子に関する本発明の方法の封入効率(EE)が高いことが好ましい。EEは、例えば、第一セラミック前駆体の種類及び量、使用するセラミック前駆体に対する生体分子の比率などを含む、該方法のまさにその本質に依存する。通常、該方法は、約40%を超える、或いは約50、60、70又は80%を超えるEEを与える。EEは、例えば、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%であることができる。
【0072】
特定の実施形態では、生体分子を含む粒子の製造方法が提供され、該方法は、
a)疎水性液体、アミノアルキルアミノ官能性トリアルコキシシラン及び約8〜約16のHLBを有する界面活性剤を含む疎水性相、並びに水、約pH5の水ガラス及び生体分子を含む親水性相を、疎水性相中に分散された親水性相の液滴を含むエマルジョンを形成するように合わせるステップと、
b)液滴から粒子が形成するようにエマルジョンをかき混ぜるステップと
を含む。
【0073】
別の特定の実施形態では、生体分子を含む粒子の製造方法が提供され、該方法は、
疎水性相を形成するように、約8〜約16のHLBを有する界面活性剤を疎水性液体と合わせ、アミノアルキルアミノ官能性トリアルコキシシランを添加するステップと、
親水性相を形成するように、水と水ガラスとを合わせ、pHを約5未満に調整し、生体分子を添加するステップと、
疎水性相及び親水性相を、疎水性相中に分散された親水性相の液滴を含むエマルジョンを形成するように合わせるステップと、
液滴から粒子が形成するようにエマルジョンをかき混ぜるステップと、
粒子を表面処理するために、粒子を形成した後のエマルジョンに表面処理剤を添加するステップとを含む。
【0074】
この実施形態において、生体分子を添加するステップは、疎水性相及び親水性相を合わせるステップの直前に(例えば、1分未満内)実施することができる。生体分子は、RNA若しくはDNA又は前記のような他の生体分子でよい。それは、siRNAでよい。
【0075】
前記実施形態の変形形態において、pH約5未満に代えて他のpH範囲を使用することができる。例えば、約8を超えるpHなどの塩基性条件を使用することができる。本発明者らは、約5〜約8の範囲のpHも使用可能であると考える。他の考え得る変形形態は、水/水ガラスの組合せに代えてコロイド状シリカなどのコロイド状懸濁液を使用することを包含する。これらの変形形態は、タンパク質などの比較的大きな生体分子の封入に適している可能性がある。
【0076】
ナノ粒子(<
100nm)の形成
種々の実施形態において、より小さなスケールで、とりわけ100nm未満の大きさの粒子を形成することが有利である可能性がある。一部の例において、このことは、生体分子のより効果的な送達を提供することができると考えられる。
【0077】
したがって、本発明は、また、その細孔中に配置された生体分子を含む粒子の製造方法を提供し、該方法は、
a)疎水性液体及び界面活性剤を含む疎水性相、並びに親水性液体及び触媒を含む親水性相を、疎水性相中に分散された親水性相の液滴を含むエマルジョンを形成するように合わせるステップと、
b)該エマルジョンにセラミック前駆体を添加し、該セラミック前駆体を加水分解するステップと、
c)親水性相のpHを生体分子に適した範囲に調整するステップと、
d)該エマルジョンに生体分子及び官能化されたセラミック前駆体を添加するステップと、
e)液滴の内部に粒子が形成するようにエマルジョンをかき混ぜるステップと
を含み、官能化されたセラミック前駆体は、細胞中への粒子の透過を促進することができる官能基を含む。
【0078】
マイクロ粒子の調製に関して前記の多くの特徴及び実施形態は、本発明のナノ粒子の態様に等しく適用することができる。それに応じて、これらの特徴及び実施形態は、不必要な反復を回避するために、参照により本明細書に明確に組み込まれる。それに関して、本発明のこの態様において記載される官能化されたセラミック前駆体は前記の第一セラミック前駆体に相当する。本発明のこの態様において記載されるセラミック前駆体は前記の第二セラミック前駆体に相当する。
【0079】
特徴及び実施形態の組み込みについては前記の通りであるが、とりわけ本発明の特定の実施形態において、官能化されたセラミック前駆体の官能基は生体分子と化学的に相互作用する、例えば、静電的に相互作用することができる。例えば、官能化されたセラミック前駆体は、アミノ官能性アルコシキシランなどのアミノ官能性セラミック前駆体でよい。特定の実施形態において、アミノ官能性セラミック前駆体は、アミノアルキルアミノ基を含む。例えば、アミノ官能性セラミック前駆体は、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、又は3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリエトキシシラン、或いはこれらの任意の2種以上の混合物を含むことができる。
【0080】
界面活性剤は、やはり、約8〜約16のHLBを有することができる。ノニルフェノールエトキシレートを用いて良好な結果を達成できることが見出された。疎水性相は、さらに、アルコール、例えば、1-ペンタノールなどの補助界面活性剤を含むことができる。
【0081】
(通常のエマルジョンとは対照的に)熱力学的に安定で、きわめて小さな(ほぼ10nm)液滴からなるマイクロエマルジョンが形成されるので、ナノ粒子を調製する場合、粘度が決定的に重要であるとは考えられない。
【0082】
特定の実施形態において、疎水性液体は、アルカン(例えば、ヘキサン(C
6)〜ドデカン(C
12))、シクロアルカン(シクロヘキサンなど)、芳香族(例えば、トルエン、ベンゼン)、及び灯油などのブレンドを含む。
【0083】
親水性相は、親水性液体及び触媒を含む。例えば、親水性液体は水を含むことができ、触媒は酸でよい。より一般的には、ケイ素アルコキシドを加水分解するための典型的な触媒は、酸又は塩基、フッ化物、或いは他の金属アルコキシド、例えばチタンアルコキシドでよい。
【0084】
生体分子は前記の通りでよい。例えば、それは、負に帯電しているか、或いは粒子の細孔を通過できないほど十分に大きなものであってよい。生体分子は、RNA、アンチセンスヌクレオチド、アンチセンス、アプタマー、DNA、タンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、又はこれらの任意の2種以上の混合物若しくは付加物を含むことができる。特定の実施形態において、生体分子はsiRNAを含む。
【0085】
本発明の方法は、生体分子の変性を回避するために、生体分子及び官能化されたセラミック前駆体の添加に先立って、例えば、NaOH、KOH及びNH
4OHなどの塩基を添加することによって、エマルジョンのpHを調整するステップを含む。典型的には、加水分解は、加水分解された前駆体の縮合を抑制しながら加水分解反応に十分な反応速度を確保するために、低いpH(例えば、2)で実施される。生体分子を添加する前に、pHを、好ましくは、より中性の条件(すなわち、pH>4)まで高める。
【0086】
やはり、ポリマー又は錯化剤を、生体分子と一緒に粒子の細孔内に配置されるように添加してエンドソーム脱出を促進することができる。典型的には、ポリマーは、ポリエチリナミン、ポリリシン、又はポリヒスチジン、或いはプロトンスポンジ効果をもたらす任意の物質でよい。
【0087】
本発明の前の態様と同様に、該方法は、
f)粒子を表面処理するために、粒子を形成した後のエマルジョンに表面処理剤を添加するステップ
をさらに含むことができる。
【0088】
表面処理剤は、結合基に結合しているポリエチレングリコール鎖を含むことができ、前記の結合基は、ポリエチレングリコール鎖を粒子の表面に結合させることができる。例えば、表面処理剤は、トリアルコキシシリル-PEGなどのPEG-シランでよい。
【0089】
表面処理剤は、患者中の標的を標的化するための標的指向性基を含むことができる。例えば、表面処理剤は、トリアルコキシシラン基から遠位のPEG末端に標的指向性基を含むトリアルコキシシリル-PEGを含むことができる。
【0090】
本発明はまた、前の段落のいずれかに記載される方法によって製造された粒子を提供する。
【0091】
前に言及したように、生体分子は、疾患、障害又は状態の予防又は治療処置に適用することができる。
【0092】
したがって、本発明の態様において、本明細書中で開示される粒子状物質を薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と一緒に含む医薬組成物が提供される。
【0093】
薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤は、全身投与において安全に使用することのできる固体又は液体フィラー、溶媒、希釈剤又は封入性物質でよい。個々の投与経路に応じて、当技術分野で周知の種々の担体を使用することができる。これらの担体は、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝化溶液、乳化剤、等張生理食塩水、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化物及び硫酸塩など)、有機酸(例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩及びマロン酸塩)などの塩、並びに発熱性物質を含まない水を含む群から選択することができる。薬学的に許容される担体、希釈剤及び賦形剤について記載している有用な参考文献(Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co、米国、ニュージャージー州、1991年))が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
剤形としては、錠剤、分散剤、懸濁剤、注射剤、液剤、シロップ剤、トローチ剤、カプセル剤、坐剤、エアロゾル剤、経皮パッチ剤などが挙げられる。これらの剤形としては、その目的のために特別に設計された注入又は埋め込み用制御放出デバイス、或いはこの方式でさらに作用するように修正された他の埋め込み形態を挙げることもできる。
【0095】
任意の安全な投与経路を本発明の粒子状物質を投与するのに用いることができ、例えば、経口、直腸、非経口、舌下、頬側、静脈内、関節内、筋内、皮内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳血管内、経皮などを用いることができる。
【0096】
別の態様では、哺乳動物の疾患、障害又は状態の治療方法が提供され、該方法は、本明細書に開示の粒子状物質又は医薬組成物を前記哺乳動物に投与することによって前記の疾患、障害又は状態を治療するステップを含む。
【0097】
さらに別の態様では、哺乳動物の疾患、障害又は状態の治療に使用するための、本明細書に開示の粒子状物質が提供される。
【0098】
疾患、障害又は状態は、遺伝性の疾患、障害又は状態(例えば、嚢胞性線維症又はハンチントン病);変性による疾患、障害又は状態(例えば、加齢性黄斑変性);がん(例えば、限定はされないが、乳房、頸部、肺及び前立腺のがんを含む、固形腫瘍、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、癌腫、黒色腫);自己免疫疾患を含む免疫系の疾患、障害又は状態(例えば、1型糖尿病、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス);炎症状態(例えば、ぜんそく、炎症性腸疾患、糸球体腎炎);ウイルス(例えば、C型肝炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス感染、AIDS)、細菌(例えば、肺炎、細菌性髄膜炎、百日咳、結核、破傷風)、原虫(例えば、マラリア)又は真菌(例えば、カンジダ)などの病原体による感染によって引き起こされる疾患、状態又は障害;循環系の疾患、障害又は状態(例えば、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高コレステロール血症);内分泌系の疾患、障害又は状態(例えば、II型糖尿病、骨粗鬆症、膵炎);又は神経学的な疾患、障害又は状態(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病又は癲癇)であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0099】
哺乳動物は、ヒト、又は興行動物(例えば、競走馬)、家庭内ペット(例えば、イヌ、ネコ)及び家畜(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、プタ)を含む非ヒト哺乳動物であり得るが、これらに限定されるものではない。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0100】
本発明の実施形態を、これより、添付の図面を参照し、例としてのみ説明する。以下の考察を、いかなる意味でも本発明に対する限定と解釈すべきでないことを認識されたい。
【0101】
siRNAの封入、及び修飾されたシリカ粒子からのsiRNAの制御放出について説明する。粒子は、積荷(cargo)の保持及び細胞への透過を補助するために組み込まれたある比率のアミノシランを有する非晶質シリカ(SiO
2)からなる。粒子は、生体適合性(循環半減期〜4時間)のために表面修飾される。粒子は、哺乳動物の細胞膜を透過し、それらの積荷をエンドソーム空間及び細胞内空間中に放出することができる。
【0102】
図1は、siRNA(代表的な生体分子、生じる粒子の積荷に相当する)を封入することを含む粒子の合成を図示する。
図1について、30mLの重質パラフィン油及び4.5gのSPAN-20(=500mM)を合わせることによって、疎水性連続相を調製した。これらは撹拌すること(30分間)によって合わせた。次いで、アミノシラン(DATMS又はTATMS、APTESではない)を、所望される電荷に十分な量で添加した(負帯電粒子のためには添加せず、無帯電粒子のためにはDATMS(1.5μL=ケイ素として1モル%)、正帯電粒子のためにはDATMS(1.5μL=ケイ素として10モル%)を添加した)。次いで、生じた混合物を少なくともさらに10分間、しかし60分を超えない時間撹拌した。
【0103】
次いで、4mLの水ガラスと20mLの水とを合わせることによってシリカ溶液を調製した。生じた混合物に撹拌しながら十分な量の陽イオン交換樹脂を添加してpHを4.0にした。次いで、シリカ溶液を、樹脂から未使用の容器中にデカントした。
【0104】
(前記のように調製された)疎水性相を、同時に磁気撹拌及び超音波処理(3/8''プローブ)するためにセットし、撹拌機を作動させた。疎水性相及び親水性相を合わせるのに備えて超音波装置を70%の出力(〜700W)まで高めた。
【0105】
5mgの積荷(20mg/mLのsiRNA溶液を250μL)を、前記のように調製された1.25mLのシリカ溶液と混合した。10秒間の超音波処理の後、シリカ/積荷の混合物を超音波装置の作動域に添加した。超音波処理を30秒間継続し、次いで、超音波装置を停止した。エマルジョンを取り出し、磁気撹拌器中に導入し、1時間撹拌した。この後、混合物にPEG5000-シラン(10mg)を添加し、生じた粒子懸濁液を一夜撹拌した。
【0106】
エマルジョンから遠心分離(15000×gで10分間)によって粒子を捕集した。次いで、エマルジョンを、0.5容のシクロヘキサンで希釈してその粘度を低下させ、シクロヘキサン(約40mL)で2回、100%エタノール(約40mL)で2回洗浄した。各洗浄ステップには、粒子を再懸濁すること、捕集すること、及び上清液をデカントすることを含めた。最終的に、-20℃又は4℃で貯蔵するために、粒子を5mLの100%エタノールに再懸濁させた。粒子は、4℃で数か月間、生物学的活性を実質的に低下させないで貯蔵することができるが、より低い温度で貯蔵すると、さらにより長期に貯蔵できる。
【0107】
上記方法は、約300nmの質量加重平均直径(d
0.5)を有する100〜1000nmの粒径範囲の粒子を提供する。これらの粒子を
図2及び4に示す。
図3に、粒子の粒度分布を示す。約1ミクロンの位置の肩は、おそらく少量の凝集粒子を示す。上記方法を後記の研究で使用したが、該方法を修正すると、d
0.5<150nmの分散粒子が生じた。
【0108】
添加するアミノシランの量及び/又は種類を変えることによって、異なる電荷を有する粒子を調製した。DATMS(アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン:1分子につき2個の窒素原子)を標準として使用した。APTES(アミノプロピルトリメトキシシラン:1分子につき1個の窒素原子)は効果がより少なく、TATMS(アミノエチルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン:1分子につき3個の窒素原子)は、DATMSに類似した結果を示した。
【0109】
前に言及したように、アミノシランを疎水性相に添加し、次いで、親水性移動によって親水性相に移動させた。相間の分配により、組み込まれたアミノシランの量は、添加された量よりも少なかった。親水性相へのアミノシランの直接添加(すなわち、水ガラスとの混合)は、早すぎるゲル化を引き起こすので、酸性pHでは実施できなかった。
【0110】
粒子の電荷は、10mMのMOPS(3-N-モルホリノプロパンスルホン酸緩衝液)中、pH7.0で測定した。粒子のゼータ電位は次の通りであった:
本来の粒子(アミノシランなし);ζ≦-30mV
無帯電粒子(1%DATMS):-5mv<ζ<5mV
正帯電粒子(10%DATMS):ζ≧+10mV
間接的測定法を使用したにもかかわらず、測定された電荷は、バッチ間でかなり再現性があった。
【0111】
パーセント封入効率(EE)は、siRNAの理論担持量(添加された量から決定される)を、放出された量によって測定される実際の担持量と比較することによって決定される。結果を下記に示す:
理論担持量:5%
EE(1mg/mLの放出から) バッチ1:85%±5%
EE(0.1mg/mLの放出から) バッチ1:80%±2%、 バッチ2:85%±10%
実際の担持量:4.2%
理論担持量:10%
EE75%、担持量7.5%
したがって、導入されるRNAの量が多いほど封入効率が低い。
【0112】
図5は、シリカ粒子からの蛍光標識されたsiDNAの放出に関する、種々の電荷及び表面修飾の効果を示す。前記のように、粒子の電荷は、使用するアミノシランの量を変えることによって操作することができる。正に帯電した粒子と負に帯電した積載物(payload)との間に生じ得る引力によって予測されるように、正に帯電した粒子からの放出は、負に帯電した粒子からの放出に比べてきわめて遅かった。負に帯電した粒子の場合、粒子表面上のPEGの存在が積載物の放出を加速すると思われる。
【0113】
粒子からの積載物の放出は、主として粒子マトリックスの溶解によると考えられる。水性媒体中での高い濃度(≧約1mg/mLの粒子)において、粒子からの積荷の浸出は、粒子の溶解を介する浸出に限定される。すなわち、溶液は、粒子マトリックス中で飽和状態に達し、それによって積載物の放出を制限することができる。このことは、
図6に示され、図中で、有効なsiRNA分子(点で表した値)及びスクランブル(scrambled)siRNA分子(四角で表した値)の双方の比較的急速な放出が、シリカマトリックスの溶解度によって決定される限界まで起こる。このことは、粒子の濃度が異なっていたので、
図5では明らかでないことに留意されたい。実質的にシリカの溶解限度未満の濃度(約100μg/mL)で、又は放出用液体が継続的に更新される状況において、粒子の完全溶解は、約12〜24時間かけて起こる。前記のように調製された粒子を、96%エタノール中に253Kで36日間貯蔵した。貯蔵後に粒子をRNアーゼ不含水に完全に溶解させた。得られた液体のHPLCによる溶出は、緩衝液中の封入されていないsiRNAのプロファイルにきわめて類似したプロファイルを示し、封入及び放出は、siRNAに有意な影響を及ぼさないことを示した。
【0114】
図7は、未封入のsiRNA、及び本発明により調製された粒子から放出されたsiRNAのHPLCクロマトグラムを示す。粒子及び対照(未封入のsiRNA)の双方を、RNアーゼAで15分間処理し、次いでPBSで3回洗浄した後、RNアーゼ阻害剤を含むPBSに懸濁した。シリカ粒子から放出された材料は、無傷のRNAであることを示した。未封入のsiRNAを同様に処理すると完全に破壊された。これらの実験は、封入された生体分子を酵素的分解から保護する粒子の能力を示している。
【0115】
図8は、PBS(左)又は50%ネズミ血清/PBS(右)3mg/Lに懸濁された粒子の写真を示す。一夜インキュベートした後に、肉眼で認められる凝集は起こらなかった。また、粒子を、1500ppmBSA中に1、3、10mg/kgの濃度で懸濁し、次いで2時間インキュベートした。次いで、粒径をMastersizer(Mie散乱)で測定すると、時間又は濃度に左右されない粒径分布の移行が明らかになった。
【0116】
結論として、4%の積荷担持量が通常達成可能であり、約8%の担持量が示された。80%を超える封入効率が通常達成可能である。粒子中での生体分子の保持は、主に静電力に仲介されると考えられ、生理学的pHにおいて、溶解に限定される放出特性をもたらす(すなわち、放出は主にマトリックスの溶解によって起こる)。積荷の保持特性は、96%EtOH中、-20℃で40日間貯蔵した後でも変化しないことが示された。
【0117】
哺乳動物細胞中への取込み
細胞透過及び積荷保持に対する粒子の電荷の影響、並びに細胞中への取込み及びエンドソーム脱出の時間的推移を調べた。
【0118】
RITC(イソチオシアン酸ローダミン)で共有結合的に標識され、siRNA型配列を有しFITC(イソチオシアン酸フルオレセイン)で標識されたDNAを有する粒子を合成した。細胞(NIH3T3、HeLa、HEPG2)を、コンフルエントの50%まで培養し、前記のような粒子(約30μg/mL、100nM DNAに相当)を培養培地に直接添加した。40時間後に、細胞中に透過しなかった粒子を除去するために、培養物をPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で1回洗浄し、次いで落射蛍光顕微鏡法によって画像化した。
【0119】
図9は、RITC標識を観測した結果を示し、各画像対において、上段の画像は位相差画像であり、下段の画像は蛍光画像である。
図9は、粒子上の正電荷が増すにつれて、より多くの粒子が細胞に取り込まれることを示している。したがって、粒子上の正電荷は、積載物を結合することを助けるだけでなく、細胞中への粒子取込みも助ける。
図10は、積荷が細胞に取り込まれる際、無帯電又は負に帯電した粒子と比較して、積荷は、正に帯電した粒子中により効果的に保持されることを示している。この図は、電荷によるsiDNAの保持を示している。各画像対において、上段の画像は位相差画像であり、下段の画像はsiDNAの蛍光画像である。
【0120】
図11は、2種の異なる細胞株中への粒子の取込み(すなわち、粒子の分布)を示し、
図12は、標識された積載物を強調した同じサンプルの顕微鏡写真(すなわち、積荷の分布)を示す。これらの図の双方の各画像対において、上段の画像は位相差画像である。
図11において、各対の下段の画像はRITC蛍光画像(赤色チャネル)であり、
図12において、各対の下段の画像はsiDNAの蛍光画像(緑色チャネル)である。これらの二つの図を比較することによって、粒子が細胞中に透過する際に、siRNAが粒子中に保持されていると判定することができる。細胞内部の緑色及び赤色ドットの配置は、シリカ(赤色チャネルドット=シリカ粒子)が、その蛍光性DNA積荷(緑色チャネルドット=DNA)を保持しながら内部に透過したことを意味し、したがって、DNAが、細胞内部に成功裡に移入されたことを示している。
図13〜15は、本発明の粒子を用いた、標識されたsiDNAの各種細胞株中への導入の時間的推移を示している(
図13:HEPG2、
図14:HeLa、
図15:RAW264)。各図は、処理後の各時点での細胞中の蛍光分布を示す。それぞれの場合に、より短い時点で、siDNAが主として小さな領域に配置されていることを観察することができ、細胞中に配置された粒子における局在化を示している。より長い時間の時点で、siDNAはより広い領域に広がり、粒子マトリックスの溶解による粒子からの放出及び細胞中への分布を示している。
【0121】
図16は、共焦点顕微鏡法を使用する同様の実験を示す。
図16において、各対の上段の画像は核の染色(青色チャネル)を示し、下段の画像はsiDNAの蛍光(緑色チャネル)を示す。HeLa細胞を、ポリリシンで被覆されたカバーガラス上にコンフルエントの25%で播種した。これらを、RITCで修飾され、FAM-DNAを有する粒子と共に24又は48時間処理した。次いで、それらを、PBSで洗浄し、3.7%ホルムアルデヒド/PBSで固定した。次いで、それらを1.2μg/mLのHoescht33342/等張生理食塩水で染色し、Gelmount及びアクリルでスライド上に取り付け、共焦点顕微鏡を用い100倍の倍率で画像化した。画像は150×150μm、z軸の薄片深さ350nmである。十分に明確でほぼ円形の構造物は核DNAに相当する。24時間後に、多数の小さな明るい領域が存在し、粒子内に局在化した積載物を示す。少量の散乱光は少量の放出された積載物に相当する。48時間後に、点光源は大部分が消失し、粒子の溶解を示す。代わりに、各細胞は明領域の散乱性ハローを有し、細胞内に放出された積載物を示す。
【0122】
遺伝子のノックダウン研究
図17は、本発明の担持粒子のノックダウン(すなわち、遺伝子発現の阻害)における有効性を示すための実験の結果を示す。この実験では、ヒトBJ線維芽細胞におけるDPP4の有効ノックダウンを観察した。siRNA単独では、おそらく、系中に存在するRNアーゼによる不活化のため、効果がなかった。当然、未担持のシリカ粒子も効果がなかった。siRNA/Lipoと表示された測定は、細胞膜を横切ってオリゴヌクレオチドを移入することが知られているLipofectamine(登録商標)を用いて移入されたsiRNAを指す。この系は、それが有毒であり、siRNAに対して酵素的攻撃からの保護を提供しないという欠点を有する。siRNA/nanoと表示された測定は、本発明による粒子中に封入されたsiRNAを表す。siRNAが存在するそれぞれの場合に、siRNAは約200nMで使用した。結果は、封入されたsiRNAが、この濃度でノックダウンに有効であったことを示し、実際、Lipofectamineを用いたsiRNAに比べてわずかにより効果的であった。
【0123】
インビトロでの結論
・本発明により粒子中へ生体分子を封入すると、生体分子を酵素的分解から保護することができる。
【0124】
・通常の培養条件下で細胞に適用した場合、生体分子を担持した粒子は細胞膜を透過し、それらの積荷を細胞内空間に送達することができる。
【0125】
・本発明の粒子を用いて生体分子を組織培養細胞に送達すると、それらの細胞中でのmRNAレベルの用量依存的低下をもたらす。
【0126】
・mRNAレベルの50%を超える低下をもたらすのに十分な、粒子中に封入されたsiRNAの用量は、インビトロで有意な毒性を示さない。
【0127】
追加の結果-粒子の合成
一般的な合成方法は、
図18のフローチャートに記載される。粒子の形成は、界面活性剤溶液に水性前駆体を添加するときわめて急速に起こった。しかし、一般には、エマルジョンの形成と粒子の捕集との間に少なくとも12時間の余裕をおいた。
【0128】
オリゴヌクレオチドの保持は、粒子の積荷とアミノシラン成分との間の静電的相互作用によって強く影響される。このため、置換の量及び種類、並びに形成及び放出時のpHは、封入、保持及び放出特性を決める上で決定的に重要な因子になる。
【0129】
パラメーター
この実施例で使用した界面活性剤はモノラウリン酸ソルビタン(Span(登録商標)20)であった。使用した界面活性剤濃度は約17質量%であった。疎水性相は重質流動パラフィンとし、これは、試験したものの中で最小の粒子を与えた。磁気撹拌及び超音波処理を組み合わせることによって、粒径は静脈内注射に許容される値まで減少した。
【0130】
積荷の保持を高めるために使用される好ましいアミノシランは、DATMS(アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン)であった。APTES(アミノプロピルトリエトキシシラン)及びTATMS(アミノエチルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン)を用いた実験によって、それらのアミノシランも、積荷の保持を高めるより小さい又はより大きい効果を有し、保持/放出特性を微調整するのに有用であり得ることが示された。積荷の担持量は粒子のゼータ電位に影響を及ぼすと予想され、アミノシランでの修飾は最大担持量に影響を及ぼすと予想される。
【0131】
水ガラスにとって安定な最低pHは約5.5であり、そのpHは、RNAにとって安定な最大pHに相当する。ケイ酸塩溶液があまりに中性に近いと、前駆体は、粒子の合成に使用され得る前に自発的にゲル化する。該溶液があまりに酸性であると、積荷のヌクレオチドの有意な分解が起こる。積荷がRNAである場合、取扱いが多少困難である場合には3.75〜4.00の前駆体pHが適していることが分かった。DNA、LNA又は他の修飾されたオリゴヌクレオチドは、より酸性の(それゆえより安定な)前駆体溶液を可能にする。
【実施例】
【0132】
実施例-図18
DATMS、ローダミン及びmPEG-5000で修飾された粒子中へのsiRNAの封入
15gのDowex50Wを100mLの5M HClと30分間撹拌して、樹脂を活性なプロトン化された形態に変換した。次いで、真空補助濾過により、樹脂を焼結ガラスフィルター付き漏斗中に回収し、樹脂を100mLのmilliQ水で2回洗浄して残留HClを除去した。
【0133】
9gのSpan(登録商標)20をテフロン(登録商標)製ビーカー中に秤量し、60mLの流動パラフィンを添加した。生じた混合物を約30分間撹拌して、パラフィン中へのSpan(登録商標)20の溶解を完結させた。29μLのDATMS液、及び6μLの10%ローダミン-APTES/2-プロパノンを撹拌されている界面活性剤溶液に添加した。
【0134】
4.0mLのケイ酸ナトリウム溶液を28mLのmilliQ水に添加した。8.0mLのこの溶液を、後に主要容積に滴下するために取っておいた。
【0135】
pHプローブを使用して溶液のpHを継続的にモニターし、活性化されたカチオン交換樹脂を添加して、ケイ酸塩混合物のpHを約3.5まで低下させた。ケイ酸塩溶液を樹脂からデカントし、pHを再度チェックした。
【0136】
2.5mLのこの前駆体溶液を5mLのプラスチック管に移した。適切な容積(<0.5mL)の積荷のRNA溶液を1.5mL管に移した。
【0137】
積荷のRNA溶液をケイ酸塩前駆体中にピペットで移した。RNA/ケイ酸塩混合物を界面活性剤溶液中にピペットで移し、撹拌しながら超音波処理を25秒間継続した。
【0138】
生じたエマルジョンを15分間急速撹拌した。次いで、エマルジョンに15mgのmPEG-5000シラン粉末を添加し、生じた混合物を一夜撹拌した。
【0139】
次いで、混合物を、>2000×gで5分間遠心分離して粒子を単離した。次いで、粒子をシクロヘキサンで2回洗浄してパラフィン及び界面活性剤を除去し、各洗浄の後に遠心分離し、次いでエタノールでもう1回洗浄した。粒子を遠心分離によって捕集し、上清液をデカントし、粒子を10mLのエタノールに再懸濁した。
【0140】
得られた生成物の典型的な重量は200mgであった。典型的な封入効率は>80%であった。pH7.4での粒子の典型的なゼータ電位は+20mVであった。粒子へ結合するタンパク質の元々のケイ酸塩粒子と比較した場合の典型的な減少(PEG化密度の尺度)は、>90%であった。
【0141】
実施例-図19
A.生体分子を封入するための粒子のマイクロエマルジョンの合成
ガラス製バイアル瓶中で、0.381g(0.2モル/L)のNP9を3mLのシクロヘキサンに(磁気)撹拌によって溶解させ、続いて、撹拌を継続しながら補助界面活性剤として0.065mLの1-ペンタノールを添加した(0.2モル/L)。生じた溶液は疎水性相を構成した。
【0142】
酸触媒として作用する0.013mLの0.01M HNO
3を添加して親水性相を構成し、溶液を20分間撹拌して均一化した。これによってマイクロエマルジョンが形成された。
【0143】
0.018mLのオルトケイ酸テトラメチル(TMOS)を添加し、生じた溶液を66時間撹拌してTMOSを加水分解し、加水分解された前駆体溶液を得た。
【0144】
0.013mLの0.01M NaOHを添加し、5分間撹拌して、約4を超えるpHに調整した。
【0145】
撹拌しながら0.010mLの水を添加することによって生体分子の添加をシミュレーションした。官能化されたセラミック前駆体として、0.003mLの3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランを添加し、混合物を6.5時間撹拌した。この間に、溶液は濁りが次第に強くなった。これによりナノ粒子の懸濁液が得られた。
【0146】
5mgのmPEG-シラン(MW=5000)を添加し、溶液を15時間撹拌したままにした。次いで、溶液を遠心分離(13,000で1分間)して粒子を単離し、次いで、該粒子を2mLのエタノールで3回洗浄し、2mLのエタノールに懸濁した。
【0147】
粒子をFEG-SEMで画像化すると、30〜100nmの範囲の大きさを示した。
図20参照。
【0148】
B.生体分子を封入するための粒子のマイクロエマルジョンの合成
ガラス製バイアル瓶中で、0.636g(0.2モル/L)のNP9を5mLのシクロヘキサンに(磁気)撹拌によって溶解させた。撹拌を継続しながら補助界面活性剤として0.109mLの1-ペンタノールを添加した(0.2モル/L)。1.14mLのシクロヘキサン/NP9/1-ペンタノール溶液を第二のガラスバイアル瓶(2本)中にピペットで移した。
【0149】
上記のサブサンプルに0.011mLの0.01M HNO
3を添加し、溶液を40分間撹拌して均一化し、マイクロエマルジョンを形成した。
【0150】
サブサンプルに0.0125mL(0.08ミリモル)のオルトケイ酸テトラメチルを添加し、生じた溶液を17.5時間撹拌して、TMOSを加水分解した。両方のサンプルに0.011mLの0.01M NaOHを添加し、次いで、それらを5分間撹拌して、約4を超えるpHに調整した。
【0151】
一方のサンプルに、撹拌しながら0.006mLの蛍光性DNA溶液(FITCで標識されたDPP4(21塩基対)、0.5mg/mL水)を添加し、他方のサンプルに、撹拌しながら0.006mLの水を添加した。
【0152】
各サンプルに官能化されたセラミック前駆体として0.002mL(0.009ミリモル)の3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランを添加し、混合物を6時間撹拌した。
【0153】
各サンプルに0.8mgのmPEG-シラン(MW=5000)を添加し、次いで、サンプルを18時間撹拌したままにした。各サンプルに1mLのアセトンを添加し、溶液を10分間撹拌した。
【0154】
次いで、溶液を遠心分離(13,000で1分間)して粒子を単離し、次いで、該粒子を2mLのエタノールで3回洗浄した。蛍光性DNAを含むサンプル(CS11-0028)を2mLのエタノールに懸濁した。水だけを使用して調製したサンプル(CS11-0029)を40℃で乾燥すると、重量は7.3mgであった。
【0155】
蛍光性DNAで標識された数滴の粒子を顕微鏡スライド上で乾燥し、FITC用フィルターを備えた蛍光顕微鏡を使用し、40倍の拡大率で4秒間露光して画像化した。
図21参照。
【0156】
図22は、AlexaFluor-633で標識されたシリカナノ粒子による培養ヒト肝細胞のトランスフェクションを図示する。細胞処理して24時間後に画像化した。
【0157】
さらなる実施例
共有結合によりFITC(イソチオシアン酸フルオレセイン)で標識され、積載物のフィコエリトリンを有する粒子を合成する。HeLa細胞をコンフルエントの50%まで培養し、培養培地に前記のような粒子(約30μg/ml)を直接添加する。40時間後に、細胞中に透過しなかった粒子を除去するために、培養物をPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で1回洗浄し、次いで、落射蛍光顕微鏡法で画像化し、それによって送達されたフィコエリトリンの細胞内放出をモニターした。
【0158】
そうでないことを要求しないか、そうでないことを具体的に明示しない限り、本明細書中で単一の総体、ステップ又は要素として列挙された本発明の総体、ステップ又は要素は、明らかに、列挙された総体、ステップ又は要素の単数又は複数形態を包含する。
【0159】
本明細書を通して、特記しない限り、単語「含む」、或いは「含んでいる」などの変形体は、言及したステップ又は要素又は総体、或いはステップ又は要素又は総体からなる群を包含するが、任意の他のステップ又は要素又は総体、或いはステップ、要素又は総体からなる群を排除しないことを含意すると理解される。したがって、本明細書において、用語「含んでいる」は、包括的意味で使用され、したがって、必ずしもそれだけではなく、主としてそれを含むことを意味すると理解すべきである。
【0160】
これまでの説明は、本発明の例証となる例を通して付与されたこと、及び当業者にとって明らかであるようなそれに対するすべての修正形態及び変形形態は、本明細書中に示したような本発明の広い範囲及び区域に包含されると考えられることを認識されたい。