(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特定の疾患は1つ又はそれ以上の異なる薬剤を用いる処置を必要とする。幾つかの薬物化合物は、最適治療用量を送達するために、互いに特定の関連において送達する必要がある。本発明は、併用療法が望ましいが、限定されるものではないが、安定性、不十分な(compromised)治療効果及び毒性などの理由で単一製剤では可能でない場合に特に有利である。
【0003】
例えば、ある場合には、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)と長時間作用型インスリンとを組み合わせて、糖尿病を患っている患者を処置することは有利であり得る。このGLP−1はプログルカゴン遺伝子の転写産物から由来する。GLP−1は体内に見出され、消化管ホルモンとして腸管L細胞により分泌される。GLP−1は、それ(及びそのアナログ)を糖尿病の有力な処置法として広範囲な検討の対象とする幾つかの生理学的性質を有する。
【0004】
2つの活性薬剤又は作用物質(agents)を同時に送達するとき、多くの潜在的な問題が起こり得る。ほんの1つの例として、2つの活性剤(active agents)は、製剤の長期、貯蔵期間保存中に互いに相互作用し得る。従って、活性成分を別々に保存すること、及び次いで送達、例えば注射、無針注射、ポンプ、又は吸入の時点でそれらを組み合わせることにはある利点がある。しかしながら、2つ又はそれ以上の作用物質を組み合わせるいずれかの有力な方法は、使用者が確実に反復してそして安全に実施できるように単純かつ簡便である必要がある。
【0005】
1つの更なる懸念は、有力な併用用量又は療法を構成する各活性作用物質の量及び/又は割合は、各使用者で又はそれらの療法の異なる段階で変える必要があり得ることである。また一方で、ほんの1つの例として、1つ又はそれ以上の活性剤は、患者を「維持」用量に徐々に導くのに調節期間(titration period)を必要とし得る。更なる例は、1つの活性剤が無調整固定用量を必要とする一方で、他の活性剤は患者の症状又は身体状況に応じて変わる場合であり得る。この潜在的懸念は、これらのプレミックス製剤が、医療関係者又は使用者により変動することができない活性成分の固定比率を有する可能性があることから、複数の活性作用物質のプレミックス製剤は好適ではない可能性があることを意味する。
【0006】
更なる問題は、ある使用者が1つの薬物送達システムより多く使用しなければならず、又は所要用量組み合わせの必要な正確な計算をする必要があるのに対処することができないために、多剤化合物療法が必要な場合に生じ得る。これはとりわけ器用さ又は計算困難な使用者に当てはまる。
【0007】
従って、使用者が行うのに簡単で安全な、そしてまた注射剤及び/又は針に対する患者の不安を軽減する傾向につながる、単回注射又は送達工程での、2つ又はそれ以上の薬剤の送達のためのデバイス及び方法を提供する強い必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュールを開示する。薬用モジュールは、第1の薬剤を含む薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるハウジングを含む。折り畳みリザーバはハウジング内に含まれる。第2の薬剤の所定の用量はハウジング内に含まれる。針配置はハウジング内に構成され、そして、そして針配置は折り畳みリザーバと流体連通して配置される。ニードルシュラウドは、投薬中に、シュラウドが折り畳みリザーバに従って作動するように構成され得る。例えば、ニードルシュラウドは、注射工程中に、シュラウドが折り畳みリザーバに従って作動するように構成される。
【0009】
本発明の薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付け可能であり得る。薬用モジュールで使用し得る薬物送達デバイスの1つの例は、治療薬のカートリッジ又は他のリザーバを含んでよいペン型薬物送達デバイスの形態であり得る。このカートリッジは円筒形状であってよく、そしてガラスで製作され得る。このカートリッジは一端ではゴム栓で、そして他端ではゴム製セプタムで密閉され得る。薬物送達デバイスは複数の注射剤を送達するように設計され得る。送達機構は使用者の手動動作によって作動され得る。しかしながら注射機構もまた、ばね、圧縮気体又は電気エネルギーなどの他の手段で作動され得る。薬物送達デバイスは、少なくとも1つの上掲の機能を含んでなる注射ペンであってよい。薬物送達デバイスはまたシリンジ、好ましくはプレフィルドシリンジを含んでよい。
【0010】
好ましい実施態様では、多回用量、使用者選択可能デバイス内に含まれるインスリンなどの基本薬物化合物は、二次薬剤の単回用量を含む単回使用、使用者交換可能モジュール、及び単回投薬インターフェイスで使用することが可能である。薬物送達デバイスに連結されるとき、二次化合物は一次化合物の投薬時に起動/送達される。本出願は、具体的にインスリンを記載するが、2つの可能な薬物組み合わせとして、インスリンアナログ又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1アナログ、鎮痛薬、ホルモン、βアゴニスト又はコルチコステロイドなどの他の薬物若しくは薬物組み合わせ、又はいずれかの上記薬物の組み合わせが、本発明で使用し得る。
【0011】
本発明の目的では、用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログ若しくは誘導体を含む、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体又はその混合物を意味するものとする。インスリンアナログの例は、限定されるものではなく、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリン、ここでB28位置のプロリンはAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換されてよく、そしてここでB29位置においてLysはProによって置換されてよい;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリンである。インスリン誘導体の例は、限定されるものではなく、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイル−ヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0012】
本明細書で使用される用語「GLP−1」は、限定されるものではなく、エキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2)のペプチド、エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH
2)を含む、GLP−1、GLP−1アナログ、又はその混合物を意味するものとする。
【0013】
βアゴニストの例は、限定されるものではなく、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダカテロールである。
【0014】
ホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、例えば脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【発明の効果】
【0015】
別の実施態様では、単回用量設定器及び単回投薬インターフェイスを通して操作可能な2つ又はそれ以上の薬剤を送達するための薬物送達システムが提供される。薬物送達システムは、少なくとも1つの薬物作用物質を含む薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される単回用量設定器を含むハウジング、及び薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される用量ボタンを含む。薬物送達システムは更に、一次リザーバと流体連通のために構成される薬用モジュールを含む。薬用モジュールは近位端及び遠位端を含み、ここでは近位端はハウジングに取り付けのために構成されるコネクタを有する。薬用モジュールは更に、二次薬剤を含む折り畳みリザーバ及び出力針を含む。尚更に、薬用モジュールは軸方向変位ができるシュラウドを含む。1つの実施態様によれば、薬物送達デバイスの用量ボタンの単一起動は、折り畳みリザーバから第2の薬剤を、そして一次リザーバから第1の薬剤を、出力針を通して排出するようにさせる。
【0016】
本発明の更なる独立した態様は、薬物送達デバイスとともに使用するための薬用モジュールに関し、該薬用モジュールは:
該薬物送達デバイスが第1の薬剤を含んでなる、上記薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるハウジング、
上記ハウジング内に含まれる折り畳みリザーバ、
上記折り畳みリザーバ内に含まれる所定体積の第2の薬剤、
該針配置が上記折り畳みリザーバ及び上記薬物送達デバイスと流体連通して配置される、上記ハウジング内に構成される針配置、
及び上記ハウジング内に部分的に構成されるニードルシュラウドを含んでなり、ここで該ニードルシュラウドは、上記折り畳みリザーバを圧縮して上記針配置を通して上記第2の薬剤を投薬するように構成される。
【0017】
1つの実施態様では、本発明の薬用モジュールは、投薬中、前記第2の薬剤は前記薬物送達デバイス内に含まれる前記第1の薬剤の初回投与前に投薬されるように構成される。
【0018】
1つの実施態様では、前記薬物送達デバイス内に含まれる前記第1の薬剤の初回投与は固定用量を含む。別の実施態様では、前記第1の薬剤の初回投与は可変用量を含む。
【0019】
本開示の薬用モジュールの更なる実施態様では、前記折り畳みリザーバ内に含まれる前記第2の薬剤の所定体積は上記第2の薬剤の固定用量を含む。
【0020】
1つの実施態様では、本開示の薬用モジュールはハウジングを含み、ここで該ハウジングは、前記薬物送達デバイスへの恒久的な取り付けのために構成される。
【0021】
1つの実施態様では、本開示の薬用モジュールはシュラウドを含み、ここで該シュラウドは前記ハウジング内で付勢される。更なる実施態様では、シュラウドはばねにより前記ハウジング内で付勢され得る。
【0022】
1つの実施態様では、本開示の薬用モジュールはシュラウドを含み、ここで該シュラウドの部分は、該管状形状が前記針配置の部分を実質的に隠すように管状形状を含む。
【0023】
更なる実施態様では、シュラウドは前記ハウジングに対して軸方向に可動であり得る。
【0024】
別の実施態様では、本開示の薬用モジュールは針配置を含み、ここで該針配置は前記折り畳みリザーバと流体連通している第1の針、及び前記薬物送達デバイス及び上記折り畳みリザーバ内に含まれる両方の前記第1の薬剤と流体連通している第2の針を含む。
【0025】
別の実施態様では、本開示の薬用モジュールは針配置を含み、ここで該針配置は第1及び第2の薬剤の両方と流体連通するように構成される単一の単体針を含む。単一の単体針は可撓性リザーバを通して伸長し得る。単一の単体針は薬物送達デバイスと流体連通のために構成される近位穿孔端を含んでよい。単一の単体針は注射用に構成される遠位穿孔端を含んでよい。単一の単体針は前記折り畳みリザーバ内部に位置する少なくとも1つのサイドコアド穴を含んでよく;ここで少なくとも1つの穴は、ニードルシュラウドの針中へ後退時に折り畳みリザーバからの薬剤の流れを容易にするように配置される。シュラウドが後退するとき、密閉リザーバは圧縮され得て、そして該リザーバからの薬剤は少なくとも1つの前記サイドコアド穴を通して針中へ押されてよい。好ましい実施態様では、少なくとも1つのサイドコアド穴は上端部材又は折り畳みリザーバの近位端の直下に置かれ得る。それ故、シュラウドが後退するとき、密閉リザーバは針に沿ってスライドアップするように配置され得て、そして該リザーバからの薬剤は少なくとも1つの前記サイドコアド穴を通して針中へ押され得る。このような実施態様は、シュラウドの後退時に密閉リザーバが針に沿ってスライドアップし、そして固定用量を排出するように、針は折り畳みリザーバの上側に固定することができ、そして折り畳みリザーバの底面にだけ摺動可能に密閉する必要があることから、製作しそして組み立てるのに潜在的に容易であり得る。
【0026】
別の実施態様では、本開示の薬用モジュールは第2の薬剤を含み、ここで該第2の薬剤はGLP−1又はGLP−1アナログを含む。
【0027】
本発明の種々態様のこれら並びに他の利点は、添付図面を適切に参照して下記の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるものである。
【0028】
例示的な実施態様は以下において図面を参照して本明細書に記載される:
【発明を実施するための形態】
【0030】
本提示薬用モジュールは、
図2に図示されるデバイスなどの薬物送達デバイスで使用され得る。1つの配置では、本提示薬用モジュールは、単一出力又は両頭針などの薬物投薬インターフェイスを通した、第1の薬剤の潜在的可変用量、及び第2の薬剤の固定所定用量を投与する。第1の薬剤の用量設定は使用者によって行われる。第2の薬剤の用量及びサイズは独立して制御され、そしてそれ故に使用者設定可能用量のサイズによって影響されない。薬用モジュール内に含まれる第2の薬剤のこの固定用量は単回用量であってよい。本出願はまた一般的に、第1の薬剤の潜在的可変用量の一次用量を同じ単回投薬インターフェイスを通して投与することを対象とする。
【0031】
好ましい配置では、薬物投薬インターフェイスはニードルシュラウドによって実質的に隠されることができるニードルカニューレ(中空針)を含む。使用者が、薬物送達デバイス内に含まれる第1の薬剤の潜在的可変用量及び第2の薬剤の固定所定用量(即ち、非使用者設定可能用量)を含む第1の用量を投与することが可能なように、ニードルシュラウドは設計される。1つの別の配置では、ニードルシュラウドは、使用が針を皮膚に挿入した後、遠位位置にロックアウトし得る(可逆的又は非可逆的に)。従って、折り畳み容器内の第2の薬剤の実質的にすべての容量は投薬され得て、次いで針は注射部位から取り外され得る。この挿入はまた通常、薬物送達デバイス内で使用者可変及び使用者投与の第1の薬剤の投薬を伴う。
【0032】
治療用量プロファイル送達が予定される場合の形式での組み合わせ製剤(即ち、2つ又はそれ以上の個別の薬物製剤の組み合わせから作製される単回用量)の送達は、患者及び特定の病状の処置の両方に多くの利点をもたらす。
【0033】
例えば、1つのそのような事前に定義された治療用量プロファイル10は
図1に図示される。この治療プロファイル10は少なくとも2つの薬剤を含む組み合わせ用量20を規定する:化合物A14及び化合物B12。そのような治療プロファイル10は「固定用量、使用者可変用量」プロファイルといわれてよい。即ち、そのようなプロファイル10は、1つの薬剤(即ち、化合物B12)の固定用量を送達することでき、一方でまた別の薬剤(即ち、化合物A14)の使用者選択可能用量を単一注射部位に送達する、薬物送達システムを記載する。このプロファイル10によって代表されるように、可変化合物A14はx軸に沿って備えられ、そして一定又は固定化合物B12はy軸に沿って備えられる。図示のように、組み合わせ用量20は化合物Bの最大用量16及び化合物Aの可変用量を含み得る。1つの配置では、可変化合物A14は薬物送達デバイスのカートリッジ中に備えられる。このカートリッジは交換可能か又は非交換可能カートリッジであってよい。固定化合物B12は
図3に図示される薬用モジュール100など、薬用モジュール中に備えられてよい。
【0034】
そのような「固定用量、使用者可変用量」プロファイル10が望まれる幾つかの薬物組み合わせでは、その上2つの薬剤は逐次的に送達されることが望ましいといえる。即ち、ある治療レジメンでは、先ず1つの薬剤の用量を送達し、次いで他の薬剤の用量を送達すること(即ち、順々に、デバイス内の2つの薬剤の混合の機会を最小に又はなくして)が好ましいといえる。更に、薬用モジュール(注射後又は薬剤投薬後)における目減り用量(即ち、薬剤容器中の非投薬容量又は空間)は、投薬前に薬用モジュール内に含まれる固定用量薬剤の用量より小さいことが好ましいといえる。
【0035】
薬用モジュール100で使用され得る薬物送達デバイス50の1つの例は
図2に図示される。
図2では、薬剤のカートリッジ又は他のリザーバを含むペン型薬物送達デバイスの形態での薬物送達デバイス50が示される。このカートリッジは一般的に円筒形状で、そして通常はガラスで製作され得る。このカートリッジは一端ではゴム栓で、そして他端ではゴム製セプタムで密閉される。薬物送達デバイスは複数の注射剤を送達するように設計される。送達機構は一般的に上記のように使用者の手動動作によって作動する;しかしながら注射機構もまたばね、圧縮気体又は電気エネルギーなどの他の手段で作動され得る。
【0036】
更に具体的には、薬物送達デバイス50は、用量設定機構52、カートリッジホルダ44、及び取り外し可能キャップ56を含む。カートリッジホルダ44の近位端60及び用量設定機構52の遠位端64は合わせて固定される。用量設定機構52は、用量が注射されるとき、回転するねじ込みピストンロッドなど、ピストンロッド70を含む。
【0037】
コネクタ80はカートリッジホルダ54の遠位端に備えられる。このカップリング機構は特許出願人の薬用モジュールを連結するために使用され得る。いずれの公知の手段も、恒久的及び取り外し可能な連結手段を含むこのカートリッジホルダ54に薬用モジュールを繋げるのに使用できる。ねじ山、スナップロック、スナップフィット、ルアーロック、バヨネット、キー付きスロット、及びそのような継手の組み合わせは、薬用モジュール100を薬物送達デバイス50に取り付けるために使用できる。ほんの1例として、コネクタ80はねじを含んでよい。ある用途では、そのような限定的取り付けだけは、そのような薬用モジュールが、ある薬物送達デバイスだけに取り付けられ、そして他の薬物送達デバイスに取り付けられることが阻止されるのを可能にする場合に、コネクタ80は限定的な取り付けを含んでよい。
【0038】
薬物送達デバイス50が用量設定器84を含む場合、薬物送達デバイス50の用量は当技術分野で公知の通常のやり方で(例えば、適切な単位数をダイヤルアウトすることにより)用量設定器84を用いて設定し得る。単回用量設定器は第1の薬剤を含むカートリッジホルダ内でカートリッジに操作可能に連結され得る。薬剤の作動及びそれに続く投薬は次いで、デバイス50において針に皮下挿入及び用量ボタン90の起動により実現され得る。用量ボタン90は、用量設定器によって設定された第1の薬剤の用量を、ばね、圧縮気体又は電気エネルギーのような手段によってデバイスの遠位端に向いて遠位に動くようにさせるいずれのトリガ機構であってよい。
【0039】
第2の薬剤のそのような固定用量を含む、
図2に図示されるペン薬物送達デバイスなどの薬物送達デバイスとともに使用するための薬用モジュール配置は、多くの理由で有利であり得る。ほんの1つの例として、そのような薬用モジュール配置は、無駄な薬剤量又は「非注射」量:注射後に薬用モジュール内に残った残存薬剤を減少させるのに資する可能性がある。(これはより良いことか?)
【0040】
図3は、
図1に図示される特許出願人の「固定用量、使用者可変用量」プロファイル10を投与するために使用され得る、薬用モジュール100の好ましい配置を図示する。下記に非常に詳細に説明するように、本配置では、薬用モジュール100は送達する予定の第1の薬剤及び第2の薬剤を備え、ここでは1つの薬剤は一般的に他の薬剤が投与される前に投与される(即ち、用量投与工程中に2つの薬剤の多少の混合は起こる可能性がある)。言い換えれば、薬用モジュール100は、薬用モジュール100内に含まれる第2の薬剤の固定用量が、薬物送達デバイス内に含まれる第1の薬剤の可変用量を注射する前に実質的に注射されることを可能にする。
【0041】
図3に示されるように、薬用モジュール100は薬物送達デバイス102に取り付けられているように図示される。薬物送達デバイス102の1部分だけが
図3に図示される。しかしながら、そのような薬物送達デバイス102は、
図2にそして上記に図示されるペン型注射デバイス50などの注射デバイスを含んでよい。好ましくは、
図3の薬物送達デバイス102はデバイスカートリッジ106を含み、そしてこのカートリッジはインスリンなど、第1の薬剤110の多回用量を含む。
【0042】
薬用モジュール100は外側ハウジング120を含み、ここでこのハウジングは上部又は近位保持キャップ130を含んでよい。この上部キャップ130は下部又は遠位保持キャップ140に繋がれ得る。あるいは、薬用モジュール100は単体ハウジングを含んでよい。図示されるように、上部保持キャップ130の近位端131は、薬物送達デバイス102の遠位端へ解除可能取り付けのために構成されるコネクタ136を有する。上部保持キャップ130があるタイプの薬物送達デバイスだけに取り付けられるように構成され得るように、このコネクタ136は限定的コネクタを含んでよい。あるいは、このコネクタ136は当技術分野で一般的に公知のいずれのコネクタを含んでもよい。
【0043】
好ましくは、下部保持キャップ140と併せた上部保持キャップ130は、キャビティを画成し、そしてこのキャビティはリザーバ124を含む。このリザーバは第1及び第2の針170、180間に位置付けられる。最も好ましくは、このリザーバ124は折り畳みリザーバを含み、そして第2の薬剤190を含む。1つの好ましい配置では、この折り畳み部材124は、GLP−1など、活性剤の単回用量など第2の薬剤190の単回用量を含む。あるいは、この折り畳み部材124は活性剤又は薬剤のプレミックスの単回用量を含む。1つの好ましい配置では、この一次薬剤は、薬物送達デバイス内に含まれる薬剤として異なるタイプの薬剤を含む。
【0044】
既述のように、第1及び第2の針170、180間に位置する折り畳みリザーバ124は、好ましくはリザーバのトップシール126及びボトムシール128を含む。二次薬剤190の注射に先立って、第1及び第2の針170、180は第1及び第2のシールと穿孔係合している。
【0045】
図3の例示的配置で図示されるように、薬用モジュールは薬物送達デバイスの取り付けられた後及び注射に先立って、シュラウド150の近位端151は折り畳み部材128の遠位端に隣接する。折り畳み部材は好ましくは可撓性又は双安定構成を含んでなるリザーバを含む。即ち、折り畳み部材は、TPE、ゴム、多層押出管類(薬物適合性保証可撓性を備える)又は剛性であるが折り畳み可能性を考慮した容器などの材料(限定されるものではない)から作られ、それはマルチプルライブヒンジなどの折り畳み可能エレメントを含むように作り出され得るあらゆる範囲の適合性化合物/高分子から作られ得る。
【0046】
薬用モジュール100は更にばねエレメント160を含む。このばねエレメントは上部保持キャップ130の部分とシュラウド150の部分間に配置される。
図3に図示されるように、薬用モジュール100が先ず薬物送達デバイス102の取り付けられるとき、ばねエレメント160は実質的に針をカバーするためにシュラウドを付勢する伸長状態にとどまる。
【0047】
シュラウド150は薬用モジュールハウジング120の遠位端近くに位置付けられる。好ましくは、このシュラウド150は外側ハウジングの下部保持キャップ140の内面に沿って位置付けられる。最も好ましくは、薬用モジュール100がヒト使用者の注射部位など、注射部位及び挿入針の近くに位置付けられるとき、このシュラウド150はばねエレメント160の付勢力に抗して軸方向に動くように構成される(矢印196によって画成される)。注射工程中、ばねエレメント160は、針を挿入し/露出する使用者の動作を受けて動くシュラウド150によって作り出され、そして上部キャップ130の表面132によって反発される軸方向への力を受けて圧縮する。
【0048】
好ましくは、シュラウド150は、ニードルシールドとして機能するように一般的に管状形状の外部直径を含む。そのようなニードルシールドとして機能する、シュラウド150は、用量を投与する患者又は特定の人が用量を受けるのを支援する個人に対して遠位ニードル170の不注意な針刺しを阻止する傾向をもたらすことができる。恐らく不注意な針刺しの可能性を限定するだけでなく、提案シュラウド150はまた、患者が経験する可能性があるいずれの潜在的針恐怖症をも減少させる傾向があり得る。尚別の配置では、シュラウド150は、用量投与後の伸長状態においてシュラウドをロックするようにロッキング機能によって構成し得る。反復使用からシュラウドをロッキングする1つの利点は、使用者は使い切った薬用モジュールを再使用することが阻止され得て、そしてそれ故に使用者が新しい薬用モジュールに保存された一次薬剤の事前に定義された用量を受けることを前提に、使用者が使い切った薬用モジュールを使用し得る可能性を排除し得ることである。
【0049】
1つの配置では、特許出願人のシュラウド150は内部キャビティ142内に維持され得て、ここで内部キャビティ142は上部キャップ130及び下部保持キャップ140によって部分的に画成される。シュラウド150は不透明又は非不透明であってよい。
【0050】
薬用モジュール100は更にニードル配置166を含む。1つの好ましい配置では、このニードル配置166は第2の近位針180と組み合わせた第1の出力又は遠位針180を含む。
【0051】
出力又は遠位針170はシュラウド150内に位置付けられ、そしてシュラウドで軸方向に動くニードルハブに固定される。針170は遠位穿孔端174及び近位穿孔端172を含む。近位針180は上部保持キャップ130内に位置付けられ、そしてまた遠位穿孔端及び近位穿孔端182を含む。第2の針180は上部保持キャップ130の上面に剛性に取り付けられる。
【0052】
図3に図示されるように、薬物送達デバイス102への薬用モジュール100の取り付けは、近位針180の近位穿孔端182が薬物送達デバイス102内に含まれるカートリッジ106のセプタム108を貫入するようにさせる。一度近位針180がこのセプタム108を通過すると、カートリッジ106に含まれる第1の薬剤110と折り畳みリザーバ124内に含まれる第2の薬剤190間に流体連通が存在し得る。カートリッジ下部面112が上部保持キャップ130の上面134と接触するまで、近位針180の貫入はカートリッジ106へと続く。使用者は次いで既述のように通常のやり方で薬物送達デバイス102の用量を設定し得る。
【0053】
そのような薬用モジュール配置の1つの利点は、提案薬用モジュール100が、単一針170を通して薬用モジュール内に含まれる第2の薬剤の固定所定用量を投与するのに使用できることである。この固定所定用量が投与された後、薬用モジュールは薬物送達デバイス内に含まれる第1の薬剤の可変用量を投与するのに使用でき、そしてこの可変用量をこの同じ針170を通して投与できる。第1の好ましい配置では、第2の薬剤190が折り畳み部材124内に含まれる場合に、第2の薬剤190の潜在的目減り又は投薬後に第1の薬剤110の廃棄を最小となるように、薬用モジュール100は少なくとも1つの更なる利点を有する。
【0054】
薬用モジュール100が
図3に図示されるように薬物送達デバイス102に初期に取り付けられるとき、近位針180の近位穿孔端182はカートリッジ103の膜108を穿孔し、一方で遠位穿孔端172はリザーバ124中の第2の薬剤190と流体連通を保つ。そのようにカートリッジ106の第1の薬剤110は、リザーバ124に含まれる第2の薬剤190と流体連通している。
【0055】
記述のように、
図3に図示される第1の薬用モジュール100の配置では、モジュール100は2つの別々の中空針:出力針170及び係合針180を含む針配置166を含む。しかしながら、別の針配置では、この針配置は単体の針配置を含み得る。この単一針は第1及び第2の薬剤110、190の両方と流体連通を保ち、一方で薬物送達デバイス102と流体連通している第1の穿孔端を有する。第2の穿孔端は注射用に構成される。針は、針の壁セクション中の穴を通して折り畳みリザーバ124と流体連通している。そのような好ましい配置では、単体針はサイドコアド穴、又はそのような穴が折り畳みリザーバ124の上部穿孔部材126の直下に位置する穴を含んでよい。これらの穴又は他の穴はニードルシュラウド150の後退時に折り畳みリザーバ124からの薬剤の流れを容易にし得る。針は折り畳みリザーバの上側に固定することができ、そしてシュラウドの後退時に密閉リザーバが針に沿ってスライドアップしそして固定用量を排出するように、折り畳みリザーバ124の底面に摺動可能に密閉される必要があるだけなので、この選択肢は製作及び組み立てには潜在的により容易である。
【0056】
図4は用量投与工程中の薬用モジュール100の断面図である。この用量投与工程中に、使用者が薬用モジュール100を注射部位(例えば、患者の皮膚)にセットすると、シュラウド150は付勢エレメント160の力に抗して近位方向(矢印196)に動き得る。
【0057】
患者による針の挿入中、シュラウド150の遠位端152は注射部位と接触し、そしてシュラウドは注射部位に反発する。遠位針170が注射部位に入ると、シュラウド150は上部保持キャップ130に向けて後戻りして、ばねエレメント160を圧縮する。
図4はこの圧縮状態におけるばねエレメント160を図示する。
【0058】
シュラウド150が間隔D 162で
図4に記された所定の変位を近位に動いた後、シュラウド150は折り畳みリザーバ124の底面128と接触する。近位方向196におけるシュラウド112の更なる軸方向変位は、折り畳みリザーバ124が第2の薬剤190を圧縮しそれにより遠位針170を介して注射部位に投薬するようにさせる。
図4は圧縮状態におけるばねエレメント160及び折り畳み状態におけるリザーバ124を図示する。
【0059】
シュラウド150がその最も近位位置に動き、そしてリザーバ124を十分に圧縮するとき、リザーバの内部容量を最小になる。これは使い捨て固定用量デバイスの目減りを最小化する傾向にある。別の配置では、一度圧縮されるとリザーバ124はその以前の非圧縮形態に戻ることができないことを確実にするのに資するように、ロッキング機能が折り畳みリザーバ124及び/又は薬用モジュール100又は代わりにハウジング120に備えられる。リザーバ124は以前の非圧縮形態に戻ることができない。例えば、機械クリップ又は双安定設計リザーバは、リザーバ124が以前の非圧縮形態に戻ることを阻止するのに利用し得る。
【0060】
一度遠位針170が所望の深度に挿入されると、次いで第1の薬剤(使用者選択可変用量)の投薬は多目的デバイスの投薬機構の起動を介して実現され得る。例えば、薬用モジュール100が
図2のペン型薬物送達デバイスに取り付けられる予定の場合、第1の薬剤110の既設定用量を投与するために、使用者は用量投薬ボタンを押圧することによりデバイスを起動し得る。
【0061】
薬物送達デバイス102で用量を設定後、使用者が用量設定器140の投薬ボタン140を押し下げる場合、カートリッジ106からの薬剤110は第2の針180を通してリザーバ124に向けて、そして順次出力針170に向けて押し進められる。従って、第2の薬剤190の固定所定用量及び第1の薬剤110の潜在的可変用量の第1の用量は、それ故に1つの出力針170を通して実質的に逐次的に使用者に投与される。
【0062】
使用者による第1の薬剤110の投薬後、使用者は次いで注射部位から出力針170を取り外し得る。初回注射後、及び薬物送達デバイス及び薬用モジュール100が注射部位から取り外された後、シュラウド150は遠位方向において伸長位置まで軸方向に戻る。薬用モジュール100は次いで薬物送達デバイス102から取り外され廃棄され得る。これは、薬物送達デバイス102を必要に応じて患者が再使用することを可能にする。1つの別の配置では、使用者が既使用薬用モジュールを使用することを試みる場合に使用者に警告するように、機能が薬用モジュール100に備えられ得る。シュラウド150によって、この特定の実施態様は、特に針の皮膚への再挿入を阻止する機能を備えるのに適している(即ち、シュラウドが一度より多く後退することを物理的に阻止する)。再挿入を阻止する他の手段は、限定されるものではないが、薬用モジュールをデバイスに取り付けられることを可能にするが、しかし一度取り外されると二度と取り付けることができない機構を含み得て、それは送達デバイスに取り付けることができないことから本質的に再使用を阻止する。
【0063】
別の薬用モジュール配置では、ピストン配置が折り畳み部材124の代わりに備えられ得る。例えば、そのような配置では、第2の薬剤は、流体密封を維持する、上部保持キャップ130とピストン間に形成されるキャビティ内に含まれてよい。上記のように、上部保持キャップ130に対するシュラウド150の変位は、ピストンが第2の薬剤を投薬する場合に出力針170へ変位させるようにする。第1の薬剤の投薬は、次いで既述のように薬物送達デバイスの起動を介して実現され得る。
【0064】
既述のように遠位位置におけるシュラウド150のロッキングは同様にピストン配置に適用可能であり、そして多くの有利な機能を備え得る。第1に、用量が送達された後、それは使用者が非無菌薬用モジュール100を再使用することを阻止する。第2に、ロックシュラウド150は注射針170を保護しそして実質的に隠して、それ故に潜在的な不注意な針刺しのリスクを減少させる。また、実質的にこの針を隠すことにより、ロックシュラウド150は、患者が経験する可能性のあるいずれの潜在的な針恐怖、針恐怖症又は針不安を減少させるように作動する。更に、そのようなロックシュラウドは、実際にそれらがそうではないとき(それは前の機会に投薬されたので)、それらが二次薬剤の固定用量を受けることを考えて誰かが二度目にデバイスを使用することを阻止する。
【0065】
図1に図示される治療プロファイル10を実現するために別の薬用モジュール配置200が
図5に図示される。この配置では、小サイズのカートリッジ又はリザーバ250(例えば、ミニカートリッジ)を含む。このカートリッジ250は第2の薬剤254及びフローティングピストン270を含む。リリースクリップ280は、第1及び第2の薬剤204、254を、単一出力針230を通して投薬するように、予荷重ばねエレメント290及びカートリッジの近位端部分に作動する。そのような薬用モジュール200の好ましい配置は、特許出願人の
図5及び6を参照して下記に詳細に記載される。
【0066】
図5及び6に示されるように、薬用モジュール200は薬物送達デバイス202へ取り付けられているように図示される。
図3に図示されている薬用モジュール配置と同様に、薬物送達デバイス202の1部分だけが
図5に図示される。以上のように、そのような薬物送達デバイス202は、
図2にそして上記のように図示されるペン型注射デバイス50などの注射デバイスを含んでよい。
【0067】
好ましくは、薬用モジュール200は外側ハウジング120及び内側連結部分214を含む。内側連結部分214は外側ハウジング210の近位端の近くに備えられる。近位針220は外側ハウジング120内に含まれる。外側ハウジングは更に、注射工程中に動く付勢部材290、リリースクリップ280、及び小型又はミニカートリッジ250を含む。ミニカートリッジ250は好ましくは、GLP−1又はGLP−1アナログなどの活性剤など、第2の薬剤254の固定用量を含む。あるいは、この第2の薬剤254は化合物のプレミックスを含んでよい。
【0068】
この連結部材214は、薬物送達デバイス202の遠位端に取り外し可能に繋がれる。この好ましい配置では、連結部材214は、薬物送達デバイス202の遠位部分に沿って備えられる対応のねじ山20に取り外し可能に連結され得るねじ込み継手216を含む。連結部材214は更に内部ニードルハブ266を含む。近位針220はこのニードルハブ266内に固定して取り付けられる。好ましくは、この近位針220は第1の穿孔端224及び第2の穿孔端222を有する両頭針を含む。この第1の穿孔端224は、薬物送達デバイス202内に含まれる第1の薬剤と流体連通している。
【0069】
外側ハウジング210は更に内面を画成する。外側ハウジング210の近位端近くでは、この内面は保持機能288を画成する。
図5に図示されるように、この保持機能288はリリースクリップ280の半径方向に外側に向かう部材282と協動するように幾何学的に構成される。この保持機能288は用量注射工程に先立ってリリースクリップ280を保持する。
【0070】
外側ハウジングは更にミニカートリッジ250を内蔵する。このカートリッジ250はカートリッジ250の近位端近くに位置するフローティングピストン270を含む。フローティングピストン270は固定用量カートリッジへの第2の薬剤254の流体密封を維持する。
【0071】
リリースクリップ280は外側ハウジング210内に備えられ、そして
図5に図示されるカートリッジ250の初期位置を維持するように配置される。フローティングピストン270と一緒に軸方向に動くことができるこのリリースクリップ280は、外側ハウジング210の内面に沿って画成される保持機能288と係合する。図示するように、リリースクリップ280は予荷重ばねエレメント290によって作動する。保持機能288とリリースクリップ280の係合は、予荷重ばねエレメント290が外側ハウジング210内のフローティングピストン270を変位させ、又はカートリッジ250を変位させるのを阻止する。
【0072】
薬物送達デバイス202への薬用モジュール200の取り付けは、近位針220の第1の穿孔端224が、
図5に図示されるように薬物送達デバイス202のカートリッジ206のセプタム208を貫入するようにさせる。一度近位針220の第1の穿孔端224がこのセプタム208を通過すると、流体連通が、薬用モジュール200のカートリッジ206内に含まれる第1の薬剤204とカートリッジ250内に含まれる第2の薬剤254間で確立される。
【0073】
薬用モジュール200が薬物送達デバイス202に取り付けられた後、薬物送達デバイスからの用量は次いで通常のやり方で(例えば、適切な単位数をダイヤルアウトすることにより)設定できる。2つの薬剤の投薬は次いで薬物送達デバイスの投薬機構の起動を介して実現し得て、ここでこの投薬機構は第1の薬剤204の可変設定用量が先ず近位針220を通して流れるようにさせる。第1の薬剤204は次いで薬用モジュール200中でカートリッジ250に流れる。このカートリッジ250は実質的に剛性で、そしてカートリッジ250内に含まれる第2の薬剤254は事実上非圧縮性なので、フローティングピストン270は矢印240で示される近位方向に変位する。第1の薬剤204はそれにより固定用量カートリッジ250に投薬される。
【0074】
フローティングピストン270の所定の近位変位(薬物送達デバイスから投薬された第1の薬剤204の容量によって画成される−これはまた薬用モジュールの動作限界を制御するのに使用され得る−即ち、第1の薬剤の最小容量が薬用モジュールに投薬されるまで、システムは用量投与を可能にし得ない)で、フローティングピストン270の近位面278に隣接するリリースクリップ280は、保持機能288を係合解除する。係合解除は内部方向に自然に付勢されている保持機能288によって容易にされる。
【0075】
外側ハウジング210からの保持機能の係合解除は、予荷重ばねエレメント290が遠位方向に(矢印224)カートリッジ250を変位することを可能にする。固定用量カートリッジ250の遠位運動は、注射針230の近位端234が固定用量カートリッジ250のセプタム258を穿孔するようにさせる。一度このセプタム258が注射針230によって穿孔されると、流体連通はカートリッジ250と注射針230間で確立される。その最遠位面がハウジング210の遠位面と接触するまで、カートリッジ250は遠位に動く。カートリッジ250のこの位置は
図6に図示される。薬用モジュール200はこれで薬剤の用量を投与する準備ができる。
【0076】
一度カートリッジ250と出力針230間で流体連通が確立されると、固定用量カートリッジ250の端面からの保持デバイスの係合解除は、ばねエレメント290が遠位方向(矢印224)にフローティングピストン270を変位するようにさせる。ピストン270の遠位運動は、固定用量カートリッジ250内に含まれる第1の薬剤204及び第2の薬剤254の混合物が、患者の注射部位に注入されるようにさせる。注射ストロークの一部として可変用量の第1の薬剤204の更なる投薬は、カートリッジ250及びフローティングピストン270によって形成される容量キャビティ減少を通して起こる。
【0077】
フローティングピストン270の運動の終わりに、カートリッジ250の密閉容量は最小化される。このモジュールが最終的に廃棄されるとき、これは薬用モジュール200中に存在する目減りをも最小化する傾向を有する。1つの好ましい配置では、フローティングピストン270の遠位端276は、投薬後に薬用モジュール200中に残っているいずれかの目減りを更に最小化するのに資するように、ミニカートリッジ250の遠位端の内部プロファイルと密接にマッチさせるようにプロファイルされ得る。
【0078】
第1の薬剤204の完全投薬後、遠位針230は注射部位から取り外すことができ、そして薬用モジュール200は排気されてよく;必要に応じて薬物送達デバイスが再使用されることを可能にする。
【0079】
本明細書に開示される薬用モジュールは好ましくは内蔵型であり、そして密閉滅菌使い捨てモジュールとして提供され得る。そのようなモジュールは、薬物送達デバイスの遠位端において取り付け手段に適合性のねじ込みコネクタなど、取り付け手段を含んでよい。示されていないが、本明細書に開示される薬用モジュールは、使用者が滅菌薬用モジュールにアクセスを得るためにシール及び容器自体を剥いで又は破って開けることができる、保護滅菌カプセル又は容器に含まれ製造業者によって供給され得る。場合によっては、薬用モジュールの各端部に2つ又はそれ以上のシールを備えることは望ましいといえる。
【0080】
加えて、上記の配置では、これらの配置は、第2の薬剤が薬用モジュール内にすべて含まれ、薬物送達デバイス内に含まれる第1の薬剤と別々で分離しているという利点を有する。
【0081】
本発明の例示的な実施態様が記載されている。しかしながら、当業者には当然のことながら、変更又は修正は、特許請求の範囲によって規定される本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなくこれらの実施態様で行われてよい。