【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、オイル溜めハウジング及びオイル溜め底部を含む、燃焼機関のためのオイルパンを提案する。このオイル溜めハウジングは、一方では機関に、他方ではオイルパンのオイル溜め底部に固着されることを目的とし、更に車両構成部品を支持するように構成される。このオイル溜めハウジングは、オイル溜め底部の相補的な支持端面と封止接続するための下側支持端面を含む。封止接続のための支持端面は、オイル溜めハウジングの少なくとも1つの側壁に少なくとも1つの幅広のノッチを含む。
【0007】
つまり、このような段のある配置によって、オイル溜めハウジングは、実質的に平面の下側支持端面を有する従来技術のオイル溜めハウジングより、開いた、すなわち穴のあいた設計となる。オイル溜めハウジングの下側支持端面は、従来技術のような平面ではなく、3方向全てに広がる。つまり、オイル溜めハウジングは、少なくとも部分的に、比較的軽量の、単純な骨組に縮小させることができる。オイル溜めハウジングは、頂部分及び底部分を有してもよく、底部分は、オイル溜めハウジングの機能と結びついた特定の要求に応じる。例えば、底部分を、タイミングカバータイプの構成部品を支持するために提供することができる。
【0008】
このようなオイル溜めハウジングは、また、機関の底部に嵌合する形状寸法で機関の底部分又は機関の底部を取り囲むように構成され、そして、実質的に直方体の形状の、従来のオイルパンのオイル溜めハウジングより少ない材料を含んでおり、このようにすると、オイルパンが、従来のオイルパンと比較して軽量化される。
【0009】
つまり、オイル溜めハウジング及びオイル溜め底部は、オイルパンを形成するために、相補的な形状を有し、互いに嵌装する。
【0010】
オイル溜めハウジングの支持端面及びオイル溜め底部の支持端面は、オイル溜めハウジング及びオイル溜め底部それぞれの周囲全体を囲んで広がることができる。
【0011】
本出願ではノッチとも記載される、それぞれの幅広のノッチは、オイル溜めハウジングの一面全体若しくは一部を、又は、オイル溜めハウジングのいくつかの隣接した面をも占めることができる。任意の1つの所与の側面に対応するオイル溜めハウジングの側壁が、1つ又は複数のノッチを有してもよい。
【0012】
オイル溜めハウジングの壁の幅広のノッチとは、実質的に平面の仮想の下側端部に対して、壁の下側支持端面で有意に変化させて壁を切り抜くことを意味する。切り抜きの高さは、オイル溜めハウジングの壁の最大高さの5%以上、有利には15%以上、有利には30%以上、有利には50%以上とすることができる。
【0013】
「車両構成部品」とは、例えば、ギヤボックス、タイミングカバー又はエアコン用コンプレッサといった、オイルパンによって、少なくとも部分的に支持される可能性のある構成部品を意味する。
【0014】
用語「下側」及び「上側」、「底部」及び「頂部」、「垂直」及び「水平」は、車両に設置するための必要に合わせてオイル溜めハウジングが配向される場合、用語の一般的な意味で考慮されるべきである。つまり、重力ベクトルは、水平面に直交する、頂部から下方へと向かう垂直ベクトルである。
【0015】
このオイル溜めハウジングは、有利には、オイルパンを機関に、特に機関の底部に、取着させるための部分を含むことができる。
【0016】
つまり、このオイル溜めハウジングは、有利には、エンジンタイミングカバー、コンプレッサ又は車両のギヤボックスを支持することが可能な、例えば前板又は後板といった、車両の重い部分を支持するための少なくとも1枚の補強板を含むことができる。
【0017】
上記のようなオイル溜めハウジングもまた、提案される。
【0018】
燃焼機関のオイルパンのためのオイル溜め底部もまた提案され、このオイル溜め底部は、オイルを含むこと、及び、機関に固着され更に少なくとも1つの車両構成部品を支持するように設計されたオイル溜めハウジング自体に固着されることを目的とする。オイル溜め底部は、オイル溜めハウジングの下側支持端面と封止接続を形成することを目的とした上側支持端面が、オイル溜め底部の少なくとも1つの側壁に少なくとも1つの幅広のノッチを含むことを特徴とする。
【0019】
したがって、このオイル溜め底部は、他より高い壁を有し、上記のオイル溜めハウジングと共に比較的軽量の複合オイルパンを形成することができる。
【0020】
それぞれのノッチは、オイル溜め底部の一面全体若しくは一部を、又は、オイル溜め底部のいくつかの隣接した面をも占めることができる。所与の側面に対応するオイル溜め底部の側壁が、1つ以上のノッチを有してもよい。したがって、壁は、一度オイルパンがエンジンブロックの下に組み付けられ、充填されると、基準油面より低い高さを、いくつかの点で、有することになる。「基準面」とは、製造業者によって共に定められた最小量と最大量の間に、油面があることを意味する。つまり、オイル溜め底部の封止接続のための相補的な支持端面の少なくとも一部が、オイルパンに含まれるオイルの面の下にあるような、オイルの量となるように、パンは構成される。
【0021】
オイル溜め底部は、有利には、プラスチックで作製された外板によって形成することができ、これにより、金属薄板のオイル溜め底部と比較して更に軽いオイル溜め底部が作製される。
【0022】
外板の材料のプラスチックは、従来のポリアミドでもよいが、機械的強度を高めるために、ガラス繊維、炭素繊維などを充填させてもよい。
【0023】
外板は、有利には、成形される。
【0024】
外板は、有利には、外板と
一体に形成される、オイルの処理と関連した構成部品の少なくともいくつか、例えば、オイルを循環、傾瀉、濾過又は冷却するための油路ダクトと処理構成部品、例えば、取り付け済みオイルポンプを有する給油路のダクト、オイルフィルタ支持要素を有するオイルフィルタ路のダクト、傾瀉チャンバを有するオイル傾瀉路のダクト、熱交換路などを、含むことができる。
【0025】
つまり、前記の公知のオイルパンのオイル溜め底部の場合のように、これらの構成部品のための機械加工作業を実施する必要がない。
【0026】
更に、例えば、オイル交換器バルブ支持体、油面検知器、オイルポンプ制御コネクタパーツなど、関連構成部品のパーツのうちの少なくともいくつかを成形によって作製することは、容易である。
【0027】
つまり、プラスチック外板は、オイル溜め底部分本体に加えて、外板と1つのものとして作製され、例えば、オイル供給ポンプへと導く油路ダクト、オイル傾瀉路ダクト、オイル濾過ダクト、交換器へと導く油路ダクトなどの、オイル処理と関連した構成部品の少なくともいくつか、そして更に、例えば、オイルポンプ、オイル傾瀉チャンバ及び構成部品支持断片などの、関連構成部品のいくつかのパーツを、受けるか又は構成することが可能な延長部分を含むことができ、同時に、例えば、オイルフィルタ支持要素接触面などの、さまざまな接触面の封止も確実にする。
【0028】
また、この別の結果としては、前記の公知のオイルパンのオイル溜め底部と比較して、オイルを処理することと関連した構成部品のさまざまな前記のパーツがオイル溜め底部の外板又はボディに既に組み込まれているため、パーツをオイル溜め底部に設置するいかなる必要もないことが挙げられる。したがって、オイルパンは、より容易にかつより速やかに嵌合する。
【0029】
外板は、内面及び外面を含むことができ、内面は、少なくとも部分的にオイルと接触するようになることを目的とした面である。
【0030】
プラスチック外板は、有利には、リブ付き又は溝付きの形状寸法で構成され、外面は、有利には、
多孔質である。このような形状寸法によって、例えば、機関を動かす場合の音響的な静けさ(振動応答の不在)のために、及び、石、縁石などにぶつかった際の、自動車運転中の衝突への抵抗のために、外板に、剛性及び頑丈さを与えることが可能である。
【0031】
上記のリブ付けは、有利には、外板の壁の(機関に設置する方向に対して)垂直な又はほぼ垂直な周囲面上で、実施することができる。このリブ付け又は溝付けは、均一な又は均一でない表面の起伏を含むことができる。
【0032】
パンは、有利には、複合オイルパンとすることができ、複合オイルパンとは、オイル溜め底部及びオイル溜めハウジングが異なる材料で作製されたオイルパンを意味する。オイル溜め底部は、オイル溜めハウジングの材料より軽量の材料で作製可能で、オイル溜めハウジングは、オイル溜め底部の材料より丈夫な材料で作製されている。例えば、オイル溜めハウジングは、アルミニウム又はアルミニウム合金で作製可能で、オイル溜め底部は、プラスチックで作製可能である。
【0033】
パンは、有利には、エラストマガスケットをオイル溜めハウジングとオイル溜め底部の間に配置させることができる。
【0034】
このガスケットは、オイル溜め底部の上側持端面とオイル溜めハウジングの下側支持端面との間に封止をする方法で広がる。このガスケットは、ハウジングが機関に固着されるとき、パンのオイル溜め底部及びオイル溜めハウジングのアセンブリを封止することができる。
【0035】
また、このガスケットは、空間に切り抜きを有する形状寸法(非平面の形状寸法)によって、機関が動いているときに、パン装置の振動を減衰させることができる。ガスケットは、重量を省くために、プラスチックの使用が最大となるようにオイル溜め底部でオイルの面より上又は下に配置される。
【0036】
本発明は、ガスケットの輪郭の形状によって、又は、使用される材料(単数又は複数)によって、決して限定されない。例えば、ガスケットは、T字形状又は他のいくつかの輪郭を有することができる。ガスケットは、例えば、直鎖状ポリ(ジメチルシロキサン)若しくはPDMSといった、シリコーンエラストマ及び/又は1つ以上の他の材料(単数又は複数)で作製することができる。
【0037】
その上、エラストマガスケットと接触しているオイル溜め底部及び/又はオイル溜めハウジングの支持端面は、仕上げをせずに、オイル溜め底部の場合には射出成形され、オイル溜めハウジングの場合には鋳放しさせることができる。オイル溜め底部ボディのプラスチック及び可撓性のエラストマガスケットは、ガスケットと接触する端面のいかなる不完全性も和らげる。結論的には、従来の複合オイルパンのような、これらの面の機械加工は、任意選択とすることができる。本発明は、また、上記のようなオイルパンを含む自動車エンジンを提案する。
【0038】
上記のパンを使用するための方法もまた、提案される。特に、この方法は、有利には、オイル溜め底部の封止接続のための相補的な支持端面の少なくとも一部がパンに含まれるオイルの面の下に位置する十分な量のオイルで、パンを部分的に充填するステップを伴うことができる。
【0039】
本発明の一実施形態が、以下の添付図面を参照して非限定的な例としてここで説明される。