(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968342
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】高速パルス・ガス・デリバリのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20160728BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20160728BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20160728BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
C23C16/52
C23C16/455
H01L21/205
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-555600(P2013-555600)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公表番号】特表2014-514625(P2014-514625A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2012026519
(87)【国際公開番号】WO2012116281
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年1月28日
(31)【優先権主張番号】13/035,534
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/525,452
(32)【優先日】2011年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/344,387
(32)【優先日】2012年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】ディング,ユンフワ
(72)【発明者】
【氏名】ルバッシ,マイケル・エル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ツェン−チュン
【審査官】
谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−245132(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0125424(US,A1)
【文献】
特表2009−508332(JP,A)
【文献】
特表2009−500852(JP,A)
【文献】
特表2007−535617(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0050326(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
C23C 16/455
C23C 16/52
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望されるマスのガス・パルスをツールへデリバリするためのシステムであって、
フロー・センサと、コントロール・バルブと、前記コントロール・バルブの開閉のためのステップのシーケンスを含むレシピを受信して、前記レシピに応じてシーケンスのガス・パルスをデリバリさせるように動作する専用コントローラとを含むマス・フロー・コントローラを含み、
前記レシピは、半導体製作プロセスにおける特定のステップで特定のガスのためにデリバリされる複数のガス・パルスのシーケンスを含み、
前記専用コントローラは、トリガ信号に応答して前記コントロール・バルブを開閉するように動作することにより、前記レシピの前記ステップの全てに従ってマス・フローをデリバリするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、ホスト・コントローラを更に含み、前記ホスト・コントローラが前記トリガ信号を提供する、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記ホスト・コントローラは、前記レシピを前記専用コントローラへアップロードするように構成および配置される、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記マス・フロー・コントローラは、少なくとも2つの動作モードのうちの1つの動作モードで動作する、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、前記モードのうちの1つのモードにおいて、前記マス・フロー・コントローラは、前記レシピの一部としてフロー設定値信号を受信して、プロセス・ツールへデリバリされるガスの流量を制御する伝統的なマス・フロー・コントローラ(MFC)・モードで動作するように構成および配置される、システム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムであって、前記モードのうちの1つのモードにおいて、前記マス・フロー・コントローラは、パルス・ガス・デリバリ(PGD)・モードで動作するように構成および配置される、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記PGDモードにおいて、前記マス・フロー・コントローラは、パルス・プロフィールと、パルスの必要な順序付けとを受信するように構成および配置され、それにより、前記マス・フロー・コントローラは、ガスを、供給源からプロセス・ツールへ、ユーザにより提供されるプロフィールと時間を定めたパルスのシーケンスとを含むレシピに従ってデリバリできるようにされる、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、専用コントローラは、ホスト・コントローラから前記専用コントローラへ向けてのダウンロードまたは設定された情報に応じて、前記パルスの前記プロフィールおよび順序付けを用いてプログラムされる、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記ホスト・コントローラから前記専用コントローラへ向けてのダウンロードまたは設定された前記情報は、前記マス・フロー・コントローラが、前記ホスト・コントローラから受信した1つのトリガ信号に応答して前記順序付けされたステップの全てを行うことを可能にする、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記専用コントローラは、少なくとも3つの異なるタイプのパルス・ガス・デリバリ・プロセスのうちの何れかを行うように構成および配置される、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記3つの異なるタイプのパルス・ガス・デリバリ・プロセスは、時間ベースのデリバリ・プロセスと、モル・ベースのデリバリ・プロセスと、プロフィール・ベースのデリバリ・プロセスとを含む、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記時間ベースのデリバリ・プロセスに従ってガスをデリバリするようにコンフィギュレーションされる場合、前記専用コントローラは、前記時間ベースのデリバリ・プロセスのための以下のパラメータ、
(1)少なくとも1つの目標とされるフロー設定値(QSP)と、
(2)少なくとも1つの時間長のパルス・オン期間(Ton)と、
(3)少なくとも1つの時間長の各パルス・オフ期間(Toff)と、
(4)パルス・ガス・デリバリ・プロセスの全てを完了させるために必要なパルスの合計数(N)と
を含むようにユーザにより構成および配置される、システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムであって、前記専用コントローラは、前記モル・ベースのデリバリ・プロセスのための以下のパラメータ、
(1)少なくとも1つのモル・デリバリ設定値(nSP)と、
(2)少なくとも1つの目標とされる時間長のパルス・オン期間(Ton)と、
(3)少なくとも1つの時間長の合計パルス・オンおよびオフ期間(Ttotal)と、
(4)デリバリされるパルスの数(N)と
を含むようにユーザにより構成および配置され、それにより、前記専用コントローラは、前記モル・デリバリ設定値と前記パルス・オン期間とを自動的に調節するように構成および配置され、目標とされる前記パルス・オン期間内に、目標とされるモル量のガスを、前記フロー・センサにより得られる測定値と前のデリバリの量のフィードバックとに基づいて、正確にデリバリする、システム。
【請求項14】
請求項に
13記載のシステムであって、ガスは、下記の式
【数1】
に従ってデリバリされ、上記の式において、
Δnは、前記パルス・オン期間(時点t1とt2との間)の間にデリバリされるガスのモルの数であり、
Qは、パルス・オン期間中に前記フロー・センサにより測定される流量である、
システム。
【請求項15】
請求項11に記載のシステムであって、前記プロフィール・ベースのデリバリ・プロセスに従ってガスをデリバリするようにコンフィギュレーションされる場合、前記専用コントローラは、実行されているプロセスのタイプに応じて、前記プロフィール・ベースのデリバリ・プロセスの各パルスに対して以下のパラメータの組を含むようにユーザにより構成および配置される、システム。
【請求項16】
請求項11に記載のシステムであって、前記プロフィール・ベースのデリバリ・プロセスに従ってガスをデリバリするようにコンフィギュレーションされる場合、前記専用コントローラは、前記プロフィール・ベースのデリバリ・プロセスの各パルスに対して以下のパラメータ、
(1)フロー設定値Qsp1および対応する第1のパルス・オンおよびオフ期間(Ton1Toff1)、
(2)フロー設定値Qsp2および対応する第2のパルス・オンおよびオフ期間(Ton2Toff2)、
・・・、
(m)フロー設定値Qspmおよび対応する第mのパルス・オンおよびオフ期間(TonmToffm)
などを含むようにユーザにより構成および配置され、それにより1組のパラメータが、パルスの組の全体のうちの各パルスに対して与えられ、実行されているプロセスのタイプに応じて前記パルスが変化することを可能にする、システム。
【請求項17】
請求項11に記載のシステムであって、前記プロフィール・ベースのデリバリ・プロセスに従ってガスをデリバリするようにコンフィギュレーションされる場合、前記専用コントローラは、前記プロフィール・ベースのデリバリ・プロセスの各パルスに対して以下のパラメータ、
(1)モル・デリバリ設定値(nsp1)および対応する第1のパルス・オンおよびオフ期間(Ton1Toff1)、
(2)モル・デリバリ設定値(nsp2)および対応する第2のパルス・オンおよびオフ期間(Ton2Toff2)、
・・・、
(m)モル・デリバリ設定値(nspm)および対応する第mのパルス・オンおよびオフ期間(TonmToffm)
などを含むようにユーザにより構成および配置される、システム。
【請求項18】
請求項2に記載のシステムであって、それぞれ複数のトリガ信号に応答して、複数の組のガス・パルスをデリバリするために複数の前記マス・フロー・コントローラを更に含むシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記ホスト・コントローラは、複数の前記マス・フロー・コントローラへの前記トリガ信号をシフト調整するように構成され、それにより、これらのデバイスのパルスのデリバリが時分割多重化の様式となるようにする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 2010年9月29日にJunhua Dingによりに出願され、本出願の譲り受け人に譲渡され、「SYSTEM FOR AND METHOD OF FAST PULSE GAS DELIVERY(高速パルス・ガス・デリバリのためのシステムおよび方法)」と題された米国特許出願第12/893554号(代理人ドケット番号086400-0015(MKS-218))と、2011年2月25日にJunhua Dingによりに出願され、本出願の譲り受け人に譲渡され、「METHOD AND APPARATUS FOR MULTIPLE-CHANNEL PULSE GAS DELIVERY SYSTEM(複数チャンネル・パルス・ガス・デリバリのための方法および装置)」と題された米国特許出願第13/035534号(代理人ドケット番号 086400-0027(MKS-219))と、2011年7月28日にVladislav Davidkovichその他によりに出願され、本出願の譲り受け人に譲渡され、「Systems and Methods of Controlling Time-Multiplexed Deep Reactive-Ion Etching Processes(時分割多重化された深部反応性イオン・エッチング・プロセスを制御するためのシステムおよび方法)」と題された米国特許出願第13/193393号(代理人ドケット番号 086400-0059(MKS-220))とを参照として示すことにより、これら全ての出願の全体をここで援用する。これらの出願の全てを、以下では「同時継続出願」という。
【0002】
[0002] 本出願は、2012年1月5日にJunhua Dingによりに出願され、本出願の譲り受け人に譲渡され、「SYSTEM FOR AND METHOD OF FAST PULSE GAS DELIVERY(高速パルス・ガス・デリバリのためのシステムおよび方法)」と題された米国特許出願第13/344387号(代理人ドケット番号086400-0087(M S-224))の特権を主張するものであり、米国特許出願第13/344387号は、2011年2月25日にJunhua Dingによりに出願され、本出願の譲り受け人に譲渡され、「METHOD AND APPARATUS FOR MULTIPLE-CHANNEL PULSE GAS DELIVERY SYSTEM(複数チャンネル・パルス・ガス・デリバリのための方法および装置)」と題された米国特許出願第13/035534号(代理人ドケット番号086400-0027 (MKS-219))の一部継続出願であり、かつ、2011年8月19日にJunhua Ding、Michael L'Bassi、およびTseng-Chung Leegによりに出願され、本出願の譲り受け人に譲渡され、「SYSTEM AND METHOD OF FAST PULSE GAS DELIVERY(高速パルス・ガス・デリバリのためのシステムおよび方法)」と題された米国仮特許出願第61/525452号(代理人ドケット番号086400-0078(MKS-224PR))からの優先権を主張する。
【0003】
[0003] 本開示は、一般に、モールまたはガラスのデリバリ・デバイスに関し、より特定的には、パルス・ガス・デリバリのための方法および装置に関する。ここで用いる「ガス(gas、気体)」という用語は「蒸気」を含み、これら2つの用語は異なるものと考慮しうる。
【背景技術】
【0004】
[0004] 半導体デバイスの製造や製作では、1ダースほどのガスを、慎重に同時性を持たせ且つ正確に測定してプロセス・ツールへデリバリすることを必要とされることが多い。ここでの目的に関しては、「プロセス・ツール」という用語は、プロセス・チャンバを含んでも含まなくてもよい。多くの別個のプロセス・ステップを含む様々なレシピ(recipe、処方)が製造プロセスで使用されて、半導体デバイスに関して、典型的には、洗浄、研磨、酸化、マスキング、エッチング、ドーピング、金属化などが行われる。用いられるステップ、それらのステップの特定のシーケンス、および必要とされる材料は、全て、特定のデバイスの作成に寄与する。
【0005】
[0005] デバイスの寸法が90nmより小さく縮められる場合、原子層堆積またはALDとして知られる1つの技術が、様々な応用、例えば、銅の相互接続のための障壁の堆積、タングステン核形成層(nucleation layer)の生成、高伝導(highly conducting)の誘電体の製造などのために、必要とされ続けている。ALDプロセスでは、2以上の前駆物質ガス(precursor gas)がパルスの形で送られて、真空に維持されるプロセス・ツール内のウエハの表面上を流れる。2以上の前駆物質ガスは、交替しながらまたは順に流れ、それにより、ガスは、ウエハ表面のサイト(site)または機能グループと反応することができる。使用可能なサイトの全てが、前駆物質ガスのうちの1つのガス(例えば、ガスA)に関して飽和状態になると、反応は停止し、過剰な前駆物質分子をプロセス・ツールから取り除くためにパージ・ガスが用いられる。次の前駆物質ガス(即ち、ガスB)がウエハ表面を流れると、このプロセスが反復される。2つの前駆物質ガスを用いるプロセスに関して、サイクルは、前駆物質Aの1パルスと、前駆物質Bの1パルスと、パージとにより定義することができる。サイクルは、更なる前駆物質ガスのパルスや、前駆物質ガスの反復使用を含むことができ、前駆物質ガスの連続するパルスの間にはパージ・ガスを使用する。このシーケンスは、厚さなどのような最終的な幾何学的特徴に到達するまで、反復される。これらの表面の反応はシーケンシャルで本質的制約があるので、1サイクルで作られるのは、堆積される薄膜の1つの単層(monolayer)となる。
【0006】
[0006] プロセス・ツール内への前駆物質ガスのパルスのデリバリ(delivery)は、パルス・ガス・デリバリ(PGD)・デバイスを用いて制御することができる(デリバリ・チャンバへの、およびデリバリ・チャンバからのガスの流れは、単に、入口側および出口側のオン/オフ型のバルブにより制御され、出口側のシャットオフ・バルブの開く所定期間(パルス)のタイミングに、望まれるマス(mass)の前駆物質ガスがプロセス・ツールのプロセス・チャンバ内へ供給される)。代替例としては、トランスジューサ、コントロール・バルブ、および制御/信号処理用電子装置を備える独立型のマス・フロー・コントローラ(MFC)を使用して、短い期間に、所定の反復可能な流量で、或る量のガスを供給している。
【0007】
[0007] パルス・ガス・デリバリ(PGD)・デバイスは、通常、圧力に基づくものであり、ALDプロセスなどのような半導体製造プロセスで使用するための、反復可能で正確な量(マス)のガスを提供するように最適化される。典型的には、
図1に示すように、現在のPGDデバイスは、デリバリ・ガス・チャンバ12と、ガス供給部52からチャンバ12へのガスの流れを制御するための入口側シャットオフ・バルブ14と、デリバリ・ガス・チャンバ12からプロセス・ツール54へのガスの流れを制御するための出口側シャットオフ・バルブ16とを含む。ホスト・コントローラまたはコンピュータ50は、ガス・デリバリ・プロセスを実行し、かつ、プロセス・ツールに関しての全ての制御および診断の機能を行う。それは例えば、安全性についての監視および制御、RFパワー信号、および他の一般的タスクを含む。デリバリ・チャンバ12の体積は固定であり知られているので、モルを単位として測定されるものであり、各パルスでデリバリ・チャンバへもたらされるガスの量は、ガスタイプと、チャンバ内のガスの温度と、チャンバ12から供給されるパルスの持続時間の間のガスの圧力低下との関数である。従って、圧力センサ18および温度センサ20は、圧力および温度の測定値をコントローラ24へ供給し、それにより、各パルスの間にチャンバから供給されるガスの量を決定することができる。従って、PGDデバイスを動作させるための制御論理は、伝統的および典型的に、プロセス・ツールと関連するホスト・コントローラ50にある。同時継続出願には、入口バルブ14および出口バルブ16の動作によるパルス・デリバリ・プロセスを分離して制御するための専用のコントローラ24を提供する、という改善策が記載されている。
【0008】
[0008] 更に最近では、高速パルス化または時分割多重化のプロセスを必要とする或る種のプロセスが開発されている。例えば、半導体工業は、最新式の3D集積回路のシリコン貫通電極(TSV)を開発しており、これは、ダイからダイへ(die-to-die)およびウエハからウエハへ(wafer-to-wafer)のスタックに対しての相互接続能力を提供する。現在、製造者は、広範囲の種類の3D集積スキームを考慮しており、それらは、同程度に広い範囲のTSVエッチングに関する要求を生じさせる。ボッシュ・プロセス(Bosch process)のようなプラズマ・エッチング技術は、メモリ・デバイスやMEMSの製造における深掘りシリコン・エッチング(deep silicon etching)に広く使われているものであり、TSVの生成に良く適している。ボッシュ・プロセスは、高速パルス化または時分割多重化されたエッチングとしても知られており、2つのモードを反復的に交互にして、SF
6を用いてほぼ垂直の構造を実現させ、かつC
4F
8を用いて化学的不活性パッシベーション層の堆積を実現させる。商業的に成功するために必要とされるTSVの目標は、適切な機能性、低コスト、および確かな信頼性である。
【0009】
[0009] これらの高速プロセスは、より良くプロセスを制御するために、パルスの遷移時間の間の応答時間を速くする必要があり、このことにより、圧力ベースのパルス・ガス・デリバリ・デバイスを使用することが問題となる。現在、応答時間を低減させる1つの手法は、高速応答マス・フロー・コントローラ(MFC)を使用して、ホスト・コントローラから受信した信号に従ってプロセス・ツールへ送られるデリバリ・パルス・ガスのガス流をオンおよびオフする。しかし、ホスト・コントローラと高速応答MFCとを用いてのパルス・デリバリの繰り返し性および精度には、改善の余地がある。なぜなら、応答時間は、ホスト・コントローラの作業負荷に依存的だからである。ホスト・コントローラは、労力を要する他の機能を実行中である場合、適時的に制御信号を送信できなくされ得る。更に、短い持続時間の制御信号がホスト・コントローラからマス・フロー・コントローラへ送信された場合、通信ジッタが発生して、ガスのパルスのデリバリにおけるエラーが生じる場合もある。ホスト・コントローラの作業負荷と通信ジッタとは2つのエラー・ソースであり、ホスト・コントローラと、ガスのパルスをデリバリするマス・フロー・コントローラとの間の高速通信を信頼している場合には、パルス・ガス・デリバリの繰り返し性および精度を低下させる。
【0010】
[0010] パルス・マス・フロー・デリバリ・システムの例は、下記の文献において見つけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7615120号
【特許文献2】米国特許第7628860号
【特許文献3】米国特許第7628861号
【特許文献4】米国特許第7662233号
【特許文献5】米国特許第7735452号
【特許文献6】米国特許第7794544号
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0060139号
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0130755号
【特許文献9】米国特許出願第12/689961号、発明の名称「CONTROL FOR AND METHOD OF PULSED GAS DELIVERY(パルス・ガス・デリバリの制御および方法)」、2010年1月19日出願、出願人:Paul Meneghini、譲り受け人:本出願の譲り受け人、(代理人ドケット番号56231-751(MKS-194))
【特許文献10】米国特許出願第12/893554号、発明の名称「SYSTEM FOR AND METHOD OF FAST PULSE GAS DELIVERY(高速パルス・ガス・デリバリのためのシステムおよび方法)」、2010年9月29日出願、出願人:Junhua Ding、譲り受け人:本出願の譲り受け人(代理人ドケット番号86400-015(MKS-218))
【特許文献11】米国特許出願第13/035534号、発明の名称「METHOD AND APPARATUS FOR MULTIPLE-CHANNEL PULSE GAS DELIVERY SYSTEM(複数チャンネル・パルス・ガス・デリバリのための方法および装置)」、2011年2月25日出願、出願人:Junhua Ding、譲り受け人:本出願の譲り受け人(代理人ドケット番号86400-0027(MKS- 219))
【発明の概要】
【0012】
[0011] 上記のように、ホスト・コントローラの作業負荷と通信ジッタとは、パルス・ガス・デリバリの繰り返し性(repeatability)および精度(accuracy)を低下させる。従って、ホスト・コントローラの作業負荷を低減し、かつ、制御信号をホストからMFCのコントローラへ移動させることにより、これら2つの要因は低減され、ガス・パルス・デリバリの繰り返し性および精度が向上する。
【0013】
[0012] これらと、他のコンポーネント、ステップ、特徴、目的、利益、および利点とは、例示的な実施形態についての以下の詳細な説明と添付の図面とを検討することにより明らかになる。
【0014】
[0013] 図面は、例示的な実施形態を開示する。図面は全ての実施形態を説明するものではない。別の実施形態を追加的または代替的に使用することもできる。明白または不要な詳細部分は、スペースを節約するためや、より有効に例示を行うために、省略している場合もある。また、幾つかの実施形態は、開示した全ての詳細部分を使用せずに実施することができる。異なる図面において同じ参照番号が記載されている場合、それは同一または同様のコンポーネントやステップを示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、高速パルス・デリバリを行うための従来技術のガス・デリバリ・システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、時間に対しての流量を示す、試験ガス・パルスのグラフ表現である。
【
図3】
図3は、高性能MFCを用い、ここで説明される教示に従って変更されたガス・デリバリ・システムの実施形態を示す。
【
図4】
図4は、MFCへダウンロードされる典型的な時間ベースのパルス・ガス・デリバリ・プロフィールを示し、それにより、MFCは、ホスト・コントローラとの対話を必要とせず、従って、ホスト・コントローラのオーバーヘッドの関数と関係無く動作して、一連のガス・パルスを供給することができる。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、MFCコントローラをコンフィギュレーションするためのMパルスのプロフィールの組の例であり、それにより、MFCコントローラは、ホスト・コントローラからのトリガ信号に応答して、ホスト・コンピュータによりダウンロードされたレシピにより指図されたシーケンスのパルスを生成するように、MFCコントローラ自体をオンおよびオフにして、Mパルス・プロフィールを自動的に供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0019] ここで、例示的な実施形態を開示する。他の実施形態を追加的または代替的に使用することもできる。明白または不要な詳細部分は、スペースを節約するためや、より有効に呈示を行うために、省略している場合もある。また、幾つかの実施形態は、開示した全ての詳細部分を使用せずに実施することができる。
【0017】
[0020] ホスト・コンピュータにより制御される高速応答MFCを用いる高速ガス・パルス・デリバリの分析のための試験セットアップを用いて実験を行ったが、これは、MFCからデリバリされるガスの各パルスの遷移エッジの峻度を、ゼロ・フローから最大フローまで、および最大フローからゼロ・フローまで動くMFCの応答の測定値として示すためである。MFCによりデリバリされるガスの各パルスはホスト・コンピュータを用いて制御され、それは、レシピにおいて典型的である一連のデリバリ・ステップを含んでいた。デリバリ段階の間に高速応答MFCにより生成された1つのパルスが、
図2に示されている。示されるように、ガス・パルス(「流量」対「時間」)の遷移エッジはかなり急であり、MFCのコントロール・バルブの応答時間が速いことを示す。しかし、実験結果の分析において、その性能は、ボッシュ・プロセスなどのような高速プロセスに関してシステムを信頼性の無いものにしてしまった
【0018】
[0021] より詳細には、実験は、マス・フロー検証器(verifier)を用いて、ホスト・コンピュータにより制御される高速応答MFCからデリバリされるガスの量を測定し、システムの繰り返し性を決定するためのデータを生成した。MFCによりデリバリされたガスのパルスは、前のパルスへの応答のタイミングに対する各パルスに対してのMFCの応答のタイミングの変化のために発生する繰り返し性のエラーからの悪影響を受けた。即ち、繰り返し性のエラーは前のパルスのタイミングに基づいて決まるパルスが発生すべき時点および、パルスが実際に発生した時点から変化するパルスを供給するために、ホスト・コンピュータからのコマンドに対するMFCの応答に関して繰り返し発生するエラーである。このエラーの原因の中には、ホスト・コントローラに対する負荷がもともと高い、ということがあると判断された。ホスト・コントローラは、MFCへ送信されるオン/オフ信号をキューに入れることができるが、その時点でのホスト・コントローラの作業負荷に応じて、信号は即座に送信されないこともある。同様に、オン/オフ信号が送信されるときにさえ、短いおよび/または速いパルスの幅が原因で生じるホスト・コントローラとMFCとの間での通信ジッタが、繰り返し性および正確性に関する性能を含むパルス・ガス・デリバリの性能を低下させる。パルスの相対的なタイミングは、多くの高速パルス・デリバリの応用を成功させるために重要である。従って、TSVの生成に使用されるボッシュ・プロセスなどのような高速パルス・デリバリの応用についての、これらの問題を低減または克服するための解決法を提供することが望まれている。
【0019】
[0022]
図3を参照すると、高速パルス・デリバリの応用の制御に使用できる高性能MFC160は、ガス源140とプロセス・ツール200との間に接続されており、ユーザ・インターフェース/ホスト・コントローラ150から一連の命令を受信し、ソース・ガスの一連のパルスをプロセス・ツール200へ供給するように構成されている。本願の譲り受け人により製造され販売されているπMFCなどのような高性能マス・フロー・コントローラ(MFC)160は、フロー・センサ(flow sensor)170と調節可能コントロール・バルブ190とを含む。センサ170は、センサを通るマス・フローを感知し、測定したフローを表す信号を専用MFCコントローラ180へ供給する。専用コントローラ180は、測定されたフローとフロー設定値とを比較し、調節可能コントロール・バルブ190の制御に使用される制御信号を提供し、それにより、プロセス・チャンバなどのようなプロセス・ツール200へのバルブの出力フローが設定値に維持されるようにする。
【0020】
[0023] ここでの開示に従った1つの実施形態では、MFC160は2つの動作モードを有し、これにより、圧力ベースのパルス・ガス・デリバリ・デバイスに勝る1つの重要な利点が提供される。第1のモードは、伝統的なマス・フロー・コントローラ(MFC)・モードであり、このモードにおいて、ホスト・コントローラ150は、フロー設定値信号をMFC160へ送信して、プロセス・ツール200へデリバリされるフローを制御する。第2のモードは、パルス・ガス・デリバリ(PGD)・モードである。PGDデリバリ・プロセスでは、MFC160は、パルス・プロフィール(profile)と、必要なプロフィールと、パルスの順序付け(sequencing)とを受信するように構成され、それにより、MFC160は、ユーザにより提供され、時間を設定されたパルスのプロフィールと順序付けとを含むレシピに従って、供給源140からチャンバ200へガスを供給することができる。パルスのプロフィールと順序付けとは、ユーザ・インターフェース/ホスト・コントローラ150から専用コントローラ180へダウンロードされる情報により、最初にプログラムすることができる。ダウンロードされたプロフィールおよび順序付けは、MFCがインターフェース/コントローラ150からの1つのトリガ信号に応答して順序付けステップ(シーケンスのステップ)の全てを行うことを可能にする。専用のMFC160を用いると、専用コントローラは、順序付けステップの全てを良く制御された形で適時に行うように構成および配置することができ、それにより、ホスト・コントローラ/インターフェースを、パルス・ガス・デリバリと干渉すること無しに、他の全ての機能を実行するように解放する。
【0021】
[0024] PGDモードは、パルス・ガス・デリバリ・プロセスの3つのデリバリ・タイプのための動作ステップを提供し、それらは、時間ベースのデリバリと、モル(mole)・ベースのデリバリと、プロフィール・ベースのデリバリとであり、これにより、圧力ベースのパルス・ガス・デリバリ・デバイスに勝る更なる利点が提供される。時間ベースのパルス・デリバリ・プロセスでは、ユーザは、専用MFCコントローラ180を、制御されるプロセスのための以下のパラメータを用いてコンフィギュレーションして配置することを要求される。パラメータは、(1)少なくとも1つの目標とされるフロー設定値(Q
SP)と、(2)少なくとも1つの時間長のパルス・オン期間(T
on)と、(3)少なくとも1つの時間長の各パルス・オフ期間(T
off)と、(4)プロセスを完了させるために必要なパルスの合計数(N)とである。
【0022】
[0025]
図4に示すように、パラメータは、ホスト・コントローラからMFCの専用MFCコントローラへ向けて、設定またはダウンロードされ、それにより、MFCコントローラは、それらのパラメータの関数と関連してパルス・デリバリを制御する。パルス・ガス・デリバリ・シーケンスが実行されるとき、ホスト・コンピュータは単にトリガ信号をMFCへ供給し、MFCはパルスのシーケンスを行う。
図4に示すように、MFC160が、ホスト・コントローラ150から、デリバリを開始するためのトリガ信号を受信すると、MFC160は、レシピに従ってPGDプロセスを制御して、各パルス期間についての規定されたパルス・オン期間およびパルス・オフ期間に基づいて、MFCをオン(バルブの開きを調節することにより、フローを、目標のフロー設定値になるように制御する)およびオフ(バルブを閉じることにより、フローをゼロにするように制御する)にする。その結果として、パルスの順序、タイミング、および期間が非常に良く制御される。
【0023】
[0026] モル・ベースのパルス・デリバリに関しては、ユーザは、以下のパラメータ、(1)モル・デリバリ設定値(n
SP)と、(2)目標とされる時間長のパルス・オン期間(T
on)と、(3)合計パルス・オンおよびオフ期間(T
total)と、(4)パルスの数(N)とを特定する。この情報に基づいて、MFC160の専用のコントローラ180はコンフィギュレーションおよび配置され、それにより、フロー設定値とパルス・オン期間とを自動的に調節して、下記の式に従って、目標とされるパルス・オン期間内に、目標とされるモル量のガスをフロー・センサ170による測定に基づいて正確にデリバリする。
【0025】
上記の式において、Δnは、パルス・オン期間(時点t1とt2との間)の間にデリバリされるガスのモルの数であり、
Qは、パルス・オン期間中にMFC160のセンサ170により測定される流量である。
【0026】
[0028] 従って、モル・ベースのパルス・デリバリ・モードを用いて、MFCは、フロー設定値と実際のパルス・オン期間とを制御し、また、必要に応じて調節し、それにより、各パルスでデリバリされるモルの数を制御する。3つのパラメータに基づいて、MFC160は、フローのN個のパルスを正確なタイミング・シーケンスで自動的にデリバリし、各パルスは、MFCがオンであるそれぞれの合計パルス期間の一部の間にΔnモルをデリバリし、合計パルス・オンおよびオフ期間(T
total)のうちの残りの部分ではMFCをオフにする。モル・ベースのパルス・デリバリ動作の動作中、MFC160は、フロー設定値(Q
SP)と実際のパルス・オン期間とを、前のデリバリからのフィードバックに基づいて自動的に調節して、各パルスに関して、目標とされるパルス・オン期間(T
on)内に望ましいモル数を正確にデリバリするようにする。
【0027】
[0029] モル・ベースのデリバリは、複数のプロセス・ツールが使用される場合や、プロセス・ツールの様々な部分へのフローを整合させることが要求される場合に、好適である(しかし、必要という訳ではない)。そのような場合、複数の高性能MFCを使用して、対応する複数のデリバリ・チャンネルを通じてフローを提供する。モル・デリバリが正確であることを確実なものとするために、各MFC160は、そのフロー・センサ170からのフィードバック制御ループを使用して、そのバルブ190を制御する。即ち、複数のデリバリ・チャンネルが使用される場合には、応答時間、コンダクタンスなどにおける変化が生じ得る。そのような場合、モル・ベースのパルス・デリバリを使用することにより、それらの要因とは関係なく、各デリバリ・チャンネルにおいて各パルスでデリバリされるガスの量(モル)を同じにすることができる。なぜなら、モルのデリバリは、それらの要因から独立しているからである。1つの実施形態では、バルブの応答時間に起因する、デリバリされるガスの量のエラーを、フィードバックを用いて修正する。
【0028】
[0030] 他のパラメータや他のパラメータの組み合わせを用いてガス・デリバリを制御することも企図されている。例えば、時間ベースのデリバリに関して、T
off期間の間のガスのデリバリに対して、ゼロをデフォルトとする代わりとして、オフ・フロー設定値を入力することができる。
【0029】
[0031] MFCの専用コントローラを用いる時間ベースとモル・ベースとの双方のデリバリの方法により、繰り返し性と精度とが改善される。なぜなら、ホスト・コントローラ150からPGD制御の責任が取り除かれるからであり(作業負荷に起因する遅延が低減される)、また、信号伝送がMFC160に近くなる(実際にはMFC160内になる)からである(通信ジッタが低減される)。
【0030】
[0032] 最後に、第3の動作モードはプロフィール・パルス・モードである。プロフィール・パルス・タイプのデリバリの1つの実施形態では、ユーザは、1以上のパルスを特徴付けするプロフィールを作成する。プロフィール内の各パルスについて、ユーザは、フロー設定値と、対応するパルス・オンおよびオフ期間とを指定する。即ち、(1)フロー設定値Q
sp1および対応する第1のパルス・オンおよびオフ期間(T
on1T
off1)、(2)フロー設定値Q
sp2および対応する第2のパルス・オンおよびオフ期間(T
on2T
off2)、・・・、(m)フロー設定値Q
spmおよび対応する第mのパルス・オンおよびオフ期間(T
onmT
offm)などを指定する。即ち、1組のパラメータが、パルスの組の全体のうちの各パルスに対して与えられ、それにより、実行されるプロセスのタイプに応じてパルスが変化することを可能にする。
図5Aおよび
図5Bは、2つの例のパルス・プロフィールの組を示す。幾つかの実施形態では、ユーザは、T
onの間に設定値が変化する通常のオン/オフのパルスを定義することができ(
図5Aで見られるようなもの)、別の実施形態では、ユーザは、オン期間とオフ期間との双方に対して1つより多くの設定値を入力して、
図5Bで見られるような階段型のプロフィールを作ることができる。後者が可能なのは、MFCが比例制御バルブ(proportional control valve)を用いるからである。シャット・オフ/オン・バルブとは異なり、比例制御バルブは、全開位置と完全閉位置との間の任意の位置に設定することができ、それにより、
図1に示すもののような圧力ベースのPGDデバイスに勝る利点を提供する。プロフィール・パルス・デリバリ・モードでは、ユーザは、プロフィール・レシピ内のそれぞれのパルスに対して、フロー設定値Q
spiに代えてモル・デリバリ設定値(n
spi)を、対応するパルス・オンおよびオフ期間(T
oniT
offi)と共に指定することもできる。
【0031】
[0033] 即ち、ホスト・コントローラ150ではなくMFC160が、コントロール・バルブ190の開く動作および閉じる動作、従って、ガスのデリバリを調整する。歴史的に、MFCは、上記のような相対的に短いパルスを用いての上記のようなPGD制御の責務を正確に行うことができないアナログ・デバイスであった。しかし、新しいデジタルのMFCは、MFCの比例制御バルブを制御する責務を引き受けることができる。速いPGDプロセスに関しての上記の要求がある場合、PGDデリバリ・プロセスを行うために専用MFCコントローラ180を用いると、それまで可能であった繰り返し性および精度よりも高い繰り返し性および精度が達成される。ホスト・コントローラがMFCをオン/オフするための信号を送信する必要がある構成に代えて、プロセス機能は、
図3のMFC160単体により行われ、それにより、大量のハードウェアを除去しつつも、より正確なデリバリが確実に行われる。必要とされる制御レシピ・パラメータは、以下で更に説明するように、使用されるPGDモードのタイプに基づいて変化する。また、ホスト・コントローラ150は、任意の時点でアボート信号をMFCコントローラ180へ送信することもでき、それによりパルス・ガス・デリバリをアボートすることができる。例えば、安全性検査に合格しなかった場合、ホスト・コントローラ150は、MFC160に対して、トリガされプロセス中のガス・デリバリ・シーケンスの即座の停止を要求することができる。同様に、ホスト・コントローラ150が、誤ったガス・デリバリが行われていることを検出した場合、ホスト・コントローラ150はアボート信号を送信することができる。このように、ホスト・コンピュータ150は他のプロセスの監視を継続することができ、ガス・デリバリのステップは、MFC160の専用コントローラ180に専用である。
【0032】
[0034] ここでの開示の様々な実施形態において、ホスト・コントローラ150は、複数のMFC160と共に、即ち、対応する複数の上記のデリバリ・チャンネルと共に使用される複数のMFC160と共に、使用することができる。ホスト・コントローラ150は、適時なトリガ信号を各MFC160へ送信する。即ち、ホスト・コントローラ150は、複数のMFC160を順にまたは同時にトリガするために、トリガ信号をオフセットすることができる。この構成では、ホスト・コントローラ150は、トリガ信号をシフト調整して、デリバリ・チャンネルがガスを同時にデリバリしないようにできる。例えば、2つのMFC160のそれぞれにおいて、制御パラメータは、T
onを0.25sと定め、T
offを0.75sと定めるものとする。ホスト・コントローラ150が、第1のMFCをトリガした0.5s後に、第2のMFCへトリガ信号を送信した場合、プロセス・ツール200は、0.25sのT
onおよび0.25sのT
offと等価のガスのデリバリを受ける(2つのガス・チャンバに同じガスが充填されている場合)。
【0033】
[0035] 開示した手法を用いた試験の結果は、プロセスの制御のためにホスト・コンピュータを用いた実験手法よりも、繰り返し性のエラーにおいて2倍の改善がなされたことを示した。
【0034】
[0036] 説明したように、ガス・デリバリ・システムは、半導体ツール内へ流れる材料(マス)の量を信頼性をもって測定し、信頼性および繰り返し性のある様式で、比較的短い期間のパルスの形でガスのマスを正確にデリバリできるようにする。更に、システムは、簡素な動作を採用するが、広い範囲の値にわたっての望まれる数のモルのガスをデリバリすることができ、システムは、精度、信頼性、および繰り返し性を得るためにガスの流れを迂回することを必要としない。
【0035】
[0037] 前記で説明したコンポーネント、ステップ、特徴、目的、利益、および利点は、単なる例示である。何れのものも、また、何れのものと関連する説明も、保護される範囲をどのような形で制限することも意図していない。多数の他の実施形態も企図されている。それらは、コンポーネント、ステップ、特徴、目的、利益、および利点に関して、より少ないもの、および/または追加されるもの、および/または異ったものを備えるなる実施形態を含む。また、それらは、コンポーネントおよび/またはステップが異なって構成および/または順序付けされる実施形態も含む。
【0036】
[0038] この明細書および特許請求の範囲に記載されている全ての測定値、値、評価、位置、大きさ、サイズ、および他の使用は、特に記載していない限り、おおよそのものであり厳密なものではない。これらは、これらと関連する機能やこれらの属する分野における慣習と矛盾の無い妥当な範囲を有することを意図している。
【0037】
[0039] ここでの開示で引用された全ての論説、特許、特許出願、および他の刊行物は、ここで参照することにより援用する。
【0038】
[0040] 特許請求の範囲で用いる「手段」という用語は、説明された対応する構造および材料とそれらの等価物とを含むことを意図しており、また、これらを含むものと解釈されるべきである。同様に、特許請求の範囲で用いる「ステップ」という用語は、説明された対応する動作とそれらの等価物とを含むことを意図しており、また、これらを含むものと解釈されるべきである。請求項においてこれらの用語が無い場合、その請求項は、対応する構造、材料、または動作、またはこれらの等価物に限定されることを意図されておらず、また、これらに限定されると解釈すべきではない。
【0039】
[0041] ここでの説明または例示の全ては、コンポーネント、ステップ、特徴、目的、利益、および利点、またはそれらの等価物を、特許請求の範囲に記載されているか否かにかかわず、公のものとすることを意図しておらず、また、これらを公のものとすると解釈すべきではない。
【0040】
[0042] 保護の範囲は、添付の特許請求の範囲により限定される。その範囲は、この明細書および将来の遂行に照らして解釈されるときには、特許請求の範囲で使用されている言語の通常の意味と一致する広さで解釈され且つ全ての構造および機能の等価物まで含むと解釈されることを意図しており、また、そのように解釈されるべきである。