(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、生コンクリートを製造する生コンクリート製造装置としてのバッチャプラントにおいては、粗骨材としての砂利、細骨材としての砂、セメント、水及び混和剤等の各材料を混練するためのコンクリートミキサが用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図11は、従来のコンクリートミキサの内部構成の一例を示す図である。このコンクリートミキサ50は、ミキサ本体51と、このミキサ本体51内で回転自在に設けられた2本の混練軸52,53とを有している。混練軸52,53には、上記各材料を混練するための複数のパドル54が設けられている。各パドル54は、各混練軸52,53に接続されたアーム55と、アーム55の先端に設けられたブレード56とからなる。
【0004】
複数のブレード56同士は、それらが連なって設けられている。すなわち、連なったブレード56は、各混練軸52,53の周囲を取り巻くように螺旋状にかつ帯状に配置されている。ミキサ本体51の外部には、混練軸52,53を回転駆動させるためのモータ57,58が設けられている。
【0005】
コンクリートミキサ50では、ミキサ本体51内に上記した各材料が投入され、モータ57,58によって混練軸52,53が周方向に回転されることにより、各材料がブレード56によって混ぜ合わされる。コンクリートミキサ50は、ブレード56が帯状に連なって配置されるため、混練物がブレード56によってスムーズにかつ比較的短時間でミキサ本体51内を移動される。
【0006】
通常、混練時の開始直後では、材料に粘性が少ないためにまず各材料が攪拌され、混練時間がある程度経過すると材料に粘性が生じるようになる。上記コンクリートミキサ50では、粘性の高い混練物は、帯状に配置されているブレード56によって持ち上げられずに、主にブレード56の側面に沿って移動される。そのため、従来のコンクリートミキサ50では、粘性の高い混練物に対するせん断効果が少ないといった問題点があった。
【0007】
また、材料がブレード56の側面に沿って運ばれると、
図12に示すように、ミキサ本体51の底部及びブレード56の側面で材料(符号M参照)が転がりやすくなる。そして、材料の転がる距離が長くなるほど材料の容積が膨大し、いわゆる練り玉を生じさせることがある。練り玉は、生コンクリートの品質を低下させる原因となるので、材料の転がりを極力抑制する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、混練される材料に対する攪拌及びせん断効果を高めて効率的に混練することのできるコンクリートミキサを提供することをその課題とする。また、そのコンクリートミキサを用いた生コンクリート製造装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面によって提供されるコンクリートミキサは、生コンクリートの原料となる複数の材料を収容可能なミキサ本体と、前記ミキサ本体の内部に回転自在に配された略円柱状の混練軸と、前記混練軸に接続されたアーム及び前記アームの先端に設けられた第1ブレードからなり、前記複数の材料を攪拌するための複数の攪拌用パドルとを備え、前記複数の第1ブレードは、前記混練軸を取り巻くように螺旋状に連なって配置されており、前記複数の第1ブレードのう
ち隣り合う第1ブレード同士の間であってそれらの前記混練軸側に谷部を有することを特徴としている。
【0011】
本発明のコンクリートミキサにおいて、前記第1ブレードは、略弓形状に形成されており、前記谷部は、前記第1ブレードの左右端面同士が沿うことにより形成されるとよい。
【0012】
本発明のコンクリートミキサにおいて、前記複数
の攪拌用パドルのうち前記いずれか
の攪拌用パドルの前記混練軸の軸
対称位置には、略斧状の第2ブレードを有するとともに、前記複数の材料が混練された後の混練物をせん断するための第1せん断用パドルが設けられているとよい。
【0013】
本発明のコンクリートミキサにおいて、前記複数
の攪拌用パドルのうち前記ミキサ本体の一方側面に設けられ
た攪拌用パドルの前記混練軸の軸
対称位置には、前記混練軸に接続されたアーム及び前記アームの側面に沿って設けられた略平板状の第3ブレードを有するとともに、前記混練物を他の異なる位置に送り出すための第1送り出し用パドルが設けられているとよい。
【0014】
本発明のコンクリートミキサにおいて、前
記攪拌用パドルと前記混練軸上で所定の間隔を隔てて設けられ、前
記攪拌用パドルと同様の構成とされ、前記複数の材料を攪拌するための
他の攪拌用パドルを備え、前記
他の攪拌用パドルの前記混練軸の軸
対称位置には、前記第1せん断用パドルと同様の構成とされ、前記混練物をせん断するための第2せん断用パドルが設けられているとよい。
【0015】
本発明のコンクリートミキサにおいて、前記
他の攪拌用パドルと前記混練軸上で所定の間隔を隔てて設けられ、前記第1送り出し用パドルと同様の構成とされ、前記混練物を他の異なる位置に送り出すための第2送り出し用パドルを備え、前記第2送り出し用パドルの前記混練軸の軸
対称位置には、前記第2送り出し用パドルと同様の構成とされ、前記混練物を他の異なる位置に送り出すための第3送り出し用パドルが設けられているとよい。
【0016】
本発明のコンクリートミキサにおいて、前記ミキサ本体内には、2本の前記混練軸が並設されており、前記一方の混練軸には、前記ミキサ本体の一方側面から前記複数
の攪拌用パドル、前記
他の攪拌用パドル及び前記第2送り出し用パドルの順で並んで設けられている一方、前記他方の混練軸には、前記ミキサ本体の一方側面から前記第2送り出し用パドル、前記
他の攪拌用パドル及び前記複数
の攪拌用パドルの順で並んで設けられているとよい。
【0017】
本発明のコンクリートミキサにおいて、前記第1送り出し用パドルが設けられた前記一方の混練軸に対する前記他方の混練軸の並設
対称位置には、前記第2送り出し用パドルが設けられ、前記一方の混練軸に設けられた第1送り出し用パドルと、前記他方の混練軸に設けられた第2送り出し用パドルとは、前記各混練軸の軸心方向から見て互いに直交する遠心方向に延びているとよい。
【0018】
本発明の第2の側面によって提供される生コンクリート製造装置は、本発明の第1の側面によって提供されるコンクリートミキサを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の第1ブレードは、混練軸を取り巻くように螺旋状にかつ連なって配置されており、隣り合う第1ブレードの間に谷部を有するので、谷部の近傍の空間は
、攪拌用パドルが回転されることにより変則的に流動する。そのため、材料もその空間に応じてより変則的に移動されるので、混練される材料に対する攪拌及びせん断効果を高めることができる。よって、混練物を効率的に混練することができる。
【図面の簡単な説明】
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係るコンクリートミキサが適用される生コンクリート製造装置としてのバッチャプラントの概略構成を示す図である。このバッチャプラント1は、生コンクリートの構成材料である砂利(粗骨材)、砂(細骨材)、セメント、水及び混和剤等(以下、これら総称するときは「混練物」という。)に基づいて生コンクリートを製造するための装置である。バッチャプラント1は、骨材を貯蔵する図示しない貯蔵サイロから骨材を運搬するためのベルトコンベヤ2を備えている。ベルトコンベヤ2によって運搬された骨材は、ターンシュート3によって複数の貯蔵ビン4に分配される。
【0023】
複数の貯蔵ビン4の下方には、それらから排出される各材料を計量するための計量ホッパ5が設けられている。また、バッチャプラント1の内部には、水を貯蔵するための図示しない水貯蔵槽が設けられ、水貯蔵槽の下方には、水を計量するための水計量ホッパ6が設けられている。
【0024】
各計量ホッパ5の下方には、各計量ホッパ5から排出される各原料を集約するための原料シュート7が設けられている。原料シュート7の下流側には、原料シュート7から排出される各材料及び水計量ホッパ6から送出される水を混練するコンクリートミキサ8が設けられている。コンクリートミキサ8の下部には、コンクリートホッパ9が設けられている。コンクリートホッパ9は、コンクリートミキサ8で混練され生成された生コンクリートを図示しないアジテータ車(ミキサ車)に投入するものである。
【0025】
図2は、コンクリートミキサ8の正面図であり、
図3は、コンクリートミキサ8の側面図であり、
図4は、コンクリートミキサ8の上面図である。また、
図5は、コンクリートミキサ8の内部構成を示す斜視図である。なお、
図4では、ミキサ本体10(後述)の天井面を省略している。
【0026】
コンクリートミキサ8は、砂利、砂、セメント、水及び混和剤等を混練するためのものであり、
図2ないし
図4に示すように、所望の大きさを有するミキサ本体10を有している。ミキサ本体10の内部には、第1混練軸11及び第2混練軸12が回転自在に並設されている。第1及び第2混練軸11,12は、所定方向に延びた略円柱状にそれぞれ形成されている。第1及び第2混練軸11,12は、それぞれ相反する方向に回転される。例えば、第1混練軸11は、
図5に示すように時計周りに回転され(矢印C1参照)、第2混練軸12は、反時計周りに回転される(矢印C2参照)。
【0027】
第1混練軸11は、ミキサ本体10の正面に取付けられた第1駆動モータ13及び第1減速機15によってそれぞれ回転駆動される。一方、第2混練軸12は、第2駆動モータ14及び第2減速機16によって回転駆動される。第1及び第2駆動モータ13,14は、それぞれ第1及び第2混練軸11,12の回転の駆動源となるものである。第1及び第2減速機15,16は、第1及び第2駆動モータ13,14の駆動力を変化させるためのものである。
【0028】
第1及び第2駆動モータ13,14の出力軸並びに第1及び第2減速機15,16の入力軸には、図示しないVプーリがそれぞれ装着されており、各Vプーリには、図示しないVベルトが掛け渡されている。第1及び第2減速機15,16の出力軸は、第1及び第2混練軸11,12に連結されている。なお、Vプーリ及びVベルトは、第1カバー17及び第2カバー18で覆われている。
【0029】
この構成により、第1及び第2駆動モータ13,14の駆動力は、第1及び第2減速機15,16に伝達される。第1及び第2減速機15,16の出力は、第1及び第2混練軸11,12に伝達される。これにより、第1及び第2混練軸11,12が回転駆動される。
【0030】
なお、図中の符号19は水計量ホッパ6から送出される水の供給口を示し、符号20は開閉自在なメンテナンス用窓を示す。また、各混練軸11,12には、ミキサ本体10の内部においてカウンタピースが装着されているが、以下の説明においてはカウンタピースも含めて混練軸11,12ということにする。
【0031】
第1及び第2混練軸11,12には、互いに異なる形状のパドルを備える第1パドルモジュール21、第2パドルモジュール22及び第3パドルモジュール23がそれぞれ設けられている。ここで、パドルモジュールとは、複数のパドル(詳細は後述)で構成されるパドル群のことをいう。
【0032】
第1パドルモジュール21は、混練物の攪拌及びせん断を効率よく行うとともに、材料の転がりを抑制したり、材料の抜けをよくしたりするためのものである。ここで、材料の転がりとは、ミキサ本体10の底部において材料が転がることをいう。また、材料の抜けとは、各パドル(アーム)の間を材料が抜けて移動することをいう。
【0033】
第1パドルモジュール21は、3つの第1ないし第3攪拌用パドル24〜26と、第1せん断用パドル27と、第1送り出し用パドル28とによって構成されている。第1ないし第3攪拌用パドル24〜26は、主として混練物の攪拌及びせん断を行うものである。第1ないし第3攪拌用パドル24〜26は、それぞれ第1混練軸11に接続されたアーム29と、アーム29の先端に設けられたブレード
(第1ブレード)30とからなる。
【0034】
アーム29は、第1混練軸11の軸方向に所定の間隔を隔てて設けられている。アーム29は、
図6に示すように、第1混練軸11の軸心方向に見て略90度の角度でそれぞれ遠心方向に延びている。
【0035】
ブレード30は、略弓形状の平板からなる。より詳細には、ブレード30は、2つの個別ブレードからなり、各個別ブレードの幅広の一端面同士が合わさった構成とされている。本実施形態では、ブレード30は、従来の構成に比べ、幅方向の長さが比較的長く形成されている。これにより、ブレード30を取付けるためのアーム29の数が少なくされている。なお、ブレード30は、2つの個別ブレードが一体的に形成されていてもよい。また、
図6では、第1ないし第3攪拌用パドル24〜26のみを示しており、他のパドルは省略されている。
【0036】
第1パドルモジュール21は、第1攪拌用パドル24がミキサ本体10の第1駆動モータ13側の内部端面近傍に設けられ、
図5に示す奥行方向に第2攪拌用パドル25、第3攪拌用パドル26の順でそれらが設けられている。第1ないし第3攪拌用パドル24〜26の複数のブレード30は、幅狭の端面同士が連なりつつ第1混練軸11を取り巻くように螺旋状に設けられている。複数のブレード30は、
図6に示したように、第1混練軸11の軸心方向に見て外側面が円弧状に形成され、隣り合うブレード30同士の間であって第1混練軸11側に谷部を有する(
図6の符号Q参照)。ここで、谷部は、
図6では略直角とされているが、これに限らず、鋭角であってもよいし、鈍角であってもよい。
【0037】
第1せん断用パドル27は、主として混練物をせん断するためのものである。第1せん断用パドル27は、第2攪拌用パドル25に対して第1混練軸11の軸
対称に設けられている。第1せん断用パドル27は、第1混練軸11に接続されたアーム29と、アーム29の先端に設けられたブレード
(第2ブレード)31とからなる。ブレード31は、側面視で略斧状に形成されている。この略斧状のブレード31の先端は、第1混練軸11の回転方向に向いている。ブレード31は、第1ないし第3攪拌用パドル24〜26のブレード30に比べ、その側面面積がやや小とされている。
【0038】
第1送り出し用パドル28は、混練物を他の異なる位置に送り出すためのものである(詳細は後述)。第1送り出し用パドル28は、第1攪拌用パドル24に対して第1混練軸11の軸
対称に設けられている。第1送り出し用パドル28は、第1混練軸11に接続されたアーム29と、アーム29に沿って設けられたブレード
(第3ブレード)32,
ブレード33とからなる。ブレード32は、アーム29の先端側に設けられ、略斧状でかつ略平板状に形成されている。ブレード33は、第1混練軸11側に設けられ、略矩形状に形成されている。すなわち、第1送り出し用パドル28は、第1ないし第3攪拌用パドル24〜26のようにアーム29の先端にブレード30が設けられた構成と比較して、アーム29の全体にブレード32,33が設けられた構成とされている。
【0039】
第2パドルモジュール22は、混練物の攪拌及びせん断を行うためのものである。第2パドルモジュール22は、第1パドルモジュール21より
図5に示す奥行方向に配置されている。第2パドルモジュール22は、第4攪拌用パドル34と、第2せん断用パドル35とからなる。第4攪拌用パドル34は、第1攪拌用パドル24と同様の構成とされている。第2せん断用パドル35は、第1せん断用パドル27と同様の構成とされている。
【0040】
第3パドルモジュール23は、混練物を他の異なる位置に送り出すためのものである(詳細は後述)。第3パドルモジュール23は、第2パドルモジュール22よりさらに
図5に示す奥行方向に配置されている。第3パドルモジュール23は、第2及び第3送り出し用パドル36,37からなり、それらが互いに第1混練軸11の軸
対称に設けられている。各送り出し用パドル36,37は、第1送り出し用パドル28と同様の構成とされており、略斧状のブレード32と略矩形状のブレード33とをそれぞれ有している。
【0041】
第2混練軸12は、第1混練軸11と同様に、第1ないし第3パドルモジュール21〜23が備えられている。ただし、第2混練軸12では、第1ないし第3パドルモジュール21〜23の並びが第1混練軸11と異なっている。すなわち、第1混練軸11では、第1駆動モータ13側から第1パドルモジュール21、第2パドルモジュール22及び第3パドルモジュール23の順で並べられている。一方、第2混練軸12では、第2駆動モータ14側から第3パドルモジュール23、第2パドルモジュール22及び第1パドルモジュール21の順で並べられている。
【0042】
また、第1混練軸11の各パドルと、第2混練軸12の各パドルとの配置位置を対比した場合、第1混練軸11の第1攪拌用パドル24及び第1送り出し用パドル28に対する第2混練軸12の並設
対称位置に、第2及び第3送り出し用パドル36,37が配置されている。また、第1混練軸11の第2攪拌用パドル25に対する第2混練軸12の並設
対称位置に、第4攪拌用パドル34及び第2せん断用パドル35が配置されている。
【0043】
また、第1混練軸11の第4攪拌用パドル34及び第2せん断用パドル35に対する第2混練軸12の並設
対称位置に、第2攪拌用パドル25及び第1せん断用パドル27が配置されている。さらに、第1混練軸11の第2送り出し用パドル36及び第3送り出し用パドル37に対する第2混練軸12の並設
対称位置に、第1攪拌用パドル24及び第1送り出し用パドル28が配置されている。
【0044】
次に、コンクリートミキサ8の作用について説明する。
【0045】
原料シュート7や水計量ホッパ6から、砂利、砂、セメント、水及び混和剤等がそれぞれコンクリートミキサ8に投入されると、それらの混練が開始される。具体的には、第1及び第2駆動モータ13,14及び第1及び第2減速機15,16が駆動され、第1及び第2混練軸11,12が回転されることにより、上記材料が混練される。このとき、
図5に示したように、第1混練軸11は時計周りに回転され、第2混練軸12は反時計周りに回転される。
【0046】
以下では、第1混練軸11周りの混練作用を中心に述べるが、第2混練軸12周りの混練作用も同様に行われる。本コンクリートミキサ8では、第1パドルモジュール21の第1ないし第3攪拌用パドル24〜26のブレード30において、第1混練軸11側の内側面に谷部Qを有しているため、混練物の攪拌及びせん断を効率的に行うことができる。
【0047】
図7は、第1ないし第3攪拌用パドル24〜26が回転した状態を第1駆動モータ
13側から見た図であり、第1及び第2混練軸11,12が例えば約22.5度ずつ回転したときの状態を示している((a)〜(d)参照)。
図8は、
図7に示す第1ないし第3攪拌用パドル24〜26の各状態における内側面を重ね合わせた模式図である。なお、内側面は点線で示している。
【0048】
これらの図において、例えば第1混練軸11側のミキサ本体10の底部(
図8の符号U参照)では、第1ないし第3攪拌用パドル24〜26が回転されることにともない、ブレード30の谷部Qが時間の経過とともに移動することになる(
図8の符号T1〜T3参照)。また、この谷部Qの近傍における空間も時間の経過とともに移動することになる。そのため、谷部Qの近傍では、ブレード30の側面に沿って移動したり、ブレード30の谷部Qを跨ぐように移動したりする空間が生じる。すなわち、谷部Qの近傍における空間は変則的に流動し、いわゆる乱流を生じさせることになる。
【0049】
図9は、谷部Qにおける材料の動きを示す図である。第1ないし第3攪拌用パドル24〜26が回転されると、谷部Qの近傍における空間は、変則的に流動する。そのため、その空間内にある材料は、ブレード30に沿って運ばれたり(
図9のM1参照)、ブレード30の谷部Qを跨ぐようにして運ばれたり(
図9のM2参照)しながら移動する。なお、
図9では、説明の便宜のため、材料を模式的に示しており、また部分的に他の機構部材を省略している。
【0050】
従来の構成では、
図12に示したように、ブレード56が帯状に配置されていたため、パドル54が回転されたときの駆動モータ57側から見たブレード56の内側面の軌跡は略円形状となる(
図12の点線L1参照)。そのため、ブレード56によって移動される空間は、主にブレード56の側面に沿って移動される。これに対し、ミキサ本体10の底部Uでは、谷部Qの近傍における空間が時間の経過とともに変則的に流動するので、材料もその空間に応じてより変則的に移動される。
【0051】
通常、混練時の開始直後では、材料は粘性が少ないために攪拌され、混練時間がある程度経過して材料に粘性が生じた場合に、材料はせん断されるようになる。本コンクリートミキサ8では、谷部Qの近傍空間が変則的に流動するので、混練物の攪拌及びせん断をほぼ同時に行うことができる。したがって、混練物の攪拌及びせん断を効率的に行うことができ、混練物の混練効果をより高めることができる。
【0052】
また、従来の構成では、材料がブレード56の側面を沿うように転がって練り玉を生じさせることがあったが、本コンクリートミキサ8では、谷部Qの近傍における空間が時間の経過とともに変則的に流動することに応じて材料も移動する。そのため、練り玉を生じさせる可能性を大幅に抑制することができる。
【0053】
また、本コンクリートミキサ8では、ブレード30の大きさを比較的大きくすることによってアーム29の数を従来の構成に比べ少なくしているので、アーム29の間を通る材料が多くなり、すなわち材料の抜けを向上させることができる。
【0054】
また、本コンクリートミキサ8では、第2攪拌用パドル25に対して第1混練軸11の軸
対称に、第1せん断用パドル27が設けられている。同様に、第4攪拌用パドル34に対して第1混練軸11の軸
対称に、第2せん断用パドル35が設けられている。これにより、混練物の攪拌とせん断とを交互に行うことができ、混練性能を向上させることができる。
【0055】
すなわち、第1パドルモジュール21付近にある材料は、第2攪拌用パドル25によって攪拌されるのであるが、第1混練軸11が半回転した後に即座に第1せん断用パドル27によってせん断される。また、第2パドルモジュール22付近にある材料は、第4攪拌用パドル34によって攪拌されるのであるが、第1混練軸11が半回転した後に即座に第2せん断用パドル35によってせん断される。
【0056】
このように、第1混練軸11が1回転するうちに、攪拌、せん断が交互に繰り返し行われるので、混練物を効果的に混練することができる。また、攪拌、せん断が交互に繰り返し行われるので、混練時間の短縮を図ることができる。
【0057】
さらに、本コンクリートミキサ8では、第1混練軸11側に設けられた第1送り出し用パドル28に対する並設
対称位置に、第2及び第3送り出し用パドル36,37が設けられているので、材料を滞留させることなく大量の材料の練り込みを行うことができる。
【0058】
例えば、
図10に示すように、第1混練軸11側にある材料は、第1送り出し用パドル28によって第2混練軸12側に送り出される(
図10(a)の矢印P1参照)。このとき、第2混練軸12側の第3送り出し用パドル37は下方向を向いており、第1送り出し用パドル28によって送り出された材料の受け入れ状態となる。
【0059】
この状態で、第2混練軸12が約90度回転されると、第2混練軸12側の第3送り出し用パドル37付近にある材料は、第3送り出し用パドル37によって第1混練軸11側に送り出される(
図10(b)の矢印P2参照)。このとき、第1混練軸11側の第1攪拌用パドル24は下方向を向いており、第3送り出し用パドル37によって送り出された材料の受け入れ状態となる。
【0060】
次いで、第1混練軸11が約90度回転されると、第1攪拌用パドル24は、第1ないし第3送り出し用パドル28,36,37と異なり螺旋状に形成されているため、第1攪拌用パドル24付近にある材料は,第1攪拌用パドル24によって第1混練軸11の軸方向(
図10で奥行方向)に送り出される。
【0061】
第1攪拌用パドル24によって材料が第1混練軸11の軸方向に送り出されるため、第1攪拌用パドル24の内側にはスペースが生じる(
図10(c)の斜線部S参照)。このとき、第2混練軸12側の第2送り出し用パドル36は下方向を向いており、第2送り出し用パドル36付近には他の材料が存在する。
【0062】
この状態で第2混練軸12が約90度回転されると、第2混練軸12側の第2送り出し用パドル36付近にある材料は、第2送り出し用パドル36によって第1混練軸11側に送り出される(
図10(d)の矢印P3参照)。その後、さらに第1混練軸11が約90度回転されることにより、第1混練軸11側に送り出された材料は、第1送り出し用パドル28によって、第2混練軸12側に送り出される(
図10(e)の矢印P4参照)。
【0063】
このように、第1及び第2混練軸11,12が約90度回転されるたびに、第1混練軸11側の第1送り出し用パドル28や第2混練軸12側の第2及び第3送り出し用パドル36,37によって、材料が第1及び第2混練軸11,12側に交互に送り出されるので、材料を滞留させることなく大量の材料の練り込みを行うことができる。
【0064】
さらに、第3送り出し用パドル37によって第1混練軸11側に送り出された材料は、第1及び第2混練軸11,12が1回転するごとに、第1攪拌用パドル24によって第1混練軸11の軸方向に送り出されるので、
図10に示す左右方向から奥行方向に材料を効率的に循環させることができる。そのため、材料の混練をより効果的に行うことができる。
【0065】
また、第1送り出し用パドル28、第2及び第3送り出し用パドル36,37は、ミキサ本体10の内部端面に混練物が付着することを防止する。すなわち、これらの送り出し用パドル28,36,37のブレード32,33は、いずれもミキサ本体10の内部端面に沿うように設けられているため、これらの送り出し用パドル28,36,37が回転されると、ミキサ本体10の内部端面に沿って移動する。そのため、混練中にミキサ本体10の内部端面に付着した混練物を除去することができる。
【0066】
なお、本発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態におけるバッチャプラント1、コンクリートミキサ8、各混練軸11,12、各パドルモジュール21〜23、攪拌用パドル24〜26,34、せん断用パドル27,35、送り出し用パドル28,36,37、ブレード30〜32等の形態、大きさ、数量及び構造等は、上記実施形態に限るものではなく適宜設計変更可能である。
【0067】
特に、本実施形態においては、第1パドルモジュール21には3つの攪拌用パドル24〜26が設けられたが、攪拌用パドルの数はこれに限るものではない。そのため、隣り合うブレード30によって形成される谷部Qの数も、上記実施形態に示した2つに限るものではない。