特許第5968377号(P5968377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968377
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】キッチン用シンク
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/182 20060101AFI20160728BHJP
   E03C 1/262 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   E03C1/182
   E03C1/262 A
   E03C1/262 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-156829(P2014-156829)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33312(P2016-33312A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間辺 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】五代 真規
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−241971(JP,A)
【文献】 実公昭43−012290(JP,Y1)
【文献】 特開2011−063994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥行き方向で手前側に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜面と、
前記傾斜面の側縁に沿って配置された排水口と、
前記傾斜面の手前側の縁から側縁に沿って延びて前記排水口まで連続する誘導溝と、
前記排水口に嵌め込まれるごみ受け皿と、
を備え、
前記ごみ受け皿は、前記誘導溝から見て水が流入する位置の近傍以外に水切り穴が形成されていることを特徴とするキッチン用シンク。
【請求項2】
奥行き方向で手前側に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜面と、
前記傾斜面の側縁に沿って配置された排水口と、
前記傾斜面の手前側の縁から側縁に沿って延びて前記排水口まで連続する誘導溝と、
前記排水口に嵌め込まれるごみ受け皿と、
を備え、
前記ごみ受け皿は、前記誘導溝の延長線上以外に水切り穴が形成されていることを特徴とするキッチン用シンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチン等のキッチンキャビネットに組み込まれるキッチン用シンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からキッチンでは、キッチンキャビネットにシンクが一体に組み込まれていて、かかるシンクにおいて食材の調理や食器の洗浄が行われる。一般に、キッチンシンクでは、排水口側が低くなるようにシンク底面を傾斜させている(例えば特許文献1)。これにより、洗浄時の水が排水口に向かってシンク底面を流れていくため、水捌けの向上を図ることができ、ひいては作業性を高めることが可能となる。すなわち、シンク底面を、排水口を中心にしてすり鉢状に傾斜させている。
【0003】
ここで、シンクにおいて食材の調理や食器の洗浄を行うと、食器に付着していた食べ残しや、調理時の食材の野菜くず等(以下、野菜くず等と称する)が発生する。このとき、従来のように排水口に向かって底面が傾斜するシンクであると、水栓からの吐水位置よりも排水口側にある野菜くず等は洗浄時の水流によって排水口に流れていくものの、吐水位置より排水口の反対側にある野菜くず等はそこに滞留してしまう。
【0004】
さらに加えて、従来のシンクにおいて排水口はシンクの奥側に配置されている。しかしながら調理によって野菜くず等はシンクの手前側に堆積する。したがって野菜くず等の滞留は、毎回のように発生する。このため、使用者は、滞留した野菜くず等を手でかき集めて排水口に流さなくてはならず、煩雑な手間が生じてしまうという課題があった。また野菜くず等が滞留しやすいと汚れが付着しやすくなるため、清掃に手間がかかり、清掃性の低下を招くという課題もあった。
【0005】
そこで発明者は、シンクの底面を手前側に向かって傾斜させ、傾斜面の手前側の縁からシンクの奥側に設けられた排水口に連続する誘導溝を設けたキッチン用シンクを開発した(特許文献2)。特許文献2のキッチン用シンクによれば、野菜くず等は、シンクの底面である傾斜面を流れる水流によって流されて誘導溝に至り、かかる誘導溝に流れ込んだ水によって排水口に向かって流れていく。したがって、例えば、皿を洗う水流によって自然に野菜くず等が流され、皿を洗い終わる頃には野菜くず等の清掃も終了している。このため、使用者は従来のような野菜くずをかき集める作業を行う必要がなく、煩雑な手間が省かれ、高い快適性を得ることが可能となる。また野菜くず等の滞留が防がれることにより、シンク底面への汚れの付着が防がれ、常に清潔な状態が保たれる。このため、シンクの清掃を容易に行うことができ、高い清掃性を得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−13101号公報
【特許文献2】特願2014−072614号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、キッチン用シンクでは、一般に、排水口の上部にはごみ受け皿が配置される。これにより、水と一緒に流れてきた野菜くず等のごみ(以下、単にごみと称する)をごみ受け皿において捕捉することができ、排水口のつまりを抑制することが可能となる。このとき、従来のようにシンク底面が排水口に向かってすり鉢状に傾斜している場合ではそもそもごみがほとんど流されないため、自然にごみ受け(一般に円筒形の網が多い)に流れることまで要求されていなかった。しかし特許文献2のように誘導溝を設けた場合、せっかく傾斜面(シンク底面)からごみを流せるようになったのだから、できればそのまますべてのごみをごみ受け皿の上まで運びたいという要求が生じた。ところが、単に水切り穴が形成されたごみ受皿を排水口に設置しただけでは、ごみ受け皿の誘導溝側の領域にごみが堆積してしまうということが明らかになった。このため、発明者は、誘導溝を設けた場合であってもごみがごみ受け皿にスムーズに流れこむよう改良を行っていた。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、誘導溝を設けた場合であってもごみがごみ受け皿にスムーズに流れこみ、快適性および清掃性をより高めることが可能なキッチン用シンクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかるキッチン用シンクの代表的な構成は、奥行き方向で手前側に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜面と、傾斜面の側縁に沿って配置された排水口と、傾斜面の手前側の縁から側縁に沿って延びて排水口まで連続する誘導溝と、排水口に嵌め込まれるごみ受け皿と、を備え、ごみ受け皿は、誘導溝から見て水が流入する位置の近傍以外に水切り穴が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ごみ受け皿において、誘導溝を流れてきた水が流入する位置には水切り穴が形成されていない。このため、ごみ受け皿に至ったごみは、そのまま水に流されてごみ受け皿の奥まで移動する。これにより、誘導溝を設けた場合であってもごみがごみ受け皿にスムーズに流れこむため、ごみ受け皿の誘導溝側の領域へのごみの堆積を抑制することができ、キッチン用シンクにおける快適性および清掃性を高めることが可能となる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかるキッチン用シンクの他の構成は、奥行き方向で手前側に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜面と、傾斜面の側縁に沿って配置された排水口と、傾斜面の手前側の縁から側縁に沿って延びて排水口まで連続する誘導溝と、排水口に嵌め込まれるごみ受け皿と、を備え、ごみ受け皿は、誘導溝の延長線上以外に水切り穴が形成されていることを特徴とする。かかる構成によっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0012】
上記ごみ受け皿は、誘導溝から遠ざかるに従って下降するように傾斜していてもよい。これにより、ごみ受け皿に至ったごみが、誘導溝から遠ざかる方向に移動しやすくなるため、上述した効果を更に高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、誘導溝を設けた場合であってもごみがごみ受け皿にスムーズに流れこみ、快適性および清掃性をより高めることが可能なキッチン用シンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態にかかるキッチン用シンクの全体斜視図である。
図2図1の断面図である。
図3図1のC−C断面図である。
図4】本実施形態のごみ受け皿を説明する図である。
図5】本実施形態のごみ受け皿を説明する図である。
図6】本実施形態のごみ受け皿を説明する図である。
図7】ごみ受け皿の他の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明にかかるキッチン用シンクの好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態にかかるキッチン用シンク(以下、シンク100と称する)の全体斜視図である。図1に示すように、本実施形態にかかるシンク100は、傾斜面110、排水口120および誘導溝130を含んで構成される。傾斜面110は、シンク100の底面であり、その周囲の縁からは壁面140が立設している。また本実施形態では、シンク100の奥側の左隅において、水栓(不図示)を立ち上げるための取付孔152が上面に配置された膨出部150が、シンク100の奥側の面である壁面140から手前側にせり出している。これにより、シンク100の内部が、奥側の一部が切欠かれた形状となるため、シンク内部の空間を広げることができ、作業性を高めることができる。
【0017】
更に本実施形態では、シンク100の奥側の角部において、膨出部150の手前側に、傾斜面110の側縁112bに沿うように排水口120が配置されている。本実施形態のように、膨出部150の手前側のシンク100の角部に排水口120を配置することにより、他の領域に排水口を配置した場合に比してデットスペースを減らすことができるため、シンク100の底面(傾斜面110)をより効率的に使用することが可能となる。
【0018】
図1に示すように、誘導溝130は、傾斜面110の手前側の縁(以下、手前縁112aと称する)から側縁112bに沿って延びて排水口120に連続している。説明の便宜上、本実施形態では、シンク100の手前側の左コーナーを境に、傾斜面110の手前縁112aに沿って延びる、すなわちシンク100の長手方向に延びる誘導溝を長手側誘導溝130aと称し、傾斜面110の側縁112bに沿って延びる、すなわちシンク100の短手方向に延びる誘導溝を短手側誘導溝130bと称する。またこれらの長手側誘導溝130aおよび短手側誘導溝130bの両方をさす場合には誘導溝130と称する。
【0019】
図2は、図1の断面図であり、図2(a)は、図1のA−A断面図であり、図2(b)は、図1のB−B断面図であり、図2(c)は、図1のC−C断面図である。図2(a)に示すように傾斜面110は、奥行き方向で手前側に向かうにしたがって下方に傾斜している。これにより、水栓からの水は、矢印D1方向、すなわちシンク100の手前側に向かって流れていくこととなる。
【0020】
図2(b)および(c)に示すように、誘導溝130である長手側誘導溝130aおよび短手側誘導溝130bは、傾斜面110よりも下方に窪んだ溝であり、排水口120に向かうにしたがって下方に傾斜している。詳細には、図2(b)に示すように、長手側誘導溝130aは、左右方向において排水口120が設けられている側(本実施形態においては左側)に向かうにしたがって下方に傾斜している。図2(c)に示すように、短手側誘導溝130bは、奥行き方向において排水口120が設けられている側、すなわち奥側に向かうにしたがって下方に傾斜している。
【0021】
上記説明したように、本実施形態のシンク100において、その底面となる傾斜面110は、従来のような排水口120に向かうすり鉢状の傾斜ではなく、かかる傾斜面110の手前側に設けられた誘導溝130(厳密には長手側誘導溝130a)に向かう平坦な傾斜である。そして、水栓が取り付けられる取付孔152がシンク100の奥側に設けられていることから、傾斜面110において、水栓からの吐水位置は、野菜くず等が発生する手前側の領域よりも上流側に位置することとなる。これにより、図1に模式的に示す野菜くず等(以下、野菜くず102と称する)は、傾斜面110の奥側(上流側)からD1方向に流れてきた水流によって長手側誘導溝130aに向かって流される。
【0022】
そして、長手側誘導溝130aが排水口120に向かうにしたがって下方に傾斜していることにより、長手側誘導溝130aに流れこんだ野菜くず102は、それと一緒に長手側誘導溝130aに流れ込んだ水流によって、図1に示す矢印D2方向、すなわち排水口120と連続している短手側誘導溝130bに向かって流れていく。このとき、短手側誘導溝130bにおいても排水口120に向かうにしたがって下方に傾斜していることにより、短手側誘導溝130bに流れ込んだ野菜くず102は、そこに流れ込んだ水によって矢印D3方向に流されて排水口120に至り、短手側誘導溝130bを流れる水は排水口120へと導かれる。
【0023】
上記構成によれば、食器等を洗浄する際に流れた水が傾斜面110を流れることにより、傾斜面110の手前側の領域にある野菜くず102が自然に誘導溝130に向かって流れ、排水口120に案内される。したがって、食器等の洗浄作業が終了する頃には野菜くず102の除去も完了することとなる。これにより、使用者は従来のような野菜くず102をかき集める作業が不要となり、高い快適性を得ることが可能となる。
【0024】
また野菜くず102が洗浄作業時の水流によって自然に排水口120に移動することにより、シンク100の底面(傾斜面110)への野菜くずの滞留が防がれる。特に傾斜面110が平坦に傾斜していることにより、従来のようなすり鉢状の傾斜の場合よりも広い領域に水流が流れ、野菜くず102の滞留が一層抑制される。これにより、野菜くず102の滞留に起因するシンク100の底面への汚れの付着を好適に防ぐことができ、常に清潔な状態を保つことができる。したがって、使用者はシンク100の清掃を容易に行うことができ、高い清掃性を得ることが可能となる。
【0025】
更に本実施形態では、上述したように膨出部150の手前側に排水口120が配置される。これにより、シンク100の奥行方向での短手側誘導溝130bの長さを短くすることができるため、誘導溝130の傾斜が緩くなり、深さも浅くなる。したがって、シンク100の成形を容易とすることができ、且つ清掃性を高めることが可能となる。
【0026】
図3は、図1のC−C断面図であり、図3(a)は、ごみ受け皿160および蓋170が設置される前の状態のシンク100を例示していて、図3(b)は、ごみ受け皿160および蓋170が設置された後のシンク100を例示している。図1に示すように、本実施形態のシンク100は、ごみ受け皿160および蓋170を含んで構成される。図3(a)に示すように、ごみ受け皿160および蓋170は、上方から排水口120に取り付けられる。
【0027】
図3(b)に示すように、ごみ受け皿160は、誘導溝130(図3(b)では、短手側誘導溝130bを図示)より下方で排水口120に嵌め込まれる。図1図3(a)および(b)に示すように、ごみ受け皿160には水切り穴162が形成されている。これにより、図3(b)に示す矢印のように、傾斜面110および誘導溝130を通過して流れてきた野菜くず102等(図1参照)および水がごみ受け皿160に至ると、そこに形成された水切り穴162から水が排水口120に流れ落ち、野菜くず102等がごみ受け皿160に捕捉される。
【0028】
一方、図3(b)に示すように、排水口120の蓋170は、誘導溝130(図3(b)では、短手側誘導溝130bを図示)より上方で排水口120に取り付けられる。図4(b)に示すように、蓋170は、上面172が全体的に下方にくぼんでいる。これにより、図3(b)に示すように、大きめの野菜くず104等のごみを受けることができる。また蓋170には水切り穴174が形成されている。これにより、受けたごみからの水滴が水切り穴174を通過して排水口120に落下する。
【0029】
上記説明したように、蓋170が下方にくぼんだ形状であり且つ水切り穴174が形成されていることにより、かかる蓋170をごみかごとして使用することができる。このとき、蓋170が排水口120の上方に配置されることから、蓋170はシンク100の底面(傾斜面110)に接地面積を要しない。したがって、シンク100の底面にごみかごを設けた場合に比して、シンク100の底面のより広い領域を使用することができ、底面の利用効率を高めることが可能となる。
【0030】
また蓋170が排水口120の上方に配置されることにより、蓋170に入れられた野菜くず104等のごみからのシンク100の底面(傾斜面110)への水滴への滴り落ちを防ぐことができる。したがって、シンク100の底面のぬめりを抑制することができ、清掃性および清潔性を高めることが可能となる。
【0031】
更に、膨出部150は、シンク100の左右方向において、かかるシンク100に隣接する調理スペース(不図示)側に配置されているとよい。本実施形態では、キッチンの調理スペースがシンク100の左側に設けられることを想定し、膨出部150をシンク100の左側に寄せて配置している。これにより、膨出部150に取り付けられる水栓も調理スペース側に配置されることとなるため、調理スペースでの作業時に水栓を使用しやすくなり、作業効率の向上を図ることができる。
【0032】
また膨出部150が調理スペース側に配置されることで、膨出部150の手前側に配置される排水口120も調理スペース側に配置されることとなる。これにより、調理スペースでの作業時に出た野菜くず等を、くずかごとして機能する排水口120の蓋170に捨てやすくなり、作業効率をより高めることが可能となる。
【0033】
図4図6は、本実施形態のごみ受け皿160を説明する図であり、シンク100およびごみ受け皿160を模式的に図示している。本実施形態の特徴として、図1に示すごみ受け皿160は、誘導溝130から見て水が流入する位置の近傍以外に水切り穴162が形成されている。図4(a)は、図1に示すシンク100にごみ受け皿160を嵌め込んだ状態の平面図である。図4(a)に示すように、ごみ受け皿160には、誘導溝130を流れてきた水が流入する位置、すなわち誘導溝130と隣接する領域には水切り穴162が形成されていない。
【0034】
ここで、仮にごみ受け皿160において誘導溝130と隣接する領域に水切り穴162が形成されていると、誘導溝130を流れてごみ受け皿160に至った水および野菜くず102のうち、水は、水切り穴162から排水口120に排出される。すると、野菜くず102は、そこより先に移動せず、誘導溝130と隣接する領域に堆積してしまう。そして、これが繰り返されることにより、流れてきた野菜くず102は徐々に誘導溝130に堆積していってしまう。
【0035】
上記に対し、本実施形態のようにごみ受け皿160において誘導溝130と隣接する領域(誘導溝を流れてきた水が流入する位置)に水切り穴162が形成されていないことにより、そこにおける水の排出が行われない。このため、ごみ受け皿160に至った102は、そのまま水に流されてごみ受け皿160の奥まで移動する。これにより、誘導溝130を設けた場合であっても野菜くず102がごみ受け皿にスムーズに流れこむため、ごみ受け皿160の誘導溝側の領域への野菜くず102の堆積を抑制することができる。したがって、シンク100における快適性および清掃性を高めることが可能となる。
【0036】
図4(b)〜図6(b)は、本実施形態のごみ受け皿160の他の例を示す図である。図4(b)に示すごみ受け皿160aでは、奥側の領域に、左右方向に延びる水切り穴162を形成している。図5(a)に示すごみ受け皿160bでは、その奥側の領域の角部に水切り穴162を形成している。また図5(b)に示すごみ受け皿160cでは、その中央部を跨ぐように水切り穴162を形成している。
【0037】
図4(b)〜図5(b)に示すごみ受け皿160a〜160cによっても、水切り穴162は、誘導溝130を流れてきた水が流入しない位置に配置されている。このため、図1および図4(a)に示すごみ受け皿160と同様の効果を得ることができる。特にごみ受け皿160・160b・160cでは、水切り穴162が、直角三角形の斜辺に対して左右対称な形状になっている。このため、排水口120が、シンク100の右奥側の角部に配置されるような場合であっても、ごみ受け皿を使用することができ、部材やその金型にかかるコストを削減することができる。
【0038】
また図6(a)および(b)に示すように、ごみ受け皿には、誘導溝130の延長線上以外に水切り穴が形成されていてもよい。詳細には、図6(a)に示すごみ受け皿160dでは、誘導溝130の延長線上より右側の領域に水切り穴162が形成されている。また図6(b)に示すごみ受け皿160eでは、誘導溝130の延長線上より右側の領域に、直角三角形の斜辺の一部に沿って水切り穴162を形成している。このような構成によっても、上記説明したごみ受け皿160・160a〜160cと同様の効果を得ることができる。特に図6(b)では水切り穴162が左右対称な形状であるため、ごみ受け皿160・160b・160cと同様に部材コストの削減を図ることも可能である。
【0039】
図7はごみ受け皿の他の実施形態を説明する図である。図7(a)および(b)に示すごみ受け皿160fは、誘導溝130から遠ざかるに従って下降するように傾斜している。これにより、ごみ受け皿160fに至った野菜くず102は、水によって流され、下方すなわち誘導溝130から遠ざかる方向に移動しやすくなる。したがって、上述した効果を更に高めることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、シンク100の形状を横長の四角形状としているが、これに限定するものではなく、シンク100は、例えば丸型やL字型等の他の形状としてもよい。また図1に示すシンク100では膨出部150を備える構成を例示しているが、これにおいても限定されず、膨出部150を設けずに、シンク100の外側に水栓が取り付けられる構成とすることも可能である。更に、膨出部150ひいては水栓(取付孔152)の位置においても、必ずしもシンク100の奥側の左隅とする必要はなく、中央や右隅等、任意の位置に配置してよい。
【0041】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、システムキッチン等のキッチンキャビネットに組み込まれるキッチン用シンクとして利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
100…シンク、102…野菜くず、104…野菜くず、112a…手前縁、112b…側縁、120…排水口、130…誘導溝、130a…長手側誘導溝、130b…短手側誘導溝、140…壁面、150…膨出部、152…取付孔、160…ごみ受け皿、160a・160b・160c・160d・160e・160f…ごみ受け皿、162…水切り穴、170…蓋、172…上面、174…水切り穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7