【課題を解決するための手段】
【0015】
少なくとも二枚の窓ガラスを備えた断熱ガラスユニット内部に少なくとも一つの光学素子を集積する方法が開示される。光学素子は、複数の穿孔及び非穿孔領域を備える。非穿孔領域は、断熱ガラスユニットが取り付けられる建物において光の侵入を防止する。穿孔は、所定の入射角を有する光を通過させる一方で他の入射角を有する光が穿孔を通過することができずに遮蔽効果を提供する深さ/幅の比を有する。
光学素子は、接着剤を用いて二枚の窓ガラスの間に配置される。接着剤は、光学素子の穿孔内には実質的に存在しない。
【0016】
従って、光学素子が、非穿孔基板に配置された穿孔を有することが有利である。何故ならば、窓ガラスを介する太陽エネルギーの透過率を減じることによって生じる建物内部の加熱が減じられるからである。光学素子は、断熱ガラスユニットの断熱キャビティ内部に取り付けられ、遮蔽デバイスを有さない断熱ガラスと比較すると、太陽エネルギーの透過率を顕著に低減する。光学素子は、光学素子の領域の少なくとも一部を覆う接着材によって、断熱ガラスユニットの窓ガラスの一方に取り付けられる。この方法は、従来技術において知られているようなガラスユニット内部の光学素子の積層や懸架を用いるものと比較して、複数の利点を提供する。
【0017】
従来技術では、二枚の窓ガラスの間に集積された光学素子又は太陽電池は、表面全体にわたって完全に積層されて、積層キャビティ内部の物体は、プロセス後に完全に積層材内に埋め込まれる。透明積層材(大抵はEVA又はPVB)は、光学素子内の穿孔を充填する。これは、穿孔が積層されず空気(又は、断熱ガラスユニットを充填するのに使用されるガス)のみで充填されている場合と比較しての欠点である。光学素子内の穿孔が空気で充填されると、穿孔内部の光の角度は、屈折率が同じなので、窓の外側における光の角度と同じである。従って、太陽の角度が大きいと、穿孔を介して入って来る光は、同じ大きな角度を有する。他方、穿孔が、樹脂やポリマー材等の接着剤(空気よりも大きな屈折率を有する)で充填されている場合、穿孔内の光の角度は、太陽の角度よりも小さくなる。これは、詳細な説明における
図1の説明のスネルの法則から明らかである。結果として、日中等において大きな角度で通って来る光は、角度の減少に起因して、積層接着剤等のより大きな屈折率の物質で充填された孔を透過し得る。同様の積層されていない光学素子に対しては、光は、光学素子によって反射又は吸収される。従って、完全に積層された光学素子を用いることによって、その光学素子は、小さな又は中程度の大きさの太陽の角度に対する光の通過のみを許容する非積層光学素子と比較して、顕著に広範な太陽の角度からの光の通過を許容する。この角度に関する透過率の選択性は、本光学素子に対する重要な点であり、非積層モジュールを使用することの動機は非常に強いものである。
【0018】
従って、完全積層は、二枚のガラスシートの間の箔又はプレートの固定を保証するものであるが、この方法の欠点は、遮蔽デバイスを介する光の光路に大きな影響を与え(多くの場合望ましくない)、遮蔽デバイスの効率を妥協させることである。
【0019】
樹脂等の接着剤で穿孔が充填されている光学素子に対する太陽の角度に関する透過率の選択性が、穿孔が接着剤を有さない光学素子に対するものと同じであるべき場合、光学素子内の穿孔は、入射光を減らすためにより小さなものでなければならない。しかしながら、穿孔の寸法を小さくすることは、このタイプの光学素子において不可避に生じる回折歪みを増大させて、これは、シースルーの質の大きな低下につながる。
【0020】
説明されるタイプの太陽光遮蔽スクリーンに対して、スクリーンの穿孔は選択された視認距離において人間の眼では見えないように設計されることが一般的に望ましい。1メートル近くの視認距離において、最小寸法0.45mmの穿孔は、この要求を満たすことが分かっている。0.50mm以下の臨界サイズの孔を備えた反復構造は、人間の眼によって検出可能な回折を形成する。発生する回折は、大きな孔よりも小さな孔に対して酷くなり、孔が積層樹脂で充填されるならば、はるかに小さな孔が、同様の光学特性を備えた太陽光スクリーンを得るのに必要となる。従って、説明されるようなものであるが一般的な積層法を用いた太陽光遮蔽構造を実現した場合には、遮蔽スクリーンは、はるかに厚いものであるか、又は小さな孔を有するものである必要があり、その光学的な質は、発生する回折によって低下する。
【0021】
積層材自体も、シースルーの質を低下させ得る。何故ならば、極小の穿孔は、積層材で全体的に充填することが難しいものであり得るからである。従って、泡が、穿孔周囲の積層材内に生じ得て、小型レンズとして光を合焦して、この欠陥を明らかに目に見えるものにし得る。更に、積層は多くの材料を必要とするので、本願で提示される方法よりも高価である。
【0022】
従来技術では、その結果物は積層ガラスであり、例えば太陽光スクリーニングデバイスはPVB又はEVA内に完全に埋め込まれている。この方法の欠点は、太陽光スクリーン内の孔が硬化後に樹脂で充填されて、その樹脂の屈折率がガラスのものに近いので、遮蔽効率が大幅に妥協されることである。
【0023】
光学素子は、スクリーンの領域の僅かな部分のみを覆い得る接着剤によって、断熱ガラスユニット(IGU,insulated glazing unit)の内部に取り付けられる。二枚のガラスシートの間に完全に積層された太陽光シェーディングと比較して、本発明に係る光学素子は、積層太陽光シェーディングのように光学素子内の穿孔が樹脂で充填されておらず、その光学素子が空気又はガス(クリプトンやアルゴン等)を含むという事実に起因して、顕著に高い光学性能を有する。空気又はガスの屈折率は1に近いので、光が光学素子を通過する角度は、ガラス外部の光の角度と同一である。
従って、光学素子は、大きな角度の太陽光放射の太陽エネルギーの透過率を効率的に低下させるので、完全に積層された太陽光スクリーンとは異なるものである。また、本願で説明される取り付け方法は、低減された回折つまりより良い光学的な質での太陽光スクリーンの使用を可能にする。
【0024】
更に、ガラスを介する建物内への太陽エネルギーの透過率は、太陽の位置、つまり、水平線からの太陽の高さに関して、光学素子の設計を通じて規制される。太陽が空の最も高い位置にある時に、光学素子を備えた断熱ガラスユニットを介する太陽エネルギーの透過率は最低となるので、光学素子は、最も必要とされる時に最も強い太陽の遮蔽を提供する。
【0025】
光学素子は、高い効率で直射太陽光ビームの遮蔽を提供するので、コーティングガラス又は着色ガラスとは異なるものである。更に、光学素子は、コーティングガラス又は着色ガラスとは異なり、漸進的な遮蔽特性を提供する。
【0026】
ガラス内に光学素子を集積することによる他の利点は、損傷から保護されていて追加の洗浄を必要としない点である。従って、屋外又は屋内メンテナンスの費用がかからない。更に、カーテン、ベネチアンブラインド、ローマンブラインド等を用いた場合のように洗浄前に取り外さなければならないものがないので、光学素子が集積されている窓の洗浄は簡単である。窓の内部、つまり二枚の窓ガラスの間に光学素子を配置することによって、太陽光が建物の内部に入って来る前に太陽光の一部を反射及び吸収するので、光学素子は、建物の加熱を低減する。
【0027】
他の利点は、ベネチアンブラインドと比較して、光学素子内の穿孔が、垂直方向及び水平方向の両方に対して大きな入射角を有する直射放射を遮蔽することができることである。
【0028】
更に、光学素子は、その素子の穿孔を充填する積層材を備えないガラスに取り付けられるので、透過光の変色が完全に防止される。従って、説明される素子の固定方法は、建物内部の物体の自然な演色を保証する。
【0029】
また、光学素子は、例えば太陽光スクリーン、太陽光シェード、太陽光遮蔽モジュール、シェーディング、太陽光スクリーニング等としても知られていて又は指称され得る。また、断熱ガラスユニットは、例えばIGU、窓等としても知られていて、又は指称され得る。また、窓ガラスは、例えば窓等としても知られていて、又は指称され得る。また、接着剤は、テープ、糊、樹脂、積層材等としても知られていて、又は指称され得る。穿孔は、開口、孔、スロット、スリット、透明領域等としても知られていて、又は指称され得る。非穿孔領域は、不透明領域、基板等としても知られていて、又は指称され得る。
【0030】
一部実施形態では、複数の穿孔は透明領域を構成し、非穿孔領域は不透明領域を構成する。
透明領域は、例えば50パーセントの透明度を有し得る。
少なくとも、光学素子が一般的な屋内施設での視認距離(例えば1から10メートル)に対応する所定の距離から見られる場合に、不透明領域が裸眼には本質的に不可視となるように、透明領域は、互いに十分に近づけて配置され得る。
【0031】
一部実施形態では、非穿孔領域は、光を反射及び吸収する。
非穿孔領域が光を反射及び吸収することが利点となるのは、それによって、光学素子が、外部からの光の流入の遮蔽及び低減を提供するからである。
【0032】
光学素子が複数の穿孔又は開口又は孔を有することが有利であり、穿孔が透明領域を構成し得て、スクリーン材が、太陽光を反射及び/又は吸収する不透明領域となり得る。透明領域は、所定の入射角の光を通過させる一方で他の入射角を有する光が光学素子を通過することができないような深さ/幅の比を有する。
【0033】
一部実施形態では、光学素子は硬質(リジッド)材料製である。
光学素子用に硬質材を使用することが有利となるのは、ガラスに取り付ける際に作業し易いからである。硬質材を使用することによって、従来技術のようにしわを防止するために光学素子を懸架させる必要が無い。更に、光学素子は平坦なので、離散した複数の位置における取り付けによってガラス内部に固定することができる。光学素子は、従来技術のように完全に積層されたり伸ばされたりする必要が無い。単一の縁又は点のみで取り付けるだけで十分である。
【0034】
光学素子は、特許文献6及び特許文献7に記載されているリジッドスクリーンであり得る。
【0035】
一部実施形態では、硬質材が、その材料のリム(縁)又はストリップにおける水平又は垂直位置において、材料又はストリップの幾何学的形状に対して又は取り付け位置に対して掛けられた場合に、硬質材は締め金を外されたままであるように適用される。
【0036】
一部実施形態では、硬質材は、材料のリムにおいて垂直位置に掛けられた際に、自分自身を実質的に硬く保つのに十分剛性である。
【0037】
一部実施形態では、硬質材は、2GPa以上のヤング率を有する。
非穿孔光学素子に対するヤング率が2GPa以上であることが有利であるのは、この値が、硬質材(硬質ポリマー、プラスチック、金属等)を、柔軟材料(箔(例えばプラスチック箔)、積層フィルム等)と区別するからである。ヤング率又はE率は、材料の弾性率を記述する。高いヤング率は、本方法に関して利点となり得て、非穿孔光学素子のヤング率は、本方法において例えば30GPaとなり得る。従って、一部実施形態では、硬質材は、通常の処理条件において、しわくちゃになったり、しわになったり、巻いたり、よじれたりしない。
【0038】
一部実施形態では、光学素子は金属スクリーンである。
光学素子用に金属を使用することが利点となるのは、例えば硬質性に対する要求を満たし得るからである。
【0039】
一部実施形態では、金属スクリーンは、
‐ ステンレス鋼
‐ 鉄合金
‐ 非鉄合金
‐ アルミニウムベース合金
から成る群から選択された材料製である。
例えば、青銅、ニッケル鋼合金インバー等の合金や、ステンレス鋼等の鋼を使用することが利点となるのは、これらの材料は安価で処理し易い等の理由による。
【0040】
一部実施形態では、金属スクリーンがエッチングされて、穿孔が形成される。
金属スクリーン内に穿孔をエッチングすることが利点となるのは、エッチングプロセスが、遮蔽素子の形状に広範な設計自由度を与えて、エッチングされた穿孔が、良好な縁、高い幾何学的正確性等を備えた見た目の良いものになるからである。
【0041】
一部実施形態では、光学素子はポリマー材である。
光学素子用にポリマー材を使用することが利点となるのは、例えば硬質性に対する要求を満たし得るからである。
【0042】
一部実施形態では、ポリマー材は、
‐ アクリル(PMMA)
‐ 安定化ポリカーボネート(PC)
‐ ポリイミド(PI)
‐ ポリエーテルイミド(PEI)
‐ これらのガラス充填組成物
‐ これらの他の充填材
から成る群から選択される。
これらのポリマー材を使用することが利点となるのは、安価であり、処理し易い等の理由による。
【0043】
一部実施形態では、光学素子は、UV光又は温度変化に晒された際に、数年の期間にわたって顕著には変化しない。
遮蔽素子は、断熱ガラス内に集積されるので、ガラスの予想寿命全体において実質的に変化せず安定なままであり得る。この遮蔽素子の安定性は、ガラスキャビティ内部の素子の形状、色彩、及び相対的位置に関係する。
【0044】
一部実施形態では、接着剤はUV露光に対して安定である。
接着剤が紫外線(UV)露光に対して安定であることが利点となるのは、接着剤は、光学素子と同様に、建物のファサードに取り付けられた断熱ガラスユニット内に集積された際に太陽光に晒され、接着剤がガラスの全寿命にわたって光学素子を適所に保持するべきだからである。
【0045】
一部実施形態では、接着剤は温度変化に対して安定である。
接着剤が温度変化に対して安定であることが利点となるのは、建物のファサードに取り付けられた断熱ガラスの温度は、一年の季節において及び昼夜において顕著に変化し得るからである。
【0046】
一部実施形態では、接着剤は、その接着性を数年の期間にわたって維持する。
接着剤がその接着性を数年の期間にわたって維持することが利点となるのは、光学素子を備えた断熱ガラスは、多年にわたって取替え又は修理されずに機能可能でなければならなくなり得るからである。
【0047】
一部実施形態では、接着剤は透明である。
接着剤が透明であることが利点となるのは、光学素子を取り付けるのに使用される接着剤が断熱ガラスユニット内で見えなければ、光学素子の見た目が改善されるからである。
【0048】
一部実施形態では、接着剤及び光学素子は実質的に同じ色を有する。
接着剤及び光学素子が同じ色を有することが利点となるのは、光学素子を取り付けられるのに使用される接着剤が目に見えなくなれば、光学素子の見た目が改善されるからである。
【0049】
一部実施形態では、接着剤は、実質的に少量のガスを放出する。
【0050】
一部実施形態では、接着剤は、断熱ガラスユニット内のくもりを実質的に生じさせない。
【0051】
一部実施形態では、接着剤は、
‐ テープ、
‐ 糊、
‐ 樹脂、
‐ ポリマー材、
‐ エポキシ、
‐ アクリル、
‐ UV硬化性樹脂、
‐ シアノアクリレート、
から成る群から選択される。
【0052】
一部実施形態では、接着剤は両面テープである。
両面テープを使用することが利点となるのは、光学素子を窓ガラスに容易にくっ付けるからである。
【0053】
一部実施形態では、接着テープは、圧縮性の発泡材コアを有する。
圧縮可能な接着テープを使用することが利点となるのは、ガラス及び金属は異なる速度で加熱されて、光学素子(例えば金属)はガラスよりも膨張し得るが、その熱膨張の差が、テープの発泡材コアによって調節可能だからである。圧縮性発泡材はポリエチレンであり得る。
【0054】
一部実施形態では、接着テープは幅3mmのポリエチレン発泡材コアを備え、その両面にアクリル接着剤を備える。
【0055】
一部実施形態では、接着剤はスクリーン印刷UV硬化性接着剤である。
【0056】
一部実施形態では、光学素子は、断熱ガラスユニットの窓ガラスの少なくとも一枚の少なくとも一の寸法に対応するサイズに切断されるように構成される。
光学素子が、その光学素子が取り付けられる窓ガラスに適合するように切断可能であることが有利である。例えば、光学素子は、窓ガラスの水平長さと同じ長さを有するように切断され得る。
【0057】
一部実施形態では、光学素子は、窓ガラスの領域の少なくとも一部を覆うように構成される。
従って、光学素子が窓ガラスの領域の一部を覆い得て、その一部は、窓ガラスの領域全体よりも小さい。しかしながら、多数の光学素子を窓ガラスに取り付けることによって、窓ガラスの全領域を光学素子で覆い得る。代わりに、一つの光学素子が窓ガラスの領域全体を覆い得る。
【0058】
一部実施形態では、光学素子は、窓ガラスのいずれの箇所にも取り付けられるように構成される。
屋内取り付けベネチアンブランドと比較してのこの実施形態の利点は、頂部に取り付けバーを必要としないので、光学素子をガラス内のいずれの位置にも適合できる点である。更に、本発明に係る光学素子は、異形のガラスに簡単に取り付け可能である。また、ガラス自体も所望の方向に取り付け可能である。更に、本発明は、屋内取り付けベネチアンブランドにおいて必要とされるような光学素子を制御するための縁の密閉部におけるフィードスルーを必要としないので、本発明は、ガラスからのガス漏れ、又はガラス内への水蒸気の侵入を排除する。
更に、この実施形態の利点は、断熱ガラスキャビティ内部に伸ばされたフィルム状の光学素子とは異なり、ガラスの部分被覆が可能な点である。
【0059】
一部実施形態では、二つ以上の光学素子が、それらの間にギャップに備えて窓ガラスに取り付けられるように構成される。
【0060】
一部実施形態では、二つ以上の光学素子が、それらが隣接して窓ガラスに取り付けられるように構成される。
【0061】
一部実施形態では、二つ以上の光学素子が、それらが重畳して窓ガラスに取り付けられるように構成される。
上述のいずれかの方法で光学素子を窓ガラスに取り付けることが利点となるのは、見た目が良いものになり得るからである。
【0062】
一部実施形態では、二つ以上の光学素子の各々が、光学素子の第一のリム(縁)に沿った接着領域を有する。二つの以上の光学素子のうち第一のものが、第一のリムにおいて窓ガラスに取り付けられ、二つ以上の光学素子のうち第二のものが、第一のリムにおいて、光学素子のうち第一のものの第二のリムに部分的に且つ窓ガラスに部分的に取り付けられて、第一の光学素子の第二のリムが、光学素子のうち第二のものの第一のリムによって、窓ガラスに固定されるようにする。
光学素子のリムのうち一の上の接着剤しかその光学素子を窓ガラスに完全に固定するのに必要とされないことが利点となるのは、一つのリムにのみ接着剤を適用することは、簡単且つはやいものであり、使用される接着剤の量を減らし得るからである。
【0063】
一部実施形態では、光学素子は、
‐ 窓ガラスの少なくとも一部を覆うように窓ガラス上に接着剤を適用し、
‐ 窓ガラス上の接着剤に光学素子を取り付け、
‐ 接着剤の硬化後に穿孔内部の接着剤を除去することによって、
窓ガラスに取り付けられる。
接着剤の硬化後に光学素子の穿孔内部に残っている接着剤を除去することが利点となるのは、それによって、光学素子を備えた断熱ガラスが建物のファサードの遮蔽デバイスとして使用される際に、穿孔に接着剤が存在しない状態が保たれるからである。
【0064】
一部実施形態では、穿孔内に存在している接着剤が、UV放射露光、及びその後の分解剤を用いてのUV放射された接着剤の分解によって、除去される。
【0065】
一部実施形態では、光学素子は、一点で窓ガラスに取り付けられるように構成される。
光学素子が一点のみでガラスに取り付け可能であることが利点となるのは、これが簡単ではやい方法となり得て、使用される接着剤の量を減らし得るからである。
【0066】
一部実施形態では、光学素子は、一つのリムにおいて窓ガラスに取り付けられるように構成される。
光学素子が一つのリムのみにおいてガラスに取り付け可能であることが利点となるのは、これが簡単ではやい方法となり得て、使用される接着剤の量を減らし得るからである。
【0067】
一部実施形態では、接着剤は一以上の連続線で適用される。
【0068】
一部実施形態では、接着剤は一以上のドットで適用される。
可能な限り少量の接着剤を使用することの利点は、見た目の良い窓が得られ、接着剤からのガス放出及びくもりが最小化されることである。
【0069】
一部実施形態では、光学素子が、その光学素子の非穿孔領域の少なくとも一部に接着剤を適用することによって、窓ガラスに接着される。
【0070】
一部実施形態では、接着剤は、光学素子の穿孔に対応する穿孔を有するテープである。
【0071】
一部実施形態では、接着剤は、光学素子の非穿孔領域の上に適用された糊の薄層である。
【0072】
一部実施形態では、断熱ガラスユニットの少なくとも二枚の窓ガラスの第一のものは、屋外に面する最外ガラスであり、少なくとも二枚の窓ガラスの第二のものは、屋内に面する最内ガラスである。
【0073】
一部実施形態では、光学素子は、少なくとも二枚の窓ガラスの第一のものの内側表面に取り付けられる。
光学素子を第一の窓ガラス(最外ガラスであり得る)の内側表面に取り付けることが利点となるのは、光学素子が二枚の窓ガラスによって保護されて屋外環境及び屋内環境の両方に対して保護されるからである。また、遮蔽素子が屋外側に面するガラスと熱的に接触している場合には、太陽光遮蔽素子において吸収される太陽エネルギーを、熱として散逸させて、建物の外に伝えることができる。
【0074】
一部実施形態では、第三の窓ガラスが、第一の窓ガラスと第二の窓ガラスとの間に配置される。
【0075】
一部実施形態では、光学素子が、第一の窓ガラスの方を向いた第三の窓ガラスの表面に取り付けられる。
光学素子を第三の窓ガラス(最外窓ガラスと最内窓ガラスとの間に配置された中間窓ガラスであり得る)に取り付けることが利点となるのは、光学素子が最外窓ガラス及び中間窓ガラスによって保護されて、屋外環境及び屋内環境の両方に対して保護されるからである。
【0076】
一部実施形態では、接着剤は、一以上のスクリーン印刷パターンによって、見えなくされる。
スクリーン印刷パターンを用いて接着剤を隠すことが利点となるのは、スクリーン印刷パターンが、見た目の良い一様で均一な外観を提供するからである。また、スクリーン印刷パターンは、UV劣化に対して接着剤を保護する。
【0077】
一部実施形態では、一以上のスクリーン印刷パターンのうち一つが、複数の窓ガラスのうち第一のものの上に配置される。
スクリーン印刷パターンを第一の窓ガラス(例えば光学素子がこの窓ガラスに取り付けられる場合、最外窓ガラスであり得る)上に提供することが利点となるのは、光学素子を取り付けるのに使用される接着剤が、スクリーン印刷パターンによって隠されて、UV露光から保護されるからである。
【0078】
一部実施形態では、一以上のスクリーン印刷パターンのうち一つが、第三の窓ガラスの内側面の上に配置される。
第三の窓ガラス(例えば光学素子がこの窓ガラスに取り付けられる場合、中間窓ガラスであり得る)の内側面上にスクリーン印刷パターンを提供することが利点となるのは、光学素子を取り付けるのに使用される接着剤がスクリーン印刷パターンによって隠されるからである。
【0079】
一部実施形態では、複数のスクリーン印刷パターンのうち一以上がグリッドである。
【0080】
一部実施形態では、複数のスクリーン印刷パターンのうち一以上が、窓ガラス上に焼成又は融合させたガラスエナメルを備える。
【0081】
一部実施形態では、接着剤は、光学素子上の非穿孔領域に適用されることによって、見えなくされる。
接着剤を光学素子上の非穿孔領域に適用することによって、接着剤を隠すことが利点となるのは、接着剤を隠すための更なる手段を提供することは不要で無駄だからである。
【0082】
一部実施形態では、光学素子が、断熱ガラスユニット内の太陽電池材と集積されるように構成される。
光学素子を太陽電池又は光起電デバイスと組み合わせることが利点となるのは、光学素子による遮蔽及び太陽電池によるエネルギーの両方を、一つの同じ断熱ガラスユニットで提供できるからである。このことは、断熱ガラスユニットの機能を一般的に最適化し、エネルギー及び建物内の空間を節約し得る。
【0083】
太陽電池材は、断熱ガラスユニット内に集積され得る。従って、嵐の時に屋根や壁から落ちる可能性のある露出された又は脆弱な太陽電池素子に関する問題が無くなり得る。
更に、例えば太陽が、夏及び日中において最も強い時に、太陽電池が、例えば建物内部を冷却するためのエアコンシステムで使用され得る電気を最大限発生させることができる。
【0084】
更に、光学素子が太陽電池としても機能する場合、太陽電池に対する電気フィードスルーを、断熱ガラスユニットの縁の密閉部に提供することができる。
【0085】
一部実施形態では、光学素子の非穿孔領域は、太陽電池材で覆われるように構成される。
光起電発電機又は太陽電池(例えば薄膜光起電)で光学素子を覆うことが有利である。これによって、光学素子が、直射太陽光を効率的に遮蔽し、遮蔽された太陽光ビームを利用可能な電気エネルギーに変換する。非穿孔領域の全ての領域、表面又は面が太陽電池材で覆われ得て、つまり、前面、背面、及び穿孔領域又は孔の内側が覆われ得る。
【0086】
一部実施形態では、太陽電池材は、光学素子内の穿孔の内側表面を覆うように構成される。
太陽電池が穿孔の内側表面にも適用されることが利点となるのは、太陽からの放射が穿孔の内側にも当たるので、穿孔内部の表面にも太陽電池材を適用することによって、太陽電池によって利用される太陽光放射の量が多くなるからである。
【0087】
一部実施形態では、太陽電池材は、アモルファスシリコン薄膜、微結晶シリコン薄膜、又はこれらの組み合わせである。
【0088】
一部実施形態では、太陽電池材に対する電気接続は、導電性接着剤によって提供される。
導電性接着剤を使用することが利点となるのは、それが二つの機能を有し得るからである。即ち、太陽電池をガラスに接着させる機能と、太陽電池からの電流を運ぶ機能である。
導電性接着剤は、太陽電池を外部グリッドに接続し得る。外部グリッドは、太陽電池によって発生させた電力の送電システム又はエネルギー貯蔵システムである。
【0089】
一部実施形態では、導電性接着剤は、光学素子の面上の一以上の電極と、窓ガラス上のスクリーン印刷パターンとの間に適用されるように構成される。
スクリーン印刷パターンも含むことが有利となるのは、スクリーン印刷パターンは、導電性接着剤を隠し得るからである。
【0090】
一部実施形態では、接着剤は、その接着剤に導電体を加えることによって、導電性にされる。
【0091】
一部実施形態では、導電体は、
‐ 銀粒子、
‐ 金属層で覆われたプラスチック粒子
から成る群から選択される。
例えば銀粒子や、金属で覆われたプラスチック粒子を使用することが利点となるのは、これらの材料は比較的化学的に不活性だからである。
【0092】
本発明は、上述の及び以下の方法、対応する方法、デバイス、使用、及び/又は、生産手段を含む多様な側面に関係し、その各々は、説明される第一の側面に関係して説明される複数の利点の一以上を生じさせて、また、その各々は、説明される第一の側面及び/又は添付の特許請求の範囲で開示される実施形態に対応する一以上の実施形態を有する。
【0093】
特に、本願で開示されるのは、内側に集積された少なくとも一つの光学素子を備えた断熱ガラスユニットであり、少なくとも二枚の窓ガラスを備える。光学素子は、複数の穿孔と非穿孔領域とを有する。非穿孔領域は、断熱ガラスユニットが取り付けられる建物内への光の侵入を防止する。穿孔は、所定の入射角の光を通過させる一方で他の入射角を有する光が穿孔を通過できずに遮蔽効果を提供するような深さ/幅の比を有する。
光学素子は、接着剤によって二枚の窓ガラスの間に配置される。接着剤は、光学素子の穿孔内には実質的に存在しない。
【0094】
本発明の上述及び/又は追加の課題、特徴及び利点は、添付図面を参照して、以下の例示的で非限定的な本発明の実施形態の詳細な説明によって更に明らかになるものである。