特許第5968418号(P5968418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5968418コンバージェント研磨方法およびコンバージェント研磨システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968418
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】コンバージェント研磨方法およびコンバージェント研磨システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/00 20120101AFI20160728BHJP
【FI】
   B24B37/00 Z
   B24B37/00 H
【請求項の数】13
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-501190(P2014-501190)
(86)(22)【出願日】2012年3月20日
(65)【公表番号】特表2014-511769(P2014-511769A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】US2012029837
(87)【国際公開番号】WO2012129244
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】61/454,893
(32)【優先日】2011年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510218043
【氏名又は名称】ローレンス リバモア ナショナル セキュリティー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】スラトワラ, タヤブ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】スティール, ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】フェイト, マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ディスジャルディン, リチャード ピー.
(72)【発明者】
【氏名】メイソン, ダニエル シー.
(72)【発明者】
【氏名】ディラ−スピアーズ, レベッカ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, ラナ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, フィリップ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲラフティ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ビュデ, ジェフリー ディー.
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−283859(JP,A)
【文献】 特開平10−050641(JP,A)
【文献】 特開2003−179021(JP,A)
【文献】 特開2011−143537(JP,A)
【文献】 特表2008−511983(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0311945(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0311308(US,A1)
【文献】 米国特許第5649849(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/060502(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/124592(US,A1)
【文献】 特開2004−330338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00−37/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を研磨するための研磨システムであって、
半径方向寸法を有する研磨パッドと、
前記研磨パッド上に配置され、セプタム負荷(σs)を受け、前記光学素子を部分的に包囲するように構成されるセプタムと、を備え、
前記光学素子は、前記半径方向寸法の範囲にわたって前記研磨パッドと接触し、光学素子負荷(σo)を受け、前記光学素子負荷(σo)は前記セプタム負荷(σs)と異なる値とすることができ、前記研磨パッドのパッド摩耗率が、前記半径方向寸法の前記範囲にわたって、半径方向寸法の関数としてほぼ一定である研磨システム。
【請求項2】
前記光学素子が円形レンズを含む、請求項1に記載の研磨システム。
【請求項3】
前記セプタムが、構造層と、コンプライアンス層と、研磨層と備える、請求項1に記載の研磨システム。
【請求項4】
前記構造層が、前記コンプライアンス層または前記研磨層よりも高い密度を特徴とする、請求項3に記載の研磨システム。
【請求項5】
前記光学素子が光学材料からなり、前記研磨層は前記光学材料からなる、請求項3に記載の研磨システム。
【請求項6】
前記光学材料が溶融シリカを含む、請求項5に記載の研磨システム。
【請求項7】
前記研磨パッドが、溶媒中に担持された研磨剤成分と添加剤とを含むスラリーを受け入れるように動作可能である、請求項1に記載の研磨システム。
【請求項8】
前記添加剤が、界面活性剤を含む、請求項7に記載の研磨システム。
【請求項9】
前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤を含む、請求項8に記載の研磨システム。
【請求項10】
前記研磨パッドを包囲し、周囲湿度よりも高い湿度を特徴とするチャンバをさらに備える、請求項1に記載の研磨システム。
【請求項11】
前記湿度が実質的に100%である、請求項10に記載の研磨システム。
【請求項12】
前記光学素子が、所定の研磨時間の後に固定値で安定するPV値を特徴とする、請求項
1に記載の研磨システム。
【請求項13】
前記前記研磨パッドに配置される前記セプタムの全ての部分が、フラット形状で特徴づけられる請求項1に記載の研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、1011年3月21日付で出願された米国仮特許出願第61/454,893号明細書の優先権を主張し、あらゆる目的のために、その全開示内容を本明細書に援用する。
【政府に支援された研究開発の下でなされた発明の権利に関する陳述】
【0002】
[0002]米国エネルギー省とローレンスリバモア国立研究所を運営するローレンスリバモアナショナルセキュリティ(LLC)との契約番号DE−AC52−07NA27344に従い、米国政府は本発明の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
[0003]従来の光学素子製造プロセスは、通常、1)成形、2)研削、3)エッジ研削/研磨、4)フルアパーチャ中間研磨またはラッピング、4)フルアパーチャ仕上げ研磨、および5)小工具研磨を含む。正確な表面形状を有する高光学品質材料の需要が劇的に増加して、レーザーが発明されてから、光学素子製造の精度は大きな進歩を遂げてきた。しかしながら、今日一般的に行われているように、光学素子製造は科学技術というよりはむしろ芸術である。研削プロセス中に決定論的に材料を除去する技能は、工具の進歩や、コンピュータ数値制御(CNC)研削機を使用したリアルタイム診断の進歩に基づき、ここ数十年で大きな進展を遂げてきた。同様に、小工具研磨(例えば、コンピュータ制御光学研磨機(CCOS))や磁気レオロジー式仕上げ(MRF)の出現は、研磨産業を一変させた。しかしながら、ガラスウエハやシリコンウエハの研磨方法として、今もなお最もよく使用されており、通常は最も経済的な方法であるフルアパーチャラップ研磨は、決定論的プロセスを含まない。漸進的な改善がなされてきたものの、従来の研磨には、今も職人技術を使いこなす熟練した光学技術者が必要である。このタイプの研磨は、通常、研磨、測定、および所望の表面形状に収束させるためのパラメータ(すなわち、平面度または特定の半径への適合性)の調整を含む、複数回の反復サイクルを必要とする。したがって、本技術分野では、光学素子の研磨に関する方法やシステムを向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明によれば、光学システムに関する技術が提供される。より詳しくは、本発明の実施形態は、たった1回の反復で行う光学素子の決定論的研磨に関する。単なる例示として、本発明を、光学素子の初期形状にかかわらず固定された研磨パラメータセットのもとで光学素子の単一反復研磨に適用した。ここで説明する方法およびシステムは、高出力レーザーシステムおよび増幅器システムと共に使用するのに適した多種多様な光学材料の加工および製造に適用可能である。
【0005】
[0005]本発明の他の実施形態によれば、表面破損の「ない」仕上げに関する方法およびシステムが提供される。高ピーク出力レーザーシステムで使用される高価な光学素子の表面上の傷は、レーザー損傷の発生を引き起こすものとして知られている。したがって、長年にわたり、光学素子製造中に形成される傷の数やサイズを減少させるための多大な努力がなされてきた。傷は、例えば、洗浄、研磨および取扱い中に、光学素子の表面上で負荷を受けているローグ粒子(rogue particles)や隆起を滑らせることで発生する。ローグ粒子を減らすための先行研究は、既存のフルアパーチャ研磨を変更および改善するものであった。この方法は、傷を引き起こす外部からのローグ粒子に対処するには十分であった。現行の軽減戦略は、研磨中の清潔化の実行にもっぱらに限られる。しかしながら、この戦略は、清潔化実行の程度、オペレータのスキルセット、および研磨機の複雑さに極めて影響を受けやすい。加えて、これらの戦略は効率よく実行するのが難しい。ローグ粒子の制御における第二の限界は、研磨プロセス中にスラリーの粒径分布を把握して制御することに限界があるということである。技術の現状は、最適化されておらず、不明な点が多い濾過技術の使用に限定される。
【0006】
[0006]本発明の実施形態は、以下のステップのうちの1つ以上を実行することにより、研磨中のローグ粒子の取り込みを抑制する。1)スラリーの乾燥を防ぐために研磨機を気密シールすることで、ローグ粒子がワークピースとラップとの界面に侵入しないことを確実にするフル研磨システムを作り出すステップ;2)ローグ粒子として作用し得る乾燥スラリーの凝集体を防止するために、湿度100%の環境を提供するステップ;3)内部のスラリー粒子の凝集を最小限に抑える、化学的に安定した研磨スラリーを使用するステップ;および4)研磨システム内の、生成されたどんなローグ粒子でも絶えず除去する最適化された濾過法を利用するステップ。
【0007】
[0007]本発明の実施形態によれば、光学素子を研磨するための研磨システムが提供される。研磨システムは、半径方向寸法を有する研磨パッドと、研磨パッド上に配置され、光学素子を部分的に包囲するように構成されるセプタムとを含む。光学素子は、半径方向寸法の範囲にわたって研磨パッドと接触し、研磨パッドのパッド摩耗率は、半径方向寸法の範囲にわたって、半径方向寸法の関数としてほぼ一定である。
【0008】
[0008]本発明の他の実施形態によれば、高湿度研磨システムが提供される。高湿度研磨システムは、研磨パッドを含む研磨ユニットと、研磨パッドにスラリーを供給するように動作可能なスラリー供給システムとを含む。高湿度研磨システムは、研磨ユニットを包囲するエンクロージャも含む。エンクロージャ内の湿度は、スラリーの実質的な乾燥を防ぐのに十分な湿度である。
【0009】
[0009]本発明の特定の実施形態によれば、光学素子を研磨するためのスラリーシステムが提供される。スラリーシステムは、溶媒と、溶媒中に担持された研磨剤成分とを含む。スラリーシステムは、溶媒中に担持された界面活性剤も含む。
【0010】
[0010] 本発明の特定の実施形態によれば、ワークピースを基板に取り付けるための方法が提供される。本方法は、PV値を決定するステップと、ピッチ面積に関連する値を決定するステップとを含む。本方法は、さらに、ピッチの相対面積を計算するステップと、ボタン半径を計算するステップと、ピッチボタン数を計算するステップとを含む。本方法は、さらに、N個のピッチボタンをワークピースに結合させるステップと、N個のピッチボタンを基板に結合させるステップとを含む。
【0011】
[0011]本発明の実施形態は、様々なアスペクト比(直径/厚さ)のガラス上の平面、球曲面および長方形状面を研磨するための装置および方法を提供する。本発明の実施形態が提供する研磨システムは、コンバージェント、初期表面非依存、単一反復、ローグ粒子フリーの(Convergent, Initial surface idependent, Single interation, Rogue−particle free)(CISR)研磨機とも呼ぶことができ、以下の特徴のうちの1つ以上を提供する。
1)研磨パラメータは固定されており(すなわち、可変ではなく)、ワークピースの初期表面形状にかかわらず、研磨中/研磨間で同一研磨が継続する;
2)ワークピースの形状がラップの形状と一致する所望の形状に収束するようになるため、研磨は研削された状態から1回の反復で行うことができる;および
3)研磨は、ワークピース上にほとんどまたは全く傷を生じさせない、ローグ粒子のない環境で行われる。
4)研磨は、化学的安定化および/または工学的濾過システムを利用して高度に制御された粒径分布を利用して行われる。
【0012】
[0012]本発明の実施形態は、以下の原理のうちの1つ以上に基づいて所望の研磨プロセスを実現する。
1)基本的に、光学素子とラップとの間のミスマッチ(すなわち、光学素子とラップとの間の不均一な物理的分離)以外の、光学素子上の不均一な空間的材料除去の原因となる全ての要素を排除することにより、光学素子の表面形状を所望の形状(すなわち、ラップの形状)に収束させる;および
2)研磨機システムへのローグ粒子の侵入および研磨機システム内でのローグ粒子の生成の原因を取り除いてきたこと、または積極的に取り除くことにより、ワークピースの傷をほとんどまたは完全になくす。
【0013】
[0013]本明細書全体にわたってより詳細に述べているように、本発明の実施形態が提供する工学的特徴は以下の1つ以上を含んでいてよい。
1)円形および長方形のワークピース用に特別にデザインされたセプタム(septum)を使用して、不均一なパッド摩耗を防止する;
2)特別にデザインされたセプタムを使用して、粘弾性によって引き起こされる不均一な応力分布および不均一な材料除去を防止する;
3)特別にデザインされたセプタムを使用して、スラリーのワークピースへの均一な分布を確実にする;
4)ガラスベースの長方形のセプタムを使用して、均一なパッド摩耗における安定性を提供する;
5)パッドをコンディショニングするためのCVOダイアモンドベースの長方形のセプタムを使用して、研磨時間に伴う一定の材料除去率を確実にする;
6)ホイールで駆動するワークピースを使用して、モーメント力が不均一応力分布および不均一材料除去の原因となることを防止する;
7)ローゼットピボットポイントマウンティング(low−z pivot point mounting)を利用して、ワークピースおよびセプタム上のモーメント力を最小限に抑える;
8)運動力学(ワークピースおよびラップの動作)を利用してワークピース上の時間平均速度を均一にして、運動力学による不均一な材料除去を防止する;
9)化学的に安定した研磨スラリーを使用して(例えば、酸化セリウム(Hastilite PO)スラリー中で適切なpHおよび濃度でアニオン界面活性剤(例えば、micro―90)またはカチオン界面活性剤とキレート剤とを使用して)、(ローグ粒子の原因となる)粒子凝集を最小限に抑える;
10)湿度100%の気密シールされた研磨チャンバを使用して、a)傷を引き起こすローグ粒子の原因となることで知られている乾燥研磨スラリーの生成を防止し、またb)環境中に存在する外部のローグ粒子が研磨システム内に侵入するのを防止する;
11)強固なボタンボンディング技術(ピッチボタンボンディング(PBB)とも呼ぶ)を利用して、高アスペクト比の(薄い)ワークピース/光学素子におけるワークピースの変形を防止する;
12)コンプライアントボタンボンディング技術(泡状ボタンボンディング(FBB)とも呼ぶ)を利用して、研削表面からの残留応力が不均一除去およびワークピース屈曲の原因となるのを防止する;
13)プレエッチング技術(例えば、HFまたは緩衝酸化物エッチング)を研削後のワークピース上で利用して、不均一除去およびワークピース屈曲を引き起こす可能性がある残留応力を除去する;
14)プレエッチング技術(例えば、HFまたは緩衝酸化物エッチング)を研削後のワークピース上で利用して、傷の原因となり得る、研削表面上のガラスローグ粒子のもとになるものを除去する;
15)研磨機ハウジング内部および部品にフッ素化コーティングを使用して、研磨を反復する間に、スラリーを洗浄しやすくするため、かつローグ粒子の発生を最小限に抑えるために、スラリー粒子の付着力を低下させる;
16)ローグ粒子の発生を最小限に抑えるために、スラリー粒子を集めてしまう隅部や割れ目を最小限に抑える研磨機デザインを使用する;および/または
17)効率的にローグ粒子を除去し、かつスラリーの粒径分布を制御するアクティブスラリー濾過システムを使用する。
【0014】
(項目1)
光学素子を研磨するための研磨システムであって、
半径方向寸法を有する研磨パッドと、
前記研磨パッド上に配置され、セプタム負荷(σs)を受け、前記光学素子を部分的に包囲するように構成されるセプタムと、を備え、
前記光学素子は、前記半径方向寸法の範囲にわたって前記研磨パッドと接触し、光学素子負荷(σo)を受け、前記光学素子負荷(σo)は前記セプタム負荷(σs)と異なる値とすることができ、前記研磨パッドのパッド摩耗率が、前記半径方向寸法の前記範囲にわたって、半径方向寸法の関数としてほぼ一定である研磨システム。
(項目2)
前記光学素子が円形レンズを含む、項目1に記載の研磨システム。
(項目3)
前記セプタムが、構造層と、コンプライアンス層と、研磨層と備える、項目1に記載の研磨システム。
(項目4)
前記構造層が、前記コンプライアンス層または前記研磨層よりも高い密度を特徴とする、項目3に記載の研磨システム。
(項目5)
前記光学素子が光学材料からなり、前記研磨層は前記光学材料からなる、項目3に記載の研磨システム。
(項目6)
前記光学材料が溶融シリカを含む、項目5に記載の研磨システム。
(項目7)
前記研磨パッドが、溶媒中に担持された研磨剤成分と添加剤とを含むスラリーを受け入れるように動作可能である、項目1に記載の研磨システム。
(項目8)
前記添加剤が、界面活性剤を含む、項目7に記載の研磨システム。
(項目9)
前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤を含む、項目8に記載の研磨システム。
(項目10)
前記研磨パッドを包囲し、周囲湿度よりも高い湿度を特徴とするチャンバをさらに備える、項目1に記載の研磨システム。
(項目11)
前記湿度が実質的に100%である、項目10に記載の研磨システム。
(項目12)
前記光学素子が、所定の研磨時間の後に固定値で安定するPV値を特徴とする、項目1に記載の研磨システム。
(項目13)
前記前記研磨パッドに配置される前記セプタムの全ての部分が、フラット形状で特徴づけられる項目1に記載の研磨システム。
(項目14)
研磨パッドを含む研磨ユニットと、
前記研磨パッドにスラリーを供給するように動作可能なスラリー供給システムと、
前記研磨ユニットを包囲するエンクロージャと、を備え、
前記エンクロージャ内の湿度が、前記スラリーの実質的な乾燥を防ぐのに十分な湿度である高湿度研磨システム。
(項目15)
前記湿度が、周囲湿度よりも高い湿度を特徴とする、項目14に記載の高湿度研磨システム。
(項目16)
前記湿度が実質的に100%である、項目15に記載の高湿度研磨システム。
(項目17)
前記スラリーが、溶媒と、前記溶媒中に担持された研磨剤成分と、前記溶媒中に担持された添加剤とを含む、項目14に記載の高湿度研磨システム。
(項目18)
前記研磨ユニットが、前記研磨パッドに隣接して配置され、前記研磨パッドの半径方向寸法の範囲にわたって前記研磨パッドと接触する光学素子を部分的に包囲するように構成されるセプタムをさらに備え、前記研磨パッドのパッド摩耗率が、前記半径方向寸法の前記範囲にわたって、半径方向寸法の関数としてほぼ一定である、項目14に記載の高湿度研磨システム。
(項目19)
前記スラリーが、溶媒と、前記溶媒中に担持された研磨剤成分と、前記溶媒中に担持された界面活性剤とを含む、項目18に記載の高湿度研磨システム。
(項目20)
溶媒と、
前記溶媒中に担持された研磨剤成分と、
前記溶媒中に担持された界面活性剤と、を備える光学素子を研磨するためのスラリーシステム。
(項目21)
前記溶媒が水を含む、項目20に記載のスラリーシステム。
(項目22)
前記研磨剤成分が、酸化セリウムおよびHastilite POのうちの少なくとも一方を含む、項目20に記載のスラリーシステム。
(項目23)
前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤を含む、項目20に記載のスラリーシステム。
(項目24)
前記アニオン界面活性剤が、μ−90およびアンモニウムラウリル硫酸塩のうちの少なくとも一方を含む、項目23に記載のスラリーシステム。
(項目25)
前記界面活性剤が、カチオン界面活性剤を含む、項目20に記載のスラリーシステム。
(項目26)
キレート剤をさらに備える、項目20に記載のスラリーシステム。
(項目27)
ワークピースを基板に取り付けるための方法であって、
PV値を決定するステップと、
ピッチ面積に関連する値を決定するステップと、
ピッチの相対面積を計算するステップと、
ボタン半径を計算するステップと、
ピッチボタン数を計算するステップと、
N個のピッチボタンを前記ワークピースに結合させるステップと、
前記N個のピッチボタンを前記基板に結合させるステップと、を備える方法。
(項目28)
前記PV値が、固体ピッチ層に関連するPV値の測定に基づく、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記ピッチの相対面積が、前記PV値を前記ピッチ面積に関連する値で除した値に等しい、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記N個のピッチボタン同士の間隔がほぼ均一である、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記N個のピッチボタンを前記ワークピースに結合させるステップが、前記N個のピッチボタンを、前記ワークピースに結合したテープ層に塗布する工程を含む、項目27に記載の方法。
(項目32)
前記ワークピースが光学素子を含み、前記基板はオプティカルフラットを含む、項目27に記載の方法。
[0014]従来技術と比較して、本発明によって非常に多くの利点が達成される。例えば、本発明の実施形態は、1回の反復で光学素子を所定の形状に研磨するのに適した方法およびシステムを提供する。本発明のこれらおよび他の実施形態を、その利点および特徴の多くとともに、以下の本文および添付図面と併せてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る、研磨ムラに影響を与えるパラメータを示す表である。
図2-1】(A)は、本発明の一実施形態に係る、異なる研磨構成についてPV値(peak−to−valley height:凹凸高低差)を研磨時間の関数として示す簡易プロットであり、(B)は、本発明の一実施形態に係る研磨構成を示し、(C)は、本発明の一実施形態に係る別の研磨構成を示し、(D)は、本発明の一実施形態に係るさらに別の研磨構成を示し、(E)は、本発明の一実施形態に係るさらに別の研磨構成を示し、(F)は、本発明の一実施形態に係るさらに別の研磨構成を示し、(G)は、本発明の一実施形態に係るさらに別の研磨構成を示す。
図2-2】本発明の一実施形態に係る、研磨構成についてPV値を研磨時間の関数として示す簡易プロットである。
図3A】本発明の一実施形態に係る、ある初期形状についての研磨収束(コンバージェンス)を示す簡易プロットである。
図3B】本発明の別の実施形態に係る、別の初期形状についての研磨収束を示す簡易プロットである。
図3C】本発明のさらに別の実施形態に係る、さらに別の初期形状についての研磨収束を示す簡易プロットである。
図3D】本発明のさらに別の実施形態に係る、さらに別の初期形状についての研磨収束を示す簡易プロットである。
図4】(A)は、本発明の一実施形態に係る、ある研磨時間でのPV値を示す表面輪郭であり、(B)は、本発明の一実施形態に係る、別の研磨時間でのPV値を示す表面輪郭であり、(C)は、本発明の一実施形態に係る、さらに別の研磨時間でのPV値を示す表面輪郭であり、(D)は、本発明の一実施形態に係る、さらに別の研磨時間でのPV値を示す表面輪郭であり、(E)は、本発明の一実施形態に係る、さらに別の研磨時間でのPV値を示す表面輪郭である。
図5】(A)は、本発明の一実施形態に係る研磨セプタムの簡略斜視図であり、(B)は、本発明の一実施形態に係る研磨セプタムの簡略断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのパッド摩耗率の簡易プロットである。
図7】本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのセプタム幅の簡易プロットである。
図8】(A)は、本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのセプタム負荷の簡易プロットであり、(B)は、本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのセプタム負荷の簡易プロットであり、(C)は、本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのセプタム負荷の簡易プロットである。
図9】(A)は、ローグ粒子によるスクラッチングを示す簡略模式図であり、(B)は、ローグ粒子によるスクラッチングを示す画像である。
図10】本発明の一実施形態に係る高湿度研磨システムの簡略斜視図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る高湿度研磨システムの一部の簡略平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る、様々な希釈度の研磨液についての、時間の関数としての正規化界面高さのプロットを示す。
図13】本発明の一実施形態に係る、撹拌の影響下での研磨液についての、正規化界面高さのプロットを示す。
図14】本発明の一実施形態に係る、複数の研磨液についての、時間の関数としての正規化界面高さのプロットを示す。
図15】本発明の一実施形態に係る、安定化研磨液および非安定化研磨液についての、時間の関数としての相対界面高さの簡易プロットである。
図16】本発明の一実施形態に係る、安定化研磨液および非安定化研磨液についての、粒径の関数としての研磨液量である。
図17】本発明の一実施形態に係る、1セットの光学素子を研磨する方法を示す簡易フローチャートである。
図18A】本発明の一実施形態に係る、研削前の表面湾曲を示す画像である。
図18B】本発明の一実施形態に係る、研削後の表面湾曲を示す画像である。
図18C】本発明の一実施形態に係る、化学エッチング後の表面湾曲を示す画像である。
図19】(A)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングを行うための方法を示す簡略模式図であり、(B)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングを行うための方法を示す簡略模式図であり、(C)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングを行うための方法を示す簡略模式図であり、(D)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングを行うための方法を示す簡略模式図であり、(E)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングを行うための方法を示す簡略模式図であり、(F)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングを行うための方法を示す簡略模式図である。
図20】本発明の一実施形態に係る、様々なPPB構成での溶融シリカおよびリン酸塩ガラスの測定した表面形状の変化を示すプロットである。
図21】本発明の一実施形態に係る、ピッチの測定した熱膨張のプロットである。
図22】(A)は、本発明の一実施形態に係る、1個のボタンおよび3個のボタンについての、ピッチの過冷却の関数としてのワークピースPV値のプロットであり、(B)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタン半径の関数としてのワークピースPV値のプロットであり、(C)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンオフセットの関数としての正規化ワークピースPV値のプロットであり、(D)は、本発明の一実施形態に係る、相対総ピッチボタン面積の関数としてのワークピースPV値のプロットである。
図23】本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングパラメータを示す簡略模式図である。
図24】(A)は、本発明の一実施形態に係る、光学素子に対する最適化されたピッチボタンボンディングパターンを示す図であり、(B)は、本発明の一実施形態に係る、光学素子に対する最適化されたピッチボタンボンディングパターンを示す図である。
図25】(A)は、本発明の一実施形態に係る、ボタン同士の間隔の関数としてのワークピースPV値のプロットであり、(B)は、本発明の一実施形態に係る、面積率の関数としてのワークピースPV値のプロットである。
図26】本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングパラメータの決定方法を示す簡易フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0049]図1は、本発明の一実施形態に係る、研磨ムラに影響を与えるパラメータを示す表である。本発明の実施形態は、研磨ムラを低減させるための技術およびシステムを提供する。図1に示すパラメータのうちのいくつかの制御については、2010年1月28日付で出願された米国特許出願第12,695/986号明細書により詳細に記載されており、その全開示内容を本明細書に援用する。本出願全体を通してさらに詳述されているように、本発明の実施形態では、ミラーセプタム(mirror septum)を使用して弾性ラップレスポンス(elastic lap response)(4.2)および粘弾性の影響(4.5)を低減させ、かつ一定のラップ摩耗(4.6.1)を提供する。光学素子形状はその後、研磨プロセスを収束するために使用される(4.6.4)。
【0017】
[0050]図1に示すように、1つの可変要素を除いた様々なパラメータを低減または除去し、その1つの可変要素は、その後フルアパーチャ研磨システムにおいて光学素子を所望の形状に収束させるために使用する。これは、所望の形状を生成するために、光学技術者が様々なパラメータをリアルタイムで同時に変化させていた以前の技術とは明らかに対照的である。本発明者らが、図1に示す材料除去に影響するパラメータを判断して低減または除去したため、1つの可変要素、すなわち光学素子とラップとの間のミスマッチのみが残される。その後、光学素子の最終的な所望の形状を有するラップを使用して、光学素子をラップの形状に一致するように収束させる方法で研磨する。
【0018】
[0051]図2−1(A)は、本発明の一実施形態に係る、異なる研磨構成についてPV値(peak−to−valley height:凹凸高低差)を研磨時間の関数として示す簡易プロットである。図2−1(A)に示すように、研磨時間の関数としての光学素子のPV値のプロットが様々な研磨構成について示されている。図2−1(A)に示すように、本発明者らが図1に示すパラメータに対処したため、研磨時間の関数としてのPV値をほとんど変化させない状態から全く変化させない状態で光学素子を研磨することができる。「パッド摩耗低減」曲線(5番)によって示されるように、本発明者らは、研磨の際にパッドが形状を変化させ、その結果、研磨するにつれて形状が光学素子上の圧力分布を変化させることを突き止めた。したがって、本発明の実施形態は、セプタムを使用してラップに接触し、光学素子が引き起こしている摩耗と本質的に逆(すなわち、空間的に逆)の摩耗を実現することによって、パッド摩耗を相殺して空間的に均一なパッド摩耗を形成する。したがって、本発明の実施形態は、6番の曲線に示すように粘弾性の影響を低減させ、時間の関数としてのほぼ一定のPV値をもたらす。
【0019】
[0052]図2−1(B)から図2−1(G)は、本発明の一実施形態に係る異なる研磨構成を示す。図2−1(B)から図2−1(G)に示すパラメータは、図2−1(A)における曲線の番号に一致している。
【0020】
[0053]本発明者らは、図2−1(A)はプロット番号6(粘弾性低減(77))で安定したPV値を示しているものの、100時間を越えた場合、PV値がより高いレベルに上昇して、時間の関数としてのPV値が上昇する可能性があることを突き止めた。図2−2は、本発明の一実施形態に係る、研磨構成についてPV値を研磨時間の関数として示す簡易プロットである。図2−2に示すように、0時間から約150時間の間に収束点(convergence point)が移動している。本発明の実施形態は限定されないが、本発明者らは、収束点移動の潜在的な原因となる1つのメカニズムは、光学素子に起因するパッド摩耗とセプタムに起因するパッド摩耗との間のバランスが乱れることによって、PV値の上昇が引き起こされることであると考える。
【0021】
[0054]本発明の実施形態は、研磨されている光学素子を除去し、セプタムのみを使用して研磨システムを稼働させることで収束点を調整する。セプタムのみでシステムを稼働させることにより、収束点を調整してPV値を所定レベルより小さい値まで戻す。収束点の移動は、単一の光学素子に対する研磨作業に伴う期間よりも長い期間にわたって起こるためである。一例として、ある光学素子に対する研磨時間を10時間とすることができ、同時に、多数の光学素子(例えば、15個の光学素子)を、PV値が2.5μmを超えるまで増加するまでに、図2−2に示す約150時間内で研磨する。したがって、収束点の調整は、単一の光学素子を研磨するのに利用される一般的な期間と比較して、長い期間をかけて行われる。本発明の実施形態は、このような長期間をかけての収束点の調整に限定されないが、複数の光学素子に対する研磨プロセスに伴う期間の観点から、以下の例を提示する。
【0022】
[0055]図2−2を参照すると、収束点は、最初の150時間の研磨の間に、最初は約0.5μmから約2.5μmまで移動した。収束点の数値を低下させるために、本発明の実施形態は、PV値を所定のレベルまで低下させるため、しばらくの間研磨システムをセプタムのみを使用して稼働させるように光学素子を除去する。図2−2に示すように、約200時間から約400時間までの期間に、0.6psiのセプタムのみを使用して研磨システムを稼働させることで、0.48mmまで下落するPV値によって示されるように収束点が低下する。図に示されているように、PV値の減少速度は比較的遅いが(例えば、約1.7μm/212時間=7.3nm/時間)、制御可能かつほぼ直線状である。約400時間以降の期間では、セプタムおよび光学素子の両方を使用する。それによって、約400時間から約500時間の間に、収束点に新たなドリフトが起こる。最後の数個のデータ点によって示されているように、約500時間以降にセプタムのみを使用して研磨を行うことで、期待通りに収束点が低下する。したがって、実施形態では、光学素子を使用せずにセプタム(例えば、0.6psiのセプタム)のみを使用して研磨するプロセスを、収束点を微調整するための方法として利用する。当業者であれば、多くの変形、変更および代替例を認識するであろう。
【0023】
[0056]コンバージェントパッド研磨については、2012年3月発行の、International Journal of Applied Glass Science,Special Issue: Part1,The Flow and Fracture of Advanced Glasses Part2,General Glass Science, Volume 3,Issue 1の14〜28頁に記載の、Tayyab Suratwala、Rusty Steele、Michael Feit、 Richard DesjardinおよびDanMason著「Convergent Pad Polishing of Amorphous Silica」においてさらに説明されており、あらゆる目的のために、その全内容を本明細書に援用する。
【0024】
[0057]図17は、本発明の一実施形態に係る、1セットの光学素子を研磨する方法を示す簡易フローチャートである。方法1700は、セプタムを使用して光学素子の第一のサブセットを研磨することと、第一の所定値未満のPV値を特徴とする研磨プロセスとを含む(1710)。本方法は、PV値が第一の所定値以上であるかを判定することも含む(1712)。いったんPV値が第一の所定値に達すると、光学素子の第一のサブセットの最後の光学素子を除去し、研磨システムを光学素子なしで、ある期間稼働させる(1714)。その期間の後、PV値が第二の所定値未満まで減少したかを判定する(1716)。一部の実施形態では、第二の所定値は第一の所定値未満である。他の実施形態では、第二の所定値は第一の所定値と等しい。
【0025】
[0058]一部の実施形態では、収束点の調整中の研磨システムの運転では、光学素子なしでセプタムを使用したり、(下記の他の実施形態で述べるように)光学素子のうちの1つを使用したり、セプタム以外のデバイスまたは光学素子を使用したりする。したがって、収束点を調整するセプタム以外の形状が本発明の範囲内に含まれる。
【0026】
[0059]いったんPV値が第二の所定値に達すると、セプタムを使用して、第一の所定値未満のPV値を特徴とする研磨プロセスによって光学素子の第二のサブセットを研磨する(1718)。
【0027】
[0060]PV値が研磨時間の関数としての負の方向に増加する他の実施形態では、セプタムを除去して、セプタムを使用せずに光学素子のセット中の1つの光学素子またはダミー光学素子を研磨することでプロセス1714を変更するように、図17に示す実施形態を変更することができる。したがって、この相補的補正方法を利用して、負の方向に増加するPV値を調整することができる。
【0028】
[0061]図3Aは、本発明の一実施形態に係る、初期形状を変えた場合の研磨収束を示す簡易プロットである。図3Aでは、光学素子は低アスペクト比の円形ワークピースとした。図3Aに示すように、ワークピース(すなわち、光学素子)におけるPV値(凹凸高低差)は、実験79については、元は約7μm(すなわち、約14ウェーブ)であり、約−1μm(すなわち、2ウェーブ)まで低下する。実験80については、元は約−7μmのPV値が、約−1.5μmまで低下する。したがって、本発明の実施形態は、光学素子における元の形状の違いにかかわらず、均一な平滑度に収束させる光学研磨となるコンバージェント研磨技術を提供する。図3Aに示すここでの収束帯域は、幅が約0.5μm未満の負のPV値を特徴とするが、本発明はこの特定のPV値に限定されず、他のゼロを中心とするより狭いPV値の帯域も本発明の範囲内に含まれる。
【0029】
[0062]本発明の実施形態を利用して、ラップと光学素子形状との間のミスマッチによって形状収束を行うことで、1回の反復で行う初期表面非依存研磨プロセス(initial−surface−independent polishing process)が可能になる。研磨中、圧力の光学素子とラップとの間のミスマッチの正規化(the optic−lap mismatch normalization)により、光学素子はラップと同一形状に収束することになる。したがって、本発明の実施形態は、PV値を所定のPV値を特徴とする帯域に長期間維持したままで、研磨プロセスをその帯域に収束させる。
【0030】
[0063]本発明によってもたらされる利点のうちのひとつは、コンバージェント研磨プロセスは一定のPV値で終了し、この収束値に長期間留まることである。過研磨を防ぐために研磨を正確な時間で終了させなくてはならない従来の研磨技術に対して、コンバージェント研磨技術は、1回の反復で自己終端し、光学素子の初期表面と無関係なラップの形状に基づいた所望の形状を提供する。
【0031】
[0064]図3Bは、本発明の一実施形態に係る、低アスペクト比の円形光学素子についての研磨収束を示す簡易プロットである。図3Bに示す研磨プロセスに使用する研磨パッド(すなわち、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical CompanyのIC1000(商標)研磨パッド)は、図3Aに示す研磨プロセスで使用する研磨パッド(すなわち、Dow Chemical CompanyのSuba(商標)550研磨パッド)と異なる。図3Cは、本発明の一実施形態に係る、正方形光学素子についての研磨収束を示す簡易プロットである。図3Dは、本発明の一実施形態に係る、高アスペクト比の円形光学素子についての研磨収束を示す簡易プロットである。
【0032】
[0065]図3Aから図3Dに示すように、異なる初期表面形状を有するワークピースおよび4つの異なる構成において、PV値は研磨時間の関数としての所定の帯域に収束する。一例として、図3Cでは、低アスペクト比の正方形ワークピースをIC1000(商標)研磨パッドを使用して研磨し、図3Dでは、高アスペクト比の(研削または研磨された)円形ワークピースをIC1000(商標)研磨パッドを使用して研磨した。これらの図に示す研磨作業では、初期表面形状を変化させることで特徴付けた複数のワークピースを、全てのワークピースを最終的な、名義上はフラット形状に収束させながら同様に研磨することによって、コンバージェントフルアパーチャ研磨を実証した。
【0033】
[0066]図4(A)から(E)は、本発明の一実施形態に係る、様々な研磨時間でのPV値を示す表面輪郭である。原表面を4Aに示し、PV値が6.5μmである。1時間の研磨後の表面を図4(B)に示し、PV=4.64μmである。その後の研磨時間を図4(C)から図4(E)に示し、2時間の研磨後はPV=3.59μm(図4(C))であり、6時間の研磨後はPV=−1.04μm(図4(D))であり、24時間の研磨後はPV=−0.95μm(図4(E))である。図4(D)および図4(E)に示すように、コンバージェント研磨プロセスは、所定の期間後は固定されたPV値で終了する。
【0034】
[0067]図5(A)は、本発明の一実施形態に係る研磨セプタム(polishing septum)の簡略斜視図である。図5(A)に示す実施形態におけるセプタム500は、円形光学素子を受け入れるように成形されたカーブ510を含む。他の実施形態では、研磨されている光学素子によって引き起こされる、空間的に非均一なパッド摩耗を相殺するパッド摩耗も生じさせる犠牲ワークピースになり得るセプタムを、正方形光学素子や長方形光学素子などを含む異なる形状を有するワークピースと呼ぶことができる光学素子を受け入れるように変更する。セプタム500は、図5(B)に示すような積層材料、例えば、例えば25mmのステンレス鋼または十分な剛性および密度を有する他の材料から形成される構造層520と、例えば3mmのゴムまたは他の順応性材料から形成されるコンプライアンス層(compliance layer)522と、例えば1.1mmの溶融シリカまたは研磨されている光学素子と同等の他の材料から形成される研磨層524とを含むことが可能である。セプタムの所望の質量に応じて、上記の異なる層で使用する材料を、剛性/質量、順応性および研磨相似性の機能を提供するように変更することができる。一例として、構造層は、好ましくはセプタムを低アスペクト比にするために、積層材料を含むアルミニウムまたは高密度の他の材料から形成することもできる。図5(A)に示すセプタムは円形光学素子の研磨に適しているが、正方形および長方形の光学素子を含む他の形状が本発明の範囲に含まれる。
【0035】
[0068]セプタムはこのようにして、セプタムをパッドに当てる際の圧力を正規化してセプタム全体で一定にすることができるコンプライアンス層により、フラット形状をもたらす。ゴム以外の材料、例えば、軟質ポリマー、発泡材料、シリコーン、これらの複合材料などを利用することもできる。コンプライアンス層は、必要に応じてエポキシ類または他の接着剤を使用して、構造層に接着することが可能である。研磨されている光学素子と同じ材料を研磨層に使用することは、同一のパッド摩耗率をもたらすために有益である。しかしながら、他の材料を特定用途に合わせて適宜利用することができる。当業者には明らかであるように、研磨されている光学素子と異なる材料を使用することで、セプタムの形状が異なるものとなる。図5(A)に示すセプタムデザインでは、セプタム(すなわち、0.3psiのセプタム)によるラップ上の圧力(すなわち、負荷)は、光学素子による圧力と一致する。他のデザインでは、セプタムと光学素子との間の圧力を別の圧力に特定することで、別のセプタム形状が生成される。
【0036】
[0069]図6は、本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのパッド摩耗率の簡易プロットである。図6を参照すると、ワークピースによる摩耗(すなわち、研磨パッドの摩耗率)が、研磨機の中心からの距離の関数として、右方向に平行線模様を付けた領域で示されている。曲線の下のこの領域は、単に光学素子をラッピングパッド上に置いた場合にどれだけパッドが摩耗するかを示している。図示されているグラフに関して、光学素子(optical element、opticともいう)は、直径100mmの研磨機の中心から25mmの位置に置かれる。光学素子がパッド(例えば、0〜25mm)と接触しない場所ではパッド摩耗は起こらず、この領域では摩耗率がゼロとなる。同様のゼロパッド摩耗が、距離が125mmを超える箇所で示されている。示されている摩耗率を考えると、時間が経過するにつれて、この曲線の逆の曲線が研磨中のパッドにおける摩耗溝の形状となる。
【0037】
[0070] (左方向に平行線模様を付けた領域によってコンプリメント摩耗として示されている)セプタムによる研磨パッド摩耗がもたらされ、距離の関数として一定の全体的なパッド摩耗率(C)を生成する。当業者には明らかであるように、一定値とワークピースによる摩耗との間の差は、図示の摩耗率を生成するセプタムの形状をデザインするための規準となる。
【0038】
[0071]パッド摩耗率は、ワークピース(すなわち、光学素子)によるパッド摩耗と、セプタムによるパッド摩耗との組み合わせによって以下の式で表すことができる。
【数1】

式中、r=パッドの中心からの距離
s=パッドの中心からの光学素子の変位
=プレストン係数(光学素子とセプタムの研磨表面とが同じ材料であれば、同一値である)
μ=摩擦係数
σ=負荷(圧力)であり、光学素子およびセプタム両方に対して同じ値となり得る
(r)=rにおける光学素子の周方向幅
(r)=rにおけるセプタムの周方向幅
rO=rにおける光学素子とパッドとの間の相対速度であり、R=Rであれば、Rsと等しい
rS=rにおけるセプタムとパッドとの間の相対速度であり、R=Rであれば、Rrと等しい
=光学素子の回転速度
=ラップ(すなわち、パッド)の回転速度
【0039】
[0072]一定のパッド摩耗率
【数2】

のためのセプタムの形状は、セプタムの幅を以下の式で計算することにより決定される。
【数3】

円形光学素子については、以下の式を用いて計算する。
【数4】
【0040】
[0073] 図5(A)に示すような、本発明の実施形態によって提供されるセプタムは、従来の研磨技術を用いても得ることができない利点を提供する。セプタムの形状は、光学素子上の位置の関数としてのパッド摩耗率を一定にするように、図6および図7に関して説明したようにプレストン方程式を使用してデザインされる。一部の実施形態では、パッド摩耗の均一性は、光学素子と接触しているパッド上の部分全体にわたって差異が5%未満であるパッド摩耗率の値を特徴とする。他の実施形態では、パッド摩耗率の値の差異は、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.75%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.025%未満、または0.01%未満である。例えば、位置の関数としての第一のパッド摩耗率は、光学素子による摩耗と関連しており、位置の関数としての第二のパッド摩耗率は、セプタムによる摩耗と関連している(図6参照)。これらのパッド摩耗率の和は、光学素子と接触しているパッド上の複数の部分で、ほぼ一定の率となる。一部の実施形態では、パッド摩耗率の均一性は1ウェーブ未満であるが、当業者には明らかであるように、パッド摩耗率の均一性は、光学素子と接触していないパッド上の複数の領域(例えば、図6において、半径方向距離が25mm未満および125mmを超える部分)では減少する可能性があるが、特定の用途に応じて、適宜均一性がこれらの光学素子と接触していない部分に及ぶ。当業者であれば、多くの変形、変更および代替例を認識するであろう。
【0041】
[0074]ここで述べるようなセプタムを使用することで、空間的なパッド摩耗の均一性を向上させることに加えて、速度および圧力に比例して変化する他の現象に起因する他の相互利益ももたらす可能性があることに注意されたい。そのような現象の例には、パッドの圧縮および粘弾性、パッドの艶出し、摩擦を引き起こす温度効果、スラリー分布などがある。
【0042】
[0075]本発明の実施形態を利用することで、位置の関数としてのパッド摩耗は、位置の関数としてほぼ均一、例えば複数の光学素子に対して数ウェーブ未満である。一実施形態では、パッド摩耗の均一性は、光学素子と接触している半径方向にわたって1ウェーブ以内である。しかしながら、パッド摩耗の均一性は、より一層均一なパッド摩耗、例えば1ウェーブ未満で特徴付けてもよい。
【0043】
[0076]図7は、本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのセプタム幅の簡易プロットである。図7におけるセプタム幅(すなわち、周方向幅)は、特定の半径方向距離におけるラップの外周によって設定される最大厚さ(短い半径方向距離においては、セプタムで覆うことが可能な外周は限られている)と、粘弾性および剛体パンチの影響によって設定される最少厚さとによって囲まれている。より軟質のパッドでは、粘弾性の影響がより顕著になるのに対して、より硬質のパッドでは、剛体パンチの影響がより顕著になる。
【0044】
[0077]図7では、セプタムの形状は円形光学素子用に決定されているが、その光学素子に対する他の形状が本発明の範囲に含まれる。ここに述べた数式を使用して、セプタムの負荷を光学素子の負荷と異なるものとすることができ、例えば、不均一な負荷とすることですら可能である。関数f(s)は、所定の形状、例えば円形または長方形の光学素子について算出してから、セプタム形状を規定するためにこの式中に代入する。ここで周方向幅と呼ぶ関数f(r)およびf(r)は、それぞれ、光学素子またはセプタムで覆われる半径rでのラップ外周の割合として定義される。
【0045】
[0078]当然のことながら、半径方向距離が減少するにつれて、半径方向速度はゼロに向かうため、セプタムの研磨機の中心付近の部分(ラップ上の半径方向距離の短い部分)では、図6に示す一定値を達成することはできないかもしれない。しかしながら、光学素子は中心から有限距離(例えば、図示の実施形態では25mm)に位置しているため、ここで述べるセプタムのデザインは、このデザイン制約を満たす。光学素子は、25mm未満の半径距離とは重ならないため、パッド摩耗率を一定にするためのデザインの自由度は、光学素子と重ならない半径距離において提供される。
【0046】
[0079]図8(A)から図8(C)は、本発明の一実施形態に係る、半径方向距離の関数としてのセプタム負荷の簡易プロットである。本発明の実施形態は、均一に負荷を加えたセプタム(図8(A))、差動的に負荷を加えたセプタム(図8(B))、または継続して負荷を加えたセプタム(図8(C))を使用することができる。図8(A)から図8(C)におけるプロットは、パッド摩耗率に関して述べたように、負荷(σ(r))が位置の関数となり得ることを示している。
【0047】
[0080]図9(A)は、ローグ粒子によるスクラッチングを示す簡略模式図である。例えば、一部の光学素子研磨の用途では、高エネルギーレーザーおよびアンプシステムに対して、スクラッチ密度に厳密な要求を課すことができる。本発明の実施形態は限定されないが、本発明者らは、いくつかの傷は、研磨スラリー中に存在する他の粒子よりも大きな粒子であるローグ粒子、例えば、異物粒子またはスラリー中の他の粒子の平均粒径よりも大きな粒径分布を有する粒子のいずれかによって研磨中に発生するものであると考える。図9(A)に示すように、ローグ粒子は、光学素子により大きな負荷を与え、傷または一連の傷を形成する。ローグ粒子を濾過によって除去しようと試みても、なお光学素子の傷が認められる。図9(B)は、ローグ粒子によるスクラッチングを示す画像である。
【0048】
[0081]本発明の実施形態を限定しないが、本発明者らは、ローグ粒子を生じさせるさらなる原因はスラリーの乾燥であると考える。例えば、酸化セリウムを含む研磨化合物では、スラリーが完全に乾燥するだけでなく、乾燥する際に、スラリーがスラリー自身と化学反応を起こして軟質の凝集粒子から硬質の凝集粒子を生成する。凝集粒子はその後、図9(B)に示すような傷を形成する可能性がある。
【0049】
[0082]本発明の実施形態は、研磨システムを封入することでスラリーの乾燥を防ぐ。それによって、外部からの異物粒子の侵入を防ぐだけでなく、高湿度環境を提供してスラリーが乾燥しきるのを防ぐ。光学素子上にスラリーが残存することを防ぐために、リンスシステムを使用して、光学素子をシステムから除去する際に洗浄することができる。その結果、スラリーはリンスプロセス中に除去されるため、スラリーの乾燥を伴うことなく、除去後に洗浄した光学素子を乾燥させることができる。システムからのスラリーの洗い流しをさらに促進するために、システムの構成要素をフッ素化ポリマー層で被覆して、スラリーと様々なシステム構成要素との間の付着力を低下させることができる。
【0050】
[0083]図10は、本発明の一実施形態に係る高湿度研磨システムの簡略斜視図である。高湿度研磨システム1000は、研磨面1010と、セプタム1014によって部分的に包囲された光学素子1012とを含み、研磨面1010は研磨パッドとすることができる。可動カバー1020は、エンクロージャ1022と接触するように位置決めして、研磨面を包囲する管理環境を形成することができる。研磨スラリー用の流入口および排出口(図示せず)と、湿度ガス(例えば、水蒸気)用の流入口1030および排出口1032とが、システムの一部として設けられる。
【0051】
[0084]図10に示す実施形態では、研磨システム内部の湿度は周囲湿度よりも高く、例えば、80%よりも高く、85%よりも高く、90%よりも高く、95%よりも高く、97%よりも高く、98%よりも高く、99%よりも高く、および最大100%にまで至る。一部の実施形態では、システム内でのスラリーの大幅な乾燥を防止するために、湿度が高レベルとなっている。環境内での乾燥がないことによって、硬質凝集粒子の形成およびそれに伴うスクラッチングが防止される。
【0052】
[0085]図11は、図10に示す高湿度研磨システムといくつかの点で異なる高湿度研磨システムの一部の簡略平面図である。図11に示すように、光学素子1105はラップ1110上に置かれ、ガイドホイールを使用して空間的に制御されている。図11に示す実施形態では、別のセプタムデザインが使用され、ミラーセプタム1120を設けて均一なパッド摩耗を生じさせる。研磨環境が、密閉チャンバ(例えば、気密チャンバ1107)に類似する方法で所望の管理された高湿度雰囲気を提供できるように、100%湿度供給口1030をラップ1110に隣接して設ける。本発明の実施形態は、図11に示すデザインに限定されるものではなく、この実施形態は、単に一例として示されている。
【0053】
[0086]図12は、本発明の一実施形態に係る、様々な希釈度の研磨液についての、時間の関数としての正規化界面高さのプロットを示す。スラリーとスラリーから分離する溶媒との間の界面の高さは、スラリーが容器(例えば、メスシリンダ)の底に沈殿するにつれて減少するため、時間の関数としての正規化界面高さは、図示のスラリーの沈殿特性を理解する手掛かりとなる。1:4の割合でイオン交換水(DI water)と混合されたHastilite POが最も早く沈殿し、正規化界面高さは約25分以内に30%まで減少する。Hastilite POとイオン交換水とを1:1の割合で混合したものでは、沈殿時間が1桁分長くなり、約300分で30%の正規化界面高さに到達する。希釈しないHastilite POでは、沈殿時間が最も長くなり、約60%まで減少するのに300分かかる。したがって、スラリー、例えばHastilite POの希釈が沈殿時間に影響を及ぼす。
【0054】
[0087]図13は、本発明の一実施形態に係る、撹拌の影響下での研磨液についての、正規化界面高さのプロットを示す。図13に示すように、撹拌は、イオン交換水または水道水のいずれかで希釈したスラリーの沈殿時間にほとんど違いを生じさせない。
【0055】
[0088]希釈の影響に加えて、本発明者らは、凝集を防止する添加剤をスラリーに加えることで、スラリーの安定と沈殿時間の延長を実現することができることを突き止めた。図14は、本発明の一実施形態に係る、複数の研磨液についての、時間の関数としての正規化界面高さのプロットを示す。図14に示すスラリーはHastilite POであるが、その他のスラリーが本発明の範囲に含まれる。図14を参照すると、ボーメ(Baume)9度に希釈したHastilite PO(正方形)は、最速の沈殿時間を特徴とし、約30分間で元の正規化界面高さの10%まで減少する。水で希釈していないHastilite PO(十字形)では、図12に示す希釈の影響と同様に沈殿時間が長くなる。凝集を防止するために添加剤を加えることで、ボーメ9度に希釈して1体積%の界面活性剤μ−90を添加したHastilite PO(ひし形)によって示されるように、沈殿時間が最も長くなる。図14に示すように、界面活性剤を添加することで沈殿時間が長くなり、800分で元の高さの約90%の正規化界面高さとなる。
【0056】
[0089]アニオン界面活性剤の例としては、μ−90に加えて、アルキル硫酸塩類(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、アンモニウムラウリル硫酸塩など)、アルキルスルホン酸塩類(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、Sulfonic100、Calimulse EM−99など)、アルキルエーテルリン酸塩類(例えば、Triton H66、Triton QS44など)、アルキルカルボン酸塩類(例えば、ステアリン酸ナトリウムなど)、または他の適当なアニオン界面活性剤が挙げられる。研磨スラリーへの添加剤として使用できる界面活性剤は、対イオンがアクティブではないナトリウム塩、アンモニウム塩、またはカリウム塩を含むことが可能であることに注意されたい。本発明者らは、界面活性剤によりスラリーを安定させる(一部の実施形態では、適切なpHで)ことで、研磨結果が向上することを突き止めた。
【0057】
[0090]本発明の実施形態はアニオン界面活性剤の使用に限定されず、カチオン界面活性剤も使用することができる。カチオン界面活性剤の例としては、塩化トリメチルアルキルアンモニウム類(例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなど)、塩化ベンザルコニウム類、塩化アルキルピリジニウム類(例えば、塩化セチルピリジニウムなど)、または他の適当なカチオン界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、対イオンがアクティブではない塩化物塩または臭化物塩を含むことが可能であることに注意されたい。
【0058】
[0091]一部の実施態様では、界面活性剤は、研磨中の光学素子から研磨副生成物を分離するのに有効である。副生成物の存在によって、研磨スラリーの安定性が低下する可能性がある。一部の実施形態では、界面活性剤は、副生成物の凝集を防止することにより、研磨スラリーの長期安定性を向上させるのに有効である。副生成物の例としては、研磨中に研磨除去されたガラスから生成される陽イオン(K+、Na+、Ca2+、Mg2+など)が挙げられる。
【0059】
[0092]一部の実施形態では、スラリーの調製に使用する水は、様々な濃度の金属陽イオンを含む可能性がある。さらに、Na+、B3+、Fe2+、Ca2+、Mg2+およびAl3+のような陽イオンは、研磨プロセスの副生成物としてスラリー中に放出される。これらのイオンが存在することで、スラリー粒子と安定剤分子との間の静電的相互作用を妨害して、安定剤の効果を低下させるおそれがある。
【0060】
[0093]キレート剤(例えば、グリシン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)は、陽イオンと好ましい複合体を形成し、陽イオンを溶液内で捕捉してスラリー粒子との相互作用を防止する。したがって、キレート剤をスラリーに添加することによって、初期の安定化効率を向上させ、かつ研磨副生成物が堆積する際にその安定性を持続させることができる。したがって、本発明の実施形態は、キレート剤を使用してスラリーの安定性を向上させる。
【0061】
[0094]図15は、本発明の一実施形態に係る、安定化研磨液および非安定化研磨液についての、時間の関数としての相対界面高さの簡易プロットである。図15に示すように、例えばアニオン界面活性添加剤を加えてスラリーを安定させることで、沈殿時間が著しく長くなる。
【0062】
[0095]図16は、本発明の一実施形態に係る、安定化研磨液および非安定化研磨液についての、粒径の関数としての研磨液量である。沈殿時間の延長およびスラリーの安定に加えて、添加剤をスラリーに加えることでスラリー中の粒子の粒径が小さくなる。図15を参照すると、安定化スラリーの粒径分布は、大多数がサイズが1μm未満の粒子であり、約0.25μmが分布のピークとなっていることを特徴とする。非安定化スラリーについては、分布のピークは約1μmを中心としており、半分または大多数の粒子はより大きな粒径分布を特徴とする。研磨プロセス中、粒径分布が小さくなればなるほど、スラリー中の粒子が小さくなるため、安定化スラリーは研磨結果を向上させる。本発明者らは、添加剤を加えることによって、やはり許容可能な材料除去率と向上した微小粗さとを特徴とするスラリーを提供できることを実証した。
【0063】
[0096]本発明者らは、薄い光学素子の研磨の前に研削を利用する一部の光学仕上げ作業では、研削作業によって応力が生じることによって、研削によって引き起こされた応力を受けて光学素子が屈曲する傾向があることを突き止めた。応力を抑制するために、光学素子を化学的にエッチングして表面層を除去することにより、光学素子に存在する応力を低下させる。一例として、光学素子を研削後に酸または他の適当なエッチング液にさらして(例えば、酸浴槽中に浸す)、光学素子の所定の表面領域を除去することができる。
【0064】
[0097]一実施形態では、第一屈曲率を特徴とする光学素子を研削する。研削後、この光学素子は、第一屈曲率よりも大きい第二屈曲率によって特徴付けられる。一部の実施形態では、研削プロセス中にワークピースにもたらされる応力によって、屈曲率が増加する。光学素子を化学的にエッチングして、光学素子の所定の部分を除去する。化学エッチングの後、光学素子は、第二屈曲率よりも小さい第三屈曲率によって特徴付けられる。一部の実施形態では、第三屈曲率は第一屈曲率以下であり、光学素子を、仕上げプロセス開始前の光学素子を特徴付ける屈曲率に戻す。したがって、化学エッチングプロセスは、一部の実施形態において研削中にもたらされる応力を低下させる。
【0065】
[0098]図18Aから図18Cは、本発明の一実施形態に係る、研削前、研削後、および化学エッチング後の表面湾曲を示す画像である。図18Aに示すように、研削前の表面湾曲は、PV値1.29μmを特徴とする。研削プロセスにより応力が指示されるため、研削後の表面湾曲は、図18Bに示すようにPV値3.65μmを特徴とする。本発明の実施形態は、研削表面の化学エッチングを利用して研削プロセス後に存在する残留応力を除去し、図18Cに示すように、形状をほぼ元の形状に戻す。研削後エッチングの後の表面湾曲は、PV値1.16μmを特徴とする。したがって、本発明の実施形態は、化学エッチングが、光学素子とラップとの間のミスマッチの原因となる残留応力を、抑制または除去するのに有用な軽減技術である方法およびシステムを提供する。
【0066】
[0099]本発明者らは、一部の研磨用途において、光学素子の完成品の品質を向上させるためにピッチボタンボンディング(pitch button bonding:PPB)技術を利用することができることを突き止めた。表1は、PBBプロセス(ピッチボタンブロッキングプロセスとも呼ぶ)の概要であり、プロセスパラメータと、ブロッキング前後のワークピース(光学素子とも呼ぶ)のPV値の変化(ΔPV)などの測定した表面形状の変化とを示す。ここで述べたように、PBBは、ピッチの軟化温度から冷却されるワークピースとマウントとの間の、ピッチの小さな島状構造を利用する取り付け技術を含む。室温では、ワークピースピッチボタンマウントシステム(workpiece−pitchbutton−mount system)は硬く、ワークピースは、その初期表面形状をほぼ維持する。PBB技術を使用した研磨後は、本発明の実施形態はこれに限定されないが、ワークピースの屈曲がなく、またワークピース形状の圧力分布への影響によるワークピースとラップとの間のミスマッチに支配されないため、ワークピースはラップの形状に収束する。
【表1】
【0067】
[0100]本発明者らは、ピッチボタンを使用して、光学素子(例えば、溶融シリカまたはリン酸塩ガラス光学素子)を基板(例えば、ステンレス鋼素材)に接着することができることを突き止めた。以下により詳細に説明するように、ピッチボタンの幾何学的配置によって、ワークピースと基板との間の熱膨張率の違いによるワークピースのたわみを防止する。一部の実施形態では、恒温冷却を利用してワークピースのたわみを抑制または除去する。
【0068】
[0101]図19(A)から(F)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングを行うための方法を示す簡略模式図である。図19(A)に示すように、ガラスとピッチとの界面間の接着力を高めるとともに、ガラス表面をピッチとの接触や残留スラリーの接触などによる汚れから保護する接着/保護層を、ワークピースの表面S2に付け、反射波面を表面S1を通して測定する。接着/保護層は、一部の実施形態ではテープであり、またそのテープは、一部の実施形態では任意のものである。図19(B)に示すように、ピッチボタンをテープの表面(またはワークピースの表面S2)に塗布する。ピッチボタンの塗布は、ピッチのタイプ、ピッチボタンの半径(r)、ピッチボタンの厚さ(t)、ピッチボタン同士の間隔などを含むいくつかの可変要素を考慮して行われる。ピッチボタンは、図19(C)に示すように、例えば加熱要素を使用して(例えば、炉内で)アニール処理する。時間の関数として変化し得るアニーリングプロセスの温度は、システム全体(例えば、ガラス、ブロックおよびピッチ)を、ピッチが大幅な応力緩和を受け始めるときのピッチの温度(Tgとする)付近まで昇温してから、システムをできる限り等温的に冷却して、ワークピースの形状を変形させる残留応力の影響を防止または緩和するように選択される。
【0069】
[0102]図19(D)は、アニール処理されたピッチボタンを有するワークピースの、研磨作業中に使用するのに十分な剛性および機械特性を有する予熱された基板(例えば、アルミニウムブロックまたはステンレス鋼ブロック)への取り付けを示す。ワークピースを基板に取り付ける際に、所定の厚さ(例えば、1.25mm)を有するシムを使用してよい。その後、取り付け構造体を基板の中央に配置し、例えば空気冷却により冷却し、図19(E)に示すようにシムを除去する。取り付け後のワークピースの光学特性を明らかにするために、図19(F)に示すように、表面S1を通して反射波面を測定することができる。
【0070】
[0103]図20は、本発明の一実施形態に係る、様々なPPB構成での溶融シリカおよびリン酸塩ガラスの測定した表面形状の変化を示すプロットである。図20に示すように、3つの条件における、溶融シリカ(FS)光学素子およびリン酸塩ガラス(PG)光学素子の表面形状の変化が示されている。図20に示す測定で使用するワークピースは、直径100mmかつ厚さ2.2mmである。ピッチの固体層に接着するため、FSの相対表面高さは、外周部での約7.5μmから中心部での約3.7μmと変化し、PGの相対表面高さは、外周部での約10.1μmから中心部での約4.2μmと変化する。
【0071】
[0104]PBB技術を利用してワークピースを取り付けることで、ばらつきを約ハーフミクロンの凸湾曲(FS)および凹湾曲(PS)とする最適化されていないPBB技術をまず利用することでも、相対表面高さのばらつきが大幅に低減された。PBBプロセスをここで述べたように最適化することによって、相対表面高さのばらつきは、図20に示すようにゼロまで効果的に低減された。
【0072】
[0105]図21は、本発明の一実施形態に係る、ピッチの測定した熱膨張のプロットである。図21を参照すると、熱機械的分析を利用して測定した2つのピッチ(Universal PhotonicsのBlocking Pitch−1BlackおよびCycad ProductsのCycad Blackgold光学研磨ピッチ)の熱膨張が示されている。温度が上昇するにつれてピッチの寸法が大きくなり、測定されたBP1の熱膨張率は37×10−6−1、Cycadの熱膨張率は43×10−6−1である。
【0073】
[0106]図22(A)は、本発明の一実施形態に係る、1個のボタンおよび3個のボタンについての、ピッチの過冷却の関数としてのワークピースPV値のプロットである。図22(A)から(D)では、溶融シリカワークピース(直径d=100mm、t=2.2mm、E=73GPa、α=5.4×10−7−1)を使用した。PPB後のワークピースのPV値が、ピッチの過冷度の関数として、1個のボタン(r=25mm)および3個のボタン(s=50mm、r=10mm)についてプロットされている。複数のピッチボタンを使用することで、ワークピースのPV値が大幅に低下した。
【0074】
[0107]図22(B)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタン半径の関数としてのワークピースPV値のプロットである。図22(B)に示すように、ピッチボタンの半径はワークピースのPV値に影響を与える。図22(B)では、1個のボタンのケースについて、様々なピッチの弾性率、厚さおよび熱膨張率(ΔT=54℃)に対してPV値をプロットしている。
【0075】
[0108]図22(C)は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンオフセットの関数としての正規化ワークピースPV値のプロットである。図22(C)では、PBB後のPV値をミクロン単位の相対総ボタン面積で除すことによって正規化し、3個のボタンおよび9個のボタンのケースについて、ミリメータ単位で測定したボタン間の離間距離(d)の関数としてプロットしている。3個のボタンのケースについては、ピッチボタンのサイズを半径10mmから半径20mmの範囲で変えている。ピッチボタンパラメータは、ΔT=54℃、t=1mm、E=0.22GPa、α=54×10−6−1であった。図22(C)における曲線は、算出データに適合する実験曲線を表している。
【0076】
[0109]図22(D)は、本発明の一実施形態に係る、相対総ピッチボタン面積の関数としてのワークピースPV値のプロットである。図22(D)は、PPB後の3個のボタンのケースおよび9個のボタンのケースについて示しており、ボタン同士の間隔は、20mmより大きい値に維持されている。図22(D)における直線は、算出データに適合する実験曲線を表している。
【0077】
[0110]図23は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングパラメータを示す簡略模式図である。PBBパラメータは、ピッチボタンとワークピースのそれぞれについての、弾性率(EおよびE)、熱膨張率(αおよびα)および厚さ(tおよびt)を含む。PBBパラメータは、ピッチボタンの半径(r)、ワークピースの半径(r)、ピッチボタン同士の中心から中心までの距離(s)、およびピッチボタン同士の間隔(d)も含む。ピッチボタンの総数は、Nで表す。ピッチボタンは、特定の用途に応じて、適宜均一な寸法またはそれぞれ異なる寸法とすることができる。このように、材料パラメータおよび幾何学的パラメータの両方が、ここで述べる方法およびシステムに使用される。
【0078】
[0111]図24(A)および(B)は、本発明の一実施形態に係る光学素子に対する最適化されたピッチボタンボンディングパターンを示す図である。図24(A)は、直径100mmの溶融シリカワークピース(すなわち、サンプルS18〜S20)についての、最適化されたPBBパターンを示している。図24(B)は、直径100mmのリン酸塩ガラスワークピース(サンプルP1およびP2)についての、最適化されたPBBパターンを示している。
【0079】
[0112]図25(A)は、本発明の一実施形態に係る、ボタン同士の間隔の関数としてのワークピースPV値のプロットである。図25(A)は、ピッチ材料を使用した様々なPPB構成における、溶融シリカワークピース(すなわち、直径100mmかつ厚さ2.2mmのFS光学素子)の表面形状の変化を、ボタン間隔(d)の関数として示している。図25(B)は、本発明の一実施形態に係る、面積率の関数としてのワークピースPV値のプロットである。溶融シリカワークピースおよびリン酸塩ガラスワークピース(すなわち、直径100mmかつ厚さ2.2mmのワークピース)の両方の表面形状の変化が、様々なPBB構成(N=11およびd>20mm)において、面積率の関数として示されている。図25(B)において、点は測定データを表し、線はα=2.4×10−6−1を使用した近似曲線を表す。
【0080】
[0113]図26は、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングパラメータの決定方法を示す簡易フローチャートである。この方法は、PV値の決定(2610)と、ピッチ面積に関連する値の決定(2612)とを含む。一実施形態では、PV値は、寸法について測定した最小の許容可能なPV値(例えば、0.05μm)または光学素子を透過した光の波長について測定した最小の許容可能なPV値(例えば、λ/10)とすることができる。ピッチ面積に関連する値(面積定数と呼ぶことができる)は、ピッチの固体層に関連するPV値により近似することができる(例えば、C=1.0μm)。面積定数Cは、一部の実施形態では、ピッチの固体層に関連するPV値を測定することによって決定することができ、処理条件(ΔT=54℃)、熱膨張率(例えば、α=54×10−7−1)、弾性率(例えば、E=0.22GPa)、ピッチ厚さ(t=1.0mm)などに基づき、特定の材料システムに対して変化させることができる。通常、面積定数の値は、以下のように設定する。
【数5】

Δαはピッチとワークピース材料との間の熱膨張率の変化であり、ΔTはTgから室温への温度の低下であり、tはピッチの厚さである。当業者には明らかであるように、ピッチまたはワークピースを変えることで、例えば、リン酸塩ガラスは溶融シリカよりも高い熱膨張率を有しているため、面積定数Cおよび観測されるたわみが変化する。また、溶融シリカのたわみは凸状であり、その一方でリン酸塩ガラスのたわみは凹状であることに注意されたい。一部の実施形態では、ワークピースと基板との間の界面強度を増加させるために、面積被覆率を最大にすることが有効である。
【0081】
[0114]本方法は、ピッチの相対面積(A)の計算(2614)も含み、以下のように計算される。
【数6】

一例として、PV=0.05μm、C=1.0μm、およびA=0.05である。
【0082】
[0115]本方法は、さらにボタン半径(r)の計算(2616)も含み、以下のように計算される。
【数7】

上記の例に続き、d=23.1mmおよびr=3.4mmである。
【0083】
[0116]本方法は、さらにピッチボタン数(N)の計算(2618)も含み、ピッチボタンは等間隔で並べてよい。その後、ピッチボタンをワークピースに結合させるために、本方法を使用して計算したパラメータに従って、N個のピッチボタンをワークピースに塗布する(2620)。図19(B)に示すように、ピッチボタンは、ワークピースに結合したテープや他の適当な材料などの接着および/または保護材料に塗布することができる。その後、N個のピッチボタンを基板、例えばスタンレス鋼、アルミニウム、これらの複合材料などからなるオプティカルフラットに結合させることにより、ワークピースを基板に取り付ける(2622)。
【0084】
[0117]当然のことながら、図26に示す具体的なステップは、本発明の一実施形態に係る、ピッチボタンボンディングパラメータを決定する特定の方法を提供する。他の実施形態に従って、他の連続したステップを行ってもよい。例えば、本発明の他の実施形態は、上で概要を述べたステップを異なる順序で行ってもよい。さらに、図26に示す個々のステップは、複数のサブステップを含んでいてよく、複数のサブステップは、それぞれのステップに応じて、適宜様々な順序で行ってよい。さらに、特定の用途に応じて、追加のステップを加えるか、またはステップを削除してよい。当業者であれば、多くの変形、変更および代替例を認識するであろう。
【0085】
[0118]本明細書に記載される実施例および実施形態は単に例示目的のみのものであり、それらを考慮した様々な変更または修正が当業者に示唆され、また本出願の趣旨および範囲内、かつ添付の請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解される。
図1
図2-1】
図2-2】
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26