(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、包丁は角切りや乱切りには適しているものの、所定の長さ及び太さを有する形状に食材を切削するには、通常の使用者にとっては難しい。また、上記皮むき器は、いずれも、皮をむくという機能に着目して構成されているため、包丁と同様に、食材を所定の長さ及び太さを有する形状に切削することは難しい。
【0006】
一方、近年、健康のために野菜を多く取り入れることが推奨されており、根菜等の食材を見た目や食感等に変化をもたらす形状に容易に切削できることは、料理メニューの新たな創作に繋がり、健康増進に寄与することになるため、このような切削に適した調理器具が求められている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、所定の形状に食材を切削するための調理器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様に係る調理器具は、切削部と、前記切削部が取り付けられる把持部とを、備え、前記切削部は、切削刃と、ガイドとを含み、前記切削刃は、切削対象食材に近接する方向である下方に凹下する形状の谷部と、前記下方とは逆方向である上方に凸出する形状の山部とが交互に現れる波形部分を含み、前記切削刃は、前記切削刃の山部の頂である山頂と、前記切削刃の谷部の底である谷底とが、交互に現れ、前記ガイドは、切削対象食材の表面をなぞるガイド面の少なくとも一部が、上下方向において、前記切削刃の山頂と前記切削刃の谷底との間に位置する。
【0009】
また、前記切削刃は、切削作業方向である前方の縁に刃付けされて刃が設けられ、前記刃は、前記切削刃の山頂から前記切削刃の谷底にかけて前方に凸出する形状であってもよい。
【0010】
また、前記切削刃は、隣同士の前記切削刃の山頂又は隣同士の前記切削刃の谷底の間隔であるピッチが、隣同士で異なってもよい。
【0011】
また、前記切削刃は、前記切削刃の山頂をつなぐ線及び前記切削刃の谷底をつなぐ線が円弧状であり、前記ガイドは、円弧状に形成されていてもよい。
【0012】
また、前記刃は、少なくとも一部がギザ刃に形成されていてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様に係る調理器具は、切削部と、前記切削部が取り付けられる把持部とを、備え、前記切削部は、切削刃と、ガイドとを含み、前記切削刃は、切削対象食材に近接する方向である下方に凹下する形状の谷部と、前記下方とは逆方向である上方に凸出する形状の山部とが交互に現れる波形部分を含み、前記切削刃は、前記切削刃の山部の頂である山頂と、前記切削刃の谷部の底である谷底とが、交互に現れ、前記ガイドは、切削対象食材に近接する方向である下方に凹下する形状の谷部と、前記下方とは逆方向である上方に凸出する形状の山部とが交互に現れる波形部分を含み、前記ガイドは、前記ガイドの山部の頂である山頂と、前記ガイドの谷部の底である谷底とが、交互に現れている。
【0014】
また、前記切削刃は、隣同士の前記切削刃の山頂又は隣同士の前記切削刃の谷底の間隔であるピッチが、すべての山部又は谷部で同大であり、前記ガイドは、隣同士の前記ガイドの山頂又は隣同士の前記ガイドの谷底の間隔であるピッチが、すべての山部又は谷部で同大であり、且つ、前記切削刃のピッチと同大であり、前記切削刃と前記ガイドとは、前記山部同士又は前記谷部同士がずれて配置され、前記ガイドは、切削対象食材の表面をなぞるガイド面の前記ガイドの谷底に対応する部分が、上下方向において、前記切削刃の山頂と前記切削刃の谷底との間に位置してもよい。
【0015】
また、前記ガイドは、複数の珠形状の部分を含んでもよい。
【0016】
また、前記ガイドは、切削作業方向に直交する方向における前記ガイド面の位置を調整する位置変更機構を含んでもよい。
【0017】
また、前記切削刃は、前記切削刃の切削作業方向における位置を調整する位置変更機構を含んでもよい。
【0018】
また、前記切削刃は、前記切削刃の山頂をつなぐ線及び前記切削刃の谷底をつなぐ線が円弧状であってもよい。
【0019】
また、前記ガイドは、前記ガイドの山頂をつなぐ線及び前記ガイドの谷底をつなぐ線が円弧状であり、前記切削刃及び前記ガイドは、前記円弧の曲率半径が同大であってもよい。
【0020】
また、前記切削部は、二つの前記切削刃と、二つの前記ガイドとを含み、二つの前記切削刃は、一端が互いに接続されて切削作業方向に直交する方向に並んで配置され、二つの前記ガイドは、一端が互いに接続されて切削作業方向に直交する方向に並んで配置されていてもよい。
【0021】
また、前記調理器具は、少なくとも一つの前記切削部を含む二つの切削部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、所定の形状に食材を切削する調理器具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本願に係る調理器具の実施形態の例を説明する。本願では、調理器具において、切削作業方向を前方とし、その逆方向を後方とする。また、切削作業における切削対象食材に近接する方向を下方とし、その逆方向を上方とする。
【0025】
<実施形態1>
図1は実施形態1に係る調理器具1を示す図で、
図1(a)はその斜視図、
図1(b)はその切削部2の一例を説明するための図である。また、
図2は調理器具1の切削刃2の使用状態の一例を示す図で、
図2(a)は横から見た場合、
図2(b)は前後方向から見た場合の図である。図示のように、調理器具1は、切削対象食材Fを切削するための切削部2と、切削部2が取り付けられる把持部3とを含む。
【0026】
切削部2は、切削作業において食材を切削する切削刃4と、切削作業においてガイドとして機能するガイド5を含む。切削部2は、切削刃4、ガイド5等を含んで一体に構成されてもよいし、切削刃4、ガイド5等の構成部分が別体に構成されてもよい。本実施形態では、切削部2が一体に構成される例を説明する。
【0027】
切削部2は、左右両端において切削刃4とガイド5とをそれぞれ連結する二つの連結部21を含む。また、二つの連結部21には、それぞれ二つの取付部22が設けられ、切削部2はこの取付部22を介して把持部3に取り付けられる。連結部21は、切削刃4と接続する切削刃連結部23、及びガイド5と接続するガイド連結部24を含む。言い換えれば、切削刃4及びガイド5は、連結部21を通じて、把持部3に取り付けられる。
【0028】
把持部3は、食材に対して切削作業を行う際に、把持する部分である。把持部3は、ここでは、一例として、Y字型である例を説明するが、T字型、I字型、U字型等であってもよい。把持部3は、例えば、プラスチック樹脂や、金属等の素材で形成することができる。
【0029】
把持部3は、切削部2が取り付けられる挟持部31を含む。本実施形態では、挟持部31は、Y字型の二股に分かれた二つの部分で構成され、切削部2はこの二つの挟持部31に取り付けられる。
【0030】
切削刃4は、横長の形状である。また、切削刃4には、下方に凹下する形状の谷部と上方に凸出する形状の山部が交互に現れる波形部分を含む。すなわち、切削刃4は、山部の頂である山頂と谷部の底である谷底が交互に現れる波形部分を含む板状に形成される。図示のように、本実施形態において、各山頂41をつなぐ線は直線状であり、各谷底42をつなぐ線も直線状である。
【0031】
山頂41と谷底42との高低差Hは、2mm以上である。また、隣同士の山頂41(又は隣同士の谷底42)の間隔であるピッチPは、4mm以上である。好ましくは、切削刃4の高低差Hは、2mm〜10mmの範囲内である。また、切削刃4のピッチPは、5mm〜20mmの範囲内である
【0032】
切削刃4は、前方に刃43が設けられる。一例として、図示のように、刃43は切削刃4の前方の縁に刃付けされて刃が設けられる。刃43は、一例として均一幅の帯状に設けられる。
【0033】
ガイド5は、横長の板状である。本実施形態において、ガイド5は平らな板状に形成さる。ガイド5は、切削対象食材の表面をなぞる面であるガイド面(ここでは下面)51が、切削作業において切削対象食材に当接して、切削作業をガイドする。
【0034】
ガイド5は、切削刃4の前方に位置する。また、ガイド5は、ガイド面の少なくとも一部が、上下方向において、切削刃の山頂41と切削刃の谷底42との間に位置する。本実施形態では、一例として、
図1(b)に示すように、切削刃4の山頂41は、ガイド5のガイド面51と同じ高さの位置にある。また、一例として、ガイド面の位置は、食材の柔らかさや、弾力等を考慮して、切削刃の山頂41と切削刃の谷底42との間で、切削刃4の山頂41より下方に設定することもできる。
【0035】
ガイド5のガイド面51と切削刃4の山頂41が同じ高さの場合、
図2(a)、
図2(b)に示すように、切削部2によって切削対象食材Fは表面が波形に切削される。また、これとともに、複数の棒状の切削片fが得られる。ここでは、切削片fは、断面形状が中央から両端にかけて厚みが徐々に薄くなる形状である。
【0036】
このように、調理器具1を用いれば、切削対象食材の表面を容易に波形に切削することができる。また、中央から両端にかけて徐々に薄くなる断面形状の複数の切削片を容易に得ることができる。
【0037】
ここで、切削刃4は、
図3(a)に示すように、刃43が尖らせた形状であってもよい。例えば、刃43は、山頂41から谷底42にかけて徐々に前方に凸出するように設けられる。言い換えれば、切削刃4の刃43は、谷底42における部分が最も前方に位置し、山頂41における部分が最も後方に位置するように、切削作業方向に凸出するように形成される。切削刃4をこのように形成することによって、調理器具1は切れ味がさらによくなる。
【0038】
また、切削刃4は、
図3(b)に示すように、ピッチPが隣同士で異なるもの(例えば図示のP1とP2)であってもよい。また、図示しないが、ピッチPがランダムに異なるように形成されてもよい。切削刃4をこのように形成することによって、一回の切削作業で幅が異なる切削片を容易に得ることができる。
【0039】
<実施形態2>
図4は実施形態2に係る調理器具1aを説明するための図で、
図4(a)は前方から見た図、
図4(b)は使用状態を示す図で、
図4(c)は切削された切削片を示す図である。調理器具1aは、切削部2a以外は実施形態1に係る調理器具1と同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0040】
切削部2aは、切削作業において食材を切削する切削刃4と、切削作業においてガイドとして機能するガイド5aとを含む。
【0041】
ガイド5aは、板状に形成され、ガイド5aには下方に凹下する形状の谷部と上方に凸出する形状の山部が交互に現れる波形部分を含む。すなわち、ガイド5aは、山部の頂である山頂と谷部の底である谷底が交互に現れる波形部分を含む板状である。これによって、ガイド5aのガイド面51aは、波形の部分を含む。本実施形態において、各山頂52aをつなぐ線は直線状であり、各谷底53aをつなぐ線も直線状である。
【0042】
隣同士の山頂52a(又は隣同士の谷底53a)の間隔であるピッチPは、4mm以上である。好ましくは、ガイド5aのピッチPは、5mm〜20mmの範囲内である。また、好ましくは、ガイド5aのピッチは、切削刃4のピッチと同値である。
【0043】
ガイド5aは、切削刃4よりも前方に位置し、切削刃4とは、互いの山部と谷部が向かい合う(山部又は谷部同士が1/2ピッチずれる)ように配置される。また、ガイド5aは、ガイド面51aの少なくとも一部が、上下方向において、切削刃4の山頂と切削刃4の谷底との間に位置する。本実施形態では、ガイド面51aの谷底53と対応するガイド面51aが、上下方向において、切削刃4の山頂と切削刃4の谷底との間に位置する。
【0044】
一例として、
図4(a)に示すように、ガイド5aの谷底53aと対応するガイド面51aと切削刃4の山頂41が同じ高さに形成される。この場合、一回目の切削後、切削対象食材Fの表面に残された凹条及び凸条をガイド5aの波形のガイド面51aがなぞるようにしてガイドし、切削刃4によって切削対象食材Fが切削されると、
図4(b)、
図4(c)に示すように、複数の棒状の切削片fが得られる。切削片fは、断面形状が中央が上下に膨らむ形状であり、上下対称の形状である。
【0045】
このように、実施形態2に係る調理器具1aを用いれば、断面形状が中央が上下に膨らむ形状の切削片を容易に得ることができる。
【0046】
また、ガイド5aは、切削刃4とは、1/4ピッチ、1/8ピッチ等上記とは異なる間隔でずれるように配置されてもよい。これによって、
図5に例示するf1、f2、f3のように、さらに多様な形状の切削片fが得られる。
【0047】
<実施形態2の変形例1>
図6は、実施形態2の変形例1に係る調理器具1bを説明するための図である。調理器具1bは、切削部2bのガイド5b以外は実施形態2に係る調理器具1aと同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0048】
切削部2bは、切削刃4とガイド5bとが別体に形成され、それぞれ挟持部31に取り付けられる。ガイド5bは、切削方向に直交する方向におけるガイド面の位置を調整する位置変更機構を含む。一例として、ガイド5bは、回転ガイド部54bと、ガイド位置変更部55bを含む。
【0049】
回転ガイド部54bは、複数の珠形状の部分を含み、ガイド位置変更部55bに挿通され、ガイド位置変更部55bによって把持部3に取り付けられる。食材の表面に接触し切削作業をガイドするガイド面51bは、回転ガイド部54bの食材と接触する面によって構成される。
【0050】
ガイド位置変更部55bは、少なくとも一端に雄ネジが設けられ、摘み部56bが設けられる。また、少なくとも一つの挟持部31にはガイド位置変更部55bに対応して雌ネジが設けられる。摘み部56bを回すことによって、ガイド位置変更部55bに挿通された回転ガイド部54bは、切削方向に直交する方向において回転しながらスライドする。
【0051】
調理器具1bを用いれば、切削方向に直交する方向におけるガイド5bの位置、より具体的にはガイド面51bの位置を調整することができ、さらに多様な断面形状の切削片を得ることができる。
【0052】
なお、ガイド5bの、切削作業方向に直交する方向における位置を調整する構成は、上記に限られるものではなく、同様な効果が得られる従来技術のすべてを用いることができる。
【0053】
<実施形態2の変形例2>
図7は実施形態2の変形例2に係る調理器具1cを説明するための図である。調理器具1cは、切削部2cの切削刃4c以外は実施形態2に係る調理器具1aと同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0054】
切削部2cは、切削作業において食材を切削する切削刃4cと、切削作業においてガイドとして機能するガイド5aとを含む。切削刃4cは、切削作業方向における位置を調整する位置変更機構を含む。一例として、切削刃4cは、切削刃位置変更部44c及びボルト45cを含む。それ以外の構成は、切削刃4と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
切削刃位置変更部44cは、切削刃4cの両端部に2つ設けられる。一例として、
図7に示すように、切削刃位置変更部44cは切削方向に長い略楕円形状の貫通孔であり、ボルト45cによって連結部21に取り付けられる。切削刃4cは、切削刃位置変更部44c及びボルト45cによって、切削作業方向における位置を調整することができる。
【0056】
切削刃4cの取付位置が切削作業方向の前方にある第1位置である場合、
図8(a)に示すように、切削片fの中央の厚みはt1である。そして、切削刃4cの取付位置が切削作業方向において第1位置より後方の第2位置である場合、
図8(b)に示すように、切削刃4cとガイド5aとの間隔が狭くなり、切削刃4cは切削対象食材Fにより浅く切り込んで、切削片fの厚みは、t1より薄いt2となる。
【0057】
このように、調理器具1cを用いれば、切削刃4cの取付位置を変更することによって、切削片fの厚みを容易に調整することができる。
【0058】
<実施形態3>
図9は実施形態3に係る調理器具1dを説明するための図である。
図10は、調理器具1dの使用状態を説明するための図で、
図10(a)はその使用状態、
図10(b)は切削された切削対象食材Fを示す図である。調理器具1dは、切削部2d以外は実施形態1に係る調理器具1と同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0059】
切削部2dは、切削作業において食材を切削する切削刃4dと、切削作業においてガイドとして機能するガイド5dを含む。
【0060】
切削刃4dは、下方に凹下する形状の谷部と上方に凸出する形状の山部が交互に現れる波形部分を含む。すなわち、切削刃4dは山部の頂部である山頂41dと谷部の底部である谷底42dとが交互に現れる板状である。隣同士の山頂41d(又は隣同士の谷底42d)の間隔であるピッチPは、4mm以上である。好ましくは、切削刃4dのピッチPは、5mm〜20mmの範囲内である。
【0061】
本実施形態において、各山頂41dをつなぐ線は円弧状であり、各谷底42dをつなぐ線も円弧状である。円弧形状の曲率半径は、切削対象食材の形状に応じて設定することができる。また、一例として、ここでは、上方に膨らむ円弧形状である。
【0062】
切削刃4dは、例えば、円弧形状の板状の部材に、円弧に沿って山部と谷部とが交互に排列する波形加工をすることによって形成することができる。
【0063】
ガイド5dは、円弧形状の板状である。好ましくは、ガイド5dの曲率半径は、切削刃4dと同様である。
【0064】
ガイド5dは、切削刃4dの前方に位置する。また、好ましくは、ガイド5dは、ガイド面51dの少なくとも一部が、上下方向において、切削刃4dの山頂41dと切削刃4dの谷底42dとの間に位置する。
【0065】
一例として、ガイド5dのガイド面51dと切削刃4dの山頂41dが同じ高さの場合、
図10(a)に示すように、調理器具1dを切削作業方向(前方)に引くと、ガイド5dが切削対象食材Fの表面を撫でるようにガイドし、切削刃4dが食材に切り込んで、食材Fは、
図10(b)に示すように、花のような断面形状に切削される。また、これとともに、複数の棒状の切削片fが得られる。切削片fは、断面形状が中央から両端にかけて厚みが徐々に薄くなる形状である。
【0066】
このように、調理器具1dを用いれば、上記効果以外に、さらに、棒状の切削対象食材Fを花のようなきれいな断面形状に切削することができ、これをさらに輪切りすることによって、きれいな形状の切削片を容易に得ることができる。
【0067】
<実施形態3の変形例1>
図11は実施形態3の変形例1に係る調理器具1eを説明するための図である。調理器具1eは、切削部2e以外は実施形態3に係る調理器具1dと同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0068】
切削部2eは、切削作業において食材を切削する切削刃4dと、切削作業においてガイドとして機能するガイド5eとを含む。切削刃4dは、前述のとおりであり、ここでは、説明を省略する。
【0069】
ガイド5eは、下方に凹下する形状の谷部と上方に凸出する形状の山部が交互に現れる波形部分を含む。すなわち、ガイド5eは山部の頂部である山頂52eと谷部の底部である谷底53eとが交互に現れる板状である。隣同士の山頂52e(又は隣同士の谷底53e)の間隔であるピッチは、4mm以上である。好ましくは、ガイド5eのピッチは、5mm〜20mmの範囲内である。
【0070】
本実施形態において、各山頂52eをつなぐ線は円弧状であり、各谷底53eをつなぐ線も円弧状である。円弧形状の曲率半径は、切削対象食材の形状に応じて設定することができる。また、一例として、ここでは、上方に膨らむ円弧形状である。ガイド5eの曲率半径は、切削対象食材の形状に応じて設定することができ、好ましくは切削刃4dと同値である。
【0071】
ガイド5eは、例えば、円弧形状の板状の部材に、円弧に沿って山部と谷部とが交互に排列する波形加工をすることによって形成することができる。
【0072】
ガイド5eは、切削刃4dよりも前方に位置し、切削刃4dと同調して配置される。すなわち、ガイド5eの山頂52eと切削刃4dの山頂41dが切削作業方向に直交する方向において同じ位置にあり、ガイド5eの谷底53eと切削刃4dの谷底42dが切削作業方向に直交する方向において同じ位置にある。
【0073】
また、ガイド5eは、ガイド面51eの高さが、切削刃4dより高い位置にある。調理器具1eを切削作業方向(前方)に引くと、ガイド5eが切削作業対象食材の表面を撫でるようにガイドし、切削刃4dが切削対象食材に切り込んで切削し、波形板状の切削片が得られる。
【0074】
このように、調理器具1eを用いれば、波形板状の切削片を容易に得ることができる。
【0075】
<実施形態3の変形例2>
図12は、実施形態3の変形例2に係る調理器具1fを説明するための図である。調理器具1fは、切削部2fの切削刃4f以外は実施形態3に係る調理器具1dと同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0076】
切削部2fは、切削作業において食材を切削する切削刃4fと、切削作業においてガイドとして機能するガイド5aとを含む。ガイド5aは、前述のとおりであり、ここでは、説明を省略する。
【0077】
切削刃4fは、刃43f以外は、実施形態3に係る切削刃4dと同様であるため、同様な符号を付し、説明を省略する。
【0078】
刃43fは、少なくとも一部がギザ刃に形成される。一例として、
図12(a)に示すようにギザ刃は刃43fの略中央部分に形成される。
【0079】
ギザ刃を含む切削刃4fによって、
図12(b)に示すように、ギザ刃に対応する部分に筋状の模様が残る切削片fが得られる。ギザ刃は、これまで説明した波刃の波の1周期の間にさらに複数の小さなジグザグ状の刃が形成されたものである。ギザ刃は、例えば上述の波刃をさらに細かくしたものであっても良いし、先端が尖っていてもよい。また、三角形状の三角刃(鋸刃)であってもよい。
【0080】
<実施形態3の変形例3>
図13は、実施形態3の変形例3に係る調理器具1gを説明するための図である。調理器具1gは、切削部2g以外は実施形態3に係る調理器具1dと同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0081】
切削部2gは、切削作業において食材を切削する切削刃4gと、切削作業においてガイドとして機能するガイド5gとを含む。
【0082】
切削刃4gは、二つの切削刃を含み、二つの切削刃は、一端が互いに接続されて切削作業方向に直交する方向に並んで配置されている。一例として、切削刃4gは、円弧形状の第1切削刃46gと波形部分を含む円弧形状の第2切削刃47gの二つの切削刃より構成される。第1切削刃46gと第2切削刃47gは、ともに上方に膨らむ円弧形状であり、異なる円周上の円弧である。第1切削刃46gと第2切削刃47gは、切削刃接続部48gにおいて接続されている。
【0083】
ガイド5gは、二つのガイドを含み、二つのガイドは、一端が互いに接続されて切削作業方向に直交する方向に並んで配置されている。一例として、ガイド5gは、円弧形状の第1ガイド57gと円弧形状の第2ガイド58gの二つのガイドより構成される。第1ガイド57gと第2ガイド58gは、ともに上方に膨らむ円弧形状であり、異なる円周上の円弧である。第1ガイド57gと第2ガイド58gは、ガイド接続部59gにおいて接続される。
【0084】
ガイド5gは、切削刃4gよりも前方に位置し、切削刃4gよりも上方に配置される。調理器具1gを切削作業方向(前方)に引くと、ガイド5gが切削対象食材の表面を撫でるようにガイドし、切削刃4gが切削対象食材に切り込んで切削し、表面の一部にのみ波形が形成され、二つの円弧形状の部分を含む切削片が得られる。
【0085】
このように、調理器具1gを用いれば、さらに変化をもたらした板状の切削片を容易に得ることができる。
【0086】
<実施形態4>
図14は、実施形態4に係る調理器具1hを説明するための図である。調理器具1hは、第2切削部6hを含む以外は実施形態3に係る調理器具1dと同様であり、同様な構成には同様な符号を付し、異なる点を説明する。
【0087】
調理器具1hは、第1切削部2d及び第2切削部6hの二つの切削部を含む。第1切削部2dは、前述の通りであり、ここでは説明を省略する。
【0088】
第2切削部6hは、第1切削部2dの上方に、所定の間隔をおいて配置される。第2切削部6hは、切削刃61hが波形部分を含まない点を除き、第1切削部2dはと同様に構成される。
【0089】
具体的には、第2切削部6hは、切削刃61hとガイド62hを含む。切削刃61hは波形部分を含まない円弧状の板状に形成される。切削作業において第2切削部6hを用いる場合には、調理器具1hを裏返しして作業を行う。この状態において、切削刃61h及びガイド62hは、上方に膨らむ円弧形状である。すなわち、第2切削部6hの切削刃61h及びガイド62hは、第1切削部2dの切削刃及びガイドとは異なる方向に膨らむ円弧形状である。
【0090】
切削作業においては、必要とする切削片によって、第1切削部2d又は第2切削部6hの一方又は双方を用いて切削作業を行うことができ、一つの調理器具1hを用いて異なる形状の切削片を容易に得ることができる。
【0091】
以上、本発明に係る調理器具の実施形態について説明したが、これらは本発明の実施形態の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明には、以上の各実施形態を組み合わせた形態や、様々な変形例が含まれる。
【0092】
例えば、以上では、切削刃の波形が円弧波状であることを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、三角波状や、四角波状、台形波状であってもよい。それに伴って、ガイドの少なくともガイド面も切削刃の形状に対応して、三角波状や、四角波状、台形波状に形成されてもよい。
【0093】
また、本願に係る調理器具は、
図15に示す調理器具1iのように、切削刃4iが切削方向に湾曲するように形成されてもよい。すなわち、山頂の峰線が、上側に反った形状となる。これによって、切削刃の使用時の変形を防ぐとともに、切削された切削片の湾曲も誘発する。また、ガイド5iも同様に上側に反った形状に形成されてもよい。また、本願に係る調理器具は、図示しないが、切削刃に長手方向に沿ってリブを設けて強度を補強してもよい。
【解決手段】切削部2と、切削部が取り付けられる把持部3とを備える調理器具1であって、切削部は、切削刃4と、ガイド5とを含み、切削刃は、切削対象食材に近接する方向である下方に凹下する形状の谷部と、下方とは逆方向である上方に凸出する形状の山部とが交互に現れる波形部分を含み、切削刃は、切削刃の山部の頂である山頂41と、切削刃の谷部の底である谷底42とが、交互に現れ、ガイドは、切削対象食材の表面をなぞるガイド面51の少なくとも一部が、上下方向において、切削刃の山頂と切削刃の谷底との間に位置する。