(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸気の熱量と、飽和水の熱量との差を、前記液体の温度が加熱目標温度に達した定常状態における前記伝熱管の単位長さあたりの前記蒸気と、前記液体との交換熱量で除算して算出される長さを基準長とする第1のステップと、
前記基準長と、所定の長さとを加算することによって、前記液体に浸漬された前記伝熱管の部位の長さを設計する第2のステップと、
前記基準長と、前記所定の長さとの境界位置における流れ方向を、前記伝熱管の軸方向とするように前記伝熱管を設計する第3のステップと
を有することを特徴とする請求項1に記載された蒸気熱交換器の設計方法。
前記所定の長さは、前記飽和水の熱量と、前記伝熱管の他端から排出されるドレンの目標温度に基づく熱量との差を、前記定常状態における前記伝熱管の単位長さあたりの前記ドレンと、前記液体との交換熱量で除算して算出される長さとされることを特徴とする請求項2に記載された蒸気熱交換器の設計方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の蒸気熱交換器を含めた従来の蒸気熱交換器において、伝熱管内で発生するドレンは、重力の作用によって伝熱管内の鉛直下方側に溜まるので、蒸気の乾き度が0となる境界位置に存在する蒸気と、ドレンとの境界面(以下、水封面とする)は水平方向となる。このドレンは、水封面の鉛直下方側に接続された伝熱管を介して排出される。したがって、水封面における流れ方向は鉛直下方向となる。このように、特許文献1に記載の蒸気熱交換器では、水封面の鉛直下方側に伝熱管を接続しなければならないので、伝熱管の形状の制限がある。このため、凝縮伝熱部と、顕熱伝熱部とを伝熱部に備え、前述したような伝熱管の形状の制限なしに、貯留槽内の液体を効率よく加熱することができる新たな方法が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、貯留槽内の液体を効率よく加熱することができる蒸気熱交換器
の設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、
本発明は、
蒸気熱交換器の設計方法を提供する。
蒸気熱交換器は、両端を液面から突出させて加熱対象の液体に浸漬されるとともに、一端から蒸気が供給される伝熱管と、伝熱管の他端から所定量のドレンを排出させる排出装置とを有する。蒸気熱交換器の設計方法は、液体に浸漬された伝熱管の部位に蒸気の乾き度が0となる境界位置
を有し、境界位置における流れ方向
を、伝熱管の軸方向と
するように伝熱管を設計するとともに、蒸気の流速を、水撃作用を生じる流速よりも速く設計する。
【0008】
ここで、本発明
において、第1のステップと、第2のステップと、第3のステップとを有する
ことが好ましい。第1のステップは、蒸気の熱量と、飽和水の熱量との差を、液体の温度が加熱目標温度に達した定常状態における伝熱管の単位長さあたりの蒸気と、液体との交換熱量で除算して算出される長さを基準長とする。第2のステップは、基準長と、所定の長さとを加算することによって、液体に浸漬された伝熱管の部位の長さを設計する。第3のステップは、基準長と、所定の長さとの境界位置における流れ方向を、伝熱管の軸方向とす
るように伝熱管を設計する。
【0009】
ここで、
本発明において、所定の長さは、飽和水の熱量と、伝熱管の他端から排出されるドレンの目標温度に基づく熱量との差を、定常状態における伝熱管の単位長さあたりのドレンと、液体との交換熱量で除算して算出される長さとされることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液体に浸漬された伝熱管の部位に蒸気の乾き度が0となる境界位置を有しているので、凝縮伝熱部と、顕熱伝熱部とを伝熱部に備えることができる。したがって、貯留槽内の液体を効率よく加熱することができる。また、境界位置における流れ方向は、伝熱管の軸方向とされている。これによれば、蒸気の流れによって、ドレンは伝熱管の軸方向に沿って流れることになるので、水封面は、伝熱管の径方向に形成される。すなわち、新たな方法よって伝熱管の下流側は水封される。なお、境界位置における流れ方向を伝熱管の軸方向とするには、例えば、1本の連続する伝熱管における任意の位置に水封面が形成されるように伝熱管を設計すればよい。
【0011】
本発明によれば、第1のステップにおいて、蒸気の熱量と、飽和水の熱量との差を、液体の温度が加熱目標温度に達した定常状態における伝熱管の単位長さあたりの蒸気と、液体との交換熱量で除算して算出される長さを基準長としている。ここで、液体の温度が加熱目標温度よりも低い場合には、伝熱管の単位長さあたりの交換熱量は大きくなるので、凝縮伝熱部の長さは、基準長よりも短くなる。すなわち、基準長は、凝縮伝熱部の長さの最大値に相当する。このため、第2のステップにおいて、基準長と、所定の長さとを加算することによって、伝熱部の長さを設計すれば、凝縮伝熱部と、顕熱伝熱部とを確実に伝熱部に備えることができる。したがって、貯留槽内の液体を効率よく加熱することができる。そして、第3のステップにおいて、基準長と、所定の長さとの境界位置における流れ方向を、伝熱管の軸方向とするように伝熱管を設計している。したがって、水封面は、伝熱管の径方向に形成される。すなわち、新たな方法によって伝熱管の下流側は水封される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1実施形態に係る蒸気熱交換器の断面模式図である。蒸気熱交換器1は、貯留槽2と、伝熱管3と、オリフィス4とを有する投込み式の蒸気熱交換器である。貯留槽2は、メッキ液などの加熱対象の液体21を貯留する。伝熱管3は、1本の連続した管に形成され、両端を液面から突出させて液体21に浸漬されている。また、この伝熱管3の一端(
図1の左端)からは蒸気Sが供給される。排出装置としてのオリフィス4は、所定量のドレンDを伝熱管3の他端(
図1の右端)から排出させる。具体的には、オリフィス4の排出量は、オリフィス4の前後の圧力差と、オリフィス4の径とに基づいて設計することができる。なお、本実施形態では、排出装置をオリフィス4としているが、スチームトラップなどを用いてもよい。
【0014】
次に、蒸気熱交換器1において、液体21を加熱するメカニズムについて説明する。なお、本実施形態では、液体21の初期温度を30℃とし、加熱目標温度を90℃として説明する。蒸気熱交換器1において、伝熱管3の一端から高温(例えば、130℃,0.27MPa)の蒸気Sが供給されると、伝熱管3内に存在していた空気などの流体がオリフィス4を介して排出されるとともに、伝熱管3を介して蒸気Sと、30℃の液体21との間で熱交換が行われる。そして、熱交換が行われることによって、蒸気Sは凝縮してドレンDとなる。この際、熱交換は、伝熱管3の伝熱部全体で行われるので、ドレンDは、オリフィス4の排出量を超えて発生する。また、伝熱管3は、1本の連続した管に形成されているため、蒸気Sは、伝熱管3の軸方向に沿って流れる。したがって、オリフィス4を介して排出しきれないドレンDは、蒸気Sの流れによって、伝熱管3の下流側を水封するように伝熱管3内に溜まることになる。
【0015】
この状態において、伝熱管3の上流側に位置し、蒸気Sによって熱交換が行われる部位は、凝縮伝熱部として機能する。また、伝熱管3の下流側に位置し、ドレンDによって熱交換が行われる部位は、顕熱伝熱部として機能する。ドレンDが溜まることによって、凝縮伝熱部の長さが短くなってくると、蒸気凝縮量(ドレンDの発生量)は減少する。そして、蒸気凝縮量と、オリフィス4の排出量とが釣り合うと、水封面SDは、伝熱部におけるある位置(例えば、
図1に示す位置)で瞬間的に停止する(以下、初期平衡状態という)。換言すれば、水封面SDは、
図1の右側から左側に向かって移動し、伝熱部におけるある位置で瞬間的に停止する。
【0016】
図2は、液体の温度が加熱目標温度となったときの蒸気熱交換器の断面模式図である。凝縮伝熱部における蒸気Sの潜熱と、顕熱伝熱部によるドレンDの顕熱とによって液体21の温度が上昇すると、凝縮伝熱部における交換熱量が減少するので、蒸気凝縮量も減少する。蒸気凝縮量が減少すると、オリフィス4の排出量は、蒸気凝縮量に対して相対的に大きくなるので、蒸気凝縮量と、オリフィス4の排出量とが釣り合うように水封面SDが移動する。具体的には、水封面SDは、蒸気凝縮量が増加する方向、すなわち伝熱管3の下流側に向かって移動する(
図2の矢印A)。そして、液体21の温度が加熱目標温度の90℃になると、液体21の温度は上昇しなくなり、凝縮伝熱部における交換熱量が変化しなくなる定常状態となる。したがって、水封面SDは、伝熱部における所定の位置(例えば、
図2に示す位置)で停止する。すなわち、蒸気熱交換器1は、初期平衡状態から定常状態に至るまで伝熱部に水封面SDを有し、水封面SDにおける流れ方向は、伝熱管3の軸方向とされている。
【0017】
図3は、蒸気熱交換器を動作させたときの状態遷移図である。なお、
図3は、蒸気Sの供給が開始されてから液体21が加熱目標温度に達するまでの時間を横軸にとり、蒸気凝縮量D1と、オリフィス4の排出量D2と、液体21の温度T1と、伝熱管3の他端から排出されるドレン(以下、排出ドレンとする)の温度T2とを縦軸にとったグラフである。蒸気Sの供給が開始されてから初期平衡状態となるまでの間は(
図2の区間A1)、蒸気凝縮量D1は、排出量D2よりも多い。したがって、オリフィス4を介して排出しきれないドレンDは、伝熱管3内に溜まることになる。この間、排出ドレンの温度T2は、顕熱伝熱部の長さが長くなるにしたがってドレンDの顕熱を多く利用することができるようになることから下降する。また、液体21の温度T1は、蒸気Sの潜熱と、ドレンDの顕熱とによって上昇する。その後、初期平衡状態に達すると、蒸気凝縮量D1と、排出量D2とは略一致し、前述したように、水封面SDが徐々に下流側に向かって移動していく(
図2の区間A2)。この間、液体21の温度T1は、蒸気Sの潜熱と、ドレンDの顕熱とによって上昇する。また、排出ドレンの温度T2は、液体21の温度が上昇するにしたがって上昇する。
【0018】
次に、蒸気熱交換器1の設計方法について説明する。蒸気熱交換器1を設計するに際しては、蒸気凝縮量の設計値(蒸気Sの供給量と、蒸気Sの乾き度との積)に対して伝熱管3の径を定め、蒸気Sの流速を決定する。ここで、蒸気の潜熱のみを利用して液体を加熱する従来の蒸気熱交換器の設計では、蒸気の流速は考慮されていなかった。また、例えば、特開2001−173877号公報に記載の蒸気熱交換器では、蒸気の流速を速くするとドレンの流速も速くなって水撃作用を生じることから、伝熱管内にドレンの流速を抑制するための部材を設けることによって、蒸気の流速を速くした場合における水撃作用の発生を防止している。これに対して、本発明者は、鋭意研究の結果、所定量のドレンを排出させる排出装置を有し、水封面における流れ方向を伝熱管の軸方向とする蒸気熱交換器において、蒸気の流速を速くすることによって、水撃作用を抑制できることを突き止めた。
【0019】
したがって、本実施形態では、蒸気Sの流速を、水撃作用を生じる流速よりも速い流速に決定する。なお、水撃作用を生じているか否かは、伝熱管3に生じる振動や、伝熱管3の一端から供給される蒸気Sの圧力などから判断することができる。また、蒸気Sの流速と、水撃作用の発生との関係は、伝熱管3の形状や、姿勢によって異なる。これは、伝熱管3内の蒸気Sの流路が上り勾配であるか、下り勾配であるかによって、水撃作用を生じる蒸気Sの流速が増減するからである。したがって、蒸気Sの流速を決定するに際しては十分に速い流速に決定することが望ましい。
【0020】
図4は、蒸気の流速と、凝縮伝熱部のドレンとの関係図である。なお、
図4では、左側に伝熱管3の軸方向断面図を示し、右側に伝熱管3の径方向断面図を示している。また、
図4では、蒸気Sは左側から右側に流れているものとする。蒸気Sの流速が遅い場合には、
図4(A)に示すように、凝縮伝熱部で発生するドレンDは、重力の作用によって伝熱管内の鉛直下方側に落下し、蒸気Sの流れと異なる方向に流れる。したがって、ドレンDの流れと、蒸気Sの流れとが干渉し、伝熱管3内に圧力波が発生すると考えられる。したがって、この場合には水撃作用が生じる。これに対して、蒸気Sの流速を速くしていくと、
図4(B)に示すように、伝熱管3内で発生するドレンDは、重力の作用に逆らって伝熱管3の管壁に沿って蒸気Sの流れと同じ方向に流れる。したがって、この場合には水撃作用は生じない。
【0021】
図5は、蒸気の流速と、伝熱管に生じる振動との関係図である。なお、
図5は、蒸気熱交換器1において、オリフィス4の径を変更することによって蒸気Sの流速を変更し、伝熱管3に生じる振動を測定した一例を示すものである。また、
図5は、蒸気Sの流速を横軸にとり、伝熱管3に生じる1分間あたりの振動回数を縦軸にとったグラフであり、振動回数の測定を行ったときの蒸気Sの流速を遅い順にP1〜P10としている。測定結果を参照すると、P1では、振動回数が最も多く、蒸気Sの流速がP2、P3と速くなるにしたがって、振動回数が少なくなる。そして、P9,P10では、振動回数が0となっている。したがって、この伝熱管3に対しては、蒸気Sの流速をP9よりも速い流速に決定することによって、水撃作用を生じる流速よりも速い流速に決定することができる。なお、蒸気熱交換器1の設計を行うに際しては、蒸気Sの流速を、例えば、80m/s以上の十分に速い速度に決定してから伝熱管3の設計をしていくことが好ましい。また、水撃作用の発生をある程度は許容できる場合には、蒸気Sの流速を、例えば、P7の流速などに決定してもよい。
【0022】
次に、伝熱管3の設計方法について説明する。第1のステップとして、凝縮伝熱部の長さ(基準長)を設計する。具体的には、凝縮伝熱部の長さをL
Sとすると、加熱目標温度における凝縮伝熱部の交換熱量Q
Sは、以下の式(1)で表すことができる。ここで、T
Sは、蒸気Sの温度であり、θは、加熱目標温度である。また、K
Sは、凝縮伝熱部の熱通過率であり、以下の式(2)で表すことができる。ここで、α
iは、伝熱管3の内表面の熱伝達率であり、α
oは、伝熱管3の外表面の熱伝達率である。また、r
iは、伝熱管3の内半径であり、r
oは、伝熱管3の外半径である。さらに、λは、伝熱管3の熱伝導率である。
【0024】
また、凝縮伝熱部の交換熱量Q
Sは、以下の式(3)で表すことができる。ここで、Gは、蒸気凝縮量の設計値であり、蒸気Sの乾き度を1とみなすことができる場合には、オリフィス4の排出量と一致する値である。また、h"は、乾き飽和蒸気の比エンタルピであり、h'は、飽和水の比エンタルピである。ここで、飽和水は、乾き度0の蒸気をいう。
【0026】
したがって、凝縮伝熱部の長さL
Sは、以下の式(4)で表すことができる。すなわち、凝縮伝熱部の長さL
Sは、蒸気Sの熱量と、飽和水の熱量との差を、定常状態における伝熱管3の単位長さあたりの蒸気Sと、液体21との交換熱量で除算して算出される長さとしている。
【0028】
第2のステップとして、顕熱伝熱部の長さ(所定の長さ)を設計する。具体的には、加熱目標温度における排出ドレンの目標温度を決定し、この目標温度をT
Dとすると、加熱目標温度における液体21と、排出ドレンとの温度差ΔT
Wは、以下の式(5)に示すように、対数平均温度差で与えられる。
【0030】
したがって、顕熱伝熱部の長さをL
Wとすると、加熱目標温度における顕熱伝熱部の交換熱量Q
Wは、以下の式(6)で表すことができる。ここで、K
Wは、顕熱伝熱部の熱通過率であり、以下の式(7)で表すことができる。なお、本実施形態では、凝縮伝熱部および顕熱伝熱部の径を同一としているが、異なっていてもよい。
【0032】
また、顕熱伝熱部の交換熱量Q
Wは、以下の式(8)で表すことができる。ここで、cは、排出ドレンの比熱である。
【0034】
したがって、顕熱伝熱部の長さL
Wは、以下の式(9)で表すことができる。すなわち、顕熱伝熱部の長さL
Wは、飽和水の熱量と、排出ドレンの目標温度に基づく熱量との差を、定常状態における伝熱管3の単位長さあたりのドレンDと、液体21との交換熱量で除算して算出される長さとしている。
【0036】
第3のステップとして、凝縮伝熱部と、顕熱伝熱部との境界位置における流れ方向を、伝熱管3の軸方向とするように伝熱管3を設計する。具体的には、初期平衡状態から定常状態に至るまで1本の連続する伝熱管3における任意の位置に水封面SDが位置するように伝熱管3を設計している。したがって、伝熱管3の形状の制限がないため、蒸気熱交換器1の設計自由度を向上させることができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、伝熱部に水封面SDを有しているので、凝縮伝熱部と、顕熱伝熱部とを伝熱部に備えることができる。したがって、貯留槽2内の液体を効率よく加熱することができる。また、水封面SDにおける流れ方向は、伝熱管3の軸方向とされている。したがって、水封面SDは、伝熱管3の径方向に形成される。すなわち、伝熱管3の下流側は水封される。
【0038】
(第2の実施形態)
図6は、第2実施形態に係る蒸気熱交換器の断面模式図である。本実施形態の特徴は、2つの伝熱管31,32を束ねている点にある。なお、それ以外については、上述した第1の実施形態と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0039】
具体的には、蒸気熱交換器1は、伝熱管31,32と、ジョイント51,52とを有する。伝熱管31,32は、伝熱部の長さが同一となるように設計されている。ジョイント51は、伝熱管31,32の一端(
図6の左端)を接続する。また、このジョイント51には、蒸気Sが供給される。ジョイント52は、伝熱管31,32の他端(
図6の右端)を接続する。また、このジョイント52は、排出装置(図示略)に接続され、所定量のドレンDを排出させる。
【0040】
このように、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、凝縮伝熱部と、顕熱伝熱部とを伝熱部に備えることができる。それとともに、2つの伝熱管31,32を用いることができるので、蒸気熱交換器1の設計自由度を更に向上させることができる。なお、伝熱管の数は、3つ以上であってもよい。
【0041】
なお、上述した各実施形態では、顕熱伝熱部の長さL
Wは、飽和水の熱量と、排出ドレンの目標温度に基づく熱量との差を、定常状態における伝熱管3の単位長さあたりのドレンDと、液体21との交換熱量で除算して算出される長さとしていたが、これ以外の長さとしてもよい。要するに、伝熱部の長さは、凝縮伝熱部の長さL
Sと、所定の長さとを加算することによって設計すればよい。
【0042】
また、上述した各実施形態では、伝熱管3は、1本の連続した管に形成されていたが、1本の連続した管でなくてもよく、継手などを用いてもよい。要するに、水封面における流れ方向を、伝熱管の軸方向とするように伝熱管を設計すればよい。
【0043】
また、上述した各実施形態では、伝熱管3の両端を液面21から鉛直上方向に突出させて蒸気熱交換器1を構成していたが、伝熱管3の両端を貯留槽2の側面から水平方向に突出させるように構成してもよい。さらに、上述した各実施形態では、投込み式の蒸気熱交換器を例示したが、二重管式や、伝熱管内の流体を蒸気とするシェルアンドチューブ式などの他の蒸気熱交換器に本発明を適用してもよい。