(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測角儀に測距装置を着脱する為のアタッチメント装置であって、前記測距装置が固定される内ケースと、前記測角儀に前記内ケースを固定する外ケースと、前記測距装置からの測距光を前記測角儀の視準光軸と合致する様偏向する光学部材とを具備することを特徴とするアタッチメント装置。
前記アライメント部は、2軸の回転軸を有する軸部を中心に前記測距装置を水平方向及び鉛直方向に回転させることでアライメントする機械的アライメント部を有する請求項3のアタッチメント装置。
前記アライメント部は、前記測距光を所定の範囲で任意の方向に偏向可能な1対のウェッジプリズムから形成された光学的アライメント部を有する請求項3又は請求項4のアタッチメント装置。
前記内ケースは、測距光射出孔及び測距光受光孔を有する前板の上端部に、内側に向って突出形成され前記測距装置の前端を係止する係合凸部と、前後方向に揺動すると共に前記測距装置の後端部を固定する抜止め部を有する固定部材を具備する請求項1〜請求項5のうちいずれかのアタッチメント装置。
測距光を測定対象に射出し、該測定対象からの反射光を受光して距離を測定する測距装置と、前記測定対象を望遠鏡部により視準して前記測定対象の方向に関する角度を測定する測角儀と、前記測距装置を前記測角儀に着脱させるアタッチメント装置とを具備するトータルステーションであって、前記アタッチメント装置は前記測距装置からの測距光を前記測角儀の視準光軸と合致する様偏向する光学部材を具備することを特徴とするトータルステーション。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み、測角儀と測距装置とを簡便に組合わせることを可能とするアタッチメント装置、及び該アタッチメント装置を用いて簡便且つ安価に構成したトータルステーションを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、測角儀に測距装置を着脱する為のアタッチメント装置であって、前記測距装置が固定される台座と、前記測角儀に前記台座を固定する固定具と、前記測距装置からの測距光を前記測角儀の視準光軸と合致する様偏向する光学部材とを具備するアタッチメント装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記光学部材は少なくとも2つの反射面を有する光学部材であるアタッチメント装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記測距光を前記測角儀の視準光軸に合致する様アライメントするアライメント部を更に具備するアタッチメント装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記アライメント部は、2軸の回転軸を有する軸部を中心に前記測距装置を水平方向及び鉛直方向に回転させることでアライメントする機械的アライメント部を有するアタッチメント装置に係り、又前記アライメント部は、前記測距光を所定の範囲で任意の方向に偏向可能な1対のウェッジプリズムから形成された光学的アライメント部を有するアタッチメント装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記測距光の光軸と、前記測角儀の視準光軸とを合致させる為の指標マークを更に具備するアタッチメント装置に係り、又前記台座は、測距光射出孔及び測距光受光孔を有する前板の上端部に、内側に向って突出形成され前記測距装置の前端を係止する係合凸部と、前後方向に揺動すると共に前記測距装置の後端部を固定する抜止め部を有する固定部材を具備するアタッチメント装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、測距光を測定対象に射出し、該測定対象からの反射光を受光して距離を測定する測距装置と、前記測定対象を望遠鏡部により視準して前記測定対象の方向に関する角度を測定する測角儀と、前記測距装置を前記測角儀に着脱させるアタッチメント装置とを具備するトータルステーションであって、前記アタッチメント装置は前記測距装置からの測距光を前記測角儀の視準光軸と合致する様偏向する光学部材を具備するトータルステーションに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記光学部材は少なくとも2つの反射面を有する光学部材であるトータルステーションに係るものである。
【0013】
又本発明は、前記測距光を前記測角儀の視準光軸に合致する様アライメントするアライメント部を更に具備するトータルステーションに係り、又前記アライメント部は、2軸の回転軸を有する軸部を中心に前記測距装置を水平方向及び鉛直方向に回転させることでアライメントする機械的アライメント部を有するトータルステーションに係り、又前記アライメント部は、前記測距光を所定の範囲で任意の方向に偏向可能な1対のウェッジプリズムから形成された光学的アライメント部を有するトータルステーションに係るものである。
【0014】
更に又本発明は、制御部を更に具備し、該制御部は前記測角儀の視準光軸に前記測距光の光軸を自動的に合致させるトータルステーションに係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、測角儀に測距装置を着脱する為のアタッチメント装置であって、前記測距装置が固定される台座と、前記測角儀に前記台座を固定する固定具と、前記測距装置からの測距光を前記測角儀の視準光軸と合致する様偏向する光学部材とを具備するので、前記測距光の光軸と視準光軸とがずれることによる測定誤差を防止し、測定精度を向上させることができる。
【0016】
又本発明によれば、前記光学部材は少なくとも2つの反射面を有する光学部材であるので、前記アタッチメント装置への取付けが容易である。
【0017】
又本発明によれば、前記測距光を前記測角儀の視準光軸に合致する様アライメントするアライメント部を更に具備するので、前記光学部材により偏向された前記測距光の光軸の微調整が可能となり、製作誤差等を吸収してより測定精度を向上させることができる。
【0018】
又本発明によれば、前記アライメント部は、2軸の回転軸を有する軸部を中心に前記測距装置を水平方向及び鉛直方向に回転させることでアライメントする機械的アライメント部を有するので、前記測距光の水平角及び高低角の微調整を行うことができる。
【0019】
又本発明によれば、前記アライメント部は、前記測距光を所定の範囲で任意の方向に偏向可能な1対のウェッジプリズムから形成された光学的アライメント部を有するので、前記光学部材に入射する前記測距光の方向を微調整することができる。
【0020】
又本発明によれば、前記測距光の光軸と、前記測角儀の視準光軸とを合致させる為の指標マークを更に具備するので、前記測距光の光軸を調整して視準光軸に合致させる際の作業が容易となり、作業性を向上させることができる。
【0021】
又本発明によれば、前記台座は、測距光射出孔及び測距光受光孔を有する前板の上端部に、内側に向って突出形成され前記測距装置の前端を係止する係合凸部と、前後方向に揺動すると共に前記測距装置の後端部を固定する抜止め部を有する固定部材を具備するので、構成が簡易であり低コストで製作可能であると共に、前記測距装置の着脱が容易である。
【0022】
又本発明によれば、測距光を測定対象に射出し、該測定対象からの反射光を受光して距離を測定する測距装置と、前記測定対象を望遠鏡部により視準して前記測定対象の方向に関する角度を測定する測角儀と、前記測距装置を前記測角儀に着脱させるアタッチメント装置とを具備するトータルステーションであって、前記アタッチメント装置は前記測距装置からの測距光を前記測角儀の視準光軸と合致する様偏向する光学部材を具備するので、前記測距光の光軸と視準光軸とがずれることによる測定誤差を防止し、測定精度を向上させることができると共に、既存の前記測角儀に対して前記測距装置を取付けることで安価にトータルステーションを製作することができる。
【0023】
又本発明によれば、前記光学部材は少なくとも2つの反射面を有する光学部材であるので、前記アタッチメント装置への取付けが容易である。
【0024】
又本発明によれば、前記測距光を前記測角儀の視準光軸に合致する様アライメントするアライメント部を更に具備するので、前記光学部材により偏向された測距光の光軸の微調整が可能となり、製作誤差等を吸収してより測定精度を向上させることができる。
【0025】
又本発明によれば、前記アライメント部は、2軸の回転軸を有する軸部を中心に前記測距装置を水平方向及び鉛直方向に回転させることでアライメントする機械的アライメント部を有するので、前記測距光の水平角及び高低角の微調整を行うことができる。
【0026】
又本発明によれば、前記アライメント部は、前記測距光を所定の範囲で任意の方向に偏向可能な1対のウェッジプリズムから形成された光学的アライメント部を有するので、前記光学部材に入射する前記測距光の方向を微調整することができる。
【0027】
更に又本発明によれば、制御部を更に具備し、該制御部は前記測角儀の視準光軸に前記測距光の光軸を自動的に合致させるので、作業労力を低減させることができるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0030】
先ず、
図1、
図2に於いて、本発明の第1の実施例に係るトータルステーションについて説明する。
【0031】
測量装置であるトータルステーション1は、測角儀であるセオドライト2と、該セオドライト2に取付けられた測距装置である光波距離計3により構成される。先ず、前記セオドライト2について説明する。
【0032】
整準部4に整準螺子5を介して基台部6が設けられている。該基台部6に架台7が設けられ、該架台7には測定対象を視準する為の望遠鏡部8が支持されている。
【0033】
前記基台部6は前記整準螺子5により水平となる様に整準可能となっている。又、前記架台7は鉛直軸心を中心に回転可能であり、前記望遠鏡部8は水平軸心を中心に回転可能となっている。又、前記架台7には表示部9を有する操作入力部11が設けられ、前記表示部9には動作状態或は前記望遠鏡部8により測定対象を視準した際の水平角及び鉛直角が表示される。
【0034】
前記基台部6の上面には架台ベース12が設けられ、該架台ベース12の中心には上方に突出する軸受部13が設けられている。該軸受部13に水平回転軸14が軸受15を介して回転自在に嵌合され、該水平回転軸14に前記架台7の筐体16が固着されている。前記架台ベース12は、前記筐体16を支持する前記基台部6の一部を構成すると共に前記筐体16の下部開口を閉塞する下部カバーとしての機能を有している。
【0035】
前記軸受部13には水平回転ギア17が固着され、該水平回転ギア17には水平回転駆動ギア18が噛合している。該水平回転駆動ギア18は水平回転モータ19の出力軸に固着されており、該水平回転モータ19によって前記水平回転駆動ギア18が回転されることで、前記水平回転ギア17を介して前記筐体16が前記水平回転軸14を中心として水平方向に回転する様になっている。前記水平回転モータ19は前記筐体16に固着され、前記水平回転モータ19と前記筐体16とは一体に回転する様になっている。
【0036】
前記水平回転軸14の下端部は中空となっており、該中空部によって第1軸部空間22が形成される。該第1軸部空間22には水平角度検出パターン23、水平第1集光レンズ24が収納され、前記水平角度検出パターン23、前記水平第1集光レンズ24は前記水平回転軸14の軸心上に設けられている。又、前記水平角度検出パターン23は、前記水平第1集光レンズ24の焦点位置に設けられている。
【0037】
前記架台ベース12の中心部下面には、軸部ホルダ25が設けられ、該軸部ホルダ25の軸心は前記水平回転軸14の軸心と合致する様になっている。前記軸部ホルダ25には上面側から円柱状の凹部である軸受部空間26が形成され、該軸受部空間26に水平第2集光レンズ27及び水平イメージセンサ28が収納され、前記水平第2集光レンズ27、前記水平イメージセンサ28は前記軸部ホルダ25の軸心上に設けられている。又、前記水平イメージセンサ28は、前記水平第2集光レンズ27の焦点位置に設けられている。
【0038】
前記水平角度検出パターン23、前記水平第1集光レンズ24及び前記水平第2集光レンズ27及び前記水平イメージセンサ28は、水平角を検出する水平回転角検出装置29の主要部を構成する。該水平回転角検出装置29は、前記水平イメージセンサ28が該水平イメージセンサ28に投影された前記水平角度検出パターン23を検出することで、又前記水平回転軸14の回転に伴う投影像の変化を検出することで、前記水平回転軸14の回転角及び軸ブレを検出する様になっている。尚、前記水平第1集光レンズ24と前記水平第2集光レンズ27の倍率はそれぞれ1倍となっており、前記水平第1集光レンズ24と前記水平第2集光レンズ27をそれぞれ1倍とすることで、前記水平角度検出パターン23と前記水平イメージセンサ28とが1:1の状態で変位する様になっている。
【0039】
前記望遠鏡部8には左右両端から水平方向に延出する鉛直回転軸21が設けられ、該鉛直回転軸21は軸受32を介して前記筐体16に支持され、前記望遠鏡部8は前記鉛直回転軸21を中心に鉛直方向に回転可能となっている。
【0040】
該鉛直回転軸21の一端には鉛直回転ギア33が固着され、該鉛直回転ギア33には鉛直回転駆動ギア34が噛合している。該鉛直回転駆動ギア34は鉛直回転モータ35の出力軸に固着され、該鉛直回転モータ35が駆動されることで、前記鉛直回転駆動ギア34、前記鉛直回転ギア33を介して前記望遠鏡部8が前記鉛直回転軸21を中心として回転される。
【0041】
前記鉛直回転軸21の他端部には、該鉛直回転軸21と同心の第2軸部空間36が形成され、該第2軸部空間36には鉛直角度検出パターン37、鉛直第1集光レンズ38が収納され、前記鉛直角度検出パターン37、前記鉛直第1集光レンズ38は前記鉛直回転軸21の軸心上に設けられている。又、前記鉛直角度検出パターン37は、前記鉛直第1集光レンズ38の焦点位置に設けられている。
【0042】
前記鉛直回転軸21の他端部と同心に筒状のホルダサポート39が内部に向って突設され、該ホルダサポート39の先端部に軸部ホルダ41が嵌設されている。該軸部ホルダ41には、前記鉛直回転軸21の軸心と同心の軸受部空間42が形成され、該軸受部空間42に鉛直第2集光レンズ43、鉛直イメージセンサ44が収納される。前記鉛直第2集光レンズ43、前記鉛直イメージセンサ44は、前記鉛直回転軸21の軸心上に設けられる。又、前記鉛直イメージセンサ44は、前記鉛直第2集光レンズ43の焦点位置に設けられている。
【0043】
前記鉛直角度検出パターン37、前記鉛直第1集光レンズ38及び前記鉛直第2集光レンズ43及び前記鉛直イメージセンサ44は、鉛直角(高低角)を検出する鉛直回転角検出装置45の主要部を構成する。該鉛直回転角検出装置45は、前記鉛直イメージセンサ44が該鉛直イメージセンサ44に投影された前記鉛直角度検出パターン37を検出することで、又前記鉛直回転軸21の回転に伴う投影像の変化を検出することで、前記鉛直回転軸21の回転角及び軸ブレを検出する様になっている。尚、前記鉛直第1集光レンズ38と前記鉛直第2集光レンズ43の倍率はそれぞれ1倍となっており、前記鉛直第1集光レンズ38と前記鉛直第2集光レンズ43をそれぞれ1倍とすることで、前記鉛直角度検出パターン37と前記鉛直イメージセンサ44とが1:1の状態で変位する様になっている。
【0044】
前記望遠鏡部8の上面にはアタッチメント装置46がビス等で固定され、該アタッチメント装置46には測距装置である前記光波距離計3が取付けられ該光波距離計3は前記望遠鏡部8と一体に回転する様になっている。
【0045】
前記光波距離計3は、測距光射出部(図示せず)より測距光が射出され、測定対象に照射され反射された反射光を測距光受光部(図示せず)にて受光し、受光した反射光に基づき測距を行う様に構成されている。又、前記アタッチメント装置46は前面に測距光射出孔(図示せず)と、該測距光射出孔に隣接して測距光受光孔48が形成されており、前記光波距離計3を取付けた際には、前記測距光射出部より射出された測距光が前記測距光射出孔を通過し、測定対象により反射された反射光が前記測距光受光孔48を通過する様になっている。
【0046】
又、前記アタッチメント装置46の前面には、プリズムホルダ51が螺子49により固着され、前記プリズムホルダ51により菱形プリズム52が保持される。該菱形プリズム52は前記測距光射出孔と前記望遠鏡部8の前面中心とに掛渡って取付けられている。尚、前記測距光射出孔は、前記望遠鏡部8の前記水平回転軸14の軸心よりも紙面に向って左方に変位した位置に形成されており、前記菱形プリズム52は鉛直線に対して傾斜している。
【0047】
又、前記菱形プリズム52は上端部及び下端部に2つの反射面を有しており、前記光波距離計3より射出された測距光は、上端部の反射面により前記望遠鏡部8の視準光軸と直交する様下方に偏向された後、更に下端部の反射面で該望遠鏡部8の視準光軸と合致する様に平行な方向に偏向される様になっている。
【0048】
図3〜
図6に於いて、前記アタッチメント装置46の詳細について説明する。
【0049】
該アタッチメント装置46は、外底板53及び外側板54,54からなる外ケース55と、内底板56と内側板57,57と内前板58、及び前後方向に傾動可能な板ばね状の固定部材59からなる内ケース61を有しており、該内ケース61は前記光波距離計3が収納され、固定される台座部となっている。
【0050】
先ず、前記内ケース61について説明する。前記内底板56の長手方向中央部には、幅方向全長に亘って断面が倒立台形状の凹部62が形成されている。又、該凹部62には該凹部62の幅方向全長に亘り倒立台形状の断面を有する倒立台形溝63が形成され、該倒立台形溝63の中央には貫通孔(図示せず)が穿設されている。該貫通孔には後述するピボット軸64が挿通されている。該ピボット軸64の上端には、軸心と直交し水平方向に延出する頭部65が形成される。該頭部65は下面が半円筒面からなる半円柱形状となっており、該頭部65は前記倒立台形溝63に嵌合する。尚、前記ピボット軸64と前記頭部65とで2軸の回転軸を有する軸部84が構成される。
【0051】
前記内側板57,57の中央部には上端から切欠き部66,66が形成され、該切欠き部66,66を介して作業者が前記内ケース61に収納された前記光波距離計3を掴める様になっている。又、前記内前板58の上端部には、全幅に亘って係合凸部67が形成され、該係合凸部67は前記内ケース61の内側に向って突出する。該係合凸部67は前記内ケース61に前記光波距離計3を収納した際に前記光波距離計3の前端を係止する。
【0052】
前記固定部材59はバネ性を有するステンレス鋼板等の金属製の薄板であり、前記内底板56の上面と平行な固着部68と、該固着部68に対して垂直又は略垂直に屈曲されて形成された保持部69と、該保持部69の上端部より前記内ケース61の内側に向って直角に屈曲させた後にU字状に180°屈曲させて形成された抜止め部71と、該抜止め部71の先端部を斜め上に屈曲させて形成された摘み片72からなっている。又、前記固定部材59は、ボルト等の固着具73により前記固着部68を介して前記内底板56の後端部に取付けられている。尚、前記保持部69は、前記光波距離計3を保持する為の保持力が発揮される様、内側に向って若干傾斜していることが好ましい。
【0053】
尚、前記保持部69の高さは前記内ケース61に収納される前記光波距離計3の高さと同等若しくは僅かに高くなっている。又、前記摘み片72を斜め下方に押下することで、前記固定部材59の弾性変形により前記摘み片72が前記保持部69の下端を支点として後方に傾動する様になっている。
【0054】
次に、前記外ケース55について説明する。該外ケース55は長手方向の長さが前記内ケース61よりも短くなっている。
【0055】
前記外底板53は前記内底板56と平行であり、前記外底板53の先端部の下面及び上面には座刳り74,75が同心に形成され、該座刳り75と対向する前記内底板56の下面には前記座刳り75と同心に座刳り76が形成されている。
【0056】
前記座刳り74,75の中心には前記外底板53を貫通する孔77が穿設され、該孔77にワッシャを介して固定螺子78が下方から挿通されている。該固定螺子78の先端部は細径であり、該先端部が螺子部79となっており、該螺子部79が前記内底板56に螺着され、前記固定螺子78が前記内底板56に固着されている。尚、前記固定螺子78の頭部の前記ワッシャとの接触面は球面としてもよい。
【0057】
前記固定螺子78には圧縮コイルバネ81が嵌設され、該圧縮コイルバネ81の上端部、下端部はそれぞれ前記座刳り75,76に収納される。前記圧縮コイルバネ81は圧縮状態で設けられ、該圧縮コイルバネ81により前記内ケース61が上方に付勢されている。尚、前記孔77の径は前記固定螺子78の外径より充分大きくなっており、前記内ケース61の変位に応じて前記固定螺子78が前記孔77内を変位可能となっている。
【0058】
前記ピボット軸64は前記外底板53を貫通して下方に突出し、該外底板53の上面、前記内底板56の下面にはそれぞれ貫通孔を中心として座刳り82及び座刳り83が形成されている。
【0059】
前記ピボット軸64は軸受85を介して前記外底板53と嵌合し、前記ピボット軸64は前記外底板53に対して回転自在となっている。
【0060】
前記ピボット軸64には圧縮コイルバネ86が嵌設され、該圧縮コイルバネ86の下端部、上端部がそれぞれ前記座刳り82,83に嵌合することで、前記圧縮コイルバネ86が前記外底板53、前記内底板56間に圧縮された状態で介設されている。前記圧縮コイルバネ86の反発力で、前記外底板53と前記内底板56は離反する様に付勢され、前記頭部65の半円筒面は前記倒立台形溝63に密着し、前記内底板56は前記頭部65の軸心と直交する面内でのみ傾動可能となっている。又、前記ピボット軸64の前記外底板53の下面より突出する部分には止輪87が嵌設され、該止輪87と前記外底板53の下面との間にバネ座88が介設されている。該バネ座88により前記ピボット軸64と前記外底板53、前記内底板56間とのガタツキが抑制される。
【0061】
前記外底板53の後端部には、該外底板53を下方から貫通するローレット螺子89が螺合されている。該ローレット螺子89の先端には合成樹脂等により成形された球形の接触部材91が設けられ、該接触部材91が前記内底板56の下面に接触する様になっている。前記接触部材91が接触する前記内底板56の下面には接触溝92が形成され、該接触溝92には合成樹脂等の摩擦抵抗の小さい部材が嵌設されている。該接触溝92は、前記接触部材91が前記ピボット軸64を中心に回転した際の軌跡と同形状の円弧状の溝となっており、前記接触部材91と前記接触溝92とが摺接することで、前記ローレット螺子89と前記内底板56とが摩耗しない様になっている。
【0062】
尚、前記ピボット軸64と、前記固定螺子78と、前記ローレット螺子89とで高低角調整手段93が構成され、前記ローレット螺子89を回転させることで、前記内ケース61が前記ピボット軸64の前記頭部65の軸心を中心として鉛直方向に回転する様になっている。
【0063】
又、一方の外側板54aの後端部には、該一方の外側板54aを側方から貫通するローレット螺子94が螺合されている。該ローレット螺子94の先端には合成樹脂等により成形された球形の接触部材95が設けられ、該接触部材95が一方の内側板57aの側面に摺接する様になっている。
【0064】
又、前記ローレット螺子94と対向する他方の外側板54bの後端部には、該他方の外側板54bを側方から貫通する押圧部96が設けられている。該押圧部96は前記ローレット螺子94の軸心上に設けられ、前記押圧部96は他方の内側板57bと対向する面が開放された筒部97を有し、該筒部97には摺動自在に遊動子98が嵌合されている。該遊動子98は先端が球面となっており、合成樹脂等の材料から形成されている。前記筒部97内に収納され、且つ前記遊動子98と前記筒部97間に圧縮状態でバネ99が設けられ、該バネ99は前記遊動子98を前記他方の内側板57bに向って押圧する。従って、前記バネ99による付勢力により前記遊動子98を介して前記一方の内側板57aを前記接触部材95に押圧する。
【0065】
尚、前記ピボット軸64と、前記ローレット螺子94と、前記押圧部96とで水平角調整手段101が構成される。前記ローレット螺子94を回転することで、前記接触部材95が水平方向に変位し、前記内ケース61が前記接触部材95の変位に対応し、又前記遊動子98は前記内ケース61の水平変位に追従して出入れされ、前記内ケース61のガタツキを抑止する。前記水平角調整手段101により、前記ピボット軸64を軸として前記内ケース61が水平方向に回転する様になっている。
【0066】
又、前記高低角調整手段93と前記水平角調整手段101とで前記アタッチメント装置46のアライメント部である機械的アライメント部が構成される。
【0067】
尚、図示はしないが、前記外ケース55及び前記内ケース61には、前記外底板53と前記内底板56とを貫通する孔が複数穿設されており、該孔を介して前記アタッチメント装置46が前記望遠鏡部8にビス止めされる様になっている。この時、ビス止めする為の前記望遠鏡部8の螺子孔は、予め該望遠鏡部8の上面に設けられている照星照門を固定する為の螺子孔を流用してもよいし、新たに穿設してもよい。この時、前記外ケース55は、台座である前記内ケース61を前記セオドライト2に固定する為の固定具として機能する。
【0068】
又、ビスの頭が前記光波距離計3と干渉しない様に、ビスの挿通孔には座刳りが設けられてもよい。又、前記アタッチメント装置46を前記望遠鏡部8を取付ける際に、前記外底板53より下方に突出する前記固定螺子78及び前記ピボット軸64が邪魔にならない様、前記アタッチメント装置46即ち前記外底板53と前記望遠鏡部8との間にスペーサ等を介在させるのが望ましい。
【0069】
次に、前記トータルステーション1により測量を行う場合について説明する。
【0070】
先ず、前記光波距離計3が前記アタッチメント装置46に取付けられる。前記光波距離計3を傾けて前端部を前記内前板58の前記係合凸部67と前記内底板56との間に差込んだ後、前記固定部材59の前記摘み片72を押えて前記固定部材59を後方に傾けた状態で、前記光波距離計3の後端部を前記保持部69に嵌込む。その後、前記摘み片72から手を離すことで前記抜止め部71により前記光波距離計3の後端部が固定され、該光波距離計3が前記アタッチメント装置46に取付けられる。即ち、該アタッチメント装置46を介して前記光波距離計3が前記セオドライト2に取付けられ、前記トータルステーション1が構成される。
【0071】
次に、前記整準螺子5によって、前記トータルステーション1が整準される。整準後、該トータルステーション1が基準位置としてセットされる。
【0072】
その後、前記望遠鏡部8により測定対象を視準する。尚、該望遠鏡部8には、作業者が測定対象を視準する際に視準光軸が分る様、例えば十字等の指標マークが記されており、該指標マークを測定対象又は測定点に合わせることで視準が行われる。視準の作動は、前記水平回転モータ19及び前記鉛直回転モータ35を駆動することで実行される。
【0073】
前記水平回転モータ19を駆動して前記筐体16を水平方向に回転する。該筐体16の水平回転角は、前記水平回転角検出装置29によって検出される。又、該水平回転角検出装置29によって回転軸の軸ブレ(軸の傾き)も同時に検出され、検出された軸ブレに基づき前記水平回転角検出装置29が検出した水平角が補正される。
【0074】
又、前記鉛直回転モータ35を駆動し、前記望遠鏡部8及び前記光波距離計3を鉛直方向に回転する。前記望遠鏡部8及び前記光波距離計3の鉛直回転角は、前記鉛直回転角検出装置45によって検出され、又前記鉛直回転軸21の軸ブレも同時に検出される。同様に、検出された軸ブレに基づき前記鉛直回転角検出装置45が検出した鉛直角が補正される。
【0075】
前記望遠鏡部8の視準が完了すると、次に前記光波距離計3の測距光射出部(図示せず)より測距光が射出され、前記菱形プリズム52に入射され、該菱形プリズム52によって偏向され射出される。該菱形プリズム52で偏向された測距光は、光軸が前記望遠鏡部8の視準光軸と合致する様、前記高低角調整手段93と前記水平角調整手段101を用いて偏向状態が調整される。
【0076】
尚、前記光波距離計3より射出される測距光を、赤外光等の可視光とすると、作業者が前記望遠鏡部8を覗き込みながら、視準光軸を示す指標マークの中心が射出された測距光と合致する様調整を行うことができる。
【0077】
前記ローレット螺子89を回転させることで、前記内ケース61及び該内ケース61に固定された前記光波距離計3が、前記頭部65を中心に回転変位し、前記内ケース61及び前記光波距離計3の高低角が調整される。
【0078】
この時、前記内ケース61は前記圧縮コイルバネ81により上方に付勢されているので、前記接触部材91と前記接触溝92との接触状態が維持され、高低角が調整された状態で前記光波距離計3が固定される。
【0079】
又、前記ローレット螺子94を回転させることで、前記接触部材95、或は前記遊動子98に押圧された前記内ケース61及び前記光波距離計3が、前記ピボット軸64を中心として回転変位し、前記内ケース61及び前記光波距離計3の水平角が調整される。
【0080】
この時、前記内ケース61は前記接触部材95に接触した状態で前記遊動子98により押圧されているので、前記内ケース61が前記ローレット螺子94と前記押圧部96により挾持された状態となり、水平角が調整された状態で前記光波距離計3が固定される。
【0081】
該光波距離計3の高低角及び水平角を調整し、測距光軸と視準光軸とを合致させることで、前記光波距離計3から前記測距光射出孔を介して前記視準光軸上に測距光が射出される。射出された測距光は前記菱形プリズム52により偏向され、前記望遠鏡部8の視準光軸と合致した状態で測定対象に照射された後、測定対象により反射した反射光を前記測距光受光孔48を介して受光することで、測定対象迄の距離が測定される。同時に、前記水平回転角検出装置29、前記鉛直回転角検出装置45により水平角、高低角が測定される。
【0082】
上述の様に、第1の実施例では、既存の前記セオドライト2に前記アタッチメント装置46を介して比較的安価な市販の前記光波距離計3を取付け、前記トータルステーション1を構成することができる。従って、測距機能と測角機能を有する一体型のトータルステーションよりも安価となり、コストの低減を図ることができる。
【0083】
又、前記アタッチメント装置46は、前記外ケース55と前記内ケース61とを組合わせた簡易な構成であるので、製作コストが安価である。
【0084】
又、前記光波距離計3を前記アタッチメント装置46に取付ける際には、前記摘み片72を介して前記固定部材59を後方に傾動させた状態で、前記内ケース61に前記光波距離計3を嵌込み、その後前記固定部材59を戻すだけでよいので、操作が簡単であり、前記光波距離計3の前記アタッチメント装置46に対する着脱が容易である。
【0085】
又、該アタッチメント装置46は前記高低角調整手段93と前記水平角調整手段101からなる前記機械的アライメント部を有しているので、前記アタッチメント装置46に取付けた前記光波距離計3の高低角及び水平角の微調整が可能であり、前記アタッチメント装置46の製作誤差等を吸収することができる。
【0086】
又、2つの反射面を有する前記菱形プリズム52が、前記アタッチメント装置46の測距光射出孔(図示せず)から前記望遠鏡部8の前面に掛渡って設けられているので、前記光波距離計3から射出された測距光を偏向させ、測距光軸と前記望遠鏡部8の視準光軸を合致させることで該視準光軸上に測距光を射出することができ、測定精度を向上させることができる。尚、壁面等を測定する場合は、前記望遠鏡部8による視準位置と測距光の照射位置とのずれは測定精度に殆ど影響しないので、前記菱形プリズム52を省略することが可能である。
【0087】
更に、前記菱形プリズム52は、前記望遠鏡部8の前記水平回転軸14の軸心に対して傾斜して設けられているので、前記測距光射出孔(図示せず)が前記水平回転軸14の軸心から離れていてもよい。従って、測定対象からの反射光を通過させる前記測距光受光孔48を前記菱形プリズム52により偏向され射出された測距光軸にできるだけ近づけることができるので、射出及び反射された測距光軸の光路をできるだけ短くすることができ、測定精度を更に向上させることができる。
【0088】
尚、第1の実施例では、2つの反射面を有する光学部材として、前記菱形プリズム52を用いたが、例えば2つの鏡を組合わせた部材を用いても前記菱形プリズム52を用いた場合と同等の効果を得ることができる。2つの反射面を用いた場合、使用環境の変化(温度、湿度等)や外的要因(衝撃、振動等)により光学部材がずれても光軸が保存される。よって、2回反射が望ましいが、前記光波距離計3から射出された測距光を偏向させ、測距光軸を前記望遠鏡部8の視準光軸と合致する様該視準光軸上に射出させることができればよく、例えば3つ以上の反射面を有する光学部材を用いてもよい。
【0089】
又、前記内ケース61の開口面積や前記測距光射出孔(図示せず)の位置、前記測距光受光孔48の位置が異なる前記アタッチメント装置46を予め複数製作しておくことで、形状等の異なる光波距離計であっても前記セオドライト2に取付けることができる。
【0090】
又、第1の実施例に於ける機械的アライメント部では、作業者が手動で前記ローレット螺子89,94を回すことで測距光軸と視準光軸とを合致させているが、前記ローレット螺子89,94にギアを介してモータを噛合させ、視準光軸と同軸上にカメラを設け、前記モータと前記カメラとをPC等の制御部に接続し、画像処理等により自動的に前記モータを駆動させて測距光軸と視準光軸とを合致させる様にしてもよい。又、前記ローレット螺子89,94の回転量による光軸の変化量が視認できる様に指標マークとして目盛りを設けてもよい。
【0091】
又、第1の実施例では、前記アタッチメント装置46が前記セオドライト2の前記望遠鏡部8に直接取付けられているが、前記アタッチメント装置46は前記望遠鏡部8を収納する筐体(ケース)に取付けられてもよい。
【0092】
次に、
図7〜
図9に於いて、本発明の第2の実施例に於けるトータルステーション1について説明する。尚、
図7〜
図9中、
図1〜
図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
第2の実施例では、セオドライト2に取付けられたアタッチメント装置46が、1対のウェッジプリズム102,103を更に有しており、該ウェッジプリズム102,103はそれぞれ回転可能に支持されている。尚、該ウェッジプリズム102,103は、アタッチメント装置46のアライメント部である光学的アライメント部となっている。
【0094】
該ウェッジプリズム102,103は所定の頂角を有し、前記アタッチメント装置46に取付けられた光波距離計3の測距光射出部104と内ケース61の測距光射出孔47との間に、傾斜面同士が向い合う様それぞれ近接して配置されており、前記測距光射出部104から射出された測距光が前記ウェッジプリズム102,103を通過する様になっている。
【0095】
又、該ウェッジプリズム102,103はそれぞれ個別に回転可能であり、該ウェッジプリズム102,103を別々に回転させることで、該ウェッジプリズム102,103を通過する測距光を所定の範囲で任意の方向に偏向させることができる。
【0096】
第2の実施例に於ける前記トータルステーション1を用いて測距を行う場合について説明する。前記光波距離計3の前記測距光射出部104より射出された測距光は、前記ウェッジプリズム102,103を通過する過程で偏向され、2つの反射面を有する光学部材である菱形プリズム52に入射される。
【0097】
該菱形プリズム52に入射された測距光は、望遠鏡部8の視準光軸と合致する様偏向され、該視準光軸上に射出された後、測定対象に照射され、測定対象により反射された測距光が測距光受光孔48(
図3参照)を介して測距光受光部105により受光されることで、測定対象迄の距離が測定される。
【0098】
前記菱形プリズム52により測距光を前記望遠鏡部8の視準光軸と合致させる為には、測距光が前記望遠鏡部8の視準光軸と平行に前記菱形プリズム52に入射される必要があるが、第2の実施例に於いては前記測距光射出部104と前記菱形プリズム52との間に前記ウェッジプリズム102,103を設けている。
【0099】
従って、前記測距光射出部104より射出された段階で、測距光が前記望遠鏡部8の視準光軸と平行ではなかった場合であっても、前記ウェッジプリズム102,103をそれぞれ回転させ、通過する測距光を偏向させることで前記望遠鏡部8の視準光軸と平行とすることができるので、前記光波距離計3を前記アタッチメント装置46に取付けた際の前記光波距離計3の向きのずれを吸収することができる。
【0100】
上述の様に、第2の実施例に於ける前記アタッチメント装置46は、高低角調整手段93(
図4参照)と水平角調整手段101(
図5参照)からなる機械的アライメント部に置換えて、前記ウェッジプリズム102,103からなる光学的アライメント部を有しているので、前記アタッチメント装置46に取付けた前記光波距離計3の高低角及び水平角の微調整が可能である。又、第1の実施例と第2の実施例を組合わせることにより、前記菱形プリズム52に入射される測距光の方向の微調整が可能であり、前記アタッチメント装置46の製作誤差等を一層吸収することができる。