(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記貯留槽内の貯留物全体の重量を計測する重量計の出力値をサンプリングし、当該出力値に基づいて前記排出量を算出する請求項1または2記載のサイロ。
前記制御部は、前記排出口から自然落出した貯留物の排出量を計測する排出量検出手段の出力値をサンプリングし、当該出力値に基づいて前記排出量を算出する請求項1または2記載のサイロ。
前記制御部は、前記掻寄機構を駆動した後、前記貯留槽内の貯留物の排出を終了するまでの間、前記掻寄機構を連続または間歇的に駆動する請求項1から4の何れかに記載のサイロ。
前記掻寄機構は、前記排出口を横切るように前記貯留槽の底面に沿って移動する掻寄部材を備え、前記掻寄部材が前記排出口と平面視で重畳する部位の最大面積が前記排出口の開口面積の60%以下に設定されている請求項1から6の何れかに記載のサイロ。
前記掻寄ステップの実行後に、前記排出量が前記第一閾値より大きい値に設定された第二閾値以上であると判断すると、前記掻寄機構を停止する停止ステップを備えている請求項8記載のサイロの運転方法。
前記掻寄ステップの実行後に、前記貯留槽内の貯留物が空になったと判断すると、前記掻寄機構を停止する排出終了ステップを備えている請求項8または9記載のサイロの運転方法。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、汚泥を貯留対象物としたサイロが開示されている。
図6に示すように、当該サイロは、最上部に投入口11が設けられ、底面に排出口12が形成された貯留槽1を備えている。
【0003】
貯留物2となる汚泥は、ポンプpによって圧送されて投入口11から貯留槽1に投入される。貯留後に排出口12から落出した貯留物2は、排出口12に連続するシュート12a及びスクリュー式排出装置4を経由して外部に排出される。
【0004】
そして、貯留槽1の底面上には、貯留物2を掻き寄せて排出口12に送り込む回転可能な羽根部31を有する掻き寄せ装置3が配置されている。
【0005】
掻き寄せ装置3を常時駆動するために要する消費電力を抑制するため、貯留物2の物量を高さで示す貯留レベルを求める貯留レベル検知手段を備え、貯留レベルが予め設定した停止レベルより大きい場合に、掻き寄せ装置3の運転を停止し、貯留レベルが予め設定した運転レベルより低くなると、掻き寄せ装置3を駆動するように構成されている。貯留レベルが高い場合には、羽根部31を駆動するためのトルクが大きくなり消費電力が嵩むため、トルクが小さくなった後に掻き寄せ装置3を駆動するのである。
【0006】
当該特許文献1によれば、貯留レベル検知手段として超音波センサ5が用いられ、貯留物2の上面から反射される超音波を計測して貯留物の上面までの距離が算出される。他に、圧力センサが用いられ、貯留槽1の底部にかかる圧力を検知して貯留レベルが推定され、或いは、重量センサが用いられ、貯留物の重量を検知して貯留レベルが推定される。
【発明の概要】
【0008】
上述した従来技術は、掻き寄せ装置3に要する消費電力を抑制することを目的としたものであり、掻き寄せ装置3が運転されるまでの間に、排出口から貯留物が安定して落出することが前提とされている。
【0009】
しかし、貯留物の性状によっては、掻き寄せ装置3を運転しないと貯留槽内の貯留物が排出口から安定的に落出しない場合があるという問題があった。例えば、貯留物が貯留槽内で圧密化されて部分的に固まり、アーチングやブリッジが発生したり、中央部にラットホールが発生したり、さらには、貯留物が壁面に付着すると、掻き寄せ装置3の運転が開始されるまでに排出口から貯留物が安定的に落出しない状態に陥る虞があった。
【0010】
そこで、そのような状態に陥ったか否かを貯留レベル検知手段によって検知されるレベルに基づいて判定することも考えられるが、ブリッジ等の発生する条件は一定ではなく、貯留物のそのときの性状、温度、湿度、貯留期間等の貯留条件に応じて区々であり、貯留レベルで一律に判定できないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、貯留物の貯留条件に影響されず、ブリッジ等の発生を適切に判断して、安定的に貯留物を落出させることができるサイロ及びサイロの運転方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明によるサイロの第一特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、貯留槽と、前記貯留槽に形成され前記貯留槽内から貯留物である汚泥を自然落出させる排出口と、
回転駆動される掻寄羽根と、前記掻寄羽根を一方向に回転して前記貯留槽の底部に堆積した貯留物を前記排出口方向に掻き寄せる掻寄機構とを備えたサイロであって、前記貯留槽に貯留された貯留物の貯留量の多少にかかわらず前記排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量が第一閾値以下になると前記掻寄機構を駆動することにより貯留槽の底部に堆積した貯留物を排出口方向に掻き寄せて、これを契機として貯留物に発生したアーチングやブリッジ等を崩して自然落出させる制御部を備えた点にある。
【0013】
貯留槽に貯留された貯留物の残量にかかわらず、排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量を計測することによって、排出口から安定的に自然落出しているか否かを判定することができる。単位時間当たりの排出量が少なくなると、何らかの事情により貯留物にアーチングやブリッジが発生し、中央部にラットホールが発生し、或いは貯留物が壁面に付着して固化しつつあると判定するのである。また、貯留物の残量が少なくなると、排出口の周りに貯留物固有の安息角で堆積する結果、排出口からの自然落出が困難な状態になるが、この場合でも同様に単位時間当たりの排出量が少なくなる。
【0014】
そこで、制御部は、貯留物の性状や温度、湿度、貯留期間等の貯留条件にかかわらず、排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量と予め設定した第一閾値とを比較することによって、貯留物が排出口から良好に自然落出しているか否かを適切に判定できるようになり、単位時間当たりの排出量が第一閾値以下になると、掻寄機構を駆動することにより、強制的に貯留物を排出口から落出させる。
【0015】
掻寄機構の駆動により、貯留槽の底部に堆積した貯留物が排出口方向に掻き寄せられ、これを契機として貯留物に発生したアーチングやブリッジ等が崩壊するので、以後も安定的に排出口から自然落出するようになる。単位時間当たりの排出量を算出するための計測時間、計測インタバル、第一閾値の値等は特に限定するものではなく、実験等により適宜設定される値である。例えば、数分のインタバルで数十秒の間に自然落出した貯留物の重量を計測して単位時間当たりの排出量を算出し、その値が平均的な自然落出量の50%を下回るときに掻寄機構を駆動することができる。
【0016】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記排出口は、前記貯留槽の底部に複数形成されている点にある。
【0017】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記制御部は、前記貯留槽内の貯留物全体の重量を計測する重量計の出力値をサンプリングし、当該出力値に基づいて前記排出量を算出する点にある。
【0018】
重量計により計測される重量は、貯留槽の重量と貯留槽内の貯留物の残量を加算した重量となる。従って、例えば、所定時間の経過の前後に計測した貯留槽の重量の差分を所定時間で除すれば、容易に排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量を算出することができる。尚、貯留槽内の貯留物の残量や、貯留物が全て排出されたか否か等を把握するために貯留槽の重量を計測する重量計が配置されている場合には、排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量を算出するために、当該重量計の計測値を用いることができるので、別途の重量計を設置する必要がないという良さもある。貯留物の投入を止めてバッチ処理することで、単位時間当たりの排出量を正確に算出することができる。
【0019】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記制御部は、前記排出口から自然落出した貯留物の排出量を計測する排出量検出手段の出力値をサンプリングし、当該出力値に基づいて前記排出量を算出する点にある。
【0020】
排出量検出手段は、排出口から自然落出する貯留物の重量を検出する重量計、または貯留槽内の貯留物の貯留高さを計測するレベル計、または貯留槽の底部にかかる圧力を検出する圧力計により構成される。排出量検出手段として、例えば、重量計を採用し、所定時間の経過の前後に自然落出した貯留物の重量をサンプリングして、その差分を算出し、前記所定時間で除すれば単位時間当たりの排出量を算出することができる。
【0021】
排出口からの貯留物の落出経路に二重ダンパ機構を備えると、二重ダンパ機構の作動時等にそれまでに自然落出した貯留物の重量をバッチで計測することができる。重量物である貯留槽全体の重量を計測する重量計よりも、軽量物を計測する小型で精度の良い重量計を用いることができるので、計測精度を向上させることができるという良さがある。貯留物が連続投入されても、単位時間当たりの排出量を正確に算出することができる。
【0022】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記制御部は、前記排出量が前記第一閾値より大きい値に設定された第二閾値以上になると前記掻寄機構を停止する点にある。
【0023】
排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量が第一閾値以下となり掻寄機構を駆動した後に、前記排出量が第一閾値より大きな第二閾値以上となると、制御部は掻寄機構によって貯留物の自然落出が十分に促されていると判定して、掻寄機構を停止することにより掻寄機構に要する無駄な消費電力を抑制することもできる。尚、その後再び排出量が第一閾値以下となれば、制御部は、再度掻寄機構を駆動して底部に堆積した貯留物を排出口方向に掻き寄せる。
【0024】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記制御部は、前記掻寄機構を駆動した後、前記貯留槽内の貯留物の排出を終了するまでの間、前記掻寄機構を連続または間歇的に駆動する点にある。
【0025】
制御部は、排出量が第一閾値以下になり掻寄機構を一旦駆動すると、貯留槽内の貯留物の排出が完了するまでの間、掻寄機構を連続で駆動することによって常時安定的に排出口から貯留物を落出させることができる。また間歇的に駆動することによって消費電力を低減しながら安定的に排出口から貯留物を落出させることができる。
【0026】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記掻寄機構は、前記排出口を横切るように前記貯留槽の底面に沿って移動する掻寄部材を備え、前記掻寄部材が前記排出口と平面視で重畳する部位の最大面積が前記排出口の開口面積の60%以下に設定されている点にある。
【0027】
掻寄部材が排出口と重畳して停止すると、排出口の開口面積が小さくなり貯留物の自然落出が妨げられる虞があるため、掻寄部材の位置を検知するためのセンサを設置して掻寄部材の停止位置を制御する必要性が生じる。しかし、掻寄部材が排出口と平面視で重畳する部位の最大面積を排出口の開口面積の60%以下に設定すれば、掻寄部材が排出口と完全に重畳した状態で停止しても、排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量を計測する上で何ら障害が生じることがなく、排出口から貯留物の自然落出に影響が発生しないことが確認されたのである。このことにより、掻寄部材の停止位置を制御するための別途のセンサを備える必要もなくなる。
【0028】
本発明によるサイロの運転方法の第一特徴構成は、同請求項8に記載した通り、貯留槽と、前記貯留槽に形成され前記貯留槽内から貯留物である汚泥を自然落出させる排出口と、
回転駆動される掻寄羽根と、前記掻寄羽根を一方向に回転して前記貯留槽の底部に堆積した貯留物を前記排出口方向に掻き寄せる掻寄機構とを備えたサイロの運転方法であって、前記掻寄機構が停止した状態で前記排出口から貯留物を自然落出させる排出ステップと、前記排出口から自然落出した貯留物の排出量を検出する排出量検出ステップと、前記排出量検出ステップで検出された貯留物の排出量に基づいて、前記排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量を算出する排出量算出ステップと、前記排出量算出ステップで算出された前記排出量と第一閾値とを比較する比較ステップと、前記貯留槽に貯留された貯留物の貯留量の多少にかかわらず前記比較ステップで前記排出量が第一閾値以下であると判断すると、前記掻寄機構を駆動することにより貯留槽の底部に堆積した貯留物を排出口方向に掻き寄せて、これを契機として貯留物に発生したアーチングやブリッジ等を崩して自然落出させる掻寄ステップと、を含む点にある。
【0029】
同第二特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記掻寄ステップの実行後に、前記排出量が前記第一閾値より大きい値に設定された第二閾値以上であると判断すると、前記掻寄機構を停止する停止ステップを備えている点にある。
【0030】
同第三特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記掻寄ステップの実行後に、前記貯留槽内の貯留物が空になったと判断すると、前記掻寄機構を停止する排出終了ステップを備えている点にある。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、本発明によれば、貯留物の貯留条件に影響されず、ブリッジ等の発生を適切に判断して、安定的に貯留物を落出させることができるサイロ及びサイロの運転方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明によるサイロ及びサイロの運転方法を図面に基づいて説明する。
【0034】
図1に示すように、サイロ10は、円筒状の側壁を有する貯留槽11と、貯留物Aを貯留槽11に投入する投入機構13と、貯留槽11の底面11aに形成された排出口14と、掻寄機構15を備えている。
【0035】
搬入経路12から搬入される貯留物Aが投入機構13を介して貯留槽11に投入され、貯留槽11に蓄積された貯留物Aが排出口14を介して槽外に自然落出するように構成されている。
【0036】
本実施形態では、貯留物Aが、下水処理場で発生し脱水処理された汚泥であって、加熱された廃油等で乾燥され含水率が数%となった高カロリーの粒状の汚泥である場合について説明する。このような貯留物Aは、貯留槽11にある期間貯留され、成分分析された後、一定の許容範囲に入っていれば、燃料として再利用されるべく、貯留槽11から排出され需要先に搬出される。
【0037】
排出口14から自然落出した貯留物Aは、排出シュート14aを介してスクリューコンベア機構16へ送られ、スクリューコンベア機構16によって搬送された貯留物Aは、排出ゲート18を介して排出経路17に排出される。
【0038】
掻寄機構15は、貯留槽11の底面11aに堆積した貯留物Aを排出口14方向に掻き寄せる掻寄部材としての掻寄羽根15bを備えている。
【0039】
搬送経路12にはケースコンベア機構が設置され、サイロ10の上流側の処理設備から搬入された貯留物Aが貯留槽11に搬送される。
【0040】
投入機構13には電動ダンパ13aが設けられ、電動ダンパ13aが開閉されることで、搬送経路12を搬送される貯留物Aが貯留槽11へ投入または停止される。
【0041】
図2(a),(b)に示すように、掻寄機構15は、油圧モータまたは電動モータで駆動されるロータ15aと、ロータ15aの回転軸心P周りに径方向に延出配置された一対の掻寄羽根15bを備えている。なお、掻寄羽根15bは、2枚である構成に限らず1枚であってもよく、3枚以上の複数枚で構成されてもよい。
【0042】
排出口14は貯留槽11の底面11aの中央部から周方向へ偏移した位置であって、底面11aの中心に対して対称となる2箇所に形成されており、掻寄羽根15bが排出口14と平面視で重畳する部位の最大面積は、排出口14の開口面積の70%以下、好ましくは60%以下に設定されている。尚、掻寄羽根15bと排出口14の開口部との重畳面積の下限値は、掻寄羽根15bの機械的強度が確保できる限り特に制限されるものではない。
【0043】
ロータ15aが駆動されると、掻寄機構15の掻寄羽根15bが排出口14を横切るように貯留槽11の底面11aに沿って回転軸心P周りに回転し、貯留槽11の底部に堆積した貯留物が排出口14方向へ掻き寄せられ、排出口14から自然落出する。
【0044】
排出ゲート18は電動ダンパ18aで構成されている。電動ダンパ18aが開閉されることで、スクリューコンベア機構16により搬送されてきた貯留物Aが排出経路17へ排出される。
【0045】
サイロ10には制御部20が設けられ、上述した電動ダンパ13a,18aの開閉制御や掻寄機構15の駆動等が行なわれる。
【0046】
貯留槽11に貯留された汚泥のような貯留物は、その自重や投入時の落下衝撃により次第に圧密化され、その集合体がある程度の強度を持つようになる。サイロの形状や内壁と貯留物との摩擦等の影響で発生するせん断力よりも集合体の強度が上回る場合に、アーチングやブリッジ現象が発生したり、また、中央部にラットホールが発生したり、貯留物が壁面に付着して残留し、貯留槽11の底部の排出口14から貯留物が自然落出しにくくなる。
【0047】
当該制御部は、そのような場合であっても、安定的に排出口14から貯留物が自然落出するように制御する。
【0048】
尚、サイロ10に貯留された貯留物Aは排出口14から自然落出しても、スクリューコンベア機構16が駆動されるまでは、排出シュート14aに止まり、系外に排出されることはない。
【0049】
貯留槽11の底部には、貯留槽11の重量を計測する重量計19が備えられている。また、貯留槽11と投入機構13、及び排出ゲート18と排出経路17は可撓性の継ぎ手で接続されている。一方、貯留槽11とスクリューコンベア機構16は排出シュート14aで接続され、スクリューコンベア機構16と排出ゲート18は接続されている。
【0050】
つまり、重量計19によって、貯留槽11、掻寄機構15、排出シュート14a、スクリューコンベア機構16、排出ゲート18と、貯留槽11、掻寄機構15、排出シュート14a、スクリューコンベア機構16、排出ゲート18内に貯留されている貯留物Aの重量が計測されることになるが、ある時刻に計測された重量とそれから所定時間経過後に計測された重量の差分の絶対値を経過時間で除することにより貯留物Aの単位時間当たりの排出量が算出できる。
【0051】
また、貯留槽11、掻寄機構15、排出シュート14a、スクリューコンベア機構16、排出ゲート18の重量を予め計測しておくことで、貯留されている貯留物Aの重量が算出でき、サイロ内の貯留量を把握することで、サイロ内の貯留物Aの残存量や排出量の調整や、投入機構13の開閉制御タイミングや、排出経路17の後段に設置された貯留物Aの焼却設備や溶融設備の制御を適切に行うことができる。
【0052】
次に、
図3と
図4(a),(b)に基づいて制御部20を説明する。
制御部20は、経過時間を計測する計時部22と、重量計19によって計測された貯留槽11の重量の出力値が入力される入力部23と、計時部22と入力部23に入力された重量値に基づいて、排出口14から自然落出する貯留物Aの単位時間当たりの排出量を算出する算出部24と、算出部24で算出された排出量Qxと予め実験で得られた結果に基づいて設定された第一閾値Th1を記憶する記憶部25と、排出量Qxと第一閾値Th1を比較する比較部26と、スクリューコンベア機構16の駆動、停止や、排出ゲート18の開閉をするとともに、比較部26の結果に基づいて掻寄機構15の駆動、停止をする駆動制御部21と、を備えている。
【0053】
駆動制御部21は、掻寄機構15が停止した状態で(SA1:Y)、排出ゲート18を開放した後に、スクリューコンベア機構16を駆動して、排出口14から自然落出した貯留物Aを搬送経路17に排出する排出ステップ(SA2)を実行する。
【0054】
重量計19及び入力部23は、排出口14から自然落出する貯留物Aの重量を検出する重量検出ステップを実行する。
【0055】
算出部24は、計時部22と重量検出ステップで検出された貯留物Aの重量に基づいて、排出口14から貯留物Aを落出する貯留物Aの単位時間当たりの排出量Qxを算出する排出量算出ステップ(SA4)を実行する。
【0056】
比較部25は、排出量算出ステップで算出された排出量Qxと予め設定された第一閾値Th1とを比較する比較ステップ(SA5)を実行する。
【0057】
駆動制御部21は、比較ステップで排出量Qxが第一閾値Th1以下であると判断すると(SA5:Y)、掻寄機構15を駆動する掻寄ステップ(SA6)と、掻寄ステップ(SA6)の実行後に、貯留槽11内の貯留物Aの空を検出する検出ステップ(SA7)を実行し、検出ステップで貯留物Aの空を検出すると(SA7:Y)、掻寄機構15を停止する排出終了ステップ(SA9)を実行する。
【0058】
検出ステップ(SA7)は、重量計19の計測値に基づいて貯留物Aが空になったことを検出してもよいし、掻寄機構15のロータ15aの油圧モータまたは電動モータの電流電圧をモニタして、掻寄羽根15bのトルクを算出して貯留物Aが空になったことを検出してもよい。
【0059】
貯留槽11内の貯留物Aの排出開始直後は、排出口14から自然落出した貯留物Aが、スクリューコンベア機構16により搬送されて排出ゲート18を通過して貯留槽11の重量が軽くなりはじめるまでにタイムラグがあるため、所定の遅延時間経過してから(SA3)、排出量算出ステップ(SA4)を実行する。これにより、貯留物Aの排出開始時点で排出量Qxが第一閾値Th1以下となっているために掻寄機構15の駆動してしまうことを防止している。
【0060】
算出部24による排出口14から自然落出する貯留物Aの単位時間当たりの排出量の排出量算出ステップ(SA4)について説明する。
【0061】
図5に示すように、ある時刻t1のときに入力部23に入力された重量計19の出力値がw1で、所定時間経過後の時刻t2のときに入力部23に入力された重量計19の出力値がw2であるとすると、前記排出量Qxは以下の式で算出することができる。Qx=(w1−w2)/(t2−t1)
【0062】
つまり、時間(t2−t1)の経過したときの、貯留槽11の重量の変化(w1−w2)が、貯留槽11から排出された貯留物Aの排出量Qxとなる。
【0063】
このように、本実施形態では、算出部24は、貯留槽11の重量を計測することで、間接的に貯留物Aの排出量Qxを算出する。
【0064】
算出部24が実行する重量検出ステップでは、貯留槽11の容量と、貯留物Aの排出量Qx、及び後段の処理設備の処理能力に応じて重量をサンプリングするタイミングを適宜設定すればよい。なお、貯留槽11への貯留物Aの投入がバッチ処理される場合は、貯留物Aの投入が停止している間に貯留物Aの重量のサンプリングを行うが、貯留物Aの投入が連続して行われる場合は、重量のサンプリングは行わない。
【0065】
図4(b)に示すように、重量検出ステップは、例えば、ある1回目の重量の検出(SB1)から、3〜5分の時間をおいて(SB2:Y)、2回目の重量の検出を行い(SB3)、排出量を算出する(SB4)ように構成する。前記2回目の重量の検出から30秒程度のインタバルをおいて(SB5:Y)、次の排出量を算出するための1回目の重量を検出する(SB1)ように構成する。
【0066】
ここで、貯留槽11内に貯留物Aが十分にあり、貯留物Aが自重で排出口14から自然落出している状態のときの、排出口14から自然落出する貯留物Aの単位時間当たりの排出量Qxを定常排出量とした場合、第一閾値Th1を、例えば定常排出量の50%に設定する。あるときの排出量Qxが50%以下となったときは、貯留量が減少して自重で自然落出しにくくなっていたり、ブリッジ等が発生したりして自然落出しにくくなっていると判断できる。
【0067】
比較部26は、算出した排出量Qxと、記憶部25に記憶された第一閾値Th1とを比較する。Qx>Th1であれば、貯留物Aは滞りなく自然落出されていると判断できるため、掻寄機構15を駆動する必要はない。一方、Qx≦Th1であれば、貯留物Aの排出量が低下しているため、掻寄機構15を駆動する必要があると判断できる。
【0068】
駆動制御部21は、比較部26の比較結果に基づいて、Qx≦Th1であれば、掻寄機構15を駆動する。
【0069】
このように、制御部20は、貯留物Aの貯留量の多少にかかわらず、排出口14から自然落出する貯留物Aの単位時間当たりの排出量Qxが予め設定された第一閾値Th1以下になると掻寄機構15を駆動して、貯留物Aのアーチングやブリッジ、ラットホールや壁面付着を崩して自然落出させることができ、貯留量が減少すると排出口14周りに所定の安息角で堆積する貯留物Aを排出口方向に掻き寄せて自然落出させることができる。
【0070】
尚、掻寄羽根15bが排出口14と平面視で重畳して停止しているときは、貯留物Aが通過できる開口面積が狭くなるが、掻寄羽根15bが排出口14と重畳する部位の最大面積を排出口14の開口面積の70%以下、好ましくは60%以下に設定すれば、掻寄羽根15bが排出口14と重畳した状態で停止しても、排出口から自然落出する貯留物の単位時間当たりの排出量を計測する上で何ら障害が生じることがなく、排出口からの貯留物の自然落出に影響が発生しない。よって、掻寄羽根15bの位置を検出するためのセンサや、停止位置を制御する制御機構を備える必要がないので、制御部20を簡単で安価に構成することができる。
【0071】
尚、第一閾値Th1は、定常排出量Qの50%に限らず、貯留物Aの性状や貯留環境等の各条件に応じて、適宜設定すればよい。また、第一閾値Th1は、定常排出量Qではなく、排出口14から自然落出する貯留物Aの重量を経時的にサンプリングして、今回サンプリングした重量が、前回サンプリングしたときの重量、または、前回までにサンプリングした重量の平均値の50%以下となるときのように設定してもよい。
【0072】
制御部20は、掻寄機構15を一旦駆動した後は、貯留槽11内の貯留物Aの排出を終了するまでの間、掻寄機構15を連続的に駆動する。これにより、貯留槽11底部で確実に貯留物Aの掻き寄せができる。
【0073】
貯留槽11、掻寄機構15、排出シュート14a、スクリューコンベア機構16、排出ゲート18の重量を予め計測しておくことで、貯留物Aの重量が算出できるので、貯留槽11内の貯留物Aの排出完了が把握できる。
【0074】
上述した構成から、掻寄機構15が停止した状態で、排出口14から貯留物Aを落出する排出ステップと、排出口14から落出する貯留物Aの重量を検出する重量検出ステップと、重量検出ステップで検出された貯留物Aの重量に基づいて、排出口14から貯留物Aを落出する貯留物Aの単位時間当たりの排出量Qxを算出する排出量算出ステップと、排出量算出ステップで算出された排出量Qxと予め設定された第一閾値Th1とを比較する比較ステップと、比較ステップで排出量Qxが第一閾値Th1以下であると判断すると、掻寄機構15を駆動する掻寄ステップと、掻寄ステップの実行後に、貯留槽11内の貯留物Aが空になったと判断すると、掻寄機構15を停止する排出終了ステップを備えているサイロ10の運転方法が実現される。
【0075】
よって、貯留物の貯留条件に影響されず、安定した貯留物の自然落出が可能なサイロ及びサイロの運転方法を提供することができるようになる。
【0076】
以下、本発明によるサイロ及びサイロの運転方法の別実施形態について説明する。
上述した実施形態では、制御部20は、掻寄機構15を一旦駆動した後は、貯留槽11内の貯留物Aの排出を終了するまでの間、掻寄機構15を連続的に駆動する構成について説明したが、間歇的に駆動するように構成してもよい。間歇的に駆動することで、消費電力を低減しながら貯留物Aの掻き寄せをすることができる。
【0077】
また、制御部20は、排出量Qxが第一閾値Th1より大きい値に設定された第二閾値Th2以上になると掻寄機構15を停止してもよい。
【0078】
図4(a)に示すように、掻寄ステップ(SA6)の実行後に、排出量Qxが第一閾値Th1より大きい値に設定された第二閾値Th2以上であると判断すると(SA10:Y)、掻寄機構15を停止する停止ステップが実行される(SA11)。
【0079】
排出量Qxが第一閾値Th1以下となり、制御部20が掻寄機構15を駆動したあとに、例えば、定常排出量Qの80%に設定された第二閾値Th2以上となったときは、掻寄機構15によって貯留物Aの自然落出が十分に促されていると考えられるため、掻寄機構15を停止することで消費電力を低減することができる。その後、再び排出量Qxが第一閾値Th1以下となれば、制御部20は再度掻寄機構を15駆動して、底部に堆積した貯留物Aを排出口14方向に掻き寄せる。
【0080】
なお、第二閾値は、前記定常排出量の80%に限らず、貯留物Aの性状や貯留環境等の各条件に応じて、適宜設定すればよい。
【0081】
上述した実施形態では、重量計19は、貯留槽11、掻寄機構15、排出シュート14a、スクリューコンベア機構16、排出ゲート18と、貯留槽11、掻寄機構15、排出シュート14a、スクリューコンベア機構16、排出ゲート18内に貯留されている貯留物Aの合計重量に基づいて、排出量を算出する構成について説明したが、これに限らない。
【0082】
排出口14から自然落出した貯留物Aの排出量を計測する排出量検出手段として、排出口から自然落出する貯留物Aの重量を検出する重量計、または貯留槽11内の貯留物Aの貯留高さを計測するレベル計、または貯留槽11の底部にかかる圧力を検出する圧力計を備え、前記排出量検出手段の出力値をサンプリングし、当該出力値に基づいて排出量Qxを算出するように構成してもよい。
【0083】
排出量検出手段として重量計を採用する場合は、例えば、排出口14の下流側の排出経路中の排出ゲート18に重量計を設置して、所定時間の経過の前後に排出口14から自然落出して排出ゲート18に堆積する貯留物Aの重量を計測するように構成する。
【0084】
制御部20は、ある時刻から所定時刻経過時点までに、排出口14から自然落出した貯留物Aの重量を計測することで、排出口14から自然落出する貯留物Aの単位時間当たりの排出量Qxを算出することができる。
【0085】
また、排出口14からの貯留物Aの落出経路に二重ダンパ機構を備えると、二重ダンパ機構の作動時等にそれまでに自然落出した貯留物Aの重量をバッチで計測することができる。
【0086】
貯留槽11全体の重量の差分から計測する構成の場合は、重量物を計測でき、かつ、分解能が高い大型の重量計を用いる必要があるが、排出口14から自然落出した貯留物Aの重量を計測する構成の場合は、単位時間当たりに自然落出した貯留物Aを計測できる程度の小型の重量計を用いればよいため、重量計自体のコストを下げながらも精度の良い計測が可能となる。
【0087】
また、貯留槽11全体の重量の差分から計測する構成の場合は、貯留物Aの排出中に、新たな貯留物が貯留槽11に追加投入された場合に、実排出量が減少していなくても、貯留槽11の重量から算出した排出量Qxが第一閾値Th1以下となる場合がある。この場合は、掻寄機構15を無駄に駆動させてしまうことになる。しかし、排出ゲート18から実際に排出される貯留物の重量を計測する構成にすることで、実際の排出量を算出することができるので、無駄のない掻寄機構15の駆動が可能となる。貯留物が連続投入されても、単位時間当たりの排出量を正確に算出することができる。
【0088】
上述した実施形態では、掻寄部材として平板状の掻寄羽根15bが、貯留槽11の底面11aの近傍であって、ロータ15aの回転軸心P周りに径方向に延出配置された構成について説明したが、掻寄部材の構成はこれに限らない。ロータ15aの高さ方向に複数段の掻寄羽根15bを延出配置する構成であってもよい。また、掻寄羽根15bはスクリューのようにロータ15aの回転軸心Pに対して適当な角度をもって配置されてもよい。また、掻寄羽根15bの形状も平板状に限らず、ねじれた形状や、周方向に沿って幅の異なる形状や、角柱状であってもよい。
【0089】
貯留物Aの性状に応じて適切な掻寄部材の構成を採用することで、より効率的に貯留物Aのアーチングやブリッジ、ラットホールや壁面付着を崩して自然落出させることができる。
【0090】
上述した実施形態では、排出口14が貯留槽11の底面11aの2箇所に形成された構成について説明したが、排出口の数はこれに限らず単一であってもよく、3箇所以上の複数であってもよい。
【0091】
また、排出口は貯留槽11の底面11aに形成される場合に限らず、貯留槽11の側壁に形成される構成であったり、側壁と底面11aの夫々に形成される構成であったり、貯留槽11の底面11aから側壁下部に至る領域に形成される構成であってもよい。
【0092】
何れにせよ、排出口の下流側に排出シュート14aやスクリューコンベア機構16や排出ゲート18を備えて、排出口から自然落出した貯留物Aを排出経路17へと導くように構成すればよい。
【0093】
上述した実施形態では、下水処理場で発生した脱水汚泥であって、乾燥され燃料として再利用可能な汚泥を貯留物とする例を説明したが、本発明によるサイロの貯留物はこのような汚泥に限定されるものではなく、下水処理場で発生した脱水汚泥であって、焼却炉や溶融炉で減容化される前に一時的に貯留される湿潤な汚泥を貯留物とする場合であってもよい。また、下水処理場で発生した脱水汚泥に限るものでもなく、し尿処理場で発生し、脱水処理された汚泥等を貯留物とする場合であってもよい。
【0094】
さらに、古紙及びプラスチックのような資源再生用の廃材を破砕機で破砕し、燃料等に再利用可能な粉粒体を貯留物とする場合であってもよい。このような貯留物は、サイロから切り出されてスクリューコンベア機構でペレットミルに定量搬送され、加圧処理して塊状の固形燃料であるRPF(Refuse Paper and Plastic Fuel)に加工され、ボイラ等の燃焼機に化石燃料の代替燃料として用いられる。
【0095】
上述した実施形態は本発明の一態様であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成や制御態様は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。