特許第5968631号(P5968631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968631
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/476 20060101AFI20160728BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   A61F13/476
   A61F13/472 300
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-17750(P2012-17750)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154018(P2013-154018A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】倉持 美帆子
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−136611(JP,A)
【文献】 特開2010−188142(JP,A)
【文献】 特開2008−289658(JP,A)
【文献】 特開2008−119124(JP,A)
【文献】 特開2007−082724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 〜 13/84
A61L 15/16 〜 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、両側部にそれぞれ装着時に基端部の折返し線に沿って折り返すことにより下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
前記ウイング状フラップの基端部の外形線が内側に凸の円弧状曲線によって画成され、前記ウイング状フラップの基端部であって吸収性物品の前側寄り位置に少なくとも1つの圧搾部が形成され、
前記圧搾部は、吸収性物品の幅方向外側が、前記円弧状曲線のほぼ外側端部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第1の仮想線及び前記ウイング状フラップの前記裏面シート側に備えられる粘着剤層の内側縁部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第2の仮想線をそれぞれ吸収性物品の幅方向に跨ぐとともに、吸収性物品の幅方向内側が、ウイング状フラップ前側の前記円弧状曲線のほぼ内側端部とウイング状フラップ後側の前記円弧状曲線のほぼ内側端部とを結んだ第3の仮想線を吸収性物品の幅方向に跨ぐように形成され、かつ少なくとも吸収性物品の幅方向外側が吸収性物品の前側に湾曲する形状で形成され、吸収性物品の幅方向外側端部が吸収性物品の後側端部より前側に位置するように形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記ウイング状フラップは、少なくとも吸収性物品前側の外形線が波状線や曲線又はこれらの組み合わせとしてあり、
前記円弧状曲線のほぼ外側端部から吸収性物品の長手方向に沿って引いた前記第1の仮想線は、内側に凸の前記円弧状曲線から外側に凸の曲線に切り替わる点を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウイング状フラップは、前記円弧状曲線より外側の外形線がほぼ直線的に形成され、
前記円弧状曲線のほぼ外側端部から吸収性物品の長手方向に沿って引いた前記第1の仮想線が、前記円弧状曲線からほぼ直線に切り替わる点を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記圧搾部は、吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、吸収性物品の後側に設けられる圧搾部ほど漸次吸収性物品の幅方向外側に広い領域に形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記圧搾部は、吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、吸収性物品の後側に設けられる圧搾部ほど漸次圧搾部幅が太く形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記圧搾部は、吸収性物品のほぼ幅方向に沿って圧搾部非圧搾部とが交互に形成された間欠パターンとされるとともに、吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、隣接する圧搾部の前記非圧搾部同士が吸収性物品の長手方向に重ならないように形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記圧搾部のうち吸収性物品の最も前側に設けられる圧搾部は、吸収性物品の外形線に接するように設けられている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着への固定に際し、下着のクロッチ部分に巻き付けるようにして使用されるウイング状フラップを備えた吸収性物品に係り、下着から使用済みの吸収性物品を剥がす際、ウイング状フラップが基端部から吸収性物品の長手方向に沿って引き裂かれるのを防止した吸収性物品吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Nとしては、例えば図12及び図13に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート50と、不織布または透液性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート51との間に綿状パルプなどからなる吸収体52を介在させたものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品Nとしては、装着状態でのズレ止めを図るために、例えば本体部分の非肌当接面側(不透液性裏面シート50側の面側、外面側)に1または複数条の粘着剤層53,53を形成し、かつ本体部分の長手方向両側部に、外方に延在するウイング状フラップW、Wを一体的に形成するとともに、このウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート50側の面(外面)に粘着剤層54,54を設けるようにしたものが存在する。
【0004】
前記吸収性物品Nを下着30に固定するには、図14に示されるように、吸収性物品Nを下着30の局所対応部位にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップW、Wを下着より外方に突出させ、両ウイング状フラップW、Wを折返し線RL、RLで折返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら下着30の股間部外面に接着した後、下着を身体に装着するようにしている。
【0005】
かかる吸収性物品では、下着から使用済みの吸収性物品を剥がす際、本体部分の前側端部を摘んで吸収性物品の後方に向けて引っ張ると、ウイング状フラップが基端部から吸収性物品の長手方向に沿って引き裂かれ、ウイング状フラップだけが下着に残るという問題がしばしば発生していた。
【0006】
こような問題を解決するため、ウイング状フラップが基端部から引き裂かれにくくしたものが幾つか提案されている。下記特許文献1では、ウイングの表面側のシート材料と裏面側の裏面シートとが、ナプキンの幅方向へ連続的に延びナプキンの長さ方向へ間欠的に配設された複数の接合部分において、裏面シート延出部分と該延出部分の基端部分とに接合しているナプキンが開示されている。また、下記特許文献2では、サイドシートと裏面シートとが吸収体よりも幅方向外方の領域においてヒートシール線によって接合されており、該ヒートシール線は、吸収性本体の前端部側からウイング部の前側の付け根近傍に亘って延びているとともに吸収性本体の後端部側からウイング部の後側の付け根近傍に亘って延びているが、両付け根近傍間には設けられていないか又は長手方向に非連続的に設けられている吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4190074号
【特許文献2】特開2008−119124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1記載のナプキンでは、粘着剤塗布部分を長手方向と交差する方向へ連続的に形成することによってウイングの表面側のシートと裏面シートとを接合しているので、ウイング状フラップの全体に亘って形成された粘着剤塗布部分によってウイング状フラップの剛性が高くなり、肌当たりが悪化することが懸念される。
【0009】
また、上記特許文献2記載の吸収性物品では、ヒートシール線によるダメージによってウイング部が破断しにくいという効果は得られるものの、使用済みの吸収性物品を下着から剥がす際にウイング状フラップが付け根部分から引き裂かれるという問題については考慮されていない。
【0010】
ところで、発明者による調査の結果、下着から使用済みの吸収性物品を剥がす際、ウイング状フラップが基端部から吸収性物品の長手方向に沿って引き裂かれるときの引裂線としては次の3つのパターンが典型的であることが明らかとなった。
【0011】
第1の引裂線として、ウイング状フラップの本体部分と接続する基端部において内側に凸の円弧状曲線のほぼ外側端部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って延びるものがある(図3及び図4の12a)。
【0012】
また、第2の引裂線として、前記第1の引裂線から連続的に形成され、ウイング状フラップ部の裏面シート側に備えられた粘着剤層の内側縁部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って延びるものがある(図3及び図4の13a)。
【0013】
上記第1の引裂線及び第2の引裂線は、吸収性物品の最も幅方向外側に連続的に形成されるもので、比較的高い確率で形成されるものである。またこれとは逆に吸収性物品の最も幅方向内側に形成される第3の引裂線は、ウイング状フラップ前側の基端部に形成される前記円弧状曲線のほぼ内側端部と、ウイング状フラップ後側の基端部に形成される前記円弧状曲線のほぼ内側端部とを結んだ線である(図3及び図4の14a)。
【0014】
以上の結果から、第1の引裂線(第2の引裂線)及び第3の引裂線のいずれに対しても効果的な引き裂き防止手段を講じる必要がある。
【0015】
そこで本発明の主たる課題は、下着から使用済みの吸収性物品を剥がす際、ウイング状フラップが基端部から吸収性物品の長手方向に沿って引き裂かれるのを防止した吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、両側部にそれぞれ装着時に基端部の折返し線に沿って折り返すことにより下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
前記ウイング状フラップの基端部の外形線が内側に凸の円弧状曲線によって画成され、前記ウイング状フラップの基端部であって吸収性物品の前側寄り位置に少なくとも1つの圧搾部が形成され、
前記圧搾部は、吸収性物品の幅方向外側が、前記円弧状曲線のほぼ外側端部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第1の仮想線及び前記ウイング状フラップの前記裏面シート側に備えられる粘着剤層の内側縁部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第2の仮想線をそれぞれ吸収性物品の幅方向に跨ぐとともに、吸収性物品の幅方向内側が、ウイング状フラップ前側の前記円弧状曲線のほぼ内側端部とウイング状フラップ後側の前記円弧状曲線のほぼ内側端部とを結んだ第3の仮想線を吸収性物品の幅方向に跨ぐように形成され、かつ少なくとも吸収性物品の幅方向外側が吸収性物品の前側に湾曲する形状で形成され、吸収性物品の幅方向外側端部が吸収性物品の後側端部より前側に位置するように形成されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0017】
上記請求項1記載の発明では、ウイング状フラップの基端部の外形線が内側に凸の円弧状曲線によって画成され、前記ウイング状フラップの基端部であって吸収性物品の前側寄り位置に少なくとも1つの圧搾部を形成している。そして、前記圧搾部は、吸収性物品の幅方向外側が、前記円弧状曲線のほぼ外側端部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第1の仮想線及びウイング状フラップの裏面シート側に備えられる粘着剤層の内側縁部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第2の仮想線をそれぞれ吸収性物品の幅方向に跨ぐとともに、吸収性物品の幅方向内側が、ウイング状フラップ前側の前記円弧状曲線のほぼ内側端部とウイング状フラップ後側の前記円弧状曲線のほぼ内側端部とを結んだ第3の仮想線を吸収性物品の幅方向に跨ぐように形成されている。このため、下着から使用済みの吸収性物品を剥がす際、前述の第1の引裂線、第2の引裂線及び第3の引裂線のいずれの引裂線をも跨ぐように圧搾部が配置されているため、これらの引裂線に沿ってウイング状フラップの基端部が長手方向に沿って引き裂かれるのが防止できる。
【0018】
上記請求項記載の発明では、前記圧搾部として、少なくとも吸収性物品の幅方向外側を吸収性物品の前側に湾曲する形状で形成し、吸収性物品の幅方向外側端部を吸収性物品の後側端部より前側に位置するように形成しているため、ウイング状フラップ基端部の外形線から形成された引裂線が圧搾部に到達した後、圧搾部に沿って吸収性物品の幅方向外側に引裂線が拡大するのが防止できる。
【0019】
請求項に係る本発明として、前記ウイング状フラップは、少なくとも吸収性物品前側の外形線が波状線や曲線又はこれらの組み合わせとしてあり、
前記円弧状曲線のほぼ外側端部から吸収性物品の長手方向に沿って引いた前記第1の仮想線は、内側に凸の前記円弧状曲線から外側に凸の曲線に切り替わる点を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線である請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0020】
上記請求項記載の発明では、ウイング状フラップの少なくとも吸収性物品前側の外形線を波状線や曲線又はこれらの組み合わせからなるものによって画成した場合において、前述の「円弧状曲線のほぼ外側端部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第1の仮想線」とは、内側に凸の前記円弧状曲線から外側に凸の曲線に切り替わる点を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線を指すことを規定している。この円弧状曲線から外側に凸の曲線に切り替わる点は、本体部分の前側端部を摘んで吸収性物品の後方に向けて引っ張った際、ウイング状フラップの基端側から円弧状曲線に沿うめくれがそれ以上外側に拡大しにくく応力が集中しやすい点であって、吸収性物品の長手方向への引裂線(第1の引裂線)が発生しやすい点である。
【0021】
請求項に係る本発明として、前記ウイング状フラップは、前記円弧状曲線より外側の外形線がほぼ直線的に形成され、
前記円弧状曲線のほぼ外側端部から吸収性物品の長手方向に沿って引いた前記第1の仮想線が、前記円弧状曲線からほぼ直線に切り替わる点を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線である請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0022】
上記請求項記載の発明では、ウイング状フラップの円弧状曲線より外側の外形線をほぼ直線的に形成した場合において、前述の「円弧状曲線のほぼ外側端部を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた第1の仮想線」とは、円弧状曲線からほぼ直線に切り替わる点を通るように吸収性物品の長手方向に沿って引いた仮想線を指すことを規定している。この円弧状曲線からほぼ直線に切り替わる点は、上記と同様にウイング状フラップの基端側から円弧状曲線に沿うめくれがそれ以上外側に拡大しにくく応力が集中しやすい点であって、第1の引裂線が発生しやすい点のことである。
【0023】
請求項に係る本発明として、前記圧搾部は、吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、吸収性物品の後側に設けられる圧搾部ほど漸次吸収性物品の幅方向外側に広い領域に形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0024】
上記請求項記載の発明では、圧搾部を吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数段で設け、吸収性物品の後側に設けた圧搾部ほど漸次吸収性物品の幅方向外側に広い領域に形成することによって、第1段目の圧搾部で引裂線の拡大が防げなかった場合でも、2段目以後の圧搾部を漸次幅広の領域に形成することによって、引裂線が拡大するのを確実に防止している。
【0025】
請求項に係る本発明として、前記圧搾部は、吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、吸収性物品の後側に設けられる圧搾部ほど漸次圧搾部幅が太く形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0026】
上記請求項記載の発明では、圧搾部を吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数段で設け、吸収性物品の後側に設けた圧搾部ほど漸次圧搾部幅を太く形成することによって、第1段目の圧搾部で引裂線の拡大が防げなかった場合でも、2段目以後の圧搾部幅を漸次太くすることによって、引裂線が拡大するのを確実に防止している。
【0027】
請求項に係る本発明として、前記圧搾部は、吸収性物品のほぼ幅方向に沿って圧搾部非圧搾部とが交互に形成された間欠パターンとされるとともに、吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、隣接する圧搾部の前記非圧搾部同士が吸収性物品の長手方向に重ならないように形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0028】
上記請求項記載の発明では、圧搾部が硬くなりすぎて肌当たりを悪化させないように、圧搾部を吸収性物品のほぼ幅方向に沿って圧搾部非圧搾部とが交互に形成された間欠パターンとしている。この場合、圧搾部を吸収性物品の長手方向に間隔を空けて複数段で設ける際、前記非圧搾部が引裂線の基点となるのを防止するため、隣接する圧搾部の前記非圧搾部同士が吸収性物品の長手方向に重ならないように形成している。
【0029】
請求項に係る本発明として、前記圧搾部のうち吸収性物品の最も前側に設けられる圧搾部は、吸収性物品の外形線に接するように設けられている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0030】
上記請求項記載の発明では、吸収性物品の最も前側に設けられる圧搾部を吸収性物品の外形線に接するように設けることによって、引裂線の基点をできにくくし、より引き裂き防止効果を高めている。
【発明の効果】
【0031】
以上詳説のとおり本発明によれば、下着から使用済みの吸収性物品を剥がす際、ウイング状フラップが基端部から吸収性物品の長手方向に沿って引き裂かれるのが防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。
図2】そのII−II線矢視図である。
図3】エンボス11を示すウイング状フラップWの拡大展開図である。
図4】他の形態例に係るウイング状フラップWの拡大展開図である。
図5】他の形態例に係るエンボス11を示すウイング状フラップWの拡大展開図である。
図6】他の形態例に係るエンボス11を示すウイング状フラップWの拡大展開図である。
図7】(A)、(B)は他の形態例に係るエンボス11を示すウイング状フラップWの拡大展開図である。
図8】他の形態例に係るエンボス11を示すウイング状フラップWの拡大展開図である。
図9】(A)、(B)は他の形態例に係るエンボス11の平面図である。
図10】他の形態例に係るエンボス11を示すウイング状フラップWの拡大展開図である。
図11】他の形態例に係るエンボス11の平面図である。
図12】従来の吸収性物品Nの展開図である。
図13図12のXIII−XIII線矢視図である。
図14】吸収性物品Nの装着要領を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0034】
《生理用ナプキン1の基本構造》
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って設けられるサイド不織布7,7とから構成されている。前記吸収体4の周囲において、その上下端縁部では、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。
【0035】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0036】
前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。
【0037】
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
【0038】
一方、本生理用ナプキン1の表面側両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられ、このサイド不織布7,7の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とによりウイング状フラップW、Wが形成されている。
【0039】
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、Wにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにする。
【0040】
図1及び図2に示されるように、透液性表面シート3と不透液性裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の非肌当接面(不透液生理面シート2の外面)には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の図示例では3条の本体ズレ止め粘着剤層8、8…が形成されているとともに、ウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート側の面にはそれぞれウイングズレ止め粘着剤層9が形成されている。
【0041】
《ウイング状フラップWの引き裂き防止手段について》
本生理用ナプキン1では、下着から使用済みの生理用ナプキンを剥がす際、ウイング状フラップWが基端部からナプキン長手方向に沿って引き裂かれるのを防止するための引き裂き防止手段が講じられている。以下、その引き裂き防止手段について説明する。
【0042】
一般的なウイング状フラップWでは、図3及び図4に示されるように、前側端及び後側端の基端部において、外形線がそれぞれ内側に凸の円弧状曲線10、10によって画成されている。一方、この円弧状曲線10、10よりナプキン幅方向に外側の外形線は様々な形状のものが存在し、例えば図3では波状線や曲線又はこれらの組み合わせによって形成してあり、例えば図4ではほぼ直線状に形成してある。
【0043】
引き裂き防止手段を設けない場合、図3及び図4に示されるウイング状フラップWにおいて、下着から使用済みの生理用ナプキンを剥がす際、ウイング状フラップWが基端部からナプキン長手方向に沿って引き裂かれる引裂線のパターンについて説明する。ウイング状フラップWの最もナプキン幅方向外側に形成される引裂線は、前記円弧状曲線10のほぼ外側端部10aを通るようにナプキン長手方向に沿って形成される第1の引裂線12aと、この第1の引裂線12aに連続して、ウイングズレ止め粘着剤層9の内側縁部を通るようにナプキン長手方向に沿って形成される第2の引裂線13aとが形成される。図示例のように第1の引裂線12aと第2の引裂線13aとがナプキン幅方向にずれて形成される場合、第1の引裂線12aの後端部が第2の引裂線13a側に屈曲するような形状で形成される。一方、ウイング状フラップWの最もナプキン幅方向内側に形成される引裂線は、ナプキン前側の円弧状曲線10のほぼ内側端部10bとナプキン後側の円弧状曲線10のほぼ内側端部10bとを結んだ第3の引裂線14aが形成される。これらの引裂線12a、13a、14aは、ナプキン幅方向の最も外側と内側に形成される典型的なパターンを示したもので、ウイング状フラップWの下着への折り返し位置やナプキンを引き剥がす力などによって、これらの中間部でも形成される場合がある。
【0044】
本生理用ナプキン1では、これらの引裂線12a、13a、14aがナプキン長手方向に拡大しないように、ウイング状フラップWの基端部であって、ナプキンの前側寄り位置に少なくとも1つのエンボス11が形成されている。このエンボス11は、具体的には、ナプキン幅方向の外側が、前記円弧状曲線10のほぼ外側端部10aを通るようにナプキン長手方向に沿って引いた第1の仮想線12及びウイング状フラップWの不透液性裏面シート2側に備えられる粘着剤層9の内側縁部を通るようにナプキン長手方向に沿って引いた第2の仮想線13をそれぞれナプキン幅方向に跨ぐとともに、ナプキン幅方向の内側が、ナプキン前側の円弧状曲線10のほぼ内側端部10bとナプキン後側の円弧状曲線10のほぼ内側端部10bとを結んだ第3の仮想線14をナプキン幅方向に跨ぐ領域に形成されている。すなわち、エンボス11は、第1の仮想線12又は第2の仮想線13と第3の仮想線14との間に形成されるとともに、第1の仮想線12又は第2の仮想線13をナプキン幅方向の外側に延在する範囲と、第3の仮想線14をナプキン幅方向の内側に延在する範囲とに形成されている。前記第1の仮想線12は前記第1の引裂線12aに対応し、第2の仮想線13は第2の引裂線13aに対応し、第3の仮想線14は第3の引裂線14aに対応するものである。
【0045】
これらの仮想線12〜14を跨ぐ領域にエンボス11を形成することによって、第1の仮想線12に沿って形成される第1の引裂線12aがエンボス11よりナプキン長手方向へ拡大するのが防止できるとともに、この第1の引裂線12aに連続し第2の仮想線13に沿って形成される第2の引裂線13aの発生も防止できるようになる。更に第3の仮想線14に沿って形成される第3の引裂線14aがエンボス11よりナプキン長手方向へ拡大するのが防止できるようになる。
【0046】
ここで、前述の「円弧状曲線10のほぼ外側端10aを通るようにナプキン長手方向に沿って引いた第1の仮想線12」についてより詳しく説明すると、図3に示されるように、ウイング状フラップWが少なくともナプキン前側、図示例ではナプキン前側及び後側の外形線が波状線や曲線又はこれらの組み合わせとしてある場合、前述の「円弧状曲線10のほぼ外側端10a」とは、円弧状曲線10のナプキン幅方向外側寄りの位置であって、内側に凸の曲線によって形成される円弧状曲線10から外側に凸の外形線に切り替わる点のことを指しており、この点を通るようにナプキン長手方向に沿って引いた線が前記第1の仮想線12である。また、ナプキン長手方向に沿う方向とは、ナプキン長手方向中心線CLに沿う方向のことである。
【0047】
一方、図4に示されるように、ウイング状フラップWとして円弧状曲線10よりナプキン外側の外形線をほぼ直線的に形成してある場合、前述の「円弧状曲線10のほぼ外側端10a」とは、円弧状曲線10のナプキン幅方向外側寄りの位置であって、円弧状曲線10からほぼ直線の外形線に切り替わる点のことを指しており、この点を通るようにナプキン長手方向沿って引いた線が前記第1の仮想線12である。外形線がほぼ直線的とは、円弧状曲線10より外側の外形線が直線によって形成される場合の他、前記円弧状曲線10の曲率半径に対して極めて大きな曲率半径(例えば5倍以上)からなる曲線によって形成される場合も含むものである。
【0048】
なお、円弧状曲線10のほぼ外側端10aと粘着剤層9との相対的位置関係によって、図3に示されるように、第1の仮想線12が第2の仮想線13よりナプキン幅方向の外側に形成されることもあるし、図4に示されるように、第1の仮想線12が第2の仮想線13よりナプキン幅方向の内側に形成されることもある。更には、第1の仮想線12と第2の仮想線13とがほぼ一直線上に形成されることもある。いずれの場合においても、エンボス11のナプキン幅方向外側は、第1の仮想線12及び第2の仮想線13をそれぞれナプキン幅方向に跨ぐように配設されている。
【0049】
また、「円弧状曲線10のほぼ内側端部10b」とは、円弧状曲線10のナプキン幅方向中心側寄りの位置であって、内側に凸の曲線によって形成される円弧状曲線10からほぼ直線又は外側に凸の外形線に切り替わる点のことである。
【0050】
前記エンボス11は、内側に凸の円弧状に形成され、前記円弧状曲線10とほぼ平行するように配置することが好ましい。これにより、円弧状曲線10の中間部に引裂線が形成された場合でも前記エンボス11によってナプキン長手方向に引裂線が拡大するのが防止できるようになる。図示例では、エンボス11はエンボス線幅が中央部で太く両端部で細くなる薄い三日月状に形成してあるが、全長に亘って等幅で形成してもよいし、一方端のみを細くしたような形状で形成ても構わない。エンボス線幅は、最も太い部分で1mm〜6mm程度が好ましく、2mm程度がより好ましい。線幅を細くすると硬さが低下して肌当たりの悪化が防止できるが、細くしすぎると引き裂き防止効果が得られにくい。一方、線幅を太くすれば引き裂き防止効果が高まるものの、硬さを感じやすく肌当たりが悪くなる。
【0051】
また、エンボス11は、図5に示されるように、第1〜第3の仮想線12〜14を跨ぐ領域では、ナプキン幅方向に沿って等幅の直線状に形成し、これよりナプキン幅方向の外側に延在する部分において先端部をナプキン長手方向の前側に湾曲させるとともに、先端部に向けて漸次幅狭になるように形成してもよい。これによって、ナプキン長手方向に沿う第1の引裂線12a及び第3の引裂線14aに対してエンボス11がほぼ直角に交差し、引き裂き防止効果が得られやすいとともに、幅方向外側の湾曲部分によってエンボス11に沿ってナプキン幅方向の外側に引き裂きが進展するのが防止できる。
【0052】
エンボス11は、図3に示されるように、少なくともナプキン幅方向の外側がナプキンの前側に湾曲する形状で形成され、ナプキン幅方向の外側端部11aがナプキン長手方向の後側端部11bよりナプキン前側に位置するように形成することが好ましい。前記ナプキン長手方向の後側端部11bは、エンボス11のうち、ナプキン長手方向の最も後側に位置する部分のことである。これによって、ウイング状フラップWの外形線からエンボス11までの間に形成された引裂線が、その後エンボス11に沿ってナプキン幅方向の外側に向かって拡大するのが防止できるようになる。なお、図3に示される例では、ナプキン幅方向の内側端部11cもナプキン長手方向の後側端部11bよりナプキン前側に位置するように形成されているので、エンボス11に沿ってナプキン幅方向の内側に向かって引き裂かれるのも防止できる。
【0053】
また、エンボス11の前記後側端部11bは、第1の仮想線12、第2の仮想線13のうち外側に形成される仮想線と、第3の仮想線14とのナプキン幅方向の略中央部に位置するように配置することが好ましい。これにより、エンボス11に沿う引き裂きが効果的に防止できる。
【0054】
上述の形態例では、エンボス11は1段で設けられているが、図6に示されるように、ナプキン長手方向に間隔を空けて複数段で設けることができる。このとき、エンボス11、11間のナプキン長手方向の間隔Sは、最も狭いところで、3mm〜10mm程度、好ましくは5mm程度とするのが良い。間隔Sが狭すぎると硬さが出て肌当たりが悪化するし、間隔Sが大きすぎると引き裂き防止効果が得られにくくなる。エンボス11の段数は、多ければ引き裂き防止効果が高くなるが、多すぎると硬くなり装着感が悪くなるので、1段〜5段が好ましい。図6では3段で設けられている。複数段で設けられるエンボス11、11…は、各段が同一の形状からなるものでもよいし、異なる形状のものであってもよい。
【0055】
エンボス11…を複数段で設ける場合、図7(A)に示されるように、ナプキン長手方向の後側に設けられるエンボス11ほど漸次ナプキン幅方向外側に広い領域に形成することが好ましい。これによって、1段目のエンボス11で引き裂きを防げなかった場合でも、2段目以後のエンボスでより確実に防止できるようになる。このとき、各段のエンボス11のナプキン幅方向内側は、ほぼナプキン長手方向線に沿って設けるようにする。引裂線の形成態様からすると、ナプキン幅方向の内側へは引裂線が拡大しにくいとともに、ナプキン幅方向の内側に延在してエンボス11を形成すると肌当たりが悪化する原因ともなるためである。
【0056】
また同様の理由から、図7(B)に示されるように、ナプキン後側に設けられるエンボスほど漸次エンボス幅が太くなるように形成してもよい。さらには、ナプキン後側に設けられるエンボスほど漸次ナプキン幅方向外側に広い領域に形成した上で、ナプキン後側に設けられるエンボスほど漸次エンボス幅を太く形成するようにしてもよい。
【0057】
図8に示されるように、エンボス11は、硬くなりすぎて肌当たりを悪化させないように、エンボスに沿ってエンボス部11dと非エンボス部11eとが交互に形成された間欠パターンとすることができる。このような間欠パターンのエンボス11をナプキン長手方向に間隔を空けて複数設ける場合には、前記非エンボス部11eが引裂線の基点となってナプキン長手方向に拡大するのを防止するため、隣接するエンボス11、11の非エンボス部11e同士がナプキン長手方向に重ならないように配置することが好ましい。すなわち、隣接する2つのエンボス11、11については非エンボス部11eとエンボス部11dとがナプキン長手方向に重なるように配置されている。
【0058】
前記エンボス11は、上述の図示例ではほぼ円弧状に形成していたが、図9に示されるように、この円弧状の曲線に沿って折れ線パターンや複数の円弧を連結させたパターンで形成してもよい。これにより、エンボス11に沿う外形線が凹凸状に形成されるので、エンボス11に沿って引裂線が拡大するのがより確実に防止できるようになる。
【0059】
ところで、図10に示されるように、ナプキン長手方向の最も前側に設けられるエンボス11は、生理用ナプキン1の外形線に接するように設けることができる。すなわち、生理用ナプキン1の外形線とエンボス11との間に隙間を空けずにエンボス11を設けることができる。これによって、生理用ナプキン1の外形線に引裂線の基点ができにくくなるため、より確実にウイング状フラップWの引き裂きを防止することができる。
【0060】
また、エンボス11は、図11に示されるように、エンボス領域内に複数の非圧搾部11f、11f…を設けることが好ましい。これによって、エンボス11の硬さを抑えることができるため、肌当たりを改善することができるようになる。特に、図10のナプキン外形線に接するようにエンボス11を設けた場合には、エンボス11が肌に接する機会が多くなるため、極めて有効である。非圧搾部11fは、図11(A)に示される円形、同図(B)の線形など種々の形状で形成することができる。また、非圧搾部とせずに、他の部分より相対的に低い圧力で圧搾した低圧搾部としてもよい。
【0061】
前記エンボス11を施すには、生理用ナプキン1のほぼ全周に亘る不透液性裏面シート2と透液性表面シート3又はサイド不織布7とを接合するための全周エンボスと同時に施しても良いし、透液性表面シート3とサイド不織布7との積層部分にほぼナプキン長手方向に沿って施されるサイドエンボス15と同時に施しても良い。
【0062】
〔他の形態例〕
(1)ところで、図3に示されるように、ウイングズレ止め粘着剤層9は、前記エンボス11の形成領域よりナプキン長手方向の後側であって、ウイング状フラップWの後側寄りの領域に形成することが好ましい。これによって、使用済みの生理用ナプキン1を剥がす際、エンボス11によってウイング状フラップWの基端部の引き裂きが防止されつつ、下着に固定されていないウイング状フラップWの前側縁部からめくれて、ウイングズレ止め粘着剤層9が前側縁部から徐々に引き剥がれやすくなる。また、図3に示されるように、ウイング状フラップWの前側の外形線を波状線や曲線又はこれらの組み合わせとすることにより、前記エンボス11によってウイング状フラップWの基端部の引き裂きが防止されつつ、ウイング状フラップWの前側が全体的にめくれやすくなる。
【0063】
(2)上記形態例では、エンボス11は、ウイング状フラップWの前側寄りに形成していたが、下着から使用済みの生理用ナプキン1を剥がす際に、ナプキンの後側端部を摘んで剥がす場合を考慮して、ウイング状フラップWの後側寄り位置にもエンボス11を形成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、7…サイド不織布、8…本体ズレ止め粘着剤層、9…ウイングズレ止め粘着剤層、10…円弧状曲線、11…エンボス、12…第1の仮想線、12a…第1の引裂線、13…第2の仮想線、13a…第2の引裂線、14…第3の仮想線、14a…第3の引裂線、W…ウイング状フラップ
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