特許第5968673号(P5968673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968673
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】物品移送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20160728BHJP
   B65C 9/08 20060101ALI20160728BHJP
   B65C 9/46 20060101ALI20160728BHJP
   B65C 9/42 20060101ALI20160728BHJP
   G01G 9/00 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B25J13/08 Z
   B65C9/08
   B65C9/46
   B65C9/42
   G01G9/00
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-102795(P2012-102795)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230511(P2013-230511A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮民
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠
(72)【発明者】
【氏名】小西 聡
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−172616(JP,A)
【文献】 特開平01−260324(JP,A)
【文献】 特開平11−105839(JP,A)
【文献】 特開平06−210248(JP,A)
【文献】 特開2008−058251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/08
B65C 9/08
B65C 9/42
B65C 9/46
G01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきた物品の質量を測定し、その質量を印字したラベルを供給する物品移送装置であって、
印字されたラベルを発行するラベル発行器と、
前記物品を保持し、前記物品の移送先に前記物品を置くロボットハンドと、
前記物品を前記ラベル発行器および前記移送先の順で経由するように移動させるロボットアームと、
前記ロボットハンドと前記ロボットアームとの間に設けられ、水平方向に移動時の前記物品に作用する力を測定する力センサと、
水平方向に移動時の前記物品に作用する加速度を測定する加速度センサと、
少なくとも前記ラベル発行器、前記ロボットハンドおよび前記ロボットアームの動作を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記物品が前記ラベル発行器へ移動するまでに前記物品に作用する力および加速度に基づいて前記物品の質量を算出し、その算出した質量を印字したラベルを前記ラベル発行器から前記物品へ供給させる、
物品移送装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ロボットハンドおよび前記ロボットアームを介して前記物品を前記ラベル発行器から供給される前記ラベルに押し付けて前記ラベルの貼り付けを行う、
請求項1に記載の物品移送装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記物品を前記ラベル発行器のラベル出口で待機させ、前記ラベル発行器に前記物品への前記ラベルの貼り付けを行わせる、
請求項1に記載の物品移送装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記算出した質量に応じて前記物品の振り分け先を決定する、
請求項1に記載の物品移送装置。
【請求項5】
前記ラベル発行器は、少なくとも第1ラベル発行器と第2ラベル発行器とを含み、
前記コントローラは、前記算出した質量に応じて前記物品を第1ラベル発行器および第2ラベル発行器のいずれのラベル発行器へ向わせるのかを決定する、
請求項1に記載の物品移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品移送装置に関し、特に、質量検査後の物品をダンボール箱またはコンテナへ移送するための物品移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2004−262482号公報)に開示されている商品検査装置は、包装済み商品を供給する中継コンベアに連結され、商品を上方から吸引保持する保持機構と、保持機構を垂直、旋回、前後、及び左右に移動させる移動機構とを備えている。保持機構は重量検出器を有しており、商品を引き上げて重量チェックを行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の商品検査装置は、商品に作用する重力によってロードセルが垂直方向へ変位することを利用しているので、例えば、マニピュレータやロボットハンドの先端部にロードセルを取り付けて、持ち上げた商品を移動している最中にその物品の質量を測定しようとしても、上記従来技術では対応できない。それゆえ、検査装置が測定済みの商品を保持したままラベル貼り付け位置まで移動し、さらにラベルが貼り付けられた商品を箱詰め用ダンボールなどの移送先へ移動させることはできない。
【0004】
本発明の課題は、一連の動作で移送、質量測定、及びラベル貼り付けの全てを行うことができる物品移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る物品移送装置は、搬送されてきた物品の質量を測定し、その質量を印字したラベルを供給する物品移送装置であって、ラベル発行器と、ロボットハンドと、ロボットアームと、力センサと、加速度センサと、コントローラとを備えている。ラベル発行器は、印字されたラベルを発行する。ロボットハンドは、物品を保持し、物品の移送先に物品を置く。ロボットアームは、物品をラベル発行器および移送先の順で経由するように移動させる。力センサは、ロボットハンドとロボットアームとの間に設けられ、水平方向に移動時の物品に作用する力を測定する。加速度センサは、水平方向に移動時の物品に作用する加速度を測定する。コントローラは、少なくともラベル発行器、ロボットハンドおよびロボットアームの動作を制御する。さらに、コントローラは、物品がラベル発行器へ移動するまでに物品に作用する力および加速度に基づいて物品の質量を算出し、その算出した質量を印字したラベルをラベル発行器から物品へ供給させる。
【0006】
この物品移送装置は、物品の保持、移送、質量測定、及びラベル貼り付けを行うことができる。その結果、生産工程からウェイトチェッカを撤去することができる上に、従来、ラベル発行器までの搬送に用いられていたコンベアをも撤去することができる。その結果、生産ラインの省スペース化を図ることができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る物品移送装置は、第1観点に係る物品移送装置であって、コントローラが、ロボットハンドおよびロボットアームを介して物品をラベル発行器から供給されるラベルに押し付けてラベルの貼り付けを行う。
【0008】
この物品移送装置では、ラベル発行器自身がラベルを物品に貼り付ける必要はないので、ラベル貼り付け機構が不要になる。その結果、生産ラインのさらなる省スペース化を図ることができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る物品移送装置は、第1観点に係る物品移送装置であって、コントローラが、物品をラベル発行器のラベル出口で待機させ、ラベル発行器に物品へのラベルの貼り付けを行わせる。
【0010】
この物品移送装置では、ラベル発行器がラベルを物品に貼り付けるが、ロボットハンドが物品をラベル出口で待機させるので、ラベル貼り付けが容易になる。
【0011】
本発明の第4観点に係る物品移送装置は、第1観点に係る物品移送装置であって、コントローラが、算出した質量に応じて物品の振り分け先を決定する。
【0012】
この物品移送装置は、物品の保持、移動、質量測定、ラベル貼り付け、及び、その測定値に応じた物品の振り分けができ、振り分け先にダンボール箱を配置することによって箱詰めも行うことができる。その結果、生産工程からウェイトチェッカ、箱詰め装置を撤去することができる上に、従来、ラベル発行器までの搬送に用いられていたコンベアをも撤去することができる。その結果、生産ラインの省スペース化を図ることができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る物品移送装置は、第1観点に係る物品移送装置であって、ラベル発行器が、少なくとも第1ラベル発行器と第2ラベル発行器とを含んでいる。コントローラは、算出した質量に応じて物品を第1ラベル発行器および第2ラベル発行器のいずれのラベル発行器へ向わせるのかを決定する。
【0014】
この物品移送装置では、物品の質量に応じて物品がランク分けされ、ランクごとに異なるラベル発行器でラベルの供給を受けることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る物品移送装置は、物品の保持、移送、質量測定、ラベル貼り付けを行うことができる。その結果、生産工程からウェイトチェッカ撤去することができる上に、従来、ラベル発行器までの搬送に用いられていたコンベアをも撤去することができる。その結果、生産ラインの省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る物品移送装置の概略平面図。
図2図1の物品移送装置をばね−質量系で表わしたときの当該物品移送装置の2自由度モデル。
図3】零点調整のために、ロボットハンドに何も保持させない状態で力センサおよび加速度センサから得られた検出信号を示すグラフ。
図4】スパン調整用の既知の分銅をロボットハンドに保持させた状態で力センサおよび加速度センサから得られた検出信号を示すグラフ。
図5】質量mの被測定物をロボットハンドに保持させた状態で力センサおよび加速度センサから得られた検出信号を示すグラフ。
図6】物品移送装置の制御系のブロック図。
図7】物品移送装置の力センサおよび加速度センサによって検出された信号を処理する信号処理回路図。
図8】物品移送装置が配置された箱詰め工程の平面図。
図9】第2変形例に係る物品移送装置の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
(1)物品移送装置100の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る物品移送装置100の概略平面図である。図1において、物品移送装置100は、力センサ1と、ロボットハンド2と、ロボットアーム3と、加速度センサ4とを備えている。
【0019】
力センサ1は、移動中の物品Qに作用する力を検出する。力センサ1には、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。歪みゲージ式ロードセルは、移動によって自由端側が固定端側に対して相対的に変位し、それによって自由端側に作用する力を検出することができる。
【0020】
ロボットハンド2は、物品Qを保持する。ロボットハンド2には、エアー駆動またはモータ駆動によるフィンガータイプのチャック機構が採用される。なお、ロボットハンド2は、チャック機構に限定されるものではなく、エアー吸着機構であってもよい。
【0021】
ロボットアーム3は、ロボットハンド2を3次元的に移動させる。なお、ロボットアーム3としては、例えば、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボット、あるいは、パラレルリンクロボット等が適切である。
【0022】
加速度センサ4は、物品Qに作用する加速度を検出する。加速度センサ4としては、例えば、歪みゲージ式ロードセル、MEMS型の小型加速度センサ、及び一般的な市販の加速度センサのいずれかが適宜採用される。
【0023】
なお、力センサ1はロボットハンド2とロボットアーム3との間に設けられ、加速度センサ4はロボットハンド2に隣接するように設けられる。以下で説明する実施形態では、力センサ1及び加速度センサ4ともに歪みゲージ式ロードセルが採用され、力センサ1及び加速度センサ4は水平方向に移動する物品Qに作用する力と加速度を検出する。
【0024】
(2)物品移送装置による質量測定の原理
図2は、図1の物品移送装置100をばね−質量系で表わしたときの当該質量測定装置の2自由度モデルである。
【0025】
図2において、mは物品Qの質量、M1は力センサ1の自由端側の質量とロボットハンド2の質量および加速度センサ4の固定端側の質量の和、M2は加速度センサ4の自由端側の質量である。また、k1は力センサ1のばね定数、k2は加速度センサ4のばね定数である。x1は力センサ1の変位量、x2は加速度センサ4の変位量とする。
【0026】
物品Qに加速度が作用したときの運動方程式は、
(m+M1)d21/dt2=−k1(x1−y)+k2(x1−x2) (1)
222/dt2=−k2(x2−x1) (2)
として表される。また(1)式を変形すると、
m=[−k1(x1−y)+k2(x1−x2)]/(d21/dt2)−M1(3)
となる。さらに、加速度センサ4の剛性が大きいことを考慮すると、
21/dt2≒d22/dt2 (4)
として近似できる。それゆえ、(3)及び(4)式より、
m=[−k1(x1−y)+k2(x1−x2)]/(d22/dt2)−M1(5)
が導き出される。また、(2)式を変形すると、
22/dt2=−k2(x2−x1)/M2 (6)
となるので、(5)、(6)式より、
m=[−k1(x1−y)/−k2(x2−x1)]M2+M2−M1 (7)
が導き出される。
【0027】
ここで、−k1(x1−y)は力センサ1の出力、−k2(x2−x1)は加速度センサ4の出力である。
【0028】
図3は、零点調整のために、ロボットハンド2に何も保持させない状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。図3において、力センサ1の出力のピーク値をFmz、加速度センサ4の出力のピーク値をFazとしたとき、(7)式より、
0=M2・C・(Fmz/Faz)+M2−M1 (8)
となる。但し、加速度は0でない場合を想定している。なお、Cは換算係数である。
【0029】
図4は、スパン調整用の既知の分銅をロボットハンド2に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。図4において、スパン質量をms、力センサ1の出力のピーク値をFms、加速度センサ4の出力のピーク値をFasとしたとき、(7)式より、
ms=M2・C・(Fms/Fas)+M2−M1 (9)
となる。そして、(8)−(9)式より、
C=ms/M2{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (10)
が導き出される。(10)式より、M2は固定係数として、スパン係数をSとすると、
S=C・M2=ms/{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (11)
である。
【0030】
図5は、質量mの被測定物をロボットハンド2に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。図5において、力センサ1の出力のピーク値をFm、加速度センサ4の出力のピーク値をFaとしたとき、(11)式より、
m=S{(Fm/Fa)−(Fmz/Faz)} (12)
となる。
【0031】
上記のように、物品移送装置100の質量測定方式は、物品Qを移動させ、移動時の物品Qに作用する力を移動時の物品に作用する加速度で除算して物品Qの質量を算出する方式である。
【0032】
(3)制御系
図6は、物品移送装置100の制御系のブロック図である。図6において、コントローラ40及び記憶部49を含む制御回路50には、力センサ1、ロボットハンド2、ロボットアーム3、加速度センサ4、入力部7及びディスプレイ8が電気的に接続されている。なお、力センサ1、ロボットハンド2、ロボットアーム3、及び加速度センサ4については、既に説明しているので、ここでは言及しない。
【0033】
入力部7は、物品移送装置100の始動前に、オペレータが力センサ1の定格や、被測定物の測定範囲などを入力するための機器であり、具体的には、キーボード、或いは、タッチパネルである。
【0034】
ディスプレイ8は、物品移送装置100の動作状況を逐次表示するための機器であり、力センサ1及び加速度センサ4の異常や、ロボットハンド2及びロボットアーム3の動作異常が発生したときには、エラー表示を行う。
【0035】
記憶部49は、物品移送装置100に搭載可能な力センサ1の定格、及び被測定物の質量範囲ごとに設定された被測定物に作用させるべき適用加速度を予め記憶している。
【0036】
例えば、物品移送装置100が、物品Qが搬送される工程で、「ロボットハンド2によって物品Qを保持し、ロボットアーム3によって物品Qを箱詰め位置まで移動させ、その間に質量を測定し、物品Qを箱詰めする」という動作を行う場合、オペレータは物品移送装置100の始動前に、物品Qの質量測定範囲(例えば、m±0.5g)を入力する。
【0037】
記憶部49は、予め質量m程度の物品Qの質量を測定するときに物品Qに作用させるべき最適加速度を記憶している。コントローラ40は、入力された質量測定範囲に対応する適用加速度を記憶部49から読み取り、ロボットアーム3を介して物品Qにその適用加速度を作用させ、そのときの力センサ1の出力を読み取る。なお、コントローラ40としては、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)やマイコン等が採用される。
【0038】
図7は、力センサ1及び加速度センサ4によって検出された信号を処理する信号処理回路図である。図7において、力センサ1と加速度センサ4には、それぞれ増幅器31a、31bが接続されており、これらの増幅器31a、31bは、力センサ1及び加速度センサ4から入力された検出信号を増幅する。また、増幅器31a、31bには、それぞれA/D変換器33a、33bが接続されている。そのA/D変換器33a、33bは、入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0039】
A/D変換器33a、33bには、それぞれローパスフィルタ37a、37bが接続されている。このローパスフィルタ37a、37bは、入力された検出信号から一定周波数以上のノイズ成分を除去する。また、ローパスフィルタ37a、37bは、コントローラ40に接続されている。
【0040】
コントローラ40は、入力された検出信号に基づいて各種の処理を実行する。先ず、コントローラ40は、力センサ1及び加速度センサ4の検出信号に含まれるノイズ周波数成分をローパスフィルタ37a、37bにより除去する処理を行う。そして、そのノイズ周波数成分が除去された力センサ1の検出信号を除算器41により加速度センサ4の検出信号で除算する処理を行い、その後、コントローラ40は、減算器43として機能することで、その除算結果を用いて式(12)の演算を行い、質量mを算出する処理を行う。即ち、コントローラ40は、力センサ1及び加速度センサ4の検出信号に基づいて、物品Qの質量mを算出する。
【0041】
(4)物品移送装置100の動作
図8は、物品移送装置100が配置された箱詰め工程の平面図である。図8において、箱詰め工程FAL1には、物品供給コンベア211、箱詰めコンベア221、カメラ51、第1ラベル発行器71、および第2ラベル発行器72が据え付けられている。
【0042】
物品供給コンベア211には、上流側から物品Qが搬送されてくる。物品供給コンベア211の側方には、物品供給コンベア211の上流側を進行する物品を捉えるカメラ51が配置されている。コントローラ40はカメラ51から送られてくる物品Qの画像データを基に、外観を良品および不良の2種類に選別する。
【0043】
また、物品供給コンベア211と箱詰めコンベア221との間にはスペースが確保されており、そのスペースに第1ラベル発行器71と第2ラベル発行器72が配置されている。第1ラベル発行器71から発行されるラベルの印字内容と第2ラベル発行器から発行されるラベルの印字内容とは異なる。
【0044】
また、箱詰めコンベア221は、物品Qが満杯になるまでコンテナ271を置くための荷積用コンベア部221aと、荷積済みコンテナ271を次工程へ送るための送り用コンベア部221bとで構成されている。荷積用コンベア部221aと送り用コンベア部221bとは交差しており、荷積用コンベア部221aで満杯になったコンテナ271は荷積済みコンテナ271として送り用コンベア部221b側に押し出され、送り用コンベア部221bの流れに載って次工程へ送られる。
【0045】
コントローラ40は、物品供給コンベア211を流れる物品Qをロボットハンド2に保持させて持ち上げさせる。さらに、コントローラ40は、ロボットアーム3の動作を制御して、物品Qに所定の適用加速度が作用するように移動させ、第1ラベル発行器71及び第2ラベル発行器72の手前まで物品Qを運ばせる。なお、物品移送装置100の動作、すなわち、物品の移動パターンは、オペレータによって稼動前に入力部7を介して設定されている。
【0046】
コントローラ40は、物品Qを移動させている間に、物品Qに作用する力と加速度を検出し、その力を除算器41により加速度で除算する処理を行い、その除算結果を用いて質量を算出する。
【0047】
具体例として、先ず、コントローラ40は、物品Qが第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72へ移動するまでに物品Qに作用する力および加速度に基づいて物品の質量を算出する。
【0048】
次に、コントローラ40は、外観検査結果と算出した物品Qの質量とに基づいて、外観で合格となった物品Qのうち質量が第1範囲に入ったものをLランクとして、第1範囲より小さい第2範囲に入ったものをMランクとして記憶する。
【0049】
さらに、コントローラ40は、各ランクに対応するラベル発行器(第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72)から、そのランクの物品Qの質量を印字したラベルを供給させるとともに、その質量に応じて物品Qの移送先を決定する。
【0050】
例えば、コントローラ40は、物品QがLランク品であったときは第1ラベル発行器71の手前に運び、第1ラベル発行器71から発行されるラベルに押し付けてラベルの貼り付けを行う。同様に、物品QがMランク品であったときは第2ラベル発行器72の手前に運び、第2ラベル発行器72から発行されるラベルに押し付けてラベルの貼り付けを行う。
【0051】
さらに、コントローラ40は、ラベル貼り付けが完了した物品Qをコンテナに収めるようにロボットアーム3及びロボットハンド2の動作を制御する。一般には、Lランク品とMランク品とを別個のコンテナ271に振り分けるが、本実施形態では、1つのコンテナ271内に仕切りを設けて、一方にLランク品を、他方にMランク品を振り分ける。
【0052】
また、コントローラ40は、物品Qが外観不良品であると判定したとき、或いは、物品Qの質量が許容範囲外であると判定したときは、その物品Qを不良品置場701まで移動させ、そこに一時的に貯めておく。
【0053】
このように、1台の物品移送装置100が物品Qの物品Qの保持、移送、質量検査、ラベル貼り付け、振り分け、及び箱詰めという複数の作業を担うことができるので、生産性が向上するだけでなく、生産工程の省スペース化を図ることができる。
【0054】
また、物品Qが製袋包装品である場合、従来なら物品供給コンベア211に製袋包装品のシール性を検査するシールチェッカが配置される。しかし、この物品移送装置100では、ロボットハンド2が製袋包装された物品Qを所定の力で押える動作を追加するだけで、シールチェッカの代用となる。
【0055】
原理的には、ロボットハンド2がシール性良品の物品Qを押えると、押圧開始後、力センサ1の出力はロボットハンド2の押圧力に相当する出力まで上昇し、シール性の検査中はその押圧力に相当する出力をほぼ維持する。そして、ロボットハンド2が物品Qを押えることを止めると、力センサ1の出力はすみやかに減少する。
【0056】
他方、ロボットハンド2がシール性不良品の物品Qを押えると、押圧開始後、力センサ1の出力はロボットハンド2の押圧力に相当する出力まで上昇するが、シール性不良のためにその押圧力に耐え切れず物品Qの袋内から気体(空気や不活性ガスなど)が漏れ出て力センサ1の出力が減少する。
【0057】
以上にように、1台の物品移送装置100は、物品Qの物品Qの保持、移送、質量検査、振り分け、及び箱詰めという複数の作業に加えて、シールチェックをも行なうことができる。
【0058】
(5)特徴
(5−1)
物品移送装置100は、力センサ1と、ロボットハンド2と、ロボットアーム3と、加速度センサ4と、コントローラ40と、第1ラベル発行器71と、第2ラベル発行器72とを備えている。第1ラベル発行器71及び第2ラベル発行器72は、印字されたラベルを発行する。力センサ1は、ロボットハンド2とロボットアーム3との間に設けられ、移動時の物品Qに作用する力を測定する。ロボットハンド2は、物品Qを保持し、物品Qの移送先に物品を置く。ロボットアーム3は、物品Qを第1ラベル発行器71(又は、第2ラベル発行器72)およびコンテナ271の順で経由するように移動させる。加速度センサ4は、移動時の物品Qに作用する加速度を測定する。コントローラ40は、物品Qが第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72へ移動するまでに物品Qに作用する力および加速度に基づいて物品の質量を算出し、その算出した質量を印字したラベルを対応するラベル発行器(第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72)から物品Qへ供給させるとともに、算出した質量に応じて物品Qの移送先を決定する。
【0059】
この物品移送装置は、物品Qの保持、移送、質量測定、ラベル貼り付け、及び、その測定値に応じた物品Qの振り分けができ、振り分け先にダンボール箱を配置することによって箱詰めも行うことができる。その結果、生産工程からウェイトチェッカ、箱詰め装置を撤去することができる上に、従来、ラベル発行器までの搬送に用いられていたコンベアをも撤去することができる。その結果、生産ラインの省スペース化を図ることができる。
【0060】
(5−2)
物品移送装置100では、コントローラ40が、ロボットハンド2およびロボットアーム3を介して物品Qを第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72から供給されるラベルに押し付けてラベルの貼り付けを行う。つまり、第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72自身がラベルを物品Qに貼り付ける必要はないので、ラベル貼り付け機構が不要になる。その結果、生産ラインのさらなる省スペース化を図ることができる。
【0061】
(5−3)
物品移送装置100では、コントローラ40が、算出した質量に応じて物品Qを第1ラベル発行器71及び第2ラベル発行器72のいずれのラベル発行器へ向わせるのかを決定する。例えば、物品の質量に応じて物品がランク分けされる場合、ランクごとに異なるラベル発行器でラベルの供給を受けることが可能となる。
【0062】
(6)変形例
(6−1)第1変形例
上記実施形態では、物品Qを第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72から供給されるラベルに押し付けてラベルの貼り付けを行っているが、これに限定されるものではない。
【0063】
例えば、第1変形例に係る物品移送装置100では、コントローラ40が、物品Qを第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72のラベル出口で待機させ、ラベル発行器自身に物品Qへのラベルの貼り付けを行わせる。
【0064】
つまり、第1ラベル発行器71又は第2ラベル発行器72がラベルを物品Qに貼り付けるが、ロボットハンド2が物品Qをラベル出口で待機させるので、ラベル貼り付けが容易になる。
【0065】
(6−2)第2変形例
図9は、第2変形例に係る物品移送装置150の概略斜視図である。図9において、物品移送装置150は、力センサ11と、ロボットハンド12と、ロボットアーム13と、加速度センサ14とを備えている。なお、力センサ11および加速度センサ14は、上記実施形態の力センサ1と加速度センサ4と同等であるので、説明を省略する。
【0066】
ロボットハンド12は、物品Qを保持する。ロボットハンド12は、エアー吸着機構である。ロボットアーム13は、ロボットハンド2を三次元的に移動させる。また、ロボットアーム13は、所定の回転軸CAを中心にしてCW方向およびCCW方向に回転することもできる。
【0067】
なお、力センサ11はロボットハンド12とロボットアーム13との間に設けられ、加速度センサ14はロボットハンド12に隣接するように設けられる。この第2変形例では、力センサ11及び加速度センサ14ともに歪みゲージ式ロードセルが採用され、力センサ11及び加速度センサ14は水平方向に移動する物品Qに作用する力と加速度を検出する。
【0068】
上記実施形態に係る物品移送装置100と第2変形例に係る物品移送装置150との違いは、物品Qを保持する機構が上記実施形態に係る物品移送装置100ではチャック機構であったのに対し、第2変形例に係る物品移送装置150ではエアー吸着機構となった点である。
【0069】
基本的に、第2変形例に係る物品移送装置150も上記実施形態に係る物品移送装置100と同様の動作を行なうことができるが、加えて、物品Qを保持できたか否かの確認を行うことができる。
【0070】
物品Qが製袋包装品である場合、第2変形例に係る物品移送装置150では、ロボットハンド12が製袋包装された物品Qを吸着する際に適切に物品Qを保持できたか否かの確認を行う。ロボットハンド2が物品Qを保持する際に袋状物品の吸着に失敗すると、吸着圧が適正値に達しなかったり急激に降下したりするので、物品Qの保持の失敗が判明する。したがって、ロボットハンド12を物品の表面を吸着するエアー吸着機構とすることによって、物品の保持搬送の確実化を図ることができる。
【0071】
以上にように、1台の物品移送装置は、物品Qの質量検査、移動、ラベル貼り付け、移送、及び箱詰めという複数の作業に加えて、シールチェックをも行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明に係る物品移送装置は、質量検査装置、ラベル貼り付け器、箱詰め装置及びシールチェッカとしても有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 力センサ
2 ロボットハンド
3 ロボットアーム
4 加速度センサ
40 コントローラ
71 第1ラベル発行器
72 第2ラベル発行器
100 物品移送装置
Q 物品
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2004−262482号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9