特許第5968680号(P5968680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968680
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】門扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 11/02 20060101AFI20160728BHJP
   E05F 1/10 20060101ALI20160728BHJP
   E05D 11/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   E06B11/02 M
   E05F1/10
   E05D11/06
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-118652(P2012-118652)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-245447(P2013-245447A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】松村 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷井 俊吾
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−086173(JP,A)
【文献】 実開昭51−062160(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/00−11/08
E05D 11/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、アームと、仕切体と、ブラケットとを備え、アームの先端部に仕切体を取り付けてあり、アームの基端部にブラケットを取り付けてあり、ブラケットは、水平に配置した回転軸により支柱に対して回転自在に取り付けてあって、回転軸を挟んで二つの当接部を有しており、支柱は、二つのストッパを有しており、回転軸の回転により仕切体が開閉し、仕切体の全閉時に、当接部が回転軸中心から離隔した位置でストッパに当接するものであり、ストッパの当接部に接する部分が先細形状であることを特徴とする門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跳ね上げ形式の門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉体を上下に動かして開閉する跳ね上げ形式の門扉があり、駐車場の出入口などに多く設置されている。このような門扉の例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。この門扉は、一対の支柱及びアームと、扉体とを備え、各アームの基端が各支柱に回転自在に軸支されていて、両アームの先端に扉体を横架させてあり、アームの回転により扉体を昇降させて開閉するものである。
【0003】
ところで、このような門扉においては、全閉時において、扉体に所定の鉛直荷重が作用した場合にも、使用上支障がないような強度が求められるが、この荷重を回転軸のみで受けると、回転機構に損傷を生じるおそれがある。そこで、特許文献1の門扉では、支柱にストッパ部材を取り付け、アームをストッパ部材に当接させて荷重を受けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−86173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の門扉では、各支柱に取り付けた単一のストッパ部材で荷重を受けているため、必要強度が大きくなってストッパ部材の外形が大きくなり、意匠性を損なうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、荷重に対して十分な強度を有し、かつ意匠性が良好な跳ね上げ形式の門扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、支柱と、アームと、仕切体と、ブラケットとを備え、アームの先端部に仕切体を取り付けてあり、アームの基端部にブラケットを取り付けてあり、ブラケットは、水平に配置した回転軸により支柱に対して回転自在に取り付けてあって、回転軸を挟んで二つの当接部を有しており、支柱は、二つのストッパを有しており、回転軸の回転により仕切体が開閉し、仕切体の全閉時に、当接部が回転軸中心から離隔した位置でストッパに当接するものであり、ストッパの当接部に接する部分が先細形状であることを特徴とする。なお、アームの先端部及び基端部について、先端部には、先端及びその近傍を含み、基端部には、基端及びその近傍を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二つのストッパで荷重を受けることにより、ストッパが一つの場合と比べて、各ストッパにかかる荷重は半分になる。また、当接部が回転軸中心から離隔した位置でストッパに当接するので、モーメントアームが長くなり、各ストッパにかかる荷重はさらに小さくなる。よって、ストッパの必要強度が小さくなるのでストッパの外形を小さくすることができ、十分な強度を有しつつ意匠性が良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】全開時におけるブラケット部分を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図2】全閉時におけるブラケット部分の側面図である。
図3】門扉の正面図であり、(a)は全開時、(b)は全閉時である。
図4】門扉の縦断面図(図3のA−A線断面図)である。
図5】アーム(先端側部材)の断面図(図4のB−B線断面図)である。
図6】全開時における収納カバー部分を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図7】全閉時における収納カバー部分の側面図である。
図8】連結部材部分のコードの取り回しの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この門扉は、図3に示すように、駐車場の出入口に設置するものであって、特にオープン外構の住宅の駐車場を想定したものである。なお、以下において左右とは図3における左右を示し、前後とは図3における手前側及び奥側を示すものとする。また、特に示す場合を除き、図3(a)のようにアーム2が垂直上向きの状態を基準として説明する。図3及び図4に示すように、門扉は、二本の支柱1及びアーム2と、仕切体3とを備える。支柱1は、自動車C二台分の間隔を開けて左右に立設されており、断面略長方形の形材からなるものであって、左右幅よりも前後幅が長い。そして、支柱1の内側面(左側の支柱1の右側面及び右側の支柱の左側面)に、アーム2が取り付けられている。アーム2は、基端部を回転中心として回転自在に取り付けられており、図1に示すように、基端側部材2aと、先端側部材2bと、連結部材2cからなる。基端側部材2aと先端側部材2bは、何れも形材からなるものであり、基端側部材2aは断面略長方形で、左右幅よりも前後幅が長い。一方、先端側部材2bは断面略正方形であって、図5に示すように、内側面に凹んだ手掛部23を形成してある。手掛部23の前側端からは後側に延びる把持部24が突出しており、手で掴みやすくなっている。従来、このような手掛部はアームから突出するように別途取り付けられており、意匠性が損なわれていたが、本実施形態ではアーム2の側面を掘り込む形状となっており、意匠性が良好である。そして、基端側部材2aの前後幅は先端側部材2bの前後幅と略等しく、先端側部材2bの左右幅は支柱1の左右幅と略等しい。また、連結部材2cは、左右に延びる板状のものであって、内側端の下面と、外側端の上面に、取付部21を形成してある。そして、内側端下面の取付部21を基端側部材2aの先端に挿入し、外側端上面の取付部21を先端側部材2bの基端に挿入して、それぞれボルト止めしてある。このように構成したアーム2は、正面視するとクランク状に折れ曲がっており(図3(a))、側面視すると直線状である(図4)。さらに、左右のアーム2の先端に、仕切体3が横架されている。仕切体3は二つの形材を組み合わせて断面凹形に形成されており、凹部31が前側を向いている。仕切体3の前後幅は、アーム2の前後幅と略等しい。そして、凹部31内の左右二箇所にLED光源32が取り付けられている。
【0011】
このように構成した門扉において、アーム2は、垂直上向きの状態(図3(a))から、水平前向きの状態(図3(b))まで自在に回転し、仕切体3を上下動させて開閉する。アーム2を垂直上向きにした状態が全開状態であり、自動車Cの出し入れが可能となる。また、全開状態ではLED光源32が前側を向き、正面を照らす。なお、この状態においては、アーム2の先端側部材2bが支柱1の直上に位置し、さらに支柱1と先端側部材2bは左右幅が略等しいので、正面視すると、支柱1と先端側部材2bが一本の柱状に見える。よって、全開時には、二本の支柱1及び先端側部材2bと仕切体3が、一連の門形形状を構成するように見える。一方、アーム2を水平前向きにした状態が全閉状態であり、自動車Cの出し入れは不可能となり、仕切体3に仕切られることによる心理的な防犯効果も得られる。また、全閉状態ではLED光源32が下側を向き、足元を照らす。なお、この門扉は、全開時及び全閉時の何れにおいても視線を遮断しない開放的な外観であるから、オープン外構の住宅への設置に適している。
【0012】
次に、支柱1に対するアーム2の取り付け部分について詳述する。アーム2(基端側部材2a)の基端には、ブラケット4が取り付けられている。図1に示すように、ブラケット4は、略円盤形状の本体41を有しており、本体41は垂直に起立する向きであって、本体41の上部に取付部42を形成してあり、取付部42を基端側部材2aの基端に挿入してボルト止めしてある。そして、本体41の中心には、支柱1の内側面から水平向きに突出する回転軸5が固定されており、ブラケット4が水平軸周りに回転自在(すなわち、アーム2が回転自在)となっている。なお、回転軸5は、支柱1内部に設けた回転機構(図示省略)により回転するものである。また、本体41の外側面(支柱1の内側面に対向する面)には、当接部6a,6bが形成されている。当接部6a,6bは、本体41の中心から上下に延びるブロック状のもので、本体41と一体になって回転する。さらに、本体41に対向する支柱1の内側面には、二つのストッパ7a,7bが取り付けられている。ストッパ7a,7bはブロック状のもので、回転軸5に対して前側下方と後側上方に位置している。そして、前側下方のストッパ7aは上端部が先細形状となっており、後側上方のストッパ7bは下端部が先細形状となっている。このように構成した当接部6a,6bとストッパ7a,7bは、全開時においては互いに接触しない(図1(b))。そして、全閉時には、図2に示すように、全開時に上側に位置していた当接部6aが前側下方のストッパ7aに当接し、全開時に下側に位置していた当接部6bが後側上方のストッパ7bに当接する。この際、先細形状のストッパ7a,7bの先端部分が、当接部6a,6bの先端部分(回転軸5の中心から最も離隔した位置)のみに接する。当接部6a,6bがストッパ7a,7bに当接することで、ブラケット4(アーム2)はそれ以上回転することができなくなり、その状態から仕切体3をさらに押し下げる向きに働く荷重は、二つのストッパ7a,7bで受けることになる。
【0013】
このように、二つのストッパ7a,7bで荷重を受けることにより、ストッパが一つの場合と比べて、各ストッパ7a,7bにかかる荷重は半分になる。また、当接部6a,6bが回転軸5の中心から離隔した位置でストッパ7a,7bに当接するので、モーメントアームが長くなり、各ストッパ7a,7bにかかる荷重はさらに小さくなる。なお、ストッパ7a,7bの当接部6a,6bに接する部分を先細形状とすることで、ストッパ7a,7bを当接部6a,6bの先端部分のみに当接させて、モーメントアームが長くなるようにしてある。これらによって、ストッパ7a,7bの必要強度が小さくなるのでストッパ7a,7bの外形を小さくすることができ、十分な強度を有しつつ意匠性が良好なものとなる。
【0014】
次に、コード81の収納カバー8について説明する。上記のとおり、仕切体3にLED光源32が取り付けられているが、このLED光源32の電源は支柱1内に納められており(図示省略)、LED光源32と電源がコード81で接続されている。このコード81は、支柱1内からアーム2内及び仕切体3内を経由してLED光源32に至るものであるが、アーム2が回転自在であるため、支柱1とアーム2の間でコード81が露出しないように、収納カバー8が設けられている。図6に示すように、収納カバー8は、支柱1の内側面に取り付けられており、回転軸5の後側上方から前側に直線状に延び、回転軸5の上側から前側までは円弧状に延びる形状となっている。円弧状の部分は、ブラケット4の本体41の外側面と近接して対向している。そして、収納カバー8に覆われた支柱1の内側面のうち、収納カバー8の後側端部にあたる位置に貫通孔11が形成されており、支柱1内のコード81が貫通孔11から収納カバー8内に進入する。また、収納カバー8の前側の円弧状の部分の内側面には、円弧に沿った貫通溝82が形成されている。そして、アーム2の基端側部材2aの外側面の、貫通溝82に対向する位置に、貫通孔22が形成されており、収納カバー8内のコード81が貫通溝82を通って貫通孔22からアーム2内に進入する。なお、図6及び図7に示すように、この基端側部材2aの貫通孔22は、アーム2が回転しても、常に貫通溝82に対向するものであり、全開時には貫通溝82の上側端に対向し、全閉時には貫通溝82の下側端に対向する。また、コード81のうち収納カバー8内に納められた部分は、伸縮自在ないわゆるカールコードになっている。よって、コード81はアーム2の回転に伴って伸縮し、全開時(図6)、全閉時(図7)及びその中間状態の何れの状態においても、コード81が収納カバー8に覆われて露出しない。なお、アーム2の基端側部材2aと先端側部材2bとを連結する連結部材2c部分においては、連結部材2cの内部に孔を開けてコード81を通すようにしてもよいし、図8に示すように、連結部材2cの下面にコード81を露出させ、この露出した部分をカバー部材83で覆うようにしてもよい。
【0015】
また、この門扉は、アーム2を全開状態又は全閉状態でロックするためのロック機構9を備える。ロック機構9は、ブラケット4に取り付けたロックピン91と、支柱1に固定した受部92からなる。図6に示すように、ブラケット4は、本体41の下部に突出する突出部43を有しており、突出部43には、左右方向に貫通する挿入孔44が形成されている。この挿入孔44に内側からロックピン91が挿入されている。また、挿入孔44の下部には、ボール93とバネ94が組み込まれており、バネ94がボール93をロックピン91に向けて下側から押圧している。ロックピン91の周囲には溝が形成されており、ボール93が溝に嵌まることでロックピン91を位置決めしている。一方、受部92は、回転軸5の下側から後側に延びる円弧状のブロックであり、両端部にロックピン91を受ける係合凹部95が形成されている。下側の係合凹部95は前側に開口し、後側の係合凹部95は上側に開口している。このように構成したロック機構9においては、全開時にロックピン91を押し込むと、ロックピン91が受部92の下側の係合凹部95に係合し、アーム2が回転できなくなって、全開状態でロックされる。一方、全閉時にロックピン91を押し込むと、ロックピン91が受部92の後側の係合凹部95に係合し、アーム2が回転できなくなって全閉状態でロックされる。このように、ロックピン91を押し引きするだけで、容易にロック状態と非ロック状態を切り替えることができる。
【0016】
なお、図4に示すように、仕切体3には、前側面と下側面のみに、塩化ビニルによるラミネートLを施してある(ハッチングで図示した部分)。このラミネートLを施した面は、全開時には前側から視認できるが、全閉時には、下側面と後側面になるので、前側からはほとんど視認できなくなる。よって、全開時と全閉時とで門扉の表情を変えることができる。
【0017】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、仕切体は、本実施形態のような形材からなるもののほか、棒状や板状のもの、あるいは格子状のものや全閉時に視線を遮断するパネル状のものなど、何らかの形で境界を仕切ることができるものであればよい。この仕切体は、たとえ上を乗り越えたり下を潜ったりすることが容易なものであっても、心理的な防犯効果を得ることができる。また、ブラケットは、アームと一体に形成されるものであってもよいし、ストッパは、支柱と一体に形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 支柱
2 アーム
3 仕切体
4 ブラケット
5 回転軸
6a,6b 当接部
7a,7b ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8