特許第5968698号(P5968698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968698
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   H02N11/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-147731(P2012-147731)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-11898(P2014-11898A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】金 允護
(72)【発明者】
【氏名】山中 暁
(72)【発明者】
【氏名】金 周永
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕久
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠親
(72)【発明者】
【氏名】武田 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】山田 昇
(72)【発明者】
【氏名】新原 晧一
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−332266(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/111099(WO,A1)
【文献】 特開2007−288923(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0175392(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度が経時的に上下する熱源と、
前記熱源の温度変化により温度が経時的に上下され、電気分極する第1デバイスと、
前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスとを備え、
前記第2デバイスは、
互いに異なる極性を有する第1電極および第2電極を備え、
前記第1電極は、
前記第1デバイスを外側から挟むように対向配置され、互いに電気的に接続されている2つの外側電極を備え、
前記第2電極は、
2つの前記外側電極の間において、前記第1デバイス内に配置される内側電極を備えていることを特徴とする、発電システム。
【請求項2】
前記第1電極は、さらに、2つの前記外側電極の間において、前記外側電極と電気的に接続され、前記第1デバイス内に配置される少なくとも1つの内側電極を備え、
前記第2電極は、互いに電気的に接続される複数の前記内側電極を備え、
前記第1デバイス内において、前記第1電極の前記内側電極と、前記第2電極の前記内側電極とが、交互に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システム、詳しくは、自動車などの車両に搭載される発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車エンジンなどの内燃機関や、ボイラー、空調設備などの熱交換器、発電機、モータなどの電動機関、照明などの発光装置などの各種エネルギー利用装置では、例えば、排熱、光などとして、多くの熱エネルギーが放出および損失されている。
【0003】
近年、省エネルギー化の観点から、放出される熱エネルギーを回収し、エネルギー源として再利用することが要求されている。そのようなシステムとして、具体的には、例えば、温度が経時的に上下する熱源と、その熱源の温度変化に応じて、ピエゾ効果、焦電効果、ゼーベック効果などにより電気分極する第1デバイスと、第1デバイスから電力を取り出すため、第1デバイスを挟むように対向配置される第2デバイス(電極など)とを備える発電システムが提案されており、さらに、そのような発電システムにおいて、第1デバイスと第2デバイスとを交互に積層して用いることが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−250675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、このような発電システムとしては、さらに優れた発電性能が要求される場合があり、また、発電システムを限られたスペース内、例えば、自動車内などに設置する場合には、省スペース化が要求される場合がある。
【0006】
本発明の目的は、優れた効率で発電することができ、省スペース化を図ることができる発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の発電システムは、温度が経時的に上下する熱源と、前記熱源の温度変化により温度が経時的に上下され、電気分極する第1デバイスと、前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスとを備え、前記第2デバイスは、互いに異なる極性を有する第1電極および第2電極を備え、前記第1電極は、前記第1デバイスを外側から挟むように対向配置され、互いに電気的に接続されている2つの外側電極を備え、前記第2電極は、2つの前記外側電極の間において、前記第1デバイス内に配置される内側電極を備えていることを特徴としている。
【0008】
このような発電システムでは、第2デバイスが、第1デバイスを外側から挟むように対向配置され、互いに電気的に接続されている2つの外側電極を備える第1電極と、2つの外側電極の間において、第1デバイス内に配置される内側電極を備える第2電極とを備えている。
【0009】
そのため、このような発電システムでは、一方の外部電極および内側電極の間と、他方の外部電極および内側電極の間との少なくとも2つの部分において、第1デバイスにより発電することができる。このような発電システムによれば、例えば、内側電極を設けることなく、互いに別体として2つの外側電極を設け、その間のみで第1デバイスにより発電する場合に比べて、発電効率の向上を図ることができる。
【0010】
その結果、このような発電システムによれば、例えば、同程度のサイズの発電システムであれば、第1デバイスを挟むように第2デバイスを配置し、かつ、第1デバイス内に第2デバイスを配置しない場合に比べ、高い出力を得ることができる。また、発電システムを小型化しても、第1デバイスを挟むように第2デバイスを配置し、かつ、第1デバイス内に第2デバイスを配置しない場合と同程度の出力を得ることができ、省スペース化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の発電システムでは、前記第1電極は、さらに、2つの前記外側電極の間において、前記外側電極と電気的に接続され、前記第1デバイス内に配置される少なくとも1つの内側電極を備え、前記第2電極は、互いに電気的に接続される複数の前記内側電極を備え、前記第1デバイス内において、前記第1電極の前記内側電極と、前記第2電極の前記内側電極とが、交互に配置されていることが好適である。
【0012】
このような発電システムでは、第1デバイス内において、第1電極の内側電極と、第2電極の内側電極とが、交互に配置されているので、発電効率をより一層向上させることができる。そのため、より高い出力を得ることができ、また、省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発電システムによれば、発電効率の向上を図ることができるので、より高い出力を得ることができ、また、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図2図2は、本発明の発電システムに用いられる第1デバイスおよび第2デバイスの一実施形態を示す拡大概略構成図である。
図3図3は、本発明の発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図である。
図4図4は、本発明の発電システムに用いられる第1デバイスおよび第2デバイスの他の実施形態を示す拡大概略構成図である。
図5】実施例1における温度条件を示すグラフである。
図6】実施例1において得られた発電電圧を示すグラフである。
図7】比較例1における温度条件を示すグラフである。
図8】比較例1において得られた発電電圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の発電システムの一実施形態を示す概略構成図、図2は、本発明の発電システムに用いられる第1デバイスおよび第2デバイスの一実施形態を示す拡大概略構成図である。
【0016】
図1において、発電システム1は、温度が経時的に上下する熱源2と、熱源2の温度変化により電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4とを備えている。
【0017】
熱源2としては、温度が経時的に上下する熱源であれば、特に制限されないが、例えば、内燃機関、発光装置などの各種エネルギー利用装置が挙げられる。
【0018】
内燃機関は、例えば、車両などの動力を出力する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
【0019】
このような内燃機関では、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施され、燃料が燃焼され、動力が出力されている。
【0020】
このような内燃機関において、排気工程では、高温の排気ガスが、排気ガス管を介して排気され、その排気ガスを熱媒体として熱エネルギーが伝達され、排気ガス管の内部温度が上昇する。
【0021】
一方、その他の工程(排気工程を除く工程)では、排気ガス管中の排気ガス量が低減されるため、排気ガス管の内部温度は、排気工程に比べて、下降する。
【0022】
このように、内燃機関の温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
【0023】
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、内燃機関における各気筒の排気ガス管の内部は、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0024】
発光装置は、点灯(発光)時には、例えば、赤外線、可視光などの光を熱媒体として、その熱エネルギーにより温度上昇し、一方、消灯時には温度低下する。そのため、発光装置は、経時的に、点灯(発光)および消灯することにより、その温度が経時的に上下する。
【0025】
とりわけ、例えば、発光装置が、経時的に照明の点灯および消灯が断続的に繰り返される発光装置(明滅(点滅)式の発光装置)である場合には、その発光装置は、点灯(発光)時における光の熱エネルギーにより、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0026】
また、熱源2としては、さらに、例えば、複数の熱源を備え、それら複数の熱源間の切り替えにより、温度変化を生じることもできる。
【0027】
より具体的には、例えば、熱源として、低温熱源(冷却材など)と、その低温熱源より温度の高い高温熱源(例えば、加熱材など)との2つの熱源を用意し、経時的に、それら低温熱源および高温熱源を、交互に切り替えて用いる形態が挙げられる。
【0028】
これにより、熱源としての温度を、経時的に上下させることができ、とりわけ、低温熱源および高温熱源の切り替えを、周期的に繰り返すことにより、周期的に温度変化させることができる。
【0029】
切り替え可能な複数の熱源を備える熱源2としては、特に制限されないが、例えば、燃焼用低温空気供給系、蓄熱式熱交換器、高温ガス排気系、および、供給/排気切替弁を備えた高温空気燃焼炉(例えば、再公表96−5474号公報に記載される高温気体発生装置)、例えば、高温熱源、低温熱源および水素吸蔵合金を用いた海水交換装置(水素吸蔵合金アクチュエータ式海水交換装置)などが挙げられる。
【0030】
これら熱源2としては、上記熱源を単独使用または2種類以上併用することができる。
【0031】
熱源2として、好ましくは、経時により周期的に温度変化する熱源が挙げられる。
【0032】
また、熱源2として、好ましくは、内燃機関が挙げられる。
【0033】
第1デバイス3は、熱源2の温度変化に応じて電気分極するデバイスである。
【0034】
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
【0035】
このような第1デバイス3として、より具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極するデバイス、焦電効果により電気分極するデバイスなどが挙げられる。
【0036】
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
【0037】
このようなピエゾ効果により電気分極する第1デバイス3としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
【0038】
第1デバイス3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、体積膨張が抑制された状態において、熱源2の熱を授受し、加熱および/または冷却されるように、配置される。
【0039】
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2デバイス4(例えば、電極など)を用いることもできる。
【0040】
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、熱源2の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
【0041】
このとき、ピエゾ素子は、固定部材により体積膨張が抑制されているため、ピエゾ素子は、固定部材に押圧され、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、ピエゾ素子から電力が取り出される。
【0042】
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
【0043】
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
【0044】
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
【0045】
焦電効果は、例えば、絶縁体(誘電体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて絶縁体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
【0046】
第1効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、絶縁体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
【0047】
また、第2効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
【0048】
このような焦電効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
【0049】
第1デバイス3として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、熱源2の熱を授受し、加熱および/または冷却されるように、配置される。
【0050】
このような場合において、焦電素子は、熱源2の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
【0051】
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
【0052】
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、焦電素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
【0053】
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
【0054】
これら第1デバイス3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0055】
このような第1デバイス3として、具体的には、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO、CaTiO、(CaBi)TiO、BaNdTi14、BaSmTi12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムテトラボレート(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)などを用いることができる。
【0056】
第1デバイス3のキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
【0057】
また、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
【0058】
このような発電システム1では、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、第1デバイス3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
【0059】
なお、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))は、熱源2の温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
【0060】
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
【0061】
このような第1デバイス3は、必要により第2デバイス4(後述)を介して、熱源2に接触するか、または、熱源2の熱を伝達する熱媒体(上記した排気ガス、光など)に接触(曝露)されるように配置される。
【0062】
図1において、第2デバイス4は、第1デバイス3から電力を取り出すために設けられる。
【0063】
このような第2デバイス4は、電極(例えば、銅電極、銀電極など)、および、電極に接続される導線を備えており、第1デバイス3に接触するように配置されている。
【0064】
より具体的には、第2デバイス4は、図2に示すように、互いに異なる極性を有する第1電極8および第2電極9を備えている。
【0065】
第1電極8は、2つの外側電極21を備えており、それら外側電極21は、第1デバイス3を外側(表面および裏面の両側)から挟むように対向配置され、互いに電気的に接続されている。
【0066】
より具体的には、第1電極8は、第1デバイス3の延びる方向と直交する方向に沿うように設けられる底部22と、底部22の両端縁から長手方向一方側に向かって延設される2つの壁部23とを備える断面視略コ字状に形成されている。また、第1電極8において、2つの壁部23は、外側電極21として、第1デバイス3の表面および裏面に接触するように配置されている。また、底部22は、2つの外側電極21を電気的に接続するとともに、第1デバイス3の長手方向他方側(壁部23が延設される一方側に対する他方側)の端部に接触するように配置されている。
【0067】
第2電極9は、2つの外側電極21の間において、第1デバイス3内に配置される内側電極24を備えている。
【0068】
具体的には、内側電極24は、対向配置される2つの外側電極21の間において、それら外側電極21と平行に延びるように形成され、長手方向一方側端部が第1デバイス3から突出し、また、長手方向他方側端部が、底部22に接触しないように、第1デバイス3に埋設されている。
【0069】
また、第1電極8および第2電極9には、図2において破線で示すように、導線(第2デバイス4)などが電気的に接続されている。
【0070】
そして、図1に示す発電システム1では、その第2デバイス4が、昇圧器5、交流/直流変換器(AC−DCコンバーター)6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
【0071】
このような発電システム1により、発電するには、例えば、まず、熱源2の温度を経時的に上下、好ましくは、周期的に温度変化させ、その熱源2により、第1デバイス3を、加熱および/または冷却する。そして、このような温度変化に応じて、上記した第1デバイス3を、好ましくは、周期的に電気分極させる。
【0072】
その後、第2デバイス4を介することにより、電力を、第1デバイス3の周期的な電気分極に応じて周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出す。
【0073】
このような発電システム1において、熱源2の温度は、高温状態における温度が、例えば、200〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、100〜800℃、好ましくは、200〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
【0074】
また、それら高温状態と低温状態との繰り返し周期は、例えば、10〜400サイクル/秒、好ましくは、30〜100サイクル/秒である。
【0075】
そして、このようにして発電システム1により取り出された電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)の状態で昇圧する。昇圧器5としては、交流電圧を、例えば、コイル、コンデンサなどを用いた簡易な構成により、優れた効率で昇圧できる昇圧器が、用いられる。
【0076】
次いで、昇圧器5において昇圧された電力を、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。
【0077】
このような発電システム1によれば、温度が経時的に上下する熱源2を用いるため、変動する電圧(例えば、交流電圧)を取り出すことができ、その結果、一定電圧(直流電圧)として取り出す場合に比べて、簡易な構成により、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
【0078】
また、熱源2が、周期的に温度変化する熱源であれば、電力を、周期的に変動する波形として取り出すことができ、その結果、簡易な構成により、より優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
【0079】
とりわけ、このような発電システム1では、第2デバイス4が、第1デバイス3を外側から挟むように対向配置され、互いに電気的に接続されている2つの外側電極21を備える第1電極8と、2つの外側電極21の間において、第1デバイス3内に配置される内側電極24を備える第2電極9とを備えている。
【0080】
そのため、このような発電システム1では、一方の外部電極21および内側電極24の間と、他方の外部電極21および内側電極24の間との少なくとも2つの部分において、第1デバイス3により発電することができる。このような発電システム1によれば、例えば、内側電極24を設けることなく、互いに別体として2つの外側電極21を設け、その間のみで第1デバイス3により発電する場合に比べて、発電効率の向上を図ることができる。
【0081】
その結果、このような発電システム1によれば、例えば、同程度のサイズの発電システム1であれば、第1デバイス3を挟むように第2デバイス4を配置し、かつ、第1デバイス3内に第2デバイス4を配置しない場合に比べ、高い出力を得ることができる。また、発電システム1を小型化しても、第1デバイス3を挟むように第2デバイス4を配置し、かつ、第1デバイス3内に第2デバイス4を配置しない場合と同程度の出力を得ることができ、省スペース化を図ることができる。
【0082】
図3は、本発明の発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図である。
【0083】
図3において、自動車10は、内燃機関11、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を備えている。
【0084】
内燃機関11は、エンジン16、および、エキゾーストマニホールド17を備えている。
【0085】
エンジン16は、多気筒(4気筒型)多サイクル(4サイクル)方式のエンジンであって、各気筒に、エキゾーストマニホールド17の分岐管18(後述)の上流側端部が接続されている。
【0086】
エキゾーストマニホールド17は、エンジン16の各気筒から排出される排気ガスを収束するために設けられる排気多岐管であって、エンジン16の各気筒に接続される複数(4つ)の分岐管18(これらを区別する必要がある場合には、図3の上側から順に、分岐管18a、分岐管18b、分岐管18cおよび分岐管18dと称する。)と、それら分岐管18の下流側において、各分岐管18を1つに統合する集気管19とを備えている。
【0087】
また、各分岐管18は、その流れ方向途中において、箱型空間20を、それぞれ1つ備えている。箱型空間20は、分岐管18に連通するように介装される略直方体状の空間であって、その内側において、上記した第1デバイス3および第2デバイス4を備えている。
【0088】
このようなエキゾーストマニホールド17では、分岐部18の上流側端部が、それぞれ、エンジン16の各気筒に接続されるとともに、分岐管18の下流側端部と集気管19の上流側端部とが接続されている。また、集気管19の下流側端部は、触媒搭載部12の上流側端部に接続されている。
【0089】
触媒搭載部12は、例えば、触媒担体およびその担体上にコーティングされる触媒を備えており、内燃機関11から排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)などの有害成分を浄化するために、内燃機関11(エキゾーストマニホールド17)の下流側端部に接続されている。
【0090】
エキゾーストパイプ13は、触媒搭載部12において浄化された排気ガスをマフラー14に案内するために設けられており、上流側端部が触媒搭載部12に接続されるとともに、下流側端部がマフラー14に接続されている。
【0091】
マフラー14は、エンジン16(とりわけ、爆発工程)において生じる騒音を、静音化すために設けられており、その上流側端部がエキゾーストパイプ13の下流側端部に接続されている。また、マフラー14の下流側端部は、排出パイプ15の上流側端部に接続されている。
【0092】
排出パイプ15は、エンジン16から排出され、エキゾーストマニホールド17、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13およびマフラー14を順次通過し、浄化および静音化された排気ガスを、外気に放出するために設けられており、その上流側端部がマフラー14の下流側端部に接続されるとともに、その下流側端部が、外気に開放されている。
【0093】
そして、この自動車10は、図3において点線で示すように、発電システム1を搭載している。
【0094】
発電システム1は、上記したように、熱源2、第1デバイス3および第2デバイス4を備えている。
【0095】
すなわち、この発電システム1では、熱源2として、内燃機関11のエンジン16が用いられており、また、分岐管18の箱型空間20内には、第1デバイス3および第2デバイス4が配置されている。
【0096】
より具体的には、箱型空間20内において、第2デバイス4の外側電極21(底部22)側が、流れ方向上流側に配置され、一方、内側電極24が、流れ方向下流側に配置されるとともに、それら第2デバイス4に、第1デバイス3が接触配置されている。また、これら第1デバイス3および第2デバイス4は、図示しない固定部材により、固定されている。
【0097】
また、発電システム1は、図示しない第2デバイス4(例えば、導線など)を介して、図3に示すように、昇圧器5、交流/直流変換器6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
【0098】
そして、このような自動車10では、エンジン16の駆動により、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返され、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が順次実施され、その温度が経時的に上下される。
【0099】
より具体的には、例えば、分岐管18aに接続される気筒、および、分岐管18cに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、分岐管18aおよび分岐管18cの内部を排気工程において通過する。
【0100】
このとき、エンジン16の熱が、排気ガス(熱媒体)を介して伝達され、分岐管18aおよび分岐管18cの内部温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0101】
一方、それら2つの気筒とはタイミングを異にして、分岐管18bに接続される気筒、および、分岐管18dに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、分岐管18aおよび分岐管18cとは異なるタイミングにおいて、高温の排気ガスが、分岐管18bおよび分岐管18dの内部を排気工程において通過する。
【0102】
このとき、エンジン16の熱が、排気ガス(熱媒体)を介して伝達され、分岐管18bおよび分岐管18dの内部温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
【0103】
この周期的な温度変化は、分岐管18aおよび分岐管18cの周期的な温度変化とは、周期が同じである一方、位相が異なる。
【0104】
そして、この発電システム1では、上記したように、各分岐管18の内部(箱型空間20内)に、第1デバイス3および第2デバイス4が配置されている。
【0105】
そのため、エンジン16(熱源2)から排出される排気ガスが、分岐管18内に導入され、箱型空間20内に充填されると、その箱型空間20内において、第1デバイス3および第2デバイス4が、排気ガス(熱媒体)に接触(曝露)され、加熱および/または冷却される。
【0106】
このとき、上記したように、箱型空間20内では、第2デバイス4の第1電極8(とりわけ、底部22側)が、流れ方向上流側に配置され、一方、第2電極9が、流れ方向下流側に配置されるとともに、それら第2デバイス4に、第1デバイス3が接触配置されている。
【0107】
そのため、例えば、エンジン16(熱源2)およびそのエンジン16の熱を伝達する熱媒体が高温状態であるときには、第1デバイス3は、第1電極8(底部22)に接触する部分から、第2電極9に接触する部分に向かって、徐々に加熱され、高温状態とされる。
【0108】
また、エンジン16(熱源2)およびそのエンジン16の熱を伝達する熱媒体が低温状態であるときには、第1デバイス3は、第2電極9に接触する部分から、第1電極8に接触する部分に向かって、徐々に冷却され、低温状態とされる。
【0109】
このように、第1デバイス3が、エンジン16(熱源2)、および、そのエンジン16の熱を伝達する熱媒体の経時的な温度変化により、加熱および/または冷却される。
【0110】
そして、これにより、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
【0111】
そのため、この発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
【0112】
また、この発電システム1では、分岐管18aおよび分岐管18cの温度と、分岐管18bおよび分岐管18dの温度とが、同じ周期、かつ、異なる位相で周期的に変化するため、電力を、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、連続的に取り出すことができる。
【0113】
そして、排気ガスは、各分岐管18を通過した後、集気管19に供給され、集気された後、触媒搭載部12に供給され、その触媒搭載部12に備えられる触媒により浄化される。その後、排気ガスは、エキゾーストパイプ13に供給され、マフラー14において静音化された後、排出パイプ15を介して、外気に排出される。
【0114】
このとき、各分岐管18内を通過する排気ガスは、集気管19において集気されるので、集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を順次通過する排気ガスは、その温度が、平滑化されている。
【0115】
そのため、温度が平滑化されたこのような排気ガスを通過させる集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15の温度は、通常、経時的に上下することなく、ほぼ一定である。
【0116】
そのため、集気管19、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14または排出パイプ15を熱源2として用い、その周囲または内部に、第1デバイス3を配置する場合には、第1デバイス3から取り出される電力は、その電圧が小さく、また、一定(直流電圧)である。
【0117】
そのため、このような方法では、得られる電力を、簡易な構成で効率良く昇圧することができず、蓄電効率に劣るという不具合がある。
【0118】
一方、上記したように、分岐管18の内部空間に上記した第1デバイス3を配置すれば、熱源2の経時的な温度変化により、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、そのデバイス(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、周期的に電気分極させることができる。
【0119】
そのため、この発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
【0120】
その後、この方法では、例えば、図3において点線で示すように、上記により得られた電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)の状態で昇圧し、次いで、昇圧された電力を、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。バッテリー7に蓄電された電力は、自動車10や、自動車10に搭載される各種電気部品の動力などとして、適宜、用いることができる。
【0121】
そして、このような発電システム1によれば、温度が経時的に上下する熱源2を用いるため、変動する電圧(例えば、交流電圧)を取り出すことができ、その結果、一定電圧(直流電圧)として取り出し、DC−DCコンバーターで変換する場合に比べて、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
【0122】
また、上記の発電システム1では、第1デバイス3が、第1電極8に接触する部分から、第2電極9に接触する部分に向かって、徐々に加熱され、高温状態とされる一方、第2電極9に接触する部分から、第1電極8に接触する部分に向かって、徐々に冷却され、低温状態とされるので、より効率よく第1デバイス3を電気分極させることができる。
【0123】
とりわけ、このような発電システム1では、第2デバイス4が、第1デバイス3を外側から挟むように対向配置され、互いに電気的に接続されている2つの外側電極21を備える第1電極8と、2つの外側電極21の間において、第1デバイス3内に配置される内側電極24を備える第2電極9とを備えている。
【0124】
そのため、上記したように、このような発電システム1では、一方の外部電極21および内側電極24の間と、他方の外部電極21および内側電極24の間との少なくとも2つの部分において、第1デバイス3により発電することができる。このような発電システム1によれば、例えば、内側電極24を設けることなく、互いに別体として2つの外側電極21を設け、その間のみで第1デバイス3により発電する場合に比べて、発電効率の向上を図ることができる。
【0125】
その結果、このような発電システム1によれば、例えば、同程度のサイズの発電システム1であれば、第1デバイス3を挟むように第2デバイス4を配置し、かつ、第1デバイス3内に第2デバイス4を配置しない場合に比べ、高い出力を得ることができる。また、発電システム1を小型化しても、第1デバイス3を挟むように第2デバイス4を配置し、かつ、第1デバイス3内に第2デバイス4を配置しない場合と同程度の出力を得ることができ、省スペース化を図ることができる。
【0126】
なお、上記した説明では、1つの箱型空間20に対して、1つの第1デバイス3を配置したが、詳しくは図示しないが、例えば、箱型空間20内において、複数の第1デバイス3を配置することもできる。そのような場合には、複数の第1デバイス3は、例えば、互いに間隔を隔てて整列配置される。
【0127】
図4は、本発明の発電システムに用いられる第1デバイスおよび第2デバイスの他の実施形態を示す拡大概略構成図である。
【0128】
上記した説明では、第1電極8が2つの外側電極21のみを備え、第2電極9が1つの内側電極24のみを備えたが、例えば、図4に示すように、第1電極8が、2つの外側電極21の他、さらに、内側電極24を備えることができ、また、第2電極9が、複数の内側電極24を備えることができる。
【0129】
なお、以下において、第1電極8に備えられる内側電極24と、第2電極9に備えられる内側電極24とを区別する場合には、第1電極8に備えられる内側電極24を、第1内側電極24aとし、第2電極9に備えられる内側電極24を、第2内側電極24bとする。
【0130】
図4において、第1電極8は、第1デバイスを外側から挟むように対向配置される2つの外側電極21と、それら2つの外側電極21の間において、外側電極21と電気的に接続され、第1デバイス3内に配置される少なくとも1つ(図4では3つ)の第1内側電極24aとを備えている。
【0131】
第1内側電極24aは、2つの外側電極21(壁部23)の間において、第1電極8の底部22の途中部分(底部22が延びる方向における途中部分)から、長手方向一方側に向かって突出するように、複数(3つ)設けられ、互いに間隔を隔てて並列配置されている。これにより、2つの外側電極21(壁部23)と、複数(3つ)の第1内側電極24aとが、底部22によって電気的に接続されており、第1電極8が、櫛歯状に形成されている。
【0132】
第2電極9は、底部25と、複数(図4では4つ)の第2内側電極24bとを備えている。
【0133】
底部25は、第1電極8の底部22に対して間隔を隔てて対向配置されている。
【0134】
第2内側電極24bは、底部25の両端縁および途中部分(底部25が延びる方向における途中部分)から、長手方向他方側に向かって突出するように形成されている。
【0135】
より具体的には、図4では、2つの第2内側電極24bが、底部25の両端縁から長手方向他方側に向かって延設されている。また、それら2つの第2内側電極24bの間において、別途、第2内側電極24bが、底部25の途中部分(底部25が延びる方向における途中部分)から、長手方向他方側に向かって突出するように、複数(2つ)設けられ、各第2内側電極24bが、互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0136】
これにより、複数(4つ)の第2内側電極24bが、底部25によって電気的に接続されており、第2電極9が、櫛歯状に形成されている。
【0137】
そして、この実施形態では、第1デバイス3内において、第1電極8の第1内側電極24aと、第2電極9の第2内側電極24bとが、交互に配置されている。
【0138】
すなわち、第1電極9の外側電極21と第1内側電極24aとの間、および、第1内側電極24a同士の間のそれぞれに、第2電極9の第2内側電極24bが、挿入される。
【0139】
また、このとき、第1電極8は、外側電極21の長手方向一方側端部、および、第1内側電極24aの長手方向一方側端部が、第2電極9の底部25に接触しないように、配置される。また、第2電極9は、第2内側電極24bの長手方向他方側端部が、第1電極8の底部22に接触しないように、配置される。
【0140】
なお、詳しくは図示しないが、このような発電システム1でも、第2デバイス4が、昇圧器5、交流/直流変換器(AC−DCコンバーター)6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
【0141】
そして、このような第1デバイス3および第2デバイス4を備える発電システム1により発電する場合には、上記と同様に、まず、熱源2により、第1デバイス3を加熱および/または冷却し、好ましくは、周期的に電気分極させた後、第2デバイス4を介することにより、電力を周期的に変動する波形として取り出す。その後、取り出された電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形の状態で昇圧し、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。
【0142】
このような発電システム1でも、上記と同様に、発電効率の向上を図ることができるので、より高い出力を得ることができ、また、省スペース化を図ることができる。
【0143】
とりわけ、このような発電システム1では、第1デバイス3内において、第1電極8の第1内側電極24aと、第2電極9の第2内側電極24bとが、交互に配置されているので、発電効率をより一層向上させることができる。そのため、より高い出力を得ることができ、また、省スペース化を図ることができる。
【実施例】
【0144】
以下において、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0145】
実施例1
バルク型のピエゾ素子(構造:NbおよびSn添加PZT(Nb/Sn/Pb(Zr,Ti)O)、キュリー点315℃、比誘電率:約2500、製番:H5C、住友金属エレクトロデバイス製)を、25mm×25mm×1.2mmサイズのシート状にカットしたものを用意した。
【0146】
次いで、ピエゾ素子の側面における厚み方向約半分の位置(一方面側から0.6mm程度)に、切込みを形成し、その切込みに第2電極(内部電極)を形成するための銀ペーストを注入した。また、ピエゾ素子の両面および周側面(ただし、切込みを形成した側面を除く)を包むように、第1電極(外部電極)を形成するための銀ペーストを塗布し、その後、電気炉によって300℃で1時間熱処理した。
【0147】
これにより、第1電極および第2電極を備えるサンプルを得た。
【0148】
その後、2つの導線(リード線)を用意し、その一方側を各電極上に貼着させるとともに、他方側をデジタルマルチメータに接続した。そして、得られたサンプルをステンレス製の筒内に配置した。
【0149】
熱源としてヒートガンを用い、その噴射口をサンプルの第1電極の底部に向けるとともに、噴射口がサンプルから5cm離間するように、ヒートガンおよびサンプルを、それぞれ配置した。
【0150】
また、ヒートガンからの熱風を周期的に遮断するため、サンプルが配置される筒とヒートガンとの間に、プロペラを配置した。
【0151】
そして、ヒートガンから熱風を噴き出すとともに、プロペラを回転させることにより、周期的にヒートガンからの熱風をサンプルに照射し、サンプルの温度を経時的に上下させるとともに電気分極させ、電極および導線を介して、発電電圧(電力)を取り出した。
【0152】
なお、ピエゾ素子の温度を赤外線放射温度計により測定した。そして、サンプルから取り出された電力の電圧変化を電圧計により観測した。温度条件を図5に、発電電圧を図6にそれぞれ示す。
【0153】
比較例1
バルク型のピエゾ素子(構造:NbおよびSn添加PZT(Nb/Sn/Pb(Zr,Ti)O)、キュリー点315℃、比誘電率:約2500、製番:H5C、住友金属エレクトロデバイス製)を、25mm×25mm×1.2mmサイズのシート状にカットしたものを用意した。
【0154】
次いで、ピエゾ素子の両面に、銀ペーストを20mm×20mm×0.1mmの大きさとなるように塗布し、電気炉によって300℃で1時間熱処理した。
【0155】
これにより、互いに別体として設けられ、上記の底部などにより接続されていない2枚の外側電極のみを備えるサンプルを得た。
【0156】
その後、2つの導線(リード線)を用意し、その一方側を各電極上に貼着させるとともに、他方側をデジタルマルチメータに接続した。そして、得られたサンプルをステンレス製の筒内に配置した。
【0157】
そして、実施例1と同様にして、サンプルの温度を経時的に上下させるとともに電気分極させ、電極および導線を介して、発電電圧(電力)を取り出した。
【0158】
なお、ピエゾ素子の温度を赤外線放射温度計により測定した。そして、サンプルから取り出された電力の電圧変化を電圧計により観測した。温度条件を図7に、発電電圧を図8にそれぞれ示す。
(考察)
外側電極および内側電極を備えるサンプルを用いた実施例1によれば、外側電極のみを備えるサンプルを用いた比較例1に比べ、効率良く発電できることが確認された。
【符号の説明】
【0159】
1 発電システム
2 熱源
3 第1デバイス
4 第2デバイス
5 昇圧器
6 交流/直流変換器
7 バッテリー
8 第1電極
9 第2電極
21 外側電極
24 内側電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8