特許第5968756号(P5968756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968756
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】機械式駐車場
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20160728BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   E04H6/18 601D
   E04H6/18 601Z
   E04H6/42 C
   E04H6/42 Z
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-238304(P2012-238304)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-88685(P2014-88685A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】松原 吾朗
(72)【発明者】
【氏名】大柴 茂
(72)【発明者】
【氏名】三宅 宏典
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−089291(JP,A)
【文献】 特開2012−137367(JP,A)
【文献】 特開2010−285743(JP,A)
【文献】 特開昭55−039555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18
E04H 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室に進入した車両を格納棚へ導入する機械式駐車場であって、
車両が乗降室に進入する前に、その車両の属性を取得する車両属性取得部と、
前記車両属性取得部によって取得された属性に基づいて、乗降室内で車両が収まるべき車両収容領域を決定する収容領域決定部と、
検知面からの車両のはみ出しを検知可能に構成された検知部と、
前記収容領域決定部によって決定された車両収容領域の境界と前記検知部の検知面とが揃うように前記検知部を移動させる移動部と、を備え
前記検知部は、予め定められた方向へ光を発し、その光が遮られたことを検知することで車両のはみ出しを検知し、
前記移動部は、前記検知部が発する光の方向と交差する水平方向に前記検知部を移動させることを特徴とする機械式駐車場。
【請求項2】
前記収容領域決定部は、車両を乗降室内へ誘導するときの車両収容領域である誘導時車両収容領域と、車両が乗降室のパレット上で停車した後格納棚へ導入される前の車両収容領域である格納時車両収容領域と、を決定し、
前記車両属性取得部は車両の給電口の位置を取得し、
前記収容領域決定部は、車両が乗降室のパレット上に進入するときにその車両の給電口側となる誘導時車両収容領域の境界を、反給電口側となる誘導時車両収容領域の境界よりもパレットの中央に近くなるよう決定することを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項3】
前記収容領域決定部は、車両を乗降室内へ誘導するときの車両収容領域である誘導時車両収容領域と、車両が乗降室のパレット上で停車した後格納棚へ導入される前の車両収容領域である格納時車両収容領域と、を決定し、
格納時車両収容領域は誘導時車両収容領域よりも広く、かつ、誘導時車両収容領域を包含することを特徴とする請求項1または2に記載の機械式駐車場。
【請求項4】
前記移動部は
モータと、
前記モータと結合された減速機と、
前記減速機と結合され、前記検知部を支持するスライド機構と、を有し、
前記移動部は、前記検知部を複数の停止位置の間で移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車場。
【請求項5】
乗降室に進入した車両を格納棚へ導入する機械式駐車場の乗降室に車両が進入する前に、その車両の属性を取得する機能と、
取得された属性に基づいて、乗降室内で車両が収まるべき車両収容領域を決定する機能と、
検知面からの車両のはみ出しを検知可能に構成された検知部から検知結果を取得する機能と、
前記検知部を移動させるよう構成された移動部を、決定された車両収容領域の境界と前記検知部の検知面とが揃うように制御する機能と、をコンピュータに実現させ
前記検知部は、予め定められた方向へ光を発し、その光が遮られたことを検知することで車両のはみ出しを検知し、
前記制御する機能は、前記検知部が発する光の方向と交差する水平方向に前記検知部を移動させるよう前記移動部を制御することを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。機械式駐車場も種々の構造が提供されているが、その1つとしてパレットの上に車両を載置し、このパレットを前後或いは左右にレールや溝を利用して移動させることにより、空いているパレットスペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている。また、このパレット式の機械式駐車場にリフト及び立体的な駐車層を組み合わせることにより、より駐車効率を高めた機械式駐車場も提供されている。
【0003】
特許文献1〜5には、機械式駐車場へ車両を入庫する際、レーザセンサ等を使用してパレットからの車両のはみ出しを検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−126913号公報
【特許文献2】特開2010−138542号公報
【特許文献3】特開2012−137367号公報
【特許文献4】特開2012−47044号公報
【特許文献5】特開2011−89291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、車両のサイズはタイプによりまちまちである。また、最近では低騒音でクリーンな電気自動車やプラグインハイブリッド車(以下これらをEV(Electric Vehicle)車と総称する)が普及し始めている。このように、年々車両は多様化しているが、そのような車両の多様性に機械式駐車場側が追いついていない場合が多い。すなわち、従来方式の機械式駐車場では対応できない車種が増えてきている。その結果、そのような機械式駐車場の汎用性が低下する虞がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は車両の多様化に好適に対応できる機械式駐車場またはその機械式駐車場を制御するためのコンピュータプログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は機械式駐車場に関する。この機械式駐車場は、乗降室に進入した車両を格納棚へ導入する機械式駐車場であって、車両が乗降室に進入する前に、その車両の属性を取得する車両属性取得部と、車両属性取得部によって取得された属性に基づいて、乗降室内で車両が収まるべき車両収容領域を決定する収容領域決定部と、検知面からの車両のはみ出しを検知可能に構成された検知部と、収容領域決定部によって決定された車両収容領域の境界と検知部の検知面とが揃うように検知部を移動させる移動部と、を備える。
【0008】
この態様によると、車両の属性に基づいて車両のはみ出し検知を実行できる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の多様化に好適に対応できる機械式駐車場またはその機械式駐車場を制御するためのコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る機械式駐車場の正面図である。
図2図1のB1F格納棚の平面図である。
図3図1のB3F格納棚の平面図である。
図4図1の操作盤のタッチパネルに表示される管理番号入力画面の代表画面図である。
図5図1の乗降室の平面図である。
図6図5のA−A線断面透視図である。
図7図6の左はみ出しセンサ付近を拡大した拡大図である。
図8図6の矢印Bに対応する側面図である。
図9図8に対応する上面図である。
図10】第1中間プレートの上面図である。
図11】第2中間プレートおよびセンサ側支持プレートの上面図である。
図12図8の矢印Cに対応する側面図である。
図13図1の制御装置の機能および構成を示すブロック図である。
図14図13の収容領域情報保持部の一例を示すデータ構造図である。
図15図1の機械式駐車場に車両を駐車する際の機械式駐車場における一連の処理を示すフローチャートである。
図16】右側に給電口があるEV車を入庫させる際の左はみ出しセンサおよび右はみ出しセンサの位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
本実施の形態に係る機械式駐車場は、乗降室に進入した自動車などの車両を格納棚へ導入する。機械式駐車場では、乗降室に車両が進入する前に、その車両の属性の入力が求められる。機械式駐車場は、入力された属性に基づいて、乗降室内で車両が収まるべき車両収容領域を決定する。したがって、例えば大型の車両にはより大きな車両収容領域を決定するなど、車両の属性に応じて好適な車両収容領域を決定できるので、機械式駐車場の汎用性が向上する。
【0014】
図1は、実施の形態に係る機械式駐車場10の正面図である。図2は、B1F格納棚14の平面図である。図3は、B3F格納棚18の平面図である。機械式駐車場10は、地上に設けられた建物24の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。
【0015】
機械式駐車場10は、地下1階の駐車室であるB1F格納棚14と、地下2階の駐車室であるB2F格納棚16と、地下3階の駐車室であるB3F格納棚18と、複数のEV車対応でない通常パレット32と、複数のEV車対応パレット100と、第1移載装置56と、複数の第2移載装置58と、リフトフレーム88と、断面が略矩形の昇降路96の四隅に支柱として設けられた4本のマスト90と、昇降装置94と、複数の給電システム40と、乗降室12の外側に設けられた操作盤28と、操作盤28と接続された制御装置30と、を備える。
【0016】
機械式駐車場10は、パレットを用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、昇降装置94を用いて普通自動車20、普通自動車20よりも大きな大型自動車22、EV車23などの車両が搭載された状態の通常パレット32やEV車対応パレット100(以下、これらをパレットと総称することがある)を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用してパレットを面方向に移動させたりすることにより、格納棚に車両を駐車させる構成とされている。
【0017】
機械式駐車場10へ車両を入れたり機械式駐車場10から車両を取り出したりするための乗降室12は建物24内に設けられている。乗降室12は昇降路96の上端に設けられる。乗降室12には乗降室12と昇降路96とを連通するパレット開口26が設けられている。このパレット開口26の大きさは、通常パレット32およびEV車対応パレット100がパレット開口26の周面と干渉することなく通過できるように、平面視でのそれらのパレットの大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。
【0018】
B1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18はそれぞれ10の駐車スペースを含む。それら10の駐車スペースは、平面視した場合に移載方向(図のx方向)に5行、移載方向と実質的に直交する交差方向(図のy方向)に2列のマトリクス状に配列される。駐車スペースはパレットと共に車両が駐車されうる格納棚内の1駐車領域(駐車の1単位)である。駐車スペースと駐車スペースとの間には、駐車スペースをまたいでパレットが移動する際にそれを支持する転倒防止ローラ19が設置される。
【0019】
B1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18はそれぞれ、格納棚の床を画定するB1Fフレーム80、B2Fフレーム82、B3Fフレーム84を含む。B1Fフレーム80、B2Fフレーム82、B3Fフレーム84のそれぞれに第2移載装置58が固定される。
なお、第2移載装置58には、例えば本出願人が先に出願した特公平7−29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。
【0020】
B3Fフレーム84は機械式駐車場10を入れるために掘られた穴の底部98に固定される。B2Fフレーム82およびB1Fフレーム80は穴の底部98から鉛直方向(図のz方向)に立設された複数の支柱86によって支持される。この支柱86はB2F格納棚16およびB3F格納棚18を鉛直方向に貫くが、B1F格納棚14には突き出ない。機械式駐車場10のなかで最も上部の格納棚であるB1F格納棚14の上にはさらなる格納棚は設けられておらず、したがって支柱86をB1F格納棚14を貫いて上向きにさらに伸ばす必要はないからである。
【0021】
B2F格納棚16またはB3F格納棚18内をパレットが移動する場合、パレットは支柱86と支柱86との間を通過しなければならない。したがってパレットから車両や車両に接続されている給電ケーブルがはみ出している場合、そのはみ出している部分が支柱に接触する可能性がある。そこで機械式駐車場10では、B2F格納棚16およびB3F格納棚18は、所定のサイズよりも小さなサイズの車両(以下、通常車両と称す)専用とされる。言い換えると、B2F格納棚16またはB3F格納棚18には通常車両のみが格納される。
【0022】
支柱86はB1F格納棚14を貫いておらずB1F格納棚14内のパレットが移動する領域には支柱86はないので、パレットがB1F格納棚14内を移動してもパレットからはみ出している部分と支柱86との干渉は起こらない。したがって、より幅広なまたは長い車両をB1F格納棚14に格納してもその車両とB1F格納棚14との干渉が起こる可能性は低い。そこで機械式駐車場10ではB1F格納棚14は、通常車両に加えて、所定のサイズよりも大きなサイズの車両(以下、幅広車両と称す)も格納可能とされる。したがって、B1F格納棚14には基本的に、通常車両と幅広車両とが混在することとなる。
【0023】
機械式駐車場10においては、昇降路96が鉛直方向に沿って設けられている。昇降路96は、B1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18のそれぞれと連通する。昇降路96の下端には昇降装置94が設置されている。
【0024】
平面視した場合に略矩形のリフトフレーム88は、4本のマスト90に昇降自在に支持される。リフトフレーム88の上部には第1移載装置56が搭載される。昇降装置94は昇降路96に沿ってリフトフレーム88を昇降させる。第1移載装置56の上部にはパレットが搭載される。第1移載装置56は、移載方向にパレットを移動可能に構成される。
【0025】
なお、リフトフレーム88、4本のマスト90、および昇降装置94には、本出願人が先に出願した特開2009−197417号公報に記載のリフトフレーム、4本のマスト、昇降装置、をそれぞれ適用することができる。
【0026】
通常パレット32、EV車対応パレット100はいずれも平板状の部材である。通常パレット32、EV車対応パレット100の車両が搭載される上面すなわち車両搭載面32a、100aは略矩形である。通常パレット32およびEV車対応パレット100は画一的な大きさを有する。
【0027】
EV車対応パレット100は、EV車23の給電口に給電ケーブル110を介して給電可能に構成される。EV車対応パレット100は、受電端子を有する受電ユニット(不図示)と、車両搭載面100a上に設けられたコンセント102と、を備える。駐車中にEV車23に充電する場合、EV車対応パレット100に搭載されたEV車23の給電口とコンセント102とは給電ケーブル110によって電気的に接続される。
【0028】
EV車対応パレット100の車両搭載面100aのうちコンセント102が設けられている側の長辺に沿った帯状の部分100bは、それ以外の部分とは異なる色で塗装されている。これにより、ドライバが乗降室12でEV車対応パレット100にEV車23を搭載する際、ドライバはEV車23の給電口が設けられている側の反対側にEV車23を寄せるよう促される。
【0029】
各駐車室に含まれる10の駐車スペースのうち、昇降路96から最も遠い位置に配置された2つの駐車スペースは、EV車23などの給電を要する車両への給電が可能な給電駐車スペースとされる。各給電駐車スペースは給電システム40を有する。
なお、機械式駐車場10のパズル動作により通常パレット32が給電駐車スペースに進入することもある。
【0030】
給電システム40は、給電盤42と、給電端子(不図示)を有する給電ユニット44と、を有する。給電盤42と給電ユニット44とは図1図2図3中の破線で示されるようにケーブルによって電気的に接続されている。給電盤42は、外部電源から得られる電力をEV車23に供給するのに好適な電圧にして給電端子に供給する。給電ユニット44の給電端子は、EV車対応パレット100が給電駐車スペースの所定の充電位置に配置されるとそのEV車対応パレット100の受電端子と機械的に接触する。すると、給電システム40からコンセント102および給電ケーブル110を介してEV車23に電力が供給される。
【0031】
操作盤28は、ドライバまたは機械式駐車場10の係員に対するユーザインタフェースとしての機能を有する。操作盤28はタッチパネルを有する。車両の入出庫の際、操作盤28はタッチパネルを介して、車両を特定するIDすなわち車両管理番号の入力を求める。
【0032】
図4は、操作盤28のタッチパネル52に表示される管理番号入力画面の代表画面図である。管理番号入力画面は、入力された車両管理番号を表示する番号表示領域51と、テンキー53と、入庫ボタン54と、出庫ボタン55と、を有する。
入庫の際、ドライバまたは係員は乗降室12の外に入庫対象の車両を停車させて降車し、操作盤28の前に立つ。ドライバまたは係員は、テンキー53を押し下げることで自己の車両の車両管理番号を番号表示領域51に表示させ、入庫ボタン54を押し下げる。操作盤28は、入庫ボタン54が押し下げられると、入力された車両管理番号を含む入庫要求信号を生成し、制御装置30に送信する。制御装置30の処理については後述する。
【0033】
出庫の際、ドライバまたは係員は、テンキー53を押し下げることで自己の車両の車両管理番号を番号表示領域51に表示させ、出庫ボタン55を押し下げる。操作盤28は、出庫ボタン55が押し下げられると、入力された車両管理番号を含む出庫要求信号を生成し、制御装置30に送信する。制御装置30は、出庫要求信号に含まれる車両管理番号で特定される車両が載置されているパレットを、乗降室12に呼び出すための処理を実行する。
【0034】
図5は、乗降室12の平面図である。図6は、図5のA−A線断面透視図である。説明をより明瞭とするため、図5図6ではマスト90、第1移載装置56、リフトフレーム88、制御装置30の表示は省略する。図5は乗降室12に車両が進入する前に乗降室12に通常パレット32が呼び出された状態を示す。乗降室12は平面視で略矩形であり、以下、x方向を乗降室12の左右方向、y方向を乗降室12の前後方向とする。前後方向は車両が外部から乗降室12に進入する方向である。
【0035】
第1センサフレーム34は左右方向に延在する角パイプであり、一端が乗降室12の左側の壁に固定され、他端が乗降室12の右側の壁に固定される。第1センサフレーム34は乗降室12の車両進入口46とは反対側(すなわち前側)かつ天井側に設けられる。左はみ出しセンサ36および右はみ出しセンサ38はそれぞれ、第1センサフレーム34に、左右方向すなわち第1センサフレーム34に沿って移動可能に取り付けられる。
【0036】
第2センサフレーム35は前後方向に延在する角パイプであり、一端が乗降室12の前側の壁に固定され、他端が乗降室12の後ろ側の壁に固定される。第2センサフレーム35は乗降室12の左側かつ天井側に設けられる。前はみ出しセンサ37および後はみ出しセンサ39はそれぞれ、第2センサフレーム35に、前後方向すなわち第2センサフレーム35に沿って移動可能に取り付けられる。
【0037】
図6を参照すると、左はみ出しセンサ36は左検知面50からの車両のはみ出しを検知する光学検知装置であり、所定の波長のレーザ光を発する投光部(不図示)と、その波長と同等の波長の光を検知するよう構成された受光部(不図示)と、を備える。投光部は、yz平面に略平行な左検知面50内にレーザ光を発する。投光部はこのレーザ光の経路をx軸の周りで回転させることによって、左検知面50の全体をレーザ光により走査する。左検知面50はパレット開口26の左端に沿って設けられる。左検知面50に直交する直交方向は左右方向である。
【0038】
乗降室12に進入し通常パレット32上で停車した車両の一部が左検知面50からはみ出すすなわち左検知面50を横切る場合を考える。左はみ出しセンサ36の投光部は左検知面50をレーザ光により走査する。そのようなレーザ光の一部ははみ出している車両の一部によって反射される。反射されたレーザ光の一部は左はみ出しセンサ36に戻る。左はみ出しセンサ36の受光部はそのようにして戻ってきた反射光を検知し、左はみ出しセンサ36は制御装置30に検知結果を送信する。左はみ出しセンサ36は、左はみ出しセンサ36がレーザ光を出射してから所定の時間内に対応する反射光を検知した場合、左検知面50からのはみ出しがあると判定する。所定の時間は、レーザ光の出射角度および左検知面50の大きさに基づき決定される。
【0039】
左はみ出しセンサ36は、第1センサフレーム34に電動スライダユニット70および姿勢調整部72を介して取り付けられる。電動スライダユニット70は、左はみ出しセンサ36および姿勢調整部72を一体として第1センサフレーム34に沿って移動させる。特に電動スライダユニット70は第1センサフレーム34の左検知面50を第1センサフレーム34に沿って平行移動させる。
【0040】
姿勢調整部72は左はみ出しセンサ36の姿勢したがって左検知面50の位置の微調整を可能とする。右はみ出しセンサ38、前はみ出しセンサ37および後はみ出しセンサ39も同様な電動スライダユニットおよび姿勢調整部を介して対応するセンサフレームに取り付けられる。
【0041】
図5に戻り、右はみ出しセンサ38、前はみ出しセンサ37および後はみ出しセンサ39はいずれも左はみ出しセンサ36と同様に構成される。左はみ出しセンサ36の左検知面50と右はみ出しセンサ38の右検知面64と前はみ出しセンサ37の前検知面60と後はみ出しセンサ39の後検知面62とで囲まれる領域をはみ出し検知領域48と称す。制御装置30は、入庫対象の車両の種別やサイズなどの属性に基づき決定された車両収容領域とはみ出し検知領域48とが揃うように、各はみ出しセンサの位置を調整する。特に制御装置30は電動スライダユニット70を制御することにより、車両収容領域の境界面とはみ出しセンサの検知面とが揃うようにそのはみ出しセンサを移動させる。その結果、はみ出しセンサは、車両収容領域の境界からの車両のはみ出しを検知する。
【0042】
図7は、図6の左はみ出しセンサ36付近を拡大した拡大図である。図8は、図6の矢印Bに対応する側面図である。図9は、図8に対応する上面図である。
フレームプレート103は、フレームプレート103と第1連結プレート101との間およびフレームプレート103と第2連結プレート112との間で第1センサフレーム34を挟み込む形で第1センサフレーム34に取り付けられる。フレームプレート103と第1連結プレート101との間で第1センサフレーム34を挟む強さは、第2ボルト118、第2ナット120、第15ボルト198、第1ナット116を含む第1締結手段によって調整される。フレームプレート103と第2連結プレート112との間で第1センサフレーム34を挟む強さは、第12ボルト180、第17ナット182、第16ボルト200を含む第2締結手段によって調整される。
【0043】
電動スライダユニット70はフレームプレート103の下面にねじ等により固定される。電動スライダユニット70は、駆動用モータ74と、駆動用モータ74と結合されたボールねじ(不図示)と、ボールねじと結合され、姿勢調整部72を支持するスライド機構76と、を有する。スライド機構76は、フレームプレート103に固定されるガイド部76aと、ガイド部76aに沿って摺動可能なワーク取り付け部76bと、を有する。ワーク取り付け部76bには姿勢調整部72の乗降室側支持プレート104がねじ242、244、246等により固定される。駆動用モータ74は制御装置30と有線または無線により接続され、制御装置30からの指示に基づきボールねじのねじ軸を回転させる。ワーク取り付け部76bはボールねじのナットと結合されており、ねじ軸の回転に合わせてガイド部76aに沿って移動する。電動スライダユニット70は、左はみ出しセンサ36を複数の停止位置の間で移動させる。
【0044】
姿勢調整部72は、プレート類、ボルトおよびナット群等を有する。
図10は、第1中間プレート106の上面図である。第1中間プレート106は、第3ボルト122、第3ナット124、第4ナット126、第5ナット128、第4ボルト130、第6ナット132、第7ナット134、第8ナット136、第9ボルト168、第14ナット170、第15ナット172、第16ナット174、第18ボルト204、を含む第3締結手段によって乗降室側支持プレート104に対して固定される。
【0045】
第3ボルト122は第3ナット124が乗降室側支持プレート104に対して締め付けられることによって乗降室側支持プレート104に固定される。第3ボルト122は第1中間プレート106に設けられた第2開口212に遊嵌される。第3ボルト122に螺合された第4ナット126および第5ナット128はそれらの間に第1中間プレート106を挟んで締め付けることで、第1中間プレート106を乗降室側支持プレート104に対して固定する。第4ナット126および第5ナット128の第3ボルト122に沿った位置を調整することで、第2開口212付近における乗降室側支持プレート104と第1中間プレート106との距離を調整できる。
第4ボルト130、第6ナット132、第7ナット134、第8ナット136、第1中間プレート106に設けられた第1開口210、についても同様である。また、第9ボルト168、第14ナット170、第15ナット172、第16ナット174、第1中間プレート106に設けられた第3開口214、についても同様である。また、第18ボルト204、対応する不図示の3つのナット、第1中間プレート106に設けられた第4開口216、についても同様である。
【0046】
第1中間プレート106は、略矩形のプレート部106aと、プレート部106aの右辺に設けられた第3ボルト座部154と、プレート部106aの左辺に設けられた第4ボルト座部196と、を有する。第3ボルト座部154および第4ボルト座部196のそれぞれには、左右方向に沿ってねじ孔が貫通して設けられる。第5ボルト140は第3ボルト座部154のねじ孔に螺合する。第9ナット138を第3ボルト座部154に対して締め付けることで第5ボルト140の左右方向における位置が固定される。第14ボルト192、第19ナット194、第4ボルト座部196についても同様である。
【0047】
第1中間プレート106のプレート部106aの左はみ出しセンサ36側の面には左右方向に沿って第1ガイド溝162および第2ガイド溝188が形成される。第5ボルト140の一端は第1ガイド溝162に進入し、第14ボルト192の一端は第2ガイド溝188に進入する。
【0048】
第1中間プレート106のプレート部106aにはさらに、左右方向に細長い第5開口218、第6開口220、第7開口222、第8開口224が設けられる。第5開口218、第6開口220、第7開口222、第8開口224はそれぞれ第2中間プレート108の四隅に設けられた第9開口226、第10開口228、第11開口230、第12開口232(図11で図示)と対応する。第8ボルト156は第5開口218および第9開口226に遊嵌され、第13ボルト184は第7開口222および第11開口230に遊嵌される。第12ナット158、第18ナット186はそれぞれ第8ボルト156、第13ボルト184のねじ先側に螺合されている。第6開口220および第10開口228、第8開口224および第12開口232についても同様にボルト(不図示)が遊嵌されナット(不図示)が螺合される。
【0049】
第12ナット158、第18ナット186を含む4つのナットを締めたり緩めたりすることで第1中間プレート106に対して第2中間プレート108を固定したり左右方向に移動可能としたりすることができる。特に4つのナットがそれぞれ所定のトルクで締められる場合、第1中間プレート106と第2中間プレート108とは仮止めされる。この仮止め状態では、押しボルトである第5ボルト140や第14ボルト192を回さない限り第2中間プレート108は第1中間プレート106に対して固定される。第5ボルト140や第14ボルト192が回されるとそれに合わせて第2中間プレート108は第1中間プレート106に対して移動する。
【0050】
図11は、第2中間プレート108およびセンサ側支持プレート111の上面図である。図12は、図8の矢印Cに対応する側面図である。第2中間プレート108は、プレート部108aと、プレート部108aの左はみ出しセンサ36側の面上に設けられた第1ボルト座部142および第2ボルト座部144と、を有する。第1ボルト座部142および第2ボルト座部144のそれぞれには、前後方向に沿ってねじ孔が貫通して設けられる。第6ボルト146は第1ボルト座部142のねじ孔に螺合する。第10ナット148を第1ボルト座部142に対して締め付けることで第6ボルト146の前後方向における位置が固定される。第7ボルト150、第11ナット152、第2ボルト座部144についても同様である。
【0051】
第1皿ねじ206、第2皿ねじ208はそれぞれ第1突出部160、第2突出部190をプレート部108aの左はみ出しセンサ36とは反対側の面の左右にねじ止めにより固定する。第1突出部160、第2突出部190はいずれもワッシャ状の部材である。第1突出部160、第2突出部190はそれぞれ第1中間プレート106の第1ガイド溝162、第2ガイド溝188に左右方向に摺動可能に嵌る。第1突出部160は第2中間プレート108の右側面108bと共に第5ボルト140のねじ先に当接する。第2突出部190は第2中間プレート108の左側面と共に第14ボルト192のねじ先と当接する。
【0052】
センサ側支持プレート111は、プレート部111aと、プレート部111aの右辺に設けられたボルト当接部111bと、プレート部111aの略中央に鉛直方向に立設されたねじ軸166と、を有する。ボルト当接部111bは平面視で略矩形であり、ボルト当接部111bの前側面111c、後側面111dはそれぞれ第6ボルト146、第7ボルト150のねじ先と当接する。
【0053】
ねじ軸166の一端はプレート部111aに溶接により固定され、他端側は第2中間プレート108の略中央に設けられた開口(不図示)に遊嵌される。ねじ軸166に螺合される第13ナット164を締めたり緩めたりすることで第2中間プレート108に対してセンサ側支持プレート111を固定したりねじ軸166の周りに回転可能としたりすることができる。特に第13ナット164が所定のトルクで締められる場合、第2中間プレート108とセンサ側支持プレート111とは仮止めされる。この仮止め状態では、押しボルトである第6ボルト146や第7ボルト150を回さない限りセンサ側支持プレート111は第2中間プレート108に対して固定される。第6ボルト146や第7ボルト150が回されるとそれに合わせてセンサ側支持プレート111は第2中間プレート108に対してねじ軸166の周りで回転する。
【0054】
第10ボルト176、第11ボルト178はそれぞれセンサ側支持プレート111のプレート部111aに設けられた第13開口234、第14開口236に遊嵌され、左はみ出しセンサ36の背面の対応するねじ孔に螺合される。センサ側支持プレート111のプレート部111aに設けられた第15開口238、第16開口240についても同様である。第10ボルト176、第11ボルト178を含む4つのボルトによって左はみ出しセンサ36はセンサ側支持プレート111に取り付けられる。
【0055】
図13は、制御装置30の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0056】
制御装置30は、車両種別取得部302と、収容領域選択部304と、センサ位置制御部306と、検知結果取得部308と、スペース選択部310と、誘導処理部312と、格納処理部314と、車両情報保持部316と、収容領域情報保持部318と、駐車状況保持部320と、を含む。
車両情報保持部316は、車両管理番号と、車両管理番号によって特定される車両の種別と、を対応付けて保持する。車両の種別は例えば、通常車両/幅広車両の別、EV車かそうでないかの別、さらにEV車であれば給電口の位置、を含む。
駐車状況保持部320は、機械式駐車場10の駐車状況を保持する。特に駐車状況保持部320は、駐車スペースを特定するスペースIDと、その駐車スペースに車両が駐車されているか否かを示す情報と、を対応付けて保持する。
【0057】
図14は、収容領域情報保持部318の一例を示すデータ構造図である。収容領域情報保持部318は、車両の種別のそれぞれに対応して予め設定された車両収容領域の情報を保持する。収容領域情報保持部318は、車両の種別と、誘導モード/格納モードの別と、左検知位置と、右検知位置と、前検知位置と、後検知位置と、を対応付けて保持する。
【0058】
誘導モードは、車両を乗降室12内へ誘導するときの機械式駐車場10の動作モードである。格納モードは、車両が乗降室12のパレット上で停車しドライバまたは係員が降車した後その車両を乗降室12から格納棚へ導入するときの機械式駐車場10の動作モードである。左検知位置、右検知位置、前検知位置および後検知位置はそれぞれ、車両の種別およびモードに対応する車両収容領域の左側、右側、前側および後ろ側の境界面の位置である。特に各検知位置は、対応する車両収容領域の境界面の、パレット開口26の中央からの距離で示される。
【0059】
以下、誘導モードにおける車両収容領域を誘導時車両収容領域と称す。格納モードにおける車両収容領域を格納時車両収容領域と称す。誘導モードの各検知位置は誘導時車両収容領域を表し、格納モードの各検知位置は格納時車両収容領域を表す。格納時車両収容領域は対応する誘導時車両収容領域よりも広く、かつ、誘導時車両収容領域を包含するよう設定される。すなわち、車両が誘導時車両収容領域からはみ出していなければ、その車両は対応する格納時車両収容領域からもはみ出していない、という関係が成立する。
また同様に、幅広車両に対応する車両収容領域は通常車両に対応する車両収容領域よりも広く、かつ、それを包含する。また、パレット開口26は格納時車両収容領域よりも広く、かつ、それを包含する。
【0060】
EV車に対応する車両収容領域について、EV車が乗降室12のEV車対応パレット100上に進入するときにそのEV車の給電口側となる誘導時車両収容領域の境界面は、格納時車両収容領域の対応する境界面よりもEV車対応パレット100の中央に近くなるよう設定されている。例えば図14に示される収容領域情報保持部318において、通常サイズのEV車の左側に給電口が設けられている場合、誘導時車両収容領域の左側の境界面(左検知位置=90)は、格納時車両収容領域の左側の境界面(左検知位置=105)よりもパレット開口26の中央に近くなるよう設定されている。
【0061】
図13に戻り、車両種別取得部302は、車両情報保持部316を参照し、操作盤28から受信した入庫要求信号に含まれる車両管理番号に対応する車両の種別を取得する。上記の通り、操作盤28は車両が乗降室12に進入する前に入庫要求信号を生成、送信するので、車両種別取得部302は車両が乗降室12に進入する前に車両の種別を取得する。
【0062】
収容領域選択部304は、予め設定されている複数の異なる車両収容領域のなかから、車両種別取得部302によって取得された車両の種別に対応する車両収容領域を選択する。特に収容領域選択部304は、車両種別取得部302によって取得された車両の種別に対応する誘導時車両収容領域と格納時車両収容領域とを選択する。より具体的には、収容領域選択部304は、収容領域情報保持部318を参照し、車両種別取得部302によって取得された車両の種別に対応する誘導モードの各検知位置と格納モードの各検知位置とを取得する。
【0063】
センサ位置制御部306は、誘導モードにおいて、収容領域選択部304によって取得された誘導モードの各検知位置に基づいて、対応するはみ出しセンサを移動させる。特にセンサ位置制御部306は、取得された誘導モードの左検知位置に基づいて左駆動信号を生成し、左はみ出しセンサ36を移動させる電動スライダユニット70の駆動用モータ74にその左駆動信号を送信する。左駆動信号は、収容領域選択部304によって選択された誘導時車両収容領域の左側の境界面と左はみ出しセンサ36の左検知面50とが実質的に重なるような左はみ出しセンサ36の位置を含む。駆動用モータ74は左駆動信号を受けると動作を開始する。電動スライダユニット70は左はみ出しセンサ36を、左駆動信号に含まれる位置に移動させる。右はみ出しセンサ38、前はみ出しセンサ37および後はみ出しセンサ39の位置制御も同様に行われる。
同様にセンサ位置制御部306は格納モードにおいて、収容領域選択部304によって取得された格納モードの各検知位置に基づいて、対応するはみ出しセンサを移動させる。
【0064】
検知結果取得部308は、各はみ出しセンサからはみ出しの検知結果を取得する。
スペース選択部310は誘導モードにおいて、駐車状況保持部320を参照し、車両が駐車されていない駐車スペースのスペースIDを選択する。この際、スペース選択部310は、車両種別取得部302によって取得された車両の種別が幅広車両であることを示す場合は、B1F格納棚14の駐車スペースのスペースIDを選択する。
【0065】
誘導処理部312は、操作盤28から入庫要求信号を受けると、機械式駐車場10を誘導モードで動作させる。誘導処理部312は、車両種別取得部302によって取得された車両の種別がEV車であることを示す場合、空いているEV車対応パレット100を乗降室12に呼び出し、そうでない場合は任意の空きパレットを乗降室12に呼び出す。
【0066】
誘導処理部312は、誘導モードにおいて音声や車両誘導案内灯(不図示)によって車両を誘導時車両収容領域内に誘導する。誘導処理部312は、誘導モードにおいてはみ出しセンサによってはみ出しが検知されると、そのはみ出しを解消するための指示を車両誘導案内灯に表示させる。例えば誘導処理部312は、右はみ出しセンサ38からの検知結果が右検知面64からのはみ出しが生じていることを示す場合、車両誘導案内灯に左向きの矢印を表示させる。
【0067】
車両が乗降室12に進入しパレット上で停車した後、ドライバまたは係員は降車し、操作盤28に格納の指示を入力する。操作盤28は格納の指示を受け付けると、格納要求信号を生成して制御装置30に送信する。格納処理部314は格納要求信号を受けると機械式駐車場10を格納モードで動作させる。格納処理部314は、格納時車両収容領域に揃えられた後のはみ出し検知領域48からのはみ出しが検知されない場合に格納可と判定し、はみ出しが検知された場合は格納不可と判定する。格納処理部314は、格納可と判定された場合、車両が搭載されたパレットを、乗降室12から、スペース選択部310によって選択されたスペースIDによって特定される駐車スペースに移動させるよう昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御する。格納処理部314は、格納不可と判定された場合、はみ出しが検知された旨をドライバまたは係員に通知する。
【0068】
上述の実施の形態において、保持部の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、操作盤28の各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0069】
以上の構成による機械式駐車場10の動作を説明する。
図15は、機械式駐車場10に車両を駐車する際の機械式駐車場10における一連の処理を示すフローチャートである。操作盤28は、ドライバまたは係員から入庫の指示を受け付ける(S402)。制御装置30は、入庫対象の車両の種別を取得する(S404)。制御装置30は、取得された種別に基づいて誘導時および格納時の車両収容領域を決定する(S406)。電動スライダユニットは、対応するはみ出しセンサを、誘導時車両収容領域に基づき設定された位置に移動させる(S408)。機械式駐車場10は、車両の乗降室12内への誘導を開始する(S410)。操作盤28は、ドライバまたは係員から格納の指示を受け付ける(S412)。電動スライダユニットは、対応するはみ出しセンサを、格納時車両収容領域に基づき設定された位置に移動させる(S414)。制御装置30は、各はみ出しセンサからの検知結果を参照し、はみ出しの有無を判定する(S416)。はみ出しが検知された場合(S416のY)、制御装置30は操作盤28のタッチパネルにエラーを表示させ(S418)、処理をステップS410に戻す。はみ出しが検知されなかった場合(S416のN)、制御装置30は車両が搭載されたパレットの格納棚への移動を開始する(S420)。
【0070】
本実施の形態に係る機械式駐車場10によると、乗降室12への車両進入時の車両誘導および停止時の車両の入庫可能範囲からのはみ出しを検知してドライバまたは係員に知らせるはみ出しセンサを使用する方式の機械式駐車場において、車両の車種や利用方法に応じて自動的にはみ出しセンサを移動させることができる。したがって、車種や利用方法が種々異なる車両が乗降室12のパレット上の適切な位置に置かれているかを検出することが可能となる。その結果、機械式駐車場10はより多くの種類の車両に対応可能となり、機械式駐車場10の汎用性が向上し市場価値が高まる。
【0071】
また、本実施の形態に係る機械式駐車場10では、はみ出しセンサを移動させることで異なる車両収容領域を実現している。したがって、例えば車両収容領域ごとにはみ出しセンサを設ける場合と比較して、必要なはみ出しセンサの数を低減できる。その結果、機械式駐車場10の導入にかかるコストを削減できる。また、はみ出しセンサ間の干渉を低減できる。
【0072】
また、本実施の形態に係る機械式駐車場10では、EV車を誘導する際にEV車が給電口の反対側に寄って停止するよう誘導時車両収容領域が決定される。
図16は、右側に給電口があるEV車250を入庫させる際の左はみ出しセンサ36および右はみ出しセンサ38の位置を示す模式図である。図16はEV車250を後ろから見た図に対応する。右はみ出しセンサ38のガイド部276a、ワーク取り付け部276b、駆動用モータ274、姿勢調整部272はそれぞれ、左はみ出しセンサ36のガイド部76a、ワーク取り付け部76b、駆動用モータ74、姿勢調整部72に対応する。給電ケーブル110の先端には給電ガン110aが取り付けられる。
【0073】
符号252、符号254はそれぞれ、EV車対応パレット100にEV車250が進入するときすなわち誘導モードにおける左はみ出しセンサ36、右はみ出しセンサ38の光軸の位置を示す。符号256は、給電ガン110aをEV車250の給電口に取り付けた後すなわち格納モードにおける右はみ出しセンサ38の光軸の位置を示す。図16に示されるように、誘導モードにおいてEV車250は給電ガン110aのスペースをも考慮した形で誘導される。誘導モードと格納モードとの間での、給電口側のはみ出しセンサすなわち右はみ出しセンサ38の移動量は、左はみ出しセンサ36の移動量よりも大きい。したがって、給電ガン110aや給電ケーブル110のスペースを考慮した形でのはみ出し検知が可能となる。
【0074】
また、本実施の形態に係る機械式駐車場10では、誘導時車両収容領域は対応する格納時車両収容領域よりも狭く、かつ、格納時車両収容領域に包含される。したがって、誘導モードにおけるはみ出し検知は格納モードにおけるはみ出し検知よりも少し厳しめに設定されるので、格納モードにおける機械の揺動等による誤検知を低減できる。例えば、誘導モードにおいて車両が誘導時車両収容領域ぎりぎりに停車した場合でも、格納時車両収容領域に対してはいくらかマージンが生まれる。したがって、格納モードにおいてリフトフレーム88や第1移載装置56の揺動により車両が誘導時車両収容領域からはみ出したとしても、格納時車両収容領域に収まっていればそのまま格納棚に格納される。これにより、はみ出しの誤検知を低減できる。
【0075】
なお、格納モードにおいて車両が搭載されたパレットが乗降室12内部で回転する場合、回転中心とパレット中心との不一致等により、車両が誘導時車両収容領域からはみ出す可能性が高まる。そこで本実施の形態に係る機械式駐車場10では格納時車両収容領域は誘導時車両収容領域よりも広いので、そのような回転による車両の位置のずれに起因するはみ出しの誤検知を低減できる。
【0076】
また、本実施の形態に係る機械式駐車場10では、はみ出しセンサを移動させるために駆動用モータとボールねじとスライド機構とを組み合わせたユニットが採用される。したがって、ガタやバックラッシュの小さい平行移動を実現できる。
【0077】
以上、実施の形態に係る機械式駐車場10の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0078】
実施の形態では、幅広車両をB1F格納棚14にのみ格納する場合について説明したが、これに限られない。例えば、最も上部の格納棚でなくても幅広車両を格納可能であればいかなる格納棚に幅広車両を格納してもよい。
【0079】
実施の形態では、はみ出しセンサとして反射型のレーザセンサを使用する場合について説明したが、これに限られず、例えば透過型の光学センサなどを使用してもよい。
【0080】
実施の形態では、乗降室が昇降路の上端に位置する、いわゆる地下式の機械式駐車場10について説明したが、これに限られず、本実施の形態の技術的思想は乗降室が昇降路の下端に位置する場合や、昇降路の中間に乗降室を設ける場合にも適用できる。乗降室が昇降路の下端に位置する場合は、一般にパレット開口は乗降室の上部に設けられる。
また、昇降路の四隅に支柱としてマスト90が設置されている例について説明したが、2本のマストを昇降路の両側に設置してもよい。
【0081】
実施の形態では、平板状のパレットを使用する場合について説明したが、これに限られない。例えば、轍状の溝を形成したパレットや、櫛歯型のパレットなど、車両を積載して格納することができる形状を有するパレットであればいかなる形状のパレットでも採用することができる。
【0082】
実施の形態では、制御装置30が車両管理番号から車両の種別を決定する場合について説明したが、これに限られず、例えば操作盤がドライバまたは係員に車両の種別の入力を要求してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 機械式駐車場、 12 乗降室、 28 操作盤、 30 制御装置、 36 左はみ出しセンサ、 38 右はみ出しセンサ、 56 第1移載装置、 58 第2移載装置、 70 電動スライダユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16