特許第5968780号(P5968780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5968780プロセスのシミュレーション方法及び装置、並びに該方法を実行するコンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ読取可能媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968780
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】プロセスのシミュレーション方法及び装置、並びに該方法を実行するコンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ読取可能媒体
(51)【国際特許分類】
   B22D 46/00 20060101AFI20160728BHJP
   B22D 17/00 20060101ALI20160728BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20160728BHJP
   G06F 17/50 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B22D46/00
   B22D17/00 Z
   B29C45/76
   G06F17/50 680Z
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-516578(P2012-516578)
(86)(22)【出願日】2010年6月28日
(65)【公表番号】特表2012-531311(P2012-531311A)
(43)【公表日】2012年12月10日
(86)【国際出願番号】EP2010003840
(87)【国際公開番号】WO2011000506
(87)【国際公開日】20110106
【審査請求日】2011年12月27日
【審判番号】不服2014-18815(P2014-18815/J1)
【審判請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】09008730.5
(32)【優先日】2009年7月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506138269
【氏名又は名称】マグマ ギエッセレイテクノロジ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】MAGMA Giessereitechnologie GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハンゼン、プレーべン ノーゴ
(72)【発明者】
【氏名】ココット、フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】フォンヘーゲン、ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ライム、ヨハネス
【合議体】
【審判長】 清水 正一
【審判官】 藤井 浩
【審判官】 渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−326683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 46/00
B29C 45/76
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令を受信し実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータにおいて鋳造または成形プロセスをシミュレーションする方法であって、
シミュレーションされる鋳造品又は成形品の部分に対応する少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)のコンピュータモデル(322)を提供するステップであって、前記コンピュータモデル(322)が、シミュレーションされる鋳造品又は成形品の部分に対応する構成要素(324、326、328)を含み、前記構成要素(324、326、328)が前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)にリンクしている、ステップと、
前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)にリンクする前記構成要素(324、326、328)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記構成要素(324、326、328)を選択された構成要素として更新するステップと、
前記鋳造または成形プロセスの一連の処理工程のうち1つの処理工程を示す少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示するステップであって、前記処理工程オブジェクト(378)が前記処理工程に関するパラメータであるプロセスパラメータ及び前記構成要素(324、326、328)リンクしている、ステップと、
前記処理工程オブジェクト(378)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記プロセスパラメータを更新するステップと、
前記処理工程オブジェクト(378)にリンクする前記更新されたプロセスパラメータ前記処理工程を実行する時刻を示すイベント時刻に従って各処理工程をシミュレーションする、前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)に対して前記鋳造または成形プロセスのシミュレーションを実行するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)にリンクするとともに、鋳造材料または成形材料に関する情報を示す少なくとも1つの材料特性オブジェクト(345)を表示するステップと、
前記材料特性オブジェクト(345)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記材料特性オブジェクト(345)にリンクする少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)を更新するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項3】
前記イベント時刻を有するとともに、前記処理工程オブジェクト(378)および前記構成要素データオブジェクト(335)にリンクしている少なくとも1つのプロセス・タイミング・オブジェクト(379)を表示するステップであって、前記プロセス・タイミング・オブジェクト(379)が前記処理工程を実行するタイミングを示す、ステップと、
前記プロセス・タイミング・オブジェクト(379)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記イベント時刻を更新するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項4】
前記プロセス・タイミング・オブジェクト(379)と前記処理工程オブジェクト(378)とが同じオブジェクトである、請求項3に記載のシミュレーション方法。
【請求項5】
前記イベント時刻を前記処理工程オブジェクト(378)にリンクさせるステップをさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項6】
前記イベント時刻は、前記構成要素データオブジェクト(335)のうち、前記処理工程オブジェクト(378)にリンクしているが前記プロセス・タイミング・オブジェクト(379)にリンクしていない構成要素データオブジェクト(335)にリンクしている、請求項3又は5に記載のシミュレーション方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)および前記処理工程を実行するタイミングを示すプロセス・タイミング・オブジェクト(379)のグラフィカルシンボルを備えるプロセス表示画面(370)を表示するステップと、前記プロセス・タイミング・オブジェクト(379)にリンクする構成要素データオブジェクト(335)を表示するステップとをさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項8】
前記処理工程を実行するタイミングを示すプロセス・タイミング・オブジェクト(379)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記プロセス・タイミング・オブジェクト(379)にリンクする構成要素データオブジェクト(335)に対する前記イベント時刻を更新するステップをさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)を第1の表示画面(320)に表示するステップと、
表示画面スイッチを示す入力を受信し、その入力に応じて前記処理工程オブジェクト(378)を第2の表示画面(370)に表示するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項10】
前記処理工程オブジェクト(378)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記処理工程オブジェクト(378)にリンクしている少なくとも1つの構成要素(335)のリストを表示するステップと、前記処理工程オブジェクト(378)にリンクしている前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)に関連するプロセスパラメータを更新するステップと、をさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項11】
前記プロセスパラメータの変化を表すグラフを示すパラメータオブジェクト(377)を表示するステップと、
前記パラメータオブジェクト(377)を示す入力を受信し、その入力に応じてウィンドウを表示するステップと、
更新されたプロセスパラメータの値を受信するステップと、
前記更新されたプロセスパラメータの前記パラメータオブジェクト(377)を表示するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項12】
前記処理工程のグラフィカルシンボル(375)を表示するステップと、
前記処理工程を示す入力を受信し、その入力に応じて前記処理工程オブジェクトにリンクする少なくとも1つのプロセスパラメータを示すウィンドウを表示するステップと、
更新されたプロセスパラメータの値を受信するステップと、
前記更新されたプロセスパラメータの変化を表すグラフを示すパラメータオブジェクト(377)を表示するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項13】
鋳造または成形プロセスをシミュレーションするプロセッサを備える装置であって、前記プロセッサは、
シミュレーションされる鋳造品又は成形品の部分に対応する少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)のコンピュータモデル(322)を提供し、前記コンピュータモデル(322)が、シミュレーションされる鋳造品又は成形品の部分に対応する構成要素(324、326、328)を含み、前記構成要素(324、326、328)が前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)にリンクするものであり、
前記プロセッサが、
前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)にリンクする前記構成要素(324、326、328)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記構成要素(324、326、328)を選択された構成要素として更新し、
前記鋳造または成形プロセスの一連の処理工程のうち1つの処理工程を示す少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示し、前記処理工程オブジェクト(378)は前記処理工程に関するパラメータであるプロセスパラメータ及び前記構成要素(324、326、328)リンクており
前記プロセッサが、
前記処理工程オブジェクト(378)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記プロセスパラメータを更新し、
前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)に対して前記鋳造または成形プロセスのシミュレーションを実行し、前記処理工程オブジェクト(378)にリンクした前記更新されたプロセスパラメータ前記処理工程を実行する時刻を示すイベント時刻に従って各処理工程をシミュレーションする、
ように構成される、鋳造または成形プロセスをシミュレーションするプロセッサを備える装置。
【請求項14】
鋳造または成形プロセスをシミュレーションする少なくともコンピュータ・プログラム・コードを含む、コンピュータ読取可能媒体であって、
シミュレーションされる鋳造品又は成形品の部分に対応する少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)のコンピュータモデル(322)を提供するソフトウェアコードであって、前記コンピュータモデル(322)が、シミュレーションされる鋳造品又は成形品の部分に対応する構成要素(324、326、328)を含み、前記構成要素(324、326、328)が前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)にリンクする、ソフトウェアコードと、
前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)にリンクする構成要素(324、326、328)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記構成要素(324、326、328)を選択された構成要素として更新するソフトウェアコードと、
前記鋳造または成形プロセスの一連の処理工程のうち1つの処理工程を示す少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示するソフトウェアコードであって、前記処理工程オブジェクト(378)は前記処理工程に関するパラメータであるプロセスパラメータ及び前記構成要素(324、326、328)リンクしている、前記処理工程を示す少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示するソフトウェアコードと、
前記処理工程オブジェクト(378)を示す入力を受信し、その入力に応じて前記プロセスパラメータを更新するソフトウェアコードと、
前記少なくとも1つの構成要素データオブジェクト(335)に対する前記鋳造または成形プロセスのシミュレーションを実行するソフトウェアコードであって、前記処理工程オブジェクト(378)にリンクした前記更新されたプロセスパラメータ前記処理工程を実行する時刻を示すイベント時刻に従って各処理工程をシミュレーションするソフトウェアコードと、
を含むコンピュータ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、キャビティ充填、相変態/凝固の組合せの冷却、それに続くキャビティからの部品の除去を含むプロセスのシミュレーションに関する。特に、本出願は、このようなプロセスのシミュレーションの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形プロセスまたは鋳造プロセスの真の3−Dシミュレーションは、多くの方程式の複雑なシステムを含む。これらの複雑な計算に対処するためにシミュレーション方法の効率を改善すべく過去において進展が見られた。最新のワークステーションまたはPCの最適化されたソフトウェアおよび処理能力によって、このようなシミュレーションは職場での実施が可能であり、すなわち、結果が純粋な科学研究分野以外では適切と言えるほど素早く得られ、研究開発部門、鋳造工場、および射出成形品のメーカーにおいて技術者によって適用される。
【0003】
これらのプロセスのシミュレーション用ソフトウェアの次世代版は、多くのパラメータを設定して入力する必要のあるセットアッププロセスによってユーザーを誘導するように設計される。ユーザーによっては、このようなシステムは概観することだけでなく変更を加えることも難しいと感じている。
【0004】
計算能力が次第に安価に提供されるようになるにつれ、またコンピュータが次第に強力になるにつれ、ユーザーは実際にシミュレーションを実行することよりもパラメータの設定により多くの時間を費やすことが多くなる。
【0005】
それゆえ、効率的でさらに使用および操作が容易なシミュレーションパラメータの概観および制御をユーザーに提供するユーザーインターフェース、装置、コンピュータプログラマブル媒体、および方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした背景をもとに、本出願人は、生産される構成要素または物品の構造的表示画面に加えてプロセス自体のグラフィック概観を提供することが有利であることに気付いた。本出願人は、機能的に連結される種々の表示画面を使用することによって非同期修正を行なえるツールを提供することが有利であることに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、命令を受け取り実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータで鋳造または成形プロセスをシミュレーションする方法を提供することによって実現され、上記方法は、少なくとも1つの幾何学的要素(335)のコンピュータ化された幾何モデル(322)を提供するステップと、上記コンピュータモデル(322)を表示するステップと、構成要素(324、326、328、335)を示す入力を受信し、その入力に応じて上記構成要素を更新するステップと、プロセスに対して少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示するステップであって、上記処理工程オブジェクトは1つまたは複数のプロセスパラメータに関連している、プロセスに対して少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示するステップと、処理工程オブジェクト(378)を示す入力を受信し、その入力に応じて上記パラメータを更新するステップと、少なくとも1つの構成要素(335)に対して上記プロセスのシミュレーションを実行するステップであって、処理工程オブジェクト(378)の関連するパラメータおよびイベント時刻に従って各処理工程をシミュレーションする、少なくとも1つの構成要素(335)に対して上記プロセスのシミュレーションを実行するステップとを備える。
【0008】
また、この目的は、ダイキャスティングまたは成形プロセスをシミュレーションする装置を提供することによって実現され、上記装置は、少なくとも1つの構成要素(335)のコンピュータモデル(322)を提供する手段と、上記コンピュータモデル(322)を表示する手段と、構成要素(324、326、328、335)を示す入力を受診し、その入力に応じて上記構成要素を更新する手段と、プロセスに対して少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示する手段であって、上記処理工程オブジェクトは1つまたは複数のプロセスパラメータに関連している、プロセスに対して少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示する手段と、処理工程オブジェクト(378)を示す入力を受信し、その入力に応じて上記パラメータを更新する手段と、少なくとも1つの構成要素(335)に対する上記プロセスのシミュレーションを実行する手段と、処理工程オブジェクト(378)の関連するパラメータおよびイベント時刻に従って各処理工程をシミュレーションする手段とを備える。
【0009】
また、この目的は、ダイキャスティングまたは成形プロセスをシミュレーションするソフトウェアコードを有するコンピュータ読取可能媒体を提供することによって実現され、少なくとも1つの構成要素(335)のコンピュータモデル(322)を提供する上記コンピュータ読取可能媒体ソフトウェアコードと、上記コンピュータモデル(322)を表示するソフトウェアコードと、構成要素(324、326、328、335)を示す入力を受信し、その入力に応じて上記構成要素を更新するソフトウェアコードと、プロセスに対する少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示するソフトウェアコードであって、上記処理工程オブジェクトは1つまたは複数のプロセスパラメータに関連している、プロセスに対する少なくとも1つの処理工程オブジェクト(378)を表示するソフトウェアコードと、処理工程オブジェクト(378)を示す入力を受信し、その入力に応じて上記パラメータを更新するソフトウェアコードと、少なくとも1つの構成要素(335)に対して上記プロセスのシミュレーションを実行するソフトウェアコードであって、処理工程オブジェクト(378)の関連するパラメータおよびイベント時刻に従って各処理工程をシミュレーションする、少なくとも1つの構成要素(335)に対して上記プロセスのシミュレーションを実行するソフトウェアコードと、を有するコンピュータ読取可能媒体を提供することによって実現される。
【0010】
方法、装置、コンピュータ読取可能媒体、およびユーザーインターフェースのさらなる優位性、特徴、および特性は、「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。
【0011】
本記載の以下の詳細部分では、本明細書の教示を以下の図面に示す例示的な実施形態を参照してさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書における教示による装置の図である。
図2】本明細書における教示による装置の概略図である。
図3a】一実施形態による装置からの一連のスクリーンショットを示す。
図3b】一実施形態による装置からの一連のスクリーンショットを示す。
図4】一実施形態による方法のフローチャートを示す。
図5】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図6】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図7】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図8】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図9】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図10】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図11】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図12】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図13】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
図14】一実施形態による装置からのスクリーンショットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の「発明を実施するための形態」では、本出願の教示によるユーザーインターフェース、方法、およびソフトウェア製品を例示的な実施形態を参照して詳しく説明する。
装置100の一実施形態が、コンピュータ端末100の形で図1に詳しく示される。コンピュータ端末100は、この例では、ディスプレイ画面103と、キーパッド104と、この例ではコンピュータマウス105であるカーソル制御入力手段の形をとったナビゲーション手段とを有するデスクトップコンピュータ100である。また、コンピュータ端末は、内部構成要素が収納されるキャビネット102を有する。
【0014】
装置100の他の実施形態は、移動通信端末、携帯端末、(PDA)、ラップトップコンピュータ、パームトップコンピュータ、またはノートブックコンピュータ、あるいはメインフレームコンピュータなどが相応しいことに留意されたい。
【0015】
コンピュータ端末100の内部構成要素、ソフトウェア、およびプロトコル構造を図2を参照して説明する。コンピュータ端末は、コンピュータ端末の全体的な動作に関与し、市販のCPU(「中央演算処理装置」)、DSP(「ディジタル信号プロセッサ」)、またはその他の電子式プログラム可能論理回路によって実施され得るコントローラ200を有する。コントローラ200は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、またはこれらの任意の組合せなど、関連する電子メモリ210を有する。メモリ210はコントローラ200によって様々な目的で使用され、それらの目的の1つはコンピュータ端末における様々なソフトウェアのプログラム命令によって使用されるデータを記憶するためである。ソフトウェアは、実時間オペレーティングシステム220、マン・マシン・インターフェース(MMI)用ドライバ230、アプリケーションハンドラー240、および様々なアプリケーションを含む。アプリケーションは、プロセス・シミュレーション・アプリケーション250、コンピュータ支援設計アプリケーション260、ならびにファイル転送や電子メールメッセージ送受信のためのアプリケーションのような様々な他のアプリケーション270を含みうる。
【0016】
また、MMI230は、1つまたは複数のハードウェアコントローラを含み、当該ハードウェアコントローラはMMIドライバとともにナビゲーション入力手段239/105などの様々な他の入力/出力デバイスだけでなく第1のディスプレイ233/103およびキーパッド236/104と連携する。
【0017】
従来技術のシステムでは、ユーザーには、必要なパラメータを書き込まねばならない一連の入力フィールドまたはウィンドウが提示された。
最後のパラメータが設定されると、ユーザーはシミュレーションを開始する。
【0018】
同じプロセスをシミュレーションするために複数の表示画面を用意し、シミュレーションされるプロセスのこれらの表示画面を連結するようにコントローラを構成することに気付くことで、より柔軟性がありかつ使用しやすいユーザーインターフェースが実現される。
【0019】
図3に示すユーザーインターフェースを用いて例示的な実施形態に従って、射出成形プロセスまたは鋳造プロセスの数値シミュレーションがコンピュータ上で実行される。
図3は、上記のような装置で実施されているこのようなユーザーインターフェースのスクリーンショット画面303を示す。説明ではコンピュータ端末に言及しているが、本明細書の教示はシミュレーション計算を実施してデータをディスプレイに表示できる任意の装置に適用されてよい。
【0020】
図3aは、画法幾何学表示画面または構成要素入力表示画面ウィンドウ320をさらに備えるアプリケーションウィンドウ310を備えるスクリーンショット画面を示す。シミュレーションされる鋳造/成形構成要素あるいは物品や対応する成形のモデルまたは幾何モデル322は、画法幾何学表示画面320に示される。モデル322は、少なくとも1つの構成要素を備える。この例では、モデルは、3つの構成要素、Comp 1 324、Comp 2 326、およびComp N 328を備える。
【0021】
一実施形態では、コントローラは、さらに、構成要素ウィンドウ330を表示するように構成される。コントローラは、モデル322に備えられる構成要素324、326、328に対応する構成要素データオブジェクト335を表示するように構成される。この例では、3つのオブジェクト335が表示される。論点を明確にするために、1つのオブジェクトのみが参照符号335で標識される。この例では、「Comp 1」と標識されたオブジェクトは構成要素Comp 1 324に対応し、「Comp 2」と標識されたオブジェクトは構成要素Comp 2 326に対応し、「Comp N」と標識されたオブジェクトは構成要素Comp N 328に対応することを理解されたい。
【0022】
コントローラが、オブジェクト335を構成要素324、326、および328にリンクさせるように構成される。
コントローラが、さらに、構成要素324、326、または328を示す入力を受信し、その入力に応じて選択された対応するオブジェクト335にマークを付けるように構成される。
【0023】
コントローラが、さらに、オブジェクト335を示す入力を受信し、その入力に応じて選択された対応する構成要素324、326、または328にマークを付けるように構成される。
【0024】
コントローラが、さらに、選択されたオブジェクトまたは構成要素に関する入力を受信し、その入力に応じて構成要素データオブジェクト335と構成要素324、326、および328の両方を更新するように構成される。
【0025】
一実施形態では、コントローラは、さらに、材料特性ウィンドウ340を表示するように構成される。コントローラは、さらに、材料ウィンドウ340において材料データオブジェクト345を表示するように構成される。各材料データオブジェクトは、材料データオブジェクトによってシミュレーションされる材料に関する情報を伝達する。
【0026】
一実施形態では、コントローラは、材料特性オブジェクト345が対応する構成要素データオブジェクト335とリンクするように構成される。
一実施形態では、コントローラは、材料特性オブジェクト345が対応する構成要素324、326、328とリンクするように構成される。
【0027】
コントローラが、さらに、選択された材料特性オブジェクト345、構成要素データオブジェクト335、または構成要素324、326、328に関する入力を受信し、その入力に応じて他の構成要素データオブジェクト335、材料特性データオブジェクト345、および構成要素324、326、および328の少なくとも1つを更新するように構成される。
【0028】
鋳造は多くの幾何学的構成要素で構成されてもよく、これらの構成要素の全部または各々は同じ材料(鋳造合金)を有し、コントローラはこれらを単一材料として処理するように構成されることに留意されたい。さらに、構成要素は複数の材料から成ってもよく、すなわち、複合鋳造材料であってもよいことに留意されたい。
【0029】
一実施形態では、コントローラは、さらに、オブジェクト350、355、360を示す少なくとも1つのモードを表示するように配置される。オブジェクト350、355、360を示す各モードは、シミュレーション用の入力モードに対応する。
【0030】
コントローラが、オブジェクト350、355、360を示すモードで入力を受信し、その入力に応じて対応する入力画面を表示するように構成される。
このようなモードの例は、プロジェクト表示画面、幾何学表示画面、定義表示画面、シミュレーション表示画面、データベース表示画面、および結果表示画面である。
【0031】
一例では、1つのモードは構成要素表示画面であり、対応する入力画面は図3aに示される。
一例では、1つのモードはプロセス図であり、対応する入力画面は図3bに示される。
【0032】
一例では、1つのモードはダイアログ表示画面である。ユーザーは、必要なパラメータ、定数、特性、および限界を入力することに関するシミュレーションプロセスを段階的に組み立てるよう提示される。
【0033】
一例では、ダイアログ表示画面は、プロセス表示画面に組み入れられる。
複数の表示画面が同時に表示されてもよいことに留意されたい。さらに、表示画面は互いにリンクされており、1つの表示画面に入力すると他のすべての表示画面において更新がなされることに留意されたい。
【0034】
図3bは、プロセス概観ウィンドウ371をさらに備えるアプリケーションウィンドウ310を備えるスクリーンショット画面を示す。
一実施形態では、コントローラが各処理工程の目的を示すアイコンまたは他のグラフィカルシンボル375を表示するように構成される。例は、前処理、鋳込み、および凝固である。
【0035】
一実施形態では、プロセス表示画面ウィンドウ370は、少なくとも1つの処理工程分離部376を備える。これによって、どんな要素がどの処理工程に属するかについての概要が明確に示される。
【0036】
このような一実施形態では、コントローラは、パラメータオブジェクト377を表示するように構成される。コントローラは、パラメータオブジェクト377に関連するパラメータに関するデータを表示するように構成される。このような一実施形態では、コントローラは、さらに、パラメータオブジェクトを示す入力を受信し、その入力に応じて関連するパラメータに関するデータが表示されるウィンドウを表示するように構成される。一実施形態では、コントローラは、さらに、表示されたウィンドウで入力を受信し、その入力に応じてパラメータ値を更新するように構成される。
【0037】
この実施形態では、パラメータオブジェクトのグラフ表現はパラメータ値のグラフ表現である。パラメータ値は、プロセス中のパラメータ変化の様子のグラフとして表示されてもよい。
【0038】
一実施形態では、プロセス表示画面ウィンドウ370は、プロセス・フロー・ウィンドウ372を備える。
一実施形態では、コントローラは、プロセス・フロー・ウィンドウ372に少なくとも1つの処理工程オブジェクト378を表示するように構成される。一実施形態では、処理工程オブジェクト378は、少なくとも1つの処理工程に対応する。プロセス・フロー・オブジェクトに備えられる処理工程は、プロセス概観ウィンドウに表示されるものと同じである必要がない。
【0039】
一実施形態では、処理工程オブジェクト378aは、1つの処理工程を備える。
一実施形態では、処理工程オブジェクト378bは、複数の処理工程または集合ステップを備える。集合ステップの例は、シミュレーションされる鋳造プロセス全体または射出成形プロセスを表わすために使用される「キャスティング」と呼ばれるステップである。
【0040】
一実施形態では、処理工程オブジェクト378は、処理工程を示すラベルを備える。
一実施形態では、処理工程オブジェクトは、プロセス固有の条件や基準に関連する。一実施形態では、コントローラは、処理工程オブジェクト378を示す入力を受信し、その入力に応じて関連する条件に対するデータが表示されるウィンドウを表示するように構成される。一実施形態では、コントローラは、さらに、表示されたウィンドウで入力を受信し、その入力に応じて条件値を更新するように構成される。
【0041】
一実施形態では、プロセス表示画面ウィンドウ370はタイムラインウィンドウ373を備える。
一実施形態では、コントローラは、タイムラインウィンドウ373においてプロセス・タイミング・オブジェクト379を表示するように構成される。一実施形態では、プロセス・タイミング・オブジェクト379は、処理工程オブジェクト378に関連する。一実施形態では、プロセス・タイミング・オブジェクト379は、シミュレーションされるプロセスのどの段階で、処理工程オブジェクト378によって表わされている処理工程が実施されなければならないかを示すイベント時刻に関連する。
【0042】
一実施形態では、コントローラは、タイミングオブジェクトを時刻またはタイムスタンプに関連付けるように構成される。この時刻またはタイムスタンプは、処理工程を開始すべき時点(場合によっては、相対的時刻)を示す。
【0043】
一実施形態では、コントローラは、タイミングオブジェクトを条件に関連付けるように構成される。この条件は、処理工程を開始すべき特別な条件または状況(構成要素が特定温度に達しているなど)を示す。
【0044】
一実施形態では、コントローラは、ラベルの付いているプロセス・タイミング・オブジェクト379を表示するように構成され、ラベルはプロセス・タイミング・オブジェクトが関連している処理工程を示す。
【0045】
一実施形態では、コントローラは、ラベルの付いているプロセス・タイミング・オブジェクト379を表示するように構成され、ラベルはプロセス・タイミング・オブジェクトが関連しているイベント時刻を示す。
【0046】
一実施形態では、コントローラは、プロセス・タイミング・オブジェクトを示す入力を受信して、その入力に応じてイベント時刻およびプロセスパラメータの少なくとも何れかが変更され得るウィンドウを表示するように構成される。
【0047】
一実施形態では、コントローラは、境界条件などのプロセスを管理する入力パラメータを受信するように構成される(図10参照)。
一実施形態では、コントローラは、イベント時刻に対応するタイムラインウィンドウ373内のある位置にプロセス・タイミング・オブジェクトを表示するように構成される。
【0048】
一実施形態では、コントローラは、プロセス・タイミング・オブジェクト379を示すドラッグ・アンド・ドロップ入力を受信し、その入力に応じてプロセス・タイミング・ウィンドウを新たなイベント時刻に移動し、それに応じてプロセス・タイミング・オブジェクト379のイベント時刻を更新するように構成される。
【0049】
一実施形態では、処理工程分離部376は、イベント時刻と一致して表示される。
一実施形態では、コントローラは、プロセス・タイミング・オブジェクトが関連するイベント時刻を明確にマーキングするイベント時刻インジケータ381を備えるものとしてプロセス・タイミング・オブジェクトを表示するように構成される。
【0050】
その結果、構成要素は、プロセス・タイミング・オブジェクト379を通じて処理工程オブジェクト378に関連する。
一実施形態では、構成要素は処理工程オブジェクトと直接関連する。
【0051】
一実施形態では、処理工程オブジェクトは、イベント時刻に関連する。このような実施形態では、イベント時刻は、他のイベント時刻が指定されない限り、関連する構成要素に対して処理工程が実施されねばならない時刻である。たとえば、このような他のイベント時刻は構成要素に関連するプロセス・タイミング・オブジェクト379によって指定されてもよい。それゆえ、処理工程オブジェクト378およびプロセス・タイミング・オブジェクト379の両方に関連している構成要素335は、2つのイベント時刻に関連している可能性がある。
【0052】
一実施形態では、プロセス・タイミング・オブジェクト379に対するイベント時刻は、処理工程がシミュレーションで実施されねばならないとき決定的であろう。
これによって、処理工程を一群の構成要素に対して広範に規定することができ、この後、具体的な構成要素335に対して特に修正することができる。
【0053】
図3bの例では、処理工程378bは、2つの構成要素335aおよび335bに関連している。第1のプロセス・タイミング・オブジェクト379aは、処理工程オブジェクト378bおよび構成要素「Comp 2」335bと関連している。第2のプロセス・タイミング・オブジェクト379bは、他の構成要素「Comp
1」335aを除き同じ処理工程オブジェクト378bに関連する。図から、2つのプロセス・タイミング・オブジェクト379aおよび379bは異なるイベント時刻を有することは明らかである。この例では、第1のプロセス・タイミング・オブジェクト379bが処理工程オブジェクト378aと同じイベント時刻を有することが図に示される。プロセスのシミュレーション実行中に、処理工程オブジェクト378aに対応する処理工程は、構成要素「Comp 1」335aに対する第1のイベント時刻379bと、構成要素「Comp 2」335bに対する第2のイベント時刻379cとにおいて実行される。
【0054】
一実施形態では、プロセス表示画面ウィンドウ370は、構成要素ウィンドウ374を備える。
コントローラは、少なくとも1つの構成要素を構成要素ウィンドウ374に表示するように構成される。
【0055】
一実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの材料を構成要素ウィンドウ374に表示するように構成される。
一実施形態では、コントローラは、各材料に対する構成要素を表示するように構成され、上記構成要素はこの構成要素に対して表示されている材料で作られる。
【0056】
一実施形態では、コントローラは、各プロセス・タイミング・オブジェクト379を構成要素335に関連付けるように構成される。この関連付けによって、各オブジェクトは、少なくとも1つの処理工程オブジェクト378と、処理工程が実施または開始されねばならないイベント時刻とに関連する。
【0057】
一実施形態では、プロセス表示画面ウィンドウ370は、プロセス情報ウィンドウ375を備える。一実施形態では、プロセスに関するデータは、コントローラによってプロセス情報ウィンドウに表示される。
【0058】
これによって、構成要素と、表示された情報を見ることによってユーザーが概観し理解しやすい処理工程とが結合される。
また、上記(および下記)の実施形態は、ユーザーが構造に関するパラメータ、処理工程に関する条件、各処理工程に対するイベント時刻、および対応する構成要素に関してプロセス・シミュレーション・セットアップを直感的に理解して変更することを容易にする、構造表示画面とプロセス表示画面の切替え方法を提供する。
【0059】
一実施形態では、コントローラは、各々が少なくとも1つのプロセスパラメータ、シミュレーションに必要な条件などのデータをユーザーに入力するよう促す一連のダイアログウィンドウを表示するように構成される。このようなダイアログは、先行技術のシステムから周知であり、詳細には説明しない。このようなシステムの1つは、MAGMASOFT(登録商標)V4.4ソフトウェアである。このようなシステムでは、一連のダイアログウィンドウがユーザーに表示され、コントローラはユーザーによって提供される入力を受信するように構成される。
【0060】
本明細書の教示によるダイアログ入力法を、以下でさらに詳しく説明する。
射出成形プロセスのシミュレーションに使用される実施形態例では、以下のデータがシミュレーションに添付され、シミュレーションソフトウェアのユーザーによって決定される。実施形態に応じて、一部のデータは省かれる場合があり、あるいは以下のデータのリストに追加される場合があることに留意されたい。
【0061】
工具(金型/鋳型)
−剛性(構造)
−冷却
−材料
−熱的特性
−摩擦特性/表面粗さ
部品(成形品)
−肉厚
−断面積
−平面投影
−アンダーカット
ポリマーまたは金属合金
−摩擦特性
−機械的特性
−熱物理データ
−収縮特性
プロセス特性
−圧力曲線
−温度変化
−接触温度
同様の実施形態例を図5および6に示す。
【0062】
上記の説明におけるウィンドウは別々のウィンドウである必要はなく、ウィンドウの一部の表示画面であってもよい。
一実施形態では、プロセス概観ウィンドウ371、プロセス・フロー・ウィンドウ372、およびタイムラインウィンドウ373は、すべてプロセス表示画面ウィンドウ370の一部を形成する。これは図3bの場合である。
【0063】
また、当業者には明らかなように、同じことは本明細書に記載した他のウィンドウに対しても可能である。
図4は、本明細書の教示による基本的方法のフローチャートを示す。ブロック400では、少なくとも1つの構成要素のコンピュータモデルが提供されてブロック410に表示される。ブロック420では、構成要素を示す入力が受信され、構成要素はブロック430で更新される。ブロック440では、シミュレーションされるプロセスに関する少なくとも1つの処理工程オブジェクトが表示される。処理工程オブジェクトは、プロセスパラメータに関連している。ブロック450では、処理工程オブジェクトを示す入力が受信され、ブロック460において、パラメータが更新される。
【0064】
ブロック470では、プロセスのシミュレーションが少なくとも1つの構成要素に対して実施され、処理工程オブジェクト(378)の関連するパラメータと、構成要素とプロセスオブジェクトとのリンクならびにこれらそれぞれのパラメータとを利用するイベント時刻とに従って各処理工程をシミュレーションする。
【0065】
図5は、上記のような装置で実施されているユーザーインターフェース例のスクリーンショット画面を示す。
図5は、ダイアログ表示画面590およびプロセス表示画面570を有するウィンドウを示す。プロセス表示画面570は、プロセス・グラフィカル・シンボル575によって識別される多数の処理工程が表示されるプロセス概観571を有する。プロセスパラメータ577も示される。
【0066】
また、多数の処理工程オブジェクト578も表示される。この例では、多数の処理工程オブジェクト578は、処理工程の流れを直感的に説明するラベル付きの矢印によって示される。
【0067】
一実施形態では、コントローラは、構成要素とこれらに対応する材料のリストを表示するように構成される。このような1つの実施形態では、コントローラは、材料と、材料に関連しているものとしてその材料で作られた構成要素とを表示するように構成される。材料のリスト545が製造される構成要素とともに表示される図5を参照されたい。この例では、構成要素535は、材料545に従って分類される。
【0068】
プロセス・タイミング・オブジェクト579は、構成要素535の一部に対して表示される。
押したり、軽く叩いたり、駆動したりすることにより別の表示画面を表示させる複数の表示画面切替えボタン560、550、555もまた、表示される。
【0069】
図6は、2つの処理工程オブジェクト678aおよび678bが表示される同様の表示画面を示す。以下で、これら2つのオブジェクトに対するパラメータの設定方法を説明する。
【0070】
一例では、コントローラは、鋳造または成形プロセスの鋳込みステップに対する処理工程オブジェクトである第1の処理工程オブジェクト678aを示す入力(基準矢印A)を受信する。
【0071】
ウィンドウ700(図7参照)が表示され、ここには、処理工程オブジェクト678aに関連するパラメータに対する複数の特性が示される。この例では、特性710は、鋳込みに言及しており、鋳込み時間、鋳込み速度、または圧力曲線に関連付けて設定される。
【0072】
この例では、コントローラは、パラメータに対して適切な値を設定する際にユーザーを支援する計算アシスタントを提供するように構成される。ユーザーは、特別なアイコン720を押すことによってこのような計算アシスタントを駆動する。この例では、取鍋がアイコン720によって設定され得ることをユーザーに示すために、アイコンには「取鍋」というラベルが付けられる。
【0073】
これに応じて、さらなるウィンドウ800が表示される(図8参照)。このウィンドウ800では、取鍋の複数の特性が表示され、ユーザーは測定値およびその他のデータ810を設定し、アイコン820を押すことによって必要な計算を実施するようコントローラに指示する。
【0074】
結果としての鋳込みデータ830が、この後、生成されて表示される。この例では、得られたデータのグラフ840も表示される。
コントローラがこれらのデータ830を受信すると、コントローラは第1のウィンドウ(700)を更新する(図9参照)。
【0075】
すべてのパラメータが設定されると、コントローラはプロセス表示画面570を更新する。図6の初期の表示画面と図5の結果表示画面とを比較すると、図5ではグラフ840がパラメータ577に対するプロセス表示画面570にも示されていることがわかる。
【0076】
一例では、コントローラは、鋳造または成形プロセスの砂落しステップに対する処理工程オブジェクトである第2の処理工程オブジェクト678bを示す入力(基準矢印B)を受信する。
【0077】
ウィンドウ1000(図10参照)が表示され、ここには、処理工程オブジェクト678bに関連する複数の構成要素1035が示される。この例では、構成要素はこれらの材料1080にちなんで分類される。
【0078】
各構成要素1035に対するイベント時刻1010も表示される。
ユーザーは、構成要素に対するパラメータの変更を望むならば構成要素を指定する。図10では、これが基準矢印Cとして示される。
【0079】
コントローラは、構成要素1035を示す入力を受信し、その入力に応じてウィンドウ1100を示すように構成され(図11参照)、ここでは、処理工程に対するパラメータが示される。
【0080】
この例では、温度や時間などに依存する処理工程の制御用パラメータが表示される。この例では、温度に依存する追加パラメータ;材料グループが示され、検討された温度、検討された材料、検討された関係および温度が示される。
【0081】
パラメータが受け入れられると、対応する処理工程オブジェクトが更新され、プロセス・タイミング・オブジェクトが関連している場合、処理工程オブジェクトはさらにコントローラによって更新される。
【0082】
上記のプロセス表示画面は、たとえば、機械加工や熱処理などの成形処理後の他のプロセスを説明するためにも使用されることに留意されたい。
上記の実施形態の一例では、コントローラは、処理工程など、対応するオブジェクトを選択することによってユーザーがパラメータにアクセスし得るように構成される。こうして、パラメータは、パラメータ自体が表示される場所のどこからでも、あるいはリンクされ/関連する構成要素またはリンクされ/関連する材料が表示される場所のどこからでもアクセスされ得る(図5の578、579;図12の1245、および図5の590〜サブグループ592)。
【0083】
図12は、図3aの構成要素表示画面の実施形態例のスクリーンショット画面を示す。モデル1222が表示され、構成要素1235および対応する材料1245のリストが示される。
【0084】
コントローラは、材料1245を示す入力を受信し、その入力に応じて、材料のパラメータが表示されユーザーによって変更可能なウィンドウ(図13参照)を表示するように構成される。
【0085】
一実施形態では、コントローラは、構成要素を示す入力を受信し、その入力に応じて、構成要素に割り当てられた材料のパラメータが表示されてユーザーによって変更可能なウィンドウ(図13参照)を表示するように構成される。
【0086】
この実施形態では、2つのグループのパラメータが表示される。第1のグループ1310は材料定義に関係しており、第2のグループは砂落し特性1320に関係している。
ユーザーが第1のパラメータグループ1310を選択する場合、材料に関する情報が表示される。このような情報は、材料名および説明である。
【0087】
さらに示されるのは、材料が変更であることを示すアイコン1330、あるいは材料の特性が変更または編集可能であることを示すアイコン1340である。
コントローラは、材料やその特性が変更または編集されるべきであることを示す入力を受信するように構成される。
【0088】
材料を変更する必要がある場合、コントローラは材料のリストを表示し、リストから材料の選択肢を受信し、材料として選択した材料を使用するように構成される。
材料のこのようなリストはローカルまたはリモートで記憶されてもよく、実時間で装置にダウンロードされる。
【0089】
材料を編集する必要がある場合、コントローラは、材料特性1410を示すウィンドウを表示するように構成される(図14参照)。この例では、このような特性1410は、初期温度、密度、比熱容量、および熱伝導率である。
【0090】
一実施形態では、コントローラは、特性を示す入力を受信し、その入力に応じて特性が変更可能なウィンドウを起動するように構成される。
一実施形態では、コントローラは、特性を示す入力を受信し、その入力に応じて特性が変更可能な入力フィールドを示すように構成される。
【0091】
一実施形態では、パラメータグループ1320は、処理工程オブジェクトに関連している。コントローラは、このようなパラメータグループ1320がユーザーによって選択される場合に図11のようなウィンドウを表示するように構成される。
【0092】
それゆえ、構成要素とプロセスの間には明確なリンクがある。
上記のパラメータ、特性などは任意の順序で編集または変更されてもよいことは明らかなはずである。このことによって、ユーザーはきわめて直感的に理解できる方法でシミュレーションできるので、シミュレーションに必要なデータ入力が容易になる。また、特性およびパラメータなどを任意の望む順序で変更することも可能である。
【0093】
必要とするすべてのデータを入力するために必要な様々なステップによってユーザーを誘導するのに役立つように、ダイアログシーケンスが提供される。図5に戻ると、ダイアログツリーが表示されている。ダイアログツリーでは、様々なデータグループ591が示される。
【0094】
この例では、データグループ591は、材料定義、熱伝達定義、鋳造プロセス、鋳造後の処理、応力材料選択肢、結果定義、およびシミュレーション設定である。
一実施形態では、データグループは、サブツリー592またはサブグループを有する。この例では、鋳造プロセス・データ・グループは、サブグループとして、前処理、鋳込み、凝固、および冷却を有する。凝固および冷却は、さらに、サブグループとして、アクティブフィーディング、トップ・オフ・フィーダー、砂落し、リムーブキャストを有する。
【0095】
一実施形態では、コントローラは、各データグループに対するダイアログウィンドウまたは表示画面を段階的に表示することによってユーザーにデータを入力するよう促す。
こうすると、ユーザーがすべてのデータが入力されていることを確認するのに役立つ。一実施形態では、コントローラは、データグループを示す入力を受信し、その入力に応じてダイアログウィンドウを表示するように構成される。
【0096】
こうすると、ユーザーは柔軟にデータを入力することができる。
一実施形態では、コントローラは、完全には入力されていない各データグループに対するダイアログウィンドウまたは表示画面を段階的に表示することによってユーザーにデータの入力を促すように構成される。あるいは、シミュレーションが実行される前に、確認もしくは完了させることが必要な定義をユーザーに手短に伝えるために、警告またはエラーメッセージが表示される。
【0097】
こうすると、シミュレーションの開始前にすべてのデータが入力されていることをユーザーが確認するのに役立つ。一実施形態では、コントローラは、すべてのデータが入力または受信された時点でシミュレーションを開始するように構成される。このような一実施形態では、コントローラは、シミュレーションの結果を評価し表示するように構成される。
【0098】
表示されるダイアログウィンドウまたは表示画面は、図7、10、および14を参照して説明したものに類似している。
前述のシミュレーションは、ハードドライブ、ユニバーサル・シリアル・バス・メモリ・デバイス、コンパクトディスク(CD)、ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)などのコンピュータ読取可能媒体に記憶され、これらからフェッチされるかまたは読み出されるプログラムまたはソフトウェアコード命令によって実行されてもよい。媒体は、本出願の教示を実施する装置に対してローカルであってもよく、このような装置に対してリモートであってもよい。
【0099】
前述した本明細書の教示の様々な態様は、単独または様々に組み合わせて採用される。本明細書の教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって実施されることが好ましいが、ハードウェアまたはソフトウェアでも実施される。
【0100】
本明細書の教示は数多くの優位性を有する。種々の実施形態または実施例が以下の優位性の1つまたは複数をもらす可能性がある。これは網羅的なリストではなく、本明細書に記載しない優位性がほかにあるかもしれないことに留意されたい。1つの優位性は、処理工程とモデルの構成要素との間に明確なリンクを提供することである。さらに別の優位性は、プロセスパラメータと構成要素パラメータの両方を更新するための容易な方法を提供することである。さらなる優位性は、各パラメータを順番に入力せずに任意の希望する順序でパラメータを更新するための容易な方法を提供することである。
【0101】
本明細書の教示は例示を目的として詳しく説明してきたが、このような詳細は単に例示を目的とするもので、本教示の範囲から逸脱することなくその中で当業者によって変更がなされることは理解される。
【0102】
たとえば、教示は射出成形および鋳造プロセスに関して説明されているが、教示は、たとえば、ブロー成形など、他のタイプの成形注入プロセスに適用されてもよいことは理解されたい。また、本明細書の教示は、凝固および熱処理中の材料の機械的ストレスのシミュレーションに適用されてもよい。
【0103】
先の説明に記載した特徴は、明示的に記載した組合せ以外の組合せで採用されてもよい。
前述の明細において特に重要であると考えられる本明細書の教示の特徴に注目しようとする一方で、本出願人は、特に重視されているか否かにかかわらず、これまでに言及されたり図面に示された特許性のある特徴または特徴の組合せに関する保護を主張することを理解されたい。
【0104】
特許請求の範囲で使用される「備える」という用語は、他の要素またはステップを除外するものではない。単一プロセッサなどのユニットは、特許請求の範囲で列挙される複数の手段の機能を果たすことができる。
図1
図2
図3b
図4
図5
図6
図12
図3a
図7
図8
図9
図10
図11
図13
図14