(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記情報盤との情報の受け渡しを無線で行う第二無線送受信部を有することを特徴とする請求項1に記載のホームエネルギーマネジメントシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の技術によれば、一つのEPSに通信線と電源線が集約されているため、EPSの大きさ等の設備上、通信線及び電源線を増設可能な数には限界がある。
一方、近年のスマートハウス技術によれば、建物内に多数の設備機器が設置され、これらをネットワーク化するために、従来よりも多くの情報コンセントを必要とする場合がある。上記従来の技術では、通信線及び電源線の設置数に限界があるため、情報コンセントを増設することができず情報コンセントが不足する場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、従来よりも多くのケーブルを情報盤及び分電盤に接続可能とし、建物内に多数の設備機器が設置された場合にもそれらを容易にネットワーク化することができるホームエネルギーマネジメントシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば
図2,3に示すように、ホームエネルギーマネジメントシステムであって、
建物
内に設けられる情報盤66及び分電盤68と、
電力供給手段81による電力供給量と家庭内負荷82による電力消費量とを管理及び制御するコントローラ65と、
前記建物内の各部屋に設けられ、情報系ケーブル67により前記情報盤66に接続される情報コンセント64と、を備え、
前記情報コンセント64には無線送受信部64aが取り付けられ、
前記コントローラ65は、前記情報盤66を介して前記無線送受信部64aと情報の受け渡しを行い、前記無線送受信部64aは、前記家庭内負荷82と情報の受け渡しを無線で行うものであり、
前記情報盤66は、前記コントローラ65と前記情報コンセント64とに情報系ケーブル67により接続され、
前記分電盤68は、前記コントローラ65と前記情報コンセント64とに電気系ケーブル69によりに接続され、
将来的な電力供給手段81や家庭内負荷82の設置時に、これらに接続される
前記情報系ケーブル67が挿通される第一先行配管55aが
前記建物内に張り巡らされ
、
将来的な電力供給手段81や家庭内負荷82の設置時に、これらに接続される前記電気系ケーブル67が挿通される第二先行配管が前記建物内に張り巡らされ、
前記情報盤と前記分電盤とは、前記建物内の異なる前記部屋に別々に設置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、ホームエネルギーマネジメントシステムが、建物
内に設けられた情報盤66及び分電盤68と、電力供給手段81による電力供給量と家庭内負荷82による電力消費量とを管理及び制御するコントローラ65と、建物内の各部屋に設けられ、情報系ケーブル67により情報盤66に接続される情報コンセント64と、を備え、情報コンセント64には無線送受信部64aが取り付けられ、コントローラ65は、情報盤66を介して無線送受信部64aと情報の受け渡しを行い、無線送受信部64aは家庭内負荷82と情報の受け渡しを行うので、情報盤66及び分電盤68に情報系ケーブル67と電気系ケーブル69とが集中せず、情報盤66及び分電盤68に従来よりも多くのケーブルを接続することができる。これにより、建物内の家庭内負荷82を無線で制御可能な無線送受信部64aが取り付けられた情報コンセント64を従来よりも多く設置することができ、これらの家庭内負荷82を容易にネットワーク化することができる。そして、居住者がコントローラ65が設置された一の部屋に居ながら、各部屋の家庭内負荷82を管理・制御することができる。
また、情報盤66と分電盤68とが異なるスペースに設けられているため、情報系ケーブル67と電気系ケーブル69とを分けて配線することができ、修理・点検作業を容易にすることができる。更に、情報系ケーブル67と電気系ケーブル69とが分けて配線されているため、情報系ケーブル67や電気系ケーブル69を追加設置する際の配線作業を容易とすることができる。
さらに、情報系ケーブル67が挿通される第一先行配管55aが建物内に張り巡らされているので、ユニット式建物Aの建築完了後に、追加的に設備機器を設置する場合においても、あらかじめ配管された第一先行配管55a内に情報系ケーブル67を配線することで、容易に配線作業を行うことができる。
また、ユニット式建物Aの建築完了後に、追加的に設備機器を設置する場合においても、あらかじめ配管された第二先行配管55b内に電気系ケーブル69を配線することで、容易に配線作業を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば
図3及び
図5に示すように、請求項1に記載のホームエネルギーマネジメントシステムにおいて、
前記コントローラ65は、前記情報盤66との情報の受け渡しを無線で行う第二無線送受信部65eを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、コントローラ65が情報盤66と情報の受け渡しを無線で行う第二無線送受信部65eを有することにより、情報盤66とコントローラ65との間において情報系ケーブル67を省略でき、配線を簡略化することができる。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、例えば図
1に示すように、
請求項1または2に記載のホームエネルギーマネジメントシステムにおいて、前記情報盤66と前記分電盤68とは、前記建物の特定階に設けられ、
前記情報盤66と前記分電盤68とが設けられるそれぞれの前記部屋の間には、別なる部屋19が設けられることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、例えば
図1に示すように、請求
項3に記載のホームエネルギーマネジメントシステムにおいて、前記別なる部屋19は、リビングルーム19であることを特徴とする。
【0015】
請求項
5に記載の発明は、例えば
図4に示すように、請求項1
から4のいずれか一項に記載のホームエネルギーマネジメントシステムにおいて、
前記建物内の
前記部屋の天井材75に設けられた筒状部材77を更に備え、
前記情報系ケーブル67が挿通される
前記第一先行配管55a及び
前記電気系ケーブル69が挿通される
前記第二先行配管55bの少なくとも一方が前記筒状部材77に挿通されていることを特徴とする。
【0016】
請求項
5に記載の発明によれば、
前記建物内の
前記部屋の天井材75に設けられた筒状部材77を更に備え、
前記情報系ケーブル67が挿通される
前記第一先行配管55a及び
前記電気系ケーブル69が挿通される
前記第二先行配管55bの少なくとも一方が前記筒状部材77に挿通されているので、第一先行配管55aや第二先行配管55bの配管作業時に建物ユニットBの天井部分に孔を形成することなく第一先行配管55aや第二先行配管55bを配管することができ、当該配管作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、情報盤と分電盤とが分けて配置されているため、情報盤及び分電盤に多数のケーブルが集約することがなく、従来よりも多くのケーブルを情報盤及び分電盤に接続することができ、建物内に多数の設備機器が設置された場合にもそれらを容易にネットワーク化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施の形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0020】
図1はユニット式建物Aの下階1の間取り図であり、
図6はユニット式建物Aの上階2の間取り図である。ユニット式建物Aは、四隅に立設された柱の上端間及び下端間をそれぞれ梁で直結した略直方体状のフレームを有する建物ユニットを複数個組み合わせて構成されている。本実施形態においては、ユニット式建物Aの下階1に、第一配管スペース61及び第二配管スペース62が設けられている。
また、このユニット式建物Aの陸屋根5の一部(即ち、屋上部分)には、当該陸屋根5の屋根面5aよりも高い略平坦な屋根面6aを有する高屋根部6を備え、高屋根部6の屋根面6aと、陸屋根5の屋根面5aとの間に収納空間3が設けられている。
図7はその収納空間3を示す間取り図である。
【0021】
まず、本実施形態のユニット式建物Aにおける下階1の間取りについて、
図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、ユニット式建物Aの下階1の西側には、ユニット式建物Aの南側に向けて開口した玄関10が設けられている。玄関10は、玄関ポーチ11と、玄関ポーチ11から連続する土間床12と、玄関ポーチ11と土間床12との間を仕切る玄関扉13と、玄関ホール14とからなる。土間床12及び玄関ホール14の北側にはそれぞれ収納部12a及び14aが設けられている。
【0022】
収納部14a内には、第一配管スペース61が設けられ、当該第一配管スペース61内には、外部からの電話線や光ケーブル等の情報用引込線が接続される情報盤66(
図2及び
図3参照)が設けられている。
【0023】
また、
図1に示すように、玄関10の北側には、マルチルーム15が設けられている。このマルチルーム15は、図示したような畳空間であっても良いし、ここでは図示しない玄関10の土間床12から連通する土間収納であっても良く、所望する仕様に任意に変更可能なマルチな態様を有してなる。また、マルチルーム15の西側の壁面には窓15aが設けられており、当該窓15aから入射した光で採光可能になっている。
また、ユニット式建物Aの西側には、ユニット式建物Aの外壁に沿ってルーバー21aが立設されており、マルチルーム15の窓15aへの採光を確保しつつ、外部からの視線を遮ることでプライバシーを保護することができるようになっている。
【0024】
マルチルーム15の東側には、引き戸15dを介してダイニング・キッチン16が設けられている。ダイニング・キッチン16に面した外周側の壁面には窓16aが設けられており、当該窓16aから入射した光で採光可能になっている。
【0025】
ダイニング・キッチン16の東側には、浴室17及び洗面所18が設けられている。これら浴室17及び洗面所18の間(即ち、浴室17の南側)には、浴室17の出入口17aが設けられている。洗面所18の北側(浴室17の出入口17a側)の空間は、入浴時の脱衣所としても機能する。また、洗面所18の出入口18aは南側に設けられている。これら浴室17及び洗面所18の東側の壁面には、それぞれ窓17b,18bが設けられ、採光可能になっている。
【0026】
ダイニング・キッチン16の南側には、大空間のリビング19が当該ダイニング・キッチン16と連通して設けられている。つまり、ダイニング・キッチン16の南側部分は、リビング19と一体化している。また、これらダイニング・キッチン16及びリビング19の中間部の西側には、玄関ホール14に面した出入口16bが設けられている。
【0027】
リビング19の南側には、ダイニング・キッチン16と対向する位置に、屋外へ通じる開口部20が設けられ、この開口部20には窓20aが設けられている。このため、窓20aから入射した光を、リビング19を介してダイニング・キッチン16まで届かせることができ、ダイニング・キッチン16の採光を良好にすることができる。また、開口部20の南側には、窓20aを介してユニット式建物Aの外方に面したデッキ空間21が設けられている。デッキ空間21の高さは、リビング19及びダイニング・キッチン16の床高さ、即ち下階1の床の高さに等しく、屋内外の空間を一体に見せることができる。また、デッキ空間21の南側には中庭41が設けられている。
【0028】
リビング19の東側には、階段室22が設けられている。この階段室22は、下階1から後述する収納空間3の設けられた屋上階に亙って設けられており、下階1から上階2に至る第1階段22aと、上階2から収納空間3に至る第2階段22bとを備えている。これら第1及び第2階段22a,22bは、折り返し階段とされている。
また、下階1において、階段室22の第1階段22aの西側は、上階2へ向けた第1階段22aの下方に形成される階段下空間となっており、本実施形態の場合、当該階段下空間にトイレ23が設けられている。
更に、下階1の階段室22と洗面所18との間における東側の壁面には、窓22cが設けられ、採光及び通気が可能となっている。また、階段室22と洗面所18との間には、収納部22eが設けられている。
なお、窓22cの下方、つまり下階1の床近傍の壁面に地窓が設けられることが好ましい。また、ここでは図示省略するが、これら第1及び第2階段22a,22bは、複数の踏み板間の蹴上げ部を開口させたスケルトン式の階段とすることが好ましい。これにより、地窓から流入する外気を、複数の踏み板間の開口(隙間)を通じて上方の収納空間3(後述する窓3d)へと流通させることができるので、下階1の空気を上昇し易くさせると共に、当該空気を収納空間3の窓3dから排気させ易くすることができる。
【0029】
階段室22の収納部22e内には、第二配管スペース62が設けられ、当該第二配管スペース62内には、系統電源(図示略)から電力が供給される電源線が接続されるとともに、電気系ケーブル69を分岐配線する分電盤68(
図2及び
図3参照)が設けられている。
このように、情報盤66と分電盤68はユニット式建物A内において異なるスペースに設けられている。本発明において、「異なるスペースに設けられる」とは、情報盤66が設置される位置(本実施形態においては第一配管スペース61)と、分電盤68が設置される位置(本実施形態においては第二配管スペース62)とが建物内において別個独立に設けられ、情報盤66に集約される情報系ケーブル67と分電盤68に集約される電気系ケーブル69とが互いに干渉し合わない程度に離れて配置されている状態をいう。
【0030】
ここで、
図2及び
図3を参照して、情報盤66、分電盤68、これらに接続される電力供給手段81及び家庭内負荷82等について以下に説明する。
図2は、本発明に係るホームエネルギーマネジメントシステムの概略構成を示す図であり、
図3は、ホームエネルギーマネジメントシステムを説明する図である。なお、
図3では、分電盤68、電気系ケーブル69、第一先行配管55a及び第二先行配管55b等を省略して表している。
【0031】
第一配管スペース61に設けられる情報盤66は、情報系ケーブル67により、ユニット式建物A内に設けられる所定の電力供給手段81や家庭内負荷82と接続される。したがって、ユニット式建物A内に配線される情報系ケーブル67は、情報盤66に集約される。
なお、本発明において、情報系ケーブル67とは、例えば電話線、LANケーブル、光ファイバー等のケーブルを言う。
【0032】
第二配管スペース62に設けられる分電盤68には、電気系ケーブル69により、ユニット式建物A内に設けられる所定の電力供給手段81や家庭内負荷82と接続される。したがって、ユニット式建物A内に配線される電気系ケーブル69は、分電盤68に集約される。
なお、本発明において、電気系ケーブル69とは、例えば電力線等のケーブルを言う。
【0033】
また、情報盤66と分電盤68とは、情報系ケーブル67及び電気系ケーブル69により互いに接続されている。
【0034】
情報盤66や分電盤68に接続される電力供給手段81としては、例えば、電力会社の系統電源(図示略)や、定置型の蓄電装置81a、電気自動車42に搭載される蓄電池から家庭用電力を供給するV2H(Vehicle to Home)システム81b、太陽電池システム(図示略)等が挙げられる。
また、情報盤66や分電盤68に接続される家庭内負荷82としては、例えば、エアコン等の空調機器82a、電気自動車の充電装置82b、電気ヒータやヒートポンプ技術による電気給湯器(図示略)、住宅内に備えられた冷蔵庫、洗濯機、テレビ、照明器具等の電気機器(図示略)等が挙げられる。
これらの電力供給手段81や家庭内負荷82は、ユニット式建物Aの建築時に設置されていても良いし、ユニット式建物Aの建築後に将来的に設置されるものであっても良い。
【0035】
なお、第二配管スペース62には、分電盤68とともに、電力供給手段81として蓄電装置81aや燃料電池(図示略)等の電源が設けられていても良く、これら以外の他の電源等が設けられていても良い。
【0036】
上記したように、電力供給手段81や家庭内負荷82は、ユニット式建物Aの建築後に将来的に設置される場合もあることから、これらの設備機器に接続される情報系ケーブル67及び電気系ケーブル69を容易に配線できるようにすべく、以下に説明する第一先行配管55a及び第二先行配管55bがユニット式建物A内に張り巡らされていることが好ましい。
【0037】
第一先行配管55aは、内部に情報系ケーブル67を挿通可能に構成されており、第一配管スペース61とユニット式建物Aの各種設備機器の設置位置との間を繋ぐように、天井部分、床部分、壁部分等の内部に張り巡らされて配管されている。このようにあらかじめ配管された第一先行配管55aの内部に情報系ケーブル67を通すことで、建物内の美観を損なうことなく情報系ケーブル67を容易に配線することができる。
【0038】
第二先行配管55bは、内部に電気系ケーブル69を挿通可能に構成されており、第二配管スペース62とユニット式建物Aの各種設備機器の設置位置との間を繋ぐように、天井部分、床部分、壁部分等の内部に張り巡らされて配管されている。このようにあらかじめ配管された第二先行配管55bの内部に電気系ケーブル69を通すことで、建物内の美観を損なうことなく電気系ケーブル69を容易に配線することができる。
【0039】
これら第一先行配管55a、第二先行配管55bとしては、例えば、CD(Combined Duct)管やPF(Plastic Flexible Conduit)管等が用いられる。
【0040】
ここで、第一先行配管55a及び第二先行配管55bは、ユニット式建物Aの各部屋の天井部分、床部分、壁部分等の内部に埋め込まれた状態で配管されているものであるが、その一例として、
図4に示すように配管されていても良い。
図4は、ユニット式建物Aを構成する建物ユニットBの天井部分近傍を示す概略構成図である。
【0041】
ユニット式建物Aを構成する建物ユニットBは、四隅に立設された四本の柱を床梁及び天井梁71で連結した骨組み(フレーム)を備え、この骨組みに対し外壁材72、内壁材73、野縁74、天井材75等の各部材を組み付けて構成されている。また、天井材75の裏側には断熱材76が収容されている。
【0042】
本実施形態においては、天井材75の端部(外壁材72と内壁材73との間の上方に位置する部分)には、円筒形状の筒状部材77が天井材75の厚さ方向に貫通した状態で設けられている。この筒状部材77は、第一先行配管55aや第二先行配管55bが内側を挿通可能な大きさに形成されており、工場等における建物ユニットBの製造時に予め取り付けられているものである。
【0043】
図4に示す例において、第二先行配管55bは、天井梁71の間から、天井材75に貫通して設けられた筒状部材77を通って、外壁材72と内壁材73との間の空間まで配管されている。第一先行配管55aや第二先行配管55bは、建築現場で複数の建物ユニットBが組み合わされた後に配管されるものであるから、予め建物ユニットBに筒状部材77が取り付けられていることで、建築現場で天井材75に第二先行配管55bを挿通するための貫通孔を形成する作業が不要となる。これにより、第二先行配管55bの配管作業を容易にすることができる。
【0044】
更に、筒状部材77は、天井部分としての天井材75との間で識別可能なように色分けされていることが好ましく、この場合には、第二先行配管55bを筒状部材77に挿通させる際に、作業者が挿通箇所を容易に識別することができ、配管作業をより容易にすることができる。また、作業者が挿通箇所を容易に識別できるようにする観点から、筒状部材77の軸方向の長さは、天井材75の厚さよりも長く形成されていることが好ましい。
【0045】
なお、
図4に示す例では、第二先行配管55bが筒状部材77に挿通されているものとしたが、第一先行配管55aが筒状部材77に挿通されていても良いし、第一先行配管55aと第二先行配管55bとが共に筒状部材77に挿通されていても良い。また、筒状部材77に挿通される先行配管の本数は1本に限られず、2本以上であっても良い。また、筒状部材77の形状は、第二先行配管55bを挿通可能な筒状に形成されていれば良く、円筒形状でなくとも良い。
【0046】
また、
図2及び
図3に示すように、情報盤66及び分電盤68には、情報系ケーブル67及び電気系ケーブル69により、情報コンセント64が接続されている。
【0047】
情報コンセント64は、情報盤66及び分電盤68から延びる情報系ケーブル67及び電気系ケーブル69の接続端子が壁や床面等に設置された接続口である。情報コンセント64としては、従来公知の情報コンセントが用いられ、当該情報コンセント64が設置されている部屋の家庭内負荷82に対して電力を供給したりネットワークに接続したりすることができるように構成されている。
【0048】
ここで、上記したように情報盤66と分電盤68とがユニット式建物A内において第一配管スペース61及び第二配管スペース62にそれぞれ別個に設置されているため、情報系ケーブル67と電気系ケーブル69とが一箇所に集約されず、別個に設置された情報盤66及び分電盤68にそれぞれ従来よりも多くのケーブルを接続することが可能となる。これにより、従来よりも多くの箇所に情報コンセント64を設置することが可能となり、本実施形態においては
図3に示すように、情報コンセント64を建物内の各部屋に設けることができている。
【0049】
建物内の各部屋に設けられた情報コンセント64には、それぞれ無線送受信部64aが取り付けられている。無線送受信部64aは、当該無線送受信部64aが設けられている部屋の家庭内負荷82との間で情報の受け渡しを行う。
図3に示す例では、各部屋の無線送受信部64aは、各部屋の空調機器82aとの間で情報の受け渡しをするように構成されている。これにより、ユニット式建物A内の各部屋に設けられる家庭内負荷82を容易にネットワーク化することができ、家庭内負荷82を容易に管理及び制御することができる。
【0050】
また、情報盤66及び分電盤68は、情報系ケーブル67及び電気系ケーブル69により、コントローラ65と接続されている。
図5を参照してコントローラ65について説明する。コントローラ65は、ダイニング・キッチン16の出入口16bに隣接する壁面16cに設けられており、
図5(a)は、ダイニング・キッチン16側から見たコントローラ65を示す概略構成図であって、
図5(b)は、
図5(a)のV-V線に沿った面の矢視断面図である。
【0051】
図5に示す例では、コントローラ65は、HEMS(Home Energy Management System)コントローラ65a、ドアホン65b、給湯器用リモコン65c及び収納部65d等を備えて構成されている。HEMSコントローラ65aにより、ユニット式建物Aに設置される電力供給手段81及び家庭内負荷82の電力供給量や電力消費量、蓄電量等を管理・制御することが可能となっている。収納部65dは開閉自在に構成され、
図4に示すように、内部に玄関扉13の鍵や電気自動車42の鍵が収納されていても良いし、図示しないが、床暖房リモコンやエアコン類のリモコンが設けられていても良い。このように構成されるコントローラ65は、壁面16cに凹状に設けられ、居住者の移動を妨げないように設けられている。
このように、コントローラ65として、HEMSコントローラ65やその他のリモコン等が一箇所にまとめて設けられていることで、ユニット式建物Aの内部をすっきりとした美観にすることができる。
【0052】
また、コントローラ65は、更に第二無線送受信部65eを有しており、当該第二無線送受信部65eにより情報盤66を介して各部屋に設けられた無線送受信部64aと各種情報の受け渡しを行っている。上記したように、各部屋の無線送受信部64aは、その部屋の空調機器82a等の家庭内負荷82との間で各種情報の受け渡しを行っているため、ユニット式建物A内の居住者は、コントローラ65が設置されているダイニング・キッチン16に居ながら、各部屋の空調機器82aの制御及び管理を行うことができる。
【0053】
なお、コントローラ65は、第二無線送受信部65eを有していなくても良く、この場合には、コントローラ65は情報系ケーブル67により情報盤66を介して無線送受信部64aとの間で各種情報の送受信を行うようにしても良い。
また、図示例では、無線送受信部64aは、空調機器82aと情報の受け渡しを行っているものとしたが、空調機器82a以外の家庭内負荷82や電力供給手段81と情報の受け渡しを行っていても良い。更に、無線送受信部64aは、当該無線送受信部64aが設けられている部屋の家庭内負荷82との情報の受け渡しのみならず、ユニット式建物A内の他の部屋等に設けられている家庭内負荷82や電力供給手段81と情報の受け渡しを行っていても良い。
【0054】
図1に示すように、階段室22の南側であって、デッキ空間21の東側には、セレクトルーム24が設けられている。セレクトルーム24は、水廻り動線として機能させたり、防災備蓄等を収納するための備蓄庫として機能させたりしても良い。なお、本実施形態の場合、セレクトルーム24は書斎として機能する。また、このセレクトルーム24の東側の壁面には、窓24aが設けられており、採光可能となっている。
【0055】
ユニット式建物Aの外部には、電気自動車42が置かれ、当該電気自動車42は充電装置82bやV2Hシステム81bに接続可能となっており、当該充電装置82b及びV2Hシステム81bは情報系ケーブル67及び電気系ケーブル69を介して情報盤66及び分電盤68に接続されている。なお、充電装置82bやV2Hシステム81bは、ユニット式建物Aの建築完了後に将来的に設置されるものであっても良い。
【0056】
次に、本実施形態のユニット式建物における上階2の間取りについて、
図6を参照しながら説明する。
図6に示すように、上階2において、下階1のマルチルーム15の上方には主寝室25が設けられている。主寝室25の西側の壁面には高窓25aが、北側の壁面には窓25bが、それぞれ設けられ、これら高窓25a及び窓25bから入射した光によって、当該主寝室25の採光を良好にすることができる。この主寝室25は、南側にウォークスルークローゼット26が設けられている。ウォークスルークローゼット26には、主寝室25に面した出入口を介して出入りすることができる。したがって、衣類等を収納する際に短い動線で移動可能であり、直接内部まで入り込んで収納作業できる利点を有している。また、主寝室25の南側には、トイレ27が設けられている。このトイレ27の東側が主寝室25の出入口となっている。また、トイレ27の南側には、玄関10の上方において下階1の天井と略同じ高さに位置する庇Qが設けられている。
【0057】
主寝室25の東側には、第1子供室28と第2子供室29とが設けられている。これら第1及び第2子供室28,29は、これらの略中央部に設けられた間仕切り収納30によって、二つの子供室に分離可能となっており、当該仕切を開放することで、一つの子供室として広い空間を確保することも可能となっている。第1及び第2子供室28,29の北側の壁面には、窓28a,29aが設けられ、第2子供室29の東側の壁面には、窓29bが設けられており、採光可能となっている。
【0058】
第1及び第2子供室28,29の南側には多目的スペース31が設けられている。この多目的スペース31は、居住者の所望する目的に応じて仕様を変更することが可能となっており、本実施形態の場合、子供用の勉強スペースとして機能するようになっている。この場合、第1及び第2子供室28,29は、子供用の寝室及び遊びスペースとして機能するため、「遊ぶ・寝る」の目的と、「学ぶ」の目的とを分離して機能させることができる。また、多目的スペース31には、上階2の他の空間(主寝室25、第1及び第2子供室28,29、階段室22)との間に仕切はない。
【0059】
多目的スペース31の西側には、階段室22が設けられている。この上階2の階段室22の東側の壁面には窓22dが設けられており、採光及び通気が可能となっている。また、多目的スペース31の南側には、屋外へ通じる開口部32が設けられ、この開口部32には窓32aが設けられている。このため、窓32aから入射した光によって、多目的スペース31の採光を良好にすることができる。また、開口部32の南側には、窓32aを介してルーフバルコニー33が設けられている。即ち、窓32aはルーフバルコニー33の出入口として機能する。ルーフバルコニー33の高さは、多目的スペース31、主寝室25、第1及び第2子供室28,29等の床高さに等しく、屋内外の空間を一体に見せることができる。また、ルーフバルコニー33の南側に位置する外周部には、パラペット40からなる手摺壁Tが設けられている。手摺壁Tは建物の外壁と一体化して設けられている。
【0060】
次に、本実施形態のユニット式建物における収納空間3の設けられた屋上階の間取りについて、
図7を参照しながら説明する。
【0061】
図7に示すように、本実施形態のユニット式建物は、略平坦な屋根面5aを有する陸屋根5が設けられており、当該陸屋根5は、上階2の主寝室25、第1及び第2子供室28,29の上方に位置する。陸屋根5の屋根面5aの外周縁部にはパラペット40が立設されている。
【0062】
陸屋根5の屋根面5aと高屋根部6の屋根面6aとの間に設けられる収納空間3は、外周壁3bによって四方を囲まれて構成されている。また、収納空間3の天井高は、0.8m〜1.4mに設定されている。これにより、人(居住者など)が収納空間3に入って、何とか作業ができる最低限の高さを確保でき、また、このように天井高を必要最小限に抑えることで、ユニット式建物の高さが高くなることによって隣接する建物に及ぼす日照減少等の影響を極力少なくすることができるようになっている。また、この収納空間3内部は壁3eで仕切られており、当該壁3eに設けられた開口部3fを介して2つの空間を行き来できるようになっている。
【0063】
なお、収納空間3の外周壁3bは、陸屋根5のパラペット40を上方に延在させられることで構成されていても良く、この場合には、建物全体の外観に統一感を持たせることができ、外観の意匠を向上させることができる。
【0064】
また、収納空間3の東側には、下階1及び上階2に連通する階段室22が設けられており、上階2から収納空間3に至る第2階段22bによって、上階2との行き来が可能となっている。このように、ユニット式建物Aに下階1から上階2を介して収納空間3に至る第1及び第2階段22a,22bを有する階段室22が設けられているので、収納空間3へアクセスする際は当該階段室22を利用すれば良く、とりわけ下階1から収納空間3への行き来が容易になっている。したがって、収納空間3へのアクセスがし易い分、屋上部分に設けられた収納空間3の使い勝手が向上されている。
【0065】
更に、収納空間3を囲む外周壁3bのうち、少なくとも一の壁面(本実施形態では収納空間3の東側に位置する外周壁3b)には、窓3dが設けられており、当該窓3dを介して収納空間3に採光及び通気することができるようになっている。
【0066】
以上、上記した実施形態によれば、ホームエネルギーマネジメントシステムが、建物内において異なるスペースに設けられた情報盤66及び分電盤68と、電力供給手段81による電力供給量と家庭内負荷82による電力消費量とを管理及び制御するコントローラ65と、建物内の各部屋に設けられ、情報系ケーブル67により情報盤66に接続される情報コンセント64と、を備え、情報コンセント64には無線送受信部64aが取り付けられ、コントローラ65は、情報盤66を介して無線送受信部64aと情報の受け渡しを行い、無線送受信部64aは家庭内負荷82と情報の受け渡しを行うので、情報盤66及び分電盤68に情報系ケーブル67と電気系ケーブル69とが集中せず、情報盤66及び分電盤68に従来よりも多くのケーブルを接続することができる。これにより、建物内の家庭内負荷82を無線で制御可能な無線送受信部64aが取り付けられた情報コンセント64を従来よりも多く設置することができ、これらの家庭内負荷82を容易にネットワーク化することができる。そして、居住者がコントローラ65が設置された一の部屋に居ながら、各部屋の家庭内負荷82を管理・制御することができる。
また、情報盤66と分電盤68とが異なるスペースに設けられているため、情報系ケーブル67と電気系ケーブル69とを分けて配線することができ、修理・点検作業を容易にすることができる。更に、情報系ケーブル67と電気系ケーブル69とが分けて配線されているため、情報系ケーブル67や電気系ケーブル69を追加設置する際の配線作業を容易とすることができる。
【0067】
また、コントローラ65が、情報盤66と情報の受け渡しを無線で行う第二無線送受信部65eを有することにより、情報盤66とコントローラ65との間において情報系ケーブル67を省略でき、配線を簡略化することができる。
【0068】
また、情報系ケーブル67が挿通される第一先行配管55aが建物内に張り巡らされているので、ユニット式建物Aの建築完了後に、追加的に設備機器を設置する場合においても、あらかじめ配管された第一先行配管55a内に情報系ケーブル67を配線することで、容易に配線作業を行うことができる。
【0069】
また、電気系ケーブル69が挿通される第二先行配管55bが建物内に張り巡らされているので、ユニット式建物Aの建築完了後に、追加的に設備機器を設置する場合においても、あらかじめ配管された第二先行配管55b内に電気系ケーブル69を配線することで、容易に配線作業を行うことができる。
【0070】
また、建物内の部屋の天井材75に設けられた筒状部材77を更に備え、第一先行配管55a及び第二先行配管55bの少なくとも一方が当該筒状部材77に挿通されているので、第一先行配管55aや第二先行配管55bの配管作業時に建物ユニットBの天井部分に孔を形成することなく第一先行配管55aや第二先行配管55bを配管することができ、当該配管作業を容易にすることができる。
【0071】
なお、上記した実施形態では、本発明に係るホームエネルギーマネジメントシステムがユニット式建物に設けられているものとしたが、パネル工法等によって構築された建物に設けられていても良い。