(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像部は、前記撮像部に対する車両の位置が所定の位置となったと判定されることを条件のひとつとして車両を撮像することを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車場。
車両を格納棚から乗降室へ移動させるときの速度を、その車両を乗降室から格納棚へ移動させるときに前記速度決定部によって決定された速度に基づき決定する出庫処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車場。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0015】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る機械式駐車場は、乗降室に進入した自動車などの車両を格納棚へ導入する。機械式駐車場の乗降室にはカメラなどの撮像部が設けられており、乗降室に呼び出されたパレット上に入庫対象の車両が進入して所定位置にくると撮像部が車両を撮像する。機械式駐車場の制御装置は、撮像された画像から車種を判別して、重量を車種別に登録した重量データベースから車種の判別結果に対応する重量を取り出して、取り出された重量に基づき最適の速度および加減速を計算して昇降制御を行う。これにより、入出庫時間を短縮することができる。
【0016】
図1は、第1の実施の形態に係る機械式駐車場10の正面図である。機械式駐車場10は、地上に設けられた建物24の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。
【0017】
機械式駐車場10は、地下1階の駐車室であるB1F格納棚14と、地下2階の駐車室であるB2F格納棚16と、地下3階の駐車室であるB3F格納棚18と、複数のEV車対応でない通常パレット32と、複数のEV車対応パレット100と、第1移載装置56と、複数の第2移載装置58と、リフトフレーム88と、断面が略矩形の昇降路96の四隅に支柱として設けられた4本のマスト90と、昇降装置94と、複数の給電システム40と、乗降室12の外側に設けられた操作盤28と、操作盤28と接続された制御装置30と、乗降室12内に設置された撮像部11と、を備える。
【0018】
機械式駐車場10は、パレットを用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場10は、昇降装置94を用いて普通自動車20、普通自動車20よりも大きな大型自動車22、EV車23などの車両が搭載された状態の通常パレット32やEV車対応パレット100(以下、これらをパレットと総称することがある)を昇降させたり、あるいは第1移載装置56や第2移載装置58を使用してパレットを面方向に移動させたりすることにより、格納棚に車両を駐車させる構成とされている。
【0019】
機械式駐車場10へ車両を入れたり機械式駐車場10から車両を取り出したりするための乗降室12は建物24内に設けられている。乗降室12は昇降路96の上端に設けられる。乗降室12には乗降室12と昇降路96とを連通するパレット開口26が設けられている。このパレット開口26の大きさは、通常パレット32およびEV車対応パレット100がパレット開口26の周面と干渉することなく通過できるように、平面視でのそれらのパレットの大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。
【0020】
B1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18はそれぞれ複数の駐車スペースを含む。駐車スペースはパレットと共に車両が駐車されうる格納棚内の1駐車領域(駐車の1単位)である。各駐車スペースには第2移載装置58が設置されている。第2移載装置58には、例えば本出願人が先に出願した特公平7−29681号公報に記載の搬送装置を適用することができる。
【0021】
機械式駐車場10においては、昇降路96が鉛直方向に沿って設けられている。昇降路96は、B1F格納棚14、B2F格納棚16、B3F格納棚18のそれぞれと連通する。昇降路96の下端には昇降装置94が設置されている。
【0022】
平面視した場合に略矩形のリフトフレーム88は、4本のマスト90に昇降自在に支持される。リフトフレーム88の上部には第1移載装置56が搭載される。昇降装置94は昇降路96に沿ってリフトフレーム88を昇降させる。第1移載装置56の上部にはパレットが搭載される。第1移載装置56は、第2移載装置58との間でパレットを移動可能に構成される。
【0023】
なお、リフトフレーム88、4本のマスト90、および昇降装置94には、本出願人が先に出願した特開2009−197417号公報に記載のリフトフレーム、4本のマスト、昇降装置、をそれぞれ適用することができる。
【0024】
通常パレット32、EV車対応パレット100はいずれも平板状の部材である。通常パレット32、EV車対応パレット100の車両が搭載される上面すなわち車両搭載面は略矩形である。通常パレット32およびEV車対応パレット100は画一的な大きさを有する。
【0025】
EV車対応パレット100は、EV車23の給電口に給電ケーブル110を介して給電可能に構成される。EV車対応パレット100は、受電端子を有する受電ユニット(不図示)と、車両搭載面上に設けられたコンセント102と、を備える。駐車中にEV車23に充電する場合、EV車対応パレット100に搭載されたEV車23の給電口とコンセント102とは給電ケーブル110によって電気的に接続される。
【0026】
各駐車室に含まれる複数の駐車スペースのうち、昇降路96から最も遠い位置に配置された2つの駐車スペースは、EV車23などの給電を要する車両への給電が可能な給電駐車スペースとされる。各給電駐車スペースは給電システム40を有する。
なお、機械式駐車場10のパズル動作により通常パレット32が給電駐車スペースに進入することもある。
【0027】
給電システム40は、給電盤42と、給電端子(不図示)を有する給電ユニット44と、を有する。給電盤42と給電ユニット44とは
図1中の破線で示されるようにケーブルによって電気的に接続されている。給電盤42は、外部電源から得られる電力をEV車23に供給するのに好適な電圧にして給電端子に供給する。給電ユニット44の給電端子は、EV車対応パレット100が給電駐車スペースの所定の充電位置に配置されるとそのEV車対応パレット100の受電端子と機械的に接触する。すると、給電システム40からコンセント102および給電ケーブル110を介してEV車23に電力が供給される。
【0028】
操作盤28は、ドライバまたは機械式駐車場10の係員に対するユーザインタフェースとしての機能を有する。操作盤28はタッチパネルを有する。
【0029】
図2は、乗降室12の平面図である。
図3は、
図2のA−A線断面透視図である。
図4は、
図2のB−B線断面透視図である。
図2、
図3は乗降室12に車両が進入する前に乗降室12に通常パレット32が呼び出された状態を示す。
図4は、普通自動車20が乗降室12に配置された通常パレット32上の所定の停車位置まで進入して停車した状態を示す。停車位置は、例えば普通自動車20が通常パレット32からはみ出さない位置であってもよいし、通常パレット32上の前輪が載置されるべき位置に普通自動車20の前輪20aが載置されたと判定される位置であってもよい。乗降室12は平面視で略矩形であり、以下、車両が外部から乗降室12に進入する方向を前後方向と称す。
【0030】
乗降室12の前側の壁の中央付近には車両誘導用の誘導ミラー78および車両誘導案内灯80が取り付けられる。フレーム34は左右方向に延在する角パイプであり、一端が乗降室12の左側の壁に固定され、他端が乗降室12の右側の壁に固定される。フレーム34は乗降室12の車両進入口43とは反対側かつ天井側に設けられる。左はみ出しセンサ36および右はみ出しセンサ38はフレーム34に取り付けられる。前はみ出しセンサ37、後はみ出しセンサ39はそれぞれ乗降室12の右側の壁、左側の壁に取り付けられている。
【0031】
左はみ出しセンサ36は、車両を乗降室12内の通常パレット32上に誘導しているとき(以下、誘導モードと称す)に車両が左検知面50からはみ出した場合、そのはみ出し個所に当たるようレーザ光を発する。
【0032】
誘導モードにおいて、車両の一部が左検知面50からはみ出す場合を考える。左はみ出しセンサ36は左検知面50をレーザ光により走査する。そのようなレーザ光の一部は車両のはみ出し個所によって反射される。反射されたレーザ光の一部は左はみ出しセンサ36に戻る。左はみ出しセンサ36はそのようにして戻ってきた反射光を検出し、制御装置30に検出結果を送信する。制御装置30は左はみ出しセンサ36が反射光を検出した場合、車両誘導案内灯80にはみ出しを解消するための指示を表示させてもよい。
【0033】
右はみ出しセンサ38、前はみ出しセンサ37および後はみ出しセンサ39はいずれも左はみ出しセンサ36と同様に構成される。右はみ出しセンサ38、前はみ出しセンサ37および後はみ出しセンサ39はそれぞれ、車両が右検知面60、前検知面62、後検知面64からはみ出した場合、そのはみ出し個所に当たるようレーザ光を発する。
【0034】
撮像部11は、フレーム34の左はみ出しセンサ36と右はみ出しセンサ38との間の部分に取り付けられている。撮像部11は、通常パレット32に搭載された普通自動車20の格納棚への移動が開始される前に普通自動車20を撮像する。特に撮像部11は、撮像部11に対する普通自動車20の位置が所定の撮像位置となったと判定されることを条件のひとつとして普通自動車20を撮像する。
【0035】
撮像位置は、例えば通常パレット32上の停車位置である。すなわち、撮像部11は、普通自動車20が通常パレット32上の停車位置に停車したと判定されることを条件のひとつとして普通自動車20を撮像する。なお、本実施の形態では、乗降室12に呼び出された通常パレット32と撮像部11との位置関係は固定され既知であるから、撮像部11に対する、通常パレット32上の停車位置に停車した普通自動車20の位置も固定される。
【0036】
図5は、制御装置30の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0037】
制御装置30は、入庫時の制御を行う入庫処理部103と、出庫時の制御を行う出庫処理部104と、車両情報保持部106と、駐車状況保持部124と、を備える。車両情報保持部106は車両の画像と車両の重量とを対応付けて保持し、車種データベース108と重量データベース111とを含む。入庫処理部103は、誘導処理部112と、スペース選択部122と、撮像制御部114と、重量取得部116と、速度決定部118と、格納処理部120と、を含む。
【0038】
図6は、車種データベース108の一例を示すデータ構造図である。車種データベース108は、車両の画像と車種とを対応付けて保持する。特に車種データベース108は、車両の画像データが収められているビットマップファイルのファイル名を、その車両の車種と対応付けて保持する。
【0039】
図7は、重量データベース111の一例を示すデータ構造図である。重量データベース111は、車両の車種とその車両の重量とを対応付けて保持する。車両情報保持部106では、車種を介して車両の画像と車両の重量とが対応付けられている。
【0040】
図8は、駐車状況保持部124の一例を示すデータ構造図である。駐車状況保持部124は、機械式駐車場10の駐車状況を保持する。特に駐車状況保持部124は、駐車スペースを特定するスペースIDと、その駐車スペースに車両が駐車されているか否かを示す情報と、その駐車スペースに車両が駐車されている場合はその車両を特定する車両IDと、その駐車スペースに車両が駐車されている場合はその車両の入庫時に決定された昇降速度、移載速度(後述)と、を対応付けて保持する。
【0041】
図5に戻る。車両入庫の際、ドライバまたは係員は乗降室12の外に入庫対象の車両を停車させて降車し、操作盤28に誘導開始の指示を入力する。操作盤28は誘導開始の指示を受け付けると、誘導開始信号を生成して制御装置30に送信する。誘導処理部112は、誘導開始信号を受けると、機械式駐車場10を誘導モードで動作させる。誘導処理部112は、適切な空きパレットが乗降室12に配置されるよう、昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御する。
【0042】
誘導処理部112は、音声や車両誘導案内灯80によって入庫対象の車両を、乗降室12に配置された通常パレット32上の停車位置に誘導する。誘導処理部112は、誘導中にはみ出しセンサによってはみ出しが検知されると、そのはみ出しを解消するための指示を車両誘導案内灯80に表示させる。例えば誘導処理部112は、右はみ出しセンサ38からの検知結果が右検知面60からのはみ出しが生じていることを示す場合、車両誘導案内灯80に左向きの矢印を表示させる。
【0043】
誘導処理部112は、車両の前輪の位置を検出する不図示のセンサなどにより車両が停車位置に停車したか否かを判定し、停車したと判定されると車両誘導案内灯80に停車を促す指示を表示させる。
【0044】
スペース選択部122は、駐車状況保持部124を参照し、車両が駐車されていない駐車スペースのスペースIDを選択する。
【0045】
撮像制御部114は、誘導処理部112において車両が停車位置に停車したと判定されると、撮像部11に撮像を開始するための撮像開始信号を送信する。撮像部11は、撮像開始信号を受信すると、撮像を実行する。撮像部11は、撮像された画像の画像データを撮像制御部114に送信する。撮像制御部114は、画像データを受信する。
【0046】
重量取得部116は、車両情報保持部106を参照し、撮像部11によって撮像された画像に対応する重量を取得する。重量取得部116は車種データベース108を参照し、撮像制御部114によって受信された画像データに対応する車種を決定する。重量取得部116における受信された画像データと保持されている画像データとのマッチング処理は、特徴ベースマッチング(Feature-Based Matching)や領域ベースマッチング(Area-Based Matching)などの公知の画像マッチング処理を使用して実現されてもよい。重量取得部116は重量データベース111を参照し、決定された車種に対応する重量を決定する。
【0047】
速度決定部118は、重量取得部116によって取得された重量に基づいて、車両を格納棚へ移動させるときの速度を決定する。速度決定部118は、車両が搭載された通常パレット32の昇降路96内での昇降速度および格納棚内での移載速度を、重量取得部116によって決定された重量に基づき決定する。特に昇降速度について、速度決定部118は、最高速度および加減速度を決定する。
【0048】
速度決定部118は、重量と昇降速度との所定の関係式に基づいて昇降速度を決定してもよいし、重量と最高速度、加減速度とを対応付けて保持するルックアップテーブルを参照してもよい。移載速度についても同様である。なお、速度決定部118によって決定される昇降速度、移載速度は、基本的には、重量が小さいほど大きくなる。
【0049】
速度決定部118は、スペース選択部122によって選択されたスペースIDと、入庫対象の車両を特定する車両IDと、速度決定部118によって決定された昇降速度、移載速度と、を対応付けて駐車状況保持部124に登録する。
【0050】
車両が乗降室12に進入し通常パレット32上の停車位置で停車した後、ドライバまたは係員は降車し、操作盤28に格納の指示を入力する。操作盤28は格納の指示を受け付けると、格納要求信号を生成して制御装置30に送信する。格納処理部120は格納要求信号を受けると機械式駐車場10を格納モードで動作させる。格納処理部120は、車両が搭載された通常パレット32を、乗降室12から、スペース選択部122によって選択されたスペースIDによって特定される駐車スペースに移動させるよう昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御する。格納処理部120は、速度決定部118によって決定された昇降速度が実現されるよう、昇降装置94を制御する。格納処理部120は、速度決定部118によって決定された移載速度が実現されるよう、第1移載装置56および第2移載装置58を制御する。
【0051】
車両出庫の際、ドライバまたは係員は、操作盤28に、出庫対象の車両を特定する車両IDを入力する。操作盤28は入力された車両IDを含む出庫開始信号を生成して制御装置30に送信する。出庫処理部104は出庫開始信号を受けると、出庫開始信号に含まれる車両IDによって特定される車両が搭載されたパレットを格納棚から乗降室12へ移動させるときの速度を、その車両を乗降室12から格納棚へ移動させるときに速度決定部118によって決定された速度に基づき決定する。
【0052】
出庫処理部104は駐車状況保持部124を参照し、出庫開始信号に含まれる車両IDに対応する昇降速度、移載速度を抽出する。出庫処理部104は、抽出された昇降速度、移載速度をそれぞれ出庫時の昇降速度、移載速度として決定する。なお、出庫処理部104は、抽出された昇降速度、移載速度を適宜変更して出庫時の昇降速度、移載速度を決定してもよい。
【0053】
出庫処理部104は、出庫開始信号に含まれる車両IDによって特定される車両が搭載されたパレットを、格納棚から乗降室12に移動させるよう昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御する。この際、出庫処理部104は、決定された出庫時の昇降速度が実現されるよう、昇降装置94を制御し、決定された出庫時の移載速度が実現されるよう、第1移載装置56および第2移載装置58を制御する。
【0054】
上述の実施の形態において、保持部の例は、ハードディスクやメモリである。また、本明細書の記載に基づき、制御装置30の各部を、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶するメモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0055】
以上の構成による機械式駐車場10の動作を説明する。
図9は、機械式駐車場10に車両を駐車する際の機械式駐車場10における一連の処理を示すフローチャートである。操作盤28は、ドライバまたは係員から誘導開始の指示を受け付ける(S202)。制御装置30は、入庫対象の車両が通常パレット32上の停車位置に停車したか否かを判定する(S204)。停車していないと判定された場合(S204のN)、制御装置30はステップS204を繰り返す。停車したと判定された場合(S204のY)、撮像部11は入庫対象の車両を撮像する(S206)。制御装置30は、撮像された画像を画像マッチング処理し、車両の重量を決定する(S208)。制御装置30は、決定された重量に基づいて昇降速度、移載速度を決定する(S210)。操作盤28は、ドライバまたは係員から格納開始の指示を受け付ける(S212)。制御装置30は、格納処理を開始する(S214)。
【0056】
本実施の形態に係る機械式駐車場10によると、入庫対象の車両の重量に応じて格納モードにおける速度を決定することができる。したがって、例えば重たい車両と軽い車両とで異なる速度での昇降制御が可能となるので、速度一律の場合と比較して特に軽い車両の入出庫時間を短縮できる。
【0057】
また、本実施の形態に係る機械式駐車場10では、車両の格納棚への移動が開始される前に撮像された車両の画像に基づくマッチング処理により車両の重量が決定される。したがって、機械式駐車場に重量による速度制御機能を導入する際に、車両の重量を計測するための機械的機構を導入する必要はない。その結果、既存の機械式駐車場に対して、より少ない改変および低コストで重量による速度制御機能を追加できる。
【0058】
特に特許文献1に記載の技術では、車両の重量を計測するためにリフタを上昇させる処理が必要となる。したがって、車両の入庫に要する時間は、このリフタ上昇処理にかかる時間分増加する。これに対して本実施の形態に係る機械式駐車場10では、撮像および画像マッチング処理にかかる時間は比較的短く、数ミリ秒から数秒程度である。また、これらの処理は、車両が停車位置に停車した後、ドライバまたは係員が下車して操作盤28の前に立つまでの期間(通常、3〜10秒)に並行して実行されうる。したがって、車両の重量決定に伴う入庫時間の増加は抑えられるか、実質的にない。
【0059】
また、本実施の形態に係る機械式駐車場10では、入庫対象の車両が停車位置で停車したと判定されると、撮像部11による撮像が実行される。したがって、撮像部11によって撮像される画像において車両が写り込む位置のズレは比較的小さくなる。これは、画像マッチング処理をより容易とし、または画像マッチング処理におけるエラー低減に寄与する。
【0060】
また、本実施の形態に係る機械式駐車場10では、出庫時の昇降速度、移載速度を決定する際に、入庫時に決定された昇降速度、移載速度が使用される。したがって、出庫時に再度車両の重量を決定する場合と比較して、出庫時の速度をより効率的に決定できる。
【0061】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、車両の画像から車両の重量を決定する場合について説明した。第2の実施の形態に係る機械式駐車場は、車両の画像から車両の属性を決定し、決定された属性に対応するパレットを乗降室12に呼び出す。本実施の形態に係る機械式駐車場の撮像部は乗降室12の外、特に乗降室12の車両進入口43の上部に視野が外を向くよう取り付けられている。
【0062】
図10は、第2の実施の形態に係る機械式駐車場に含まれる制御装置330の機能および構成を示すブロック図である。制御装置330は、入庫処理部302と、出庫処理部104と、車両情報保持部306と、駐車状況保持部124と、を備える。車両情報保持部306は、車種データベース108と、パレットテーブル310と、を含む。
【0063】
車両情報保持部306は、車両の画像と車両の属性とを対応付けて保持する。車両の属性は、例えば車種であってもよいし、EV車かそうでないかの別であってもよいし、小型車か中型車か大型車かの別であってもよい。
【0064】
図11は、パレットテーブル310の一例を示すデータ構造図である。パレットテーブル310は、車両の車種とその車種に対応するパレットのタイプ(通常パレット32かEV車対応パレット100か)とを対応付けて保持する。車両情報保持部306では、車種を介して車両の画像とEV車かそうでないかの別とが対応付けられている。
【0065】
図10に戻り、入庫処理部302は、撮像制御部314と、属性取得部316と、パレット移動処理部318と、誘導処理部112と、スペース選択部122と、格納処理部120と、を含む。
【0066】
車両入庫の際、ドライバまたは係員は乗降室12の外に入庫対象の車両を停車させて降車し、操作盤28に誘導開始の指示を入力する。操作盤28は誘導開始の指示を受け付けると、誘導開始信号を生成して制御装置30に送信する。撮像制御部314は、誘導開始信号を受けると、撮像部に撮像を開始するための撮像開始信号を送信する。撮像部は、撮像開始信号を受信すると、撮像を実行する。撮像部は、撮像された画像の画像データを撮像制御部314に送信する。撮像制御部314は、画像データを受信する。このように、撮像部による撮像は、車両が乗降室12に進入する前に行われる。
【0067】
属性取得部316は、車両情報保持部306を参照し、撮像部によって撮像された画像に対応する属性を取得する。属性取得部316は車種データベース108を参照し、撮像制御部314によって受信された画像データに対応する車種を決定する。属性取得部316はパレットテーブル310を参照し、決定された車種に対応するパレットタイプを決定する。
【0068】
パレット移動処理部318は、属性取得部316によって取得された属性に対応するパレットを乗降室12へ移動させるための処理を行う。パレット移動処理部318は、属性取得部316によって決定されたパレットタイプがEVであれば空いているEV車対応パレット100を、通常であれば空いている通常パレット32を、特定する。パレット移動処理部318は、特定されたパレットが乗降室12に配置されるよう、昇降装置94、第1移載装置56、第2移載装置58を制御する。
【0069】
本実施の形態に係る機械式駐車場によると、車両の画像から車両の属性を割り出し、その属性に応じたパレットを乗降室12に呼び出すことができる。したがって、ユーザは操作盤28に入庫対象の車両の属性を入力しなくてもよいので、ユーザ側の手間を削減できる。
【0070】
以上、実施の形態に係る機械式駐車場の構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、実施の形態同士の組み合わせも可能である。
【0071】
第1の実施の形態では、はみ出しセンサとして反射型のレーザセンサを使用する場合について説明したが、これに限られず、例えば透過型の光学センサなどを使用してもよい。
【0072】
第1および第2の実施の形態では、乗降室が昇降路の上端に位置する、いわゆる地下式の機械式駐車場について説明したが、これに限られず、実施の形態の技術的思想は乗降室が昇降路の下端に位置する場合や、昇降路の中間に乗降室を設ける場合にも適用できる。
また、昇降路の四隅に支柱としてマスト90が設置されている例について説明したが、2本のマストを昇降路の両側に設置してもよい。
【0073】
第1および第2の実施の形態では、平板状のパレットを使用する場合について説明したが、これに限られない。例えば、轍状の溝を形成したパレットや、櫛歯型のパレットなど、車両を積載して格納することができる形状を有するパレットであればいかなる形状のパレットでも採用することができる。
【0074】
第1の実施の形態では、車両がパレット上の停車位置に停車したと判定された場合に撮像部11による撮像が行われる場合について説明したが、これに限られず、例えば撮像部を車両進入口43付近に設けて車両が車両進入口43を通過しているときに撮像を行ってもよいし、第2の実施の形態のように撮像部を乗降室12の外に設けて乗降室12の外で撮像を行ってもよい。