特許第5968853号(P5968853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968853
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】ラジエータコアサポート
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   B62D25/08 D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-222316(P2013-222316)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-83419(P2015-83419A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2015年9月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 トヨタ自動車(株)サプライヤーズセンタープレゼンルーム1階で開催されたTOYOTETSU TECHNICAL FAIR 2013で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 誠
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−173051(JP,A)
【文献】 特開2004−338668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平で互いに平行なアッパサポート部およびロアサポート部と、該アッパサポート部およびロアサポート部の左右両端を連結する略垂直で互いに平行な一対のサイドサポート部とを有し、全体として矩形の枠形状を成すサポート本体と、
前記アッパサポート部および前記ロアサポート部の中間部分を互いに連結するセンターブレースと、
を有する車両用のラジエータコアサポートにおいて、
少なくとも前記ロアサポート部および前記センターブレースが合成樹脂材料にて一体に構成されているとともに、
前記ロアサポート部が前記センターブレースと連結される部分には、上下方向の断面が車両前向きまたは後向きに開口する略U字形状を成すロア側連結部が設けられており、
前記ロアサポート部のうち前記ロア側連結部の両側に隣接する2箇所には、上下方向の断面が該ロア側連結部と逆向きに開口する略U字形状を成すロア側隣接部が、それぞれ該ロア側連結部と隔壁を挟んで設けられている
ことを特徴とするラジエータコアサポート。
【請求項2】
前記ロア側連結部は、上下方向の断面が車両前向きに開口する略U字形状を成しており、
前記2箇所のロア側隣接部は、何れも上下方向の断面が車両後向きに開口する略U字形状を成している
ことを特徴とする請求項1に記載のラジエータコアサポート。
【請求項3】
前記センターブレースが前記ロアサポート部に連結される部分には、車両幅方向の断面が車両前向きに開口する略U字形状を成すブレース側連結部が設けられており、
前記センターブレースの前記ブレース側連結部に隣接する部分には、該センターブレースの長手方向と直角な断面が車両後向きに開口する略U字形状を成すブレース側隣接部が、前記ブレース側連結部と隔壁を挟んで設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のラジエータコアサポート。
【請求項4】
前記ブレース側連結部は前記ロア側連結部の前側部分に連結されており、
前記ブレース側連結部の後壁と前記ロア側連結部の上壁とに跨がって補強リブが設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のラジエータコアサポート。
【請求項5】
前記ロア側連結部および前記2箇所のロア側隣接部は、何れも断面U字形状の開口側の幅寸法が大きくなるように上壁および下壁の少なくとも一方が傾斜させられている
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のラジエータコアサポート。
【請求項6】
前記センターブレースは逆Y字形状を成しており、二股形状の先端部にそれぞれブレース側連結部が設けられている一方、
前記ロアサポート部には、左右両側の前記サイドサポート部からそれぞれ同じ寸法だけ離間した2箇所に前記ロア側連結部が設けられており、該2箇所のロア側連結部にそれぞれ前記ブレース側連結部が連結されている
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のラジエータコアサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用のラジエータコアサポートに係り、特に、センターブレースを有するラジエータコアサポートの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) 略水平で互いに平行なアッパサポート部およびロアサポート部と、それ等のアッパサポート部およびロアサポート部の左右両端を連結する略垂直で互いに平行な一対のサイドサポート部とを有し、全体として矩形の枠形状を成すサポート本体と、(b) 前記アッパサポート部および前記ロアサポート部の中間部分を互いに連結するセンターブレースと、を有する車両用のラジエータコアサポートが知られている。特許文献1に記載の装置はその一例で、ファンモータステーがセンターブレース(補強部材)として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−338668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、未だ公知ではないが、このようなラジエータコアサポートの一部または全部を合成樹脂材料にて構成することが考えられる。その場合に、重量軽減のためにロアサポート部を断面U字形状にすると、センターブレースとの連結部の強度を確保することができず、破断する恐れがあった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、少なくともロアサポート部とセンターブレースとを合成樹脂材料にて一体に構成した場合に、それ等の連結部の強度を確保しつつ軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 略水平で互いに平行なアッパサポート部およびロアサポート部と、それ等のアッパサポート部およびロアサポート部の左右両端を連結する略垂直で互いに平行な一対のサイドサポート部とを有し、全体として矩形の枠形状を成すサポート本体と、(b) 前記アッパサポート部および前記ロアサポート部の中間部分を互いに連結するセンターブレースと、を有する車両用のラジエータコアサポートにおいて、(c) 少なくとも前記ロアサポート部および前記センターブレースが合成樹脂材料にて一体に構成されているとともに、(d) 前記ロアサポート部が前記センターブレースと連結される部分には、上下方向の断面が車両前向きまたは後向きに開口する略U字形状を成すロア側連結部が設けられており、(e) 前記ロアサポート部のうち前記ロア側連結部の両側に隣接する2箇所には、上下方向の断面がそのロア側連結部と逆向きに開口する略U字形状を成すロア側隣接部が、それぞれ前記ロア側連結部と隔壁を挟んで設けられていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明のラジエータコアサポートにおいて、(a) 前記ロア側連結部は、上下方向の断面が車両前向きに開口する略U字形状を成しており、(b) 前記2箇所のロア側隣接部は、何れも上下方向の断面が車両後向きに開口する略U字形状を成していることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明のラジエータコアサポートにおいて、(a) 前記センターブレースが前記ロアサポート部に連結される部分には、車両幅方向の断面が車両前向きに開口する略U字形状を成すブレース側連結部が設けられており、(b) 前記センターブレースの前記ブレース側連結部に隣接する部分には、そのセンターブレースの長手方向と直角な断面が車両後向きに開口する略U字形状を成すブレース側隣接部が、前記ブレース側連結部と隔壁を挟んで設けられていることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、第3発明のラジエータコアサポートにおいて、(a) 前記ブレース側連結部は前記ロア側連結部の前側部分に連結されており、(b) 前記ブレース側連結部の後壁と前記ロア側連結部の上壁とに跨がって補強リブが設けられていることを特徴とする。
【0010】
第5発明は、第1発明〜第4発明の何れかのラジエータコアサポートにおいて、前記ロア側連結部および前記2箇所のロア側隣接部は、何れも断面U字形状の開口側の幅寸法が大きくなるように上壁および下壁の少なくとも一方が傾斜させられていることを特徴とする。
【0011】
第6発明は、第1発明〜第5発明の何れかのラジエータコアサポートにおいて、(a) 前記センターブレースは逆Y字形状を成しており、二股形状の先端部にそれぞれブレース側連結部が設けられている一方、(b) 前記ロアサポート部には、左右両側の前記サイドサポート部からそれぞれ同じ寸法だけ離間した2箇所に前記ロア側連結部が設けられており、その2箇所のロア側連結部にそれぞれ前記ブレース側連結部が連結されていることを特徴とする。
【0012】
なお、上記各発明における「略U字形状」とは、回曲部が円弧形状の場合だけでなく、矩形状に角張っている場合も含み、その角部のみ円弧とされている場合、或いは開口部の寸法に比べて深さが小さい皿形状の場合も含む。また、U字形状を構成する一対の側壁が平行の場合だけでなく、開口側程拡開するように傾斜している場合も含む。
【発明の効果】
【0013】
このようなラジエータコアサポートにおいては、ロアサポート部およびセンターブレースが合成樹脂材料にて一体に構成されているが、ロアサポート部がセンターブレースと連結される部分には、車両前向きまたは後向きに開口する断面U字形状のロア側連結部が設けられている一方、そのロア側連結部に隣接する部分には、ロア側連結部と逆向きに開口する断面U字形状のロア側隣接部が設けられており、且つ、それ等の間には隔壁が設けられているため、その連結部分の剛性が高くなり、必要強度を確保しつつU字形状断面により軽量化を図ることができる。
【0014】
また、ロア側連結部と逆向きに開口するロア側隣接部が、そのロア側連結部の両側に隣接する2箇所にそれぞれ隔壁を挟んで設けられているため、軽量化を図りつつ連結部分の剛性をバランス良く向上させることができる。
【0015】
第3発明では、センターブレースがロアサポート部に連結される部分には、車両前向きに開口する断面U字形状のブレース側連結部が設けられている一方、そのブレース側連結部に隣接する部分には、車両後向きに開口する断面U字形状のブレース側隣接部が設けられており、且つ、それ等の間には隔壁が設けられているため、センターブレース側の連結部分の剛性も高くなり、必要強度を確保しつつブレース側連結部およびブレース側隣接部のU字形状断面によって更なる軽量化を図ることができる。
【0016】
第4発明では、ブレース側連結部の後壁とロア側連結部の上壁とに跨がって補強リブが設けられているため、連結部分の剛性が一層高くなる。これにより、例えばアッパサポート部とロアサポート部とが車両前後方向にオフセットしていてモーメントが生じる場合でも、補強リブによって連結部分の剛性が高められることにより、モーメント荷重による製品破壊が抑制される。
【0017】
第5発明では、ロア側連結部およびロア側隣接部は、何れも断面U字形状の開口側の幅寸法が大きくなるように上壁および下壁の少なくとも一方が傾斜させられているため、断面U字形状の開口の向きが交互に反対向きであるにも拘らず、樹脂成形時の型抜きが容易になる。
【0018】
第6発明は、センターブレースが逆Y字形状を成している場合で、ロアサポート部には左右両側のサイドサポート部からそれぞれ同じ寸法だけ離間した2箇所にロア側連結部が設けられており、その2箇所のロア側連結部にセンターブレースが連結されるため、ロアサポート部の強度が車両幅方向の全長に亘ってバランス良く向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例であるラジエータコアサポートを示す図で、車両前側から見た斜視図である。
図2図1のラジエータコアサポートを車両後側から見た斜視図である。
図3図1における III部を拡大して示す斜視図である。
図4図2におけるIV部を拡大して示す斜視図である。
図5図3におけるV−V矢視部分の断面図である。
図6図3におけるVI−VI矢視部分の断面図である。
図7図3におけるVII −VII 矢視部分の断面図である。
図8図1のラジエータコアサポートに生じるモーメントMを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のラジエータコアサポートは、主としてエンジン冷却用等の冷却流体を冷却するラジエータ本体を支持するものであるが、空調設備の空調用コンデンサ等の他の冷却部品を支持することもできる。ラジエータ本体と空調用コンデンサなど複数種類の冷却部品を支持するように構成することも可能である。
【0021】
ラジエータコアサポートは、少なくともロアサポート部およびセンターブレースが合成樹脂材料にて一体に構成されるが、サポート本体およびセンターブレースの全部を合成樹脂材料にて一体に構成することもできる。サポート本体の中のロアサポート部および一対のサイドサポート部をセンターブレースと共に合成樹脂材料にて一体に構成し、車体に設けられた支持フレーム等に固定することで、全体としてラジエータコアサポートが構成されるようになっていても良いなど、種々の態様が可能である。合成樹脂材料としては、例えばポリプロピレン樹脂やポリアミド樹脂等が好適に用いられる。
【0022】
ロアサポート部の中のロア側連結部では車両前向きまたは後向きに開口する断面U字形状で、その隣には逆向きに開口する断面U字形状のロア側隣接部が設けられるが、そのロア側隣接部はロアサポート部の端部まで連続して設けられても良い。その場合に、必要に応じてリブ等の仕切り板を適当な間隔で設けることも可能である。ロア側連結部或いはロア側隣接部のように、車両前向きに開口する断面U字形状を成す前開き部と、車両後向きに開口する断面U字形状を成す後開き部とを、隔壁を挟んで所定の間隔で交互に設けることもできるなど、種々の態様が可能である。このロアサポート部は、例えば車両上下方向の寸法が小さく、車両前後方向の寸法が比較的大きいものが適当で、その場合は底までの寸法が比較的大きい深穴状の断面U字形状になる。
【0023】
2発明では、ロア側連結部が車両前向きに開口する前開き部で、ロア側隣接部が車両後向きに開口する後開き部であるが、第1発明の実施に際しては、ロア側連結部を車両後向きに開口する後開き部とし、ロア側隣接部を車両前向きに開口する前開き部としても良い。
【0024】
第3発明では、センターブレースにも、車両前向きに開口する断面U字形状のブレース側連結部が設けられるとともに、そのブレース側連結部に隣接して車両後向きに開口する断面U字形状のブレース側隣接部が設けられるが、他の発明の実施に際しては、例えば全長に亘って車両前向きまたは後向きに開口する断面U字形状のセンターブレースを用いたり、断面四角形や板形状等の中実のセンターブレースを用いたりするなど、種々の態様が可能である。このセンターブレースについても、ブレース側隣接部をセンターブレースの他端部まで連続して設けることができ、必要に応じてリブ等の仕切り板を設けることが望ましいが、車両前向きに開口する断面U字形状を成す前開き部と、車両後向きに開口する断面U字形状を成す後開き部とを、隔壁を挟んで所定の間隔で交互に設けることもできるなど、種々の態様が可能である。このセンターブレースは、例えば車両前後方向の寸法が小さく、車両幅方向の寸法が比較的大きいものが適当で、その場合は底までの寸法が比較的浅い皿状の断面U字形状になる。
【0025】
第4発明では、ブレース側連結部がロア側連結部の前側部分に連結されており、ブレース側連結部の後壁とロア側連結部の上壁とに跨がって補強リブが設けられているが、この補強リブは必要に応じて設けられれば良い。また、ブレース側連結部が中実の場合や、車両後向きに開口する断面U字形状の場合には、そのブレース側連結部をロア側連結部の後側部分に連結し、ブレース側連結部の前壁とロア側連結部の上壁とに跨がって補強リブを設けることもできる。
【0026】
第6発明では、逆Y字形状のセンターブレースが用いられているが、X字形状やI字形状、H字形状等のセンターブレースを採用することも可能で、サポート本体の車両幅方向の中心位置を中心として左右対称に設けることが望ましい。また、I字形状のセンターブレースを車両幅方向に離間して複数配置することもできるなど、種々の態様が可能である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例であるラジエータコアサポート10を説明する図で、車両前側から見た斜視図である。図2は、ラジエータコアサポート10を車両後側から見た斜視図で、図3図1における III部を拡大して示す斜視図、図4図2におけるIV部を拡大して示す斜視図である。また、図5図7は、それぞれ図3におけるV−V矢視部分、VI−VI矢視部分、VII −VII 矢視部分の断面図である。このラジエータコアサポート10は、車両前方のフロントグリルの後側に車両幅方向と略平行で略垂直になる姿勢で配設されて、エンジン冷却用の冷却流体を冷却するラジエータ本体12(図6参照)を支持するもので、サポート本体14とセンターブレース16とを有し、それ等を合成樹脂材料にて一体に構成したものである。
【0028】
サポート本体14は、略水平で互いに平行なアッパサポート部20およびロアサポート部22と、それ等のアッパサポート部20およびロアサポート部22の左右両端を連結する略垂直で互いに平行な一対のサイドサポート部24、26とを一体に備えており、全体として矩形の枠形状を成している。センターブレース16は、逆Y字形状を成しており、サポート本体14の車両幅方向の中心位置を中心として左右対称に設けられている。すなわち、I字形状の上端側の先端部はアッパサポート部20の車両幅方向の中央部分に一体に連結されており、二股形状の下端側の先端部はそれぞれロアサポート部22の車両幅方向の中心線を挟んで対称位置、すなわち左右両側のサイドサポート部24、26からそれぞれ同じ寸法だけ離間した2箇所に一体に連結されている。図3および図4は、左右反対側の連結部分を車両前側、車両後側から見た斜視図であるが、それ等の連結部分は左右対称に構成されており、実質的に同じ構造である。
【0029】
アッパサポート部20は、その長手方向すなわち車両幅方向と直角な上下方向の断面が車両後向きに開口する略U字形状を成しており、その開口内には長手方向と直角或いは平行に複数の補強リブ30が格子状に設けられている。一対のサイドサポート部24、26は、何れもその長手方向すなわち車両上下方向と直角な水平方向の断面が車両後向きに開口する略U字形状を成しており、その開口内には長手方向と直角に複数の補強リブ32が設けられている。センターブレース16は、逆Y字形状の各部位の長手方向と直角な断面が車両後向きに開口する略U字形状を成しており、その開口内には長手方向と直角或いは平行に複数の補強リブ34が設けられている。アッパサポート部20とセンターブレース16との連結部分では、上記補強リブ30、34が両者に跨がって連続して設けられている。
【0030】
上記センターブレース16がロアサポート部22に連結される二股形状の先端の2箇所のブレース側連結部40では、逆に車両前向きに開口する略U字形状断面を成している。そのブレース側連結部40に隣接する部分、すなわちブレース側隣接部42では、車両後向きに開口する略U字形状断面を成しており、それ等のブレース側連結部40とブレース側隣接部42との間には隔壁44が設けられている。センターブレース16の中、このブレース側連結部40およびブレース側隣接部42の近傍では、車両前後方向の寸法が小さいとともに車両幅方向(長手方向と直角方向)の寸法が比較的大きく、断面U字形状の底までの寸法が比較的浅い皿形状を成している。そして、ブレース側連結部40はロアサポート部22の前端部に連結されており、その後側にラジエータ本体12が配設されるとともに、そのブレース側連結部40の後壁とロアサポート部22の上壁とに跨がって補強リブ46が設けられている。
【0031】
一方、ロアサポート部22は、その長手方向すなわち車両幅方向と直角な上下方向の断面が車両前向き或いは車両後向きに開口する略U字形状を成しており、センターブレース16と連結される2箇所のロア側連結部50は、車両前向きに開口する略U字形状を成している。このロア側連結部50の両側に隣接する部分、すなわち一対のロア側隣接部52、54では、逆に車両後向きに開口する略U字形状断面を成しており、それ等のロア側連結部50とロア側隣接部52、54との間にはそれぞれ隔壁56、58が設けられている。隔壁58は前記隔壁44と一体に連結されている。本実施例ではまた、外側のロア側隣接部52に隣接する部分に、更にロア側連結部50と同様に車両前向きに開口する断面U字形状の前開き部60が、ロア側隣接部52と隔壁を挟んで設けられている。前記補強リブ46は、上記ロア側連結部50の上壁とブレース側連結部40の後壁とに跨がって設けられている。
【0032】
上記ロアサポート部22は、車両上下方向の寸法が小さいとともに車両前後方向の寸法が比較的大きく、断面U字形状の底までの寸法が比較的大きい深穴状を成しており、その上壁上にラジエータ本体12を配置することができる。また、ロア側連結部50およびロア側隣接部52、54を含めて、断面U字形状の開口側の幅寸法が大きくなるように上壁および下壁がそれぞれ略対称的に上下方向へ傾斜させられており、樹脂成形時の抜き勾配が確保されている。断面U字形状の底までの寸法が比較的大きい深穴状の前記一対のサイドサポート部24、26も、同様に開口側の幅寸法が大きくなるように抜き勾配が設けられている。
【0033】
このような本実施例のラジエータコアサポート10においては、ロアサポート部22を含むサポート本体14およびセンターブレース16が合成樹脂材料にて一体に構成されているが、ロアサポート部22がセンターブレース16と連結される部分には、車両前向きに開口する断面U字形状のロア側連結部50が設けられている一方、そのロア側連結部50の両側に隣接する部分には、それぞれ車両後向きに開口する断面U字形状のロア側隣接部52、54が設けられており、且つ、それ等の間には隔壁56、58が設けられているため、その連結部分の剛性が高くなり、必要強度を確保しつつU字形状断面により軽量化を図ることができる。
【0034】
特に、ロア側連結部50と逆向きに開口するロア側隣接部52、54が、そのロア側連結部50の両側に隣接する2箇所にそれぞれ隔壁56、58を挟んで設けられているため、軽量化を図りつつ連結部分の剛性をバランス良く向上させることができる。
【0035】
また、センターブレース16がロアサポート部22に連結される部分には、車両前向きに開口する断面U字形状のブレース側連結部40が設けられている一方、そのブレース側連結部40に隣接する部分には、車両後向きに開口する断面U字形状のブレース側隣接部42が設けられており、且つ、それ等の間には隔壁44が設けられているため、センターブレース16側の連結部分の剛性も高くなり、必要強度を確保しつつブレース側連結部40およびブレース側隣接部42のU字形状断面によって更なる軽量化を図ることができる。
【0036】
また、ブレース側連結部40の後壁とロア側連結部50の上壁とに跨がって補強リブ46が設けられているため、連結部分の剛性が一層高くなる。本実施例では、図8に示すようにロアサポート部22がアッパサポート部20よりも車両前側にオフセットしており、ロアサポート部22にはモーメントMが生じるが、補強リブ46で剛性が高められることにより、モーメント荷重による製品破壊が抑制される。
【0037】
また、ロア側連結部50およびロア側隣接部52、54を含めて、ロアサポート部22は断面U字形状の開口側の幅寸法が大きくなるように上壁および下壁がそれぞれ上下方向に傾斜させられているため、断面U字形状の開口の向きが交互に反対向きであるにも拘らず、樹脂成形時の型抜きが容易になる。
【0038】
また、逆Y字形状のセンターブレース16がサポート本体14の車両幅方向の中心位置を中心として左右対称に設けられており、二股形状の先端の2箇所のブレース側連結部40は、それぞれサイドサポート部24、26から同じ寸法だけ離間した2箇所のロア側連結部50に連結されるため、ロアサポート部22の強度が車両幅方向の全長に亘ってバランス良く向上させられる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
10:ラジエータコアサポート 14:サポート本体 16:センターブレース 20:アッパサポート部 22:ロアサポート部 24、26:サイドサポート部 40:ブレース側連結部 42:ブレース側隣接部 44:隔壁 50:ロア側連結部 52、54:ロア側隣接部 56、58:隔壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8