特許第5968879号(P5968879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5968879DNA分子タグ技術及びDNA不完全断片化技術に基づいたPCRシークエンシング法及びそれを用いたHLA遺伝子タイピング法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968879
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】DNA分子タグ技術及びDNA不完全断片化技術に基づいたPCRシークエンシング法及びそれを用いたHLA遺伝子タイピング法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20160728BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20160728BHJP
【FI】
   C12Q1/68 ZZNA
   C12Q1/68 A
   !C12N15/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2013-516983(P2013-516983)
(86)(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公表番号】特表2013-529472(P2013-529472A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】CN2011076688
(87)【国際公開番号】WO2012000445
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年6月27日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2010/002150
(32)【優先日】2010年12月24日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2010/002149
(32)【優先日】2010年12月24日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201010213721.2
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201010213719.5
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201010213717.6
(32)【優先日】2010年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515198485
【氏名又は名称】深▲せん▼華大基因股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リ、ジアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シャンドン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、イン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、カイフェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、タオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、メイル
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−509527(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/049889(WO,A1)
【文献】 特表2009−520497(JP,A)
【文献】 BENTLEY, G. et al.,"High-resolution, high-throughput HLA genotyping by next-generation sequencing",Tissue Antigens,2009年,Vol. 74,p. 393-403、Supplementary Table 1
【文献】 HOLCOMB, Cherie L.,"A multi-site study employing high resolution HLA genotyping by next generation sequencing",Tissue Antigens,2010年,Vol. 75,p. 536-537,Published online 13 April 2010
【文献】 KOZAREWA Iwanka et al.,"Amplification-free Illumina sequencing-library preparation facilitates improved mapping and assembly of (G+C)-biased genomes",Nat. Methods,2009年,Vol. 6,p. 291-295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00−3/00
C12N 15/00−15/90
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の標的核酸のヌクレオチド配列を測定する方法であって、
1)2個以上のサンプルを提供する工程、
2)増幅:各前記サンプルに対して、1対又は複数対のタグプライマーを用いて、該サンプルに由来のテンプレートが存在している場合に、前記タグプライマーの標的核酸を増幅するのに適する条件下でPCR増幅を行う工程であって、前記タグプライマーの各前記対は、正方向タグプライマーと逆方向タグプライマーから構成され、該正方向タグプライマーと該逆方向タグプライマーはそれぞれプライマータグを含み、異なるサンプルに用いられる前記タグプライマーの前記対の間で前記プライマータグは互いに異なる、工程、
3)混合:前記増幅工程で得られた各前記サンプルの増幅産物を一緒に混合する工程、
4)断片化:前記増幅産物を、シーケンサーの最大読み取り長さより長い断片化されていない増幅産物と一部が断片化された増幅産物をともに含む不完全断片へと、不完全断片化し、精製回収する工程、
5)シークエンシング:前記断片化工程で回収したDNA混合物に対して、pair-endシークエンシングを行い、該DNA混合物中に存在する断片化されたDNAの配列を得る工程、
6)組み立て:前記サンプルごとに特有な前記プライマータグを基にして、前記シークエンシング工程で得られた前記配列を前記サンプルと一対一に対応付けし、対照プログラムを利用して、各前記配列の相応する参考配列上での位置を決め、前記配列のオーバラップ及び連鎖関係に基づいて、前記配列から、完全な標的核酸を組み立てる工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
サンプル中の標的核酸のヌクレオチド配列を測定する方法であって、
1)2個以上のサンプルを提供する工程、
2)増幅:各前記サンプルに対して、1対又は複数対のタグプライマーを用いて、該サンプルに由来のテンプレートが存在している場合に、前記タグプライマーの標的核酸を増幅するのに適する条件下でPCR増幅を行う工程であって、前記タグプライマーの各前記対は、正方向タグプライマーと逆方向タグプライマーから構成され、該正方向タグプライマーと該逆方向タグプライマーはそれぞれプライマータグを含み、異なるサンプルに用いられる前記タグプライマーの前記対の間で前記プライマータグは互いに異なる、工程、
3)混合:前記増幅工程で得られた各前記サンプルの増幅産物を一緒に混合する工程、
4)断片化:前記増幅産物を、シーケンサーの最大読み取り長さより長い断片化されていない増幅産物と一部が断片化された増幅産物をともに含む不完全断片へと、不完全断片化し、精製回収する工程、
5)ライブラリー構築:前記断片化工程で得られたPCR産物のライブラリーでPCR-Freeシークエンシングライブラリーを構築し、異なるPCR-Freeシークエンシングライブラリーと区別できるように、各前記ライブラリーに異なるライブラリーアダプターを付け、用いるシークエンサーの最大読み取り長から、該シークエンサーに適用されるDNAの最大長範囲までのあらゆるDNA断片を精製回収する工程、
6)シークエンシング:前記ライブラリー構築工程で回収したDNA混合物に対してpair-endシークエンシングを行い、該DNA混合物中に存在する断片化されたDNAの配列を得る工程、
7)組み立て:前記ライブラリーごとに特有な前記ライブラリーアダプター配列と前記サンプルごとに特有なプライマータグを基にして、前記シークエンシング工程で得られた前記配列を前記サンプルと一対一に対応付けし、対照プログラムを利用して、各前記配列の相応する参考配列上での位置を決め、前記配列のオーバラップ及び連鎖関係に基づいて、前記配列から、完全な標的核酸を組み立てる工程、
含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記ライブラリー構築工程では、m種のライブラリーを用いて、前記増幅工程で得られたm個のPCR産物のライブラリーにアダプターを付加し、前記PCR産物のライブラリーごとに異なるライブラリーアダプターを使用することによって、m個のアダプタータグシークエンシングライブラリーを構築し、m個のアダプタータグシークエンシングライブラリーを等モルで混合して混合アダプタータグシークエンシングライブラリーを構築し、ライブラリーアダプターの接続がPCR工程を行うことなくDNA接続酵素で直接的に接続することにより行われる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記タグプライマーの各前記対を構成する前記正方向タグプライマーと前記逆方向タグプライマーは、それぞれ、プライマータグとPCRプライマーを含み、前記正方向タグプライマーの前記PCRプライマーの5’末端に、正方向プライマータグが、直接に又は接続配列を介して、接続され、前記逆方向タグプライマーの前記PCRプライマーの5’末端に、逆方向プライマータグが、直接に又は接続配列を介して、接続されている、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記タグプライマーの前記対に含まれる前記PCRプライマーの対は、HLA遺伝子を増幅するためのPCRプライマーの対を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記PCRプライマーの前記対は、HLA-A/B遺伝子を増幅するためのPCRプライマーの対を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記PCRプライマーの前記対は、HLA-A/Bの第2、3、4エキソン又はHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーの対を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記PCRプライマーは、配列番号191から配列番号214及び配列番号231から配列番号238の塩基配列から選択された塩基配列を有するPCRプライマーを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記PCRプライマーの前記対は、HLA-C遺伝子を増幅するためのPCRプライマーの対を含む、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記PCRプライマーの前記対は、HLA-Cの第2、第3及び/又は第4エキソンを増幅するためのPCRプライマーの対を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記PCRプライマーは、配列番号215から配列番号226の塩基配列から選択された塩基配列を有するPCRプライマーを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記PCRプライマーの前記対は、HLA-DQB1遺伝子を増幅するためのPCRプライマーの対を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記PCRプライマーの前記対は、HLA-DQB1の第2及び/又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマーの対を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記PCRプライマーは、配列番号227から配列番号230の塩基配列から選択された塩基配列を有するPCRプライマーを含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記プライマータグは、配列番号1から配列番号190の塩基配列から選択される塩基配列を有するプライマータグを含む、請求項1から14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項記載の方法を利用して患者からのサンプルに対してシークエンシングを行い、該シークエンシングの結果を、HLAデータベースにおけるHLAのエキソンの配列のデータと対照を行い、前記サンプルと前記配列の対照の結果が100%で合致している場合に、該サンプルは該配列に対応するHLA遺伝子型であると判定されることを特徴とする、HLAタイピング法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2010年6月30日に提出された中国特許出願番号201010213717.6、201010213719.5、201010213721.2及び2010年12月24日に提出された国際出願番号PCT/CN2010/002150及びPCT/CN2010/002149の優先権を主張して、ここで、その完全な内容は合併して援用されている。
【0002】
本発明は、核酸シークエンシングの技術分野に関し、特にPCRシークエンシングの技術分野に関する。また、本発明は、さらにDNA分子タグ技術及びDNA不完全断片化技術に関する。本発明の方法は、第2世代シークエンシング技術、特に第2世代シークエンシング技術中のPair-endシークエンシング技術に適用され、HLA遺伝子タイピングにも用いられている。特に、本発明は、HLA遺伝子タイピング用方法、特にHLA-A、HLA-B、HLA-C及びHLA-DQBI遺伝子タイピング方法、及び前記方法に用いられるPCR増幅プライマー対を提供している。
【背景技術】
【0003】
PCRシークエンシング(PCR sequencing)法は、PCR法により標的遺伝子DNA断片を取得し、取得された標的遺伝子DNA断片に対してDNA配列検出を行うことにより標的遺伝子DNA配列情報を得る技術であり、従来から、遺伝子突然変異検出及び遺伝子タイピングなどの分野に広く使用されている。
【0004】
DNAシークエンシング技術は、主としてサンガー(Sanger)シークエンシング法をはじめとする第1世代DNAシークエンシング技術と、Illumina GA、Roche 454、ABI Solidなどをはじめとする第2世代DNAシークエンシング技術に分けられている。サンガー法によるDNAシークエンシング技術は、実験の操作が簡単で、結果が直観的且つ正確で、実験の周期が短いなどの特徴を有する。検査結果の適時性が高く要求されている臨床遺伝子突然変異検出や遺伝子タイピングなどの分野で幅広く使用されている。しかし、そのスループットが小さく、コストが高いなどの特徴により、大規模な遺伝子タイピングを行う必要のある分野での応用が制限されている。
【0005】
第2世代DNAシーケンス技術は、第1世代DNAシークエンシング技術に比べると、シークエンシングのスループットが高く、コストが低く、自動化度が高く、単一分子でシークエンシングを行う特徴を有する。Illumina GAによる単一分子シークエンシング技術を例として、その一つの実験手順では、50G(ほぼ500億)の塩基のデータを生成し、一日あたり50億の塩基のデータを生成することができるので、各塩基の平均的なシークエンシングコストは、サンガー法によるシークエンシングコストの1/1000にも至っていない。且つ、その結果解析は、コンピュータにより直接的に処理可能となるため、大規模なシークエンシング項目に極めて適している技術である。しかし、第2世代シークエンシング技術の連続的なシークエンシング長が一般的に短く、現在のIllumina GAの双方向における最大シークエンシング長は200bpである;Roche 454 GS-FLXのシークエンシングの最大長はほぼ500bpに達することができるが、そのシークエンシングコストが高く、スループットが小さい。PCR産物の長さはシークエンサーのシークエンシング長を超える場合、PCRシークエンシング法を直接的に採用すれば、PCR産物全体を測定しきれず、被検出のPCR産物の全部のDNA情報を取得することができない。短いシークエンシング読み取り長のせいで、第2世代シークエンシング技術のPCRシークエンシング法における応用が制限されている。シークエンシング技術を徐々に改良してより長い実際的なシークエンシング読み取り長を取得するほか、第2世代DNAシークエンサーの従来のシークエンシング読み取り長がPCRシークエンシングの応用分野では足りたくなったことを克服することのできる新技術の開発も急務とされている。
【0006】
ヒト白血球抗原、即ち、HLA(human leukocyte antigen,HLA)は、今まで発見されていた最も多型性に富んでいる遺伝子系の一つであり、ヒト特異的免疫応答を調節し、疾患感受性個人差を規定する主な遺伝子系であり、同種異系臓器移植の拒絶反応と緊密に係っている。研究により、移植時に、提供側受容側双方のHLA-A、B、C、DRB1、DQB1などの遺伝子の一致率が高くなるほど分解能は高くなり、移植体の生存期間は長くなることを発見した。そのため、造血幹細胞を移植する前に、提供側受容側双方にHLA遺伝子の高分解能の適合を行うことは、通常の検査項目となっている。
【0007】
現在に、国際標準化されているHLA高分解能遺伝子タイピング技術は、サンガーシークエンシング技術に基づくPCRシークエンシング法である。当該方法において、PCR法により相応するHLAのゲノム領域を増幅し、増幅産物にシークエンシングを行い、シークエンシングの結果を専門的なタイピングソフトウェアでタイピングすることにより、サンプルのHLA遺伝子型情報を最終的に取得する。これは、直観的且つ高分解能であり、かつ新たなアリルを検査可能となる特徴を有する。しかし、サンガーシークエンシング法は、コストが高く、スループットが小さいなどの原因で、造血幹細胞ドナー登録バンク(骨髄バンク)のような大規模なHLAタイピング検査が必要とされる機関での適用が制限されている。
【0008】
Roche 454 GS-FLXによるPCRシークエンシング法を利用してHLAタイピングを行う技術が文献で報じられているが、それ自身のシークエンシングコストが比較的高いため、その検査スループットと検査コストは、サンガーシークエンシング法によるHLAタイピング技術に比べて、明らかなメリットはない。Illumina GAはRoche 454 GS-FLXに比べ、シークエンシングの最大長が短いが、シークエンシングスループットとシークエンシングコストの面において明らかに優れている。よって、Illumina GAのシークエンシング読み取り長の欠陥を克服することができたら、これをHLAタイピング分野に適用すれば、従来のHLAタイピング法の欠点を補うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、第2世代シークエンシング技術を利用して、大量のサンプルの特定の遺伝子関連配列に対してシークエンシング解析を同時に行う場合に、一般的にPCRシークエンシングの技術を用い、プライマータグ+次世代シークエンシング技術との組み合わせを直接的に利用する。用いられたシークエンサーのシークエンシング長は、PCR産物全体の長さをカバーすることができるようになったら、前記技術は十分に要求を満足することができる。一方、用いられたシークエンサーのシークエンシング長は、PCR産物全体の長さをカバーすることができなくなった場合に、Illumina GAに替わり、長いシークエンシング長を有する第2世代シークエンサー(例えば、Roche 454 GS-FLX)を用いるか、シークエンシング長はまだ要求を満足しなかったら、コストとスループットを犠牲にして第1世代シークエンサーを使用するよりほかはない。
【0010】
現実には、Illumina GAは超ハイスループットを有するが、そのシークエンシング長は200bpにしか達していない。Roche 454 GS-FLXのシークエンシング長は500bpにも達することができるが、その配列決定コストが高く、スループットが小さい。これに対して、第1世代シークエンサーのシークエンシング長は1000bp以上になるが、そのスループットとコストは第2世代シークエンサーとは比べものにならない。
【0011】
コストとスループットを兼ねて、シークエンサーにより測定し得るPCR産物の長さを向上可能となる技術がなかろうか。本出願におけるプライマータグ+DNA不完全断片化技術+次世代シークエンシング技術の組み合わせは、第2世代シークエンサーのハイスループット、低コストなどの特徴を活かすと同時に、シークエンサーにより測定し得るPCR産物の長さがシークエンサーそれ自身のシークエンシング長以上となるようにすることができるので、その適用範囲が大幅に拡がっている。本発明中に用いられる次世代シークエンシング技術は、第2世代シークエンシング技術中のPair-endシークエンシング技術と、PCRテンプレートに対してDNA参照配列(DNA Reference Sequence)が付いているPCRシークエンシング技術とを含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、PCRシークエンシング法を提供することである。前記方法により、自身のシークエンシング読み取り長が短いことによる制限を低減させ、第2世代DNAシークエンシング技術のPCRシークエンシング応用分野における適用を拡げている。例えば、次世代シークエンシング技術によるシークエンシング工程中に、5’末端にプライマータグ(primer index)配列を付加したタグ付きプライマーを使用して行い、増幅後のPCR産物を断片化し、断片化された産物に末端修復を行うと共に、その3’末端にデオキシアデノシン(A)を結合させ、その後、異なるPCR-freeアダプターを結合させることができる。
【0013】
DNA分子タグ技術及びDNA不完全断片化技術に基づくPCRシークエンシング法の使用は、プライマータグの数を増やさない状況下で、唯一にマークされることが可能なサンプルの数を大きく高めることができる(図5)。本発明では、正、逆方向のPCRプライマーにプライマータグを付け、DNA不完全断片化技術を結合することにより、第2世代シークエンシング技術をPCRシークエンシングの分野に使用するとき、実に測定されたPCR産物の長さがシークエンサーによるシークエンシングの最大長よりも長くなっている。
【0014】
増幅用プライマーの先端に、一部のタグ配列を結合させるのは、複数のサンプルに対するシークエンシングを同時に実現することを目的とする。具体的に言えば、PCR-index/barcode技術を結合して、PCRプライマーの5’末端にプライマータグ(primer index)配列を付加してタグ付きプライマーを合成することにより、PCRの工程中に、サンプルごとに独特なプライマータグを導入することができる。これにより、第2世代DNAシーケンス技術による検査中に、PCRの手順で1サンプルずつ処理する必要があるが、これ以外の他の実験の手順では、複数のサンプルを混ぜて同時に処理してもよい。最終的な各サンプルの検査結果は、その独特なプライマータグ配列により取り戻すことができる。
【0015】
「アダプター(adapter)」又は「ライブラリアダプター(library adapter)」タグ技術とは、複数のシークエンシングライブラリに対して異なるライブラリアダプターを付加し(異なるライブラリアダプターの構成配列が異なり、配列が異なる部分はアダプタータグ(adapter index)と呼ばれる)、タグシークエンシングライブラリを構築することにより、複数の異なるタグ付きシークエンシングライブラリーの混合シークエンシングを実現すると共に、最終的に各タグ付きシークエンシングライブラリーのシークエンシング結果を相互に区分可能とするためのライブラリタグ技術をいう。「PCR-Freeライブラリーアダプター(adapter)」という術語は、設計された一部の塩基をいうものであり、主な作用は、DNA分子のシークエンシング用チップでの固定を補助し、共通のシークエンシングプライマーの結合部位を提供することである。PCR-FreeライブラリーアダプターはDNAリガーゼを介してシークエンシングライブラリー中のDNA断片の両端に直接的に結合することができ、アダプターの導入工程中にPCRは参与しないため、PCR-Freeライブラリーアダプターと呼ばれている。例えば、本発明の実施例の中に用いられるPCR-FREEライブラリーアダプターはILLUMIAに由来している。
【0016】
ライブラリーアダプタータグ技術を結合するPCR-FREEのライブラリー構築法は、ライブラリーアダプターをシークエンシングライブラリー中のDNA断片の両端に直接的に結合し、ライブラリーアダプターの導入工程中にPCRは参与しないため、PCR-FREEのライブラリー構築法と呼ばれている。その中の接続法はDNAリガーゼにより接続してもよい。ライブラリー構築の全工程中に、PCRの参与がないから、高配列類似度を有するPCR産物プーリング(pooling)ライブラリーの構築過程中に、PCRの誤導入により最後の結果が正確ではなくなることが避けられている。
【0017】
本発明に言及されているDNA増幅方法、サンプルからDNAの抽出方法、DNAの精製方法及びDNA配列の対照方法は、当分野における任意の利用可能な方法であってもよい。前記方法は、当業者が具体的な状況に応じて選択し得る。DNAシークエンシング法について、当業者は通常の方法により実行するか、或いはシークエンシング機器の取扱説明書に従い実行することができる。
【0018】
プライマータグの設計は、使用される実験用プラットフォームによって異なる。Illumina GAシークエンシングプラットフォーム自身の特徴を考慮したうえ、本発明はプライマータグを設計する際に考慮する点を以下にいくつか挙げる。1、プライマータグ配列中に、3個以上(3個を含む)の単一塩基の反復配列を回避すること;2、あらゆるプライマータグの同一部位中の塩基Aと塩基Cの総量が全塩基総量の30%〜70%を占めること;3、プライマータグ配列自身のGC含量が40〜60%であること;4、プライマータグ間の配列相違度が4個の塩基以上であること;5、プライマータグ配列中に、Illumina GAのシークエンシングプライマーと類似度の高い配列を回避すること;6、プライマータグ配列をPCRプライマーに付けた後、PCRプライマーに招来される厳しいヘアピン(hairpin)やダイマー(dimmer)などの状況の発生を低減させること。
【0019】
本発明は、PCR反応により、PCR産物の両端のそれぞれに、1つのプライマータグを付加し(プライマータグ配列は同じであってもよいし、異なっていてもよい)、これにより、PCR産物のいずれか一方端のプライマータグでもPCR産物のサンプル情報を特異的にマークすることができる。得られたPCR産物は不完全に断片化される。いわゆる不完全断片化とは、断片化した最終的な産物中に、全てが断片化されていないPCR産物及び一部が断片化されたPCR産物が含まれていることをいう。前記断片化方法は、化学的断片化方法(例えば、酵素切断)及び物理的断片化方法を含むが、これらに制限されることはない。前記物理的断片化方法は、超音波断片化方法と機械的断片化方法などを含む。断片化されたDNAを2%アガロースゲル電気泳動して、シークエンサーの最大読み取り長から適用されるDNAの最大長範囲までのあらゆるDNAバンドをタッピングして精製回収する(Illumina GAシークエンサーに適用される最大長のDNAは700bpであり、この長さはDNAのオリジナル長であり、ライブラリーアダプター配列の長さを含まない)。精製回収方法は、電気泳動タッピング法による回収を含むが、これに限られず、磁気ビーズ法による回収などであってもよい。回収されたDNA断片は第2世代シークエンサーのシークエンシングライブラリーから構築されるプロセスに従いシークエンシングライブラリーを作製し、その後シークエンシングを行う。PCR-FREEシークエンシングライブラリーから構築されるプロセスに従いシークエンシングライブラリーを作製することが好ましく、シークエンシング方法としては、Pair-End方法を利用してシークエンシングを行うことが好ましい。PCR-Freeシークエンシングライブラリーから構築されるプロセスは当業者の既知の方法に基づいて作製される。得られたシークエンシングの総データ中に、プライマータグ配列により、あらゆる測定されるサンプルの配列情報を見出すことができる。BWAにより、各シークエンシング配列をPCR産物の相応するDNAの参考配列(Reference Sequence)に位置決めさせ、シークエンシング配列間のオーバラップ及び連鎖関係に基づいてPCR産物の完全な配列を組み立てる(図1)。ここの連鎖とは、Pair-Endシークエンシングの特徴に決定されるpair-end連鎖関係をいう。
【0020】
Illumina GAシークエンシング(Illumina社製のGenome Analyzerシークエンサー、Illumina GAと略する)は、合成しつつシークエンシングを行う原理によるDNA配列解析であり、ハプロタイプを検査可能となり、最終的に生成されるデータは一連の塩基配列であり、HLAデータベース中の参考配列と直接的に対照を行うことができる。よって、従来のタイピングソフトウェアのピークの誤検査という問題がなく、ソフトウェアタイピングの自動化に有利である。Illumina GAのシークエンシングスループットが大きく、現在の1つの実験手順では、50G(500億)の塩基のデータを生成し、一日平均50億の塩基のデータを生成することができる。シークエンシング配列数が特定された場合に、高いデータスループットでは、各配列はより高いシークエンシング深度を得ることができるから、シークエンシング結果の確実性が確保される。
【0021】
現在に、Illumina GAをHLAタイピング分野に応用する研究がまだ進んでいない。本発明は初めてIllumina GAシークエンシングをHLAタイピング分野に応用し、DNA分子タグ技術、DNA不完全断片化およびPCR-FREEライブラリー構築によるPCRシークエンシング技術を結合することにより、HLAの低コスト、ハイスループット、高正確率、高分解能のタイピングを図ろうとする。
【0022】
本発明において、DNA分子タグ技術、DNA不完全断片化およびPCR-FREEライブラリー構築に基づいたPCRシークエンシング技術を採用して、被解析のサンプルをグループ化し、各グループのサンプルに対して双方向プライマータグでマークされるプライマーにより、HLA遺伝子標的断片を増幅し(PCR産物の最大長はシークエンサーの結合可能なDNAの最大長により決定され、現在のIllumina GAシークエンサーに適用される最大長のDNAは700bpであり、この長さはDNAのオリジナル長であり、ライブラリーアダプター配列の長さを含まない)、得られたPCR産物を等量で混合し、DNA不完全断片化処理により、PCR-Freeタグ付きシークエンシングライブラリーを構築する。サンプルグループごとに得られた異なるタグ付きシークエンシングライブラリーを等モルで混合し、断片化長がシークエンサーの最大シークエンシング長を超えるすべてのDNA断片を選択的に回収し、次いでIllumina GAシークエンサーを利用してシークエンシングを行う。シークエンシング結果のうちのアダプタータグ(adapter index)、プライマータグ及びPCRプライマーの配列情報を選別することによって、それぞれのサンプルのDNA配列情報を得ることができる。得られたDNA配列を組み立って、IMGT HLA専門的データベースにおける対応するデータとの対照を行うことによって、最終的にサンプルのHLA遺伝子型が得られている。
【0023】
上述の方法において、前記DNAを断片化した後、PCR-Freeタグ付きライブラリーの構築中に、グループ別のサンプルのDNAに異なるライブラリーアダプターを結合させ、その結果、後続のタイピングステップにおいて、サンプル別に用いられるプライマータグ及びアダプタータグに基づいて、得られたシークエンシング結果をサンプルと一対一に対応付けさせる。対照工程により、各サンプルのシークエンシング配列をそのPCR産物の既知の相応するDNAの参考配列(Reference Sequence)に位置決めさせ、配列間のオーバラップ及び連鎖関係に基づいて、断片化されたDNAの配列から、PCR産物の完全な配列を組み立てる。
【0024】
本発明は、Illumina GAシークエンシング技術に基づいたHLA遺伝子の高分解能のタイピング方法を提供している。これにより、ハプロタイプのシークエンシング、ソフトウェアタイピングの自動化を図るとともに、HLA遺伝子タイピングのスループットを向上させコストを低下させる。
【0025】
既存の新たなシークエンシング技術のDNAテンプレートの長さに対する要求と、新たなシークエンシング技術の読み取り長が短い事実に鑑みて、HLA-SBT法に用いられていたPCRプライマーは、新たなシークエンシング技術に基づくHLAの高分解能のタイピング方法に適用することができなくなる。本発明は、HLA-A、Bをそれぞれ単独で増幅する新しい第2、3、4エキソンの特異性及び保守性に優れたPCRプライマーを設計し、かつPCR産物の長さは700bp未満であるから、Illumina GAに特に適用する(現在のIllumina GAに適するDNAの最大長は700bpである)。本発明に提供されるPCRプライマーセットは、被験者(特に人)に対する大規模且つハイスループット及び低コストのHLA遺伝子タイピングに用いることができる。
【0026】
本発明に採用されている技術案においては、IMGT/HLAインタネットサイト(http://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/)からあらゆる最新のHLA-A/B遺伝子配列をダウンロードし、その後、HLA-Aデータセットとしてローカルディスクに記憶させる一方、あらゆる最新のHLA-AではないHLA-I類遺伝子配列を比較データセットとしてダウンロードする。2つのデータセットを比較し、第2、3、4エキソンの両端及び内部から、各遺伝子座の保守的且つ特異的な配列を見つけるとともに、設計されたPCRプライマー配列とヒトゲノム配列の相同性を比較する。HLA-A/B遺伝子は、同じくHLA-1類分子に該当するほかの遺伝子と高い配列類似性を有するため、PCRプライマーを設計するとき、プライマーの3’末端の特異性を最大程度で確保し、プライマーでHLA-A/B遺伝子を増幅する特異性を確保する。また、PCR産物の長さを700bpとし、かつ正逆方向のプライマーのアニール温度をほぼ一致させるように保持する。
【0027】
設計要求を満足する複数対の候補HLA-A/Bプライマーを用いて、HLA-A/Bの通常の血清型を有する少数のテンプレートDNAを増幅し、その中から、保守性及び特異性に最も優れている、第2、3、4エキソンをそれぞれに増幅するための2セット各6対ずつのHLA-A/BのPCRプライマーを選別する。
【0028】
選別された2セット各6対ずつのPCRプライマーを基礎プライマーとし、これに基づいて、HLA-A/Bの通常の血清型を有する95個と950個のDNAテンプレートをそれぞれに増幅するための95セットのタグプライマーを設計する(当該部分のテンプレートのHLA型はあらゆる通常のHLA-A/Bの血清型を含む)。あらゆるPCR産物を等量で混合した後、Illumina GA Pair-End 100でシークエンシングを行い、組み立てられたシークエンシング結果をタイピングして原タイピング結果と比較してPCRプライマーの保守性及び特異性を検証する。
【0029】
本発明により設計されたHLA-A、B遺伝子座のプライマー、即ち、第2、3、4エキソンをそれぞれに増幅するための2セット各6対ずつのHLA-A/BのPCRプライマーはそれぞれ下記表1及び表2に示すものである。
【表1】
【表2】
【0030】
表中、縮重プライマーとは、1つのアミノ酸をコードするあらゆる異なる塩基の可能性を示す異なる配列の混合物をいう。特異性を向上させるために、コドン使用表を参照して、異なる生物の塩基の使用時の好みに応じて縮重性を低減させることが考えられる。その中に、R=A/G、Y=C/T、M=A/C、K=G/T、S=C/G、W=A/T、H=A/C/T、B=C/G/T、V=A/C/G、 D=A/G /T、N=A/C/G/T。
【0031】
本発明は、上記の如くHLA-A/B遺伝子の第2、3及び4エキソンを増幅するためのPCRプライマーに関する方法を利用して、HLA-Cの第2、3及び4エキソンを増幅する2セット各3対ずつのPCRプライマーを設計する。
【0032】
下記の実施例において、選別された2セット各3対ずつのPCRプライマーを用いて、95例と950例の既知のHHLAの通常の遺伝子型の血液サンプルに対してHLA-C遺伝子座のPCR増幅をそれぞれに行い、増幅産物をサンガー法(sanger)及び第2世代シークエンシング法によりシークエンシングを行う。シークエンシング結果をHLA-Cタイピングして、原タイピング結果と比較してPCRプライマーの保守性及び特異性を検証する。
【0033】
本発明は、HLA-C遺伝子の第2、3及び4エキソンを増幅する2セット各3対ずつのPCRプライマーを提供する。それらはそれぞれ表3に示される配列番号215及び216217及び218219及び220、表4に示される配列番号221及び222223及び224225及び226である。前記6対のPCRプライマーは良好な保守性及び特異性を有するとともに、HLA-C遺伝子座の第2、3及び4エキソンの全配列長をカバーすることができる。PCR産物の長さはいずれも700bp未満であり、正常なIllumina Solexaのシークエンシングの要求を満足する。なお、本発明のプライマーは更にサンガー法(sanger)に適用されている。
【表3】
【表4】
【0034】
上述したような方法により、第2世代シークエンシング技術をHLA-DQB1遺伝子のタイピングに使用するために、本発明は、HLA-DQB1の第2及び/又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマーを提供する。それらは表5に示す配列番号227230である。前記PCRプライマーは良好な保守性及び特異性を有するとともに、HLA-DQB1遺伝子座の第2、3エキソンの全配列長をカバーすることができる。PCR産物の長さはいずれも700bp未満であり、正常なIllumina Solexaのシークエンシングの要求を満足する。なお、本発明のプライマーは更にサンガー法(sanger)によるシークエンシングに適用されている。
【表5】
【0035】
本発明から提供されている増幅用プライマー対及び遺伝子タイピング方法を使用すれば、HLA-DQB1遺伝子座の第2及び/又は第3エキソンを増幅するうえで遺伝子のタイピングを行うことができる。従来技術に対して、当該タイピング方法はIllumina Solexaによるシークエンシング技術を利用している。当該技術は、高分解能のHLAタイピング結果をハイスループット且つ低コストで得ることができる特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】プライマータグでマークされ、DNA断片化及びDNAシークエンシングがされた後の、配列の組立図である。N番目のサンプルのPCR産物の両端に正逆方向のプライマータグ配列Index-N-F/R(1)を付ける。PCR産物を物理的方法で断片化した産物は、一端にプライマータグ配列を付けた産物、両端ともプライマータグ配列を付けていない産物、まったく断片化されていない産物を含んでいる。シークエンサーの最大読み取り長から、シークエンサーに適用されるDNAの最大長範囲までのあらゆるDNAバンドをタッピングして精製回収してシークエンシング(2)に使用し、Index-N-F/R(1)を利用してシークエンシング結果から、N番目サンプルのPCR産物に該当するシークエンシング結果を取り戻し、PCR産物の既知の参考配列情報に基づいて各シークエンシング配列の参考に対する位置を位置決めするとともに、シークエンシング配列間のオーバラップ及び連鎖関係に基づいて完全なPCR産物のシークエンシング結果(3、4)を組み立てる。
図2】実施例2において、1番目サンプルのHLA-A/B/DRB1の相応するエキソンのPCR産物の電気泳動結果を示す図面である。電気泳動図から見出せるように、PCR産物の断片化の大きさは300bp〜500bp間にある一連の単一バンドであり、その中に、レーンMは分子量マーカー(DL2000、Takara社)であり、レーン1〜7は1番目サンプルのHLA-A/B/DRB1の各エキソン(A2、A3、A4、B2、B4、DRB1-2)のPCR増幅産物であり、陰性対照(N)の中に増幅用バンドがない。その他のサンプルの結果はこれと類似している。
図3】実施例4において、HLA-Mixを断片化した後の電気泳動の結果である(タッピングする前後)。タッピングする領域は450〜750bp間の領域である。レーンMは分子量マーカー(NEB-50bp DNA Ladder)であり、レーン1はタッピングする前のHLA-Mixの電気泳動の結果であり、レーン2はタッピングする後のHLA-Mixのタッピング図である。
図4】実施例6において、1番目サンプルの合意性(consensus)配列構築工程断面図であり、プライマータグとDNA断片の間のオーバラップ関係に基づいてPCR産物の完全な配列を組み立てることを例示的に説明している。HLAタイピング命名についての照合はhttp://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/align.htmlを参照されたい。左側の結果入力欄から、A*02:03:01 A*11:01:01のあらゆるコード化配列の結果を見出せた。その中の2番目エキソンの配列は1番目テンプレートの元の既知の結果と同じである。
図5】プライマータグ及びアダプタータグ(adaptor index)でマークされたPCR産物の略図である。実験時に、PCRにより、各サンプルのPCR産物の両端にプライマータグを同時に付ける;複数の異なるプライマータグを付けたPCR産物を混合してシークエンシングライブラリーを構築する;シークエンシングライブラリーの構築過程中に、複数のシークエンシングライブラリーを構築する必要がある場合に、異なるアダプタータグ付きのライブラリーアダプターを付加することにより、各シークエンシングライブラリーをマークする。ライブラリーの構築済みの後に、異なるアダプタータグマーク付きの複数のシークエンシングライブラリーを混合するとともにIllumina GAでシークエンシングを行う(異なるアダプタータグでマークされるシークエンシングライブラリー同士間のプライマータグは同じであってもよい)。シークエンシング結果ができた後、シークエンシング結果におけるアダプタータグ及びプライマータグの配列情報を選別することにより、各サンプルのDNA配列情報を取得することができる。
図6】実施例8において、部分的なサンプルのHLA-Cの第2、3、4エキソンのPCR産物の電気泳動結果である。電気泳動図から見出せるように、PCR産物の断片化の大きさはそれぞれ400〜500bp間にある単一バンドであり、レーンMはDNA標準分子量マーカーである(DL2000,Takara社)。
図7】実施例8において、HLA-A-Mixを断片化したDNA電気泳動ゲルをタッピングする結果を示している。タッピングする領域は450〜750bpの領域である。その中のレーンMは分子量メーカー(NEB-50bp DNA Ladder)であり、レーン1は、タッピングする前のHLA-Mixのタッピング図を示しており、レーン2はタッピングする後のHLA-Mixのタッピング図を示している。
図8】実施例8において、2番目サンプルのHLA-C遺伝子座の第2エキソンの合意性配列構築工程断面図である。まず、当該サンプルのC遺伝子座のシークエンシング配列をBWAソフトウェアにより参考配列と対照を行い、当該サンプルのC遺伝子座の第2、3、4エキソンの合意性配列をそれぞれに構築し、それに、SNP間の連鎖関係に基づいてC遺伝子座の各エキソンのハプロタイプ配列を特定し、最後に、各エキソンのハプロタイプ配列の交錯から当該サンプルの型を特定する。図面に示されるように、2番目サンプルのC遺伝子配列の695〜764領域の中に、2つのヘテロ接合型SNPを含有する。read1とread2から特定できるように、SNPの連鎖関係はそれぞれA-C、G-Aである(図中の「…」は、参考配列と同じ塩基を示す)。その配列はそれぞれC*010201とC*07020101型配列のハッチング部に対応する。他の領域の連鎖関係の判定はこれと類似している。
図9】実施例9において、26部のサンプルのHLA-C遺伝子座の第2、3及び4エキソンのPCR産物の電気泳動図を示している。26部のサンプルのHLA-C遺伝子座の第2、3及び4エキソンのPCR産物の電気泳動図は、図面に示されるように、あらゆるPCR産物はいずれも500bp未満であり、かつ電気泳動バンドは単一であり、顕著な非特異性バンドがなく、同一対のプライマーの各サンプルに対する増幅効率は均一的なものである。
図10】実施例9において、1番目テンプレートを増幅するPCR産物のシークエンシングピーク図をuTypeソフトウェアにより解析した結果を示している。左欄の結果入力欄の中から、C*08:01:01 C*15:05:01との結果が示されており、1番目テンプレートの元の既知の型と同じである。
図11】実施例10において、94個のサンプルのHLA- DRB1の第2+3エキソンのPCR産物の電気泳動結果を示す図面である。電気泳動図から見出せるように、PCR産物の断片化の大きさは、300bp〜500bp間にある単一バンドであり、その中に、レーンMは標準分子量マーカー(DL2000、Takara社)であり、レーンPI-1〜PI-94は94個のサンプルのHLA- DRB1の第2+3エキソンのPCR増幅産物であり、陰性対照(N)の中に増幅用バンドがない。
図12】実施例10において、HLA-Q-Mixを断片化した後のDNA電気泳動のゲルをタッピングする結果を示している。タッピングする領域は350〜550bp間の領域である。レーンMはDNA標準分子量マーカー(NEB-50bp DNA Ladder)であり、レーン1はタッピングする前のHLA-Q-Mixのタッピング図を示しており、レーン2はタッピングする後のHLA-Q-Mixのタッピング図を示している。
図13】実施例10において、7番目サンプルの合意性(consensus)配列構築工程の部分的な断面図であり、データ解析の主な工程を例示的に説明している。まず、当該サンプルのDQB1遺伝子座のシークエンシング配列をBWAソフトウェアにより参考配列と対照を行い、当該サンプルのDQB1遺伝子座の第1、2、3エキソンの合意性配列を構築し、それに、SNP間の連鎖関係に基づいてDQB1の第2、3エキソンのハプロタイプ配列を特定。図面に示されるように、7番目サンプルのDQB1遺伝子配列の2322〜2412領域の中に、6つのヘテロ接合型SNPを含有する。read1から特定できるように、SNP1-SNP5の連鎖関係はT-G-T-C-Cであり、read2から特定できるように、別の1組のSNP1-SNP5の連鎖関係はC-C-A-G-Tであり、read3から特定できるように、SNP1-SNP5の連鎖関係はT-G-T-C-Cであり、read2から特定できるように、SNP3-SNP6の連鎖関係はA-G-T-Gであり、read4から特定できるように、別の1組のSNP3-SNP6の連鎖関係はT-C-C-Aであり、前記SNPの連鎖関係に基づいて、read1がread4と連鎖しており、read2がread3と連鎖していると特定することができる。この領域における完全なSNPの組み合わせは、T-G-T-C-C-AとC-C-A-G-T-Gであり、その配列は、DQB1*0303とDQB1*0602型配列のハッチング部に対応する。その他の領域の連鎖関係の判定はこれと類似している。
図14】実施例11において、二対のPCRプラズマーでそれぞれHLA-DQB1遺伝子座の第2、3エキソンを増幅し、同時にHLA-DQB1遺伝子座の第2、3エキソンを増幅した電気泳動図を示している。図面においた、七つのDNAテンプレートからの三組PCR産物を示し、あらゆるPCR産物はいずれも500bp未満であり、かつ電気泳動バンドは単一であり、顕著な非特異性バンドがない。陰性対照(N)の中に増幅用バンドがなく、レーンMはDNA標準分子量マーカーである(DL2000,Takara社)。
図15】実施例11において、HLA-DQB1で7番目テンプレートの第2、3エキソンを増幅するPCR産物のシークエンシングピーク図をuTypeソフトウェアにより解析した結果を例示的に示している。左欄の結果入力欄の中から、DQB1*03:03 DQB1*06:02との結果が示されており、7番目テンプレートの元の既知の結果と同じである。
図16】実施例12において、1番目サンプルのHLA-A/B/C/DQB1の相応するエキソンのPCR産物の電気泳動結果を示す図面である。電気泳動図から見出せるように、PCR産物の断片化の大きさは300bp〜500bp間にある一連の単一バンドであり、その中に、レーンMは分子量マーカー(DL2000、Takara社)であり、レーン1〜10は1番目サンプルのHLA-A/B/C/DQB1の各エキソン(A2、A3、A4、B2、B4、C2、C3、C4、DQB1)のPCR増幅産物であり、陰性対照(N)の中に増幅用バンドがない。その他のサンプルの結果はこれと類似している。
図17】実施例12において、HLA-1-Mix 、HLA-2-Mix、HLA-3-Mix、HLA-4-Mix、HLA-5-Mix、HLA-6-Mix、HLA-7-Mix、HLA-8-Mix、HLA-9-Mix及びHLA-10-Mixを等モルで混合した後のアガロースゲルの回収結果である。その中のレーンMは分子量マーカーであり、レーン1は混合物の電気泳動結果であり、レーン2は、450〜750bpの長さ範囲にあるDNA断片化をゴム切断回収した後の電気泳動図である。
図18】実施例12において、1番目サンプルのHLA-C遺伝子座の第2エキソンの合意性配列構築工程の部分的な断面図を示している。まず、当該サンプルのC遺伝子座のシークエンシング配列をBWAソフトウェアにより参考配列と対照を行い、当該サンプルのC遺伝子座の第2、2、4エキソンの合意性配列を構築し、それに、SNP間の連鎖関係に基づいてC遺伝子座の各エキソンのハプロタイプ配列を特定し、最後に、各エキソンのハプロタイプ配列の交錯から当該サンプルの型を特定する。図面に示されるように、1番目サンプルのC遺伝子配列の695〜764領域の中に、2つのヘテロ接合型SNPを含有する。read1及びread2から特定できるように、SNPの連鎖関係ははそれぞれA-C、G-Aである(図中の「…」は、参考配列と同じ塩基を示す)。その配列はそれぞれC*010201とC*07020101型配列のハッチング部に対応する。他の領域の連鎖関係の判定はこれと類似している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
核酸のシークエンシング方法
本発明は、下記のステップを含むサンプル中の標的核酸のヌクレオチド配列を測定する方法を提供する。
1)n個のサンプルを提供し(nは1以上の整数である)、前記サンプルは、好ましくは、哺乳類動物に由来し、更に好ましくは、ヒト、特にヒトの血液サンプルに由来する。解析すべきn個のサンプルをm個のグループに分けるのが好ましい(mは整数であり且つn≧m≧1)、
2)増幅:各サンプルに対して、1対又は複数対のタグプライマーを用いて、当該サンプル由来のテンプレートが存在している場合に、標的核酸を増幅するのに適する条件下でPCR増幅を行う。各1対のタグプライマーは、プライマータグを含む正方向タグプライマーと逆方向タグプライマー(いずれも縮重プライマーであってもよい)から構成され、正方向タグプライマーと逆方向タグプライマーに含まれるプライマータグは同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なるサンプルに用いられるタグプライマー対におけるプライマータグは互いに異なる、
3)混合:n>1の場合に、各サンプルのPCR増幅産物を一緒に混合する、
4)断片化:得られた増幅産物を不完全断片化し、精製回収する、
5)シークエンシング:回収されたDNA混合物に対して、次世代シークエンシング技術、好ましくはPair-End技術(例えば、Illumina GA Illumina Hiseq 2000)によりシークエンシングを行い、断片化されたDNAの配列を得る、
6)組み立て:サンプルごとの独特なプライマータグを基にして、得られたシークエンシング結果をサンプルと一対一に対応付けさせ、対照プログラム(例えばBlast、BWAプログラム)を利用して、各シークエンシング配列をPCR産物の相応するDNAの参考配列に位置決めさせ、配列のオーバラップ及び連鎖関係に基づいて断片化されたDNAの配列から、完全な標的核酸を組み立てる。
【0038】
本発明の一方面により、各1対のプライマータグとPCRプライマー対は1対のタグプライマーを組み合わせて構成する。正逆方向のPCRプライマーの5’末端に、正方向プライマータグと逆方向プライマータグをそれぞれに有する(或いは任意の接続配列により接続されている)。
【0039】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記PCRプライマーはHLA遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、特にHLA-A/B遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーである。好ましくは前記HLA-A/Bの第2、3、4エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表1または表2に示すものであり、好ましくは前記HLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表7に示すものである。
【0040】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記PCRプライマーはHLA遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、特にHLA-C遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、好ましくはHLA-Cの第2、第3及び/又は第4エキソンを増幅するためのPCRプライマーである。好ましくは前記PCRプライマーは表3又は4に示すものである。
【0041】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記PCRプライマーはHLA遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、特にHLA-DRB1遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、好ましくはHLA-DQB1の第2及び/又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマーである。好ましくは前記PCRプライマーは表5に示すものである。
【0042】
本発明の一方面において、前記プライマータグはPCRプライマー対して設計し、好ましくはHLAの特定の遺伝子を増幅するためのPCRプライマーに対して設計し、更に好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーに対して設計し、特に好ましくは表1又は表2又は表7に示されるようなPCRプライマーに対して設計する。前記プライマータグは、特に、表6に示される95対のプライマータグのうちの少なくとも10対、又は少なくとも20対、又は少なくとも30対、又は少なくとも40対、又は少なくとも50対、又は少なくとも60対、又は少なくとも70対、又は少なくとも80対、又は少なくとも90対、又は95対を含み(或いは、前記1組のプライマータグは表1に示される95対のプライマータグのうちの10〜95対(例えば、10〜95対、20〜95対、30〜95対、40〜95対、50〜95対、60〜95対、70〜95対、80〜95対、90〜95対、又は95対)からなる)、かつ、
前記1組のプライマータグは、少なくとも表6に示される95対のプライマータグのうちのPI-1〜PI-10、又は PI-11〜PI-20、又はPI-21〜PI-30、又はPI-31〜PI-40、又はPI-41〜PI-50、又はPI-51〜PI-60、又はPI-61〜PI-70、又はPI-71〜PI-80、又はPI-81〜PI-90、又はPI-91〜PI-95、或いはこれらのうちのいずれか2個又は複数個の組み合わせを含むことが好ましい。
【0043】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記DNAの断片化は、化学的断片化方法及び物理的断片化方法を含む。前記化学的方法は酵素切断方法を含み、前記物理的断片化方法は超音波断片化方法や機械的断片化方法などを含む。
【0044】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記DNAを断片化した後、シークエンサーの最大読み取り長から、シークエンサーに適用されるDNAの最大長範囲までのあらゆるDNAバンドを精製回収する。前記精製回収方法は電気泳動タッピングによる回収法を含むが、これに限られず、磁気ビーズによる回収法であってもよい。
【0045】
本発明の他方面において、サンプル中の標的核酸のヌクレオチド配列を測定する方法は、請求項1に記載のステップ1)〜4)及び下記のステップを更に含む。
5)ライブラリー構築:断片化されたPCR産物のライブラリーでPCR-Freeシークエンシングライブラリーを構築し、異なるPCR-Freeシークエンシングライブラリーと区別するように、ライブラリーに異なるライブラリーアダプター(adapter)を付け、用いられたシークエンサーの最大読み取り長から、用いられたシークエンサーに適用されるDNAの最大長範囲までのあらゆるDNAバンド、好ましくは450〜750bpの長さ範囲のDNA断片を精製回収する、
6)シークエンシング:回収されたDNA混合物に対して、次世代シークエンシング技術、好ましくはPair-End技術(例えば、Illumina GA Illumina Hiseq 2000)によりシークエンシングを行い、断片化されたDNAの配列を得る、
7)組み立て:各ライブラリーの異なるライブラリーアダプター配列とサンプルごとの独特なプライマータグを基にして、得られたシークエンシング結果をサンプルと一対一に対応付けさせ、対照プログラム(例えばBlast、BWAプログラム)を利用して、各シークエンシング配列をPCR産物の相応するDNAの参考配列に位置決めさせ、配列のオーバラップ及び連鎖関係に基づいて断片化されたDNAの配列から、完全な標的核酸を組み立てる。
【0046】
本発明の一方面は、上述の方法を利用して患者からのサンプル(特に血液サンプル)に対してシークエンシングを行い、シークエンシング結果を、HLAデータベース(例えばIMGT HLA専門的データベース)におけるHLAのエキソン、好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン、HLA-Cの第2、第3及び/又は第4エキソン、HLA-DQB1遺伝子の第2及び/又は第3エキソン遺伝子及び/又はHLA-DRB1の第2エキソンの配列のデータと対照を行い、配列の対照の結果が100%で合致しているものを、対応するサンプルのHLA遺伝子型とする工程を含むことを特徴とする前記方法をHLAタイピングに使用する用途をさらに提供する。
【0047】
1組のプライマータグ
本発明の他方面は、1組のプライマータグを提供する。それは、表6に示される95対のプライマータグのうちの少なくとも10対、又は少なくとも20対、又は少なくとも30対、又は少なくとも40対、又は少なくとも50対、又は少なくとも60対、又は少なくとも70対、又は少なくとも80対、又は少なくとも90対、又は95対を含み(或いは、前記1組のプライマータグは表1に示される95対のプライマータグのうちの10〜95対(例えば、10〜95対、20〜95対、30〜95対、40〜95対、50〜95対、60〜95対、70〜95対、80〜95対、90〜95対、又は95対)からなる)、かつ、
前記1組のプライマータグは、少なくとも表6に示される95対のプライマータグのうちのPI-1〜PI-10、又は PI-11〜PI-20、又はPI-21〜PI-30、又はPI-31〜PI-40、又はPI-41〜PI-50、又はPI-51〜PI-60、又はPI-61〜PI-70、又はPI-71〜PI-80、又はPI-81〜PI-90、又はPI-91〜PI-95、或いはこれらのうちのいずれか2個又は複数個の組み合わせを含むことが好ましい。
【0048】
本発明は、さらに、前記方法をHLAタイピングに使用する用途をさらに提供する。その中に、各1対のプライマータグと、決定すべき標的配列を増幅するためのPCRプライマー対は1対のタグプライマーを組み合わせて構成する。正逆方向のPCRプライマーの5’末端に、正方向プライマータグと逆方向プライマータグをそれぞれに有する(或いは任意の接続配列により接続されている)。
【0049】
本発明の一方面では、前記PCRプライマーはHLAの特定の遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記HLA-A/Bの第2、3、4エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表1または表2に示すものであり、好ましくは前記HLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表7に示すものであり、或いは好ましくはHLA-C遺伝子の第2、第3及び/又は第4エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表3又は4に示すものであり、或いは好ましくはHLA-DQB1の第2及び/又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表5に示すものである。
【0050】
本発明の他方面では、前記1組のプライマータグと、決定すべき標的配列を増幅するためのPCRプライマー対を組み合わせてなる1対のタグプライマーを提供する。その中に、各1対のプライマータグとPCRプライマー対は1対のタグプライマーを組み合わせて構成する。正逆方向のPCRプライマーのそれぞれの5’末端に、1つのプライマータグを有する(或いは任意の接続配列により接続されている)。
【0051】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記PCRプライマーは、HLAの特定の遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記HLA-A/Bの第2、3、4エキソンを増幅するためのPCRプライマーは、表1または表2に示すものであり、好ましくは前記HLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表7に示すものであり、或いは好ましくはHLA-C遺伝子の第2、第3及び/又は第4エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表3又は4に示すものであり、或いは好ましくはHLA-DQB1の第2及び/又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表5に示すものである。
【0052】
本発明の他方面は、さらに、前記タグプライマーをPCRシークエンシング方法に使用する用途をさらに提供する。
【0053】
HLAのタイピング方法
本発明の一方面において、下記のステップを含むHLAタイピング方法を提供する。
1)n個のサンプルを提供し(nは1以上の整数である)、前記サンプルは、好ましくは、哺乳類動物に由来し、更に好ましくは、ヒト、特にヒトの血液サンプルに由来する、
2)解析すべきn個のサンプルをm個のグループに分ける(mは整数であり且つn≧m≧1)、
3)増幅:各サンプルに対して、1対のタグプライマーを用いて、当該サンプル由来のテンプレートが存在している場合に、標的核酸を増幅するのに適する条件下でPCR増幅を行う。各1対のタグプライマーは、プライマータグを含む正方向タグプライマーと逆方向タグプライマー(いずれも縮重プライマーであってもよい)から構成され、正方向タグプライマーと逆方向タグプライマーに含まれるプライマータグは同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なるサンプルに用いられるタグプライマー対におけるプライマータグは互いに異なる、
4)混合:各サンプルのPCR増幅産物を一緒に混合し、PCR産物のライブラリーを得る、
5)断片化:得られたPCR産物のライブラリーを不完全断片化する、
6)ライブラリー構築:ライブラリーアダプタータグ技術を結合して、断片化されたPCR産物のライブラリーでPCR-Freeシークエンシングライブラリーを構築し、用いられたシークエンサーの最大読み取り長から、用いられたシークエンサーに適用されるDNAの最大長範囲までのあらゆるDNAバンド、具体的に450〜750bpの長さ範囲のDNA断片を回収する、
7)シークエンシング:回収されたDNA混合物に対して、次世代シークエンシング技術、好ましくはPair-End技術(例えば、Illumina GA Illumina Hiseq 2000)によりシークエンシングを行い、断片化されたDNAの配列を得る、
8)組み立て:各ライブラリーの異なるライブラリーアダプター配列とサンプルごとの独特なプライマータグを基にして、得られたシークエンシング結果をサンプルと一対一に対応付けさせ、対照プログラム(例えばBlast、BWAプログラム)を利用して、各シークエンシング配列をPCR産物の相応するDNAの参考配列に位置決めさせ、配列のオーバラップ及び連鎖関係に基づいて断片化されたDNAの配列から、完全な標的核酸を組み立てる、
9)タイピング:シークエンシング結果を、HLAデータベース(例えばIMGT HLA専門的データベース)におけるHLAのエキソン、好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン、HLA-Cの第2、第3及び/又は第4エキソン、HLA-DQB1遺伝子の第2及び/又は第3エキソン遺伝子及び/又はHLA-DRB1の第2エキソンの配列のデータと対照を行い、配列の対照の結果が100%で合致しているものは、対応するサンプルのHLA遺伝子型である。
【0054】
本発明に記載のHLAタイピング方法において、各1対のプライマータグとPCRプライマー対は1対のタグプライマーを組み合わせて構成する。正逆方向のPCRプライマーの5’末端に、正方向プライマータグと逆方向プライマータグをそれぞれに有する(或いは任意の接続配列により接続されている)。
【0055】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記PCRプライマーはHLAの特定の遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記HLA-A/Bの第2、3、4エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表1または表2に示すものであり、好ましくは前記HLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表7に示すものであり、或いは好ましくはHLA-C遺伝子の第2、第3及び/又は第4エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表3又は4に示すものであり、或いは好ましくはHLA-DQB1の第2及び/又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表5に示すものである。
【0056】
本発明の1つの具体的な実施形態では、前記プライマータグは上記に述べられたような1組のプライマータグである。
【0057】
本発明に記載のHLAタイピング方法の1つの具体的な実施形態では、前記DNAの断片化は、化学的断片化方法及び物理的断片化方法を含む。前記化学的方法は酵素切断方法を含み、前記物理的断片化方法は超音波断片化方法や機械的断片化方法などを含む。
【0058】
本発明に記載のHLAタイピング方法の1つの具体的な実施形態では、前記精製回収方法は電気泳動タッピングによる回収法を含むが、これに限られず、磁気ビーズによる回収法であってもよい。
【0059】
本発明に記載のHLAタイピング方法において、前記ライブラリーアダプタータグ技術を結合して、断片化されたPCR産物のライブラリーでPCR-Freeシークエンシングライブラリーを構築することは、m種のライブラリーを用いて2)で得られたm個のPCR産物のライブラリーにアダプターを付加し、各PCR産物のライブラリーごとに異なるライブラリーアダプターを使用してm個のアダプタータグシークエンシングライブラリーを構築することである。m個のアダプタータグシークエンシングライブラリーを等モルで混合して混合アダプタータグシークエンシングライブラリーを構築する。その中のライブラリーアダプターの接続方法とは、PCR工程を行うことなくDNA接続酵素で直接的に接続することをいう。
【0060】
HLA遺伝子タイピング用のPCRプライマー
本発明の一方面では、HLA遺伝子タイピング用のPCRプライマーであって、前記PCRプライマーはHLAの特定の遺伝子を増幅するためのPCRプライマー、好ましくはHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記HLA-A/Bの第2、3、4エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表1または表2に示すものであり、好ましくは前記HLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマーは表7に示すものであり、或いは好ましくはHLA-C遺伝子の第2、第3及び/又は第4エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表3又は4に示すものであり、或いは好ましくはHLA-DQB1の第2及び/又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマーであり、好ましくは前記PCRプライマーは表5に示すものであることを特徴とするHLA遺伝子タイピング用のPCRプライマーを提供する。
【0061】
本発明は、下記のステップを含む前記PCRプライマーのシークエンシングに用いる方法をさらに提供する。
サンプル、特に血液サンプルを提供し、前記血液サンプルは、好ましくは、哺乳類動物、特にヒトに由来する、
増幅:前記PCRプライマーを利用して血液サンプル由来のDNAを増幅してPCR産物を取得するとともに、PCR産物を精製する、
シークエンシング:前記PCR産物に対してシークエンシングを行い、シークエンシング法としてはサンガー法(sanger)か、第2世代シークエンシング法(例えばHiseq 2000、Illumina GAとRoche454)が挙げられる。
【0062】
本発明の他方面では、前記PCRプライマーを使用して前記シークエンシング法により得られた結果を組み立て及び対照解析し、シークエンシング結果をデータベースにおける基準配列と比較してHLA遺伝子タイピングの結果を取得することを特徴とする前記PCRプライマーをHLA遺伝子タイピングに用いる用途をさらに提供する。
【0063】
本発明の他方面では、HLA遺伝子タイピングを行う試薬箱をさらに提供する。前記試薬箱の中に、前記PCRプライマーを含む。
【0064】
HLA-A、B遺伝子タイピング用のPCRプライマー
本発明の一方面では、HLA-A、B遺伝子タイピング用のPCRプライマーであって、前記PCRプライマーは表1又は表2に示すものであることを特徴とするHLA-A、B遺伝子タイピング用のPCRプライマーを提供する。
【0065】
本発明の他方面では、下記のステップを含む本発明のHLA-A、B遺伝子タイピング用のPCRプライマーのシークエンシングに用いる方法を提供する。
サンプル、特に血液サンプルを提供し、前記血液サンプルは、好ましくは、哺乳類動物、特にヒトに由来する、
増幅:前記PCRプライマーを利用して血液サンプル由来のDNAを増幅してPCR産物を取得するとともに、PCR産物を精製する、
シークエンシング:前記PCR産物に対してシークエンシングを行い、シークエンシング法としてはサンガー法(sanger)か、第2世代シークエンシング法(例えばHiseq 2000、Illumina GAとRoche454)が挙げられる。
【0066】
本発明の他方面では、前記PCRプライマーを使用して前記方法により得られたシークエンシング結果を組み立て及び対照解析し、シークエンシング結果をデータベースにおける基準配列と比較してHLA遺伝子タイピングの結果を取得することを特徴とする本発明のHLA-A、B遺伝子タイピング用のPCRプライマーのHLA遺伝子タイピングに用いる用途を提供する。
【0067】
他方、本発明は、HLA遺伝子タイピングを行う試薬箱をさらに提供する。前記試薬箱の中に、本発明のHLA-A、B遺伝子タイピング用のPCRプライマーを含む。
【0068】
HLA-C遺伝子タイピング用のPCRプライマー
本発明は、本発明の増幅用プライマー対を使用してPCR増幅を行い、前記増幅用プライマー対の配列は表3又は表4に示されることを特徴とする新たなHLA-C遺伝子の第2、3及び4エキソンの増幅方法をさらに提供する。
【0069】
PCR反応によりHLA-Cの第2、3及び4エキソンを増幅可能となる。よって、本発明の方法をHLA-C遺伝子タイピングに特に有利に使用することができる。従来のHLA-C遺伝子タイピング方法に比べ、本発明の方法及び増幅用プライマーを用いた産物は700bp以内に制御されているため、更なるタイピングを行うに際して、Illumina Solexaシークエンシング技術によるHLA-SBTを利用することができる。
【0070】
本発明は、下記のステップを含むサンプル中のHLA-C遺伝子の第2、3及び/又は4エキソンにシークエンシングを行う方法をさらに提供する。
1)サンプルを1つ提供して当該サンプルのDNAを抽出する、
2)本発明のHLA-C遺伝子タイピング用のPCRプライマー対、好ましくは配列番号215及び配列番号216配列番号217及び配列番号218配列番号219及び配列番号220、若しくは配列番号221及び配列番号222配列番号223及び配列番号224配列番号225及び配列番号226からなる群より選ばれるプライマー対を用いて前記DNAを増幅してPCR産物を取得し、好ましくはPCR産物を精製する、
3)前記PCR産物に対してシークエンシングを行い、前記シークエンシングは好ましくは第2世代シークエンシング法により行われる。前記第2世代シークエンシング法としては、Illumina Solexa又はRoche454が挙げられる。
【0071】
本発明は、下記のステップを含むHLA-C遺伝子タイピング方法をさらに提供する。
1)本発明のHLA-C遺伝子タイピング用のPCRプライマー対、好ましくは配列番号215及び配列番号216配列番号217及び配列番号218配列番号219及び配列番号220、若しくは配列番号221及び配列番号222配列番号223及び配列番号224配列番号225及び配列番号226からなる群より選ばれるプライマー対を用いてPCR増幅を行い、決定すべきサンプルのHLA-C遺伝子の第2、3及び/又は4エキソンを増幅する、
2)増幅されたエキソンに対してシークエンシングを行い、シークエンシング結果をデータベースにおける基準サンプルと比較して遺伝子タイピング結果を特定する。前記シークエンシングはサンガー法(sanger)或いは第2世代シークエンシング法により行われる。前記第2世代シークエンシング法としては、Illumina Solexa又はRoche454が挙げられる。
【0072】
他方、本発明は、HLA-C遺伝子タイピング用の試薬箱をさらに提供する。前記試薬箱は、本発明のHLA-C遺伝子タイピング用のPCRプライマー対、好ましくは配列番号215及び配列番号216配列番号217及び配列番号218配列番号219及び配列番号220、若しくは配列番号221及び配列番号222配列番号223及び配列番号224配列番号225及び配列番号226からなる群より選ばれるプライマー対を含む。1つの実施案において、前記試薬箱は、さらに、他の試薬、例えばDNA増幅、DNA精製及び/またはDNAシークエンシングに用いられる試薬を含む。
【0073】
本発明に提供されている増幅用プライマー対及び遺伝子タイピング方法を利用すれば、HLA-C遺伝子の第2、3及び4エキソンを増幅するうえで遺伝子タイピングを行うことができる。従って、従来技術に対して、当該タイピングは、Illumina Solexaシークエンシング技術を利用しているから、スループットを向上させ工程を簡単化させると同時に、時間とコストも節約している。
【0074】
HLA-DQB1遺伝子タイピング用のPCRプライマー
本発明は、本発明の増幅用プライマー対を使用してPCR増幅を行い、前記増幅用プライマー対の配列は表5に示されることを特徴とする新たなHLA-DQB1遺伝子の第2及び/又は第3エキソンの増幅方法をさらに提供する。
【0075】
PCR反応によりHLA-DQB1の第2及び/または第3エキソンを増幅可能となる。よって、本発明の方法をHLA-DQB1遺伝子タイピングに特に有利に使用することができる。従来のHLA-DQB1遺伝子タイピング方法に比べ、本発明の方法及び増幅用プライマーを用いた産物は300〜400bp間に制御されているため、更なるタイピングを行うに際して、Illumina Solexaシークエンシング技術によるHLA-SBTを利用することができる。
【0076】
本発明は、下記のステップを含むサンプル中のHLA-DQB1遺伝子の第2及び/又は第3エキソンにシークエンシングを行う方法をさらに提供する。
1)サンプルを1つ提供して当該サンプルのDNAを抽出する、
2)本発明のHLA-DQB1遺伝子タイピング用のPCRプライマー対、好ましくは表5に示されるPCRプライマー対を用いて前記DNAを増幅してPCR産物を取得し、好ましくはPCR産物を精製する、
3)前記PCR産物に対してシークエンシングを行い、シークエンシングは第2世代シークエンシング法、例えば、Illumina Solexa又はRoche454であってもよい。
【0077】
本発明の他方面では、本発明は、下記のステップを含む改良されたHLA-DQB1遺伝子タイピング方法を提供する。
1)本発明のHLA-DQB1遺伝子タイピング用のPCRプライマー対、好ましくは表5に示されるPCR増幅用プライマー対を用いて、決定すべきHLA-DQB1遺伝子の第2及び/又は第3エキソンを増幅する、
2)増幅されたエキソンに対してシークエンシングを行い、シークエンシング結果をデータベースにおける基準サンプルと比較して遺伝子タイピング結果を特定する。前記シークエンシングはサンガー法(sanger)或いは第2世代シークエンシング法により行われる。前記第2世代シークエンシング法としては、Illumina Solexa又はRoche454が挙げられる。
【0078】
他方、本発明は、HLA-DQB1遺伝子タイピング用の試薬箱をさらに提供する。前記試薬箱は、本発明のHLA-DQB1遺伝子タイピング用のPCRプライマー対、好ましくは表5に示されるPCR増幅用プライマー対を含む。1つの実施案において、前記試薬箱は、さらに、他の試薬、例えばDNA増幅、DNA精製及び/またはDNAシークエンシングに用いられる試薬を含む。
【実施例】
【0079】
以下にて、実施例を結合して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、当業者が理解できるように、下記の実施例は本発明を説明するだけに用いられ、本発明の範囲を限定するものではない。
【0080】
本発明の実施例1〜6において、プライマータグ+DNA不完全断片化技術+ Illumina GAシークエンサーによるPair-End 100シークエンシング技術の組み合わせにより、95個のサンプルのHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンの遺伝子をタイピングすることにより(PCR産物の長さは290bp〜500bpの間にある)、当該技術は第2世代シークエンサーのハイスループットと低コストの特徴を十分に発揮できるとともに、シークエンサー自身のシークエンシング長以上の遺伝子断片化のタイピングを図れることが証明されている。
【0081】
原理:解析すべきサンプルをPCR反応させて、HLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンのPCR産物の両端にプライマータグを付けることにより、PCR産物のサンプル情報を特異的にマークする。各グループ内のサンプルのHLA-A/B/DRB1の3つの遺伝子座のPCR増幅産物を混合してPCR産物ライブラリーを取得する。得られたPCR産物ライブラリーを超音波により不完全断片化した後、PCR-Freeシークエンシングライブラリーを構築し、シークエンシングライブラリーを2%低融点アガロースゲル電気泳動して、450〜750bpの長さ範囲の間にあるのあらゆるDNAバンドをタッピングして精製回収する(PCR-Freeシークエンシングライブラリーの構築過程中に、DNA断片化の両端にライブラリーアダプターを付加し、その結果、DNA断片化の電気泳動図に体現される長さが実際的な長さよりほぼ250bp長くなっている。よって、ここで450bp〜700bpの断片化の回収は、実際的に、元の長さが200bp〜500bpであるDNA断片化の回収に相当する)。回収されたDNAをIllumina GA PE-100によりシークエンシングを行う。プライマータグ配列から、配列決定されるあらゆるサンプルの配列情報を見出すことができ、それから、既知のDNA断片化の参考配列情報とDNA断片化配列との間のオーバラップ及び連鎖関係に基づいてPCR産物全体の配列を組み立て、HLA-A/B/DRB1の相応するエキソンの標準データベースとの対照結果に基づいて、原PCR産物の全配列を組み立ててHLA-A/B/DRB1の遺伝子タイピングを図ることができる。
【0082】
実施例1
サンプルの抽出
KingFisher自動抽出機器(米国Thermo社)を利用して、95部の既知のHLA-SBTタイピング結果をもつ血液サンプル(中国造血幹細胞ドナーデータベース(以下、「中華骨髄バンク」という)からDNAを抽出する。主なステップは下記の通りである。KingFisher自動抽出機器とセットになる6個のディープウェルプレートと1個のシャローウェルプレートを取り出し、明細書に従い、セットになる所定量の試薬をそれぞれに加えてマークし、要求に応じて、試薬を添加した後のすべてのウェルプレートを相応する位置に置き、「Bioeasy_200ul Blood DNA_KF.msz」とのプログラムを選定し、「star」ボタンを押して当該プログラムを実行して核酸の抽出を行う。プログラムの終了後に、plate Elutionから約100ulの溶離産物を収集したものは抽出されたDNAである。
【0083】
実施例2
PCRの増幅
5’末端に異なるプライマータグを有するPCRプライマーを合成することにより異なるPCRタグプライマーを作製し、これにより、異なるPCRタグプライマーを異なるサンプルに使用することができる。前記PCRプライマーは、HLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DRB1の第2エキソンを対象とするPCR産物である。その後、PCR反応によりPCR産物の両端にプライマータグを付けて異なるサンプルに由来するPCR産物を特異的にマークする。
【0084】
95部のDNAサンプルを95セットのPCRタグプライマーでそれぞれに増幅し、1セットごとのPCRタグプライマーは1対の双方向プライマータグ(表6)とHLA-A/Bの第2、3、4エキソン(表1)及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するPCRプライマー(表7)からなる。それぞれの正方向のPCRプライマーの5’末端に1対のプライマータグの正方向プライマータグを結合させ、逆方向のPCRプライマーの5’末端に1対のプライマータグの逆方向プライマータグを結合させる。プライマータグを、プライマーの合成時にPCRプライマーの5’末端に直接的に添加する。
【0085】
実施例1のサンプル抽出ステップで得られた95部のDNAを1〜95に順次に番号をつけ、PCR反応を96ウェルプレート中で行わせ、合計7プレートを有し、それぞれの番号はHLA-P-A2、HLA-P-A3、HLA-P-A4、HLA-P-B2、HLA-P-B3、HLA-P-B4及びHLA-P-DRB1-2である(A2/3/4,B2/B3/B4,DRB1-2は増幅する遺伝子座を表す)。プレート内に、テンプレートを付加しない陰性対照が設置されており、陰性対照用のプライマーはテンプレート1の対応するプライマーと同じである。実験すると同時に、各対のプライマータグに対応するサンプル番号情報を記録する。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表7】
【0086】
表7のD2-F1からD2-Rは、それぞれ、配列番号231〜238に対応している。
D2-F1、D2-F2、D2-F3、D2-F4、D2-F5、D2-F6、D2-F7は、HLA-DRB1遺伝子の第2エキソンを増幅する正方向プライマーであり、D2‐Rは、HLA-DRB1遺伝子の第2エキソンを増幅する逆方向プライマーである。
HLA-A/B/DRB1のPCRプログラムは下記のものである。即ち、
96℃ 2min
95℃ 30s→60℃ 30s→72℃ 20s(32cycles)
15℃ ∞
【0087】
HLA-A/BのPCR反応体系中の下記のあらゆる試薬はいずれもPromega北京生物技術有限公司(Promega)から購入されている。
【表7-A】
【0088】
HLA-DRB1のPCR反応体系は以下のものである。
【表7-B】
【0089】
ただし、PInf-A/B/D2-F1/2/3/4/5/6/7は、プライマーの5’末端にn番目の正方向プライマータグ配列(表6)を付けたHLA-A/B/DRB1のFプライマーを表し、PInr--A/B/D2-R2/3/4は、プライマー5’末端にn番目の逆方向プライマータグ配列を付けたHLA-A/B/DRB1のRプライマーを表す(ここに、n≦95)、その他はこれによって類推する。かつ、各サンプルは特定の1セットのPCRプライマーに対応する(PInf-A/B/D2-F1/2/3/4/5/6/7, PInr--A/B/D2-R2/3/4)。
【0090】
PCR反応をBio-Rad社製のPTC-200 PCR機器上で実行させる。PCRを完了した後、2ulのPCR産物を1%アガロースゲル電気泳動で検出する。図2は、1番目サンプルのHLA-A/B/DRB1の相応するエキソンのPCR産物の電気泳動結果を示す。DNA分子はDL 2000(Takara社)としてマークされる。タッピング図の中に、断片化の大きさが300bp-500bpである一連の単一バンドが存在しており、1番目サンプルのHLA-A/B/DRB1の各エキソン(A2、A3、A4、B2、B3、B4、DRB1-2)PCRの増幅成功が表明されており、陰性対照(N)には増幅バンドがない。他のサンプルの結果はこれと類似している。
【0091】
実施例3
PCR産物の混合と精製
96ウェルプレートHLA HLA-P-A2の余剰のPCR産物(陰性対照を除く)から20ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-A2-Mixとしてマークし、他の6個の96ウェルプレートに対して同様な操作を行い、それぞれHLA-A3-Mix、HLA-A4-Mix、HLA-B2-Mix、HLA-B3-Mix、HLA-B4-Mix及びHLA-D2-Mixとしてマークし、振動して均一に混合する。HLA-A2-Mix、HLA-A3-Mix、HLA-A4-Mix、HLA-B2-Mix、HLA-B3-Mix、HLA-B4-Mix及びHLA-D2-Mixから200ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-Mixとしてマークし、HLA-Mixから500ulの DNA混合物を取り出してQiagen DNA Purification kit試薬箱(QIAGEN社)によりカラムによる精製を行い(具体的な精製ステップは詳しくは説明書参照)、精製により得られた200ulのDNAを、Nanodrop 8000(Thermo Fisher Scientific社)により測定した結果、HLA-Mix DNAの濃度が48ng/ulである。
【0092】
実施例4
PCR産物の断片化、及びIllumina GA PCR-Freeシークエンシングライブラリーの構築
1.DNAの断片化
精製されたHLA-Mixから総量5ugのDNAを抽出し、AFA繊維製蓋付きのCovaris微小管を用いてConvaris S2DNA断片化機器(Convaris社製)上で断片化する。断片化の条件は下記の通りである。即ち、
【表7-C】
【0093】
2.断片化後の精製
HLA-Mixのあらゆる断片化産物をQIAquick PCR Purification Kitにより回収精製し、それぞれ37.5ulのEB(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0094】
3.末端修復反応
断片化後に精製されたHLA-Mixに対してDNA末端修復反応を行わせる。その体系は以下のものである(試薬がいずれもEnzymatics社から購入されている)。
【表7-D】
反応条件は、恒温混合均一機器(Thermomixer,Eppendorf社製)で20℃の恒温で30min水浴させるということである。
反応産物をQIAquick PCR Purification Kitにより回収精製し、34 μlのEB(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0095】
4.3’末端へのA付加反応
前工程で精製されたDNAの3’末端にAを付加して反応させる。その体系は下記の通りである(試薬がいずれもEnzymatics社から購入されている)。
【表7-E】
反応条件は、恒温混合均一機器(Thermomixer,Eppendorf社製)で37℃の恒温で30min水浴させるということである。
反応産物をMiniElute PCR Purification Kit(QIAGEN社製)により回収精製し、13 μlのEB溶液(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0096】
5.Illumina GA PCR-Freeライブラリーアダプター(adapter)の結合
「PCR-Freeライブラリーアダプター(adapter)」という術語は、設計された一部の塩基であり、その主な作用は、DNA分子のシークエンシング用チップでの固定を補助し、共通のシークエンシングプライマーの結合部位を提供することである。PCR-FreeライブラリーアダプターはDNAリガーゼを介してシークエンシングライブラリー中のDNA断片の両端に直接的に結合することができ、アダプターの導入工程中にPCRは参与しないため、PCR-Freeライブラリーアダプターと呼ばれている。
【0097】
A付加後の産物にIllumina GA PCR-Freeライブラリーアダプターを付加させる。その体系は以下の通りである(試薬がいずれもIllumina社から購入されている)。
【表7-F】
反応条件は、恒温混合均一機器(Thermomixer,Eppendorf社製)で20℃の恒温で15min水浴させるということである。
反応産物をAmpure Beads(Beckman Coulter Genomics)により回収精製し、50ulの脱イオン水に溶解させ、蛍光定量PCR(QPCR)で検出した結果、DNAのモル濃度の結果は以下の通りである。
【表7-G】
【0098】
6.タッピングによる回収
HLA-Mixを30μl取り出して2%低融点アガロースゲルにより回収する。電泳条件は、100V、100minである。DNA markerは、NEB社製の50bp長をもつDNA markerである。長さ範囲が450〜750bpであるDNA断片化をタッピングにより回収する(図3)。タッピングにより回収された生成物をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社製)により回収精製し、精製後の体積が32μlであり、蛍光定量PCR(QPCR)により検出されたDNAの濃度結果は10.16nMである。
【0099】
実施例5
Illumina GAシークエンス
QPCRの検出結果により、DNAを10pmol取り出してIllumina GA PE-100プログラムを用いてシークエンスを行う。具体的な取り扱い工程は、詳しくはIllumina GA取扱説明書を参照する(Illumina GA IIx)。
【0100】
実施例6
結果解析
Illumina GAによるシークエンシング結果は、一連のDNA配列であり、シークエンシング結果の中の正逆方向プライマータグ配列及びプライマー配列を見つけることにより、各プライマータグに対応するサンプルHLA-A/B/DRB1の各エキソンのPCR産物のシークエンシング結果のデータベースを構築する。BWA(Burrows-Wheeler Aligner)により、各エキソンのシークエンシング結果を相応するエキソンの参考配列上に位置決めさせると同時に(参考配列由来:http://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/)、各データベースの合意性(consensus)配列を構築し、その後、データベースにおけるDNA配列に対して選別及びシークエンシングの誤り補正を行う。補正後のDNA配列は、配列のオーバラップ(overlap)及び連鎖(Pair-End連鎖)関係に基づいてHLA-A/B/DRB1の各エキソンの相応する配列として組み立て可能である。得られたDNA配列を、IMGT HLA専門データベースにおけるHLA-A/B/DRB1の相応する各エキソンの配列データベースと対照を行い、配列の対照の結果が100%で合致しているものは、対応するサンプルのHLA-A/B/DRB1遺伝子型である。図4を参照して、1番目サンプルのHLA-A遺伝子座の第2エキソンの合意性配列構築工程の断面図を例示的に説明することができる。
【0101】
あらゆる95個のサンプルにつき、得られたタイピング結果は、元の既知のタイピング結果と完全に合致している。その中の1〜32番目サンプルの具体的な結果は下記の通りである。
【表7-H】
【表7-I】
注:HLA-DRB1型の中のDRB1*1201から、DRB1*1206/1210/1217の可能性を除外せず、DRB1*1454からDRB1*1401の可能性を除外することができない。何故なら、前記アレルのHLA-DRB1の第2エキソンでの配列が完全に同じであるからである。
【0102】
実施例7 第2世代シークエンシング技術(Illumina GA)によるHLA-A、BとDRB1の遺伝子タイピング
サンプルの抽出
KingFisher自動抽出機器(サプライヤーの情報を提供されたい)(米国Thermo社)を利用して、95部の既知のHLA-SBTタイピング結果をもつ血液サンプル(中国造血幹細胞ドナーデータベース(以下、「中華骨髄バンク」という)からDNAを抽出する。具体的な方法は実施例1に述べられている通りである。
【0103】
PCRの増幅
サンプル抽出ステップで得られた95部のDNAを1〜950に順次に番号をつけ、10グループに分け、各グループに95部のDNAを有し、それぞれHLA-1、HLA-2、HLA-3、HLA-4、HLA-5、HLA-6、HLAー7、HLA-8、HLA-9、HLA-10としてマークする。各グループサンプルに対して、95セットの双方向プライマータグ(表6)付きの、HLA-A/Bの第2、3、4エキソンを増幅するためのPCRプライマー(表1)及びHLA-DRB1の第2エキソンを増幅するためのPCRプライマー(表7)を利用して95部のDNAサンプルをそれぞれに増幅する。PCR反応を96ウェルプレート中で行わせ、合計70プレートを有し、それぞれの番号はHLA-X-P-A2、HLA-X -P-A3、HLA-X -P-A4、HLA-X -P-B2、HLA-X -P-B3、HLA-X -P-B4及びHLA-X -P-DRB1-2である(「X」はサンプルグループ番号情報1/2/3/4/5/6/7/8/9/10を表し、「A2/3/4、B2/3/4、DRB1-2」は増幅する遺伝子座を表す)。それぞれのプレート内に、テンプレートを付加しない陰性対照が設置されており、陰性対照用のプライマーはPI―1(表1)でマークされるプライマーである。実験すると同時に、各サンプルに対応するサンプルグループ番号情報及びプライマータグ情報を記録する。具体的な方法は実施例2に述べられている通りである。
【0104】
PCR産物の混合及び精製
第「X」グループ(「X」は1/2/3/4/5/6/7/8/9/10である)のサンプルに対して、96ウェルプレートHLA-X-P-A2の余剰のPCR産物(陰性対照を除く)から20ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-X-A2-Mixとしてマークし、第「X」グループのサンプルの他の6個の96ウェルプレートに対して同様な操作を行い、それぞれHLA-X-A3-Mix、HLA-X-A4-Mix、HLA-X-B2-Mix、HLA-X-B3-Mix、HLA-X-B4-Mix及びHLA-X-D2-Mixとしてマークし、振動して均一に混合する。HLA-X-A2-Mix、HLA-X-A3-Mix、HLA-X-A4-Mix、HLA-X-B2-Mix、HLA-X-B3-Mix、HLA-X-B4-Mix及びHLA-X-D2-Mixから200ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-X-Mixとしてマークする。その中からDNA混合物を500ulずつ取り出してQiagen DNA Purification kitによりカラムによる精製を行い(具体的な精製ステップは詳しくは説明書参照)、精製により得られた200ulのDNAを、Nanodrop 8000(Thermo Fisher Scientific社)により測定したDNA濃度につき、他のグループの操作が同じであり、最終的に測定したDNA濃度はそれぞれ下記の通りである。
【表7-J】
具体的な方法は実施例3に述べられている通りである。
【0105】
その後、実施例4に記載の方法によりIllumina GAシークエンシングライブラリーの構築を行う。その中のサンプルグループとライブラリーアダプターとの対応付け関係は以下の通りである。
【表7-K】
【0106】
反応産物をAmpure Beads(Beckman Coulter Genomics)により精製した後、50ulの脱イオン水に溶解させ、蛍光定量PCR(QPCR)で検出した結果、DNAのモル濃度の結果は以下の通りである。
【表7-L】
【0107】
6.タッピング法による回収
HLA-1-Mix 、HLA-2-Mix、HLA-3-Mix、HLA-4-Mix、HLA-5-Mix、HLA-6-Mix、HLA-7-Mix、HLA-8-Mix、HLA-9-Mix及びHLA-10-Mixを等モルで混合し(最終濃度72.13nM/ul)、HLA-Mix-10としてマークし、HLA-Mix-10を30μL取り出して2%低融点アガロースゲルで回収する。電気泳動の条件は、100V、100minである。DNA markerは、NEB社製の50bp長のDNA markerである。450〜750bpの長さ範囲にあるDNA断片化をタッピングして回収する。タッピングして回収された産物をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社)により回収精製し、精製後の体積は32ulとなっており、蛍光定量PCR(QPCR)により検出した結果、DNA濃度の結果は9.96nMである。
【0108】
その後、実施例5及び6に記載の方法によりシークエンシング及び結果解析を行い、あらゆる950個のサンプルにつき、得られたタイピング結果は元の既知のタイピング結果と完全に合致している。
【0109】
実施例8 第2世代シークエンシング技術(Illumina GA)によるHLA-Cの遺伝子タイピング
1.サンプルのDNA抽出
ステップは実施例1と同じである。
【0110】
2.PCRの増幅
ステップは実施例2と同じである。ただ用いられたPCRプライマーはHLA-Cの第2、3、4エキソンを対象とするPCRプライマーであり、表3に示すものである。
【0111】
95部のDNAサンプルを95セットのPCRタグプライマーでそれぞれに増幅し、1セットごとのPCRタグプライマーは、HLA-Cの第2、3、4エキソンを増幅するためのPCRプライマー(表3)と、1対の双方向プライマータグ(下記に記述のものである)からなる。それぞれの正方向のPCRプライマーの5’末端に1対のプライマータグの正方向プライマータグを結合させ、逆方向のPCRプライマーの5’末端に1対のプライマータグの逆方向プライマータグを結合させる。プライマータグを、プライマーの合成時にPCRプライマーの5’末端に直接的に添加する。
【0112】
サンプル抽出ステップで得られた95部のDNAを1〜95に順次に番号をつけ、PCR反応を96ウェルプレート中で行わせ、合計3プレートを有し、それぞれの番号はHLA-P-C2、HLA-P-C3、HLA-P-C4である(C2/3/4は増幅する遺伝子座を表す)。プレート内に、テンプレートを付加しない陰性対照が設置されており、陰性対照用のプライマーはプライマーPI-96と同じである。実験すると同時に、各対のプライマータグに対応するサンプル番号情報を記録する。
【0113】
用いられたプライマータグは表6に列挙されているプライマータグPI-1〜PI-95、及び下記の陰性対照プライマータグPI-96と同じである(表8)。
【表8】
【0114】
ステップ1においてKingFisher自動抽出機器により抽出されたDNAをテンプレートとし、5’末端にタグを付けたHLA-Cの各エキソンのプライマーを単管でPCR増幅を行う。PCRプログラムは以下の通りである。
C2: 96℃ 2分間
95℃ 30s →62℃ 30秒 →72℃ 20秒 (35個のサイクル)
15℃ ∞
C3: 96℃ 2分間
95℃ 30秒 →56℃ 30秒 →72℃ 20秒 (35個のサイクル)
15℃ ∞
C4: 96℃ 2分間
95℃ 30秒 →60℃ 30秒 →72℃ 20秒 (35個のサイクル)
15℃ ∞
【0115】
HLA-CのPCR反応体系は以下の通りである。即ち、
【表8-A】
【0116】
PInf-C-F2/3/4は、プライマーの5’末端にn番目の正方向プライマータグ配列(表2)を付けたHLA-CのFプライマーを表し、PInf-C-F2/3/4は、プライマー5’末端にn番目の逆方向プライマータグ配列を付けたHLA-CのRプライマーを表す(ここに、n≦96)、その他はこれによって類推する。かつ、各サンプルは特定の1セットのPCRプライマーに対応する。
【0117】
PCR反応をBio-Rad社製のPTC-200 PCR機器上で実行させる。PCRを完了した後、2ulのPCR産物を1.5%アガロースゲル電気泳動で検出する。図6は、前の20個のサンプルのHLA-Cの相応するエキソンのPCR産物の電気泳動結果を示す。DNA分子はDL 2000(Takara社)としてマークされる。タッピング図の中に、断片化の大きさが400bp-500bpである一連の単一バンドが存在しており、この部分のサンプルのHLA-Cの各エキソン(C2、C3、C4)PCRの増幅成功が表明されている。他のサンプルの結果はこれと類似している。
【0118】
PCR産物の混合と精製
96ウェルプレートHLA-P-C2の余剰のPCR産物(陰性対照を除く)から20ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-C2-Mixとしてマークし、他の2個の96ウェルプレートに対して同様な操作を行い、それぞれHLA-C3-Mix及びHLA-C4-Mixとしてマークし、振動して均一に混合する。HLA-C2-Mix、HLA-C3-Mix及びHLA-C4-Mixから200ulずつ取り出して1.5mlのEP管内で混合し、HLA-Mixとしてマークし、HLA-Mixから500ulの DNA混合物を取り出してQiagen DNA Purification kit試薬箱(QIAGEN社製)によりカラムによる精製を行い(具体的な精製ステップは詳しくは説明書参照)、精製により得られた200ulのDNAを、Nanodrop 8000(Thermo Fisher Scientific社)により測定した結果、HLA-Mix DNAの濃度が50ng/ulである。
【0119】
4.Illumina GA PCR-Freeシークエンシングライブラリーの構築
4.1 PCR産物の断片化
精製されたHLA-Mixから総量5ugのDNAを抽出し、Covaris microTube with AFA fiber and Snap-Capを用いてConvaris S2(Convaris社製)上で断片化する。断片化の条件は下記の通りである。即ち、
【表8-B】
【0120】
4.2 断片化後のPCR産物の精製
HLA-Mixのあらゆる断片化産物をQIAquick PCR Purification Kitにより回収精製し、それぞれ37.5ulのEB(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0121】
4.3 末端修復反応
精製された産物に対してDNA末端修復反応を行わせる。その体系は以下の通りである(試薬がいずれもEnzymatics社から購入されている)。
【表8-C】
反応条件は、Thermomixer(Eppendorf社製)で20℃の恒温で30分間水浴させることである。
反応産物をQIAquick PCR Purification Kitにより回収精製し、32 μlのEB(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0122】
4.4 3’末端へのA付加反応
前工程で精製されたDNAの3’末端にAを付加して反応させる。その体系は下記の通りである(試薬がいずれもEnzymatics社から購入されている)。
【表8-D】
反応条件は、Thermomixerで37℃の恒温で30分間水浴させることである。
反応産物をMiniElute PCR Purification Kit(QIAGEN社製)により回収精製し、38 μlのEB溶液(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0123】
4.5 Illumina GA PCR-Freeライブラリーアダプター(adapter)の結合
A付加後の産物にIllumina GA PCR-Freeライブラリーアダプターを付加させる。その体系は以下の通りである(試薬がいずれもIllumina社から購入されている)。
【表8-E】
反応条件は、Thermomixerで16℃の恒温で一夜水浴させることである。
反応産物をAmpure Beads(Beckman Coulter Genomics)により精製した後、50ulの脱イオン水に溶解させ、蛍光定量PCR(QPCR)で検出した結果、DNAのモル濃度の結果は以下の通りである。
【表8-F】
【0124】
4.6 タッピング法による回収
HLA-Mixを30μL取り出して2%低融点アガロースゲルで回収する。電気泳動の条件は、100V、100分間である。DNA 標準分子量マーカーは、NEB社製の50bp長のDNA Ladderである。400〜750bpの長さ範囲にあるDNA断片化をタッピングして回収する(図7)。タッピングして回収された産物をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社製)により回収精製し、精製後の体積は32ulとなっており、蛍光定量PCR(QPCR)により検出した結果、DNA濃度の結果は17.16nMである。
【0125】
5.Illumina GAシークエンシング
QPCR検出結果により、DNAを10pmol取り出してIllumina GA PE-100プログラムによりシークエンシングを行う。具体的な操作プロセスは詳しくIllumina GA取扱説明書(Illumina GA IIx)を参照されたい。
【0126】
6.結果解析
Illumina GAによるシークエンシング結果は、一連のDNA配列であり、シークエンシング結果の中の正逆方向プライマータグ配列及びプライマー配列を見つけることにより、各プライマータグに対応するサンプルHLA-Cの各エキソンのPCR産物のシークエンシング結果のデータベースを構築する。BWA(Burrows-Wheeler Aligner)により、各エキソンのシークエンシング結果を相応するエキソンの参考配列上に位置決めさせると同時に(参考配列由来:http://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/)、各データベースの合意性(consensus)配列を構築する。塩基シークエンシング品質値と、シークエンシング配列とconsensus配列との差異度を結合して、シークエンシング配列に対して選別及びシークエンシングの誤り補正を行う。補正後のDNA配列は、配列のオーバラップ(overlap)及び連鎖(Pair-End連鎖)関係に基づいてHLA-Cの各エキソンの相応する配列として組み立て可能である。図8の断面図は、2番目サンプルのHLA-C遺伝子座の第2エキソンの合意性配列の構築工程を例示的に説明している。
【0127】
シークエンシングを行うHLA-C内のDNA配列をIMGT HLA専門データベースにおけるHLA-Cの相応する各エキソンの配列データベースと対照を行い、配列の対照の結果が100%で合致しているものは、対応するサンプルのHLA-C遺伝子型である。あらゆる95個のサンプルにつき、得られたタイピング結果は、元の既知のタイピング結果と完全に合致している。その中の1〜32番目サンプルの具体的な結果とサンプルの元のタイピング結果との対照は以下の通りである(例えば表9、全部の検出結果は元の検出結果と同じである)。
【表9】
注:HLA-C型の中のC*0303から、C*0320Nの可能性を除外せず、C*0401からC*0409N/0430の可能性を除外せず、C*0702から、C*0750の可能性を除外せず、C*0801からC*0822の可能性を除外せず、C*1505から、C*1529の可能性を除外することができない。何故なら、前記アレルのHLACの第2、3、4エキソンでの配列が完全に同じであるからである。
【0128】
実施例9 サンガー法(sanger)によるHLA-Cの遺伝子タイピング
1.サンプルDNAの抽出
実施例に記載されているように、KingFisher自動抽出機器で抽出された95部のサンプルのうちの26部の既知のHLA遺伝子型のDNAを抽出する。
【0129】
2.PCR増幅
前記KingFisher自動抽出機器で抽出されたDNAをテンプレートとし、C-F2、C-R2、C-F3、C-R3、C-F4、C-R4合計3対のPCRプライマー(表3)を単管でPCR増幅を行う。各対のプライマーのPCRプログラムは以下の通りである。
C2: 96℃ 2分間
95℃ 30s →62℃ 30秒 →72℃ 20秒 (35個のサイクル)
15℃ ∞
C3: 96℃ 2分間
95℃ 30秒 →56℃ 30秒 →72℃ 20秒 (35個のサイクル)
15℃ ∞
C4: 96℃ 2分間
95℃ 30秒 →60℃ 30秒 →72℃ 20秒 (35個のサイクル)
15℃ ∞
【0130】
HLA-CのPCR反応体系は以下の通りである。即ち、
【表9-A】
PCR産物をアガロースゲル電気泳動により検出した後(図9)、精製する。
【0131】
3.PCR産物の精製
Millipore精製板を用いてPCR産物を精製する。基本的なステップは下記の通りである。マークペンを用いて、96ウェルPCR産物精製板上に、使用する必要がある孔をマークするとともに、使用する必要がある孔中に50ulの超純水を加え、余剰の孔をシールフィルムで封止し、室温で15分間静かに放置するか、或いは吸引濾過系に接続させ、-10Paで、5分間後に取り外す。抽出濾過系から精製板を取り外すたびに、精製板の底部の液体排出口に残されている液体を吸水紙で吸い込まなければならない。
【0132】
精製すべきPCR産物を4000rpmで1分間遠心させる;精製すべきPCR産物の蓋又はシリコーンマットを開き、各PCR反応体系中に100ulの超純水を加える。その後、精製すべきPCR産物を加えた精製板を吸引濾過系に接続させ、気圧表に-10Paを表示させるまで真空度を調節し、精製板の底部の微小孔再生繊維フィルム上に液体がなくなるまで吸引濾過する。光照射下で観察したら、完全な液体面の反射光沢が見られない。
【0133】
精製すべきPCR産物を有する孔に50ulの超純水またはTEを微小孔再生繊維フィルムに加える;室温下で微量振動器のミッドレンジを用いて精製板を5分間振動し、相応する孔内のすべての液体を新たな96ウェルPCR板の対応する孔へと移す。
【0134】
4.シークエンシング反応を行うとともにシークエンシング反応産物を精製する
以上の精製後のPCR産物をテンプレートとしてシークエンシング反応を行う。
シークエンシング反応の条件
96℃ 2分間
96℃ 10秒 → 55℃ 5秒 → 60℃ 2分 (25個のサイクル)
15℃ ∞
【0135】
シークエンシング反応の体系は以下の通りである。
【表9-B】
【0136】
下記のステップにより、シークエンシング反応産物を精製する。即ち、シークエンシング反応プレートを取り外してトリミングし、3000g下で1分間遠心させる。96ウェルプレートの5μLずつの反応体系に0.125 mol/LのEDTA-Na2溶液を2ul、85%のエタノールを33μL加え、シリコーンマットをカバーし、3分間十分に振動させ、4℃下で3000gで30分間遠心させる。遠心終了後にシークエンシングプレートを取り出してシリコーンマットを開き、シークエンシング反応プレートを吸水紙に反転させて置き、反転遠心させて遠心力が185gになれば、直ちに中止する。96ウェルプレートの各孔に70%のエタノールを50μL加え、シリコーンマットをカバーし1.5分間振動させ、4℃下で3000gで15分間遠心させる。シークエンシング反応プレートを日陰且つ通風のよい場所に30分間放置し、エタノールの匂いがなくなるまで風で乾燥させる。96ウェルプレートの孔ごとに10μLずつ(384ウェルプレートの孔ごとに8μLずつ加える)のHI-DIホルムアミドを加え、シールフィルムで封止し、5秒振動させた後、1000rpmとなるように遠心させる。
【0137】
5.シークエンシング及び結果の解析
精製後のシークエンシング反応産物をABI 3730XL上で毛細管電気泳動によるシークエンシングを行い、シークエンシングピーク図をuTypeソフトウェア(Invitrogen)により解析したところ(図10)、HLAタイピング結果を取得し、表10に示される通りである。
【表10】
【0138】
実施例10 第2世代シークエンシング技術(Illumina Solexa)によるHLA-DQB1の遺伝子タイピング
実施例8に記載の方法により、94部の既知のHLA-SBTタイピング結果の血液サンプルに対してHLA-DQB1の遺伝子タイピングを行う。異なるところは下記の通りである。
【0139】
94部のDNAサンプルを94セットのPCRタグプライマーでそれぞれに増幅し、1セットごとのPCRタグプライマーは、HLA-DQB1の第2又は第3エキソンを増幅するためのPCRプライマー(表5)と、1対の双方向プライマータグ(下記に記述のものである)からなる。それぞれの正方向のPCRプライマーの5’末端に1対のプライマータグの正方向プライマータグを結合させ、逆方向のPCRプライマーの5’末端に1対のプライマータグの逆方向プライマータグを結合させる。プライマータグを、プライマーの合成時にPCRプライマーの5’末端に直接的に添加する。プライマーは上海Invitrogen会社により合成されている。
【0140】
サンプル抽出ステップで得られた94部のDNAを1〜94に順次に番号をつけ、PCR反応を96ウェルプレート中で行わせ、各サンプルのDQB1の第2、3エキソンは同一の反応孔中で増幅される。プレート内に、テンプレートを付加しない2つの陰性対照が設置されており、陰性対照用のプライマーに対応するタグ番号はPI-95とPI-96である。実験すると同時に、各対のプライマータグに対応するサンプル番号情報を記録する。
【0141】
用いられたプライマータグは表6に列挙されているプライマータグPI-1〜PI-94、及び下記の陰性対照プライマータグPI-95及びPI-96と同じである(表11)。
【表11】
【0142】
HLA-DQB1のPCRプログラムは以下の通りである。
96℃ 2分間
95℃ 30s →60℃ 30秒 →72℃ 20秒 (32個のサイクル)
15℃ ∞
【0143】
HLA-DQB1のPCR反応体系は以下の通りである。即ち、
【表11-A】
【0144】
PInf-Q-F2/3は、プライマーの5’末端にn番目の正方向プライマータグ配列(表1)を付けたHLA-DQB1のFプライマーを表し、PInf-Q-R2/3は、プライマー5’末端にn番目の逆方向プライマータグ配列を付けたHLA-DQB1のRプライマーを表す(ここに、n≦96)、その他はこれによって類推する。かつ、各サンプルは特定の1セットのPCRプライマーに対応する。
【0145】
PCR反応をBio-Rad社製のPTC-200 PCR機器上で実行させる。PCRを完了した後、2ul のPCR産物を1.5%アガロースゲル電気泳動で検出する。図11は、94個のサンプルのHLA-DQB1の第2+3エキソンのPCR産物の電気泳動結果を示す。DNA標準分子量マーカー(M)はDL 2000(Takara社製)である。
【0146】
3.PCR産物の混合と精製
96ウェルプレートHLA-P-DQB1の余剰のPCR産物(陰性対照を除く)から20ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-Q-Mixとしてマークし均一に混合する。HLA-Q-MixからDNA混合物を500ulずつ取り出してQiagen DNA Purification kitによりカラムによる精製を行い(具体的な精製ステップは詳しくは説明書参照)、精製により得られた200ulのDNAを、Nanodrop 8000(Thermo Fisher Scientific社製)により測定した結果、HLA-Q-Mix DNAの濃度が48ng/ulである。
【0147】
断片化の条件は下記の通りである。即ち、
【表11-B】
【0148】
末端修復反応された反応産物をQIAquick PCR Purification Kitにより回収精製し、34ulのEB(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0149】
3’末端へのA付加反応を行った反応産物をMiniElute PCR Purification Kit(QIAGEN社製)により回収精製し、13 μlのEB溶液(QIAGEN Elution Buffer)に溶解させる。
【0150】
ライブラリーアダプターを付加した反応産物をAmpure Beads(Beckman Coulter Genomics)により精製した後、50ulの脱イオン水に溶解させ、蛍光定量PCR(QPCR)で検出した結果、DNAのモル濃度の結果は以下の通りである。
【表11-C】
【0151】
350〜550bpの長さを有するDNA断片化をタッピングして回収する(図12)。タッピングして回収された産物を精製した後、蛍光定量PCR(QPCR)により検出した結果、DNA濃度の結果は18.83nMである。
【0152】
6.結果解析
Illumina GAによるシークエンシング結果は、一連のDNA配列であり、シークエンシング結果の中の正逆方向プライマータグ配列及びプライマー配列を見つけることにより、各プライマータグに対応するサンプルHLA-DQB1の各エキソンのPCR産物のシークエンシング結果のデータベースを構築する。BWA(Burrows-Wheeler Aligner)により、各エキソンのシークエンシング結果を相応するエキソンの参考配列上に位置決めさせると同時に(参考配列由来:http://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/)、各データベースの合意性(consensus)配列を構築する;塩基シークエンシング品質値と、シークエンシング配列とconsensus配列との差異度を結合して、シークエンシング配列に対して選別及びシークエンシングの誤り補正を行う。補正後のDNA配列は、配列のオーバラップ(overlap)及び連鎖(Pair-End連鎖)関係に基づいてHLA-DQB1の第2、3エキソンの相応する配列として組み立て可能である。図13の断面図は、7番目サンプルのHLA-DQB1遺伝子座の第2エキソンの合意性配列の構築工程を例示的に説明している。
【0153】
シークエンシングを行うHLA-DQB1の第2、3エキソンのDNA配列をIMGT HLA専門データベースにおけるHLA-DQB1の相応する各エキソンの配列データベースと対照を行い、配列の対照の結果が100%で合致しているものは、対応するサンプルのHLA-DQB1遺伝子型である。
【0154】
あらゆる94個のサンプルにつき、得られたタイピング結果は、元の既知のタイピング結果と完全に合致している。その中の1〜32番目サンプルの具体的な結果は下記表12に示される。
【表12】
【0155】
実施例11 サンガー法(sanger)によるHLA-DQB1の遺伝子タイピング
1.サンプルDNAの抽出
実施例1 に記載されているように、KingFisher自動抽出機器で抽出された94部のサンプルのうちの20部の既知のHLA遺伝子型のDNAを抽出する。
【0156】
2.PCR増幅
前記KingFisher自動抽出機器で抽出されたDNAをテンプレートとし、表5に列挙されているQ-F2及びQ-R2、Q-F3及びQ-R3合計3対のPCRプライマーをそれぞれ単管でPCR増幅を行う。各対のプライマーのPCRプログラムは以下の通りである。
96℃ 2分間
95℃ 30秒 →62℃ 30秒 →72℃ 20秒 (35個のサイクル)
15℃ ∞
【0157】
HLA-QのPCR反応体系は以下の通りである。即ち、
【表12-A】
PCR産物をアガロースゲル電気泳動により検出した後、精製する。
【0158】
3.PCR産物の精製
方法ステップは実施例9と同じである。
【0159】
4.シークエンシング反応を行うとともにシークエンシング反応産物を精製する
方法ステップは実施例9と同じである。
【0160】
5.シークエンシング及び結果の解析
精製後のシークエンシング反応産物をABI 3730XL上で毛細管電気泳動によるシークエンシングを行い、シークエンシングピーク図をuTypeソフトウェア(Invitrogen)により解析したところ(図15)、HLAタイピング結果を得る。すべての検出結果は元の検出結果と同じである(表13)。
【表13】
【0161】
実施例12 950個のサンプルのHLA-A/B/Cの第2、3、4エキソン及びHLA-DQB1の第2、3エキソンの遺伝子タイピング
本発明の実施例において、プライマータグ、DNA不完全断片化、ライブラリータグ及びPCR-FREEライブラリー構築による Illumina GA Pair-End シークエンシング法により、950個のサンプルのHLA-A/Bの第2、3、4エキソン及びHLA-DQB1の第2、3エキソンの遺伝子をタイピングする(PCR産物の長さは300bp〜500bpの間にある)。これにより、当該技術はシークエンサー自身のシークエンシング長以上の遺伝子断片化に対する遺伝子タイピングを実現できることを証明するとともに、当該発明はHLA遺伝子タイピングを低コスト且つハイスループットで、高正確率且つ高分解能で行えることを証明する。
【0162】
原理:解析すべきサンプルを10グループに分け、各グループのサンプルをPCR反応によりHLA-A/B/Cの第2、3、4エキソン及びHLA-DQB1の第2、3エキソンのPCR産物の両端にプライマータグを付けることにより、PCR産物のサンプル情報を特異的にマークする。各グループ内のサンプルのHLA-A/B/C/DQB1の4つの遺伝子座のPCR増幅産物を等体積で混合してPCR産物ライブラリーを取得する。得られたPCR産物ライブラリーを超音波により不完全断片化した後、PCR-Freeシークエンシングライブラリーを構築し(各グループのサンプルのPCR産物ライブラリーごとに異なるアダプターを1つ付けるから、10個のタグシークエンシングライブラリーを構築する)、10個のタグシークエンシングライブラリーを等モルで混合して混合タグシークエンシングライブラリーを構築し、混合タグシークエンシングライブラリーを2%低融点アガロースゲル電気泳動して、450〜750bpの長さ範囲の間にあるのあらゆるDNAバンドをタッピングして精製回収する。回収されたDNAをIllumina GA PE-100によりシークエンシングを行う。ライブラリータグ及びプライマータグ配列から、配列決定されるあらゆるサンプルの配列情報を見出すことができ、それから、既知のDNA断片化の参考配列情報とDNA断片化配列との間のオーバラップ及び連鎖関係に基づいてPCR産物全体の配列を組み立て、HLA-A/B/C/DQB1の相応するエキソンの標準データベースとの対照結果に基づいて、原PCR産物の全配列を組み立ててHLA-A/B/C/DQB1の遺伝子タイピングを図ることができる。
【0163】
1.サンプルの抽出
KingFisher自動抽出機器(サプライヤーの情報を提供されたい)(米国Thermo社)を利用して、950部の既知のHLA-SBTタイピング結果をもつ血液サンプル(中国造血幹細胞ドナーデータベース(以下、「中華骨髄バンク」という)からDNAを抽出する。具体的な方法は実施例1に述べられている通りである。
【0164】
2.PCRの増幅
サンプル抽出ステップで得られた950部のDNAを1〜950に順次に番号をつけ、10グループに分け、各グループに95部のDNAを有し、それぞれHLA-1、HLA-2、HLA-3、HLA-4、HLA-5、HLA-6、HLA-7、HLA-8、HLA-9、HLA-10としてマークする。各グループサンプルに対して、95セットの双方向プライマータグ(表6)付きの、HLA-A/Bの第2、3、4エキソン(表2)、HLA-Cの第2、3、4エキソン(表4)及びHlA-DQB1の第2、3エキソンを増幅するためのPCRプライマー(表5)を利用して95部のDNAサンプルをそれぞれに増幅する。PCR反応を96ウェルプレート中で行わせ、合計100プレートを有し、それぞれの番号はHLA-X-P-A2、HLA-X-P-A3、HLA-X -P-A4、HLA-X -P-B2、HLA-X -P-B3、HLA-X-P-B4 、HLA-X-P-C2、HLA-X-P-C3、HLA-X -P-C4及びHLA-X-P-DQB1である(「X」はサンプルグループ番号情報1/2/3/4/5/6/7/8/9/10を表し、「A2/3/4、B2/3/4、C2/3/4、DQB1」は増幅する遺伝子座を表す)。それぞれのプレート内に、テンプレートを付加しない陰性対照が1つ設置されており、陰性対照用のプライマーはPI-1(表6)でマークされるプライマーである。実験すると同時に、各サンプルに対応するサンプルグループ番号情報及びプライマータグ情報を記録する。例えば、PI-1、PI-2プライマータグの関連情報は以下の通りである。その他はこれによって類推される。
【表13-A】
【0165】
HLA-A/B/CのPCRプログラムとPCR反応体系は実施例2と同じであり、用いられたHLA-A/Bの相応するエキソンを増幅するためのPCR産物は表2に示されるものであり、用いられたHLA-Cの相応するエキソンを増幅するためのPCR産物は表4に示される通りである。
HLA-DQB1のPCRプログラムは下記の通りである。即ち、
96℃ 2min
95℃ 30s→55℃ 30s→72℃ 20s(32cycles)
15℃ ∞
【0166】
HLA-DQB1の多重(第2、3エキソンをともに増幅する)PCR反応体系は実施例10と同じであり、用いられたHLA-DQB1の相応するエキソンを増幅するためのPCR産物は表5に示される通りである。
【0167】
PInf-A/B/C-F2/3/4及びPInf-Q-F2/F3は、プライマーの5’末端にn番目の正方向プライマータグ配列(表6)を付けたHLA-A/B/C/DQB1のFプライマーを表し、PInf-A/B/C-R2/3/4及びPInf-Q-R2/R3は、プライマー5’末端にn番目の逆方向プライマータグ配列を付けたHLA-A/B/C/DQB1のRプライマーを表す(ここに、n≦95)、その他はこれによって類推する。かつ、各サンプルは特定の1セットのPCRプライマーに対応する(PInf-A/B/C-F2/3/4, PInr-A/B/C-R2/3/4, PInf-Q-F2/F3,PInr-Q-R2/R3)。
【0168】
PCR反応をBio-Rad社製のPTC-200 PCR機器上で実行させる。PCRを完了した後、3ulのPCR産物を2%アガロースゲル電気泳動で検出する。図16は、1番目サンプルのHLA-A/B/C/DQB1の相応するエキソンのPCR産物の電気泳動結果を示す。DNA分子はDL 2000(Takara社)としてマークされる。タッピング図の中に、断片化の大きさが300bp-500bpである一連の単一バンドが存在しており、1番目サンプルのHLA-A/B/C/DQB1の各エキソン(A2、A3、A4、B2、B3、B4、C2、C3、C4、DQB1)のPCRの増幅成功が表明されており、陰性対照(N)には増幅バンドがない。他のサンプルの結果はこれと類似している。
【0169】
3.PCR産物の混合及び精製
第「X」グループ(「X」は1/2/3/4/5/6/7/8/9/10である)のサンプルに対して、96ウェルプレートHLA-X-P-A2の余剰のPCR産物(陰性対照を除く)から20ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-X-A2-Mixとしてマークし、第「X」グループのサンプルの他の9個の96ウェルプレートに対して同様な操作を行い、それぞれHLA-X-A3-Mix、HLA-X-A4-Mix、HLA-X-B2-Mix、HLA-X-B3-Mix、HLA-X-B4-Mix、HLA-X-C2-Mix、HLA-X-C3-Mix、HLA-X-C4-Mix及びHLA-X-DQB1-Mixとしてマークし、振動して均一に混合する。HLA-X-A2-Mix、HLA-X-A3-Mix、HLA-X-A4-Mix、HLA-X-B2-Mix、HLA-X-B3-Mix、HLA-X-B4-Mix、HLA-X-C2-Mix、HLA-X-C3-Mix、HLA-X-C4-Mix及びHLA-X-DQB1-Mixから200ulずつ取り出して3mlのEP管内で混合し、HLA-X-Mixとしてマークする。その中からDNA混合物を500ulずつ取り出してQiagen DNA Purification kitによりカラムによる精製を行い(具体的な精製ステップは詳しくは説明書参照)、精製により得られた200ulのDNAを、Nanodrop 8000(Thermo Fisher Scientific社)により測定したDNA濃度につき、他の9グループの操作が同じであり、10グループのサンプルを測定したDNA濃度はそれぞれ下記の通りである。
【表13-B】
【0170】
4.Illumina GAシークエンシングライブラリーの構築
実施例4に記載されている方法のように、精製後のHLA-X-Mixから総量5ugずつのDNAを取り出して、DNA断片化、断片化後の精製、末端修復反応、3’末端へのA付加反応、Illumina GA PCR-Freeライブラリーアダプター(adapter)の結合をそれぞれに行う。
【0171】
サンプルグループとライブラリーアダプターとの対応付け関係は以下の通りである。
【表13-C】
【0172】
反応産物をAmpure Beads(Beckman Coulter Genomics)により精製した後、50ulの脱イオン水に溶解させ、蛍光定量PCR(QPCR)で検出した結果、DNAのモル濃度の結果は以下の通りである。
【表13-D】
【0173】
6.タッピング法による回収
HLA-1-Mix 、HLA-2-Mix、HLA-3-Mix、HLA-4-Mix、HLA-5-Mix、HLA-6-Mix、HLA-7-Mix、HLA-8-Mix、HLA-9-Mix及びHLA-10-Mixを等モルで混合し(最終濃度70.86nM/ul)、HLA-Mix-10としてマークし、HLA-Mix-10を30μL取り出して2%低融点アガロースゲルで回収する。電気泳動の条件は、100V、100minである。DNA markerは、NEB社製の50bp長のDNA markerである。450〜750bpの長さ範囲にあるDNA断片化をタッピングして回収する(図17)。タッピングして回収された産物をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社)により回収精製し、精製後の体積は32ulとなっており、蛍光定量PCR(QPCR)により検出した結果、DNA濃度の結果は10.25nMである。
【0174】
5.Illumina GAシークエンシング及び結果の解析
実施例5及び6の方法により、シークエンシング及び結果の解析を行う。
各プライマータグに対応するサンプルHLA-A/B/C/DQB1の各エキソンのPCR産物のシークエンシング結果のデータベースを構築する。得られたDNA配列を、IMGT HLA専門データベースにおけるHLA-A/B/C/DQB1の相応する各エキソンの配列データベースと対照を行い、配列の対照の結果が100%で合致しているものは、対応するサンプルのHLA- A/B/C/DQB1遺伝子型である。図18を参照して、1番目サンプルのHLA-C遺伝子座の第2エキソンの合意性配列の構築工程の断面図を例示的に説明することができる。あらゆる950個のサンプルにつき、得られたタイピング結果は、元の既知のタイピング結果と完全に合致している。その中の1〜32番目サンプルの具体的な結果は以下の通りである。
【表13-E】
【表13-F】
注:HLA-A/B/C遺伝子座のうちの第2、3、4エキソンの配列が完全に同じであるという結果が現れた場合、通常型をとる。
【0175】
本発明の技術的路線を採用して、950部の既知のHLA-SBTタイピング結果のサンプルに対して、HLA-A/B/C/DQB1遺伝子座の遺伝子タイピングを行う。その結果、本発明の技術的路線により得られたタイピング結果は元の結果と完全に一致していることを発見した。
【0176】
本発明の具体的な実施形態について詳細に説明しているが、当業者が理解できるように、開示されたあらゆる教示に基づいて、詳細な箇所に対して様々な補正や置換を行うことができる。これらの変更はいずれも本発明の保護範囲内のものである。本発明の全ての範囲は添付されている請求項及びその任意の同等物から提供されている。
【0177】
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図1
図2
図3
図4
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図7
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図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]