(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968892
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】ネットワークの自動試運転を行う方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/70 20130101AFI20160728BHJP
H04L 12/46 20060101ALI20160728BHJP
H04L 12/24 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
H04L12/70 100A
H04L12/46 M
H04L12/24
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-534421(P2013-534421)
(86)(22)【出願日】2011年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-544044(P2013-544044A)
(43)【公表日】2013年12月9日
(86)【国際出願番号】IB2011054534
(87)【国際公開番号】WO2012052890
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】10188455.9
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャンユー
(72)【発明者】
【氏名】レルケンス,アルマント ミシェル マリー
(72)【発明者】
【氏名】ドラーイエル,マウリセ ヘルマン ヨハン
【審査官】
森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−503307(JP,A)
【文献】
特開2008−182445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
H04L 12/24
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク装置を有するネットワークの自動試運転を行う方法であって、各装置は装置識別子により特徴付けられ、前記装置はデータパケットを交換するように構成され、前記方法は、
前記ネットワークの装置の物理的ロケーション記述子を含む、前記ネットワークのコンピュータ読み取り可能設置プランを取得するステップ;
前記装置間で交換されたデータパケットに基づき、前記装置により与えられるネットワーク記述情報から、前記ネットワークのネットワークトポロジを推論するステップ;及び
前記推論したネットワークトポロジを前記設置プランと比較して、どの装置識別子が物理的ロケーション記述子と関連するか推論するステップ、を有し、
前記ネットワークのネットワークトポロジを推論するステップは、どの装置が配線されているかを識別するステップを有する、方法。
【請求項2】
ネットワーク記述情報は、前記装置間で交換されたデータパケットに基づき、前記ネットワークの装置により集積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
データパケットを受信した前記装置により集積された前記ネットワーク記述情報は、装置識別子のリストを含み、前記リストの各装置識別子は、前記受信した装置により受信された前記データパケットを送信した装置を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
データパケットを受信した前記装置により集積された前記ネットワーク記述情報は、ポート識別子のリストを含み、前記リストの各ポート識別子は、前記受信した装置により受信された前記データパケットを装置が送信したポートを示す、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
装置により集積されるネットワーク記述情報は、データパケットを送信した前記装置から前記データパケットが送信された瞬間と、前記データパケットを受信した前記装置により前記データパケットが受信された瞬間との間の経過時間を含む、請求項2ないし4いずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
データパケットを送信した前記装置により送信される前記データパケットは、前記データパケットを送信した前記装置のポートのポート識別子及び/又は前記データパケットを送信した前記装置の装置識別子を含む、
請求項1ないし5いずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
データパケットは一つの装置のみにより受信され消費される、
請求項1ないし6いずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記データパケットを受信した前記装置は前記データパケットを送信した前記装置にすぐ隣接する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ネットワークトポロジを推論するステップは、前記装置により提供される前記ネットワーク記述情報を分析して、前記ネットワークの各装置の隣接装置を特定するステップを有する、請求項1ないし8いずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
複数のネットワーク装置を有するネットワークを自動的に試運転する試運転システムであって、各装置は装置識別子により特徴付けられ、前記装置はデータパケットを交換するように構成され、前記試運転システムは、
前記ネットワークの各装置の物理的ロケーション記述子を含む、前記ネットワークのコンピュータ読み取り可能設置プランを提供するように構成されたソース;
前記装置により提供されるネットワーク記述情報を集積するように構成された装置制御インタフェース;
前記提供されたネットワーク記述情報から前記ネットワークのネットワークトポロジを推論するように構成されたトポロジディスカバリ部;及び
前記推論したネットワークトポロジを前記設置プランと比較して、どの装置識別子が物理的ロケーション記述子と関連するか推論する試運転部、を有し、
前記トポロジディスカバリ部は、どの装置が配線されているかを識別する、試運転システム。
【請求項11】
前記装置制御インタフェースは、前記ネットワークの装置を制御してデータパケットを交換するように構成された、請求項10に記載の試運転システム。
【請求項12】
前記装置制御インタフェースは、有線ネットワークの、好ましくはイーサネット(登録商標)ネットワークの装置を制御するように構成された、
請求項11に記載の試運転システム。
【請求項13】
前記装置制御インタフェースは、ブリッジルータを有する装置を制御するように構成され、及び/又はインターネットプロトコルルータを有する装置を制御するように構成された、請求項10または12に記載の試運転システム。
【請求項14】
装置識別子と、その装置識別子に関連する装置の物理的ロケーション記述子とを、制御システムに供給する制御システムインタフェースを有する、
請求項10ないし13いずれか一項に記載の試運転システム。
【請求項15】
請求項10ないし14いずれか一項に記載のプログラム可能試運転システムのプロセッサで実行されると、前記プロセッサに請求項1ないし9いずれか一項に記載の方法のステップを実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの自動試運転を行う方法と、ネットワークの自動試運転をする試運転システムとを説明する。
【背景技術】
【0002】
多くの階と多くの部屋を有する多くの商業、公共又は産業用ビルディングは、照明、換気、空調などを制御する制御システムを利用している。ネットワーキング機能を有する照明器具、照明スイッチ、照明センサ、サーモスタットなどの装置は、集中的かつ自動的に制御できる装置ネットワークの一部としてインストールできる。大型のオフィスビルや病院などの一般的なビルでは、装置ネットワークは数百数千の装置やノードを有している。
装置は無線であり、好適な無線プロトコルを用いて通信できる。イーサネット(登録商標)ネットワークなどの有線ネットワークでは、隣接する装置は、ツイストペア線や同軸ケーブルなどの好適なコネクタを用いて物理的に配線されている。ネットワークの「枝」は、順番に配線された複数の装置を指す。
【0003】
かかる有線ネットワークをセットアップするため、所定の計画に従って、最初に装置が配線される。例えば、一群の照明器具を、例えば一部屋のすべての照明器具を、光センサとデイジーチェーン構成で配線できる。各照明器具とセンサは簡単なブリッジとして、すなわち2つのポートのみを有するブリッジとして実現できる。一群の照明器具中の一照明器具を、例えばその部屋の外の廊下にある「スイッチ」又はハブと配線できる。ここで、「スイッチ」との用語は「照明スイッチ」その他のマニュアルスイッチと混乱してはならず、マルチポートブリッジの文脈で用いている。次に、ハブを他のハブやブリッジに配線できる。装置が接続されるべき順序は、AutoCADなどのプログラムを用いて生成されたプランで通常は指定される。電気技師は、配線を行うとき、このプランを参照できる。有線ネットワークは、分岐(接続配線)により接続された複数のノード(装置)を有する。それによりノードは、ネットワークの分岐に沿ってメッセージ(データパケット)を送受信できる。
【0004】
通常、ネットワークの照明器具やセンサなどは、サーバ上で実行される好適な制御システムにより制御され、装置は制御システムにより個別的に又は集合的に制御される。先行技術の専用照明制御システムの例は、照明の制御用のデジタルアドレサブル照明インタフェース(DALI、digital addressable lighting interface)などの標準に基づいて動作する。ビルの賃借人や管理者の願い通りに装置を正しく制御するために、制御システムは、どの装置がビル内のどの物理的場所に配置されているか知らなければならない。
例えば、ある階のある部屋の照明のスイッチをオン又はオフできるためには、制御システムはどの照明がその部屋に配置されているか知らなければならない。制御システムにこの情報を与えることは、「試運転(commissioning)」と呼ばれる。これは、パワーケーブルとデータケーブルの電気的設置が完了した後に行われる。残念ながら、試運転を行う既知の方法は、多くのマニュアル入力を必要とし、時間がかかり、人手がかかり、間違いが発生しやすい。実際、DALIシステムなどの先行技術の照明制御システムの試運転は、システムのトータルコストの1/3を占めることもある。
【0005】
それゆえ、本発明の目的は、ネットワークを試運転する信頼性がより高く、コストエフェクティブな方法を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、ネットワークの自動的試運転を実行する請求項1に記載の方法と、請求項10に記載の試運転システムとにより達成される。
【0007】
本発明によれば、複数のネットワーク装置を有するネットワークを自動的に試運転する試運転システムであって、各装置は装置識別子により特徴付けられ、前記装置はデータパケットを交換するように構成され、該方法は、前記ネットワークの各装置の物理的ロケーション記述子を含む、前記ネットワークのコンピュータ読み取り可能設置プランを取得するステップ;前記装置により提供されるネットワーク記述情報から前記ネットワークのネットワークトポロジを推論するステップ;及び前記推論したネットワークトポロジを前記設置プランと比較して、
装置識別子に物理的ロケーション記述子を割り当てるステップ、を有する。
【0008】
ネットワークデバイスのコンテクストにおいて、「データパケットを交換する」能力は、ネットワークの装置がデータパケットを送信又はブロードキャストでき、データパケットを受信できることを意味する。送信されるデータパケットは、ある装置に送信されてもよいし、それを受信できるすべての装置にブロードキャストしてもよい。装置の装置識別子は、ネットワークの装置を特定する任意の好適な手段であり、例えば、その装置に一意的であり、その装置をそのデータパケットの発信者(originator)としてマークするためにその装置によりブロードキャスト又は送信される任意のデータパケットに含まれ得るコードである。同様に、目標装置の装置識別子は、その目標装置の「アドレス」として、データパケットに含まれ得る。コンピュータ読み取り可能設置プランは、任意の好適な機械読み取り可能フォーマットであり、AutoCADなどの任意の好適なコンピュータ支援製図プログラムで生成できる。装置の物理的ロケーション記述子は、その装置の物理的ロケーションを示す英数字のシーケンスなどの任意の好適なタグ又はコードであり、例えばビルのレベル、部屋番号、及びその装置のその部屋に置ける位置を示す英数字シーケンスである。本発明による方法の利点は、装置により提供されるネットワーク記述情報を完全に自動的に分析して、ネットワークトポロジを推論又はディスカバリでき、設置プランとともに、各装置の物理的ロケーション記述子を容易かつ素早く特定できることにある。このように、ネットワークの各装置は、その一意的な物理的ロケーション記述子とマッチさせることができる。換言すると、本発明による方法を用いて、労働集約的かつコストがかかる手作業による入力をせずに、完全に自動的に試運転を行うことができる。次に、この情報を用いて、例えばシステムコントローラにより、ユーザの要求に応じてネットワークの装置を制御できる。
【0009】
本発明によれば、複数のネットワーク装置を有するネットワークを自動的に試運転する試運転システムであって、各装置は装置識別子により特徴付けられ、各装置はデータパケットを送受信するように構成され、該試運転システムは、前記ネットワークの各装置の物理的ロケーション記述子を含む、前記ネットワークのコンピュータ読み取り可能設置プランを記憶するメモリ;前記ネットワークの各装置の装置識別子を格納する装置データベース;前記装置により提供されるネットワーク記述情報を入力するデータ入力部;前記提供されたネットワーク記述情報から前記ネットワークのネットワークトポロジを推論するトポロジディスカバリ部;及び前記推論したネットワークトポロジを前記設置プランと比較して、
装置識別子に物理的ロケーション記述子を割り当てる試運転部、を有する。
【0010】
本発明による試運転システムは、特定のネットワーク標準や装置制御インタフェースとの利用に限定されないので、本試運転システムは、有利にも、既成の(commercial off-the-shelf)機能を用いて、ネットワークを試運転できる。
【0011】
従属項と以下の説明とは、本発明の特に有利な実施形態と特徴を開示している。実施形態の特徴を必要に応じて組み合わせて、さらに別の実施形態とすることもできる。
【0012】
各装置はデータパケットの送受信を両方ともできるが、以下では、説明の便宜上、データパケットを受信した装置を「受信装置」と呼び、データパケットを送信又はブロードキャストした装置を「送信装置」と呼ぶ。このような装置は、それに組み込まれたネットワークインタフェースカード(NIC)を介してデータパケットを送信又は受信できる。データパケット、コマンド、又はメッセージは、通常、送信装置により、所定のフレーム構造でコンパイル(compile)され、受信装置は、フレームの始めと終わりを検出して、そのフレームの情報フィールドを抽出することができる。
【0013】
好ましくは、試運転システムの装置制御インタフェースは、有線ネットワークの装置を制御するように構成されている。例えば、装置は、好ましくは、イーサネット(登録商標)とTCP/IPのネットワークで配線される。
【0014】
フレームベースのローカルエリアネットワークなどのネットワークの装置は、通常、データパケットやフレームを送受信できる。それゆえ、本発明の好ましい実施形態では、ネットワーク記述情報は、これらの装置により送受信されたデータパケットに基づいて、ネットワークの装置により集積される。
【0015】
ネットワーク中の装置は、通常、その
装置識別子により、少なくともそのネットワーク中では一意的に識別されるので、本発明の好ましい実施形態では、受信装置により集積されたネットワーク記述情報は、装置識別子のリストを含む。そのリストに入れられた各装置識別子は、受信装置により受信されたデータパケットをブロードキャストした装置を示す。このように、各受信装置は、それが一又は複数のデータパケットを受信した装置識別子のリストをコンパイル又はアセンブルできる。実際、かかるリストは、受信装置がデータパケットを転送もできる装置を示し、「フォワーディングテーブル」とも呼ばれる。装置識別子は、少なくともそのネットワークにおいてその装置を一意的に識別する任意の好適なコードであってもよく、例えば128ビットインターネットプロトコルアドレス(IPアドレス)や48ビットメディアアクセスコントロールアドレス(MACアドレス)などである。当業者には言うまでもなく、かかるアドレスは、装置のファームウェアに、又はそのネットワークインタフェースカードに、装置のリードオンリーメモリ中に、永続的に格納できる。
【0016】
ネットワークの装置は、2ポートのルータ又はブリッジでもよく、各ポートにおいてデータパケットを送受信できる。もちろん、ネットワークの装置は、あるポートによりデータパケットをルーティングできるマルチポートのブリッジやハブでもよい。かかるルータやスイッチの場合、各ポートもそのポート識別子やポート番号により一意的に識別される。それゆえ、本発明の好ましい実施形態では、受信装置により集積された前記ネットワーク記述情報は、ポート識別子のリストを含み、前記コンパイルされたリストの各ポート識別子は、その受信装置により受信されたデータパケットを送信装置がブロードキャストしたポートを示す。換言すると、受信装置の各ポート番号について、受信装置は、そのポートで受信したメッセージを送信した装置の装置識別子と、送信装置がそのメッセージを送信したポートのポート番号とをリストする。このリスト又はテーブルは「接続性テーブル」と呼ぶ。かかる情報を収集して用いることができる装置は、「ラーニングブリッジ」と呼ぶ。
【0017】
ネットワークの装置は、IPルータ機能のみを有していてもよい。それゆえ、本発明の好ましい実施形態では、装置により収集されたネットワーク記述情報は、その装置に対する他のIPルータの距離を求める(deduce)するのに使える情報を有する。例えば、装置に接続された他のIPルータに関するネットワーク記述情報を収集するため、その装置は、目標装置に好適なメッセージをブロードキャストして、その目標装置からメッセージが返されるのにかかる時間をトラッキングできる。目標装置までの道のりにおいて、一IPルータから他のIPルータまでにかかる時間も好ましくはトラッキングされる。例えば、装置は、ある装置識別子を目標として指定した「トレースルート(traceroute)」メッセージコマンドを発行できる。メッセージは、それが目標装置に到達するまで、各IPルータにより転送される。経路中の各装置は、そのタイムスタンプをメッセージボディに含める(enter)。目標装置は、メッセージが届くと、タイムスタンプを含め、そのトレースルートコマンドを発信元装置に返す。発信元装置はタイムスタンプ情報を抽出する。目標装置に届かなければ、タイムアウトとなり、この情報は発信者に返される。ネットワーク記述情報は、メッセージが届いた各IPルータの「経過時間」を含んでいてもよい。例えば、目標装置に対するトレースルートコマンドが、成功裏に配信されて、他の2つの中間介在装置を通して転送された後、発信者に返された場合、メッセージが目標装置に到達するのに係る時間は、中間介在装置に到達するのにかかる時間より長い。同様に、メッセージが第2の中間介在装置に到達するのにかかる時間は、第1の中間介在装置に到達するのにかかる時間より長い。発信元の装置により収集されたネットワーク記述情報から、目標装置は、中間介在装置より発信者から遠くにあり、第2の中間介在装置は第1の中間介在装置より発信者から遠いということが結論できる。例えば、上記の測定や較正により、データパケットがイーサネット(登録商標)ネットワークの有線接続に沿って、一装置から他の装置にルーティングされるのにかかる時間に関する情報が得られる。データパケットの転送遅延時間は、一般的には、約0.1ミリ秒である。すなわち、パケットが一装置から次の装置に転送されるのに約0.1ミリ秒かかる。この情報を用いて、ネットワークの装置により提供されるコンパイルされたトレースルートリストとともに、トポロジディスカバリ部は、ネットワーク中の装置間の物理的距離の合理的推定ができ、それを用いてネットワークトポロジを推論(deduce)できる。
【0018】
ネットワークの装置は、必ずしもルーティング機能を有する必要はない。その代わり、装置は、データパケットのメッセージを送受信する単一のポートを備えているだけでもよい。かかる装置は、例えばIPアドレスなどの、そのネットワークの一意的なアドレスにより識別できる。その装置により返されたメッセージは、そのIPアドレスを含み、それゆえその装置がメッセージを受信して返したことを示す。それゆえ、本発明のさらに好ましい一実施形態では、装置により収集されるネットワーク記述情報は、データパケットがルータ(ネットワークの任意のブリッジ、スイッチ、又はハブ)により目標装置にブロードキャストされた瞬間又はタイムスタンプと、データパケットが(IPアドレサブル目標装置により返されて)発信元装置により受信された瞬間との間の経過時間を含む。例えば、ルータはそのポートからpingメッセージコマンドを発行でき、返されたメッセージを収集して、その返されたメッセージからIPアドレスとタイムスタンプ情報を抽出できる。このように、スイッチやハブは、そのポートに接続されたIPアドレサブル装置からネットワーク記述情報を容易に集積又は収集できる。発信元装置により収集されたネットワーク記述情報を分析することにより、発信元装置に対するIPアドレサブル装置の距離は、ネットワークディスカバリステップで求める(deduce)ことができる。
【0019】
ネットワーク記述情報の収集を目的として送信装置により送信されるデータパケットは、好ましくは、受信装置の機能に応じてアセンブルされる。
本発明の好ましい一実施形態では、メッセージルーティング機能を有する装置の場合、送信装置によりブロードキャストされるデータパケットは、前記データパケットがブロードキャストされたその送信装置のポートのポート番号及び/又はその送信装置の装置識別子を含む。
【0020】
イーサネット(登録商標)TCP/IPなどの好適なローカルエリアネットワークプロトコルを用いて通信するように構成されたネットワークにおいて、装置間でメッセージを交換できる。それゆえ、本発明の好ましい一実施形態では、データパケットは1つの受信装置によってのみ受信され消費される。かかるデータパケットは、IEEE MACブリッジ標準(IEEE802.1D)標準に基づくネットワークにおけるBPDU(Bridging Protocol Data Unit)を含む。BPDUは、一ルータから次のルータに送られ、なかんずく、送信装置の装置識別子と、そのBPDUが送信された送信装置のポート番号とを含む。BPDUメッセージは、一装置から送信され、すぐ隣接する装置により「消費(consume)」される。すなわち、BPDUメッセージが送信された送信装置のポートに接続された装置は、そのメッセージを受信するが、それの転送はしない。BPDUメッセージは、送信装置の装置IDと、そのメッセージが送信されたポートを識別するポート識別子とを含むので、受信装置は、それの各ポート識別子のエントリーを有するテーブルを容易にコンパイルでき、各エントリーは装置IDとそのすぐ隣接する装置のポート識別子とにより増される。イーサネット(登録商標)ネットワークでは、各装置は、有するポートと同じだけ直接隣接装置を有することができる。例えば、2つのポートを有するルータは、多くとも2つの直接隣接装置(immediate neighbours)を有すことができる。それゆえ、かかるネットワークにおいてルータにより収集されるネットワーク記述情報は、好ましくは、ポート番号と、各ポートの直接的隣接装置の装置IDとを含む接続性テーブルを含む。
【0021】
ネットワークの装置(ブリッジ、IPルータ、又はIPアドレサブル装置など)により収集されるネットワーク記述情報により、どの装置が配線(wired together)されているかに関する情報を直接的又は間接的に配信できる。それゆえ、本発明の好ましい一実施形態では、前記ネットワークトポロジを推論するステップは、前記装置により提供される前記ネットワーク記述情報を分析して、前記ネットワークの各装置の隣接装置を特定するステップを有する。例えば、一又は複数の好適なアルゴリズムは、接続性テーブル及び/又はフォワーディングテーブル及び/又はトレースルート結果及び/又はping結果などを処理して、ネットワークトポロジを求めることができる。かかるアルゴリズムは、プログラマブル試運転システムのプロセッサにおいて実行できる。アルゴリズムの選択は、ネットワークの装置の機能と、集積されたネットワーク記述情報の質とに応じて決まる。ネットワークの特性はトポロジの決定を支援できる。例えば、ルートブリッジは、比較的容易に識別できる。その接続性テーブル又はフォワーディングテーブルは、ネットワークの装置のすべての装置識別子を含むからである。
同様に、マルチポートブリッジも短時間で識別できる。マルチポートブリッジは、一般的に、各ポートに対して装置識別子のリストを有するからである。対照的に、デイジーチェーンの終端装置の接続性テーブル又はフォワーディングテーブルは、ポートの1つに対する装置識別子のリストしか有しない。ネットワークトポロジは、ディスカバリされると、どの装置識別子(及び、その装置)が物理的ロケーション記述子と関連するか推論(deduce)するため、設置プランと比較される。
【0022】
ネットワーク記述情報の収集を目的としてデータパケットの交換を開始するため、本発明の試運転システムは、好ましくは、データパケットをブロードキャストするようにネットワークの装置を制御する装置制御インタフェースを有する。装置制御インタフェースは、ユーザの希望に応じてネットワークの装置を制御するのに用いられるものと同じインタフェースである。この装置制御インタフェースは、好適な時に、例えば配線が完了した時に、適切な数のコマンドを発行して、装置に(その機能に応じて)BPDUメッセージやトレースルートメッセージなどのデータパケットを交換させることができる。また、装置制御インタフェースは、集積又はコンパイルしたネットワーク記述情報(フォワーディングテーブル、接続性テーブル、トレースルート時間結果、ping時間結果など)を試運転システムに提供するように、装置を制御できる。
【0023】
ネットワークは様々な機能の程度を有する装置を有し、例えばネットワークは古い装置と、それより進歩した装置とを有することがあるので、装置制御インタフェースは、好ましくは、ルータを含む装置を制御し、及び/又はルータを含まない装置を制御するように構成される。このように、ラーニングブリッジ、及びIPアドレサブルであるがラーニング機能は無い装置など、より初歩的な装置を制御できる。
【0024】
ルータの機能には違いがあり、例えばあるタイプのルータはラーニングブリッジであり、フォワーディングテーブルやさらに進んで接続性テーブルをコンパイルできるが、他のタイプのルータはメッセージを転送できるだけであるので、本発明による試運転システムの装置制御インタフェースは、ブリッジルータを含む装置を制御し、及び/又はインターネットプロトコルルータを含む装置を制御するように構成されている。
【0025】
試運転システムは、すべてのネットワーク記述情報を収集し、これを分析してネットワークトポロジをディスカバリし、求めたネットワークトポロジを設置プランと比較し、各装置識別子の物理的ロケーション記述子を決定すると、好ましくは、これをネットワークの制御システムに知らせ、ネットワークの装置がユーザの希望に応じて制御できるようにする。それゆえ、本発明の試運転システムは、好ましくは、制御システムに、装置識別子と、関連装置の物理的ロケーション記述子とを供給する好適なインタフェースを有する。
例えば、試運転システムは、装置識別子のリストを有するデータベースをコンパイルし、各装置識別子を物理的ロケーション記述子とペアにする。このリストはいろいろな方法で構成できる。例えば、ある部屋の各照明器具の物理的ロケーションを、装置識別子と関連させて、リスト中でグループ化してもよい(かかるグループの照明器具は集合的にアクティブ化されることが通常だからである)。例えば、照明制御システムは、提供された情報を用いて、照明を適宜アクティブ化又は制御できる。もちろん、ネットワークも、制御システムにより制御される装置に含まれないスタンドアロンのブリッジやルータを有してもよい。例えば、照明制御システムは、照明に直接関連する装置のみを、例えば照明装置とそれを制御するスイッチのみをアドレッシングしてもよい。ネットワーク中の他のルータは、他の制御システムにより制御できる。例えば、ヒーティング制御システムに、ビルのサーモスタットの物理的ロケーション記述子と装置識別子のリストを設けてもよい。アクセス制御システムに、ビルのドアを制御するトランスポンダや指紋読み取り器の物理的ロケーション記述子と装置識別子のリストを設けてもよい。
【0026】
本発明の他の目的及び特徴は、添付した図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、明らかとなるであろう。しかし、言うまでもなく、図面は例示のみを目的としたものであり、本発明の限定を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】機械読み取り可能設置プランを示す図である。
【
図3】ネットワークディスカバリ前のネットワークの装置を示す図である。
【
図5】
図3のネットワークの装置により集められたネットワーク記述情報を示す図である。
【
図6】ネットワークディスカバリ後の
図3のネットワークを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による試運転システムを示すブロック図である。 図中、同じ数字は同じものを指す。図の要素は必ずしもスケール通りに描いたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、部屋70が廊下71に沿ってあるビルのフロアプラン7を示す。各部屋70には複数の照明80と、例えば部屋70の照明レベルを検知する光センサ81とがある。さらに、照明は廊下71にも配置されている。照明器具80と光センサ81は、ビルの照明制御システムにより制御可能である。このため、各照明器具80とセンサ81にはルータが組み込まれている。このルータは、適切であれば、単純な2ポートブリッジ10又はマルチポートブリッジ11又はスイッチ11である。例えば、部屋70の照明器具80には単純な2ポートブリッジ10が組み込まれており、廊下71の照明器具には、3以上の方向にコマンドをパスするスイッチ11が組み込まれている。各ブリッジ10、11は、その照明器具80又は81へのパワーサプライを制御するように実現でき、ビルの照明器具80とセンサ81が照明制御システムにより個別的に及び/又は集合的に制御できるようになっている。
【0029】
ブリッジ10、11は、
図2に示した設置プラン3に従ってイーサネット(登録商標)ネットワークで配線(wired together)されている。設置プラン3は、フィッティング(fitting)のペア間に形成する配線接続32を示す。フィッティングはこの例では照明器具又はセンサである。フィッティングは、照明器具記号30、33とセンサ記号34などのように、適切な記号30、33、34により示されている。各配線接続は、ポート記号35により示されているように、ルータのポートで終端されている。ルートブリッジは適切な記号36により設置プラン3に示されている。各フィッティングは物理的ロケーション記述子31により識別される。物理的ロケーション記述子31は、この場合、各フロア、部屋、フィッティングの番号よりなるコードを含む。例えば、第2フロアの第3部屋にある、右側の、ドアから最も遠い照明器具は、ASCII文字シーケンス「2.3.8」を含む物理的ロケーション記述子31により識別できる。もちろん、これは単なる例であり、説明を簡単にするため、図には少数の物理的ロケーション記述子のみを示している。プラン3によると、各部屋70のブリッジ10はデイジーチェーンで配線され、各部屋のブリッジ10のうちの1つは、廊下71のスイッチ11に配線されている。廊下71のスイッチ11もデイジーチェーンで配線されている。このように、制御されるべき装置はすべて、ネットワークに配線(wired together)され、ルートブリッジは照明制御システムに接続される。配線が完了すると、ネットワークはパワーを供給され、ネットワークトポロジディスカバリ段階に入る。
【0030】
最初、試運転システムは、
図3に示したように、ネットワークのノード又は装置の間の個別の配線接続に関する情報を有していない。
図3は、ネットワークディスカバリが実行される前の、ネットワークNの装置D1、...、D25を示している。
【0031】
図4は、2つのポート15を有するブリッジルータ10を示すブロック図である。ブリッジ10は、そのブリッジ識別子14により、そのネットワーク中で一意的に識別される。ブリッジ識別子14は、メモリ101に、例えばネットワークインタフェースカードのメモリに、記憶できる。同様に、ブリッジ10の各ポート15は、そのポート識別子により識別される。メッセージは、有線接続72に沿って隣接する装置から受信又は隣接する装置へ送信できる。ブリッジ10の処理部10は、受信したメッセージを分析し、送信するメッセージをアセンブルするように実現される。処理部100は、受信したメッセージの内容に応じて、それが組み込まれているフィッティングも制御できる。例えば、好適な信号102により、フィッティングをパワーサプライ(図示せず)に接続したり切断したりできる。ブリッジ10は、受信したメッセージから抽出した情報に基づき、他の装置との接続性に関するネットワーク記述情報40、41、42、43を収集できる。収集したネットワーク記述情報40、41、42、43の性質は、ブリッジの構成や機能に依存するものであってもよい。例えば、ラーニングブリッジ10は、接続性テーブル40及び/又はフォワーディングテーブル41をコンパイルできる。ラーニングブリッジ又はIPルータは、トレースルートリスト42をアセンブルできる。ブリッジ10は、装置10からネットワーク中の他の装置に送信されたpingメッセージの往復時間を示すpingテーブルをコンパイルすることもできる。装置がどのように配線されているか判断するため、装置制御インタフェースは、ルートブリッジに始まり、システムを伝搬される適切なコマンドを発行する。各ブリッジはメッセージを受信したりメッセージを送信したりできる。例えば、好ましいアプローチにおいて、装置制御インタフェースは、装置に、ブリッジ管理用のマルチキャストアドレスである宛先アドレス01:80:C2:00:00:00とBPDUメッセージを交換させることができる。このメッセージは、隣接する装置により受信される。隣接する装置は、そのメッセージがどのポートに届いたか記録する。受信装置は、所定時間待ち、各ポートからBPDUメッセージを発行する。やがて、ネットワークの各装置は、BPDUメッセージを発行し、受信し、各隣接装置からの装置識別子及びポート識別子情報をコンパイルする。もちろん、装置制御インタフェースが装置にフォワーディングテーブルをコンパイルさせ、又はトレースルートメッセージやpingメッセージを発行させる、説明したその他の手法を用いることもできる。
【0032】
図5は、
図3のネットワークの装置により集められたネットワーク記述情報40、41、42、43を示す図である。例えば、装置D2は接続性テーブル40をコンパイルしている。接続性テーブル40の各行は、装置D2のポート識別子のフィールド401と、隣接装置識別子402のフィールド402と、隣接装置の対応ポートのポート識別子のフィールド403とを有する。説明を簡単にするため、以下では、装置識別子は図で用いた装置参照番号により示すが、実際には、装置識別子はIPアドレスやMACアドレスを含む。この例では、装置D2のポート#1は装置D1のポート#1に配線され;装置D2のポート#2は装置D9のポート#2に配線され;装置D2のポート#3は装置D3のポート#2に配線されている。この接続性テーブル40から、ネットワークトポロジディスカバリ部は、装置D2が装置D1、D9、D3と隣接したマルチポートブリッジにちがいないと結論づけることができる。
【0033】
装置D10はフォワーディングテーブル41をコンパイルしている。フォワーディングテーブル41の各行は、装置D10のポートのポート識別子のエントリー411と、そのポートで受信したメッセージを送信した装置識別子のリストのエントリー412とを有する。この例では、ポート#2において、装置D10は装置D11、D12、D13からメッセージを受信している。ポート#1において、装置D10は、装置D9、D1−D3、D4−D9、D11−D25からメッセージを受信している。この接続性テーブル40から、ネットワークトポロジディスカバリ部は、装置D10が2ポートブリッジであり、その2ポートブリッジD10の後にあるのは3つの装置のみであると結論することができる。
【0034】
装置D1はトレースルートテーブル42をコンパイルしている。トレースルートテーブル42の各行は、装置識別子のエントリー421と、隣接装置を介して目標装置までのパスにおけるメッセージによる集積時間のエントリー422とを有する。この例では、装置D1は装置D7にトレースルート(traceroute)メッセージを送信している。中間にある各装置はメッセージにタイムスタンプを入れている。完了したメッセージはD1に返される。D1はトレースルートテーブル42をコンパイルできる。この例では、トレースルートメッセージは、装置D1に返される前に、装置D4に到達するのに0.3msかかり、装置D5に到達するのに0.6msかかり、装置D6に到達するのに0.9msかかり、装置D7に到達するのに1.2msかかっている。このトレースルートテーブル40から、ネットワークトポロジディスカバリ部は、装置D4が装置D1に最も近く、装置D5が次に近いなどのことを結論できる。
【0035】
装置D8はpingテーブル43をコンパイルしている。pingテーブル43の各行は、装置識別子のエントリー431と、pingメッセージが装置D8に変えるのにかかる時間のエントリー432とを有する。説明を簡単にするために、完了した2つの行のみを示した。この例では、装置D5を目標としたpingメッセージは、装置D5から返るのに0.9msかかっている。装置D1を目標としたpingメッセージは、装置D1から返るのに1.2msかかっている。それゆえ、pingテーブル43は、装置間の相対的な「距離」の表示を与える。フォワーディング遅延が約0.1msであることが分かると、ネットワークトポロジディスカバリ部は、装置D8の観点から、装置D1はネットワークの分岐に沿って装置D5よりも遠くにあることを推論できる。もちろん、pingテーブル43の情報は、接続性テーブル40やフォワーディングテーブル41よりもすぐに有用であるとは言えないが、IPアドレサブルというだけで、自機ではネットワーク記述情報をコンパイルできない装置のネットワークにおける位置の決定に用いることができる。
【0036】
図6は、装置D1−D25により収集されたネットワーク記述情報40、41、42、43を用いてネットワークディスカバリを実行した後の、
図3のネットワークを示す。このようにディスカバリされたトポロジは、
図7のブロック図に示すように、本発明による試運転システム5により使用することができる。試運転システム5は、コンピュータ読み取り可能設置プラン3を格納するメモリ50を有する。このプランは、ネットワークNの配線された各装置の物理的ロケーション記述子31を含む。もちろん、設置プランは任意の好適なソース50により提供されてもよく、例えば、コンピュータのドライブに挿入されたCD又はDVDに格納されてもよい。装置制御インタフェース55は、ネットワークNのルートブリッジを介してそのネットワーク中の他の装置10、11、12、13に送信されるメッセージ又はフレームをアセンブルし、任意のメッセージ2を目標装置10、11、12、13にルーティングできるように、又はネットワークNのすべての装置10、11、12、13にブロードキャストされるように構成される。ネットワークディスカバリを開始するため、装置制御インタフェース55は、ネットワークNの装置10、11、12、13に、BPDUメッセージ2、トレースルートメッセージ2、pingメッセージ2などのメッセージを交換させる。これらのメッセージ2が装置10、11、12、13により交換されると、装置制御インタフェース55は、装置10、11、12、13に、それらがコンパイルしたネットワーク記述情報40、41、42、43を返させる。
この情報は、データ入力部51により返されたメッセージ2から抽出される。トポロジディスカバリ部53は、ネットワーク記述情報40、41、42、43を分析して、ネットワークトポロジTを決める。試運転部54は、ディスカバリしたネットワークトポロジTを設置プラン3と比較して、どの物理的ロケーション記述子31が装置識別子14と関連しているか判断する。例えば、
図1、
図2及び
図6を用いて、試運転部54は、装置D19−D24は
図1の大きな部屋の6つの照明であり、装置D24はデイジーチェーンの終端装置であり、物理的ロケーション記述子は「2.6.5」であることを推論できる。同様に、装置D1がロートブリッジD25に直接接続されていることを推論することは容易である。物理的ロケーション記述子と装置識別子のペアは、制御システム8に、例えば照明制御システム8に、好適な制御システムインタフェース56を通じて出力される。この制御システムは、その情報を用いて、ネットワークの装置を、ユーザの要求に応じて、個別に、グループで、又は集合的に制御できる。
【0037】
本発明を、図面と上記の説明に詳しく示し説明したが、かかる例示と説明は例であり限定ではなく、本発明は開示した実施形態には限定されない。図面、本開示、及び添付した特許請求の範囲を研究して、開示した実施形態のその他のバリエーションを、当業者は理解して実施することができるであろう。例えば、本発明による方法は、有線ネットワークの試運転の実行に理想的に適しているが、例えば、ネットワーク中の位置が短距離無線装置とその他の有線装置との間で交換されるメッセージで推論できるその短距離無線装置など、無線装置も考えることができる。
【0038】
説明を明瞭にするため、本出願では、「a」または「an」とは複数の場合を排除するものではなく、「comprising」とは他のステップや要素を排除するものではない。相異なる従属クレームに手段が記載されているからといって、その手段を組み合わせて有利に使用することができないということではない。請求項に含まれる参照符号は、その請求項の範囲を限定するものと解してはならない。