特許 5968906 パーソナルケア機器のための隠れたユーザインタフェースパネル及び当該パネルを作る方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5968906

(24)【登録日】2016年7月15日

(45)【発行日】2016年8月10日

(54)【発明の名称】パーソナルケア機器のための隠れたユーザインタフェースパネル及び当該パネルを作る方法

(51)【国際特許分類】

   A61C 17/22 20060101AFI20160728BHJP

【ＦＩ】

   A61C17/22 B

【請求項の数】14

【全頁数】8

(21)【出願番号】特願2013-546802(P2013-546802)

(86)(22)【出願日】2011年12月23日

(65)【公表番号】特表2014-501150(P2014-501150A)

(43)【公表日】2014年1月20日

(86)【国際出願番号】IB2011055927

(87)【国際公開番号】WO2012090140

(87)【国際公開日】20120705

【審査請求日】2014年12月19日

(31)【優先権主張番号】61/427,503

(32)【優先日】2010年12月28日

(33)【優先権主張国】US

(73)【特許権者】

【識別番号】590000248

【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ

【氏名又は名称原語表記】ＫＯＮＩＮＫＬＩＪＫＥ ＰＨＩＬＩＰＳ Ｎ．Ｖ．

(74)【代理人】

【識別番号】110001690

【氏名又は名称】特許業務法人Ｍ＆Ｓパートナーズ

(72)【発明者】

【氏名】ナザロフ ピーター ジョージ

(72)【発明者】

【氏名】ハーゲン ロナルド アラン

(72)【発明者】

【氏名】ジョンソン アーレン カール

(72)【発明者】

【氏名】ロー レイモンド

【審査官】 山内 康明

(56)【参考文献】

【文献】 特表２００９−５３４０８１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０００−２６８６５７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０００−３３８９０７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 米国特許出願公開第２０１０／００２４１４３（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 米国特許出願公開第２００２／００９２１０４（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ６１Ｃ １７／２２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

機器ハンドルと、歯を磨くためのブラシ部材を含むブラシヘッドアセンブリと、前記機器ハンドル内に取り付けられ、オンオフスイッチに応答して前記ブラシヘッドアセンブリの振動する動きを生じさせるドライブアセンブリであって、前記ブラシヘッドアセンブリの複数の動作モードを発生させ得る、前記ブラシヘッドアセンブリのためのドライブアセンブリと、モード選択部材と、インタフェースパネルを含む、前記機器ハンドルと一体のユーザインタフェースアセンブリとを有し、前記パーソナルケア機器がオフであるとき、前記インタフェースパネルは、前記インタフェースパネル上の表示が照明されず、ユーザの目に見えないようになっており、前記パーソナルケア機器がオンのとき、選択された動作モードに対応する前記インタフェースパネル上の表示が照明されユーザの目に見えるように、前記ユーザインタフェースアセンブリは構成され、前記機器ハンドルは半透明であり、その中に複数の照明素子を含み、前記インタフェースパネルは、光が通過することをブロックすることにより特徴づけられる第１の層と、前記パーソナルケア機器の前記複数の動作モードを表す表示を定める、前記第１の層を通るエッチングされた領域と、少なくともエッチングされた領域をカバーする、表示のため所望の色を供給する塗料の第２の層とを含み、前記第２の層が、一つ以上の前記照明素子により照明され、照明された表示はユーザに見える、パーソナルケア機器。

【請求項2】

前記照明素子がＬＥＤであり、各表示に対して一つのＬＥＤがある、請求項１に記載のパーソナルケア機器。

【請求項3】

これらＬＥＤが白色ＬＥＤである、請求項２に記載のパーソナルケア機器。

【請求項4】

前記インタフェースパネルに対する保護を提供するための透明な第３の層を含む、請求項１に記載のパーソナルケア機器。

【請求項5】

前記ユーザインタフェースアセンブリが前記機器ハンドル内に位置される、請求項１に記載のパーソナルケア機器。

【請求項6】

前記第１の層がグレイ又は黒塗料であり、前記第２の層が白塗料である、請求項１に記載のパーソナルケア機器。

【請求項7】

前記ＬＥＤが２つのレベルの輝度を持ち、一方のレベルが選択された表示を照明するためであり、前記一方のレベルより低い他方のレベルが選択されていない表示を照明するためである、請求項２に記載のパーソナルケア機器。

【請求項8】

各ＬＥＤの光を当該ＬＥＤに関連する表示へ実質的に限定する、前記ＬＥＤの周りにバッフル構造を含む、請求項２に記載のパーソナルケア機器。

【請求項9】

半透明ハンドルと、歯を磨くためのブラシ部材を含むブラシヘッドアセンブリと、前記半透明ハンドル内に取り付けられ、オンオフスイッチに応答して前記ブラシヘッドアセンブリの振動する動きを生じさせるドライブアセンブリであって、前記ブラシヘッドアセンブリの複数の動作モードを発生させ得るドライブアセンブリと、複数の光源とを持つパーソナルケア機器のためのユーザインタフェースパネルアセンブリであって、前記インタフェースパネルアセンブリは、インタフェースパネルを含み、前記透明ハンドルと一体であり、前記インタフェースパネル上の表示が照明されず、ユーザの目に見えないようになっている前記ユーザインタフェースパネルアセンブリを作るための方法であって、光が通過することをブロックすることにより特徴づけられる第１の層を前記半透明ハンドル内に設けるステップと、前記第１の層をエッチングするステップであって、当該エッチングが前記パーソナルケア機器の動作モードを表わす表示を定める当該エッチングするステップと、エッチングされた領域の上に表示のため所望の色を供給する塗料の第２の層を設けるステップとを有する、方法。

【請求項10】

前記第１の層がグレイ又は黒塗料である、請求項９に記載の方法。

【請求項11】

前記第２の層が白塗料である、請求項９に記載の方法。

【請求項12】

各光源の照明を当該光源に関連する表示へ限定するために各光源の周りにバッフル手段を供給する更なるステップを含む、請求項９に記載の方法。

【請求項13】

前記光源が個々のＬＥＤである、請求項９に記載の方法。

【請求項14】

前記第２の層の上に透明な保護層を付与する更なるステップを含む、請求項９に記載の方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、概して、電動歯ブラシ及び他のパーソナルケア機器に関し、より詳しくは斯様な機器用のユーザインタフェースパネルに関する。

【背景技術】

【0002】

通常、電動歯ブラシ及び他のパーソナルケア機器は、機器の様々な操作モードのユーザ制御及び関連する表示を供給するためのユーザインタフェースパネルを持つ。例えば、電動歯ブラシは、異なるブラシヘッド速度及び／又は振幅を含む幾つか異なる清掃モードを持つことができ、更にセットブラッシング時間、例えば２分の間、種々異なるモードの様々なシーケンスを持つことができる。一つ又は複数の制御ボタンは、通常、特定のモードを選択するために備えられ、選択されたモードのパネル表示は、通常、照明されるか、又はさもなければ歯ブラシが動作しているモード（選択されたモード）のクリアな表示をユーザに提供するために強調される。

【0003】

ある機器は、デッドパネルとも呼ばれる隠れたインタフェースパネルを持つ。斯様なパネルを持つと、機器がオフのとき、パネルは完全にブランクになる。機器がオンのとき、パネルはモード表示で見える。これは、機器の魅力を増す。しかしながら、既存の隠れたパネルは、通常、構造的に複雑で、多くの種々異なる部品を必要とし、結果的に高価で製造に時間がかかる。これらは、本当の隠れたパネルの場合である。他は、機器がオフのとき、パネル表示は、ある程度まだ見えるので、見えにくくされたパネルとして、より正確に特徴づけられる。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

従って、比較的単純で製造するのに安価であり、比較的少ない部品又は素子しか必要としない歯ブラシのような機器の本当の隠れたインタフェースパネルを持つことが望ましいだろう。

【課題を解決するための手段】

【0005】

従って、機器ハンドルと、歯を磨くためのブラシ部材を含むブラシヘッドアセンブリと、ハンドル内に取り付けられて、ブラシヘッドアセンブリの振動する動きを生じさせるためのオンオフスイッチに応答する、ブラシヘッドアセンブリのためのドライブアセンブリと、モード選択部材と、インタフェースパネルを含む機器上のユーザインタフェースアセンブリとを有し、機器がオフであるとき、インタフェースパネルはブランクであり、機器がオンのとき、選択されたモードに対応するパネル上の表示が照明されユーザの目に見えるように、ユーザインタフェースアセンブリは構成され、ハンドルは半透明であり、その中に複数の照明素子を含み、インタフェースパネルは、光が進むことをブロックすることにより特徴づけられる第１の層と、機器のモード表示に対応するエッチングされた領域と、少なくともエッチングされた領域をカバーする第２の層とを含み、第２の層が、一つ以上の照明素子により照明され、照明された表示はユーザに見える、パーソナルケア機器と、そのインタフェースパネル部分の対応する製造方法とが、ここで開示される。

【図面の簡単な説明】

【0006】

【図1】図１は、歯ブラシがオフであるときの隠れたパネル歯ブラシを示す。

【図2】図２は、歯ブラシがオンであって、操作モードの１つが選択され、他の利用できるモードが選択されていないときの、隠れたパネル部分の正面図である。

【図3】図３は、隠れたパネルの断面を示している線図である。

【図4】図４は、幾つかの種々異なる可能なモードを持つハンドル用の照明素子周りのバッフル構造を示している平面図である。

【図5】図５は、図４のバッフル構造とＬＥＤライトの位置を示している断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0007】

図１は、一般に、駆動システム１４及びオンオフスイッチ１６を含むハンドル部分１２を含む、１０で示される歯ブラシを示す。細長いネック部２０及び歯を磨くためのブラシ部材２２を通常含むブラシヘッドアセンブリ１８が、着脱自在にハンドル１２に取り付けられる。ユーザインタフェースパネル２６を含むユーザインタフェースアセンブリ２４が、ハンドル１２に位置される。図１において、ユーザインタフェースパネル２６は、機器がオフのとき、隠れていて、すなわち「デッド」であり、機器がオンのとき、図２に示されるように特定の選択された操作モードで照明される。インタフェースアセンブリは、モード選択ボタン又はスイッチ素子２３を含む。

【0008】

ユーザインタフェースアセンブリ及びインタフェースパネルは、様々なアレンジメントを採用できる。歯ブラシに対して、インタフェースアセンブリ及びパネルは、ブラシ部材動作の振幅と周波数との特定の組合せにより通常特徴づけられる一連の清掃モード又は他のオーラルケアモードを表している使用表示を持つ。個々の表示又は指標は、言葉、シンボル又はこれら両方の形式であり得る。図２において、パネル２６は、２７で示される選択されたモード「クリーン」で明るく照明される一方、他のモード「ホワイト」、「センシティブ」及び「光沢」は選択されず、あまり照明されない。これは、隠れたパネルの単なる１つの例である。歯ブラシの多種多様なモード／操作のために、他の言葉／シンボルが、使用できる。他のパネル例は、図４に示される。パネル表示は、別々のＬＥＤ３１により照明され、これらはユーザに対する言葉を照明するのに十分に明るい。例えばモード「光沢」のため１つのＬＥＤが、図４に例示されている。個々のＬＥＤは、ＬＥＤの各々を囲むバッフルアレンジメント３０により離隔され、これは、各ＬＥＤによりできる照明をその関連するフロントパネル表示に限定する。このバッフルアレンジメントは、図４に例示される。バッフルアセンブリ３０は、プラスチックであり、その前面部が、図５に例示されるように、ハンドルの内部表面３２に接するように配置され、図５は、ＬＥＤを含んで、ハンドルの内面及びその周囲のバッフル構造から約５ｍｍで配置されるハンドルの内部構造を示す。この構造は、以下の段落で更に詳細に説明される。

【0009】

図３は、ユーザインタフェースアセンブリ／隠れたパネルの断面を示し、最終的な（完成品の）隠れたパネルだけでなく、また、ユーザインタフェース／隠れたパネルを製造する特定のプロセスも例示する。

【0010】

図３を参照すると、ユーザインタフェースパネル３０の領域内のハンドル４０は半透明であり、すなわち、ハンドル４０は、ハンドルの内部に配置されるＬＥＤからの光がハンドルを通じて輝くことを可能にする。実施例において、ハンドルは、プラスチックであり、ほぼ２．２ｍｍの厚さである。

【0011】

第１のステップにおいて、通常はグレイ又は黒である塗料４２の第１の層が付与される。色は、ハンドル内のＬＥＤ又は他の照明源からの光をブロック（阻止）するものでなければならない。示された実施形態のこの第１の塗料層は、１３μｍ±３μｍであり、マスク層と呼ばれる。

【0012】

第２のステップにおいて、パネルに対する所望のモード表示が、第１の塗料層４２にエッチングされる。他の手段も使用できるが、通常は、これはレーザーによりなされる。エッチングはハンドル４０の表面まで延在するので、光は、ソースＬＥＤ４５から、図３のエッチングされた領域４４を通って進むことができる。ＬＥＤは、様々な色であり得るが、通常は白色である。モード表示の例は、図２及び図４に示される。

【0013】

次の（第３の）ステップにおいて、第２の塗料層４６が、少なくともエッチングされた領域上に付与される。示された実施形態では、第２の塗料層は白色であるので、照明されたモード表示は白色にみえる。示された実施形態では、層４６は、ほぼ２５μｍ±５μｍの厚さである。複数の層が使用できるが、通常は、層４６は、単一の層である。塗料層４６は、色素を含むべきではなく、さもなければ、少なくとも幾らかの光が通過することをブロックされてしまったであろう。照明は、表示が容易に見えるのに十分な程、明るいことが望ましい。上記のように、白色の塗料が好ましいが、ライトピンク、黄色又は更に銀のような他の照明カラーも使用できる。

【0014】

第２の塗料層４６の上に、ポリウレタン又は同様の材料の透明なコート層４８が付与される。層４８は、パネルを摩耗から保護する。

【0015】

要約すると、パネルは、所望のモード表示でエッチングされた光ブロック塗料の基層と、表示のため所望の色を供給する塗料の第２の層と、最終的な保護コートとを含む。

【0016】

歯ブラシの任意の場所に位置できるユーザインタフェースパネル２６が、説明のため図１のハンドルに示され、複数の種々異なる操作モード表示が供給できる。パネルのための照明は、ハンドル内に配置され、ハンドルの内部表面から約５ｍｍ未満ぐらいで間隔を置かれる複数のＬＥＤ３１により供給される。通常は、モード表示当たり１つのＬＥＤがある。ＬＥＤは、通常は白色であるが、他の色もあり得る。ユーザインタフェースアセンブリは、また、各ＬＥＤからの光をそれぞれ、各ＬＥＤが照明する関連するモード表示を囲んでいる領域に限定するバッフルアレンジメント３０を含む。通常プラスチックであるバッフルアレンジメントは、１つのＬＥＤからの光が、隣接したモード表示に漏れ出たり、隣接したモード表示を少なくとも部分的に照明することを妨げる。バッフルアレンジメント３０は、高さ２、３ミリメートルであって、図４に示される構成を持ち、個々のバッフル区域４９が関連するＬＥＤを囲み、各区域４９が取付部分５１により隣接する区域に接続されている。示されている実施形態では、バッフルアレンジメント３０の各バッフル区域とこれらの関連するエッチングされた表示との間で、最小でも垂直方向に０．３ｍｍのクリアランスがあり、水平方向に０．２８ｍｍのクリアランスがある。

【0017】

操作時、歯ブラシがオフのとき、ハンドル内の全てのＬＥＤはオフであり、隠れたパネルは完全にブランクであって、全く見えない。歯ブラシがオンのとき、歯ブラシが実際に動作している選択されたモードが明るく照明され、他のモード（選択されていない）は全く照明されていないか低レベルで照明される。後者のアレンジメントでは、ユーザは、利用可能なモードの全てを見る機会を持ち、選択されたモードは他の表示より高いレベルの照明により容易に見える。このような場合には、ＬＥＤは、照明の２つの操作レベルを持つ。

【0018】

本発明の好ましい実施の形態が説明のために開示されたが、様々な変更、修正及び置換が、本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に組み込まれてもよいことは理解されるべきであり、これは以下の請求項により定められている。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】