(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968919
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】透明な容器の材料に分布する欠陥を検出するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20160728BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
G01N21/90 A
G01B11/06 H
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-553986(P2013-553986)
(86)(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公表番号】特表2014-506995(P2014-506995A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】FR2012050339
(87)【国際公開番号】WO2012110749
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年1月22日
(31)【優先権主張番号】1151363
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513207792
【氏名又は名称】エムエスセ エ エスジェセセ
【氏名又は名称原語表記】MSC & SGCC
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ルコント,マルク
(72)【発明者】
【氏名】バテレ,ギヨーム
【審査官】
横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−506111(JP,A)
【文献】
特開平06−201336(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0006352(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第00871007(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01795862(EP,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02195178(GB,A)
【文献】
特開2007−155393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(A)と、外周面(5)と内周面(6)との間で範囲が定められた壁(3)とを有する透明な容器(2)における、材料に分布する欠陥を検出するための検査方法であって、
一方で、前記中心軸(A)に応じて定められた前記容器の所定の高さに応じて重なり、かつ、他方で、前記容器の外周(hi)に応じて重なる検査領域(7)に分布した一連の検査ポイントを含み、
少なくとも一つの光ビーム(9)を、前記光ビームの一部(11)が前記壁の前記外周面(5)によって反射され、かつ前記光ビームの一部(12)が前記壁において屈折した後に前記壁の前記内周面(6)によって反射されるように前記容器の前記壁に対して特定の角度で送る工程と、
前記内周面(6)及び前記外周面(5)によって反射された前記光ビーム(12,11)をライトセンサ(16)に回収する工程と、
前記ライトセンサ(16)のレベルにおける、前記内周面及び前記外周面によって反射された前記光ビームの間の分離の関数として、前記壁(3)の厚みを各検査ポイント(hi)において測定する工程と、を備え、
前記厚みの測定値を、前記検査領域(7)において、前記壁(3)の表面の両方向に応じた前記厚みの測定値を考慮しながら、特定の厚みの臨界値より小さい前記厚みの測定値の分布を解析することによって処理して幾何学的特性を求め、前記厚みの測定値の前記分布の幾何学的特性としての前記厚みの測定値の前記分布の面積を考慮して、それらの幾何学的特性を、材料に分布する欠陥を前記容器が有するか否かを決定するための参照値と比較する工程とを備えることを特徴とする、
検査方法。
【請求項2】
前記厚みの測定値から求められた前記幾何学特性を、前記容器に呈される、材料に分布する欠陥のタイプを決定するための、材料に分布する欠陥の異なるタイプに対応する参照値と比較する工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記厚みの測定値の分布に基づく幾何学的特性として、長さ、幅、方向、真直ぐさ、振幅、及び/又は傾きを考慮する工程を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
パーティングラインがずれている欠陥の存在を特徴づける、前記厚みの測定値の分布の方向及び/又は真直ぐさを考慮する工程を備えることを特徴とする、請求項2及び3に記載の検査方法。
【請求項5】
前記厚みの測定値の分布の局所的かつ急な変化によってバブルタイプの欠陥を特徴づける、前記厚みの測定値の分布の方向を考慮する工程を備えることを特徴とする、請求項2及び3に記載の検査方法。
【請求項6】
鉛直軸(A)に応じて定められた前記容器の高さに応じて決定された長さを有する輝線を形成する光ビーム(9)を送る工程と、
前記鉛直軸(A)に応じて定められた前記容器の高さに応じた一連の検査ポイント(hi)を、それらのそれぞれに対して、前記内周面(6)及び前記外周面(5)によって反
射された光ビームを回収し前記壁の前記厚みを測定するように選択する工程と、
前記ライトセンサ(16)に関して前記容器(2)を回転盤で相対的に移動させる工程と、
前記容器(2)の相対的な移動増分ピッチを、それぞれの移動増分ピッチに対して、前記容器の前記高さに応じた異なる検査ポイント(hi)で前記壁(3)の厚みを決定する
ための操作を繰り返すように、選択する工程と、によって、
一連の検査ポイント(hi)に対して検査を実行する工程を備えることを特徴する、請
求項1に記載の検査方法。
【請求項7】
前記容器の前記高さに応じて、0.02mm〜5mmである検査ピッチに応じて、増分ピッチは、前記容器の外周に応じて、0.5mm〜5mmの大きさであるように、前記容器の前記高さに応じて、3〜50箇所の検査ポイント(hi)を選択する工程を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項8】
前記容器の肩部又は根元部のように異なる曲率半径を有する前記壁(3)の少なくとも1つの接続領域を覆うように、検査領域(7)に対応する前記容器の前記高さに応じて検査ポイント(hi)を選択する工程を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか
1項に記載の検査方法。
【請求項9】
前記外周面(5)及び前記内周面(6)によって反射された光ビーム(12,11)を、異なるポイント(hi)で得られた前記厚みの測定値から2次元像を取得するのに適したライトセンサ(16)によって、回収する工程を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項10】
有彩色のコーディングを有する光ビームを送る工程と、前記内周面(6)及び前記外周面(5)によって反射された光ビームを、前記反射された光ビームの波長を解析するためのセンサに回収する工程と、前記反射された光ビームの波長の関数として前記厚みを決定する工程と、を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項11】
前記ライトセンサの鉛直方向の向き及び/又は水平方向の向きに応じて、及び/又は、時間に応じて、前記ライトセンサ(16)によって発せられた信号をフィルタリング、補間、又は補正する工程を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項12】
中心軸(A)と、外周面(5)と内周面(6)との間で範囲が定められた壁(3)とを有する透明の容器(2)の、材料に分布する欠陥を検出し、かつ請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法を実行するための検査装置であって、
前記容器の前記壁(3)に光ビーム(9)を、前記中心軸(A)に応じて定められた前記容器の高さに応じて決定された長さを有する輝線(L)を形成するように送るための光源(8)であって、前記光ビームの一部が前記壁の前記外周面によって反射され、かつ前記光ビームの一部が前記壁において屈折した後前記壁の前記内周面によって反射されるような特定の角度で前記光ビームが送られる、光源(8)と、
前記内周面(6)及び前記外周面(5)によって反射された前記光ビームを回収可能なライトセンサ(16)と、
前記容器の前記ライトセンサ(16)に関する相対移動システム(18)と、
前記ライトセンサ(16)に接続された取得及び処理ユニット(17)であって、
一方で前記中心軸(A)に応じて定められた前記容器の所定の高さに応じて重なり、かつ他方で前記容器の外周に応じて重なる、分布した一連の検査ポイント(hi)を選択す
るための手段と、
前記ライトセンサ(16)のレベルにおける、前記内周面(6)及び前記外周面(5)によって反射された前記光ビーム間の分離の関数として、前記壁の前記厚みを各検査ポイント(hi)において測定するための手段と、
前記厚みの測定値を、前記検査領域(7)において、前記壁(3)の表面の両方向に応じた前記厚みの測定値を考慮しながら、特定の厚みの臨界値より小さい前記厚みの測定値の分布を解析することによって処理して幾何学的特性を求め、前記厚みの測定値の前記分布の幾何学的特性としての前記厚みの測定値の前記分布の面積を考慮して、それらの幾何学的特性を、材料に分布する欠陥を前記容器が有するか否かを決定するための参照値と比較する手段と、を備える取得及び処理ユニットを備えることを特徴とする検査装置。
【請求項13】
前記ライトセンサ(16)は、2次元像を取得する、前記取得及び処理ユニットに接続されたマトリクスカメラであることを特徴とする、請求項12に記載の検査装置。
【請求項14】
前記ライトセンサ(16)は、有彩色のコーディングを有する光ビームから生じ、前記内周面(6)及び前記外周面(5)において反射された前記光ビームの波長を解析するためのスペクトロメーターであることを特徴とする、請求項12に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料に分布する欠陥、特に、通常は厚みが小さいタイプの欠陥と呼ばれている厚さ方向に局在している欠陥を検出するための、ボトル、ポット、又は小瓶(des flacons)等の透明又は半透明であることを特徴とする容器のオプトエレクトロニク検査の技術分野に関する。
【0002】
また、本発明の目的は、そのような欠陥から生じた原因を改めるために、容器に呈される、材料に分布した欠陥の性質又はタイプを確認するための検査技術を提供することである。
【背景技術】
【0003】
ガラス容器製造の技術分野において、審美性を損ね、容器の機械的耐久性を悪化させる、材料に分布した欠陥が局在化した1以上のゾーンを容器が有するおそれがあることが知られている。厚みが最小である、又は《厚みが小さい領域》の欠陥は、容器の肩部又は根元部のように異なる曲率半径を示す、容器の特定の領域に主にできることが知られている。そのような欠陥を検知するために、例えば、特許EP0320139によれば、光ビームの一部が壁の外周面によって反射され、かつ光ビームの一部が壁において屈折した後に壁の内周面によって反射されるような特定の角度で、容器の壁に光ビームを送ることによって容器の厚みを測定することが知られている。壁の内周面及び外周面によって反射された光ビームは、リニアライトセンサに送られるようにフレネルレンズによって回収される。容器の壁の厚みは、ライトセンサのレベルにおいて、壁の内周面及び外周面によって反射された光ビームの間の分離の関数として測定される。
【0004】
容器は、一の横断面に応じて容器の厚みを測定するために、回転盤に応じて回転するように動かされる。有利には、横方向の検査断面は、根元部又は肩部のように、厚みが小さい領域が形成されているリスクが大きい容器の特定のゾーンに位置する。
【0005】
特許文献EP0871007には、容器の壁の厚さ及び/又は楕円度を測定するための同様の技術が記載されている。同様に、特許文献GB2195278には、ガラス厚み、容器に現れやすい不規則性及び欠陥などの、ガラス容器の様々な特定の物理的特徴を確かめるためのプロセスが記載されている。
【0006】
上記の既知の解決手段の解析のいずれも、結果として、容器に呈される、材料に分布する欠陥の性質又はタイプを確かめるものではない。実際に、厚みが小さい領域などの欠陥のタイプに対応するように、得られた測定結果が解釈されるのだが、現実にはパーティングラインなどの別のタイプの欠陥に対応していることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、透明又は半透明の容器に現れやすい、材料に分布している欠陥を精度良く検出するための新規な検査技術を提案することによって先行技術の不都合を改めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明による検査方法は、中心軸と、外周面と内周面との間で範囲が定められた壁とを有する透明な容器における、材料に分布する欠陥を検出するための方法であって、一方で、前記中心軸に応じて定められた前記容器の所定の高さに応じて重なり、かつ、他方で、前記容器の外周に応じて重なる検査領域に分布した一連の検査ポイントを含み、
少なくとも一つの光ビームを、光ビームの一部が前記壁の前記外周面によって反射され、かつ前記光ビームの一部が前記壁において屈折した後に前記壁の前記内周面によって反射されるように前記容器の前記壁に対して特定の角度で送る工程と、
前記内周面及び前記外周面によって反射された前記光ビームをライトセンサに回収する工程と、
前記ライトセンサのレベルにおける、前記内周面及び前記外周面によって反射された前記光ビームの間の分離の関数として、前記壁の厚みを各検査ポイントにおいて測定する工程と、を備える。
【0009】
本発明によれば、この方法は、
前記厚みの測定値を、前記検査領域における前記厚みの測定値の分布を解析することによって処理して幾何学的特性を求め、それらの幾何学的特性を、材料に分布する欠陥を前記容器が有するか否かを決定するための参照値と比較する工程とを備える。
【0010】
本発明の別の目的は、容器に呈される、材料に分布する欠陥のタイプを決定するための方法を提案することである。
【0011】
この目的を達成するために、この方法は、前記厚みの測定値から求めた前記幾何学的特性を、前記容器に呈される、材料に分布する欠陥のタイプを決定するための、材料に分布する欠陥の異なるタイプに対応する参照値と比較する工程を備える。
【0012】
また、本発明による方法は、少なくとも一つの及び/又は他の、以下の追加的な特徴との組み合わせをさらに有していてもよい。
前記厚みの測定値の分布に基づく幾何学的特定として、面積、長さ、幅、方向、真直ぐさ、振幅、及び/又は傾きを考慮すること、
厚みが小さいタイプの欠陥の存在を特徴づける厚みの臨界値より小さい前記厚みの測定値の前記幾何学的特性を考慮すること、
パーティングラインがずれている欠陥の存在を特徴づける、前記厚みの測定値の分布の方向及び/又は真直ぐさを考慮すること、
前記厚みの測定値の分布の局所的かつ急な変化によってバブルタイプの欠陥を特徴づける、前記厚みの測定値の分布の方向を考慮すること、
鉛直軸に応じて定められた前記容器の高さに応じて決定された長さを有する輝線を形成する光ビームを送る工程と、
前記鉛直軸に応じて定められた前記容器の高さに応じた一連の検査ポイントを、それらのそれぞれに対して、前記内周面及び前記外周面によって反射された光ビームを回収し前記壁の前記厚みを測定するように選択する工程と、
前記ライトセンサに関して前記容器を回転盤で相対的に移動させる工程と、
前記容器の移動増分ピッチを、それぞれの移動増分ピッチに対して、前記容器の前記高さに応じた異なる検査ポイントで前記壁の厚みを決定するための操作を繰り返すように、選択する工程と、によって、
一連の検査ポイントに対して検査を実行すること、
前記容器の前記高さに応じて、0.02mm〜5mmであり、好ましくは約1mmである検査ピッチに応じて、増分ピッチは、前記容器の外周に応じて、0.5mm〜5mmであり、好ましくは1mmの大きさであるように、前記容器の前記高さに応じて、3〜50箇所の検査ポイント、好ましくは約20箇所の検査ポイントを選択すること、
前記容器の肩部又は根元部のように異なる曲率半径を有する前記壁の少なくとも1つの接続領域を覆うように、検査領域に対応する前記容器の前記高さに応じて検査ポイントを選択すること、
前記外周面及び前記内周面によって反射された光ビームを、異なるポイントで得られた前記厚みの測定値から2次元像を取得するのに適したライトセンサによって、回収すること、
有彩色のコーディングを有する光ビームを送り、前記内周面及び前記外周面によって反射された光ビームを、前記反射された光ビームの波長を解析するためのセンサに回収し、前記反射された光ビームの波長の関数として前記厚みを決定すること、
前記ライトセンサの鉛直方向の向き及び/又は水平方向の向きに応じて、及び/又は、時間に応じて、前記ライトセンサによって発せられた信号をフィルタリング、補間、又は補正すること。
【0013】
本発明の別の目的は、精度良く材料に分布する欠陥を検出するための装置を提案することである。
【0014】
この目的を達成するために、中心軸と、外周面と内周面との間で範囲が定められた壁とを有する透明の容器の、材料に分布する欠陥を検出し、本方法を実行するための検査装置は、
前記容器の前記壁に光ビームを、前記中心軸に応じて定められた前記容器の高さに応じて決定された長さを有する輝線を形成するように送るための光源であって、前記光ビームの一部が前記壁の前記外周面によって反射され、かつ前記光ビームの一部が前記壁において屈折した後前記壁の前記内周面によって反射されるような特定の角度で前記光ビームが送られる、光源と、
前記内周面及び前記外周面によって反射された前記光ビームを回収可能なライトセンサと、
前記中心軸に応じた、容器の前記ライトセンサに関する相対移動システムと、
前記ライトセンサに接続された取得及び処理ユニットであって、
一方で前記中心軸に応じて定められた前記容器の所定の高さに応じて重なり、かつ他方で前記容器の外周に応じて重なる、分布した一連の検査ポイントを選択するための手段と、
前記ライトセンサのレベルにおける、前記内周面及び前記外周面によって反射された前記光ビーム間の分離の関数として、前記壁の前記厚みを各検査ポイントにおいて測定するための手段と、
前記厚みの測定値を、前記検査領域における前記の厚みの測定値の分布を解析することによって処理して幾何学的特性を求めるための手段と、
それらの幾何学的特性を、材料に分布する欠陥を前記容器が有するか否か決定するための参照値と比較するための手段とを備える。
【0015】
また、本発明による装置は、少なくとも一つの及び/又は他の、以下の追加的な特徴との組み合わせをさらに有していてもよい。
前記ライトセンサは、2次元像を取得する、前記取得及び処理ユニットに接続されたマトリクスカメラであること、
前記ライトセンサは、有彩色のコーディングを有する光ビームから生じ、前記内周面及び前記外周面において反射された前記光ビームの波長を解析するためのスペクトロメーターであること。
【0016】
様々な他の特徴は、非限定的な例として本発明に係る実施形態を示す添付の図面を参照してなされる以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係る検査装置の第1実施形態の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す装置による容器の検査を断面視した概略図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る検査装置の別の実施形態を示す概略図である。
【
図5】
図5は、厚みが小さい領域のタイプの欠陥に対応する厚みの分布を示す図である。
【
図6】
図6は、パーティングラインがずれている欠陥に対応する厚みの分布を示す図である。
【
図7】
図7は、バブルの欠陥に対応する厚みの分布を示す図である。
【
図8】
図8は、ひれ(une ailette)の欠陥に対応する厚みの分布を示す図である。
【
図9】容器の所定の高さ及び360°における厚みの分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜
図3は、中心軸Aを有する透明な又は半透明な容器2において、材料に分布する欠陥を検出するための装置1の第1実施形態を示す。
図2からより詳細に分かる通り、各容器2は外周面5と内周面6との間で範囲が定められた、回転体状の壁3を有する。
【0019】
本発明によれば、装置1は、容器2の壁3において、材料に分布する欠陥を検出するのに適している。ガラス容器の場合、装置1は、ガラスに分布する品質が悪い欠陥を検出することを目的とする。主に、装置1は、材料に分布する欠陥として、厚みが小さいタイプの欠陥を検出する。また、装置1は、材料に分布する欠陥として、ひれまでずれたパーティングライン、形成されたバブル及び細かくなったバブル(又はチップ(puce))、とげ(picots)、しわ(plis)、裂け(arraches)、堅いガラス肌、錐状物の集合体(colle au poincon)を検出する。
【0020】
有利には、装置1は、材料に分布する欠陥として厚みが小さい領域が現れそうなゾーンの全体を取り囲み、容器の外周全体にわたって延びており、かつ中心軸Aに応じて定められた高さを有するゾーン又は検査領域7を観察するのに適している。検査領域7は、2次元表面に沿って延びている。例えば、検査領域7は、容器の根元部又は肩部に対応している。検査領域7は、容器の外周の全体にわたって、0.5mm〜50mm、好ましくは20mmほどの高さで延びている。
【0021】
装置1は、中心軸Aに応じて定められた容器の高さに応じて決定された長さを有する輝線Lを形成するように容器の壁3に光ビーム9を送るのに適した光源8を備える。例えば、光源8はレーザーである。本発明の有利な特徴に従えば、中心軸Aに応じて定められた輝線Lの長さは少なくとも検査領域7の高さに対応する。
【0022】
光ビーム9は、光ビーム9の一部11が外周面5によって反射され、かつ光ビーム9の一部12が壁3において屈折した後に壁の内周面6によって反射されるような特定の角度で送られる。
図2からより詳細に分かる通り、光ビーム9を送ることは、外周面5によって反射された光ビーム11及び内周面6によって反射された光ビーム12を得る結果となる。
【0023】
また、本装置は、外周面5及び内周面6のそれぞれによって反射された光ビーム11、12を回収可能なライトセンサ16を備える。ライトセンサ16は有利には検査領域7の2次元像を取得するためのマトリクスカメラである。カメラ16は、カメラによって撮られた像を取得しかつ処理するための取得及び処理ユニット17に接続されている。カメラ16と、取得及び処理ユニット17とは、当業者にとって良く知られているので、より詳細には説明しない。
【0024】
また、検査装置1は、容器の相対移動の間の連続画像を撮ることによって、容器の外周全体に応じて容器を検査できるように、容器2のための、ライトセンサ16に関する相対移動システム18を備える。有利な変形例に係る実施形態によれば、移動システム18は、回転盤で中心軸Aに対して容器を回転させる。成形された容器の場合、すなわち、全体的な円筒形状を有さない場合、容器の外周又は周囲の全体にわたって検査が行われる。
【0025】
図3は、カメラ16によって撮られた、カメラに関して所定の角度の位置にある容器についての像I
1の例を示す。像I
1は、壁3の外周面5によって反射された光ビーム11の像を一方で表示し、壁3の内周面6によって反射された光ビーム12の像を他方で表示する。反射された光ビーム11、12の像は、検査領域7の高さに対応する中心軸Aに応じた長さを有し、かつ中心軸Aに垂直な方向について壁3の厚さに対応する距離だけ互いに離れている2つの輝線に応じて、像I
1に現れる。取得及び処理ユニット17は、回転盤で容器2が回転する間に、容器2の壁3の連続画像を撮るのに適している。他の観点によれば、取得及び処理ユニット17は、容器の外周に応じて、例えば、0.5mm〜5mm、好ましくは1mmほどの容器の所定の回転ピッチに対する2つの連続画像を取得する。
【0026】
撮られたそれぞれの像について、取得及び処理ユニット17は、中心軸Aに応じて定められた容器の所定の高さに応じて重なって分布している一連のレベル又は検査ポイントh
1、h
1、…、h
iを選択する。
【0027】
例えば、0.02mm〜5mm、好ましくは約1mmの検査ピッチに応じて、容器の高さに応じて、3〜50の検査ポイントh
i、好ましくは約20箇所の検査ポイントを、検査領域7に対して選択するように構成されている。
図3に示す例においては、11箇所の検査ポイントh
iが、検査領域7における20mmの容器の高さに応じて設けられている。各検査ポイントh
iについて、取得及び処理ユニット17は、像I
1のレベルにおける、内周面6及び外周面5によって反射された光ビーム11、12の間の分離の関数として壁3の厚みを決定する。他の観点によれば、各レベルh
iに対し、壁3の厚みが決定される。
図3に示す例では、それぞれの高さ又はレベルh
iに対応する像I
1において、11箇所の厚みが決定される。
【0028】
像において壁3の厚みを決定するためのこの操作が、容器2の外周の全体に応じて撮られたそれぞれ異なる像について繰り返される。この目的のために、容器2は、中心軸Aに対し回転するように回転盤上に設置される。各移動増分ピッチ、具体的には、例示された容器2の回転において、取得及び処理ユニット17は、像を撮影し、かつ選択された異なる検査のポイント又はレベルh
iに応じて壁3の厚みを決定する。有利には、検査ポイントの数及び位置は、一の像と他の像とにおいて、同一のままである。図示の例において、例えば1mmの角度のオフセットごとに、取得及び処理ユニット17は、11箇所の所定のレベルh
iに応じて検査領域7の厚みを測定する。
【0029】
図4は、少なくとも1つの有彩色のプローブ8
1によって生成される有彩色コーディングを呈する、容器2に送られる光ビーム9の別の変形例を示す。すなわち、光ビーム9は、既知の選ばれた値の異なる波長を有し、壁3の厚みを検出できる。
【0030】
1以上の有彩色のプローブから生じた1以上の基本的ビームによって形成されている、光ビーム9は、
図1〜3を参照して説明するように、さらに、検査領域7における容器の表面を覆うための所定の高さを有する。光ビーム9は、光ビームが内周面6及び外周面5で反射されるように壁3に焦点が合わせられている。内周面6及び外周面5によって反射された光ビームは、有彩色のプローブ8
1によって回収され、外周面5及び内周面6によって反射された光ビームの波長を解析するためのスペクトロメーターなどのライトセンサ16に導かれる。反射された光ビームの波長の関数として、取得及び処理ユニット17は、上記で説明したとおり、異なる検査ポイントh
iにおいて、壁3の厚みを決定する。
【0031】
取得及び処理ユニット17は、検索によって厚みの測定値を処理して、様々な検査ポイントh
iにおいて決定された厚みの測定値の少なくとも1つが厚みの最小の臨界値より小さいかどうか確かめる。厚みの最小の臨界値は、厚みが小さい領域の存在に対応する。少なくとも1つの厚みの測定値が厚みの最小の臨界値より小さい場合、取得及び処理ユニット17は、容器に欠陥があることを指摘するための欠陥信号を発する。
【0032】
有利な特徴に従えば、取得及び処理ユニット17は、材料に分布する欠陥として厚みが小さい領域を容器が有するか否か決定するために、厚みの臨界値より小さい厚みの測定値の分布を解析することによって厚みの測定値を処理する。壁3の表面の両方向に応じた厚みの測定値を考慮することは、注目する欠陥の形成のさらなる示唆を与える。
【0033】
本発明の特徴に従えば、厚みの測定値は、検査領域7における厚みの測定値の分布を解析することによって処理して、例えば、面積、長さ、幅、方向、真直ぐさ、振幅、及び/又は傾きなどの幾何学的特性を求める。実際に、厚みが小さい領域の欠陥に加えて、材料に分布する欠陥の各タイプ、例えばバブルの形成、ずれたパーティングライン、とげ(…)は、《幾何学的サイン》を有する。
【0034】
図5〜7は、検査領域7における厚みの測定値Eの分布の3つの例を示す。それぞれ、材料に分布する欠陥のタイプに特徴的な幾何学的サインを有する。
【0035】
図5は、容器の成形の問題と関連した、厚みの分布が不良である欠陥を示す。特に、厚みの臨界値より小さい厚みの測定値Eの幾何学的特性を考慮することは、厚みが小さいタイプの欠陥の存在を特定する。
【0036】
図6は、その幾何学的サインが、厚みの測定値Eの分布の方向及び/又は真直ぐさに現れる、パーティングラインがずれているタイプの欠陥を示す。
【0037】
図7は、その幾何学的サインが、厚みの測定値Eの分布の局所的かつ急な変化によって特徴づけられるバブルタイプの欠陥を示す。
【0038】
図8は、その幾何学的サインが、厚みの測定値Eの分布の局所的に急なかつ連続的な変化によって特徴づけられる、ひれタイプの欠陥を示す。
【0039】
図9は、容器の表面全体A(°)に応じた、所定の高さH(mm)に対する厚みの測定値E(mm)の分布の例を示す。
【0040】
厚みの測定値の分布から求めた幾何学的特性は、既知の又は確かめられた、材料に分布する欠陥の異なるタイプに対応する参照値と比較される。この比較は、精度よく、容器が材料に分布する欠陥を有する否かを決定する。変形例に従えば、この比較は、容器に呈される、材料に分布する欠陥のタイプを特定する。このような、材料に分布する欠陥のタイプの特定により、その欠陥を改める目的で、この欠陥が生じた原因が検討される。
【0041】
欠陥のタイプの検出を改良するために、取得及び処理ユニット17は、カメラ16によって撮られた像に現れる、反射された光ビーム11、12の像に基づいて、外周面5と内周面6との相対的なプロフィールをさらに考慮してもよい。
【0042】
本発明の目的は、厚みが小さい領域の存在を、材料に分布する他の欠陥と区別して精度よく検出することである。有利には、この検出は、厚みが小さい領域が形成されそうなゾーンの全体を取り囲む、容器の表面にわたって延びる局所的な領域で行われる。もちろん、同一の容器のいくつかのゾーンを同時に検査するように実行することも可能である。
【0043】
本発明の別の利点は、ライトセンサ16によって発せられた信号を解析する間に、反射された光ビーム11、12(
図3)の像を検出するために、両方向にフィルタリングし、アルゴリズムと2次元画像処理フィルタを適用することである。このようなフィルタリング操作は、例えば、容器の表面の欠陥による信号のリスクを補正する。
【0044】
このため、有利な変形例の実施形態に従えば、フィルタリング操作は厚みの測定指示に応じて実行できる。
【0045】
この点で、
図3に示す像の横座標は、三角測量に基づく測定方法の場合における、リニアの又はマトリクスのライトセンサの横座標に対応する。この横座標は、内周面及び外周面で反射された光ビームのずれに依存する。2つの面で反射された光ビームの間の距離及びそれらの横座標の広がりにより、厚みが決定される。
図3は、ライトセンサが、1セットの重ねられたリニアなイメージセンサである場合でも、マトリクスのイメージとみなすことができる。
【0046】
有彩色のコーディングに基づく測定方法の場合(
図4)、
図3に示す像の横座標は波長に相当する。現に、測定原理は、色彩の強いレンズによって、多数の、多色の点光源(又はスロット)を焦点に集めることによって得られる、有彩色のコーディングである。内周面及び外周面で反射された光ビームは、同一の支配的な色ではない。ピンホール又はスロットタイプによるフィルタリングの後に、モノクロメーターは、光ビームを一連の重ねられたリニアセンサ又は他のマトリクスセンサに光ビームを水平に分配する。このため、
図3は、横座標が波長であることを考慮すると、三角測量システムによく似た側面を示す。
【0047】
当然、解析の全ての段階で、ライトセンサの鉛直方向の向き及び/又は水平方向の向きに応じて、及び/又は、時間に応じて、ライトセンサ16によって発せられた信号をフィルタリングし、補間し、又は補正することが可能であると考えられる。ライトセンサによって発せられた信号の取得は、容器の各回転増分に対し完了するので、時間に応じたフィルタリングは、回転角度に応じた、すなわち、容器の外周に応じたフィルタリングに戻る。
【0048】
本発明の目的から逸脱せずに様々な変更をなすことが可能であるので、本発明は、説明され、かつ現れた実施例に限られない。