特許第5968977号(P5968977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5968977
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】牛の鼻輪取付具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/00 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   A01K15/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-211467(P2014-211467)
(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公開番号】特開2016-77210(P2016-77210A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019703
【氏名又は名称】株式会社ワンタッチ畜産資材研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】大津 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5191872(JP,B2)
【文献】 実開昭57−80259(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体よりなるC字状環体の一端に矢尻状の突刺杆を設け、他端に前記突刺杆が係止する嵌合孔を有する拡径の結合筒部を設けた牛の鼻輪の取付具であって、一対の杆の中央部を相互に軸着して鋏状に形成し、その軸着部の上側湾曲アーム同士による開口を鼻輪の形状に合せるとともに、断面を内面が半円弧状の溝に形成し、前記湾曲アームの端部に鼻輪の突刺杆と結合筒部をそれぞれ係止する係止部を形成した牛の鼻輪取付具において、
前記結合筒部の係止部は平板状部に形成し、一端に湾曲アームの半円弧状の溝が開口する係止壁を形成し、前記平板状部の先端に下向きの方向の突片を前記係止壁の高さよりも低く突設し、鋏状に形成した取付具の軸着部の下側は把手であり、その下端は曲成して下げ紐などの係止部を形成し、この係止部は相互衝突し、該相互衝突する係止部の張り出し長さは、上側湾曲アーム同士による開口の開きを閉状態において、鼻輪の突刺杆と結合筒部をそれぞれ係止する係止部同士が離間し、その間に隙間を生じるように設定したことを特徴とする牛の鼻輪取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛の識別などのために牛の鼻に装着する鼻輪の取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牛の鼻輪は図9に示すように、硬質合成樹脂製リングの一箇所を分離させて弾性体よりなるC字状環体1を形成し、一方の分離端に矢尻状の突刺杆2を、他方の分離端に前記突刺杆2が結合する嵌合孔5を有する拡径の結合筒部3を形成し、突刺杆2の基端部の係止段部2aを結合筒部3の嵌合孔5内に形成した係止部(図示せず)係止して突刺杆2と結合筒部3を結合することで、穿孔具による鼻中隔への穿孔作業を不要とし、また、鼻輪の装着もリングの一端を突刺杆2を他端の結合筒部3に挿入するだけの作業で足りるものとして、ネジ等で両端を連結する作業も不要としたものである。
【0003】
このような牛の鼻輪を牛の鼻に取付ける取付具として下記特許文献1のようなものが知られている。
【特許文献1】特開平10−84804号公報
【0004】
これは図6に示すように一対の杆7a,7bの中央部を相互に軸着して鋏状に形成し、その軸着部10の上側湾曲アーム11同士による開口12を鼻輪の形状に合せるとともに、湾曲アーム11同士の断面を内面が半円弧状の溝8に形成し、湾曲アーム11同士の端部に鼻輪の突刺杆2と結合筒部3をそれぞれ係止する係止部9a,9bを形成してある。
【0005】
前記係止部9bの形状は、C字状環体1の結合筒部3の外形形状が横向の略蒲鉾型であることから、これに合致するような形状として、図6に示すように、断面肉厚の台盤13の長さ方向の両サイドに垂壁14を設けて略コ字形に形成してある。
【0006】
台盤13の一端に湾曲アーム11の半円弧状の溝8が開口する係止壁15を形成した。
【0007】
そして、結合筒部3を係止部9bに装着するには、係止部9bの略コ字形の凹部内に略蒲鉾型の結合筒部3を無理やり押し込む。結合筒部3の端部の段差箇所は、係止壁15により係止され、結合筒部3の先端は係止部9bより少し先にでる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
使用に際しては、湾曲アーム同士11による開口12を開き、牛の鼻輪は突刺杆2と結合筒部3が離れている状態で、一方の係止部9aに鼻輪の突刺杆2が係止される状態で、牛の鼻の鼻中隔を貫通させるように開口12を閉じて突刺杆2を結合筒部3に挿入して、輪を形成する。
【0009】
しかし前記取付具に鼻輪を取付ける際、取付具の係止部9bに鼻輪の結合筒部3を無理やり押しこむ方法では、図7に示すように牛の鼻輪を取付具から外すために開口12を開いても係止部9bに結合筒部3が嵌った状態で残ってしまい、それを外すのに手間取り、作業性がよくなく、時間も要して効率がよくない。
【0010】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、鼻輪を取付具で牛の鼻に装着した後で、取付具から簡単に取り外すことができ、効率がよく作業性を向上できる牛の鼻輪の取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、弾性体よりなるC字状環体の一端に矢尻状の突刺杆を設け、他端に前記突刺杆が係止する嵌合孔を有する拡径の結合筒部を設けた牛の鼻輪の取付具であって、一対の杆の中央部を相互に軸着して鋏状に形成し、その軸着部の上側湾曲アーム同士による開口を鼻輪の形状に合せるとともに、断面を内面が半円弧状の溝に形成し、前記湾曲アームの端部に鼻輪の突刺杆と結合筒部をそれぞれ係止する係止部を形成した牛の鼻輪取付具において、前記結合筒部の係止部は平板状部に形成し、一端に湾曲アームの半円弧状の溝が開口する係止壁を形成し、前記平板状部の先端に下向きの方向の突片を前記係止壁の高さよりも低く突設し、鋏状に形成した取付具の軸着部の下側は把手であり、その下端は曲成して下げ紐などの係止部を形成し、この係止部は相互衝突し、該相互衝突する係止部の張り出し長さは、上側湾曲アーム同士による開口の開きを閉状態において、鼻輪の突刺杆と結合筒部をそれぞれ係止する係止部同士が離間し、その間に隙間を生じるように設定したことを要旨とするものである。
【0012】
請求項1記載の本発明によれば、結合筒部の係止部は平板状部に形成し、一端に湾曲アームの半円弧状の溝が開口する係止壁を、先端に下向きの方向に突片を前記係止壁の高さよりも低く突設したので、結合筒部と係止部の摩擦を少なくして結合筒部は係止部より離脱し易く、鼻輪を取付具で牛の鼻に装着した後で、取付具から簡単に取り外すことができる。
【0013】
また、把手の下端に相互衝突する係止部を設けることでこの係止部が滑り止めとなり把手の長さを短くして全体を軽量とすることができ、また、係止部を介して下げ紐などで本発明の取付具を首から下げたりして落下等の破損を防ぐことができ、壁等に下げて収納することができる。
【0014】
さらに、係止部は相互衝突してそれ以上上側湾曲アーム同士による開口が閉じないようにすることができるものであり、完全に閉じた状態でも、係止部がストッパーとなり、鼻輪に強い圧力をかけることなく、取付具から簡単に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように本発明の牛の鼻輪取付具は、鼻輪を取付具で牛の鼻に装着した後で、取付具から簡単に取り外すことができ、効率がよく作業性を向上できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の牛の鼻輪取付具の1実施形態を示す正面図で、鼻輪取付具の基本的構造および取付ける牛の鼻輪の構造は前記従来例と同様であり、牛の鼻輪は図9に示すように、硬質合成樹脂製リングの一箇所を分離させて弾性体よりなるC字状環体1を形成し、一方の分離端に矢尻状の突刺杆2を、他方の分離端に前記突刺杆2が結合する嵌合孔5を有する拡径の結合筒部3を形成し、突刺杆2の基端部の係止段部2aを結合筒部3の嵌合孔5内に形成した係止部(図示せず)係止して突刺杆2と結合筒部3を結合する。
【0017】
図示は省略するが、結合筒部3には外側に成形時の脱型のための抜き孔、成形時のひずみを防止するための肉盗み孔が形成してある。
【0018】
また、鼻輪取付具は、一対の杆7a,7bの中央部を相互に軸着して鋏状に形成し、その軸着部10の上側湾曲アーム同士11による開口12を鼻輪の形状に合せるとともに、湾曲アーム11同士の断面を内面が半円弧状の溝8に形成し、湾曲アーム11同士の端部に鼻輪の突刺杆2と結合筒部3をそれぞれ係止する係止部9a,9bを形成してある。
【0019】
本発明は、前記鼻輪取付具は従来のようなステンレスではなく、これをアルミ合金もしくは合成樹脂で作製することにより、全体を軽量なものとする。ちなみに、従来のステンレス製が800gであることに対して250gにすることができた。
【0020】
そして、鼻輪の結合筒部3を係止する係止部9bの構造を、図2に示すように本体を平板状部16に形成するものとした。すなわち、従来の断面肉厚の台盤13の形状に比べて厚さの薄いものとなる。
【0021】
かかる係止部9bの一端に湾曲アーム11の半円弧状の溝8が開口する係止壁15を形成し、係止壁15の左右には前側に突出する突壁22,22を形成した。この突壁22,22により係止壁15の前側に窪みを形成することができる。
【0022】
また、前記平板状部16の先端に、下向きの方向の突片17を左右2個前記係止壁15の高さよりも低く突設した。
【0023】
このようにして係止部9bは平板状部16の左右両側方に開放面18が形成される。
【0024】
一対の杆7a,7bの中央部を相互に軸着して鋏状に形成した取付具の軸着部10の下側は把手19であり、その下端は曲成して下げ紐などの係止部20を形成した。
【0025】
図示の実施形態は係止部20は把手19の下端が横方向に張り出すTの字形に形成したが、これに限定されるものでなく、Cの字形に曲げたもの、もしくはくの字に屈曲させたもの、さらに挟みのように輪体として形成したものなどが選択できる。
【0026】
前記係止部20は相互に衝突する衝突部20aを有し、この衝突部20aを含めて該係止部20の横幅長さ(把手19の下端から横方向に張り出す長さ)は、上側湾曲アーム11同士による開口12の開きを完全に閉状態にする場合において、鼻輪の突刺杆2と結合筒部3をそれぞれ係止する係止部9a,9b同士が離間し、その間に隙間21を生じるように調整する。
【0027】
図1図6を比較しても分かるように、本発明の鼻輪取付具は把手19の下端に係止部20を設けることで全体の長さを短くして軽量化を図ることが可能となる。
【0028】
以上のようにしてかかる係止部9bを備える本発明の取付具に鼻輪を係止する方法を説明すると、鼻輪の突刺杆2が係止される一方の係止部9aについては従来と同様の方法で突刺杆2が保持される。
【0029】
他方の係止部9bについては、結合筒部3を装着するのに従来のように無理やり押し込むのではなく、軽く止めることができ、結合筒部3は上面を平板状部16で押えられ、一方の端部の段差箇所は係止壁15により係止され、かつ、その左右面は突壁22,22により挟み込まれて係止壁15の前側の窪みに嵌り、他方は突片17で軽く止められる。
【0030】
把手19を握って開口12を閉じれば、湾曲アーム11同士により鼻輪が狭められ、突刺杆2を結合筒部3に挿入して、輪を形成する。
【0031】
前記突壁22,22や突片17は開口12を閉じた際の鼻輪のズレを防止する役割もある。
【0032】
その後、開口12を開けば、図4に示すように、鼻輪は係止部9aがある湾曲アーム11側に残り、さらに図5に示すように開口12を開けば、簡単に取付具より外れる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の牛の鼻輪取付具の1実施形態を示す正面図である。
図2】本発明の牛の鼻輪取付具の1実施形態を示す係止部の斜視図である。
図3】本発明の牛の鼻輪取付具の鼻輪のセット状態を示す正面図である。
図4】本発明の牛の鼻輪取付具の使用状態の開きの第1段階を示す正面図である。
図5】本発明の牛の鼻輪取付具の使用状態の開きの第2段階を示す正面図である。
図6】従来例を示す正面図である。
図7】従来例の係止部の斜視図である。
図8】従来例の使用状態を示す正面図である。
図9】鼻輪の正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1…C字状環体 2…突刺杆
3…結合筒部 2a…係止段部
4…係止凹部 5…嵌合孔
7a,7b…杆 8…溝
9a,9b…係止部 10…軸着部
11…湾曲アーム 12…開口
13…台盤 14…垂壁
15…係止壁 16…平板状部
17…突片 18…開放面
19…把手 20…係止部
20a…衝突部 21…隙間
22…突壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9