(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0162036B1号には、化合物(S)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドが開示されており、この化合物は、医薬品国際一般名(INN)レベチラセタムで公知である。
【0003】
レベチラセタムは、左旋性(laevorotary)の化合物であり、中枢神経系の低酸素型及び虚血型の侵害を治療及び予防するための保護的な薬剤として開示されている。この化合物は、治療適応症であるてんかんの治療(発作制御)においても有効であるが、てんかんについては、その右旋性のエナンチオマー(R)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミド(欧州特許第0165919B1号からも公知である)は完全に活性を欠くことが実証されている(Gower A.J.ら、Eur.J.Pharmacol.、(1992)、222、193〜203ページ)。
【0004】
現在利用可能な治療に対してまったく又は不十分にしか応答しないてんかん患者には、発作制御における問題が繰り返し生じている。そのような患者は、治療に不応性であると考えられ、医学界にとって相当な難題となっている。てんかん患者の約30%が不応性患者に分類されるものと推定される。したがって、このような患者集団を特異的に対象とする新しい医薬品の開発が求められている。
【0005】
Belavin I.Yu.ら、(Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal、(1992)、26、(9−10)、74〜76ページ)には、1−[1−(1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)エチル]−2−ピロリジノン及びその抗けいれん活性が開示されている。
【0006】
WO01/62726には、次式:
【化1】
を有するピロリジノン化合物が開示されている。
【0007】
WO2005/054188には、次式A:
【化2】
を有するイミダゾール誘導体が開示されている。
【0008】
イミダゾール又はベンゾイミダゾールは、1個の窒素により、ピロリジノンのメチレンリンカーと結び付いている。
【0009】
WO2006/128693には、次式B:
【化3】
のピロリジノン化合物
[式中、
R
1は、水素、置換されている若しくは置換されていないC
1〜12アルキル、置換されている又は置換されていないアリール、又は置換されている若しくは置換されていない3〜8員の複素環である。
R
2は、水素である。或いは、R
1とR
2とは、C
3〜6シクロアルキルを形成するような方式で、連結して一緒になっていてもよい。
R
3は、
(a)置換されている若しくは置換されていない複素環であり、そのC原子のうち1個を介して該化合物分子の残りの部分と連結しており、
・ 1H−ベンゾイミダゾール−6−イル;
・ 1H−ベンゾイミダゾール−7−イル;
・ イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル;
・ イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル;
・ イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジン−7−イル;
・ イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル;
・ 5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル;
・ イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル;
・ イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−5−イル;
・ 3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−7−イル;
・ 1H−イミダゾール−4−イル;
・ 1H−イミダゾール−5−イル;
・ 1H−インドール−2−イル;
・ 1H−インドール−3−イル;
・ 1H−インドール−4−イル;
・ 1H−インドール−7−イル;
・ イソオキサゾール−4−イル;
・ 1H−ピラゾール−4−イル;
・ 1H−ピラゾール−5−イル;
・ 1H−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル;
・ 1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル;
・ ピリダジン−4−イル;
・ ピリジン−2−イル;
・ ピリジン−3−イル;
・ ピリジン−4−イル;
・ 1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル;
・ 1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル;
・ 1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル;
・ 1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−イル;
・ 1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル;
・ 1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル;
・ 1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2−イル;
・ 1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−3−イル;
・ 1,3,4−チアジアゾール−2−イル;
・ 1,3−チアゾール−5−イル;
・ [1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−7−イル;
・ [1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−8−イル;
・ インドリジン−3−イル
から成る群から選択される前記複素環、
又は、代替的に、R
3は、
(b)置換されている若しくは置換されていない複素環であり、そのN原子のうち1個を介して該化合物分子の残りの部分と連結しており、
・ 1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−イル;
・ 1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル;
・ 3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル;
・ 7H−イミダゾ[4,5−c]ピリダジン−7−イル;
・ 1H−インドール−1−イル;
・ 2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1イル;
・ 9H−プリン−9−イル;
・ 1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−1−イル;
・ 2H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−2−イル;
・ 1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル;
・ 1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル;
・ 3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル;
・ 8H−イソチアゾロ[5,4−b]インドール−8−イル;
・ 1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル;
・ 1H−ピロール−1−イル;
・ 2−クロロ−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル
から成る群から選択される前記複素環
のいずれかである。
式(I)中のR
4は、水素;C
1〜12アルキルであり、ハロゲン、C
1〜4アルコキシ、C
1〜4アルキルチオ、アジド、ニトロオキシ、若しくはアリールで場合により置換されている;C
2〜12アルケニルであり、ハロゲンで場合により置換されている;C
2〜12アルキニルであり、ハロゲンで場合により置換されている;アジド;アルコキシカルボニルアミノ;アリールスルホニルオキシ;置換されている若しくは置換されていないアリール;又は3〜8員の置換されている若しくは置換されていない複素環を含む群又はこれらから成る群から選択される]
が開示されている。
【0010】
WO2006/128693の化合物は、てんかん、てんかん発生、発作性障害、けいれん、パーキンソン病、ドパミン補充療法により誘導されるジスキネジア、神経弛緩薬の投与により誘導される遅発性ジスキネジア、ハンチントン舞踏病、並びに、他の神経障害、例えば、双極性障害、躁病、うつ、不安、注意欠陥多動性障害(ADHD)、偏頭痛、三叉神経及び他の神経痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、脳虚血、心不整脈、筋緊張症、コカイン乱用、脳卒中、間代性筋けいれん、振戦、本態性振戦、単純チック又は複雑チック、トゥレット症候群、むずむず脚症候群及び他の運動障害、新生児脳出血、筋萎縮性側索硬化症、痙縮及び変性疾患、気管支喘息、喘息重積状態及びアレルギー性気管支炎、喘息症候群、気管支過敏症及び気管支痙縮症候群、並びにアレルギー性鼻炎及び血管運動性鼻炎及び鼻結膜炎の治療において有用であると言われている。
【0011】
式Cのさらなる抗てんかん化合物が、WO2008/132139:
【化4】
(式中、
Yは、O又はSであり、
R
1は、水素又はC
1〜6アルキルであり、
R
2は、水素であり、
R
3は、−CONR
5R
6、−COR
7、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリダジニルであり、
R
5とR
6とは同じであり又は異なり、水素及びC
1〜6アルキルから独立に選択され、
R
7は、C
1〜6アルキルであり、
Aは、イミダゾリジン−1−イル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル、1,3−チアゾール−3(2H)−イル、1,3−チアゾリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、アゼパン−1−イル、5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−4−イル、ヘキサヒドロ−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−4−イル、2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−b]ピロール−1−イル、1,3−ベンゾチアゾール−3(2H)−イル、1,3−ベンゾオキサゾール−3(2H)−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−1(2H)−イル、3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル、3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル、1,3,4,5−テトラヒドロ−2H−2−ベンゾアゼピン−2−イル、1,2,4,5−テトラヒドロ−3H−3−ベンゾアゼピン−3−イルから成る群から選択される単環式又は二環式複素環部分である)
に開示されている。
【0012】
WO2008/132139の特定の一実施形態において、式(C)中のA=Y部分は、
【化5】
(式中、Xは、O又はSである)
である可能性も考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、式(I)
【化7】
(式中、
R
1は、1つ又は複数の(すなわち、1、2、又は3つの)ハロゲン置換基で場合により置換されているC
1〜4アルキル又はC
2〜4アルケニルであり、
R
2は、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)、又は、少なくとも1つの(すなわち、1、2、又は3つの)ハロゲン置換基を含有するC
1〜4アルキルのいずれかであり、
R
3は、少なくとも1つのヒドロキシ(OH)又はアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ)置換基を含有するC
1〜4アルキル(例えば、メチル、又はエチル部分)であり、
R
4は、水素又はメチル基のいずれかである)
の2−オキソ−1−イミダゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体に関する。
【0016】
本発明は、特に、式(I−A)
【化8】
(式中、
R
1は、1つ又は複数の(すなわち、1、2、又は3つの)ハロゲン置換基で場合により置換されているC
1〜4アルキル又はC
2〜4アルケニルであり、
R
2は、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)、又は、少なくとも1つの(すなわち、1、2、又は3つの)ハロゲン置換基を含有するC
1〜4アルキルのいずれかであり、
R
3は、少なくとも1つのヒドロキシ(OH)又はアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ)置換基を含有するC
1〜4アルキル(例えば、メチル、又はエチル部分)である)
の2−オキソ−1−イミダゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体に関する。
【0017】
本発明は、また、式(I−B)
【化9】
(式中、
R
1は、1つ又は複数の(すなわち、1、2、又は3つの)ハロゲン置換基で場合により置換されているC
1〜4アルキル又はC
2〜4アルケニルであり、
R
2は、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)、又は、少なくとも1つの(すなわち、1、2、又は3つの)ハロゲン置換基を含有するC
1〜4アルキルのいずれかであり、
R
3は、少なくとも1つのヒドロキシ(OH)又はアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシ)置換基を含有するC
1〜4アルキル(例えば、メチル、又はエチル部分)である)
の2−オキソ−1−イミダゾリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体に関する。
【0018】
さらに、式(I)の化合物の互変異性体、幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び混合物、又は薬学的に許容される塩、並びに任意の重水素化された変化体も含まれる。
【0019】
特定の一実施形態において、R
1は、C
1〜4アルキルであり、1つ又は複数の(すなわち、1、2、又は3つの)ハロゲン置換基で場合により置換されている。
【0020】
別の特定の実施形態において、R
1は、i−ブチル部分、n−プロピル部分、2,2−ジフルオロプロピル部分、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル部分、2,2−ジフルオロエチル部分、2,2,2−トリフルオロエチル部分、3,3,3−トリフルオロプロピル部分、2−フルオロエチル部分、又は2,2−ジフルオロエテニル部分、好ましくは、i−ブチル基、n−プロピル基、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、又は2,2−ジフルオロエテニル基である。より好ましくは、R
1は、i−ブチル基、n−プロピル基、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又は3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0021】
さらなる特定の一実施形態において、R
2は、クロロ部分、ジフルオロメチル部分、又はトリフルオロメチル部分、好ましくは、クロロ部分又はトリフルオロメチル部分である。
【0022】
さらなる特定の一実施形態において、R
3は、ヒドロキシメチル部分、メトキシメチル部分、[(
2H
3)メチルオキシ]メチル部分、メトキシ(
2H
2)メチル部分、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メチル部分、又は2−メトキシエチル部分のいずれか、好ましくはメトキシメチル部分である。
【0023】
さらなる特定の一実施形態において、式(I)、(I−A)、及び(I−B)の化合物は、
・ R
1が、i−ブチル部分、n−プロピル部分、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル部分、2,2,2−トリフルオロエチル部分、3,3,3−トリフルオロプロピル部分、又は2,2−ジフルオロエテニル部分、好ましくは、i−ブチル部分、n−プロピル部分、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル部分、2,2,2−トリフルオロエチル部分、又は3,3,3−トリフルオロプロピル部分であり、
・ R
2が、クロロ部分又はトリフルオロメチル部分であり、
・ R
3が、メトキシメチル部分であり、
・ R
4が、水素又はメチルである、
ものである。
【0024】
特定の本発明の化合物は、
・ 1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−メチルプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (−)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−メチルプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (+)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−メチルプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ 1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン;
・ (−)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン;
・ (+)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン;
・ 1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (−)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (+)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ 1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (−)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (+)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ 1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (+)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (−)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン;
・ 4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン;
・ (+)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン;
・ (−)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン;
・ 4−(2,2−ジフルオロエテニル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン;
・ 4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン;
・ 1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン;
・ (+)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−3−メチルイミダゾリジン−2−オン;
・ (−)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−3−メチルイミダゾリジン−2−オン
から成る群から選択されるものである。
【0025】
続いての段落において、本発明による化合物を構成する多様な化学的部分の定義を示すが、これらの定義は、他の形で明示的に記載された定義がより広範な定義を示すものでない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通じて一様に適用されることを意図したものである。
【0026】
「C
1〜4アルキル」は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。この用語を例示するものには、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどの基がある。「C
1〜4アルキル」基は、ハロゲン、ヒドロキシ、又はアルコキシから選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0027】
「C
2〜4アルケニル」は、好ましくは、2〜4個の炭素原子を有し、少なくとも1つ又は2つのアルケニル不飽和部位を有する、アルケニル基を指す。好ましいアルケニル基としては、エテニル(ビニル、−CH=CH
2)、n−2−プロペニル(アリル、−CH
2CH=CH
2)などが挙げられる。「C
2〜4アルケニル」基は、1個又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0028】
式(I)中の任意の「H」部分は、同位元素である水素でも重水素でも三重水素でもよい。
【0029】
「ヒドロキシ」は、式−OHの基を表す。
【0030】
「アルコキシ」は、−O−R基(式中のRには、「C
1〜4アルキル」が含まれる)を指す。
【0031】
「ハロゲン」は、フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子、及びヨード原子、好ましくは、フルオロ及びクロロを指す。
【0032】
本発明による「薬学的に許容される塩」は、式(I)の化合物が形成することが可能な、治療活性のある非毒性の酸性又は塩基性塩形態を包含する。
【0033】
塩基としてその遊離形態で生じる式(I)の化合物の酸付加塩形態は、遊離塩基を適切な酸で処理することにより得ることができ、そのような酸としては、無機酸、例として、ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸若しくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;又は有機酸、例として、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などがある。
【0034】
酸性のプロトンを含有する式(I)の化合物は、適切な有機塩基及び無機塩基で処理することにより、その治療活性のある非毒性の塩基付加塩形態、例えば金属塩又はアミン塩に転換させてもよい。適切な塩基性塩形態としては、例として、アンモニウム塩;アルカリ塩及びアルカリ土類金属(earth alkaline metal)塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩など;有機塩基、例えばN−メチル−D−グルカミンの付加塩;ヒドラバミン塩;並びに、アミノ酸、例としては、例えば、アルギニン、リシンなどの付加塩が挙げられる。
【0035】
逆に、前記塩形態は、適切な塩基又は酸で処理することにより遊離形態に転換することもできる。
【0036】
式(I)の化合物及びその塩は、溶媒和物の形態であってもよく、そのような溶媒和物は本発明の範囲内に包含される。そのような溶媒和物としては、例えば、水和物、アルコレートなどが挙げられる。
【0037】
式(I)の化合物及び/又はその中間体は、その構造に少なくとも1つの立体中心を有していてもよい。この立体中心は、R又はS立体配置で存在してもよく、前記R及びSの表記は、Pure Appl.Chem.、45、(1976)、11〜30ページに記載された規則と一致した形で用いられている。したがって、本発明は、式(I)の化合物の、エナンチオマー形態及びジアステレオ異性体形態などすべての立体異性体形態、又はそれらの混合物(存在し得るすべての立体異性体混合物を包含する)にも関する。本発明に関しては、1つ又は複数の化合物への言及は、特定の異性体形態に具体的に言及しない限り、存在し得るその異性体形態及びそれらの混合物のそれぞれの形態の当該化合物を包括的に含むことを意図したものである。「鏡像異性体的に純粋な」という表現は、本明細書において使用する場合、鏡像体過剰率(ee)が95%を超える化合物を指す。
【0038】
本発明による化合物は、異なる多形形態で存在してもよい。前掲の式において明確に示してはいないものの、そのような形態は、本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0039】
本発明による式(I)の化合物は、合成有機化学の当業者には理解されるように、従来の方法と似た様式で調製できる。
【0040】
一実施形態によれば、一般式(I)(式中、R
4は水素である)を有する化合物は、反応式:
【化10】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有し、R
4は水素である)
に従って式IIの化合物を式IIIの尿素と反応させることにより調製してもよい。
【0041】
この反応は、還流温度にて非プロトン性溶媒(トルエンなど)中で酸(p−トルエンスルホン酸など)を用いて実施し得る。
【0042】
式II(式中、R
2はハロゲン原子である)の化合物は、反応式:
【化11】
(式中、R
2はハロゲン原子であり、R
3は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式IVの化合物を還元することにより調製し得る。
【0043】
この反応は、0℃にて極性溶媒(エタノールなど)中で還元剤(水素化ホウ素ナトリウムなどであるがこれに限定されない)を用いて、又は当業者に公知の任意の他の方法に従って、実施し得る。
【0044】
式IVの化合物は、反応式:
【化12】
(式中、R
2はハロゲン原子であり、R
3は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式Vの化合物をホルミル化することにより調製し得る。
【0045】
この反応は、0°〜60℃の範囲の温度にて、オキシ塩化リンの存在下でホルミル化剤(ジメチホルムアミド(dimethyformamide)など)を用いて、又は当業者に公知の任意の他の方法に従って、実施し得る。
【0046】
式II(式中、R
2はC
1〜4アルキルである)の化合物は、反応式:
【化13】
(式中、R
2はC
1〜4アルキルであり、R
3は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式Vの化合物をホルミル化することにより調製してもよい。
【0047】
この反応は、110℃にて極性溶媒(スルホランなど)中の酸性条件下でホルミル化剤(ホルムアルデヒドなど)を用いて、又は当業者に公知の任意の他の方法に従って、実施し得る。
【0048】
式V(式中、R
2はC
1〜4アルキルである)の化合物は、反応式:
【化14】
(式中、R
2はC
1〜4アルキルであり、R
3は、式Iの化合物について先述したものと同じ定義を有する)
に従って式VIの化合物を式VIIのブロモ誘導体と反応させることにより合成してもよい。
【0049】
この反応は、文献に記載されている手順又は当業者に公知の手順を用いて実施できる。
【0050】
式V(式中、R
2はClである)の化合物は、反応式:
【化15】
(式中、R
2はClであり、R
3は、式Iの化合物について先述したものと同じ定義を有する)
に従って式VIIIの化合物を環化することにより調製してもよい。
【0051】
この反応は、式VIIIの化合物を、古典的な有機溶媒(アセトニトリルなど)中でハロゲン化剤(オキシ塩化リンなど)及び第三級アミン(トリエチルアミンなど)で処理することにより、又は当業者に公知の任意の他の方法に従って、実施できる。
【0052】
式VIIIの化合物は、式VIの化合物から調製してもよく、その場合の方法は、式VIの化合物のアミノ基をBoc基により保護し、次いで、その結果得られる中間体を、反応式:
【化16】
に従って式VII(式中、R
2はOHである)のブロモ誘導体と反応させることによる。
【0053】
この反応は、文献に記載されている手順又は当業者に公知の手順を用いて実施し得る。
【0054】
式IIIの化合物は、反応式:
【化17】
(式中、R
1は、式(I)の化合物について先に定義したものと同じ定義を有し、Pは、Boc基などの保護基である)
に従って式IXの化合物を脱保護することにより調製してもよい。
【0055】
この反応は、文献に記載されている手順又は当業者に公知の手順を用いて実施し得る。
【0056】
式IXの化合物は、反応式:
【化18】
(式中、R
1及びPは、先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式Xの化合物を環化させることにより調製してもよい。
【0057】
この反応は、室温にて、極性溶媒(solvant)(アセトニトリルなど)中の塩基(4−ジメチルアミノピリジンなど)の存在下でジ−tert−ブチルジカルボナートを用いて、又は当業者に公知の手順を用いて、実施し得る。
【0058】
式Xの化合物は、反応式:
【化19】
(式中、R
1は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式XIの化合物を還元することにより調製してもよい。
【0059】
この反応は、0℃〜60℃の範囲の温度にて、溶媒(THFなど)中で還元剤(水素化アルミニウムリチウムなどであるが、これに限定されない)を用いて、又は当業者に公知の他の手順により、実施し得る。
【0060】
式XIの化合物は、反応式:
【化20】
(式中、R
1は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式XIIのアルデヒドをシアン化物及びアンモニアと反応させることにより調製してもよい。
【0061】
この反応は、室温にて、極性溶媒(メタノールなど)中の酸性条件で、シアン化物源(シアン化ナトリウム又はシアン化カリウムなど)とアンモニア源(塩化アンモニウムなど)を用いて実施し得る。
【0062】
別の実施形態によれば、一般式(I)を有する化合物(式中、R
1は2−クロロ−2,2−ジフルオロエチルであり、R
4は水素である)は、反応式:
【化21】
(式中、R
2及びR
3は、式(I)の化合物について先に定義したものと同じ定義を有し、R
4は水素であり、Pは、エチルエステルなどの保護基である)
に従って式XIIIの化合物を塩化水素処理(hydrochloration)することにより調製してもよい。
【0063】
この反応は、80℃にて、極性溶媒(THFなど)中の塩酸源(37%HCl溶液など)を用いて実施し得る。
【0064】
一般式XIIIを有する化合物は、反応式:
【化22】
(式中、R
2及びR
3は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式XIVの化合物を変換させることにより調製してもよい。
【0065】
この反応は、室温にて、極性溶媒(ジメチルホルムアミドなど)中の塩基(炭酸ナトリウムなど)の存在下でアミンXIVに4−ブロモ−1,1,1−トリフルオロブタ−2−エンを加え、続いて、室温にて、イソシアナート(エトキシカルボニルイソシアナートなど)を加え、続いて、60〜80℃の範囲の温度にて、塩基(カリウムtert−ブトキシドなど)を加えることによる連続した3ステップで実施し得る。
【0066】
式XIVの化合物は、反応式:
【化23】
(式中、R
2及びR
3は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式XVの化合物を還元することにより調製してもよい。
【0067】
この反応は、室温でTHF/水混合物中の還元剤(トリフェニルホスフィンなど)を用いて、又は当業者に公知の任意の方法に従って、実施し得る。
【0068】
式XVの化合物は、反応式:
【化24】
(式中、R
2及びR
3は、式Iの化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って式IIの化合物を変換させることにより調製してもよい。
【0069】
この反応は、化合物IIを、0℃にて、塩基(ジクロロメタン中のN,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で、又は当業者に公知の任意の他の方法に従って、塩化スルホニル(塩化メタンスルホニルなど)で処理し、続いて、中間体を、0℃にて、DMF中のアジド誘導体(アジ化ナトリウムなど)で処理することによる連続した2ステップで実施し得る。或いは、化合物IIは、塩基(THF中のDBUなど)の存在下で、又は当業者に公知の任意の他の方法に従って、ジフェニルホスホリルアジドで直接処理してもよい。
【0070】
一般式(I)(式中、R
3はヒドロキシメチルであり、R
4は水素である)を有する化合物は、式XIII(式中、R
3はメトキシメチルであり、Pは、エチルエステルなどの保護基であり、R
1及びR
2は、式(I)の化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)の化合物を塩化水素処理することにより調製してもよい。
【0071】
この反応は、高温(100℃超)で塩酸源(37%HCl溶液など)を用いて実施し得る。
【0072】
一般式I(式中、R
4はメチル部分である)を有する化合物は、反応式:
【化25】
(式中、R
1、R
2、及びR
3は、式(I)の化合物について先に定義したものと同じ定義を有する)
に従って、対応する式Iの化合物(式中、R
4は水素である)をN−メチル化することにより調製してもよい。
【0073】
この反応は、塩基(水酸化ナトリウム及びアンモニウム塩など)の存在下でメチル化剤(ヨウ化メチルなど)を用いて実施し得る。
【0074】
別の実施形態において、本発明は、次に挙げる中間体の合成を包含する:
・ [2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタノール;
・ 2−アミノ−5,5,5−トリフルオロペンタンニトリル;
・ 5,5,5−トリフルオロペンタン−1,2−ジアミン;
・ ジ−tert−ブチル2−オキソ−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−1,3−ジカルボキシラート;
・ ジ−tert−ブチル2−オキソ−4−プロピルイミダゾリジン−1,3−ジカルボキシラート;
・ ジ−tert−ブチル4−(2−メチルプロピル)−2−オキソイミダゾリジン−1,3−ジカルボキシラート;
・ 4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ 4−(2−メチルプロピル)イミダゾリジン−2−オン;
・ 6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−カルバルデヒド;
・ [6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタノール;
・ 5−(アジドメチル)−2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール;
・ 1−[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタンアミン;
・ 4,4,4−トリフルオロ−N−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]−チアジアゾール−5−イル]メチル}ブタ−2−エン−1−アミン;
・ エチル({[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]−メチル}[(4,4,4−トリフルオロブタ−2−エン−1−イル]カルバモイル)カルバマート;
・ エチル5−(2,2−ジフルオロエテニル)−3−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ−[2,1−b]−[1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−2−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシラート;及び
・ エチル3−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−2−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−1−カルボキシラート。
【0075】
本発明の化合物は、てんかん、てんかん発生、発作性障害、けいれん、とりわけ不応性の発作の治療における医薬として使用するためのものである。
【0076】
発作は、2種類以上の抗てんかん薬を最高耐用量で用いる最先端の治療を12カ月間以上行っても患者が発作消失を達成できないときに、不応性として分類できる。国際てんかん連盟(ILAE)は、薬物抵抗性てんかんを、「忍容性があり適切に選ばれ使用されたAEDスケジュール(単独療法であるか併用療法であるかを問わない)を2つ妥当に試行しても持続的な発作消失が達成できないこと」と定義している。
【0077】
本発明の方法は、先述の病態又は障害に罹患している哺乳動物(好ましくはヒト)に、本発明による化合物を、該障害又は病態を軽減又は予防するだけ十分な量で投与することを含む。
【0078】
本化合物は、任意の適当な単位剤形で便利に投与され、そのような剤形としては、1単位剤形当たり1〜2000mg、好ましくは1〜1000mg、より好ましくは1〜500mgの活性成分を含有するものが挙げられるが、これに限定されない。
【0079】
用語「治療」は、本明細書において使用する場合、治癒的な治療及び予防的な治療を包含する。
【0080】
「治癒的な」とは、障害又は病態の現在発現している症状の治療において有効であることを意味する。
【0081】
「予防的な」とは、障害又は病態の発生又は再発を予防することを意味する。
【0082】
用語「てんかん」は、本明細書において使用する場合、非誘発性で再発性のてんかん性発作を特徴とする慢性の神経学的な病態を指す。てんかん性発作は、一連の脳ニューロンの放電の異常且つ過剰な同時発生が認められること(manisfestation)であり、その臨床所見は、突発性且つ一過性である。用語「てんかん」は、本明細書において使用する場合、発作の周期的な発生を特徴とする脳機能障害を指すこともある。発作は、高熱又は毒素への曝露などの条件により正常な脳において誘発されるときは「非てんかん性」発作である可能性もあり、明白な誘因がなく誘発されるときは「てんかん性」発作である可能性もある。
【0083】
用語「発作」は、本明細書において使用する場合、脳ニューロン集団が障害され、同時的且つ律動的に発火することに起因する、行動の一過性の変質を指す。
【0084】
本発明のさらなる一態様は、有効量の式(I)の化合物を薬学的に許容される賦形剤又は担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0085】
先述の適応症のうちいずれかにおける活性は、当然ながら、特定の適応症のための当業者に公知の様式で適当な臨床試験を行うことにより、及び/又は、臨床試験の全般的な計画の際に決定することができる。
【0086】
疾患を治療するために、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効な1日投与量で用い、医薬組成物の形態で投与し得る。
【0087】
したがって、本発明の別の実施形態は、有効量の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を薬学的に許容される賦形剤又は担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0088】
本発明による医薬組成物を調製するためには、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩のうち1つ又は複数を、当業者に公知の従来の医薬配合法に従って、医薬用の賦形剤又は担体と密に混合する。
【0089】
適当な賦形剤及び担体は、所望の投与経路(例えば、経口、経直腸、非経口、又は鼻腔内)によって多種多様な形態を取り得る。
【0090】
本発明による化合物を含む医薬組成物は、例えば、経口的、非経口的、すなわち、静脈内、筋肉内、若しくは皮下、くも膜下腔内、経皮的に(パッチ)、吸入により、又は鼻腔内に、投与できる。
【0091】
経口投与に適した医薬組成物は、固体であっても液体であってもよく、例えば、錠剤、丸剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル剤、溶液剤、シロップ剤、チューインガム剤などの形態であってもよい。
【0092】
この目的のために、活性成分は、不活性な賦形剤又は非毒性の薬学的に許容される担体(デンプン又は乳糖など)と混合してもよい。場合により、これらの医薬組成物は、結合剤(微結晶セルロース、トラガントガム、若しくはゼラチンなど)、崩壊剤(アルギン酸など)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素など)、甘味料(ショ糖若しくはサッカリンなど)、又は着色剤、又は香味剤(ペパーミント若しくはサリチル酸メチルなど)を含有することもできる。
【0093】
本発明は、また、制御された様式で活性物質を放出できる組成物を企図する。
【0094】
非経口投与用に使用できる医薬組成物は、アンプル、使い捨ての注射器、ガラス若しくはプラスチックのバイアル、又は注入容器に一般には含有されている、水性又は油性の溶液剤又は懸濁剤などの従来の形態である。
【0095】
活性成分に加え、これらの溶液剤又は懸濁剤は、場合により、滅菌済の賦形剤(注射用水、生理食塩水溶液、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒など)、抗菌剤(ベンジルアルコールなど)、酸化防止剤(アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなど)、キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸など)、緩衝液(アセタート、シトラート、又はホスファートなど)、及びオスモル濃度を調整するための薬剤(塩化ナトリウム又はデキストロースなど)も含有することができる。
【0096】
これらの医薬形態は、薬剤師が慣例的に用いる方法を用いて調製される。
【0097】
本医薬組成物中の活性成分の量は、広範な濃度内とすることができ、患者の性別、年齢、体重、及び医学的状態、並びに投与方法など、さまざまな因子によって決まる。したがって、経口投与用の組成物中の式(I)の化合物の量は、本組成物の総重量に対して少なくとも0.5重量%であり、最高で80重量%であってもよい。
【0098】
本発明によれば、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、単独で、又は他の薬学的に活性な成分と組み合わせて投与できることも見出されている。本発明による化合物と組み合わせて使用するためのものとして引用できるそのような追加的な化合物の非限定的な例は、抗ウイルス薬、抗痙縮薬(例えばバクロフェン)、制吐薬、抗躁病の気分安定剤、鎮痛薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモール)、麻薬性鎮痛薬、局所麻酔薬、オピオイド系鎮痛薬、リチウム塩、抗うつ薬(例えば、ミアンセリン、フルオキセチン、トラゾドン)、三環系抗うつ薬(例えば、イミプラミン、デシプラミン)、抗けいれん薬(例えば、バルプロ酸、カルバマゼピン、フェニトイン)、抗精神病薬(例えば、リスペリドン、ハロペリドール)、神経弛緩薬、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、クロナゼパム)、フェノチアジン(例えばクロルプロマジン)、カルシウムチャネル遮断薬、アンフェタミン、クロニジン、リドカイン、メキシレチン、カプサイシン、カフェイン、クエチアピン、セロトニン拮抗薬、β−遮断薬、抗不整脈薬、トリプタン、麦角誘導体、及びアマンタジンである。
【0099】
経口組成物の場合、1日投与量は、式Iの化合物について1mg〜2000mgの範囲である。経口組成物の場合、該投与量単位は、式Iの化合物について1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜500mgの範囲である。
【0100】
非経口投与用の組成物中では、式(I)の化合物の存在量は、本組成物の総重量に対して少なくとも0.5重量%であり、最大33重量%であってもよい。好ましい非経口用の組成物の場合、該投与量単位は、式Iの化合物について1mg〜2000mgの範囲である。
【0101】
1日用量は、式(I)の化合物の広範な投与量単位内とすることができ、一般には、1〜2000mg、好ましくは1〜1000mgの範囲である。しかし、具体的な用量は、個々の要件に応じて医師の自由裁量で特定のケースに適合させることができることは理解されるべきである。
【0102】
本発明により提供されるSV2タンパク質結合化合物及びその標識化誘導体は、試験対象の化合物(例えば、潜在的医薬)がSV2タンパク質と結合する能力の決定における標準及び試薬として有用であると考えられる。
【0103】
本発明により提供されるSV2タンパク質のリガンドの標識化誘導体は、陽電子放射型断層撮影法(PET)画像化又は単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)のための放射性トレーサーとしても有用であると考えられる。
【0104】
したがって、本発明は、潜在的な医薬剤の発見、とりわけ、本明細書に記載する病態の治療及び予防を目的として、組織中でのSV2タンパク質の局在化のため、及び精製されたSV2タンパク質の特徴付けのためのSV2タンパク質とのより強力な結合に基づいて化学ライブラリーをスクリーニングするためのツールとしての標識化リガンドをさらに提供する。SV2タンパク質には、SV2A、SV2B、及びSV2Cが含まれ、この場合、SV2Aは、抗発作薬レベチラセタム及びその類似体の結合部位である。SV2アイソフォームであるSV2A、SV2B、又はSV2Cは、ヒト、ラット、又はマウスを含めた任意の哺乳動物種由来の組織、特に脳に由来するものであってもよい。交互に(Alternately)、アイソフォームは、異種発現されアッセイに使用される、ヒト、ラット、及びマウスを含めた任意の哺乳動物種のクローン化バージョンであってもよい。このスクリーニング方法は、脳膜(哺乳動物若しくはヒトの脳膜など)、又は、SV2タンパク質若しくはその断片、特にSV2A及びSV2C(但しSV2Bを含む)を発現する細胞系を、推定上の薬剤に曝露させることと、この膜又はタンパク質又は断片及び薬剤を、標識化された式Iの化合物と共にインキュベートすることとを含む。この方法は、該推定上の薬剤により式(I)の化合物のタンパク質との結合が阻害されるかどうかを決定すること、それにより、タンパク質の結合相手を同定することをさらに含む。したがって、このスクリーニングアッセイにより、SV2タンパク質と相互作用する新しい薬物又は化合物の同定が可能になる。本発明は、SV2タンパク質の光活性化可能な(photoactivable)リガンドも提供する。
【0105】
本標識化リガンドは、可溶化、精製、及びクロマトグラフィーを行った後のSV2タンパク質の立体配座状態を判定するためのツールとしても使用できる。本標識化リガンドは、直接的又は間接的に標識化してもよい。適切な標識の例としては、放射性標識(
3Hなど)、蛍光標識、酵素、ユーロピウム、ビオチン、及び、このタイプのアッセイに用いられる他の従来の標識が挙げられる。
【0106】
標識化された式(I)の化合物は、SV2タンパク質(SV2A、SV2B、及びSV2C)と結合する新しい化合物又は薬剤をスクリーニングするためのアッセイにおけるプローブとしての方法において有用である。そのようなアッセイの実施形態において、リガンドは、改変せずに使用することもできるが、さまざまな方式で、例としては、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に示す部分を標識化する、例えば共有結合性又は非共有結合性に接合することにより改変することもできる。これらのアッセイのうちいずれにおいても、材料は、直接的又は間接的いずれの方式でも標識化することができる。直接的な標識化の可能性としては、放射性標識([
3H]、[
14C]、[
32P]、[
35S]、又は、[
125I]が挙げられるが、これらに限定されない)、酵素(ペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼなど)、並びに、蛍光強度、波長シフト、又は蛍光偏光の変化をモニタリングすることが可能な蛍光標識(フルオレセイン又はローダミンが挙げられるが、これらに限定されない)などの標識群が挙げられる。間接的な標識化の可能性としては、1つの構成要素をビオチン化すること、続いて、先述の標識群のうち1つの相手となるアビジンと結合させること、又は抗リガンド抗体を使用することが挙げられる。本化合物は、本化合物を固体の支持物と結び付けることになる場合には、スペーサー又はリンカーを含むこともできる。SV2タンパク質(特にSV2A及びSV2C)と結合させるための本発明による標識化リガンドと競合又は相互作用する薬剤又は化合物を同定するために、無傷の細胞、SV2A又はSV2C若しくはSV2タンパク質全体或いはそれらの断片を含有する細胞断片若しくは膜断片を使用することができる。薬剤又は化合物は、標識化レベチラセタム又はその類似体若しくは誘導体とのインキュベーションの前、同時、又は後に、細胞、膜、SV2タンパク質又は断片とインキュベートしてもよい。アッセイは、任意の入手可能なフォーマット、例えば、SV2タンパク質又はその断片とのレベチラセタムの結合又はその誘導体若しくは類似体の結合をモニタリングするハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイの形で改変又は準備してもよい。化合物ライブラリーを調べる多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、ハイスループットアッセイは、所与の期間で調査される化合物の数を最大化するために望ましい。そのようなスクリーニングアッセイは、無傷の細胞、SV2を含有する細胞断片又は膜断片、並びに、精製又は半精製されたタンパク質で誘導し得るような無細胞系又は無膜系(membrane−free system)を使用してもよい。SV2を含有する膜断片、又は、精製されたSV2タンパク質及びペプチドを用いる本アッセイの利点は、試験化合物の細胞毒性及び/又はバイオアベイラビリティーの効果を一般的に無視することができ、代わりに、本アッセイは、例えば、2つの分子間の結合の阻害において顕在化し得るような、分子標的に対する薬物の効果に第一に焦点を合わせていることである。本アッセイは、試験対象の薬剤又は化合物の、本発明による標識化リガンドのSV2若しくはSV2断片との結合、又は、標識化されたレベチラセタム又はその誘導体若しくは類似体の、SV2若しくはSV2タンパク質断片との結合を阻害する能力を検出するために調整できる。複合体形成の阻害は、さまざまな手法、例えば、ろ過アッセイ、Flashplates(Perkin Elmer)、シンチレーション近接アッセイ(SPA、GE)により検出し得る。ハイスループットスクリーニング(HTS)の場合、生体膜でコーティングされた微小球、又は生体膜でコーティングされたフラッシュプレートを使用するシンチレーション近接アッセイは、分離ステップも洗浄ステップも必要としない強力な方法である。
【実施例】
【0107】
次に記載する実施例は、式(I)によりカバーされる化合物をどのように合成し得るかを例証するものである。本実施例は、例証的な目的のみのために提供するものであり、何らかの様式で本発明を限定するものとして意図したものでもなく、そのように解釈されるべきものでもない。当業者には、次に記載する実施例の慣例的な変形及び改変形は、本発明の精神又は範囲を超えることなく実現することができることは十分理解されよう。
【0108】
NMRスペクトルの記録は、BRUKER AVANCE400NMR分光計に、XWIN NMR3.5ソフトウェアを実行するLinux(登録商標)ワークステーションと5mmのインバース測定用
1H/BBプローブヘッドとを装着したもの、又は、BRUKER DRX400NMRに、XWIN NMR2.6ソフトウェアを実行するSG Fuelと5mmのインバースジオメトリー(inverse geometry)用の
1H/
13C/
19Fトリプルプローブヘッドとを装着したものを用いて行う。本化合物は、プローブ温度313K又は300K、濃度10mg/mlの条件で、d
6−ジメチルスルホキシド(又はd
3−クロロホルム)溶液中で試験する。この装置は、d
6−ジメチルスルホキシド(又はd
3−クロロホルム)の重水素シグナルを検出するとロックされる。化学シフトは、内部標準として用いられるTMS(テトラメチルシラン)より低磁場にppm単位で示される。
【0109】
HPLC解析は、次の系のうち1つを用いて実施する:
・Agilent1100シリーズのHPLCシステムに、INERTSIL ODS 3 C18、DP5μm、250×4.6mmカラムを搭載したもの。グラジエントは、100%溶媒A(アセトニトリル、水、リン酸(5/95/0.001、v/v/v))から100%溶媒B(アセトニトリル、水、リン酸(95/5/0.001、v/v/v))へ6分とし、100%Bで4分保つ。流速は、2.5ml/分に設定する。クロマトグラフィーは35℃で行う。
・HP1090シリーズのHPLCシステムにHPLC Waters Symetry C18、250×4.6mmカラムを搭載したもの。グラジエントは、100%溶媒A(メタノール、水、リン酸(15/85/0.001M、v/v/M))から100%溶媒B(メタノール、水、リン酸(85/15/0.001M、v/v/M))へ10分とし、100%Bで10分保つ。流速は、1ml/分に設定する。クロマトグラフィーは40℃で行う。
【0110】
LC/MS様式での質量分析測定を次のように実施する。
HPLC条件
分析は、WATERS Alliance HPLCシステムに、INERTSIL ODS 3、DP5μm、250×4.6mmカラムを搭載したものを用いて実施する。
【0111】
グラジエントは、100%溶媒A(アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸(10/90/0.1、v/v/v))から100%溶媒B(アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸(90/10/0.1、v/v/v))へ7分とし、100%Bで4分保つ。流速は、2.5ml/分に設定し、API源の直前で1/25のスプリットを用いる。
【0112】
MS条件
試料は、アセトニトリル/水、70/30(v/v)に濃度約250μg/mlで溶解する。FINNIGAN LCQイオントラップ質量分析計を用いてAPIスペクトル(+又は−)を実施する。APCI源は450℃、キャピラリーヒーターは160℃で動作させる。ESI源は、3.5kV、キャピラリーヒーターは210℃で動作させる。
【0113】
DIP/EI様式での質量分析測定を次のように実施する:試料は、プローブを50℃から250℃に5分かけて加熱することにより蒸発させる。FINNIGAN TSQ700タンデム四重極質量分析計を用いてEI(電子衝撃)スペクトルを記録する。イオン源(source)温度は、150℃に設定する。
【0114】
TSQ700タンデム四重極質量分析計(Finnigan MAT)を用いたGC/MS様式での質量分析測定は、ガスクロマトグラフモデル3400(Varian)にスプリット/スプリットレス注入機を装着したもの、及び、J&W Scientific製のDB−5MS溶融シリカカラム(15m×内径0.25mm、1μm)を用いて実施する。ヘリウム(純度99.999%)を担体ガスとして使用する。注入機(CTC A200Sオートサンプラー)及び移送ラインは、それぞれ290℃及び250℃で動作させる。試料(1μl)をスプリットレス様式で注入し、オーブンの温度は、次のようにプログラムする:50℃で5分間、280℃に上昇(23℃/分)させて10分間保つ。TSQ700分光計は、電子衝撃(EI)又は化学イオン化(CI/CH
4)様式(質量範囲33〜800、走査時間1.00秒)で動作させる。イオン源温度は、150℃に設定する。
【0115】
高分解能質量分析測定は、Waters LCT飛行時間型質量分析計にESI源を装着したもの、及び、Waters Acquity UPLC(カラム:BEH C18(1.7μm、2.1×50mm))と共にダイオードアレイ検出器を用いて行う。グラジエントは、98%溶媒A(ギ酸アンモニウム水溶液(63mg/l)、30%アンモニア水溶液(50μl/l))から95%アセトニトリルへ、さらに戻すまでを6分とする。イオン源のパラメーターは次のとおりである:ESIキャピラリー電圧2.5kV、コーン電圧135V、イオン源ブロックの温度135℃、脱溶媒和温度350℃、コーンのガス流量20L/時(窒素)、脱溶媒和ガス流量800L/時。検出器は、飛行管の場合は7.2KV、MCP検出器は2,500Vに設定する。比旋光度はPerkin−Elmer341偏光計で記録する。旋光角は、25℃にて、メタノール中の1%溶液に対して589nmで記録する。
【0116】
融点は、Buchi535又は545のTottoli型溶融計(fusionometre)を用いて決定して補正はせず、又は、Perkin Elmer DSC7での開始温度により決定する。
【0117】
分取クロマトグラフィーによる分離は、シリカゲル60 Merck、粒子サイズ15〜40μm、参照番号1.15111.9025で実施し、Novasep軸圧縮カラム(内径80mm)を流速70〜150ml/分の間で用いる。シリカゲル及び溶媒混合物の量は、個々の手順に記載のとおりである。逆相分離は、Kromasil C18 10μmシリカゲル(酸性若しくは中性条件)、又は、Phenomenex Gemini C18 10μM(塩基性条件)のいずれか500gを、内径8cmのカラム中、流速150ml/分で用いて行う。生成物は、特に明記しない限り、215nmで検出する。
【0118】
分取キラルクロマトグラフィーによる分離は、DAICEL Chiralpak AD 20μm、100
*500mmカラムで実施し、社内で組み立てた装置を、低級アルコールとC5〜C8の直鎖状、分枝状、又は環状アルカンとの多様な混合物と共に±350ml/分で用いる。溶媒混合物は、個々の手順に記載のとおりである。
【0119】
マイクロ波照射を要する実験は、オペレーティングソフトウェアのバージョン2.0でアップグレードしたBiotage Initiator Sixtyマイクロウェーブオーブンで実施する。実験は、必要とされる温度にできるだけ迅速に達するように行う(最高照射パワー:400W、外部冷却なし)。
【0120】
(例1)
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(5)、並びにエナンチオマー(6)及び(7)の合成。
【化26】
1.1 2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a2)の合成。
ブロモトリフルオロアセトン(478g、2.5mol、1.05当量)を、5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(a1)(346g、2.4mol、1当量)の1,2−ジメトキシエタン(6l)中懸濁液に、20℃で加える。反応混合物を80℃に加熱し、転換が最高となるまで続ける(24時間未満)。水(4l)を反応混合物に32℃で加えると、予想された化合物が反応混合物から晶出する。この結晶性懸濁液を10℃に冷却して晶出プロセスを完了し、ろ過し、結晶性沈殿物を水(1.5l)で洗浄すると、266gの純粋な2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a2)が得られる。
収率:47%。
LC−MS(MH
+):238。
【0121】
1.2 [2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタノール(a3)の合成。
2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a2)(10g、42.16mmol、1当量)、ホルムアルデヒド(16g、421.6mmol、10当量)、及び塩酸(37%、8.2ml、2当量)をスルホラン(250ml)で希釈する。反応混合物を110℃で一晩加熱する。水(500ml)を加え、この混合物を50℃で2時間加熱する。次いで、減圧下で溶媒を除去する。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(グラジエント;溶出剤:CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OHを100/0/0から99/1/0.1へ)により精製すると、6.5gの[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタノール(a3)が黄色の固体として得られる。
収率:58%。
LC−MS(MH
+):268。
【0122】
1.3 2−アミノ−5,5,5−トリフルオロペンタンニトリル(a5)の合成。
シアン化ナトリウム(10g、0.20mol、1当量)の水(50ml)中溶液に、室温で、塩化アンモニウム(12g、0.22mol、1.1当量)と4,4,4−トリフルオロブタナール(a4)(25g、0.20mol、1当量)をメタノール(50ml)に溶解したものとを連続的に加える。この混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出する(3回)。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させると、34gの2−アミノ−5,5,5−トリフルオロペンタンニトリル(a5)が得られる。
収率:100%。
LC−MS(MH
+):153。
【0123】
1.4 5,5,5−トリフルオロペンタン−1,2−ジアミン(a6)の合成。
2−アミノ−5,5,5−トリフルオロペンタンニトリル(a5)(34g、2.2mol、1当量)をテトラヒドロフラン(tetrahydrofurane)(290ml)に溶解する。次いで、水素化アルミニウムリチウム(25.5g、6.7mol、3当量)を0℃で少しずつ加える。反応混合物を60℃で2時間加熱し、次いで、室温で一晩撹拌する。硫酸二ナトリウム十水和物(6当量)を少しずつ加え、この混合物を撹拌すると、やがて外見が白色の固体が得られる。沈殿物をろ過し、有機相を真空下で濃縮すると、11.2gの5,5,5−トリフルオロペンタン−1,2−ジアミン(a6)がオレンジ色の油として得られる。
収率:32%。
LC−MS(MH
+):157。
【0124】
1.5 ジ−tert−ブチル2−オキソ−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−1,3−ジカルボキシラート(a7)の合成。
ジ−tert−ブチルジカルボナート(54.6g、2.5mol、3.5当量)及び4−ジメチルアミノピリジン(4.37g、0.357mol、0.5当量)を、5,5,5−トリフルオロペンタン−1,2−ジアミン(a6)(11.17g、0.72mol、1当量)のアセトニトリル(430ml)中溶液に室温で連続的に加える。この混合物を一晩撹拌する。反応混合物を酢酸エチルで抽出し(3回)、合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、次いで、MgSO
4上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤:CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OH、99.5/0.45/0.05)により精製すると、6.76gのジ−tert−ブチル2−オキソ−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−1,3−ジカルボキシラート(a7)が得られる。
収率:25%。
LC−MS(MH
+):383。
次の化合物は、同じ方法に従って合成し得る。
【表1】
【0125】
1.6 4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(a10)の合成。
ジクロロメタン(50ml)中トリフルオロ酢酸(6.05g、53.04mmol、3当量)を、ジ−tert−ブチル2−オキソ−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−1,3−ジカルボキシラート(a7)(6.76g、17.68mmol、1当量)のジクロロメタン(60ml)中溶液に、室温で一晩加える。反応混合物を減圧下で濃縮すると、4.22gの4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(a10)が黄色の油として得られる。
収率:100%。
LC−MS(MH
+):183。
次の化合物は、同じ方法に従って合成し得る。
【表2】
【0126】
1.7 1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(5)並びにエナンチオマー(6)及び(7)の合成。
[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタノール(a3)(3.26g、0.122mol、1当量)及びp−トルエンスルホン酸(2.10g、0.122mol、1当量)を、4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(a10)(2.22g、0.122mol、1当量)のトルエン(450ml)中溶液に連続的に加える。この混合物を110℃で一晩加熱する。反応が完全でないので、中間体(a10)をさらに少し(1g、5.49mmol、0.45当量)加える。この混合物を110℃で一晩加熱し、次いで、溶媒を減圧下で蒸発させる。水を残留物に加え、この混合物をCH
2Cl
2で抽出し、有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤:CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OH、98/2/0.2)により精製すると、336mgの1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(5)が黄色の油として得られる。
収率:64%。
LC−MS(MH
+):432。
化合物1及び2は、同じ方法に従って合成し得る。
【0127】
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(5)のエナンチオマーを、キラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak IC;30℃;溶出剤はn−ヘプタン/イソプロパノール、50/50)により分離する。
純粋な(−)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(6)(1番目に溶出される、70mg)は、Et
2O/ヘキサン、50/50中で再結晶化(recristallization)させると得られる。
収率:21%。
LC−MS(MH
+):432。
純粋な(+)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(7)(2番目に溶出される、55mg)は、Et
2O/ヘキサン、50/50中で再結晶化させると得られる。
収率:16%。
LC−MS(MH
+):432。
化合物3及び4は、同じ方法に従って入手し得る。
【0128】
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−メチルプロピル)イミダゾリジン−2−オン(1)(285mg)のエナンチオマーを、キラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak AD;30℃;溶出剤はn−ヘプタン/エタノール/ジエチルアミン、90/10/0.01)により分離する。
純粋な(−)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−メチルプロピル)イミダゾリジン−2−オン(20)(1番目に溶出される、94mg)は、CH
2Cl
2/ヘキサン、50/50中で再結晶化させると得られる。
収率:33%。LC−MS(MH
+):392。
純粋な(+)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2−メチルプロピル)イミダゾリジン−2−オン(21)(2番目に溶出される、68mg)は、CH
2Cl
2/ヘキサン、50/50中で再結晶化させると得られる。
収率:24%。LC−MS(MH
+):392。
【0129】
(例2)
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]−チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(8)並びにエナンチオマー(9)及び(10)の合成。
【化27】
2.1 tert−ブチル[5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]カルバマート(a13)の合成。
5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(a1)(100g、0.69mol、1当量)のジクロロメタン(1l)中懸濁液に、ジ−tert−ブチルジカルボナート(132g、0.76mol、1.1当量)及びN,N−ジメチルアミノピリジン(8.35g、0.069mol、0.1当量)を、室温で、連続的にそれぞれ一度に加える。一晩室温で撹拌の後、反応混合物を1NのHCl(pH5)で洗浄して、N,N−ジメチルアミノピリジンを除去する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジイソプロピルエーテルから再結晶化させると、148.9gの純粋なtert−ブチル[5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]カルバマート(a13)が得られる。
収率:88%。LC−MS(MH
+):246。
【0130】
2.2 {2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}酢酸(a14)の合成。
ヨード酢酸(409.3g、2.2mol、1.5当量)を、tert−ブチル[5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]カルバマート(a13)(360g、1.47mol、1当量)のテトラヒドロフラン(3l)中溶液に室温で一度に加える。次いで、水素化ナトリウム(52.8g、2.2mol、1.5当量)を、室温で少しずつ30分かけて加える。反応混合物を60℃で一晩加熱し、溶媒を減圧下で蒸発させる。水を残留物に加え、この溶液を、6NのHCl水溶液を用いてpH=2まで酸性化させ、次いで、CH
2Cl
2で抽出する。有機層をチオ硫酸ナトリウム10%水溶液で洗浄し、蒸発乾固させると、455.7gの{2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}酢酸(a14)が得られ、これを、さらなる精製は一切行わずに次のステップで直接使用する。
収率:90%。LC−MS(MH
+):304。
【0131】
2.3 6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a15)の合成。
アセトニトリル(2.5l)中{2−[(tert−ブトキシカルボニル)イミノ]−5−(メトキシメチル)−1,3,4−チアジアゾール−3(2H)−イル}酢酸(a14)(418g、1.38mol、1当量)に、室温で、トリエチルアミン(278.9g、2.76mol、2当量)、次いで、オキシ塩化リン(633.9g、4.13mol、3当量)を、連続的にゆっくり加える。反応混合物を80℃で1時間加熱する。反応完了後、水(2.2l)を、50℃でゆっくり慎重に(carrefully)加える。反応混合物をジクロロメタンで抽出し(2×1.2l)、合わせた有機層をNaOH/NaCl水溶液(飽和NaCl溶液1.4l+2NのNaOH400ml)により洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をアセトニトリル/水(1/1)から再結晶化させると、99.8gの純粋な6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a15)が得られる。
収率:36%。LC−MS(MH
+):204/206。
【0132】
2.4 6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−カルボアルデヒド(a16)の合成。
オキシ塩化リン(2.75ml、3当量)を、0℃で冷却したジメチルホルムアミド(5ml)にきわめてゆっくり加える。温度は50℃に上昇する。反応混合物を60℃で加熱し、次いで、6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a15)(2g、9.82mmol、1当量)を2.5時間かけて少しずつ加える。反応混合物を氷/水混合物上に注ぐ。沈殿物をろ過し、水で洗浄する。残留物を、減圧下で40℃にて一晩乾燥させると、1.8gの6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−カルボアルデヒド(a16)が固体として得られる。
収率:79%。
LC−MS(MH
+):232/234。
【0133】
2.5 [6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]−メタノール(a17)の合成。
6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−カルボアルデヒド(a16)(2.97g、12.94mmol、1当量)をエタノール(80ml)に溶解し、0℃で冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(578mg、15.53mmol、1.2当量)を0℃で少しずつ加える。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、0℃で冷却し、NH
4Cl飽和(satured)水溶液(100ml)を加える。有機溶媒を減圧下で蒸発させ、沈殿物をろ過し、真空下で20℃にて乾燥させると、1.99gの[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタノール(a17)が得られる。
収率:66%。LC−MS(MH
+):234/236。
【0134】
2.6 1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(8)、並びにエナンチオマー(9)及び(10)の合成。
1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン(8)及びエナンチオマーは、例(exemple)1.7に記載の方法に従って調製し得る。
化合物(8):
収率:3%。LC−MS(MH
+):398/400。
化合物9:1番目に溶出される、(−)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン:
収率:15%。LC−MS(MH
+):398/400。
化合物(10):2番目に溶出される、(+)−1−{[6−クロロ−2−(メトキシメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)イミダゾリジン−2−オン:
収率:7%。LC−MS(MH
+):398/400。
【0135】
(例3)
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン(11)及びエナンチオマー、4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(12)及びエナンチオマー、及び4−(2,2−ジフルオロエテニル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)−イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(17)の合成。
【化28】
3.1 5−(アジドメチル)−2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a18)の合成。
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.22g、24.88mmol、5当量)及び塩化メタンスルホニル(0.855g、7.47mmol、1.5当量)を、[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタノール(a3)(1.33g、4.98mmol,1当量)のジクロロメタン(30ml)中溶液に、0℃にて連続的にゆっくり加える。アジ化ナトリウム(0.485g、7.47mmol、1.5当量)を、DMF(5ml)に懸濁させた形態で0℃にて加え、次いで、室温まで温め、反応混合物を一晩撹拌する。加水分解(H
2O)及びジエチルエーテルでの抽出の後、合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させると、1.45gの5−(アジドメチル)−2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a18)が得られる。
収率:100%。LC−MS(MH
+):293。
【0136】
3.2 1−[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタンアミン(a19)の合成。
トリフェニルホスフィン(1.31g、4.98mmol、1当量)を、5−(アジドメチル)−2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール(a18)(1.45g、4.98mmol、1当量)のTHF/H
2O(18ml/2ml)中懸濁液に室温にて加える。反応混合物を室温で60時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、水を残留物に加え、この溶液を5NのHCl水溶液でpH2まで酸性化させ、次いでEt
2O(1×50ml)で抽出する。水層を、Na
2CO
3水溶液を加えることにより塩基性化し(pH8)、ジクロロメタン(2×50ml)で抽出し、堆積している有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させると、1−[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタンアミン(a19)が得られる。
収率:88%。LC−MS(MH
+):267。
【0137】
3.3 エチル5−(2,2−ジフルオロエテニル)−3−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−2−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシラート(a22)の合成。
4−ブロモ−1,1,1−トリフルオロブタ−2−エン(0.782g、4.14mmol、1.4当量)及び炭酸ナトリウム(0.376g、3.55mmol、1.2当量)を、1−[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メタンアミン(a19)のN,N−ジメチルホルムアミド(15ml)中懸濁液に加える。この混合物を室温で一晩撹拌すると、未精製の4,4,4−トリフルオロ−N−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}ブタ−2−エン−1−アミン(a20)が得られる。エトキシカルボニルイソシアナート(0.51g、4.43mmol、1.5当量)を反応混合物に加える。4時間後、反応が完全でないので、エトキシカルボニルイソシアナート(0.5当量)を再び加える。反応混合物を一晩撹拌すると、未精製のエチル({[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}[(4,4,4−トリフルオロブタ−2−エン−1−イル]カルバモイル)カルバマート(a21)が得られる。カリウムtert−ブトキシドを加え、反応混合物を75℃で4時間加熱する。冷却した後、反応混合物をトルエン(2×80ml)で抽出する。堆積している有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤:CH
2Cl
2/MeOH、99/1)により精製すると、エチル5−(2,2−ジフルオロエテニル)−3−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−2−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシラート(a22)(主要な化合物として)とエチル3−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−2−オキソ−5−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−1−カルボキシラート(a23)との混合物602mgが得られる。
収率:43%と推定される。
化合物(a22):LC−MS(MH
+):470。
化合物(a23):LC−MS(MH
+):490。
【0138】
3.4 1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン(11)並びにエナンチオマー(15)及び(16)、4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(12)並びにエナンチオマー(13)及び(14)、並びに4−(2,2−ジフルオロエテニル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)−イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(17)の合成。
これまでに得られた化合物(a22)と(a23)との混合物(600mg、1.28mmol)のTHF/HCl37%(10ml/15ml)中懸濁液を、80℃で7日間加熱する。冷却及び炭酸ナトリウムによる中和の後、反応混合物をCH
2Cl
2(2×80ml)で抽出し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物を、シリカゲル上のクロマトグラフィー(溶出剤:CH
2Cl
2/MeOH、99/1)により精製すると、3つの異なる画分が得られる。
第1の画分を蒸発させると、213mgの4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(12)が得られる。
収率:45%。LC−MS(MH
+):434。
第2の画分を蒸発させ、逆相クロマトグラフィー(塩基性条件;グラジエント;溶出剤:H
2O/CH
3CN/NH
4CO
3/NH
4OHを95/5/0.1/0.005から40/60/0.1/0.005へ;7分)により精製すると、8mgの1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)−イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン(11)が得られる。
LC−MS(MH
+):418。
第3の画分を蒸発させ、逆相クロマトグラフィー(塩基性条件;グラジエント;溶出剤:H
2O/CH
3CN/NH
4OHを60/40/0.1から30/70/0.1へ;10分)により精製すると、8mgの4−(2,2−ジフルオロエテニル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(17)が得られる。
LC−MS(MH
+):398。
【0139】
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(12)のエナンチオマーを、キラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak AS−V;30℃;カラムは50
*490mm;溶出剤:イソプロパノール/n−ヘプタン、50/50)により分離する。
純粋な(+)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ−[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(13)(1番目に溶出される、35mg)は、CH
2Cl
2/ヘキサン中で再結晶化させると得られる。
収率:16%。LC−MS(MH
+):434/436。
純粋な(−)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ−[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(14)(2番目に溶出される、32mg)は、CH
2Cl
2/ヘキサン中で再結晶化させると得られる。
収率:15%。LC−MS(MH
+):434/436。
【0140】
1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)−イミダゾ[2,1−b][1,3,4]−チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン(11)(130mg)のエナンチオマーを、キラルクロマトグラフィー(相:Chiralpak AS−V;30℃;カラムは50
*490mm;溶出剤:イソプロパノール/n−ヘプタン、50/50)により分離する。
純粋な(+)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)−イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン(15)(1番目に溶出される、65mg)は、CH
2Cl
2/ヘキサン中で再結晶化させると得られる。
収率:50%。LC−MS(MH
+):418。
純粋な(−)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)−イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)イミダゾリジン−2−オン(16)(2番目に溶出される、63mg)は、CH
2Cl
2/ヘキサン中で再結晶化させると得られる。
収率:48%。LC−MS(MH
+):418。
【0141】
(例4)
4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(18)の合成。
【化29】
HCl(37%、4ml)を、エチル5−(2,2−ジフルオロエテニル)−3−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−2−オキソイミダゾリジン−1−カルボキシラート(a22)(226mg、0.48mmol)に室温で加え、次いで、100℃で60時間撹拌する。冷却及び炭酸ナトリウムによる中和の後、反応混合物をCH
2Cl
2(2×30ml)で抽出し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をクロマトグラフィー(塩基性条件;グラジエント;溶出剤:H
2O/CH
3CN/NH
4CO
3/NH
4OHを95/5/0.1/0.005から40/60/0.1/0.005へ;7分)により精製すると、25mgの純粋な4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(ヒドロキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)−イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(18)が得られる。
収率:12%。LC−MS(MH
+):420/422。
化合物(19)は、(a23)から出発して、同じ方法に従って合成し得る。
【0142】
(例5)
(+)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}−3−メチルイミダゾリジン−2−オン(22)の合成。
【化30】
(−)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(14)(120mg、0.277mmol)のCH
2Cl
2(12ml)中溶液に、水酸化ナトリウム(3.96ml、1M溶液)、臭化テトラブチルアンモニウム(82mg、0.1当量)、及びヨードメタン(0.035ml、2当量)を0℃で加える。この混合物を室温で120時間撹拌する。ヨードメタン(0.060ml)を加え、この混合物を室温で24時間撹拌する。ヨードメタンを加え(2×0.060ml)、この混合物を72時間撹拌する。水を加え、反応混合物をCH
2Cl
2で抽出し(2回)、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残留物をクロマトグラフィー(塩基性条件;グラジエント;溶出剤:H
2O/CH
3CN/NH
4OHを60/40/0.1から30/70/0.1へ;10分)により精製すると、54mgの純粋な(+)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]−チアジアゾール−5−イル]メチル}−3−メチルイミダゾリジン−2−オン(22)が得られる。
収率:43%。LC−MS(MH
+):448/450。
化合物(23)は、(+)−4−(2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル)−1−{[2−(メトキシメチル)−6−(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアジアゾール−5−イル]メチル}イミダゾリジン−2−オン(13)から出発して、同じ方法に従って合成し得る。
【0143】
表(I)は、本化合物のIUPAC名、質量分析において観察されるイオンピーク、1H NMRの記載、融点又はDSCの開始温度、及びαDを示すものである。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0144】
(例6)
SV2Aとの結合アッセイ。
化合物の阻害定数(Ki)を競合結合実験において決定するが、その際の方法は、単一濃度の放射性リガンドの、多様な濃度の非標識化試験物質との平衡状態での結合を測定することによる。放射性リガンドの特異的結合の50%を阻害する試験物質の濃度は、IC
50と呼ばれる。平衡解離定数Kiは、IC
50に比例するので、Cheng及びPrusoffの方程式を用いて算出する(Cheng Y.ら、Biochem.Pharmacol.、(1972)、22、3099〜3108ページ)。
【0145】
濃度範囲は、通常、6log単位にわたり、可変刻み(0.3〜0.5log)が用いられる。アッセイは、1連又は2連で実施し、各Kiの決定は、試験物質の2つの異なる試料に対して実施する。
【0146】
200〜250gの雄のSprague−Dawleyラット由来の大脳皮質を、Potter Sホモジナイザー(1,000rpmで10ストローク;Braun、ドイツ)を用いて20mmol/lのトリス−HCl(pH7.4)、250mmol/lのショ糖(緩衝液A)中でホモジナイズするが、このときすべての操作は4℃で実施する。ホモジネートを30,000gで15分間遠心分離する。得られた未精製の膜ペレットを50mmol/lのトリス−HCl(pH7.4)(緩衝液B)に再懸濁させ、37℃で15分インキュベートし、30,000gで15分間遠心分離し、同じ緩衝液で2回洗浄する。最終的なペレットを15〜25mg/mlの範囲のタンパク質濃度で緩衝液Aに再懸濁させ、液体窒素中で保存する。
【0147】
膜(1アッセイ当たり150〜200μgのタンパク質)を、2mmol/lのMgCl
2、1〜2 10
−9mol/lの[3H]−2−[4−(3−アジドフェニル)−2−オキソ−1−ピロリジニル]ブタンアミド、及び漸増濃度の式Iの試験化合物を含有する0.5mlの50mmol/lのトリス−HCl緩衝液(pH7.4)中で4℃にて120分間インキュベートする。非特異的結合(NSB)は、本質的にすべての受容体と結合するある濃度の参照物質(例えば、10
−3mol/lのレベチラセタム)の存在下で観察される残りの結合と定義される。膜に結合した放射性リガンド及び遊離放射性リガンドを、0.1%ポリエチレンイミン及び10
−3mol/lのレベチラセタム中に予浸して非特異的結合を減少させたガラス繊維フィルター(Whatman GF/C又はGF/B、VEL、ベルギーと等価なもの)を通して急速ろ過により分離する。試料及びフィルターを、少なくとも6mlの50mmol/lのトリス−HCl(pH7.4)緩衝液によりすすぐ。ろ過手順全体で、1試料当たり10秒を超えない。フィルター上に捕捉された放射能を、β−カウンター(Tri−Carb1900又はTopCount9206、Camberra Packard、ベルギー、又は、任意の他の等価なカウンター)での液体シンチレーションにより計数する。データ分析は、質量の法則に従う相互作用しない独立した受容体集団であると仮定して、いくつかの結合モデルを記述する一連の方程式を用いた、コンピューター化された非線形カーブフィッティング法により実施する。
【0148】
本発明による式(I)の化合物は、典型的に、少なくとも約7.0のpIC
50値を示す。
【0149】
(例7)
SV2Cとの結合アッセイ。
このアッセイには、COS−7細胞において発現されたSV2Cを標準条件下で使用する。[
3H]−(+)−4−(3−アジド−2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)ピロリジン−2−オンが、SV2Cと選択的に結合するラジオリガンドとして使用され、それにより試験化合物の他と異なる結合が測定され、試験化合物のIC
50は、当業者に公知の条件下で算出される。
【0150】
本発明による式(I)の化合物は、典型的に、少なくとも6.0のpIC
50値を示す。
【0151】
(例8)
発作モデル。
次の3つの発作モデルは、てんかん患者における発作の制御において潜在的に有用な化合物の判定において予測的であると考えられる。加えて、6Hz発作モデル(6 Hz seizure model)は、不応性発作を起こす患者において臨床活性を有する化合物の同定に有用であると提案されている(Bartonら、Epilepsy Res.、(2001)、47、217〜27ページ)。
【0152】
8.1 音の影響を受けやすいマウス(聴原発作)の動物モデル。
この試験の目的は、音の影響を受けやすいマウス、すなわち、反射性発作を起こす遺伝動物モデルを対象として、化合物の抗けいれん薬としての効力を評価することである。この原発性全般てんかんモデルにおいては、発作は、電気的又は化学的な刺激がなくても誘発され、発作のタイプは、少なくとも部分的に、臨床的現象において、ヒトに生じる発作と類似している(Loscher W.及びSchmidt D.、Epilepsy Res.、(1998)、2、145〜181ページ;Buchhalter J.R.、Epilepsia、(1993)、34、S31〜S41ページ)。
【0153】
遺伝的に音に敏感な雄又は雌のマウス(14〜28g;N=10)を使用するが、このマウスは、Laboratory of Acoustic Physiology(Paris)のLehmann博士が最初に選抜したDBA系から誘導され、UCB Pharma Sector畜産ユニットで1978年以来育種されているものである。実験計画は、いくつかの群から成り、1群はビヒクル対照の投与を受け、他の群は、異なる用量の試験化合物の投与を受ける。本化合物を聴原発作誘導の60分前に腹腔内投与する。投与される用量の範囲は、対数的に上昇し、一般には1.0×10−5mol/kg〜1.0×10−3mol/kgの間であるが、必要に応じて、より低い又はより高い用量を試験する。
【0154】
試験に際し、動物は、1ケージ当たりマウス1匹として小型のケージに入れ、防音室に置いた。30秒の順応期間の後、各ケージの上方に配置した拡声器を介して、聴覚刺激(90dB、10〜20kHz)を30秒間送達する。この間隔中、マウスを観察し、3段階の発作行動、すなわち、激しい走り回り(wild running)、間代性けいれん、及び強直性けいれんの有無を記録する。激しい走り回り、間代性けいれん、及び強直性けいれんに対して保護されたマウスの割合を、それぞれ算出する。
【0155】
活性化合物については、ED50値、すなわち、対照群に比して50%の保護をもたらす用量を、3段階の発作行動それぞれについて、保護されたマウスの割合のプロビット解析(SAS/STAT(登録商標)ソフトウェア、バージョン6.09、PROBIT法)を用いて、95%信頼限界と一緒に算出する。
【0156】
例1〜3に記載し表1に記載した手順に従って合成した化合物を、マウスにおける聴原発作を対象として先述の手順に従って試験すると、活性があることが見出される。
【0157】
8.2 6Hz発作モデル
体重20〜30gの雄のNMRIマウス(Charles River、フランス)を、すべての実験において使用する。動物は、0600時に点灯する12/12時間明/暗サイクルで保ち、20〜21℃で維持された温度及び約40%の湿度の条件で飼育する。マウスは、ケージ(38×26×14cm)1つ当たり10匹の群で飼育する。すべての動物は、標準的なペレット飼料及び水を自由に摂取することができ、その後、それぞれマウス10匹から成る実験群にランダムに割り付ける。すべての動物実験は、ヘルシンキ宣言に従って行い、欧州共同体理事会指令86/609/EECのガイドラインに従い実行する。地域の倫理委員会により、本実験のプロトコールは承認された。
【0158】
6Hzモデルを、先述のプロトコール(Kaminskiら、Epilepsia、(2004)、45、864〜867ページ)に従って行う。簡潔に言えば、角膜刺激(44mA、0.2ms幅の6Hzの単極矩形波を3秒間)を定電流器具(ECT Unit 57800、Ugo Basile、Comerio、イタリア)により送達する。一滴の0.4%塩酸オキシブプロカイン(Unicaine、Thea、フランス)を眼に載せてから電気刺激を与えた。刺激を与えている間、マウスを手で拘束し、電流を加えた直後に、観察ケージ(38×26×14cm)中に放つ。発作には、多くの場合、短期間(約2〜3秒)の強い運動性の興奮(激しい走り回り及び跳び上がり)が先行する。次いで、動物は、「呆然とした」ような姿勢を呈し、立ち上がり、前肢の自動的な動き、及びクローヌス、洞毛の単収縮(twitching of the vibrissae)、及び挙尾(Strub−tail)を伴う。発作の終わりに、動物は、正常な探索行動を再開する。実験の評価項目は、発作に対する保護である。刺激から7秒以内に正常な探索行動を再開すれば、動物は保護されているとみなされる。
【0159】
試験化合物について決定されたin vivo活性は、典型的には、0.05mg/kg〜10mg/kgの間に含まれる。
【0160】
8.3 ペンチレンテトラゾール(PTZ)発作モデル
動物を、例6.2に記載のとおりに準備する。
【0161】
ペンチレンテトラゾールは、これまでに確立されているCD97用量、すなわち、マウスの97%において4本の四肢すべてに間代性けいれんを誘導するけいれん誘発用量である89mg/kgで使用する(Klitgaardら、Eur.J.Pharmacol.、(1998)、353、191〜206ページ)。ペンチレンテトラゾールの注射後直ちに、マウスを個々にPerspexケージ内に置き、4本の四肢すべてにおける間代性けいれんと、強直性の後肢伸張との有無について、60分間にわたり観察する。