(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1−(((5S,7S)−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−((トリメチルシリル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((1−(メトキシメチル)シクロペンチル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((1−エチルシクロブチル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−7−メチル−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−エチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−7−メチル−2−オキソ−3−(((S)−テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2−エトキシ−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(3−イソプロポキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2−シアノ−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2,2−ジメチル−3−(トリフルオロメトキシ)プロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2,2−ジメチルシクロヘキシル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
3−(−7−((6−シアノ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン酸メチル;
5−フルオロ−1−((−2−オキソ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
7−((6−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジクロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジフルオロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
3−ネオペンチル−7−((6−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
2−エチル−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−クロロ−1−((3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル)メチル)−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−((−3−((4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−((−3−((4−エチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−((−3−(2−メチルブチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−フルオロ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−((−7−エチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−{[3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル−d2;
4−クロロ−1−(((5S,7S)−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−ブロモ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−メトキシ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−(3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−エチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(3−エトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−(((5S,7S)−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
7−((6−クロロ−5−フルオロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−((1−(メトキシメチル)シクロプロピル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((4−(メトキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
(5S,7S)−3−(3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−((6−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−(((S)−テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((1−メチルシクロブチル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−{[(5S,7S)−3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル−d2;
1−(((5S,7S)−3−(2,2−ジメチルブチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((S)−2−メチルブチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(シクロペンチルメチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−メチル−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;または
1−{[(5S,7S)−7−メチル−3−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
から選択される化合物またはその薬学上許容される塩。
【発明の概要】
【0008】
一態様において、本発明は、スピロカルバメートアナログ、その薬学上許容される塩、およびそれらを含有する医薬組成物を提供する。
【0009】
第2の態様において、本発明は、TRPV4拮抗薬としての式(I)の化合物の使用を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、TRPV4の不均衡に関連する病態を治療および予防するための式(I)の化合物の使用を提供する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、アテローム性動脈硬化症、腸管浮腫、術後腹浮腫、局部および全身浮腫に関連する障害、体液貯留、敗血症、高血圧症、炎症、骨関連機能障害および鬱血性心不全、肺障害、慢性閉塞性肺障害、人工呼吸器誘発肺損傷、高地肺水腫、急性呼吸窮迫症候群、急性肺損傷、肺線維症、副鼻腔炎/鼻炎、喘息、過活動膀胱、疼痛、運動ニューロン障害、遺伝性機能獲得型障害、心血管疾患、腎機能障害、変形性関節症、クローン病、大腸炎、下痢、腸管不順(過敏性/低反応性)、大便失禁、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、腸疼痛および痙攣、セリアック病、ラクトース不耐症、および鼓腸の治療または予防のための、式(I)の化合物の使用を提供する。
【0012】
TRPV4拮抗薬は、単独で投与してもよいし、または1種類以上の他の治療薬と併用して投与してもよく、例えば、薬剤は、エンドセリン受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、バソペプチダーゼ阻害薬、バソプレシン受容体調節薬、利尿薬、ジゴキシン、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬、強心薬、NSAID、一酸化窒素供与体、カルシウムチャネル調節薬、ムスカリン拮抗薬、ステロイド系抗炎症薬、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、βアドレナリン受容体およびα1アドレナリン受容体二重非選択的拮抗薬、5型ホスホジエステラーゼ阻害薬、ならびにレニン阻害薬からなる群から選択される。
【0013】
本発明のその他の態様および利点を、以下のその好ましい実施態様の詳細な説明においてさらに説明する。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
R
1は、水素、C
1−3アルキル、CH
2OH、CH
2−O−CH
3、CH
2OCH
2Ph、CH
2CN、CN、ハロまたはC(O)OCH
3であり;
R
2は、独立に、水素、CN、CF
3、ハロ、SO
2C
1−3アルキル、C
1−3アルキルまたはC≡CHであり;
R
3は、水素、C
1−2アルキル、CF
3または−OHであり;
R
4は、水素、ハロまたはC
1−3アルキルであり;
Xは、CR
4またはNであり;
Aは、置換されていないか、またはハロ、C
1−3アルキル、C
3−6シクロアルキル、Si(CH
3)
3、CN、C≡CH、OC
1−3アルキル、SMe、CF
3、OCF
3、SCF
3、C(O)OR
c、C(O)(NR
dR
e)、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、もしくはオキソテトラヒドロピロリルから選択される1〜5個の置換基で置換されたC
1−6アルキルであり;
ここで、前記テトラヒドロフリルおよびテトラヒドロピラニルは1個または2個のC
1−3アルキル基でさらに置換されていてもよく;
あるいは、Aは、1以上のC
1−3アルキル基で置換されたC
5−6シクロアルキルであり;
あるいは、Aは、(CHR
f)
n−(CR
aR
b)−(CH
2)
m−R
xであり;
R
aは、水素またはC
1−3アルキルであり;ここで、前記C
1−3アルキルは1以上のハロでさらに置換されていてもよく;
R
bは、C
1−3アルキルであり;
あるいは、R
aおよびR
bは、それらが結合している炭素原子と一緒にC
3−6シクロアルキル基を形成し;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が酸素で置換されてオキセタン、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニル基を形成していてもよく;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が窒素で置換されてジヒドロピロイル基(dihydropyrroyl)を形成していてもよく、これはSO
2Me、C
1−4アルキル、またはC(O)C
1−4アルキルでさらに置換されていてもよく;
R
xは、水素、ジヒドロフリル、C(O)OR
c、C(O)−(NR
dR
e)、OC
1−4アルキル、CF
3、CN、C(O)ピペリジニル、C
1−4アルキル、または−OCF
3であり;
R
cは、C
1−4アルキルであり;
R
dは、C
1−4アルキルまたはC
3−6シクロアルキルであり;
R
eは、水素またはC
1−4アルキルであり;
R
fは、水素またはC
1−3アルキルであり;
nは、1、2、または3であり;
mは、0、1、または2であり;
yは、0、1、または2である]
の化合物またはその薬学上許容される塩を提供する。
【0015】
「アルキル」は、特定の数の炭素員原子を有する一価の飽和炭化水素鎖を意味する。例えば、C
1−4アルキルは、1〜4個の炭素員原子を有するアルキル基を意味する。アルキル基は、直鎖であっても分岐していてもよい。代表的な分岐アルキル基は、1個、2個または3個の分岐を有する。アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、(n−プロピルおよびイソプロピル)、およびブチル(n−ブチル、イソブチル、s−ブチルおよびt−ブチル)が挙げられる。
【0016】
「シクロアルキル」は、特定の数の炭素員原子を有する一価の飽和または不飽和炭化水素環を意味する。例えば、C
3−6シクロアルキルは、3〜6個の炭素員原子を有するシクロアルキル基を意味する。不飽和シクロアルキル基は、環内に1以上の炭素−炭素二重結合を有する。シクロアルキル基は芳香族ではない。シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、およびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0017】
本明細書で用いる場合、用語「ハロゲン」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、ならびにフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをそれぞれ意味する。
【0018】
ある基に関して「置換された」とは、その基内の員原子に結合した1以上の水素原子が、定義した置換基の群から選択される置換基で置換されていることを示す。「置換された」という用語には、このような置換が置換された原子および置換基の許容される原子価に従ったものであり、その置換の結果安定な化合物(すなわち、転位、環化、または脱離などにより自発的に変換を受けず、反応混合物から単離しても残存するに十分頑強な化合物)が生じるという暗黙の条件を含むと理解されるべきである。基が1以上の置換基を含み得ると記載されている場合、その基内の1以上(適宜)の員原子が置換されていてもよい。さらに、このような置換が原子の許容される原子価に従ったものである限り、その基内の1個の員原子が2個以上の置換基で置換されていてもよい。本明細書では、置換されたまたは場合により置換されていてもよい各基について、好適な置換基を定義する。
【0019】
立体異性体に関して、式(I)の化合物は1以上の不斉炭素原子を有していてもよく、ラセミ化合物、ラセミ混合物、および個々の鏡像異性体またはジアステレオマーまたはジアステレオマー混合物として存在し得る。このような異性形は、その混合物を含めて総てが本発明に含まれる。
【0020】
本明細書において「薬学上許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、またはその他の問題や混乱なく、ヒトおよび動物の組織に接触させて用いるのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合っている、化合物、材料、組成物および投与形を意味する
【0021】
当業者ならば、式(I)の化合物の薬学上許容される塩が調製可能であることが分かるであろう。これらの薬学上許容される塩は、化合物の最終単離および精製中にin situで、または遊離酸もしくは遊離塩基の形態の精製化合物をそれぞれ好適な塩基または酸で個別に処理することにより調製可能である。
【0022】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は酸性官能基を含み得るため、好適な塩基で処理することにより薬学上許容される塩基付加塩を形成することができる。このような塩基の例としては、a)ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛の水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩、ならびにb)メチルアミン、エチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびシクロヘキシルアミンなどの、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、およびヒドロキシアルキルアミンを含む、第一級、第二級、第三級アミンが挙げられる。
【0023】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は塩基性官能基を含み得るため、好適な酸で処理することにより薬学上許容される酸付加塩を形成することができる。好適な酸としては、薬学上許容される無機酸および有機酸が挙げられる。代表的な薬学上許容される酸としては、塩化水素、臭化水素、硝酸、硫酸、スルホン酸、リン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸、タンニン酸、ギ酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、メチルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、オレイン酸、ラウリン酸などが挙げられる。
【0024】
本明細書において「式(I)の化合物」とは、1以上の式(I)の化合物を意味する。式(I)の化合物は、固体または液体形態で存在し得る。固体状態では、結晶形態もしくは非結晶形態で、またはそれらの混合体として存在し得る。当業者ならば、結晶化の間に溶媒分子が結晶格子中に組み込まれる結晶化合物から、薬学上許容される溶媒和物が形成され得るということが分かるであろう。溶媒和物は、限定されるものではないが、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、または酢酸エチルなどの非水性溶媒を含んでもよく、または結晶格子中に組み込まれる溶媒として水を含んでもよい。結晶格子中に組み込まれる溶媒が水である溶媒和物は、通常「水和物」と呼ばれる。水和物としては、化学量論的水和物、ならびに可変量の水を含有する組成物が挙げられる。本発明にはこのような溶媒和物が総て含まれる。
【0025】
当業者ならば、結晶形態で存在する本発明の特定の化合物は、その種々の溶媒和物を含め、多形性(すなわち、様々な結晶構造で存在する能力)を示し得ることがさらに分かるであろう。これらの様々な結晶形態は通常「多形体」として知られる。本発明にはこのような多形体が総て含まれる。多形体は、化学組成は同じであるが、充填、幾何学的配置、および結晶固体状態のその他の記述的特性が異なる。従って、多形体は、形状、密度、硬度、変形能、安定性および溶解特性などの物理的特性が異なり得る。多形体は、一般に、異なる融点、IRスペクトル、およびX線粉末回折図形を示し、これらを同定に用いることができる。当業者ならば、例えば、化合物の作製に用いる反応条件または試薬を変更または調整することにより様々な多形体が生産され得ることが分かるであろう。例えば、温度、圧力または溶媒を変更することで多形体が生じ得る。さらに、特定の条件下で、ある多形体が別の多形体へ自発的に変換する場合がある。
【0026】
本発明は同位体標識された化合物も含むが、これらの化合物は、1以上の原子が通常天然に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子に置き換わっているということ以外は、式(I)および以下に記載の化合物と同一である。本発明の化合物およびその薬学上許容される塩に組み込むことのできる同位体の例としては、
2H、
3H、
11C、
13C、
14C、
15N、
17O、
18O、
31P、
32P、
35S、
18F、
36Cl、
123Iおよび
125Iなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体が挙げられる。
【0027】
前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物ならびに前記化合物の薬学上許容される塩は、本発明の範囲内にある。本発明の同位体標識された化合物、例えば、
3H、
14Cなどの放射性同位体が組み込まれた化合物は、薬物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、
3H同位体、および炭素−14、すなわち
14C同位体は、その調製の容易さおよび検出性のために特に好ましい。
11Cおよび
18F同位体はPET(陽電子放射型断層撮影)において特に有用であり、
125I同位体はSPECT(単光子放射コンピューター断層撮影)において特に有用であり、いずれも脳の撮像において有用である。さらに、重水素、すなわち、
2Hなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性が高まることから、例えばin vivo半減期の延長や必要用量の減少といった特定の治療上の利点が得られるため、場合によっては好ましいことがある。本発明の、式Iおよび以下の同位体標識された化合物は、非同位体標識化試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識化試薬を用いることにより、以下のスキームおよび/または実施例に開示されている手順を実施することによって通常製造することができる。
【0028】
代表的実施形態
一実施形態において、
R
1は、水素、C
1−3アルキル、CH
2OH、CH
2−O−CH
3、CH
2OCH
2Ph、CH
2CN、CN、ハロまたはC(O)OCH
3であり;
R
2は、独立に、水素、CN、CF
3、ハロ、SO
2C
1−3アルキル、C
1−3アルキルまたはC≡CHであり;
R
3は、水素、C
1−2アルキル、CF
3または−OHであり;
R
4は、水素、ハロまたはC
1−3アルキルであり;
Xは、CR
4またはNであり;
Aは、置換されていないか、またはハロ、C
1−3アルキル、C
3−6シクロアルキル、Si(CH
3)
3、CN、C≡CH、OC
1−3アルキル、SMe、CF
3、OCF
3、SCF
3、C(O)OR
c、C(O)(NR
dR
e)、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、もしくはオキソテトラヒドロピロリルから選択される1〜5個の置換基で置換されたC
1−6アルキルであり;
ここで、前記テトラヒドロフリルおよびテトラヒドロピラニルは1個または2個のC
1−3アルキル基でさらに置換されていてもよく;
あるいは、Aは、1以上のC
1−3アルキル基で置換されたC
5−6シクロアルキルであり;
あるいは、Aは、(CHR
f)
n−(CR
aR
b)−(CH
2)
m−R
xであり;
R
aは、水素またはC
1−3アルキルであり;ここで、前記C
1−3アルキルは1以上のハロでさらに置換されていてもよく;
R
bは、C
1−3アルキルであり;
あるいは、R
aおよびR
bは、それらが結合している炭素原子と一緒にC
3−6シクロアルキル基を形成し;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が酸素で置換されてオキセタン、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニル基を形成していてもよく;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が窒素で置換されてジヒドロピロイル基(dihydropyrroyl)を形成していてもよく、これはSO
2Me、C
1−4アルキル、またはC(O)C
1−4アルキルでさらに置換されていてもよく;
R
xは、水素、ジヒドロフリル、C(O)OR
c、C(O)−(NR
dR
e)、OC
1−4アルキル、CF
3、CN、C(O)ピペリジニル、C
1−4アルキル、または−OCF
3であり;
R
cは、C
1−4アルキルであり;
R
dは、C
1−4アルキルまたはC
3−6シクロアルキルであり;
R
eは、水素またはC
1−4アルキルであり;
R
fは、水素またはC
1−3アルキルであり;
nは、1、2、または3であり;
mは、0、1、または2であり;
yは、0、1、または2である。
【0029】
別の実施形態では、
R
1は、水素またはC
1−3アルキルであり;
R
2は、独立に、水素、CN、CF
3、ハロまたはC
1−3アルキルであり;
R
3は、水素、C
1−2アルキル、CF
3または−OHであり;
Xは、Nであり;
Aは、置換されていないか、またはハロ、C
1−3アルキル、C
3−6シクロアルキル、Si(CH
3)
3、CN、C≡CH、OC
1−3アルキル、SMe、CF
3、OCF
3、SCF
3、C(O)OR
c、C(O)(NR
dR
e)、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、もしくはオキソテトラヒドロピロリルから選択される1〜5個の置換基で置換されたC
1−6アルキルであり;
ここで、前記テトラヒドロフリルおよびテトラヒドロピラニルは1個または2個のC
1−3アルキル基でさらに置換されていてもよく;
あるいは、Aは、1以上のC
1−3アルキル基で置換されたC
5−6シクロアルキルであり;
あるいは、Aは、(CHR
f)
n−(CR
aR
b)−(CH
2)
m−R
xであり;
R
aは、水素またはC
1−3アルキルであり;ここで、前記C
1−3アルキルは1以上のハロでさらに置換されていてもよく;
R
bは、C
1−3アルキルである;
あるいは、R
aおよびR
bは、それらが結合している炭素原子と一緒にC
3−6シクロアルキル基を形成し;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が酸素で置換されてオキセタン、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニル基を形成していてもよく;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が窒素で酸化されてジヒドロピロイル基(dihydropyrroyl)を形成していてもよく、これはSO
2Me、C
1−4アルキル、またはC(O)C
1−4アルキルでさらに置換されていてもよく;
R
xは、水素、ジヒドロフリル、C(O)OR
c、C(O)−(NR
dR
e)、OC
1−4アルキル、CF
3、CN、C(O)ピペリジニル、C
1−4アルキル、または−OCF
3であり;
R
cは、C
1−4アルキルであり;
R
dは、C
1−4アルキルまたはC
3−6シクロアルキルであり;
R
eは、水素またはC
1−4アルキルであり;
R
fは、水素またはC
1−3アルキルであり;
nは、1、2、または3であり;
mは、0、1、または2であり;
yは、1または2である。
【0030】
さらに別の実施形態では、
R
1は、水素またはC
1−3アルキルであり;
R
2は、独立に、水素、CN、ハロまたはC
1−3アルキルであり;
R
3は、水素であり;
Xは、Nであり;
Aは、置換されていないか、またはハロ、C
1−3アルキル、C
3−6シクロアルキル、Si(CH
3)
3、CN、C≡CH、OC
1−3アルキル、SMe、CF
3、OCF
3、SCF
3、C(O)OR
c、C(O)(NR
dR
e)、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、もしくはオキソテトラヒドロピロリルから選択される1〜5個の置換基で置換されたC
1−6アルキルであり;
ここで、前記テトラヒドロフリルおよびテトラヒドロピラニルは1個または2個のC
1−3アルキル基でさらに置換されていてもよく;
あるいは、Aは、(CHR
f)
n−(CR
aR
b)−(CH
2)
m−R
xであり;
R
aは、水素またはC
1−3アルキルであり;ここで、前記C
1−3アルキルは1以上のハロでさらに置換されていてもよく;
R
bは、C
1−3アルキルであり;
あるいは、R
aおよびR
bは、それらが結合している炭素原子と一緒にC
3−6シクロアルキル基を形成し;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が酸素で置換されてオキセタン、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニル基を形成していてもよく;
あるいは、R
aおよびR
bにより形成されたC
3−6シクロアルキル基の炭素原子の1個が窒素で置換されてジヒドロピロイル基(dihydropyrroyl)を形成していてもよく、これはSO
2Me、C
1−4アルキル、またはC(O)C
1−4アルキルでさらに置換されていてもよく;
R
xは、水素、ジヒドロフリル、C(O)OR
c、C(O)−(NR
dR
e)、OC
1−4アルキル、CF
3、CN、C(O)ピペリジニル、C
1−4アルキル、または−OCF
3であり;
R
cは、C
1−4アルキルであり;
R
dは、C
1−4アルキルまたはC
3−6シクロアルキルであり;
R
eは、水素またはC
1−4アルキルであり;
R
fは、水素またはC
1−3アルキルであり;
nは、1であり;
mは、0または1であり;かつ
yは、1または2である。
【0031】
本発明は上記の特定の基のあらゆる組合せを包含するものと理解すべきである。
【0032】
本発明の化合物の具体例としては以下のものが挙げられる:
1−(((5S,7S)−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−((トリメチルシリル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((1−(メトキシメチル)シクロペンチル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((1−エチルシクロブチル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−7−メチル−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−エチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−7−メチル−2−オキソ−3−(((S)−テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2−エトキシ−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(3−イソプロポキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2−シアノ−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2,2−ジメチル−3−(トリフルオロメトキシ)プロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2,2−ジメチルシクロヘキシル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
3−(−7−((6−シアノ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン酸メチル;
5−フルオロ−1−((−2−オキソ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
7−((6−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジクロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジフルオロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジメトキシ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
7−((5,6−ジメチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
3−ネオペンチル−7−((6−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
2−エチル−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−クロロ−1−((3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル)メチル)−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−((−3−((4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−((−3−((4−エチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−((−3−(2−メチルブチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−フルオロ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−((−7−エチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−{[3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル−d2;
4−クロロ−1−(((5S,7S)−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−ブロモ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−メトキシ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−(3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((2−エチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(3−エトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−(((5S,7S)−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
7−((6−クロロ−5−フルオロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−3−((2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
5−フルオロ−1−((−3−((1−(メトキシメチル)シクロプロピル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((4−(メトキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
(5S,7S)−3−(3−メトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−((6−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−クロロ−1−(((5S,7S)−2−オキソ−3−(((S)−テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((1−メチルシクロブチル)メチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−{[(5S,7S)−3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル−d2;
1−(((5S,7S)−3−(2,2−ジメチルブチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−((S)−2−メチルブチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−(((5S,7S)−3−(シクロペンチルメチル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
4−メチル−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル;
1−{[(5S,7S)−7−メチル−3−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
またはその薬学上許容される塩。
【0033】
化合物の製造
当業者ならば、本明細書に記載の置換基が本明細書に記載の合成法に適合しない場合、反応条件に対して安定である好適な保護基で置換基を保護してもよいことが分かるであろう。保護基は一連の反応における好適な時点で除去し、所望の中間体または目的化合物を得ることができる。好適な保護基およびそのような好適な保護基を用いて様々な置換基を保護および脱保護する方法は当業者に周知であり、それらの例は、T. Greene and P. Wuts,
Protecting Groups in Chemical Synthesis (3rd ed.), John Wiley & Sons, NY (1999)に見出すことができる。いくつかの例では、置換基は、用いる反応条件下で反応性があるように特異的に選択することができる。こうした状況下では、それらの反応条件により、選択した置換基は、中間体化合物として有用であるかあるいは目的化合物中の所望の置換基である別の置換基に変換される。
【0034】
一般式(I)の化合物ならびにその薬学上許容される誘導体および塩の合成は、以下のスキーム1〜3に概要を示す通りに行うことができる。以下の記載において、特に断りのない限り、基は、式(I)の化合物に関して上記で定義した通りである。省略形および用語は、実施例の節の前に示されている通りである。出発物質は市販のものであるか、あるいは当業者に公知の方法を用いて市販の出発物質から製造される。
【0035】
スキーム1に示されるように、鏡像異性体的に純粋な式Iの化合物は、置換シクロへキセノン(R
1=H、Me)から多段階法で製造することができる。S,S−ヒドロベンゾインは、ベンゼン中、シクロへキセノンと縮合させて光学的に純粋なケタールを形成することができる。亜鉛およびジヨードメタンを用いたケタールオレフィンのシクロプロパン化により1つのシクロプロパンジアステレオマーが得られ、これを、メタノール中の臭化水素酸を用いて開環して臭化アルキルとすることができる。この臭化物をカリウムフタルイミドで置換し、ヒドラジンで脱保護すると第一級アミンが得られる。このアミンを置換オルト−フルオロニトロベンゼンでのS
NAr2置換によりアルキル化してアニリン中間体を得ることができる。このニトロ基を酢酸中、鉄で還元し、オルトギ酸トリメチルと縮合させ、結果としてベンズイミダゾールを得ることができる。このケタールをギ酸を用いて還元すると対応するケトンが得られ、これを、ヨウ化トリメチルスルホキソニウムか、またはヨウ化トリメチルスルホニウムとt−ブトキシドもしくは水素化ナトリウムなどの塩基かのいずれかを用いてエポキシドに変換し、シス−/トランス−エポキシドの混合物を得ることができる。
【0036】
スピロカルバメート基は二段階の手順によって導入することができる。まず、エポキシドを、高温下、アルコール溶媒(iPrOH、MeOH、もしくはEtOH)またはDMF中、アミンで処理してアミノアルコールを得ることができる。粗アミノアルコールを1,4−ジオキサンに溶かし、高温下、CDIで処理して式Iの化合物を得ることができる。
【0038】
あるいは、光学的に純粋な式1化合物は、スキーム2に示されるように製造することもできる。キラルチオ尿素触媒を用いたマイケル付加によりニトロメタンをシクロへキセノンとすることで、光学的に高密度のニトロメチルシクロヘキサノンを得ることができる。このケトンはエチレングリコールでアセトニドとして保護することができ、このニトロ基を、パラジウム炭素上での触媒的水素化を用いて還元、第一級アミンとすることができる。次に、必要なベンズイミダゾール部分を、アミンのS
NAr2付加により、第一級アミンから置換2−フルオロニトロベンゼンに導入し、続いてニトロベンゼンを還元してフェニレンジアミンを得ることができる。このジアミンを酸性条件下でオルトギ酸トリメチルと縮合させて置換ベンズイミダゾールを生成することができる。次に、アセトニド保護基を酸性条件下で除去すると、ケトンを生成することができる。ケトンは、スキーム1に記載のエポキシド開環法によって式Iの化合物に変換することができる。
【0040】
式Iのラセミ化合物は、スキーム1もしくは2の改変ラセミ型を用いて、あるいはスキーム3に記載のように、3−ヒドロキシ安息香酸メチルから出発し、多段階法で製造することができる。3−ヒドロキシ安息香酸メチルを、エタノール中、アルミナ上ロジウムで水素化した後、酸化ルテニウムおよび過臭素酸ナトリウムを用い、この第二級アルコールを酸化してケトンとすることができる。このケトンは、従前にスキーム1において記載したように、エポキシドへ、続いてスピロ環式カルバメートへと変換することができる。R
1置換基の組み込みは、既製のエステルエノラートをヨードメタンなどの求電子物質でアルキル化することにより行うことができる。ベンズイミダゾール部分の導入には、メチルエステルをまずLiAlH
4で還元することが必要である。次に、得られたアルコールを臭化アルキルに変換することができる。この脱離基の導入により、ベンズイミダゾール基を構築する別の2つのアプローチが可能となる。この臭化物の置換の際に求核試薬として対称ベンズイミダゾールを使用すれば合成が完了でき、または2−ニトロアニリンを求核試薬として臭化物を置換することもできる。得られた2−ニトロアニリン中間体を、次に、従前に記載したようにオルトギ酸トリメチルと縮合させてベンズイミダゾールを精製することができる。あるいは、臭化物をアジ化ナトリウムで置換することもできる。このアジ化物を水素化ホウ素ナトリウムおよび塩化ニッケル(II)で還元して第一級アミンを得ることができ、次に、スキーム1および2に従前に記載したように、これをベンズイミダゾール基へと合成することができる。
【0042】
生物活性
上述のように、式Iの化合物はTRPV4拮抗薬であり、アテローム性動脈硬化症、腸管浮腫、術後腹浮腫、局部および全身浮腫に関連する疾患、体液貯留、敗血症、高血圧症、炎症、骨関連機能障害および鬱血性心不全、肺障害、慢性閉塞性肺障害、人工呼吸器誘発肺損傷、高地肺水腫、急性呼吸窮迫症候群、肺線維症、副鼻腔炎/鼻炎、喘息、過活動膀胱、疼痛、運動ニューロン障害、遺伝性機能獲得型障害、心血管疾患、腎機能障害および変形性関節の治療または予防に有用である。
【0043】
式Iの化合物の生物活性は、TRPV4拮抗薬としての候補化合物の活性を測定するための任意の好適なアッセイ、ならびに組織およびin vivoモデルを用いて測定することができる。
【0044】
式(I)の化合物の生物活性を、以下の試験で実証する。
【0045】
リガンド依存性アッセイ:
TRPチャネル活性化/開口により、カルシウムをはじめとする二価および一価のカチオンの流入が起きる。生じた細胞内カルシウムの変化を、カルシウム選択的蛍光色素Fluo4(MDS Analytical Technologies)を用いてモニタリングする。まず、色素を添加した細胞を試験化合物に曝して拮抗活性がないことを確認した。続いて拮抗薬を添加することにより細胞を活性化させ、拮抗薬誘発性の活性化の阻害を記録した。マクロファージスカベンジャー受容体クラスII(HEK−293−MSR−II)を安定発現し、ヒトTRPV4遺伝子を発現する1%BacMam(J.P. Condreay, S.M. Witherspoon, W.C. Clay and T.A. Kost, Proc Natl Acad Sci 96 (1999), pp. 127-132)ウイルスを形質導入したヒト胎児腎臓293細胞を、384ウェルポリ−D−リジンコートプレートに50μLの容量で15000細胞/ウェルとして播種した。細胞を、37度および5%CO
2で24時間インキュベートした。次に、培地を、テカンプレート洗浄機を用いて吸引し、20μLの色素添加バッファー:HBSS、500μMのブリリアントブラック(MDS Analytical Technologies)、2μMのFluo−4に置き換えた。その後、色素添加プレートを暗所で室温にて1〜1.5時間インキュベートした。HBSS(1.5mM塩化カルシウム、1.5mM塩化マグネシウムおよび10mM HEPES pH7.4を含むHBSS)+0.01%Chaps中に希釈した試験化合物10μLをこのプレートに加え、暗所で室温にて10分間インキュベートした後、10μLの拮抗薬を拮抗薬EC80と等しい終濃度で加えた。FLIPRtetra(MDS Analytical Technologies)またはFLIPR384(MDS Analytical Technologies)を用いてカルシウム放出を測定した。
【0046】
本明細書に記載の例は総て、0.1nM〜0.5μMの範囲のIC
50を有するTRPV4生物活性を持っていた。
【0047】
低張圧アッセイ(BHK細胞):
BHK/AC9_DMEM/F12馴化(ベビーハムスター腎臓)細胞に、ヒトTRPV4遺伝子を発現する2%BacMamウイルスを形質導入し、384ウェルポリ−D−リジンコートプレートに50μLの容量で1ウェルあたり10000細胞として播種した。細胞を、37度および5%CO
2で18〜24時間インキュベートした。翌日、培地を、テカンプレート洗浄機を用いて吸引し、20μLの色素添加バッファー:HBSSバッファー(1.5mM塩化カルシウム、1.5mM塩化マグネシウムおよび10mM HEPES pH7.4を含むHBSS)、2.5mMのプロベネシド、500μMのブリリアントブラック、2μMのFluo−4に置き換えた。この色素付加細胞を、暗所、室温にて1〜1.5時間インキュベートした。HBSS/H
2O(約1:2.3)+0.01%Chaps中に希釈した試験化合物10μLをプレートに加え、暗所、室温にて10分間インキュベートした後、10μLの低張バッファー(H
2O+1.5mM CaCl
2+約68mM NaCl;140mOsmストック/260mOsm FAC)を用いて低張圧誘発性の活性化の阻害を試験した。FLIPRtetraを用いて、加熱したステージ(37度)上で反応を測定した(pIC
50範囲6.3〜10.0)。
【0048】
蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)アッセイ
このFLIPRアッセイは、Ca
2+iレベルを高め得る様々な生化学経路を刺激した後の、細胞内Ca
2+(Ca
2+i)イオン濃度の変化を検出する。Ca
2+iの増加は、活性化された後に細胞内に含まれるようになり、Ca
2+と結合した際に選択的に蛍光を発する色素の使用によって定量した。ヒトTRPV4チャネルを選択的に活性化することが知られている分子(N−((1S)−1−{[4−((2S)−2−{[(2,4−ジクロロフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロパノイル)−1−ピペラジニル]カルボニル}−3−メチルブチル)−1−ベンゾチオフェン−2−カルボキサミド;GSK1016790A);(Thorneloe, et al., J Pharmacol Exp Ther, 326: 432, Aug 2008)を細胞に適用して、細胞外溶液からのCa
2+のTRPV4チャネル依存性流入を誘発し、分子による色素蓄積の回避を天然のTRPV4チャネル活性の遮断の証拠と考えた。
【0049】
肺胞マクロファージは、複数の動物モデルにおいて急性肺損傷の重要なメディエーターであり、マウス肺胞マクロファージは、基本型TRPV4アクチベーター(ホルボールエステル4αPDD)により誘発される機能変化を示し、Trpv4遺伝子産物が欠損した細胞には存在しない(Hamanaka, et al., 2010)。このような知見を鑑みて、本発明者らは、健常ヒトボランティアから得られた気管支肺胞洗浄(BAL)液から初代肺胞マクロファージを得た。BAL液を遠心分離し、得られた細胞ペレットをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、再懸濁させた。次に、この溶液を遠心分離し、細胞ペレットを細胞培養培地(1000単位/Lのペニシリン/1000μg/Lのストレプトマイシンを添加した10%ウシ胎児血清を含むDMEM)に再懸濁させた。ヒトおよび実験動物において、BAL細胞は、大部分が肺胞マクロファージからなるが、細胞集団は、96ウェルプレートのウェルなどのプラスチック素材へ接着させることにより、肺胞マクロファージをさらに高密度化することができる。本発明者らは、この確立された原理を用い、ヒト肺胞マクロファージを96ウェルプレートに約40,000細胞/ウェルの密度で播種し、その後、5%CO
2雰囲気中、37℃で30〜60分インキュベートした後、および再び同じ条件で18〜24時間インキュベートした後にも新鮮培地で洗浄することによって肺胞マクロファージを高密度化した。
【0050】
18〜24時間後、培地を吸引し、Earlの塩およびL−グルタミン、0.1%BSA(Millipore)、4mMのFluo−4−アセトキシメチルエステル蛍光インジケーター色素(Fluo−4 AM、Invitrogen)および2.5mMプロベネシドを含むEMEM含有ロード培地100mlに置き換えた。次に、細胞を37℃で1時間インキュベートした。前記色素含有培地を吸引除去した後、細胞を100mLのKRHアッセイバッファー(120mM NaCl、4.6mM KCl、1.03mM KH
2PO
4、25mM NaHCO
3、1.0mM CaCl
2、1.1mM MgCl
2、11mMグルコース、20mM HEPES、0.1%ゼラチン、2.5mMプロベネシド、pH7.4)で3回洗浄した。化合物の拮抗薬作用を評価するため、0.1%DMSO、10および100nMの化合物または先例のある非選択性TRPVチャネル遮断薬ルテニウムレッド(10μM)を含有するKRHアッセイバッファー100mLをこれらのウェルに加え、プレートを15分間37℃に温め、その後、FLIPR(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)に入れ、そこで色素付加細胞を6ワットのアルゴンレーザーからの励起光(488nm)に曝した。基底放出蛍光を測定した後、一定の濃度範囲のTRPV4開口薬GSK1016790A(0.3〜1000nM)に対する細胞応答を、FLIPRにて516nm放出蛍光強度で10分間モニタリングした。次に、イオノマイシン(1μM)に対する二次的応答を総てのウェルで5分間記録した。その後、各刺激薬を添加した後の各ウェルからのピーク放出をエクセルスプレッドシートにエクスポートした。各ウェルからの結果を%イオノマイシンに変換した。次に、このデータを、各処理条件に対する応答をプロットするためにGraphPad Prismバージョン4.03に移した。ビヒクルに比べて化合物の存在下でのGSK1016790Aに対する受容体EC50の応答のシフトを利用し、古典的Schild分析を用いて化合物効力と受容体タイプの相互作用を決定した。
【0051】
パッチクランプ試験
パッチクランプ試験は、ヒト肺胞マクロファージを含む細胞の原形質膜において、TRPV4含有チャネルを通るカチオン流を測定することができる。従来の全細胞パッチクランプ記録では、複数の細胞が直接互いに接触して個々の細胞の原形質膜の電気容量が交絡しないように細胞を培養する。この単細胞の膜にガラス電極を接触させると膜が破れてホールセル・コンフィグレーション(whole-cell configuration)が得られ、これにより、試験者は、その細胞の細胞質に電極(細胞内)溶液の内容物を満たし、また、細胞膜の電圧を操作することによって膜電流を誘発することができる。この細胞内液内に含まれるイオンと細胞外液内に含まれるイオンの違いに基づいてイオン勾配が確立され、これは重力による潅流システムによって細胞に分配される。適用可能であれば、TRPV4依存性電流を誘発する拮抗薬および/またはTRPV4含有チャネルの遮断薬を細胞外液に加えることができる。
【0052】
ヒト初代肺胞マクロファージを、細胞間の直接接触を避けるために、カバーガラス上の増殖培地中に低密度で一晩置いた。パッチクランプ記録は全細胞モードで行った。細胞に、95%O
2/5%CO
2ガスで曝気し、NaOHでpH7.4に調整した、140 NaCl、5 NaCl、2 MgCl
2.6H
2O、5 CsCl
2、10 HEPES、および10 D−グルコース(mM:mM)からなる標準的細胞外液を潅流させた。ガラス電極を介して細胞を満たすために使用される内液は、CsOHでpH7.2に調整した、140 CsCl、4 MgCl
2、10 N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](HEPES)、および5 エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(EGTA)(mM:mM)からなった。500ミリ秒の間に−80から+80mVへの電圧ランプをかけ、500Hzでサンプリングし、記録を10kHzでフィルタリングした。データはclampfitソフトウエアを用いて解析し、エクセルスプレッドシートまたはGraphpad Prism 4で解析した。
【0053】
低張細胞外液は細胞膜に伸長を引き起こすので、細胞に機械力をかけるための代用物として低張液がしばしば用いられる。低張液がTRPV4含有イオンチャンネルを発現する細胞においてTRPV4を活性化し、TRPV4依存性電流を作り出すことが実証されている(Alessandri-Haber, et al., Neuron, 39: 497, Jul 2003)ので、TRPV4依存性電流を誘発するために、細胞外液を、NaOHでpH7.4に調整した、74 NaCl、5 KCl、1.2 KH
2PO
4、1.3 MgCl
2、2.4 CaCl
2、および26 NaHCO
3(mM)からなる低張細胞外液に置き換えた。低張液が電流の変化を誘発したところで(−80から+80mVで定量)、化合物を低張細胞外液に加え、電流低下を定量した。
【0054】
使用の方法
本発明の化合物はTRPV4拮抗薬であり、アテローム性動脈硬化症、腸管浮腫、術後腹浮腫、局部および全身浮腫に関連する障害、体液貯留、敗血症、高血圧症、炎症、骨関連機能障害および鬱血性心不全、肺障害、慢性閉塞性肺障害、人工呼吸器誘発肺損傷、高地肺水腫、急性呼吸窮迫症候群、急性肺損傷、肺線維症、副鼻腔炎/鼻炎、喘息、過活動膀胱、疼痛、運動ニューロン障害、遺伝性機能獲得型障害、心血管疾患、腎機能障害、変形性関節症、クローン病、大腸炎、下痢、腸管不順(過敏性/低反応性)、大便失禁、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、腸疼痛および痙攣、セリアック病、ラクトース不耐症、および鼓腸の治療または予防に有用である。従って、別の態様において、本発明はこのような病態を処置する方法に関する。
【0055】
本発明の処置方法は、安全かつ有効な量の、式Iの化合物またはその薬学上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる。
【0056】
本明細書において、病態に関して「処置する」とは、(1)病態もしくは病態の1以上の生物学的兆候を改善または予防すること、(2)(a)病態をもたらす、もしくは病態の原因となる生体カスケードにおける1以上の点、または(b)病態の1以上の生物学的兆候を妨げること、(3)病態に付随する1以上の症状もしくは作用を緩和すること、または(4)病態もしくは病態の1以上の生物学的兆候の進行を遅らせることを意味する。
【0057】
当業者ならば、「予防」が絶対的な用語でないことが分かるであろう。医学においては、「予防」とは、薬物を予防的に投与して、病態もしくはその生物学的兆候の可能性もしくは重篤度を実質的に減じるか、またはこのような病態もしくはその生物学的兆候の発症を遅らせることを意味すると理解される。
【0058】
本明細書において、本発明の化合物または他の薬学上活性な薬剤に関して「安全かつ有効な量」とは、健全な医学的判断の範囲内で、(妥当な利益/リスク比で)患者の病態を治療するには十分であるが、重大な副作用を回避するのに十分少ない化合物の量を意味する。化合物の安全かつ有効な量は、選択する特定の化合物(例えば、化合物の効力、有効性、および半減期を考慮する);選択する投与経路;処置される病態;処置される病態の重篤度;処置される患者の年齢、サイズ、体重および健康状態;処置される患者の病歴;処置期間;併用療法の性質;所望の治療効果などの要因によって異なるが、当業者ならば慣例的に決定することができる。
【0059】
本明細書において「患者」は、ヒトまたは他の動物を意味する。
【0060】
本発明の化合物は、全身投与および局所投与の両方を含む、好適な任意の投与経路で投与することができる。全身投与としては、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与および吸入による投与が挙げられる。非経口投与とは、経腸、経皮および吸入以外の投与経路を意味し、一般に注射または点滴によるものである。非経口投与としては、静脈内、筋肉内および皮下の注射または点滴が挙げられる。吸入とは、口を介する吸入であれ鼻道を介する吸入であれ、患者の肺への投与を意味する。局所投与としては、皮膚への塗布ならびに眼内、耳内、膣内および鼻腔内投与が挙げられる。
【0061】
本発明の化合物は1回で投与してもよいし、または一定の時間にわたって様々な時間間隔で複数の用量が投与される投与計画に従って投与してもよい。例えば、用量は1日あたり1回、2回、3回または4回投与してもよい。用量は、所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に投与してもよい。本発明の化合物の好適な投与計画は、吸収、分布および半減期などの、化合物の薬物動態学的特性によって決まるが、それは当業者によって決定可能である。加えて、そのような計画を行う期間を含む、本発明の化合物の好適な投与計画は、処置される病態、処置される病態の重篤度、処置される患者の年齢および健康状態、処置される患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、ならびに当業者の知識および専門的技術の範囲内の同様の要因によって決まる。当業者にはさらに、好適な投与計画は、その投与計画に対する個々の患者の応答を考慮して、あるいは個々の患者の要求の変化に応じて経時的に、調整をする必要があり得ることが理解されるであろう。
【0062】
典型的な1日用量は、選択する特定の投与経路によって変わり得る。経口投与の典型的な用量は、1人1用量あたり1mg〜1000mgの範囲である。好ましい用量は1人あたり10〜500mgBIDである。
【0063】
さらに、本発明の化合物はプロドラッグとして投与してもよい。本明細書において、本発明の化合物の「プロドラッグ」とは、患者に投与すると最終的にin vivoにて本発明の化合物を遊離する、本化合物の機能性誘導体である。本発明の化合物をプロドラッグとして投与することにより、当業者は以下の1以上を成し得る:(a)in vivoにおける本化合物の作用発現の改変、(b)in vivoにおける本化合物の作用持続時間の改変、(C)in vivoにおける本化合物の輸送または分布の改変、(d)in vivoにおける本化合物の溶解度の改変、および(e)本化合物に伴う副作用または他の問題の克服。プロドラッグの調製に用いる典型的な機能性誘導体としては、in vivoにおいて化学的または酵素的に切断される本化合物の修飾物が含まれる。このような修飾物は、ホスフェート、アミド、エステル、チオエステル、カーボネートおよびカルバメートの調製物を含み、当業者には周知である。
【0064】
組成物
本発明の化合物は、必ずではないが通常は、患者に投与する前に医薬組成物に製剤化される。従って、別の態様において、本発明は本発明の化合物と1種類以上の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物に関する。
【0065】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効な量の本発明の化合物が抽出できるバルク形態で調製および包装された後、散剤またはシロップ剤などとともに患者に与えることができる。あるいは、本発明の医薬組成物は、物理的に個別の各単位が安全かつ有効な量の本発明の化合物を含有している単位投与形で調製および包装してもよい。単位投与形で調製する場合、本発明の医薬組成物は一般に1mg〜1000mgを含有する。
【0066】
本発明の医薬組成物は一般に、本発明の1種類の化合物を含有する。しかしながら、特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の2種類以上の化合物を含有する。例えば、特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の2種類の化合物を含有する。さらに、本発明の医薬組成物は、場合により1種類以上の付加的な薬学上有効な化合物をさらに含み得る。
【0067】
本明細書において「薬学上許容される賦形剤」とは、医薬組成物に剤形または稠度を付与することに関与する薬学上許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、混合した際に、患者に投与した時に本発明の化合物の有効性を実質的に低下させてしまう相互作用、および薬学上許容されない医薬組成物が生じてしまう相互作用が避けられるように、その医薬組成物の他の成分と適合されなければならない。さらに、各賦形剤は、当然ながら、それを薬学上許容されるものとするのに十分高い純度としなければならない。
【0068】
本発明の化合物および薬学上許容される1または複数の賦形剤は、一般に、所望の投与経路で患者に投与するのに適合された投与形に製剤化される。例えば、投与形としては、(1)錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ錠、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤、乳剤、サシェ剤およびカシェ剤などの経口投与、(2)再構成用の滅菌溶液、懸濁剤および散剤などの非経口投与、(3)経皮パッチなどの経皮投与、(4)坐剤などの直腸投与、(5)乾燥粉末、エアロゾル、懸濁剤および液剤などの吸入、ならびに(6)クリーム、軟膏、ローション、液剤、ペースト、スプレー、フォームおよびゲルなどの局所投与に適合されたものが挙げられる。
【0069】
好適な薬学上許容される賦形剤は、選択する特定の投与形によって異なる。さらに、好適な薬学上許容される賦形剤は、その賦形剤が組成物中で果たし得る特定の機能に関して選択してもよい。例えば、特定の薬学上許容される賦形剤は、均一な投与形の製造を容易にするその能力に関して選択してもよい。特定の薬学上許容される賦形剤は、安定な投与形の製造を容易にするその能力に関して選択してもよい。特定の薬学上許容される賦形剤は、本発明の1または複数の化合物を患者に投与した後に、ある器官またはある身体部分から別の器官または別の身体部分への運搬または輸送を容易にするその能力に関して選択してもよい。特定の薬学上許容される賦形剤は、患者のコンプライアンスを高めるその能力に関して選択してもよい。
【0070】
好適な薬学上許容される賦形剤としては、以下の種類の賦形剤:希釈剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、被覆剤、湿潤剤、溶媒、補助溶媒、沈殿防止剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、矯味剤、着色剤、固化防止剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、保存剤、安定剤、界面活性剤および緩衝剤が挙げられる。当業者ならば、特定の薬学上許容される賦形剤が、2つ以上の機能を果たし得ること、および処方物中にどれだけの量の賦形剤が存在するか、また、処方物中に存在する他の成分によって、別の機能を果たし得ることが分かるであろう。
【0071】
当業者は、本発明に用いるのに適切な量の好適な薬学上許容される賦形剤を選択することができるだけの当技術分野における知識および技術を有している。さらに、薬学上許容される賦形剤について記載し、好適な薬学上許容される賦形剤の選択において有用であり得る、当業者が利用可能な情報源が数多くある。例としては、
Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)、T
he Handbook of Pharmaceutical Additives (Gower Publishing Limited)、および
The Handbook of Pharmaceutical Excipients (the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0072】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を用いて調製される。当技術分野において一般に用いられる方法のいくつかは、
Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)に記載されている。
【0073】
一態様において、本発明は、安全かつ有効な量の本発明の化合物および希釈剤または増量剤を含んでなる錠剤またはカプセル剤などの固体経口投与形に関する。好適な希釈剤および増量剤としては、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプンおよびアルファ化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微晶質セルロース)、硫酸カルシウムならびに第二リン酸カルシウムが挙げられる。経口固体投与形は結合剤をさらに含んでなってもよい。好適な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプンおよびアルファ化デンプン)、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびその誘導体(例えば、微晶質セルロース)が挙げられる。経口固体投与形は崩壊剤をさらに含んでなってもよい。好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカルメロース、アルギン酸およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。経口固体投与形は滑沢剤をさらに含んでなってもよい。好適な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクが挙げられる。
【0074】
化合物は、単独で投与してもよいし、またはエンドセリン受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、バソペプチダーゼ阻害薬、バソプレシン受容体調節薬、利尿薬、ジゴキシン、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬、強心薬、NSAID、一酸化窒素供与体、カルシウムチャネル調節薬、ムスカリン拮抗薬、ステロイド系抗炎症薬、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、βアドレナリン受容体およびα1アドレナリン受容体二重非選択的拮抗薬、5型ホスホジエステラーゼ阻害薬、ならびにレニン阻害薬からなる群から選択される1種類以上の他の治療薬とともに投与してもよい。
【実施例】
【0075】
以下の実施例により、本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の化合物、組成物および方法を製造および使用するための指針を当業者に提供することを意図したものである。本発明の特定の実施形態について記載するが、当業者ならば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更および改変を行うことができることが分かるであろう。
【0076】
これら実施例では、
化学シフトは百万分率(ppm)の単位で表す。カップリング定数(J)はヘルツ(Hz)の単位である。分裂パターンは見かけの多重度を表すものであり、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、dd(二重の二重線)、dt(二重の三重線)、m(多重線)、br(ブロード)として示される。
【0077】
フラッシュカラムクロマトグラフィーはシリカゲル上で行った。
【0078】
LCMSデータは、Agilent 1100系LCMSシステムにて、Sunfire C18、5μmカラム(3×50mm)を用いて作成した。カラム温度は、1.2mL/分の溶媒流速で、40℃一定に維持した。各サンプルについて、2.5分で10〜100%MeOH/水/0.1%TFAの勾配溶出を用いた。サンプル分析には、二重波長検出(220nm/254nm)を用いた。
【0079】
使用した命名プログラムはACD Name Pro 6.02またはChem Draw Ultra12.0である。
【0080】
以下の略語および用語は、示されている意味を一貫して有するものとした。
【0081】
【表1】
【0082】
中間体1
1−{[(1S)−1−メチル−3−オキソシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
【化5】
【0083】
(2R,3R)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−6−エン
(1R,2R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール(150g、699mmol)および3−メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(77g、699mmol)をベンゼン(1398mL)に懸濁させ、PPTS(4.39g、17.48mmol)で処理した。このフラスコに、ベンゼンを満たしたディーンスタークトラップと冷却器を取り付けた。この反応物を3日間115℃に加熱した後、反応物を周囲温度まで冷却し、エーテルで希釈した。この混合物を飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して赤/橙色の液体を得た(214g、収率100%)。この液体をそれ以上精製せずに用いた。
【0084】
(1S,4’R,5’R,6R)−6−メチル−4’,5’−ジフェニルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン]
フラスコ内で亜鉛末を1N HCl(4×100mL)で手早く洗浄して上清をデカントすることにより、亜鉛/銅結合体を新たに調製した。次に、この固体を蒸留水(4×120mL)、2mol%CuSO
4溶液(2×200mL)、蒸留水(4×120mL)、EtOH(4×120mL)およびEt
2O(5×100mL)で同様に洗浄した。このEt
2O洗浄液を漏斗に注ぎ、真空濾過により乾燥させた。得られた固体を3Lのフラスコに加え、真空下50℃で30分間乾燥させた後、室温まで冷却した。このフラスコに添加漏斗と還流冷却器を取り付けた後、窒素でパージし、反応中、N
2下で維持した。次に、650mLのEt
2O、次いで、I
2(0.886g、3.49mmol)を加え、この溶液を撹拌し、加熱還流した。還流したところで、加熱を止め、ジヨードメタン(150mL、1865mmol)を、反応を制御外に還流させないようにゆっくり加えた。次に、この反応混合物に(2R,3R)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−6−エン(214g、698mmol、600mLのEt
2O中)を加え、次いで、0.5当量のジヨードメタンを追加した。この反応物を加熱還流し、反応をLCMSによりモニタリングした。1.5時間後、反応物を室温まで冷却し、飽和Na
2CO
3水溶液(800mLの水中、170g)で急冷した。この混合物を30分間撹拌した後、セライトで濾過した。無機物をEt
2O(2L)で洗浄した後、合わせた有機液を飽和NH
4Cl(1L)、飽和NaHCO
3(1L)、ブライン(1L)で洗浄し、その後、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。残渣にメタノール(350mL)を加え、この懸濁液を50℃に加熱した。得られた溶液を撹拌しながら室温まで冷却して生成物を結晶化した。このスラリーを室温で一晩撹拌した後、0℃まで冷却し、さらに1時間撹拌した。このスラリーを濾過し、最少量のMeOHで洗浄し、減圧下で乾燥させ、目的生成物を白色固体として得た(137g、収率61%)。
【0085】
(2R,3R,7S)−7−(ブロモメチル)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン
(1S,4’R,5’R,6R)−6−メチル−4’,5’−ジフェニルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン](137g、428mmol)をMeOH(1993mL)に溶かし、水中の臭化水素酸(145mL、1283mmol)で処理した。この反応物を室温で24時間撹拌した後、濃縮して黄色残渣を得た。この残渣にヘキサン(1L)を加え、この溶液を5分間撹拌した。ヘキサンをデカンテーションにより除去したところ、後に黄色液体が残った。ヘキサン添加の後にデカンテーションを行うこのプロセスを繰り返した。黄色液体の最終容量は100mLであった。合わせたヘキサン洗浄液を減圧下で濃縮して目的生成物を淡黄色油状物として得た(172g、収率100%)。この油状物をそれ以上精製せずに用いた。
【0086】
{[(2R,3R,7S)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミン
1Lのフラスコに(2R,3R,7S)−7−(ブロモメチル)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン(172g、428mmol)、カリウムフタルイミド(399g、2140mmol)、およびNMP(900mL)を加えた。この混合物を130℃で24時間、次いで、120℃で4日間撹拌した。次に、この混合物を室温まで冷却し、濾過した。これらの固体をEt
2Oで洗浄した。有機液を分液漏斗に加え、Et
2Oおよび水で希釈した。エーテルを分離し、飽和NaHCO
3水溶液、ブラインで洗浄した後、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して目的の中間体を粘稠な橙/黄色油状物を得、これをそのまま次の反応に用いた。この油状物にメタノール(2.25L)、次いで、ヒドラジン(40.3mL、1284mmol)を加えた。この溶液を加熱還流し、反応をLCMSによりモニタリングした。完了後(2時間後)、この溶液を室温まで冷却し、濾過した。濾過ケーキをMeOHで洗浄した後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣にTHFを加え、この混合物を撹拌した。得られた白色固体を濾取し、濾液を濃縮した。残渣をヘキサンに溶かすことによって第3の生成物が得られた。この溶液を加熱しながら撹拌した後、室温まで冷却し、濾過した。ヘキサンを濃縮して目的生成物を淡黄色油状物として得た(134.75g、収率93%)。MS (m/z) 338.2 (M+H
+)。
【0087】
3−({[(2R,3R,7S)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル
3Lのフラスコ内のアセトニトリル溶液(2049mL)を40℃に加熱した。次に、炭酸カリウム(198g、1434mmol)、1−[(2R,3R,7S)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メタンアミン(242g、717mmol)および3−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル(119g、717mmol)をゆっくり加えた。この混合物を40℃で2時間撹拌した後、室温まで冷却した。室温で一晩撹拌を続けた。翌日、このスラリーを濾過し、固体をアセトニトリル(500mL)で洗浄した。濾液を濃縮して粗生成物を得た(濃縮中、温度を約60℃に維持した)。この粘稠な暗色残渣にMeOHを加えた。この溶液を回転蒸発器にて60℃に加熱し、最少容量まで濃縮した。この残渣に、急速な結晶化を避けるために、加熱しながら約500mLのMeOHをゆっくり加え、この溶液を加熱還流した。還流したところで、250mLのMeOHをゆっくり追加した。得られたスラリーを還流下で約60分間撹拌した後、加熱を止め、このスラリーを室温まで放冷し、3日間撹拌を続けた。このスラリーを氷/水浴で約10℃まで冷却した。約2時間撹拌を続けた後、このスラリーを濾過し、冷MeOH(100mL)で洗浄した。これらの固体を減圧下で乾燥させ、目的生成物を明橙色固体として得た(245g、収率70.7%)。
【0088】
1−{[(2R,3R,7S)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
5Lの三つ口フラスコに機械的撹拌装置と冷却器を取り付けた。このフラスコに3−({[(2R,3R,7S)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル(245.5g、508mmol)、MeOH(891mL)およびEtOAc(891mL)を加えた。次に、オルトギ酸トリメチル(561mL、5077mmol)およびギ酸(195mL、5077mmol)を加えた。得られた混合物を64℃で加熱した。次に、(2〜3当量)のギ酸、オルトギ酸トリメチルおよび鉄を、反応が終了するまで(3.5時間)15分ごとに加えた。次に、この混合物を濾過して過剰な鉄を除去し、この鉄をEtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、得られた粘稠な紫の残渣(残渣はギ酸を含んでいた)をそれ以上精製せずに用いた(235g、収率100%)。
【0089】
1−{[(1S)−1−メチル−3−オキソシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
ギ酸(1948mL)中、1−{[(2R,3R,7S)−7−メチル−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(235g、508mmol)の混合物を、18時間70℃に加熱した後、この溶液を減圧下で濃縮し、塩基性となるまで飽和NaHCO
3で希釈した。得られた混合物をDCMで抽出し(3回)、合わせた抽出液をブラインで洗浄した後、減圧下で濃縮した。この残渣にEtOAc(1L)を加えた後、およそ750mLの容量まで60℃で濃縮した。次に、このスラリーを放冷した。固体が形成され始めたところで、このスラリーを500mLのヘキサンでゆっくり希釈し、約60℃に昇温した。500mLのヘキサンをゆっくり追加し、還流(約68℃)まで昇温した。還流したところで、加熱を止め、この溶液を室温まで放冷し、5日間撹拌した。次に、このスラリーを濾過し、これらの固体をヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させて105.5gの生成物を得た(収率78%)。濾液を濃縮し、シリカゲルに載せ、220gのカラム(シリカプラグなど)にて、カラムからの溶媒の抜き取りに真空を用いて精製し、500mLのDCM、次いで1Lの50%EtOAc/DCM、次いで1Lの100%DCM、次いで各1Lの2.5%、5%、7.5%、および10%MeOH/DCMで溶出させた。画分を1Lずつ回収した。生成物を含有する画分を濃縮してさらに20.4g(収率15%)の生成物を得た。MS (m/z) 268.1 (M+H
+)。
【0090】
中間体2
1−{[(1S)−3−オキソシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
【化6】
【0091】
(2R,3R)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−6−エン
2Lのフラスコに(1R,2R)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール(200g、924mmol)、2−シクロヘキセン−1−オン(101g、1017mmol)、ベンゼン(1232mL)およびPPTS(11.61g、46.2mmol)を加えた。このフラスコに冷却器とベンゼンを満たしたディーンスタークトラップを取り付けた。反応物を18時間115℃に加熱した(その間にトラップは16.8mLの水を含んでおり、反応の完了を示した)。この反応物を室温まで冷却し、エーテルで希釈した。この混合物を飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して橙色の液体を得た。これを、100%ヘキサン(500mL)、次いで5%EtOAc/ヘキサン(2L)、次いで10%EtOAc/ヘキサン(500mL)、次いで25%EtOAc/ヘキサン(500mL)で溶出するシリカゲルプラグに通した。生成物は最初の約2.5Lの溶媒中に溶出した。溶媒を除去すると淡黄色油状物が得られた。この残渣に約275mLのヘキサンを加え、この溶液を静置すると結晶が急速に形成され始めた。室温で約1時間後、この溶液を冷蔵庫で一晩冷却した。翌日、ヘキサンをデカンテーションにより除去し、これらの固体を冷ヘキサンで洗浄した。これらの固体を減圧下、75℃で乾燥させ、223.75gの(2R,3R)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−6−エンを得た。ヘキサン溶液を濃縮し、シリカゲル(ISCO、330gカラム、100mL/分、0〜10%EtOAc/ヘキサン40分)により精製した。純粋な画分を濃縮して(2R,3R)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−6−エンを油状物として得、これは静置すると固化した(30.47g)。
【0092】
(1S,4’R,5’R,6R)−4’,5’−ジフェニルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン]
亜鉛末を1N HCl(4×100mL)で手早く洗浄し、次いで蒸留水(4×120mL)、2mol%CuSO
4溶液(2×200mL)、水(4×120mL)、EtOH(4×120mL)およびEt
2O(5×100mL)で洗浄することにより、亜鉛/銅結合体を新たに調製した。これらの洗浄はフラスコ内で、液体をデカントして行った。Et
2O洗浄液を漏斗に注ぎ、真空濾過により乾燥させた。得られた固体を2Lのフラスコに加え、真空下、115℃で30分間乾燥させた後、室温まで冷却した。このフラスコに添加漏斗と還流冷却器を取り付けた後、窒素でパージし、反応中、N
2下で維持した。次に、400mLのEt
2O、次いで、I
2(0.551g、2.172mmol)を加え、この溶液を撹拌し、加熱還流した。還流したところで、加熱を止め、ジヨードメタン(87mL、1086mmol)を、反応を制御外に還流させないようにゆっくり加えた。次に、(2R,3R)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−6−エン(127g、434mmol)を350mLのエーテルに加えた後、0.5当量のジヨードメタンを加えた。この反応物を加熱還流し、反応をLCMSによりモニタリングした。1.5時間後、反応物を室温まで冷却し、飽和Na
2CO
3水溶液(900mLの水中、230g)で急冷した。この混合物を30分間撹拌した後、セライトで濾過した。無機物をEt
2O(2L)で洗浄した後、合わせた有機液を飽和NH
4Cl水溶液(1L)、飽和NaHCO
3水溶液(1L)、ブライン(1L)で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得た(176.45g)。この残渣にEt
2O(250mL)を加え、この懸濁液を加熱還流した後、室温まで放冷して生成物を結晶化した。この懸濁液を3日間冷蔵庫に入れた後、エーテルをデカンテーションにより除去した。これらの固体を乾燥させて(1S,4’R,5’R,6R)−4’,5’−ジフェニルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン]を得た(112.5g、収率85%)。この材料をそれ以上精製せずに中間体として用いた。
【0093】
(2R,3R,7S)−7−(ブロモメチル)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン
(4’R,5’R,6R)−4’,5’−ジフェニルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2,2’−[1,3]ジオキソラン](112g、366mmol)をMeOH(1704mL)に溶かし、水中の臭化水素酸(124mL、1097mmol)で処理した。この反応物を室温で18時間撹拌した後、濃縮した。残渣をヘキサンに溶かした後、ヘキサンをデカンテーションにより除去したところ、後に黄色油状物(HBr残渣)が残った。ヘキサンを減圧下で濃縮して(2R,3R,7S)−7−(ブロモメチル)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカンを淡黄色油状物として得た(138.88g、収率98%)。この油状物をそれ以上精製せずに用いた。
【0094】
1−[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メタンアミン
2Lのフラスコに(2R,3R,7S)−7−(ブロモメチル)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン(146g、377mmol)、フタルイミド(140g、754mmol)、およびDMF(750mL)を加えた。この混合物を80℃で24時間撹拌した後、室温まで冷却した。この混合物を分液漏斗に加え、Et
2Oおよび水で希釈した。エーテル層を分離し、水層をEt
2Oで再び抽出した。合わせたエーテル抽出液を飽和NaHCO
3水溶液およびブラインで洗浄した。Et
2O層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、目的の中間体を淡黄色ガラス質固体として得た。この残渣にMeOH(1875mL)、次いで、ヒドラジン(35.5mL、1131mmol)を加えた。この溶液を加熱還流し、反応をLCMSによりモニタリングした。2時間後、溶液を室温まで冷却し、濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。この残渣にTHFを加え、この混合物を撹拌した。生じた固体を濾去し、THFを濃縮した。残渣を撹拌しながらヘキサンに溶かした後、室温まで冷却し、濾過した。ヘキサンを濃縮して1−[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メタンアミンを淡黄色油状物として得た(116.28g、収率95%)。この油状物をそれ以上精製せずに用いた。
【0095】
3−({[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル
アセトニトリル(2654mL)中、3−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル(55.5g、334mmol)、1−[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メタンアミン(103g、318mmol)および炭酸カリウム(88g、637mmol)の混合物を室温で5日間撹拌した(約200mLのDCMを加えて溶解の助けとした)。得られた溶液を濾過し、固体をMeCNで洗浄した。得られた溶液を濃縮して粗生成物を得、これをMeOH(500mL)に溶かし、撹拌しながら結晶化させた。このスラリーを室温で一晩撹拌し、濾過し、固体を減圧下で乾燥させて3−({[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミノ)−4−ニトロベンゾニトリルを得た(131.41g、収率88%)。この生成物をそれ以上精製せずに用いた。
【0096】
1−{[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
オーバーヘッドスターラーを取り付けた3Lのフラスコに3−({[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル(131g、279mmol)、鉄(156g、2790mmol)、MeOH(1L)、EtOAc(1L)、オルトギ酸トリメチル(0.308L、2790mmol)およびギ酸(0.107L、2790mmol)を加えた。この混合物を64℃に加熱した。さらに2〜3当量の鉄、ギ酸およびオルトギ酸トリメチルを15分ごとに追加した。3時間後、この溶液を室温まで冷却し、セライトで濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を濃縮して1−{[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリルを得た(125g、収率100%)。MS (m/z) 450.2 (M+H
+)。この生成物をそれ以上精製せずに用いた。
【0097】
1−{[(1S)−3−オキソシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
ギ酸(1.5L)中、1−{[(2R,3R,7S)−2,3−ジフェニル−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(125g、279mmol)の混合物を一晩70℃に加熱した。次に、濃縮によりギ酸を除去し、この混合物をDCMで希釈し、塩基性となるまで飽和NaHCO
3水溶液を加えた。この混合物をDCMで抽出した(3回)。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、EtOAcと共沸させた。次に、EtOAc(250mL)を加え、この混合物を室温で撹拌すると固体が形成した。このスラリーを室温で15分間撹拌した後、ヘキサン(500mL)をゆっくり加えた。このスラリーを室温で3日間撹拌した後、濾過し、ヘキサンで洗浄した。これらの固体を減圧下で乾燥させて約61gの生成物を得た。濾液を濃縮し、順相クロマトグラフィー(コンビフラッシュRf、(2×330gシリカカラム)、固体ロード、100mL/分、EtOAc/CH
2Cl
2 0〜100%20分、次いで、0〜10%MeOH/CH
2Cl
210分、総ての生成物がカラムから溶出するまで10%MeOH/DCMで保持)により精製し、目的生成物を黄褐色固体として得た(約7g)。この材料をEtOAc(15mL)に溶かし、加熱還流した。次に、固体が形成され始めるまでヘキサンを加えた。加熱を止め、溶液を室温まで放冷した。室温で一晩撹拌を続けた。このスラリーを濾過して目的生成物を淡黄褐色粉末として得た(3.5g)。MS (m/z) 254.1(M+H
+)。
【0098】
中間体3
1−{[(3S,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
【化7】
【0099】
経路1: 2LのフラスコにDMSO(604mL)および1−{[(1S)−1−メチル−3−オキソシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(121g、453mmol)を加えた。この溶液を撹拌し、約35℃に加熱し、総ての固体が溶液へ行くようにした。次に、ヨウ化トリメチルスルホニウム(112g、543mmol)、次いで、カリウムtert−ブトキシド(60.9g、543mmol)を加えた。この混合物を撹拌し、室温まで冷却した。1時間後、LCMSは反応が完了したことを示した。次に、このDMSO溶液を分液漏斗に加え、3Lの水および1LのDCMで希釈した。DCM層を分離し、水層をDCM(3×500mL)で抽出した。合わせたDCM抽出液をブライン(2L)で洗浄した後、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。この残渣の半分を、以下の条件:カラム:GreenSepシリカ(ES Industries)、25cm×21.2mm、補助溶媒:MeOH、%補助溶媒:25%無勾配、流速=60g/分、温度:周囲温度を用い、prep−SFC(合計注入450回、各実施6分)により精製した。この材料の精製の後、SFCの圧力が高すぎたので精製を継続できなかった。材料の残りの暗色MeOH溶液を濃縮し(約70g)、DCMに溶かし、ISCO(8×220gカラム、75mL/分、0〜3.5%MeOH/DCM(0.1%TEA)15分、次いで、生成物が溶出するまで3.5%MeOHで保持)にて精製した。最初の数画分が純粋なシス生成物を含んでいた。これらを濃縮し、SFC精製からのシス生成物と合わせた。後の画分(黄色であった)を濃縮し、3×220gカラムで上記と同様に再精製した。この場合、後の数画分は純粋なトランス生成物であり、これらの画分を単離し、SFCからのトランス生成物と合わせた。総ての混合画分を合わせ、濃縮して約36gの材料を得た。次に、これをSFCで精製したところ、圧力の問題は起こらなかった。適当な画分を濃縮して42.7g(収率33.5%)のトランスエポキシド(1−{[(3S,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル)と72.7g(57%収率)のシスエポキシド(1−{[(3R,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル)を得た。MS (m/z) 282.2 (M+H
+)。
【0100】
経路2: 下記の二段階法を用いて、シスエポキシドをトランス−エポキシドに変換することができる。
【化8】
【0101】
1−{[(1S,3S)−3−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−1−メチルシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
3Lのフラスコに1−{[(3R,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(94.7g、337mmol)を加えた。この材料をEtOAcと2回共沸させて、SFCからいかなる微量のMeOHも除去した。次に、この残渣にDMF(731mL)および水(731mL)を加えた。この溶液を約18℃まで冷却した(氷水浴を使用)。次に、水(731mL)中、TFA(51.9mL、673mmol)の溶液を加えた(約10℃に予冷)。その後、この溶液全体を氷水浴で約10℃まで冷却した。約2.5時間、温度を10℃前後に保持した後、室温まで温め、一晩撹拌した。翌日、DCM(500mL)を加え、6N NaOHをゆっくり加えることによりこの溶液を塩基性とした。この混合物を分液漏斗に加え、DCMを分離し、水層を6N NaOH(300mL)で希釈した後、DCM(8×250mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を減圧下で濃縮して、DMFを可能な限り除去した。この残渣をDCM(250mL)に溶かし、室温で撹拌してトランスジオールを結晶化させた。一晩撹拌した後、この溶液を約10℃まで冷却し、固体を濾別し、DCMで洗浄し、減圧下で乾燥させた。これにより、49.15gの1−{[(1S,3S)−3−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−1−メチルシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(トランスジオール)を白色固体として得た。濾液(約60gの材料、シス−ジオール、トランス−ジオール、および除去副生成物の混合物)を濃縮し、シリカゲルに載せ、3等分し、ISCO RF(3×330gカラム):0〜5%MeOH/DCM15分、5%で10分間保持、次いで、5〜25%10分、次いで、25%で保持により精製した。このトランスジオール生成物を結晶化からの固体と合わせ、それ以上精製せずに用いた。MS (m/z) 300.2 (M+H
+)。
【0102】
1−{[(3S,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
1Lのフラスコに1−{[(1S,3S)−3−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−1−メチルシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(21.2g、70.8mmol)およびDCM(698mL)を加え、温度を5℃まで下げた。次に、DMAP(6.49g、53.1mmol)、トシル−Cl(20.25g、106mmol)およびトリエチルアミン(20.23mL、145mmol)を加えた。この溶液を撹拌し、室温まで温めた。18時間撹拌を続けた後、溶液を分液漏斗に加え、飽和NaHCO
3水溶液(1L)で希釈した。DCMを分離し、飽和NH
4Cl水溶液、次いで、飽和NaHCO
3水溶液で順次洗浄した。その後、DCMを相分離器に通して残留する水を除去し、濃縮し、そのまま次の工程に用いた。この黄色残渣にメタノール(698mL)、次いで、K
2CO
3(10.77g、78mmol)を加えた。この混合物を室温で3時間撹拌した。完了した後に、溶液を濾過し、固体をMeOHで洗浄した。次に、この混合物をDCM(500mL)および飽和NaHCO
3(1L)水溶液で希釈した。この溶液を3Lの分液漏斗に加え、水層をDCMで3回抽出した。合わせたDCM抽出液をブラインで洗浄した後、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗固体をEtOAcと2回共沸させて黄色残渣を得た。残渣を減圧下で乾燥させて1−{[(3S,5S)−5−メチル−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリルを黄色固体として得た(19.9g、収率95%)。MS (m/z) 282.2 (M+H
+)。
【0103】
中間体4
1−[(3S,5S)−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イルメチル]−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
【化9】
【0104】
DMSO(500mL)中、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(63.1g、287mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(11.46g、287mmol)を、窒素下で少量ずつ加えた。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物に、DMSO(500mL)中、1−{[(1S)−3−オキソシクロヘキサンイル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(60.5g、239mmol)の溶液を、窒素下で滴下した。得られた淡褐色溶液を室温で1時間撹拌した。LCMSは、この混合物が9:1 トランス/シスであることを示した。次に、このDMSO溶液を2Lの水に注いだ後、DCMで抽出した(3回)。合わせたDCM抽出液を水(2L)およびブライン(2L)で洗浄し、有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して68gの黄褐色固体を得た。この残渣に500mLのEtOAcを加えた。この混合物を撹拌しながら加熱還流した。総ての固体が溶液に入ったところで、EtOAcの量が320mLになるまでEtOAcを蒸発させ、その後、加熱を止め、溶液を撹拌しながら室温まで放冷した。室温で一晩撹拌を続けた後、5℃まで冷却し、3時間撹拌した。次に、このスラリーを濾過し、最少量の冷EtOAc、次いで、ヘキサンで洗浄した。得られた黄褐色固体を減圧下で乾燥させて1−[(3S,5S)−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イルメチル]−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(46gの95:5 トランス:シス混合物)を得た。濾液を濃縮して1−[(3S,5S)−1−オキサスピロ[2.5]オクト−5−イルメチル]−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(22g、61:39 トランス:シス混合物)を得、このプロセスを繰り返した。MS (m/z) 268 (M+H
+)。
【0105】
実施例1
1−(((5S,7S)−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化10】
【0106】
中間体3(0.250g、0.889mmol)をイソプロパノール(10mL)に溶かし、ネオペンチルアミン(0.387g、4.44mmol)で処理した。この反応物を80℃で18時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、濃縮した。粗生成物をDCMおよびヘキサンに再溶解させ、再び濃縮した。この一連の手順を繰り返していかなる微量のイソプロパノールも除去した。この粗アミノアルコールを1,4−ジオキサン(5mL)に再溶解させ、CDI(0.432g、2.67mmol)で処理した。得られた溶液を110℃で3日間撹拌した後、室温まで冷却した。粗反応混合物を濃縮し、最少量のDMSOに再溶解させ、逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);16分の実施;流速50mL/分、アットカラム希釈;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:20〜60%溶媒A)により精製し、標題化合物(0.230g、収率64%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.77 (s, 1H), 8.08 (d, J = 8.53 Hz, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.70 (dd, J = 1.51, 8.53 Hz, 1H), 4.52 (dd, J = 14.81, 33.63 Hz, 2H), 3.44 (dd, J = 8.78, 22.09 Hz, 2H), 3.18 (d, J = 14.30 Hz, 1H), 2.95 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.20 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.94 - 2.07 (m, 2H), 1.71 - 1.88 (m, 2H), 1.33 - 1.57 (m, 3H), 0.99 (s, 9H), 0.94 (s, 3H)。MS (m/z) 395.2 (M+H
+)。
【0107】
以下の化合物は、中間体3または中間体4(光学的に純粋な形態またはラセミ形態)のいずれかと必要なアミン(購入されたもの、または中間体として記載されたもの、または当業者に公知の標準的な化学変換を用いて合成されたもの)を用い、実施例1の合成において記載されたものと類似の手順に従って製造した。当業者に認識されるように、これらの類似例は一般反応条件の変形形態を含み得る。
【0108】
【表2】
【0109】
実施例18
7−((6−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化11】
【0110】
中間体5
3−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸メチル
【化12】
【0111】
3−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸メチル(70.0g、460mmol)およびロジウム/アルミナ(7.5g、460mmol)を、窒素でパージした2LのParrフラスコに加えた。エタノール(300mL)を注意深く加えた後、フラスコをParr水素化装置にて水素圧(55psi)下で18時間振盪した。このParrフラスコを注意深くN
2でパージした。この反応混合物をセライトプラグで濾過し、溶出剤を蒸発させて標題の粗化合物を得、これをそれ以上精製せずに用いた。
【0112】
中間体6
3−オキソシクロヘキサンカルボン酸メチル
【化13】
【0113】
酸化ルテニウム(IV)水和物(1.47g、11.1mmol)および臭素酸ナトリウム(100g、664mmol)を、Et
2O(600mL)および水(300mL)中で合わせた。得られた黒色混合物を10分間撹拌し、氷浴中で冷却した。3−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸メチル塩(35g、221mmol)をEt
2O中に溶かし(総容量を100mLとする)、氷冷反応混合物に滴下した。温度は30℃を超えないようにした。この反応混合物を、反応温度を約15℃として1時間撹拌した。この反応混合物にイソプロパノールを、反応温度を約27℃に維持するのに必要な速度で注意深く加えた。層に分け、有機層をEt
2Oで洗浄した。合わせた有機液を飽和NaHCO
3水溶液およびブラインで洗浄した。次に、これらの有機液をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して標題の粗化合物(34.5g、粗収率100%)を得、これをそれ以上精製せずに用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.68 (s, 3H), 2.79 (m, 1H), 2.52 (d, J = 7.78 Hz, 2H), 2.23 - 2.42 (m, 2H), 1.98 - 2.15 (m, 2H), 1.82 (d, J = 10.29 Hz, 1H), 1.61 - 1.77 (m, 1H)。
【0114】
中間体7
1−オキサスピロ[2.5]オクタン−5−カルボン酸メチル
【化14】
【0115】
N
2下、無水DMSO(300mL)中、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(53.3g、242mmol)の溶液に、NaH(9.69g、242mmol)を30分かけて少量ずつ加えた。この淡黄色混合物を室温で1時間撹拌した。この反応混合物を氷浴中で冷却し、3−オキソシクロヘキサンカルボン酸メチル(29.0g、186mmol)で滴下処理し、その間、温度は27℃以下に維持した。得られた反応混合物を室温までゆっくり温め、一晩撹拌した。この反応物を水で希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機液を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して標題の粗化合物(31.8g、収率85%)を得、これをそれ以上精製せずに用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.66 (s, 3H), 2.71 (m, 1H), 2.65 (d, J = 1.76 Hz, 2H), 2.00 (dd J = 11.8, 13.6 Hz, 2H), 1.74 - 1.85 (m, 2H), 1.60 - 1.74 (m, 1H), 1.40 - 1.56 (m, 2H), 1.17 - 1.32 (m, 1H)。
【0116】
中間体8
3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−カルボン酸メチル
【化15】
【0117】
MeOH(540mL)に溶かしたラセミ1−オキサスピロ[2.5]オクタン−5−カルボン酸メチル(34.2g、201mmol)を含有する溶液に、ネオペンチルアミン(18.4g、211mmol)を加えた。この反応物を還流下で20時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して油状物とした。この粗材料を1,4−ジオキサン(540mL)に溶かし、CDI(42.3g、261mmol)で処理した。反応物を再び還流下で加熱した。14時間後、反応物を濃縮して粘稠な油状物とし、水に取り、pH3まで酸性化した。この生成物をDCM(5×300mL)中に抽出した。合わせた有機液を濃H
3PO
4水溶液、次いでブラインで洗浄した。次に、有機液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して蝋状の白色固体を得た。この固体を330gシリカゲルカラム(0〜60%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;溶出100mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(40.8g、69.7%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.69 (s, 3H), 3.38 (dd, J = 8.78, 13.05 Hz, 2H), 3.01 (dd, J = 14.05, 25.35 Hz, 2H), 2.17 - 2.28 (m, 1H), 2.02 - 2.12 (m, 1H), 1.98 (dd, J = 2.13, 13.68 Hz, 1H), 1.71 - 1.86 (m, 2H), 1.54 - 1.65 (m, 2H), 1.29 - 1.47 (m, 2H), 0.97 (s, 9H)。
【0118】
中間体9
7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−カルボン酸メチル
【化16】
【0119】
N
2下、THF(41.0mL)中、3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−カルボン酸メチル(15.0g、52.9mmol)の−78℃の溶液に、THF中1Mのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(238mL、238mmol)を、添加漏斗を用い、1時間かけて加えた。この反応混合物を−78℃で3時間撹拌した。ヨードメタン(14.9mL、238mmol)を加え、この反応物を−78℃でさらに2時間撹拌した。この反応物を−78℃にて水(5mL)で急冷し、ブライン(200mL)で希釈した。この生成物をEtOAc(3×200mL)に抽出した。合わせた有機液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して淡黄色固体を得た。この固体をEt
2O(75mL)に懸濁させ、フリットで回収した。回収した固体を冷Et
2O(4×10mL)で洗浄し、乾燥させ、標題化合物(13.4g、収率81%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.69 (s, 3H), 3.40 (d, J = 8.78 Hz, 1H), 3.29 (d, J = 8.78 Hz, 1H), 3.06 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.92 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.16 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.77 - 1.93 (m, 4H), 1.43 - 1.69 (m, 3H), 1.35 (s, 3H), 0.96 (s, 9H)。MS (m/z) 298.1 (M+H
+)。
【0120】
中間体10
7−(ヒドロキシメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化17】
【0121】
工程1: N
2下、THF(204mL)中、7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−カルボン酸メチル(24.2g、82.0mmol)の−78℃の溶液に、THF中1Mの水素化リチウムアルミニウム(122mL、122mmol)をゆっくり加えた。−78℃で1時間撹拌した後、THF中1Mの水素化リチウムアルミニウム(0.061mL、61.0mmol)を追加した。3時間後、この反応物を水(5mL)で急冷し、4N HCl(500mL)で希釈した。この生成物をEtOAc(3×300mL)に抽出した。合わせた有機液をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、330gシリカゲルカラム(10〜50%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;50%EtOAc/ヘキサン、15分;50〜75%EtOAc/ヘキサン、10分勾配;75%EtOAc/ヘキサン、10分;溶出100mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(14.7g)を橙色油状物として、また、中間体アルデヒド生成物(7.19g)を黄色固体として得た。
【0122】
工程2: 工程1からの7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−カルバルデヒド中間生成物(7.19g、26.9mmol)をTHF(108mL)およびMeOH(27mL)に溶かし、水素化ホウ素ナトリウム(1.22g、32.3mmol)で処理した。この反応物を室温で2時間撹拌し、水(1mL)および1N HCl(75mL)で急冷した。この生成物をEtOAc(2×100mL)に抽出した。合わせた有機液をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、120gシリカゲルカラム(10〜50%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;50%EtOAc/ヘキサン、10分;50〜75%EtOAc/ヘキサン、10分勾配;溶出85mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(6.23g、工程1と合わせた収率75%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.30 - 3.38 (m, 2H), 3.29 (s, 2H), 3.06 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.94 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.95 - 2.03 (m, 1H), 1.64 - 1.72 (m, 1H), 1.53 - 1.64 (m, 3H), 1.29 - 1.43 (m, 3H), 1.09 (s, 3H), 0.96 (s, 9H)。MS (m/z) 270.2 (M+H
+)。
【0123】
中間体11
7−(ブロモメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化18】
【0124】
MeCN(273ml)中、7−(ヒドロキシメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(14.7g、54.6mmol)の無色の溶液に、ジブロモトリフェニルホスホラン(34.6g、82.0mmol)を加えた。この反応物を室温で3時間撹拌した後、42時間80℃に加熱した。この反応物を室温まで冷却し、精製のためにフロリジルで濃縮し、220gシリカゲルカラム(5〜15%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;15%EtOAc/ヘキサン、10分;15〜50%EtOAc/ヘキサン、15分勾配;50%EtOAc/ヘキサン、15分;50〜100%EtOAc/ヘキサン、5分勾配;100%EtOAc、5分;溶出100mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(9.7g、54%収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.35 (dd, J = 8.78, 12.05 Hz, 2H), 3.26 (s, 2H), 3.08 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.93 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.96 - 2.03 (m, 1H), 1.78 (dt, J = 1.95, 14.18 Hz, 1H), 1.52 - 1.65 (m, 3H), 1.28 - 1.48 (m, 3H), 1.24 (s, 3H), 0.97 (s, 9H)。
【0125】
中間体12
7−(アジドメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化19】
【0126】
DMSO(171mL)中、7−(ブロモメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(11.3g、34.1mmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(2.89g、44.4mmol)を加えた。この反応フラスコをブラストシールドの後ろに置き、4日間80℃に加熱した。温度を100℃に上げた。16時間後、この反応物にアジ化ナトリウム(0.665g、10.23mmol)を加えた。19時間後、反応物を室温まで冷却し、水(300mL)で希釈した。この生成物をEtOAc(2×300mL)に抽出した。合わせた有機液を水(3×400mL)で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、標題化合物(10.0g、粗収率95%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.33 (q, J = 8.53 Hz, 2H), 3.09 (s, 2H), 3.06 (d, J = 14.00 Hz, 1H), 2.94 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.96 - 2.05 (m, 1H), 1.83 - 1.96 (m, 1H), 1.69 (dt, J = 2.04, 14.24 Hz, 1H), 1.59 - 1.65 (m, 1H), 1.47 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.26 - 1.44 (m, 3H), 1.15 (s, 3H), 0.97 (s, 9H)。
【0127】
中間体13
7−(アミノメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化20】
【0128】
MeOH(226mL)中、7−(アジドメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(10.0g、34.0mmol)および塩化ニッケル(II)六水和物(8.07g、34.0mmol)の0℃の淡緑色溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(1.93g、51.0mmol)を6回に分けて加えた。この反応物はすぐに黒色になり、0℃で3時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、1N NaOH(350mL)とEtOAc(350mL)とで分液した。この二相混合物をセライトで濾過し、層に分けた。水層をEtOAc(2×150mL)で抽出した。合わせた有機液をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、標題化合物(8.65g、粗収率90%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.33 (dd, J = 8.53, 13.80 Hz, 2H), 3.06 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.93 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.43 (s, 2H), 1.99 (dt, J = 1.76, 13.55 Hz, 1H), 1.89 (dt, J = 3.48, 13.87 Hz, 1H), 1.69 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.57 (dt, J = 4.11, 13.87 Hz, 1H), 1.29 - 1.47 (m, 3H), 1.15 - 1.28 (m, 1H), 1.08 (s, 3H), 0.96 (s, 9H)。
【0129】
中間体14
7−(((5−クロロ−2−ニトロフェニル)アミノ)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化21】
【0130】
MeCN(5mL)中、7−(アミノメチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.100g、0.373mmol)を含有する溶液を、4−クロロ−2−フルオロ−ニトロベンゼン(0.065g、0.373mmol)および炭酸カリウム(0.077g、0.559mmol)で処理した。この反応混合物を50℃に加熱し、18時間撹拌した。4−クロロ−2−フルオロ−ニトロベンゼン(0.020g、0.114mmol)を追加し、この反応物をさらに3時間50℃で撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、精製のために濃縮し、40gシリカゲルカラム(0〜100%EtOAc/ヘキサン、25分勾配;溶出40mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.175g、収率100%)を得た。MS (m/z) 424.1 (M+H
+)。
【0131】
7−((6−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
MeOH(5mL)中、7−(((5−クロロ−2−ニトロフェニル)アミノ)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.100g、0.236mmol)を含有する溶液を、鉄(325メッシュ)(0.132g、2.36mmol)、次いでギ酸(0.090mL、2.359mmol)およびオルトギ酸トリメチル(0.261mL、2.359mmol)で処理した。得られた混合物を65℃で18時間加熱した。LCMSは、目的生成物への部分的変換を示した。鉄(0.100g、1.79mmol)、ギ酸(0.200mL、5.22mmol)、およびオルトギ酸トリメチル(0.500mL、4.53mmol)を追加し、反応物を80℃で3時間撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、濾紙で濾過した。回収した固体をMeOHで洗浄し、合わせたMeOH洗浄液および濾液を濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);14分実施;流速40mL/分、アットカラム希釈を伴う;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:10〜90%溶媒A)により精製し、標題化合物(0.071g、収率52%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.88 (br. s., 1H), 7.89 (d, J = 8.78 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 1.51 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 1.63, 8.66 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H), 4.08 (s, 2H), 3.26 - 3.40 (m, 1H), 3.06 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.92 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 2.05 (br. s., 1H), 1.79 - 1.99 (m, 2H), 1.69 (d, J = 14.05 Hz, 1H), 1.58 (br. s., 1H), 1.42 (d, J = 13.80 Hz, 1H), 1.28 - 1.37 (m, 2H), 1.27 (s, 3H), 0.95 (s, 9H)。MS (m/z) 404.2 (M+H
+)。
【0132】
実施例19
7−((5,6−ジクロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−7−メチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化22】
【0133】
DMF(1.0mL)中、中間体11(0.050g、0.150mmol)を含有する室温の溶液を、5,6−ジクロロベンズイミダゾール(0.028g、0.150mmol)および炭酸カリウム(0.021g、0.150mmol)で処理した。この反応混合物を室温で1時間撹拌した後、130℃に加熱した。触媒量のヨウ化カリウムを加え、反応物を130℃で16時間撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、フリットで濾過し、濃縮した。粗生成物を、逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);14分実施;流速40mL/分、アットカラム希釈を伴う;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:10〜90%溶媒A)を用いて精製し、標題化合物(0.038g、収率43%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.63 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 5.52 (br. s., 1H), 4.03 (s, 2H), 3.33 (dd, J = 8.78, 23.59 Hz, 2H), 2.99 (dd, J = 14.05, 50.70 Hz, 2H), 2.06 (d, J = 14.31 Hz, 1H), 1.79 - 1.98 (m, 2H), 1.54 - 1.75 (m, 2H), 1.39 (d, J = 13.80 Hz, 2H), 1.28 - 1.35 (m, 1H), 1.26 (s, 3H), 0.95 (s, 9H)。MS (m/z) 438.2 (M+H
+)。
【0134】
以下の化合物は、中間体11および必要な置換ベンズイミダゾールを用い、中間体11から実施例19の変換に関して記載したものと類似の手順に従って製造した。当業者に認識されるように、これらの類似例は一般反応条件の変形形態を含み得る。
【0135】
【表3】
【0136】
実施例23
3−ネオペンチル−7−((6−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化23】
【0137】
中間体15
7−(ブロモメチル)−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化24】
【0138】
中間体15は、中間体8から、中間体11の合成に用いたものと類似の合成順序を用いて合成した。MS (m/z) 318.1 (M
+)。
【0139】
中間体16
3−ネオペンチル−7−(((2−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化25】
【0140】
DMF(15mL)中、2−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン(0.777g、3.77mmol)および7−(ブロモメチル)−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(1.00g、3.14mmol)を含有する溶液を炭酸セシウム(3.07g、9.43mmol)で処理し、60℃で一晩撹拌した。この冷却反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、生成物をDCMに抽出した。有機液をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣を120gシリカゲルカラム(10〜60%EtOAc/ヘキサン;溶出65mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.260g、収率19%)を得た。MS (m/z) 444.2 (M+H
+)。
【0141】
3−ネオペンチル−7−((6−(トリフルオロメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
MeOH(50mL)中、3−ネオペンチル−7−(((2−ニトロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.260g、0.586mmol)の溶液を、100mm Pd/Cカートリッジを備えたH−Cube(商標)水素化リアクター(1mL/分、25℃、H
2圧10バール)により水素化した。この反応物をLCMSによりモニタリングし、出発材料が消失したところで濃縮し、0.190gの粗ジアミンを得た。この粗ジアミンをオルトギ酸トリメチル(5.0mL、45.7mmol)およびギ酸(0.018mL、0.460mmol)に溶かし、得られた混合物を室温で3時間撹拌した。この反応物を濃縮し、粗材料をDCMと飽和重炭酸ナトリウム溶液とで分液した。層に分け、水層をDCMで洗浄した。合わせた有機液をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);16分実施;流速50mL/分、アットカラム希釈を伴う;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:20〜60%溶媒A)を用いて精製し、標題化合物(0.136g、収率52%)をTFA塩として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6)δ8.68 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.55 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 8.30 Hz, 1H), 4.31 (d, J = 6.84 Hz, 2H), 3.31 (dd, J = 9.03, 27.34 Hz, 2H), 2.86 (d, J = 1.71 Hz, 2H), 2.11 - 2.23 (m, 1H), 1.80 (d, J = 13.67 Hz, 2H), 1.61 (br. S., 1H), 1.54 (d, J = 12.70 Hz, 1H), 1.45 (br. s., 2H), 1.34 (t, J = 13.06 Hz, 1H), 1.03 (d, J = 12.21 Hz, 1H), 0.83 (s, 9H)。MS (m/z) 424.3 (M+H
+)。
【0142】
実施例24
2−エチル−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化26】
【0143】
中間体17
3−(((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル
【化27】
【0144】
MeCN(12.4mL)中、中間体13(0.500g、1.86mmol)および3−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル(0.309g、1.86mmol)を含有する黄色溶液に、炭酸カリウム(0.386g、2.79mmol)を加えた。この反応混合物を室温で18時間撹拌した。この反応物をフリットで濾過した。濾液を濃縮し、12gシリカゲルカラム(5〜30%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;30%EtOAc/ヘキサン、5分;溶出30mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.690g、収率85%)を橙色油状物として得た。MS (m/z) 415.1 (M+H
+)。
【0145】
2−エチル−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
1−プロパノール(2.41mL)中、3−(((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル(0.100g、0.241mmol)を含有する橙色溶液に、鉄(325メッシュ)(0.135g、2.41mmol)、オルトプロピオン酸トリメチル(0.324g、2.41mmol)、およびプロピオン酸(0.179g、2.41mmol)を加えた。この反応混合物を65℃で2時間撹拌した後、室温まで冷却した。この反応物をMeCN(2mL)で希釈し、0.2μm PTFE膜を備えたAcrodisc CR 25mmシリンジフィルターで濾過した。濾過した溶液を逆相HPLC(Sunfire Prep C18(30×150mm);溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA;勾配:15分で25〜55%溶媒A;溶出25mL/分;検出220nm)により精製し、標題化合物(0.092g、収率69%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.07 (br. s., 1H), 7.83 (s, 1H), 7.69 - 7.79 (m, 1H), 4.08 (s, 2H), 3.32 (dd, J = 8.78, 35.39 Hz, 2H), 3.01 (dd, J = 14.05, 43.42 Hz, 2H), 2.05 (d, J = 13.55 Hz, 1H), 1.85 - 1.99 (m, J = 12.55 Hz, 2H), 1.48 - 1.77 (m, 5H), 1.20 - 1.44 (m, 8H), 0.96 (s, 9H)。MS (m/z) 423.3 (M+H
+)。
【0146】
実施例25
5−クロロ−1−((3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル)メチル)−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
【化28】
【0147】
中間体18
7−(アミノメチル)−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化29】
【0148】
中間体18は、中間体5から、中間体9の合成において概略を示したエステルエノラートアルキル化工程を用いずに、中間体13の合成に関して概略を示したものと同様の合成順序を用いて合成した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.35 (s, 2H), 3.01 (d, J = 1.25 Hz, 2H), 2.60 (d, J = 5.77 Hz, 2H), 2.06 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 2.00 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 1.60 - 1.94 (m, 5H), 1.37 (td, J = 4.89, 13.36 Hz, 1H), 1.14 (t, J = 12.80 Hz, 1H), 0.97 (s, 9H)。
【0149】
中間体19
7−(((5−ブロモ−4−クロロ−2−ニトロフェニル)アミノ)メチル)−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化30】
【0150】
MeCN(8mL)中、1−ブロモ−2−クロロ−5−フルオロ−4−ニトロベンゼン(0.600g、2.36mmol)の室温懸濁液を、7−(アミノメチル)−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.400g、1.57mmol)および炭酸カリウム(0.543g、3.93mmol)で処理した。この反応物を18時間撹拌し、固体を濾別し、EtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、40gシリカゲルカラム(0〜100%DCM/ヘキサン、20分勾配;100%DCM、15分;溶出40mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.340g、収率44%)を橙色固体として得た。MS (m/z) 488.1, 490.1 (M+H
+)。
【0151】
中間体20
2−クロロ−5−(((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル
【化31】
【0152】
DMF(2mL)中、7−(((5−ブロモ−4−クロロ−2−ニトロフェニル)アミノ)メチル)−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.260g、0.532mmol)およびシアン化銅(I)(0.333g、3.72mmol)を含有する懸濁液に、180℃で1.5時間マイクロ波加熱を行った。この反応物を室温まで冷却し、ブライン溶液で希釈し、20分間撹拌した。この混合物をセライトパッドで濾過し、このセライトをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液をEtOAcで洗浄した。合わせた有機液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、24gシリカゲルカラム(0〜75%EtOAc/ヘキサン、15分勾配;75%EtOAc/ヘキサン、10分;溶出35mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物を橙色固体として得た。MS (m/z) 435.2 (M+H
+)。
【0153】
5−クロロ−1−((3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル)メチル)−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
EtOH(3mL)および水(0.5mL)中、2−クロロ−5−(((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル(0.236g、0.543mmol)、鉄(325メッシュ)(0.152g、2.71mmol)、および塩化アンモニウム(0.015g、0.271mmol)の懸濁液を、75℃で45分間撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、セライトパッドで濾過した。このセライトをEtOAcで洗浄し、合わせた濾液をEtOAcと飽和重炭酸ナトリウム溶液および1N NaOH(1:1)で分液した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、紫の泡沫を得た。この残渣をギ酸(0.060mL、1.56mmol)およびオルトギ酸トリメチル(1.72mL、15.6mmol)に溶かした。得られた溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、EtOAcに再溶解させた。有機溶液を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、濃縮した。粗生成物を、逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);16分実施;流速50mL/分、アットカラム希釈を伴う;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:30〜70%溶媒A)を用いて精製し、標題化合物(0.125g、収率57%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.05 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 4.07 (ddd, J = 7.53, 14.56, 24.85 Hz, 2H), 3.36 (dd, J = 8.53, 24.09 Hz, 2H), 3.00 (dd, J = 14.31, 32.37 Hz, 2H), 2.37 - 2.52 (m, 1H), 2.03 (d, J = 16.81 Hz, 1H), 1.94 (dd, J = 2.01, 12.80 Hz, 1H), 1.64 - 1.82 (m, 3H), 1.31 - 1.44 (m, 1H), 1.22 (t, J = 12.80 Hz, 1H), 0.98 - 1.11 (m, 1H), 0.95 (s, 9H)。MS (m/z) 415.2 (M+H
+)。
【0154】
以下の化合物は、中間体15および必要な置換ベンズイミダゾールを用い、中間体15から実施例25の変換に関して記載したものと類似の手順に従って製造した。当業者に認識されるように、これらの類似例は一般反応条件の変形形態を含み得る。
【0155】
【表4】
【0156】
実施例31
4−クロロ−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化32】
【0157】
中間体21
3−クロロ−5−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル
【化33】
【0158】
酢酸(200mL)中、過ホウ酸ナトリウム四水和物(131g、851mmol)を60℃に加熱した。酢酸(500mL)中、4−アミノ−3−クロロ−5−フルオロベンゾニトリル(29.0g、170mmol)の溶液を滴下し、得られた反応物を60℃で18時間撹拌した。LCMS分析は、約50%の変換率を示した。過ホウ酸ナトリウム四水和物(14.4g、93.6mmol)を追加し、この反応物を70℃2時間撹拌した後、過ホウ酸ナトリウム四水和物(70.0g、455mmol)を追加した。この反応物を80℃で5時間、次いで、室温で2日間撹拌した。反応物を氷水に注ぎ、生成物をEtOAcに抽出した。合わせた有機液を水およびブラインで洗浄した。最後に、有機液をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、半分の容量まで濃縮した。水を添加すると目的生成物の沈殿が得られ、これをフリットで回収し、水で洗浄し、真空乾燥させ、橙色固体(27.5g、粗収率81%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ7.68 (s, 1H), 7.55 (d, 1H)。
【0159】
中間体22
3−クロロ−5−(((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル
【化34】
【0160】
MeCN(4.97mL)中、中間体13(0.100g、0.373mmol)および3−クロロ−5−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル(0.090g、0.447mmol)を含有する室温の溶液に、炭酸カリウム(0.103g、0.745mmol)を加えた。17時間撹拌した後、反応物を追加の3−クロロ−5−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル(0.030g、0.149mmol)で処理し、室温で4時間撹拌した。この反応混合物をフリットで濾過し、精製のために濾液をフロリジルで濃縮し、12gシリカゲルカラム(0〜30%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;30%EtOAc/ヘキサン、5分;溶出30mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.137g、収率78%)を橙色固体として得た。MS (m/z) 449.1 (M+H
+)。
【0161】
4−クロロ−1−((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
MeOH(5.44mL)中、3−クロロ−5−(((−7−メチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル(0.132g、0.294mmol)の橙色懸濁液に、鉄(325メッシュ)(0.164g、2.94mmol)、オルトギ酸トリメチル(0.325mL、2.94mmol)、およびギ酸(0.113mL、2.94mmol)を加えた。得られた溶液を65℃で26時間撹拌した。オルトギ酸トリメチル(0.325mL、2.94mmol)およびギ酸(0.113mL、2.94mmol)を追加し、65℃で24時間撹拌を続けた。この反応物を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残渣をMeCN(2mL)およびDMSO(4mL)に懸濁させ、ヒルシュ漏斗で濾過して残留する固体を除去した。濾液を、逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);14分実施;流速25mL/分、アットカラム希釈を伴う;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:40〜90%溶媒A)を用いて精製し、標題化合物(0.101g、収率62%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ8.55 (s, 1H), 8.41 (d, J = 1.25 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 1.25 Hz, 1H), 4.15 (s, 2H), 3.29 (dd, J = 9.03, 20.33 Hz, 2H), 2.87 (s, 2H), 1.80 (d, J = 13.55 Hz, 1H), 1.49 - 1.74 (m, 4H), 1.22 - 1.48 (m, 3H), 1.02 (s, 3H), 0.85 (s, 9H)。MS (m/z) 429.2 (M+H
+)。
【0162】
実施例32
1−((−7−エチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化35】
【0163】
中間体23
7−(アミノメチル)−7−エチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化36】
【0164】
中間体23は、中間体8から、中間体13の合成に関して概略を示したものと同様の合成順序を用いて合成した。中間体9の合成において従前に強調されたように、中間体23にはエステルエノラートのアルキル化が必要であり、ヨードエタンを用いた。NS (m/z) 283.3 (M+H
+)。
【0165】
中間体24
3−(((−7−エチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル
【化37】
【0166】
MeCN(6.90ml)中、7−(アミノメチル)−7−エチル−3−ネオペンチル−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.195g、0.690mmol)および3−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル(0.126g、0.760mmol)を含有する黄色溶液に、炭酸カリウム(0.191g、1.381mmol)を加えた。この反応物を室温で16時間撹拌した。反応物をフリットで濾過し、濾液を精製のためにフロリジルで濃縮し、12gシリカゲルカラム(5〜25%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;25〜55%EtOAc/ヘキサン、5分勾配;溶出30mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.232g、収率75%)を橙色固体として得た。MS (m/z) 429.2 (M+H
+)。
【0167】
1−((−7−エチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
MeOH(2.48mL)中、3−(((−7−エチル−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル(0.125g、0.292mmol)を含有する橙色溶液に、鉄(325メッシュ)(0.163g、2.92mmol)、オルトギ酸トリメチル(0.322mL、2.92mmol)、およびギ酸(0.112mL、2.92mmol)を加えた。この反応混合物を65℃で21時間撹拌した。オルトギ酸トリメチル((0.322mL、2.92mmol)およびギ酸(0.112mL、2.92mmol)を追加し、この反応物を65℃でさらに4時間撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、MeCN(2mL)で希釈し、0.2μm PTFE膜を備えたAcrodisc CR 25mmシリンジフィルターで濾過した。濾過した溶液を逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);15分実施;溶出25mL/分;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:30〜60%溶媒A)により精製し、標題化合物(0.139g、収率88%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.65 (s, 1H), 8.06 (d, J = 8.53 Hz, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.73 (dd, J = 1.25, 8.53 Hz, 1H), 4.13 (s, 2H), 3.31 (dd, J = 8.78, 22.84 Hz, 2H), 3.00 (dd, J = 14.31, 38.15 Hz, 2H), 2.01 (d, J = 13.55 Hz, 2H), 1.81 - 1.97 (m, 2H), 1.58 - 1.75 (m, 3H), 1.10 - 1.29 (m, 3H), 1.06 (t, J = 7.40 Hz, 3H), 0.96 (s, 9H); MS (m/z) 409.2 (M+H
+)。
【0168】
実施例33
1−{[3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル−d2
【化38】
【0169】
中間体25
3−(2,2−ジメチルプロピル)−7−(ヒドロキシメチル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン−d2
【化39】
【0170】
THF(13.8mL)中、中間体8(1.00g、3.53mmol)を含有する−78℃の溶液をTHF中1Mの重水素化リチウムアルミニウム(3.88mL、3.88mmol)で滴下処理した。−78℃で2時間撹拌した後、この反応物を1N HCl(30mL)で急冷し、EtOAc(30mL)で希釈した。層に分け、水層をEtOAc(30mL)で洗浄した。合わせた有機液をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、12gシリカゲルカラム(5〜35%EtOAc/ヘキサン、30分勾配;35%EtOAc/ヘキサン、5分;35〜50%EtOAc/ヘキサン、7分勾配;50〜100%EtOAc/ヘキサン、3分勾配;100%EtOAc、5分;溶出30mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.350g、収率37%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.36 (s, 2H), 3.01 (d, J = 2.26 Hz, 2H), 1.95 - 2.12 (m, 3H), 1.67 - 1.87 (m, 3H), 1.38 (td, J = 4.89, 13.24 Hz, 1H), 1.23 (t, 1H), 0.98 - 1.07 (m, 1H), 0.97 (s, 9H); MS (m/z) 258.2 (M+H
+)。
【0171】
中間体26
7−(アミノメチル)−3−(2,2−ジメチルプロピル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン−d2
【化40】
【0172】
中間体26は、中間体25から、中間体10の中間体13への変換に関して概略を示したものと同様の合成順序を用いて合成し、標題化合物(0.215g、収率75%)を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ3.35 (s, 2H), 3.01 (d, J = 2.01 Hz, 2H), 1.94 - 2.10 (m, 2H), 1.63 - 1.90 (m, 4H), 1.37 (td, J = 5.02, 13.30 Hz, 1H), 1.14 (t, J = 12.67 Hz, 1H), 0.97 (s, 9H), 0.91 (m, 1H)。; MS (m/z) 257.2 (M+H
+)。
【0173】
中間体27
3−({[3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル−d2
【化41】
【0174】
MeCN(5.46mL)中、7−(アミノメチル)−3−(2,2−ジメチルプロピル)−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−2−オン−d2(0.210g、0.819mmol)および3−フルオロ−4−ニトロベンゾニトリル(0.136g、0.819mmol)を含有する室温の溶液に、炭酸カリウム(0.226g、1.64mmol)を加えた。この反応物を16時間撹拌した。反応物を水(15mL)で急冷し、生成物をEtOAc(2×20mL)に抽出した。合わせた有機液をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、標題の粗化合物(0.270g、粗収率78%)を得た。MS (m/z) 403.2 (M+H
+)。
【0175】
1−{[3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル−d2
MeOH(5.71mL)中、3−({[(5S,7S)−3−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}アミノ)−4−ニトロベンゾニトリル−d2(0.270g、0.671mmol)および10%パラジウム/炭素(0.054g、0.507mmol)を含有する橙/黒色懸濁液に、ギ酸アンモニウム(0.423g、6.71mmol)を加えた。この反応混合物を65℃で撹拌した。30分後、この反応混合物にオルトギ酸トリメチル(0.742mL、6.71mmol)およびギ酸(0.257mL、6.71mmol)を加え、加熱を1時間続けた。この反応物を室温まで冷却し、セライトで濾過した。セライトをEtOAc(3×10mL)ですすぎ、合わせた濾液を濃縮した。粗固体をEtOAc(15mL)と飽和重炭酸ナトリウム溶液(15mL)とで分液した。層に分け、水層をEtOAc(10mL)で洗浄した。合わせた有機液をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、4gシリカゲルカラム(0〜3%MeOH/DCM、30分勾配;3〜5%MeOH/DCM、5分勾配;5%MeOH/DCM、15分;溶出18mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.189g、収率70%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.04 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.53 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.56 (dd, J = 1.51, 8.53 Hz, 1H), 3.35 (dd, J = 8.53, 23.09 Hz, 2H), 2.99 (dd, J = 14.05, 33.13 Hz, 2H), 2.39 - 2.51 (m, 1H), 1.92 - 2.07 (m, 2H), 1.66 - 1.82 (m, 3H), 1.37 (td, J = 5.27, 13.05 Hz, 1H), 1.22 (t, J = 12.80 Hz, 1H), 1.09 (m, 1H), 0.95 (s, 9H); MS (m/z) 383.2 (M+H
+)。
【0176】
実施例34
4−クロロ−1−(((5S,7S)−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化42】
【0177】
中間体28
(S)−7−(ニトロメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン
【化43】
【0178】
(S)−3−(ニトロメチル)シクロヘキサノンは、Mei, K.; et al Org. Lett. 2009, 11, 2864-2867に見られる一般手順に従って合成した。THF(741mL)中、(3S)−3−(ニトロメチル)シクロヘキサノン(64.6g、411mmol)およびエチレングリコール(68.8mL、1233mmol)を含有する室温の溶液を、窒素下、HCl(12.5mL、411mmol)で処理した。18時間撹拌した後、この反応混合物を濃縮した。残渣をEt
2Oに溶かし、水および飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。合わせた水層をEt
2Oで洗浄した。合わせた有機液をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗残渣を330gシリカゲルカラム(0〜35%EtOAc/ヘキサン、35分勾配;溶出100mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(27.7g、収率34%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ4.29 (dd, J = 7.03, 11.80 Hz, 2H), 3.94 (d, J = 3.01 Hz, 4H), 2.44 - 2.57 (m, J = 3.51, 7.26, 7.26, 11.18, 14.95 Hz, 1H), 1.68 - 1.83 (m, 4H), 1.54 - 1.68 (m, 1H), 1.42 - 1.53 (m, 1H), 1.34 (t, J = 12.17 Hz, 1H), 1.09 (ddd, J = 3.76, 12.80, 24.59 Hz, 1H)。MS (m/z) 202.1 (M+H
+)。
【0179】
中間体29
(S)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イルメタンアミン
【化44】
【0180】
1000mLのParrボトルにてEtOH(150mL)中、(S)−7−(ニトロメチル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン(5.00g、24.9mmol)の溶液を窒素でフラッシュした後、窒素下、Pd/C(1.32g、1.24mmol)を一度に加えた。この反応フラスコを排気し、水素(56psi)を導入し、Parrシェーカーにて19時間振盪した。反応混合物を窒素流下、セライトで濾過し、濾液を濃縮し、標題の粗化合物(4.37g、粗収率103%)を得、これをそれ以上精製せずに用いた。
【0181】
中間体30
(S)−N−(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イルメチル)−5−ブロモ−3−クロロ−2−ニトロアニリン
【化45】
【0182】
MeCN(100mL)中、(S)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イルメタンアミン(4.3g、25.1mmol)を含有する室温の溶液に、5−ブロモ−1−クロロ−3−フルオロ−2−ニトロベンゼン(6.39g、25.1mmol)および炭酸カリウム(5.21g、37.7mmol)を加えた。21時間撹拌した後、反応物をフリットで濾過し、精製のために濾液をフロリジルで濃縮し、120gシリカゲルカラム(0〜1%MeOH/DCM、30分勾配;溶出85mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(8.48g、収率79%)を得た。MS (m/z) 405.0, 407.0 (M+H
+)。
【0183】
中間体31
(S)−3−((6−ブロモ−4−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)メチル)シクロヘキサノン
【化46】
【0184】
MeOH(142mL)中、(S)−N−(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イルメチル)−5−ブロモ−3−クロロ−2−ニトロアニリン(8.48g、20.9mmol)を含有する橙色懸濁液に、水(35.6mL)、鉄(325メッシュ)(5.84g、104mmol)、および塩化アンモニウム(0.559g、10.5mmol)を加えた。この懸濁液を65℃で2時間撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、オルトギ酸トリメチル(23.1mL、209mmol)およびギ酸(8.02mL、209mmol)で処理した。得られた反応混合物を室温で19時間撹拌した。オルトギ酸トリメチル(23.1mL、209mmol)およびギ酸(8.02mL、209mmol)を追加した。この反応物を室温で23時間、次いで60℃で2時間撹拌した。この反応物を追加のオルトギ酸トリメチル(11.6mL、105mmol)およびギ酸(4.01mL、402mmol)で処理した。60℃で6時間撹拌を続けたところで、オルトギ酸トリメチル(23.1mL、209mmol)およびギ酸(8.02mL、209mmol)を追加した。反応物を室温で18時間撹拌した後、セライトで濾過した。このセライトをEtOAc(3×100mL)で洗浄し、合わせた濾液を濃縮した。この粗材料を2N NaOH(250mL)とEtOAcとで分液した。層に分け、水層をEtOAc(2×250mL)で洗浄した。合わせた有機液をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、120gシリカゲルカラム(0〜2%MeOH/DCM、25分勾配;2〜10%MeOH/DCM、5分勾配;溶出85mL/分;検出254nm)で精製し、標題のケトン化合物とエチレングリコールケタールの1:1混合物(5.28g、74%)を橙色泡沫として得た。この混合物をそれ以上精製せずに用いた。MS (m/z) 343.0 (ケトン), 385.7 (ケタール) (M+H
+)。
【0185】
中間体32
(S)−1−(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イルメチル)−6−ブロモ−4−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール
【化47】
【0186】
THF(135ml)中、6−ブロモ−4−クロロ−1−[(7S)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イルメチル]−1H−ベンズイミダゾール(8.06g、20.90mmol)と(3S)−3−[(6−ブロモ−4−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)メチル]シクロヘキサノン(7.14g、20.90mmol)の混合物を含有する褐色、室温の溶液に、エチレングリコール(3.50mL、62.7mmol)および1,4−ジオキサン中4NのHCl(1.045mL、4.18mmol)を加えた。210分間撹拌した後、この反応物に2N NaOH(200mL)を加え、この生成物をEtOAc(2×150mL)に抽出した。合わせた有機液をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、120gシリカゲルカラム(0〜2.5%MeOH/DCM、40分勾配;2.5%MeOH/DCM、5分;溶出85mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(5.14g、収率61%)を橙色の泡沫として得た。MS (m/z) 385.0, 387.0 (M+H
+)。
【0187】
中間体33
(S)−1−(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イルメチル)−4−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化48】
【0188】
NMP(12.67mL)中、(S)−1−(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−イルメチル)−6−ブロモ−4−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(1.71g、4.43mmol)の橙色溶液に、シアン化銅(I)(1.99g、22.2mmol)を加えた。この反応混合物をマイクロ波にて180℃で2時間撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、ブライン(200mL)で希釈した。10分間撹拌した後、この混合物をEtOAc(300mL)で希釈し、セライトで濾過した。このセライトをEtOAc(2×100mL)で洗浄し、合わせた濾液を2N NaOHでpH13に調整した。層に分け、水層をEtOAc(200mL)で洗浄した。合わせた有機液を水(3×400mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して暗橙色の油状物を得、これを精製せずに用いた。LCMS分析は、この粗生成物が標題化合物と相当するケトンの混合物であることを示す。MS (m/z) 288.1(ケトン), 332.1 (標題化合物)(M+H
+)。
【0189】
中間体34
(S)−4−クロロ−1−((3−オキソシクロヘキシル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化49】
【0190】
アセトン(46.6ml)中、4−クロロ−1−[(7S)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デク−7−イルメチル]−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(4.41g、13.3mmol)と4−クロロ−1−{[(1S)−3−オキソシクロヘキシル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(3.83g、13.3mmol)の混合物を含有する橙色溶液に、水中2NのHCl(20.0mL、39.9mmol)を加えた。この混合物を室温で15時間撹拌し、濃縮した。残渣を2N NaOHに懸濁させ、水溶液のpHを13に維持しながらEtOAc(3×75mL)に抽出した。合わせた有機抽出液をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、80gシリカゲルカラム(0〜5%MeOH/DCM、35分勾配;5%MeOH/DCM、5分;5〜10%MeOH/DCM、25分勾配;10%MeOH/DCM、15分;溶出60mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物および類似の臭化物(1.15g、収率27%、2段階)を橙色固体として得た。MS (m/z) 288.1 (M+H
+)。
【0191】
中間体35
1−((3S,5S)−1−オキサスピロ[2.5]オクタン(octan)−5−イルメチル)−4−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化50】
【0192】
窒素下、室温で、DMSO(31.8mL)中、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(1.31g、5.97mmol)の黄色溶液に、水素化ナトリウム(0.239g、5.97mmol)を加えた。色が消え、発泡した。室温で30分間撹拌を続けた後、DMSO(7.96mL)に溶かした4−クロロ−1−{[(1S)−3−オキソシクロヘキシル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル(1.15g、3.98mmol)と(3S)−3−[(6−ブロモ−4−クロロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)メチル]シクロヘキサノン(1.36g、3.98mmol)の混合物を含有する溶液をゆっくり加えた。16時間撹拌した後、ブライン溶液(25mL)を加えた後、2N NaOH(25mL)をpH13まで加えた。この生成物をEtOAc(3×75mL)に抽出した。合わせた有機液を水(2×150mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、精製のためにフロリジルで濃縮し、12gシリカゲルカラム(0〜2%MeOH/DCM、20分勾配;溶出30mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.735g、収率55%)を得た。MS (m/z) 302.1 (M+H
+)。
【0193】
4−クロロ−1−(((5S,7S)−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
20mLのマイクロ波バイアルにて、MeOH(14.6mL)中、1−((3S,5S)−1−オキサスピロ[2.5]オクタン−5−イルメチル)−4−クロロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル(0.732g、2.18mmol)の橙色溶液に、ネオペンチルアミン(0.571g、6.55mmol)を加えた。このマイクロ波バイアルにしっかり蓋をし、ブラストシールドの後ろで110℃で加熱した。18時間撹拌した後、反応物を室温まで冷却し、その後、蓋を安全に外し、反応物を濃縮した。粗生成物を1,4−ジオキサン(14.6mL)に溶かし、得られた溶液をCDI(1.77g、10.9mmol)で処理した。反応物を120℃で17時間撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、濃縮した。残渣をMeOH(25mL)に溶かし、得られた溶液を、0.2μm PTFE膜を備えたAcrodisc CR 25mmシリンジフィルターで濾過した。この溶液を逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);15分実施;溶出25mL/分;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:30〜70%溶媒A)により精製し、いくらか不純物を含む標題化合物を得た。回収した固体をフロリジルに載せ、40gシリカゲルカラム(0〜2%MeOH/DCM、20分勾配;2%MeOH/DCM、5分;溶出40mL/分;検出254nm)で精製し、標題化合物(0.315g、収率33%)を白色泡沫として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ8.09 (s, 1H), 7.67 (d, J = 1.25 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 1.25 Hz, 1H), 4.09 (ddd, J = 7.53, 14.56, 25.35 Hz, 2H), 3.36 (dd, J = 8.53, 23.59 Hz, 2H), 3.00 (dd, J = 14.05, 31.87 Hz, 2H), 2.38 - 2.53 (m, 1H), 2.01 (d, J = 2.01, 14.05 Hz, 1H), 1.90 - 1.99 (m, J = 10.79, 12.80 Hz, 1H), 1.64 - 1.81 (m, 3H), 1.31 - 1.43 (m, 1H), 1.21 (
t, J = 12.80 Hz, 1H), 0.98 - 1.10 (m, 1H), 0.95 (s, 9H); MS (m/z) 415.1 (M+H
+)。
【0194】
以下の化合物は、ラセミ型または光学的に純粋な中間体29のいずれかと必要な置換2−フルオロニトロベンゼンを用い、実施例34の合成に関して記載したものと類似の手順に従って製造した。当業者に認識されるように、これらの類似例は一般反応条件の変形形態を含み得る。
【0195】
【表5】
【0196】
実施例56
4−メチル−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル
【化51】
【0197】
4−ブロモ−1−((−3−ネオペンチル−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デカン−7−イル)メチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−6−カルボニトリル(0.100g、0.218mmol)をTHF(1.00mL)に溶かし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.503g、0.044mmol)、次いでジメチル亜鉛(1.09mL、2.18mmol)で処理した。ジメチル亜鉛を加えると、ガスの発生と赤みを帯びた黄色から黄褐色への変色を伴って発熱した。この反応混合物を窒素でパージし、蓋をした。反応物を室温で18時間撹拌した。反応混合物は反応の経過に従って暗褐色となった。この反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液で急冷し、EtOAcで希釈した。層に分け、有機液をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);15分実施;溶出50mL/分;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:35〜69%溶媒A)により精製し、標題化合物(0.035g、収率31%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6)δ8.55 (br. s., 1H), 8.19 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 4.21 (d, J = 7.03 Hz, 2H), 3.31 (dd, J = 8.78, 18.57 Hz, 2H), 2.85 (s, 2H), 2.56 (s, 3H), 2.06 - 2.21 (m, 1H), 1.81 (d, J = 11.04 Hz, 1H), 1.73 (d, J = 13.80 Hz, 1H), 1.40 - 1.58 (m, 4H), 1.25 - 1.35 (m, 1H), 0.95 - 1.08 (m, 1H), 0.83 (s, 9H)。MS (m/z) 395.2 (M+H
+)。
【0198】
実施例57
1−{[(5S,7S)−7−メチル−3−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3−アザスピロ[4.5]デク−7−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボニトリル
【化52】
【0199】
中間体3(100mg、0.355mmol)およびイソブチルアミン(130mg、1.777mmol)をメタノール(4mL)に溶かし、120℃で4時間加熱した。この反応物を室温まで冷却し、濃縮し、DCMと共蒸発させ、無色の油状物を得た。粗生成物を1,4−ジオキサン(4.00mL)に再溶解させ、カルボニルジイミダゾール(57.6mg、0.355mg)を加えた。この反応混合物を120℃で一晩加熱した。粗反応混合物を濃縮し、残渣を逆相HPLC(Sunfire Prep C18カラム(30×150mm);16分実施;流速50mL/分、アットカラム希釈を伴う;溶媒A:MeCN/0.1%TFA、溶媒B:水/0.1%TFA、勾配:20〜60%溶媒A)により精製し、標題化合物(127mg、収率68.6%)をTFA塩として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δ9.28 (s, 1H), 8.10 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.84 (dd, J = 1.5, 8.5 Hz, 1H), 4.23 (s, 2H), 3.24-3.29 (m, 2H), 2.98-3.11 (m, 2H), 2.00-2.15 (m, 1H), 1.80-2.00 (m, 3H), 1.70-1.80 (m, 1H), 1.60-1.68 (m, 1H), 1.49 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 1.30-1.40 (m, 2H), 1.24 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 0.91 (s, 3H)。MS (m/z) 381.0 (M+H
+)。