特許第5969022号(P5969022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5969022熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5969022
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   H02N2/18
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-519519(P2014-519519)
(86)(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公表番号】特表2014-521295(P2014-521295A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012063413
(87)【国際公開番号】WO2013007693
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年7月1日
(31)【優先権主張番号】1156280
(32)【優先日】2011年7月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】506229578
【氏名又は名称】エステミクロエレクトロニクス(クロレ・2)・エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・サヴェリ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・コロネル
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・モンフレイ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・スコトニッキ
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−244166(JP,A)
【文献】 特開昭63−225130(JP,A)
【文献】 特開2001−99051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/00−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに面する高温熱源(TH)および低温熱源(TC)によって区切られるスペース(6)に配置可能である、感知要素と呼ばれる少なくとも1つの温度感知要素(8)であって、前記感知要素(8)が縦軸(X)に沿って延在する、少なくとも1つの温度感知要素(8)と、前記感知要素(8)に対して動くように固定され、かつ前記感知要素(8)から横方向に延在し、かつ自由端を含む少なくとも1つの懸架要素(10、110)と、少なくとも1つの懸架された圧電要素(12)であって、前記圧電要素(12)が、前記感知要素(8)が形態を変えるとき振動させられるように、前記懸架要素(10、110)に対して配置され、前記圧電要素(12)が、前記感知要素(8)と前記高温熱源(TH)との間に画定される前記スペースの外側に及び前記感知要素(8)と前記低温熱源(TC)との間の前記スペースの外側に位置するように構成された、少なくとも1つの懸架圧電要素(12)と、を含む、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのシステムにおいて、
前記圧電要素(12)は、前記感知要素に対して固定された部分から懸架され、かつ前記懸架要素(10、110)によって振動させられる、システム。
【請求項2】
前記感知要素が、その形態の少なくとも1つにおいて前記高温熱源または前記低温熱源と接触する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記懸架要素が、前記感知要素との一体物として作られた、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記懸架要素が、前記感知要素の前記縦軸の両側に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記圧電要素から懸架される質量を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記感知要素が、バイメタルストリップである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記感知要素が、形状記憶合金から作られた要素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記感知要素から横方向にそれぞれ延在する、互いに隣接して配置されるいくつかの懸架要素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
エネルギー回収デバイスを形成する、請求項1に記載のシステムであって、前記圧電要素が、生じる電気の貯蔵手段に電気的に接続される、システム。
【請求項10】
振動センサを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
互いに面する高温熱源および低温熱源ならびに請求項1に記載のエネルギー変換システムを含む、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのアセンブリであって、前記エネルギー変換システムは、前記圧電要素が前記感知要素と前記高温熱源との間に画定される前記スペースの外側に及び前記感知要素と前記低温熱源との間の前記スペースの外側に位置するよう構成されるように、前記高温熱源と前記低温熱源との間に配置された、アセンブリ。
【請求項12】
熱は、電子システムによって前記高温熱源に供給される、請求項11に記載の変換アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路は、それらが動作しているときに熱を生じさせる。この熱は、使用されず、回路を劣化させるのを避けるために排出されなければならない。
【0003】
この熱を電気エネルギーに変換することができるように回収することが、計画される。
【0004】
例えば圧電材料を使用して機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するためのデバイスがある。
【0005】
圧電材料は、機械的変形がそれに加えられると電気的に分極されて、電圧を発生させる材料である。
【0006】
温度の影響下で非常に優れた変形能を提供する構造体もまたある。例えば、バイメタルストリップがある。バイメタルストリップは、その長さ方向に沿って互いに溶接されたまたは接着された、異なる膨張係数を持つ異なる金属または合金の2つの柔軟なストリップから形成される。異なる膨張係数に起因して、バイメタルストリップは、加熱されかつ冷却されると、より大きな振幅で変形する。変形が生じると、バイメタルストリップは、湾曲する。湾曲の向きは、それに加えられる温度に依存する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】W. Riethmueller、IEEE Trans. Elec. Dev. ED-35、1998年
【非特許文献2】H. Jerman、J. Micromech. Microeng. 4、1994年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な構造を持ち、高回収効率を有する、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的は、加えられる温度の関数として2つの形態の間で変化する形状を持つ要素、例えばバイメタルストリップを含むシステムの使用を通じて達成される。
【0010】
このバイメタルストリップは、高温熱源と低温熱源とその感知要素の変形によって振動させられる圧電材料との間に収容されることになり、その圧電材料は、バイメタルストリップと高温熱源と低温熱源との間に挿入されないように配置される。
【0011】
言い換えれば、圧電材料は、感知要素と高温熱源および低温熱源との間のスペースから外へ移され、その結果圧電材料は、感知要素の変形への温度の影響を減らさず、その変形もまた減らさない。
【0012】
非常に有利には、圧電材料は、感知要素から直接懸架される。圧電材料はそれ故に、感知要素が加熱されるまたは感知要素が冷却されるときに形態が変化するたびに振動させられる。それ故に、変換される熱エネルギーの量は、増加する。
【0013】
また非常に有利にも、感知要素は、その形態の少なくとも1つにおいて高温熱源または低温熱源と接触する。
【0014】
本発明はその結果、互いに面する高温熱源および低温熱源によって区切られるスペースに配置可能である、感知要素と呼ばれる少なくとも1つの温度感知要素であって、前記感知要素が縦軸に沿って延在する、少なくとも1つの温度感知要素と、感知要素と一体になって動き、かつ感知要素から横方向に延在し、かつ自由端を含む少なくとも1つの懸架要素と、少なくとも1つの懸架圧電要素であって、前記圧電要素が、感知要素が形態を変えるときに振動させられるように懸架要素に対して配置され、前記圧電要素が、感知要素と高温熱源との間に画定されるスペースの外側に及び感知要素と低温熱源との間のスペースの外側に位置するように構成される、少なくとも1つの懸架圧電要素と、を含む、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのシステムである。
【0015】
例となる一実施形態によると、圧電要素は、感知要素に対して固定された部分から懸架され、懸架要素によって振動させられる。
【0016】
懸架要素は、感知要素の縦軸の両側に延在してもよい。
【0017】
感知要素は、その形態の少なくとも1つにおいて高温熱源かまたは低温熱源と接触してもよい。
【0018】
懸架要素は、感知要素との一体物として作られてもよい。
【0019】
有利には、システムは、圧電要素から懸架される質量を含んでもよい。
【0020】
例えば、感知要素は、バイメタルストリップである。
【0021】
変形として、感知要素は、形状記憶合金でできた要素であってもよい。
【0022】
システムは、感知要素から横方向にそれぞれ延在する、互いに隣接して配置されるいくつかの懸架要素を含んでもよい。
【0023】
例えば、変換システムは、エネルギー回収デバイスを形成し、圧電要素は、生じた電気を蓄える手段に電気的に接続される。システムは、振動センサを形成してもよい。
【0024】
本発明の別の主題は、互いに面する高温熱源および低温熱源ならびに本発明によるエネルギー変換システムを含む、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのアセンブリであって、前記変換システムが、圧電要素が感知要素と高温熱源との間に画定されるスペースの外側に、および感知要素と低温熱源との間のスペースの外側に位置するよう構成されるように、高温熱源と低温熱源との間に配置される、アセンブリである。例えば、熱は、電子システムによって高温熱源に供給されてもよい。
【0025】
本発明は、次の説明および図面を読んだ後にはより良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】図式的に示され、高温熱源と低温熱源との間に置かれるシステムの例となる実施形態の透視図である。
図1B図1Aでのシステムの側面図である。
図2図1Aでのシステムの変形実施形態の斜視図である。
図3図1Aでのシステムの別の変形実施形態の図である。
図4A】本発明によるシステムの例となる実施形態の透視図である。
図4B】本発明によるシステムの例となる実施形態の斜視図である。
図5図4Aおよび図4Bでのシステムの変形実施形態の斜視図である。
図6図4Aおよび図4Bでのシステムの別の変形実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1Aおよび図1Bは、温度に敏感なシステムS1の例となる実施形態を示す。
【0028】
システムS1は、互いに面して位置し、それらの間にスペース6を区切る高温熱源THおよび低温熱源TCを含む。
【0029】
図示される例では、熱源は、平面によって表されるが、しかし凹面または凸面などの他の形状が、想定される可能性もある。高温熱源は、柔軟な加熱コードまたは体積が温度によって変化する膜によって閉じられた貯蔵容器によって形成されてもよい。
【0030】
低温熱源については、通気が、想定される可能性もあり、機械的手段がその時、この気流を導くために提供される可能性もある。
【0031】
システムS1は、縦軸Xを持つ、下記で感知要素と呼ばれる温度感知要素8、および感知要素8に固定され、縦軸Xを横断して延在する要素10を含む。要素10は、懸架要素と呼ばれることになる。
【0032】
感知要素8は、スペース6に収納される。感知要素8は、その面の1つ8.1が低温熱源TCに面し、その反対側の面8.2が高温熱源に面しているように、高温熱源THと低温熱源TCとの間に置かれる。
【0033】
図示される例では、要素10は、片方の縦方向端部10.1を通じて感知要素の面8.1に固定される平板の形状であり、もう一方の縦方向端部10.2は、自由である。
【0034】
システムはまた、懸架要素10の面上に位置する、下記で圧電要素と呼ばれる圧電材料でできた要素12も含む。
【0035】
圧電要素は、デバイスによって生じた電気を回収するために、負荷14、例えば電池または消費デバイスに電気的に接続される。
【0036】
本出願での「温度感知要素」は、2つの形状を持ち、温度変化の影響下で形状を変える能力がある要素を指す。
【0037】
感知要素8は、バイメタルストリップから成ってもよい。前に述べられたように、バイメタルストリップは、異なる膨張係数を持つ異なる金属または合金でできた2つのストリップから形成され、2つのストリップは、モノリシック要素を形成するために溶接または接着によって固定される。それ故に、ストリップの1つが膨張すると、バイメタルストリップは、湾曲することになる。バイメタルストリップが、加熱されると、バイメタルストリップは、第1の形態から第2の形態に変化し、この変化は、「ブリスタリング(blistering)」と呼ばれ、バイメタルストリップが、冷却されると、バイメタルストリップは、その第1の形態に戻り、この変化は、「アンブリスタリング(unblistering)」と呼ばれる。
【0038】
感知要素8はまた、2つの形状を記憶した形状記憶合金要素から形成されてもよい。
【0039】
次の説明は、バイメタルストリップおよび形状記憶合金の例を含む。
【0040】
説明の残り全体にわたって、バイメタルストリップが、「感知要素」と呼ばれることになる。
【0041】
図1から図5で図式的に示されるように、バイメタルストリップは、湾曲しており、それは、形態を変えるとき、湾曲した状態から反対に湾曲した状態に変化する。
【0042】
好ましくは、バイメタルストリップは、第1の状態では、その面8.1、8.2の片方が高温熱源または低温熱源に接近して、好ましくはそれと接触し、第2の状態では、その面8.1、8.2のもう一方が低温熱源または高温熱源に接近して、好ましくはそれと接触するように、サイズを設定され、スペース6に設置される。それ故に、高温熱源および低温熱源とバイメタルストリップとの間の伝達は、直接的であり、バイメタルストリップへの高温熱源および低温熱源の影響は、改善され、それ故にバイメタルストリップの変形の周波数は、最適化される。最大の湾曲を持つバイメタルストリップの中央ゾーンは、熱源と接触することができる。
【0043】
好ましくは、バイメタルストリップは、それが形態を変えるとき、熱源と接触する衝突によって引き起こされる減衰に起因するその変形の低減が、圧電要素に伝達されるエネルギー量を低減するのを避けるために最小限にされるように、サイズを設定される。
【0044】
今からシステムS1の動作を説明する。
【0045】
バイメタルストリップ8は、それが静止状態にあるときは、高温熱源THと接触していると仮定する。
【0046】
バイメタルストリップ8は、加熱され、ストリップを構成する材料は、異なる膨張係数に起因して、片方がもう一方よりも大きく膨張し、特定の膨張しきいを超えると、バイメタルストリップの湾曲は、反転し、バイメタルストリップは、低温熱源と接触する。バイメタルストリップの形態のこの変化は、懸架要素10、その結果圧電要素の振動を引き起こす。圧電要素は、分極され、負荷14によって回収されることになる電圧を発生させる。振動は、もし形態変化が突然であれば特に活発である。このことは、変形時に出力される力の値に対応する。例えば、この力は、力センサによって測定されてもよい。力の値は、応用に応じて、しきい値を超えなければならないこともある。
【0047】
今では低温熱源と接触しているバイメタルストリップは冷えて、その2つのストリップは収縮し、そのことは、湾曲の新たな反転を引き起こす。形態のこの新たな変化は、懸架要素10および電圧を発生させる圧電要素の振動をもう一度開始する。
【0048】
この例は、バイメタルストリップの形態が変化するたびに圧電要素の振動を起動することを可能にし、そのことが、生じる電気の量を最適化するので、特に有利である。
【0049】
図示される例では、また有利にも、懸架要素は、最大の可能な変位振幅を受けるように、バイメタルストリップの中央部に固定される。従って、懸架要素の振動は、最大化される。
【0050】
懸架要素は、その中央部から離れてバイメタルストリップに固定されてもよい。
【0051】
有利には、圧電要素は、懸架要素の自由端に位置することが、計画されてもよい。
【0052】
図2は、圧電要素12が懸架要素10の1つの面を完全に覆うシステムS2を示す。圧電要素の面積が増加するにつれて、潜在的に生じる電気の量もまた、増加することに留意されたい。変形として、懸架要素の2つの面が、圧電要素12によって覆われてもよい。
【0053】
図3は、懸架要素10が圧電材料から直接作られるシステムS3を示す。圧電要素は、より大きな体積を有し、特にそれは、システムの寸法または質量を増加させることなく、図2での要素よりも厚い。電圧応答および回収されるエネルギーの量は、圧電材料の厚さに依存するので、このことは、特に有用である。
【0054】
例えば、圧電要素は、接着によってバイメタルストリップに固定されてもよい。
【0055】
図4A図4B図5および図6は、圧電要素12が懸架要素10によって直接支持されない、本発明によるシステムの例となる実施形態を示す。高温熱源および低温熱源は、図示されない。
【0056】
図4Aおよび図4Bでは、システムS4は、支持物16から縦方向端部によって懸架される圧電要素12を含み、バイメタルストリップ8がその形態の片方からその形態のもう一方に変化するときに、その反対側の縦方向端部が懸架要素10によって負荷を与えられて動くように、配向される。圧電要素12は、懸架要素10の上方または下方に位置する。圧電要素12および支持物16は、バイメタルストリップ8と高温熱源THとの間に画定されるスペースの外側にかつバイメタルストリップ8と低温熱源TCとの間のスペースの外側に位置する。圧電要素12は、デバイスによって生じる電気を回収するために、負荷14、例えば電池または消費デバイスに電気的に接続される。
【0057】
より一般的には、システムは、圧電要素がバイメタルストリップの形態の変化中にバイメタルストリップによって負荷を与えられるように、支持物に固定されかつバイメタルストリップの軌跡上に位置する圧電要素を含む。
【0058】
このシステムの動作は、図1で示されるシステムの動作に似ている。
【0059】
この構成を使うと、圧電要素12は、高温ゾーンおよび低温ゾーンと干渉しない。圧電要素12は、高温熱源と低温熱源との間のスペースの外側のある距離にあるので、高温ゾーンおよび低温ゾーンとの接触はない。その上、圧電要素は、バイメタルストリップの周囲での熱平衡に関与しない。このことは、高温ゾーンおよび低温ゾーンとのバイメタルストリップのより良好な接触を提供する効果を有し、そのことは、振動数を増加させる。
【0060】
その上、圧電要素は、バイメタルストリップと関連する懸架要素10の衝突(shock)を受け、それ故に圧電要素への懸架要素の衝突に起因するエネルギーは、振動エネルギーへの追加となる。従って、回収されるエネルギーの量は、増加する。
【0061】
この回収デバイスはまた、伝熱現象をもはや考慮する必要がないので、圧電要素を形成する材料の選択においてより多くの自由を可能にする。
【0062】
その上、圧電要素は、バイメタルストリップに固定されないので、バイメタルストリップの湾曲は、その周波数が、圧電要素との干渉のない最適周波数と一致できるように調整することができる。
【0063】
図5は、懸架要素10が、バイメタルストリップ8の縦軸Xの両側に延在する、図4で示されるシステムS4の変形S5を示す。本システムは、縦軸に関して対称的に支持物から懸架され、懸架要素の2つの自由端によって振動させられてもよい2つの圧電要素を含む。生じるエネルギーの量はその結果、図4でのシステムの2倍の大きさとすることができる。
【0064】
図6は、システムS6が、バイメタルストリップ8に沿って横方向に延在して、くし状部を形成する複数の懸架要素110を含む、別の変形実施形態を示す。各懸架要素110はその時、1つまたはいくつかの圧電要素(図示されず)に負荷を与えるように設計される。生じるエネルギーの量はその結果、増加させることができる。1つの圧電要素がいくつかの懸架要素によって負荷を与えられることもまた可能であることになる。
【0065】
この変形実施形態は、懸架要素が、それぞれの寸法および/または幾何学的形状を選択することによって異なる温度に反応するシステムを作るために使用されてもよい。例えば、より広い周波数範囲が、負荷を圧電要素に加える懸架要素に圧電要素を適合させることによってカバーされる可能性もある。
【0066】
図4から図6での実施形態によるいくつかのシステムを関連付けることがまた、有利となることもあり、それぞれは、所与の温度で反応するように適合される。例えば、すべてのシステムは、同じ温度で反応しまたはそれらは、異なる温度で反応し、後者の場合には、システムは、拡張温度範囲内で機能し、もし高温熱源および/または低温熱源の温度が変化するならば有利に使用されてもよい。
【0067】
別の変形では、図4から図6でのいくつかのシステムは、システムの1つでのバイメタルストリップのブリスタリングまたはアンブリスタリングが、反応によって隣接システムでのバイメタルストリップのブリスタリングを引き起こすように機械的に関連付けられてもよい。
【0068】
これらの変形実施形態は、性能を改善することができる。
【0069】
バイメタルストリップを横断しかつバイメタルストリップの両側に延在する懸架要素、およびバイメタルストリップの両側に懸架された要素の面の1つの上に固定された2つの圧電要素を含む、図5でのシステムに似たシステムが、作られてもよい。このシステムは、同時に振動させられる2つの圧電要素を含むので、2倍の大きさの電気を生じるという点で図1Aでのシステムに優る利点を有する。
【0070】
懸架要素は、必ずしも縦軸と直交せず、懸架要素が縦軸からある角度を形成すると、想定することも可能となる。懸架要素が、感知要素の平面内に延在しないということもまた、可能となる。
【0071】
有利には、懸架要素は、感知要素との一体物で作られ、そのことは、製造を簡略化し、圧電要素を作動させるためのエネルギー損失を低減する。
【0072】
質量が、その共振を容易にするために圧電要素の自由端に設けられてもよい。
【0073】
変形として、懸架要素および/または圧電要素は、圧電要素の共振を改善し、それ故に回収されるエネルギーを増加させるために、その形状、質量、厚さ、トポグラフィ、対称性の変化を有してもよい。
【0074】
高温熱源および低温熱源によって区切られるスペースにいくつかのシステムを置くこともまた、可能となる。
【0075】
変換システムが、2つの熱源の間で区切られたスペース内に完全に含まれるように、高温熱源および低温熱源の表面を十分に大きくすると想定することが、可能となる。本システムは、圧電要素および/または懸架要素と熱源との間に機械的相互作用がないように構成される。
【0076】
本システムは、例えば数cmの程度の面積を持つ、巨視的寸法を有してもよい。
【0077】
この場合には、バイメタルストリップは例えば、INVAR(登録商標)などの、異なる組成を持つFe−Ni合金でできていてもよい。これらの合金はまた、追加されることもあるクロムおよび/またはマンガンを含有してもよく、そのことは、それらの膨張係数を増加させる。
【0078】
圧電要素は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に基づいて形成されてもよくまたは形成されなくてもよい。ペロブスカイト構造を持つ強誘電材料が、使用されてもよく、例えば、チタン酸鉛PbTiO、チタン酸バリウムBaTiO、ニオブ酸カリウムKNbO、ウルツ鉱型構造を持つIII−V族の半導体または例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)(−CH−CFおよびその誘導体などの合成高分子である。
【0079】
本発明によるシステムの寸法はまた、マイクロメートル(micrometric)であってもよい。バイメタルストリップは、シリコンおよび金属、例えばアルミニウムに基づく薄層技術を使用して作られてもよい。そのようなバイメタルストリップは、非特許文献1および非特許文献2による論文で述べられている。各層の厚さはその時、例えば約10マイクロメートルの程度であってもよい。Si−Al、SiO−Al、Si−Au、SiO−Au、Si−Pb...などの会合体が、使用されてもよい。
【0080】
圧電要素は、ZnOまたはAlNを使って微視的スケールで形成されてもよい。
【0081】
形状記憶合金でできた感知要素は例えば、CuZn、CuZnAl、CuNiAl、AuCd、FePtから作られてもよい。材料の選択および化学量論組成(stoichiometry)は、高温熱源および低温熱源によって規定される動作温度範囲の関数としてなされる。
【0082】
例えば、バイメタルストリップの面積は、数mmから数十cmまで変化してもよく、厚さは、数十μmから数百μmまでであり、形状記憶合金でできた感知要素についても同様である。好ましくは、バイメタルストリップは、その体積が小さく、かつその温度がすぐに高温熱源または低温熱源の温度と同じになるように薄く、一方では、その変形を圧電要素に伝達できるように十分な変形振幅を維持する。
【0083】
例えば、そのようなシステムは、数十μWを生じさせることができる。
【0084】
バイメタルストリップのブリスタリングおよびアンブリスタリングを引き起こす2つの遷移温度が、非常に近く、その結果バイメタルストリップが、高周波数を有することになり、それ故に圧電要素を高周波数で振動させることができるように、バイメタルストリップが、選択され、より具体的にはストリップを作るために使用される材料が、選択される。
【0085】
好ましくは、その形態のそれぞれにおけるバイメタルストリップは、熱源の1つに非常に近く、好ましくは、バイメタルストリップは、熱源と直接接触し、その結果その温度はすぐに、それが接触する熱源の温度に等しくなる。
【0086】
それ故に、バイメタルストリップは、熱源の1つの温度に非常に効率良く達するので、バイメタルストリップの周波数の損失がない。その上、圧電要素の振幅は、例えば圧電要素が低温熱源上にあるシステムの振幅以上である。
【0087】
巨視的システムについての例として、バイメタルストリップの寸法は、3.5cmの長さ、2cmの幅および140μmの厚さであってもよく、バイメタルストリップの遷移温度は、120℃および105℃に等しい。圧電要素は、5.4cmの長さ、1.3cmの幅および200μmの厚さであってもよい。高温熱源と低温熱源との間の距離は、例えば700μmである。
【0088】
本発明を使うと、熱エネルギーは、機械的エネルギーを介して電気エネルギーに変換される。電気エネルギーは、負荷に電力を供給するためのエネルギー源として使用されてもよく、それ故にエネルギー回収システムを形成する。
【0089】
エネルギー回収システムはまた、付加的情報を伝達するために使用されてもよく、例えば本システムは、振動センサとして使用されてもよく、それは、警報、試験、その他などの行動に結び付けられてもよい。
【0090】
バイメタルストリップから熱を吸収する能力がある熱容量を持つ圧電材料を選択することもまた、圧電材料がバイメタルストリップと接触するので、興味深いことである。このことはそれ故に、バイメタルストリップの熱調節に役立ち、その結果その動作周波数を最適化するこができる。
【符号の説明】
【0091】
6 スペース
8 感知要素、バイメタルストリップ
8.1 感知要素の面
8.2 感知要素の面
10 懸架要素
10.1 縦方向端部
10.2 縦方向端部
12 圧電要素
14 負荷
16 支持物
110 懸架要素
S1 システム
S2 システム
S3 システム
S4 システム
S5 システムの変形
S6 システム
TH 高温熱源
TC 低温熱源
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6