(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボタン類(20、160、170)を生地(1)に取り付ける際、ボタン類(20、160、170)又はボタン類取付具(10、60、150)を支持する支持ダイ(30、70、80、120)であって、
前記ボタン類(20、160、170)又はボタン類取付具(10、60、150)が載置される支持体(40、71、81、121)と、
前記ボタン類(20、160、170)の一部又はボタン類取付具(10、60、150)の一部を加締める間にボタン類(20、160、170)又はボタン類取付具(10、60、150)にかかる荷重を前記支持体(40、71、81、121)を介して検出するためのセンサー(32、83、73、123)と、
前記センサー(32、83、73、123)の検出結果に基づいて加締めの良否を判定する制御回路とを備える支持ダイ。
前記支持体(40、71、81、121)は、周方向に複数に分割された支持体セグメント(41、71a、81a、121a)からなり、前記センサー(32、83、73、123)は、各支持体セグメント(41、71a、81a、121a)に一対一で対応する周方向に複数のセンサー要素(32、73a、83a、123a)からなる請求項1に記載の支持ダイ。
前記センサー(32、83、73、123)は、支持体(40、71、81、121)にかかる荷重又は支持体(40、71、81、121)のひずみを検出する請求項1〜3のいずれか1つに記載の支持ダイ。
前記ボタン類取付具(10、60、150)は、ベース部(11、61)と、前記ボタン類取付具(10、60、150)の一部として、前記ベース部(11、61)から突出する複数の突起(12、62)とを有し、前記突起(12、62)を加締める際、前記突起(12、62)がボタン類(20、160、170)に接触して変形し、その変形時に前記突起(12、62)にかかる荷重を前記センサー(32、83、73、123)が検出し、前記制御回路が、その検出結果に基づいて加締めの良否を判定する請求項1〜4のいずれか1つに記載の支持ダイ。
前記ボタン類取付具(10、60)は、環状のベース部(11、61)と、前記ボタン類取付具(10、60)の一部として、ベース部(11、61)から突出する複数の突起(12、62)とを有し、
前記複数のセンサー要素(32、73a、83a)は、前記周方向に複数に分割された支持体セグメント(41、71a、81a)を介して、複数の前記突起(12、62)ごとにかかる荷重を検出可能になっている請求項2に記載の支持ダイ。
前記ボタン類取付具(10、60)は、環状のベース部(11、61)と、前記ボタン類取付具の一部として、ベース部(11、61)から突出する5本の突起(12、62)とを有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の支持ダイ。
前記ボタン類取付具(60)は、前記ベース部(61)の底面(61a)の各突起(62)に対応する部分に隆起部(62a)を有する請求項6または7に記載の支持ダイ。
前記ボタン類(20、160、170)の一部又は前記ボタン類取付具(10、60)の一部は、ボタン類(20、160、170)又はボタン類取付具(10、60)の複数の突起(12、62、172)であり、ボタン類(20、160、170)又はボタン類取付具(10、60)の各突起(12、62、172)にかかる荷重を前記センサー(32、83、73、123)が検出する請求項9に記載の加締め判定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ボタン類の生地への取り付けの良否を簡単に判定することができる支持ダイ、加締め判定方法、及びボタン取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、ボタン類を生地に取り付ける際、ボタン類又はボタン類取付具を支持する支持ダイであって、前記ボタン類又はボタン類取付具が載置される支持体と、前記ボタン類の一部又はボタン類取付具の一部を加締める間にボタン類又はボタン類取付具にかかる荷重を前記支持体を介して検出するためのセンサーとを備え、前記センサーの検出結果に基づいて加締めの良否を判定する支持ダイが提供される。
【0005】
本発明において、ボタン類には、衣類、鞄類等に取り付けられるボタン、ハトメ、フックアイ等が含まれる。ボタンとしては、例えば、雌スナップボタン、雄スナップボタン、ボタン穴に通すタイプのボタン、飾りボタン等が含まれる。ボタン類取付具は、例えば、1本又は複数本の突起を有するボタン取付具である。生地には、織物、布、不織布、フェルト、皮革、樹脂シート等が含まれる。
【0006】
本発明では、ボタン類を生地に取り付ける際、ボタン類又はボタン類取付部材が支持ダイにセットされ、ボタン類又はボタン類取付部材の突起等の一部が生地を貫通した後、該一部が加締められる。これにより、ボタン類が生地に取り付けられる。加締めは、支持ダイが支持するボタン類又はボタン類取付部材に向かって相対的に移動するパンチ等で行われ得る。加締め時にボタン類又はボタン類取付具にかかる荷重は、ボタン類又はボタン類取付具が載置される支持体に伝達される。そのため、加締めが行われている間、支持体には荷重がかかり、また、わずかなゆがみが生じる。このような支持体の荷重やゆがみの変化をセンサーで検出することにより、加締め時にボタン類又はボタン類取付具にどのように荷重がかかったかを把握することできる。加締めが正常に行われる場合と非正常に行われる場合では、ボタン類又はボタン類取付具にかかる荷重の変化曲線が異なる。そのため、例えば、事前に多数の試験を行って取得した荷重やゆがみの変化曲線から加締めが正常となる荷重やゆがみの変化曲線の範囲を設定しておく。そして、実際のボタン類の生地への取り付け時にセンサーで検出した検出値が正常な範囲内か否かを判定し、範囲内の場合は加締めが正常に行われたと判断し、範囲外の場合は加締めが非正常であると判断する。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記支持体は、周方向に複数に分割された支持体セグメントからなり、前記センサーは、各支持体セグメントに一対一で対応する周方向に複数のセンサー要素からなる。支持体を複数に分割することにより、例えば、周方向に複数の突起(前記ボタン類取付具の一部)を有するボタン取付具の各突起ごとの加締め時の荷重のかかり具合を、支持体セグメント及びセンサー要素の各組の検出値に基づいて把握することできる。そして、1本の突起でも加締めが不良であれば、ボタン等の取り付けも不良であると判定される。また、ハトメの加締め時に各支持体セグメント相互間の荷重の変化曲線が一定以上異なる場合、加締めが不良であると判断することができる。支持体の支持体セグメントへの分割数は、ボタン類取付具の周方向における突起の数の2倍以上が好ましい。これは、1つの支持体セグメントに2つ以上の突起が少なくとも部分的に対応しないようにするためである。
【0008】
本発明の一実施形態において、加締める間にかかる荷重に基づく正常な範囲が設定され、この範囲と前記センサーの検出結果とを比較して加締めの良否を判定する。加締めの良否の判定は、上述したように加締め時にボタン類又はボタン類取付具にかかる荷重の変化曲線が正常範囲内か否かに基づいて行われ得る他、次のような態様もある。例えば、荷重の中心位置が正常位置からどの程度ずれているか、あるいは荷重の最大値が正常値からどの程度差があるかに基づいて加締めの良否を判定することができる。例えば、ハトメの生地への取り付けの場合、荷重の中心がハトメの中心軸線からずれている場合、この荷重は偏荷重と呼ばれる。そのため、荷重もしくは偏荷重の中心位置の正常な範囲や荷重の最大値の正常な範囲を事前の試験等により設定し、センサーの検出結果と比較することにより、加締めの良否を判定することができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記ボタン類取付具は、ベース部と、前記ボタン類取付具の一部として、前記ベース部から突出する複数の突起とを有し、前記突起を加締める際、前記突起がボタン類に接触して変形し、その変形時に前記突起にかかる荷重を前記センサーが検出し、その検出結果に基づいて加締めの良否を判定する。この場合、ボタン類取付具の複数の突起が、生地を貫通した後、ボタン類に接触しつつ変形させられて加締められる。この変形中に突起は荷重を受け、この荷重の変化をセンサーが検出し、検出結果から加締めの良否が判定される。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記ボタン類取付具は、環状のベース部と、前記ボタン類取付具の一部として、ベース部から突出する複数の突起とを有し、前記複数のセンサー要素は、前記周方向に複数に分割された支持体セグメントを介して、複数の前記突起ごとにかかる荷重を検出可能になっている。この場合、ボタン類取付具の環状のベース部から突出する複数本の突起それぞれにかかる荷重が、支持体セグメントを介してセンサー要素で検出される。ここで、1本の突起にかかる荷重は、一対一で対応する支持体セグメントとセンサー要素の組の1組又は周方向に隣り合う複数組により検出される。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記ボタン類取付具は、環状のベース部と、前記ボタン類取付具の一部として、ベース部から突出する5本の突起とを有する。このようなボタン類取付具は、雌スナップボタン等の取り付けに用いられている。また、5本の突起を有するボタン類取付具を載置する支持体の支持体セグメントへの分割数は、各突起ごとの加締め時の荷重のかかり具合を確実に検出するために、周方向に10以上が好ましい。前記ボタン類取付具は、前記ベース部の底面の各突起に対応する部分に隆起部を有し得る。この場合、隆起部を介して、各突起に対応する周方向部分にかかる荷重が、突起の無い周方向部分にかかる荷重よりも明確に支持体セグメントに伝わる。これにより、各突起の加締めの良否判定の精度が高まる。
【0012】
本発明の別の側面によれば、ボタン類を生地に取り付けるに当たり、前記ボタン類の一部又はボタン類取付具の一部を加締める間にボタン類又はボタン類取付具にかかる荷重を検出し、この検出結果に基づいて加締めの良否を判定する加締め判定方法が提供される。加締め時にボタン類又はボタン類取付具にかかる荷重は、ボタン類又はボタン類取付具が載置される支持体にかかる荷重や支持体のゆがみの変化をセンサーで検出することにより把握することができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記ボタン類の一部又はボタン類取付具の一部は、ボタン類又はボタン類取付具の複数の突起であり、ボタン類又はボタン類取付具の各突起にかかる荷重を検出する。この場合、各突起ごとに加締めの良否を判定することができ、1本の突起でも加締めが不良であれば、ボタン類の取り付けも不良あると判定される。
【0014】
本発明の更に別の側面によれば、ボタンを生地に取り付ける際に用いるボタン取付具であって、環状のベース部と、ベース部から突出する複数本の突起とを備え、前記ベース部の底面の各突起に対応する部分に凹部を有するボタン取付具が提供される。このようなボタン取付具は、ボタンの取り付け時に各突起が加締められる際、正常であれば各凹部は窪みが縮小するように変形する。他方、ある突起の加締めが非正常な場合、凹部の窪みの縮小変形がほとんどないか、小さい。そのため、例えば、ボタン取付具の加締め後のベース部の底面の画像をカメラで取得し、凹部の変形状態から各突起の加締めの良否を判定することが可能となる。このボタン取付具において、前記凹部の中央に半球状の凸部を有し得る。この場合、ボタン取付具の加締め時に凹部が窪みを縮小するように変形すると共に、凸部は潰れるように変形する。そのため、上述したカメラで取得した画像からの加締めの良否判定が凹部及び凸部の変形に基づいてより容易に行われ得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の支持ダイ及び加締め判定方法では、ボタン類又はボタン類取付具に加締め時にかかる荷重の変化から加締めの良否を判断し、これに基づいてボタン類の生地への取り付けの良否を簡単に判定することができる。また、本発明のボタン取付具では、加締め後のボタン取付具の形態から加締めの良否を判断し、これに基づいてボタンの生地への取り付けの良否を簡単に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、ボタン取付機を概略的に示す全体説明図である。
【
図4】
図4は、ボタン側ダイ及び取付具側ダイを部分的に示す縦断面説明図である。
【
図7】
図7は、ボタン及びボタン取付具がボタン側ダイ(パンチ)及び取付具側ダイにそれぞれセットされた状態を示す縦断面説明図である。
【
図8】
図8は、ボタンの取り付け工程において、ボタン及びボタン取付具の突起が生地に接した時点を示す縦断面説明図である。
【
図9】
図9は、ボタンの取り付け工程において、ボタン取付具の突起が生地を貫通した後、ボタンのフランジ部内に入った時点を示す縦断面説明図である。
【
図10】
図10は、ボタンの取り付け工程において、ボタン取付具の突起を加締めている途中を示す縦断面説明図である。
【
図11】
図11は、ボタンの取り付け工程において、ボタン取付具の突起の加締めが終了した時点を示す縦断面説明図である。
【
図12】
図12は、1本の突起が半径方向外側に反っているボタン取付具によりボタンを非正常に取り付ける場合を示す縦断面説明図である。
【
図13】
図13は、
図12の状態からボタンを非正常に取り付けた状態を示す縦断面説明図である。
【
図14】
図14は、1本の突起が半径方向内側に反っているボタン取付具によりボタンを非正常に取り付ける場合を示す縦断面説明図である。
【
図15】
図15は、
図14の状態からボタンを非正常に取り付けた状態を示す縦断面説明図である。
【
図16】
図16は、ボタン取付具の変形例を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、取付具ダイの別の実施形態を示す縦断面説明図である。
【
図19】
図19は、ボタン側ダイを下方に、取付具側ダイを上方に配置し、荷重センサーをボタン側ダイに設けた例を示す縦断面説明図である。
【
図22】
図22は、本発明の別の側面に係るボタン取付具を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、
図22のボタン取付具でボタンを生地に取り付ける直前の状態を示す縦断面図である。
【
図24】
図24は、
図22のボタン取付具でボタンを生地に正常に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【
図26】
図26は、
図22のボタン取付具でボタンを生地に非正常に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【
図29】
図29は、1本の突起を有するボタン取付具を示す斜視図である。
【
図30】
図30は、
図29のボタン取付具でボタンを生地に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【
図31】
図31は、ボタン類の別の例であるフックアイ等を示す斜視図である。
【
図32】
図32は、フックアイをズボンの腰部に取り付け状態を概略的に示す斜視説明図である。
【
図33】
図33は、パンチのストロークに対する上方体セグメントにかかる荷重の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照して説明するが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び均等の範囲内で適宜変更等がなされ得る。
図1は、本発明に係るボタン取付装置が組み込まれるボタン取付機100を概略的に示す全体説明図である。ボタン取付機100は、ボタン類の一例である雌スナップボタン(以下単に「ボタン」ともいう)20(
図11等参照)をボタン取付具(以下単に「取付具」ともいう)10を用いて生地1に取り付けるためのボタン取付部101を備える。ボタン取付部101は、生地1への取り付け時にボタン20を保持させるボタン側ダイ50と、取付具10を載置する取付具側ダイ(支持ダイ)30とを含む。これらボタン側ダイ50及び取付具側ダイ30は本発明に係るボタン取付装置の一実施形態である。ボタン取付機100は、ボタン取付部101のボタン側ダイ50及び取付具側ダイ30にボタン20及び取付具10をそれぞれ1つずつ自動的に搬送、供給するボタン搬送部102及び取付具搬送部103と、多数のボタン20及び取付具10がそれぞれ収容されるボタンホッパー104及び取付具ホッパー105と、ボタンホッパー104及び取付具ホッパー105内のボタン20及び取付具10をボタン搬送部102及び取付具搬送部103に供給するためのボタンシュート106及び取付具シュート107とを更に備える。ボタン取付機100には表示部108が信号線109を介して接続される。表示部108には、後述する荷重センサー32等の検出値やボタン20の生地1への取り付けの良否判定の結果が制御回路(図示せず)を介して表示される。制御回路は、荷重センサー32等からの検出値を、例えば試験等を通じて事前に設定した正常値と比較し、取り付けの良又は不良を判定し、判定結果を表示部108に表示することができる。本実施形態では、ボタン取付機100により、ボタン取付部101のボタン側ダイ50及び取付具側ダイ30に対しボタン20及び取付具10を自動供給するが、ボタン側ダイ50及び取付具側ダイ30にボタン20及び取付具10を手動によりセットすることもできる。
【0018】
図2はボタン取付具10の上面図であり、
図3は
図2のA−A線矢視断面図である。取付具10は、アルミニウム合金、銅合金等の金属製の部品であり、円環状のベース部11と、ベース部11の半径方向内側端部から上方(取付具10について上下方向は
図3の紙面に基づく)に突出する一例として5本の板状の突起12とを備える。突起12は、特許請求の範囲におけるボタン取付具の一部である。突起12は、取付具10の軸線とほぼ平行に延び、また、ベース部11の周方向において等角度(72度)間隔で形成される。各突起12は、ベース部11の周方向に沿う幅が上方へと漸次縮小し、上端が尖る。取付具10の底面10aは、下方に凸となるように若干湾曲している。
図7を参照して、取付具10により生地1に固定される雌スナップボタン20は、アルミニウム合金、銅合金等の金属製の部品であり、図示しない雄スナップボタンの係合軸部を着脱自在に受け入れる係合空間を規定する略円筒状の係合部21と、係合部21の下端21a(上下は
図7等の紙面に基づく)から半径方向外側に延びるフランジ部22とを備える。フランジ部22は、係合部21の下端21aから上方かつ半径方向外側に延びた後、下方かつ半径方向内側へとC字状に湾曲して終端する(終端23)。この終端23と、フランジ部22の係合部21側部分との間には環状の開口24が生じる。終端23及び開口24は、係合部21の下端21aよりも上方にある。詳しくは後述するが、雌スナップボタン20を生地1に取り付ける際、ボタン取付具10の突起12は、生地1を貫通した後、ボタン20の開口24からフランジ部22内に入り(
図9参照)、フランジ部22の内側面22aに沿って湾曲するように加締められる(
図10及び11参照)。これにより、ボタン20が生地1に固定される。
【0019】
図4は、ボタン取付機100のボタン取付部101における上方のボタン側ダイ50と下方の取付具側ダイ30とを部分的に示す縦断面説明図である。この例では、ボタン側ダイ50が上方に、取付具側ダイ30が下方に配置されるが、これに限らず、取付具側ダイ30が上方に、ボタン側ダイ50が下方に配置されたり、あるいは、ボタン側ダイ50及び取付具側ダイ30の両方が上下方向ではなく左右(横)方向に配置される場合もあり得る。ボタン側ダイ50は、雌スナップボタン20を底部に保持可能な鋼製のパンチ51を備え、
図4等には便宜的にボタン側ダイ50としてパンチ51のみが示される。ボタン20を保持した状態のパンチ51が示される
図7も参照して、パンチ51は、その底部に、ボタン20の係合部21の係合空間に入り込む下方(パンチ51について上下方向は
図4、7等の紙面に基づく。取付具側ダイ30についても同じ。)に凸となる中央凸部52と、中央凸部52の周りで上方に窪み、ボタン20の係合部21の上部を受け入れる環状溝53と、環状溝53から半径方向外側へと上方に傾斜する傾斜面54とを有する。傾斜面54は、取付具10の突起12をボタン20のフランジ部22内で加締める時にフランジ部22を上方から支持しつつ突起12を所要に塑性変形させる役割を果たす。
【0020】
図4及び7を参照して、取付具側ダイ30は、取付具10が上端面40aに載置される環状の上方体(支持体)40(
図7参照)と、上方体40を下方から支持する略円筒状の下方体31と、上方体40の底面40bと下方体31の上面31aとの間に配置された荷重センサー32とを備える。荷重センサー32は、詳しくは後述するが、取付具10の突起12が加締められる際に上方体40が受ける荷重を検出するためのものである。荷重センサー32はピエゾ素子等から構成され得る。
図5は取付具側ダイ30の上面図であり、
図6は
図4のB−B線断面図である。上方体40は、周方向に一例として10に分割された上方体セグメント(以下単に「セグメント」ともいう)41からなる。荷重センサー32も周方向に10分割されたセンサー要素32aからなる。各センサー要素32aは、各セグメント41に一対一で対応するように各セグメント41下に配置される。これにより、ある1つのセグメント41にかかる荷重を、このセグメント41に対応する1つのセンサー要素32aが検出することができる。取付具側ダイ30は、10のセグメント41を半径方向外側からまとめるための環状部材34を含む。上方体40の環状の上端面40aは、取付具10の底面10aを合致的に受けるように下方に若干窪んでいる。上方体40の底面40bは軸線に垂直な水平面であり、底面40bの半径方向外側端は、上端面40aの半径方向外側端よりも半径方向内側にある。上方体40は、内周に、内径が一定の上方内周面42aと、内径が一定で、上方内周面42aよりも縮径する下方内周面42bと、上方内周面42aの下端と下方内周面42bの上端との間を連結する、内径が下方へと漸次縮小する内周傾斜面42cとを有する。上方体40は、外周に、外径が一定の上方外周面43aと、上方外周面43aの下端と底面40bの半径方向外側端との間を連結する、外径が下方へと漸次縮小する外周傾斜面43bとを有する。外周傾斜面43bは、内周傾斜面42cよりも水平面に対する傾斜が急である。上方外周面43aの下端は上方内周面42aの下端とほぼ同じ上下方向位置にある。底面40bの半径方向外側端は、上方内周面42aよりも若干半径方向外側にある。
【0021】
下方体31は、環状部材34が外周に嵌め込まれる上部31Aを含む。上部31Aの外径は一定であり、上方体40の底面40bの外径と同じである。上部31Aの上面31aは上方体40の底面40bと平行であり、底面40bの内外径と同じ内外径を有する。上部31Aを除く下方体31は、外径が一定でかつ上方体40の上方外周面43aと一致し、内径が一定でかつ上方体40の下方内周面42bと一致する。下方体31の中心部には、軸線に沿って延びる一定径の空洞35が存在する。各センサー要素32aの信号線32bや電源線32cは空洞35を通って図示しない制御回路や電源回路に接続する。環状部材34は、上方体40の上方外周面43a及び上部31Aを除く下方体31の下方外周面31bと面一となる外周面34aと、上方体31の外周傾斜面43bと接する傾斜面34bとを含む。環状部材34は、上方体40の上方外周面43a及び下方体31の下方外周面31bに対し半径方向内側に窪む部分(上方体40の外周傾斜面43bと下方体31の上部31Aとにわたる部分)を合致的に埋める。
【0022】
次に、
図7〜11を参照してボタン20の生地1への取り付け工程を説明する。
図7は、ボタン取付機100においてボタン搬送部102及び取付具搬送部103それぞれからボタン20及び取付具10がボタン取付部101のボタン側ダイ50(パンチ51)及び取付具側ダイ30に供給され、セットされた状態である。この状態から、ボタン20と取付具10の間に生地1を配し、パンチ51を取付具側ダイ30に対し降下させる。なお、取付具側ダイ30をパンチ51に対し上昇させる場合もある。
図8は、パンチ51の降下中、ボタン20の下端21aが生地1の上面に、取付具10の突起12の先端が生地1の下面に接した時点を示す。この時点からパンチ51が更に降下すると、
図9に示すように、取付具10の突起12が生地1を上方に貫通し、次いで、ボタン20の開口24からフランジ部22内に入り、フランジ部22の内側面22aに突き当たる。取付具10の突起12は、次いで、
図10及び11に示すように、パンチ51の傾斜面54に支持されたフランジ部22の内側面22aに沿って半径方向外側へ次いで下方へと湾曲するように加締められる。
図11は、取付具10の突起12の加締めが終了し、ボタン20の生地1への取り付けが完了した状態であり、この時点でパンチ51の降下は止まる。以上は、ボタン20の生地1への取り付けが正常に完了した場合である。
【0023】
上記取り付け工程において、取付具10の突起12が生地1に接した時点から、取付具側ダイ30の上方体40には、パンチ51からボタン20、生地1及び取付具10を介して軸方向下向きの荷重がかかり始める。この上方体40が受ける荷重は、突起12の加締めの開始時点から終了時点まで急激に大きくなる。上方体40には、取付具10の各突起12に対応する周方向部分に比較的大きい荷重がかかるのに対し、取付具10の突起12の無い部分(周方向に隣合う2本の突起12の間の部分)に対応する周方向部分にかかる荷重は比較的小さい。ボタン20の取り付け不良の大部分は、取付具10の1本又は2本以上の突起12が首尾良く加締められないことに起因する。また、ある1本の突起12が正常に加締められる場合と加締められない場合では、該突起12にパンチ51から加えられる荷重の、パンチ51の下方へのストローク(移動量)に対する変化曲線が異なることが分かっている。そのため、本実施形態では、各突起12それぞれの加締め時にかかる荷重の変化を周方向に10分割した上方体セグメント41を介して検出することにより、各突起12の加締め不良の有無を検出し、この検出結果に基づき、1本以上の突起12で加締め不良があれば、ボタン20の取り付けが不良であると判定する。本実施形態では、取付具10の周方向5本の突起12に対し上方体40を周方向に10のセグメント41に分割することにより、1つのセグメント41に同時に2本以上の突起12が対応することなく、1本の突起12に周方向に隣り合う2つのセグメント41を対応させることができる。これにより、各突起12ごとの加締め時の荷重変化曲線をセグメント41を介してセンサー要素32aにより検出することができる。また、取付具10のある1本の突起12の加締めが正常に終了したか否かを判定法として、本実施形態では、後述するように事前に取得したデータに基づいて判断する。しかし、これに限らず、同一の取付具10の5本の突起12間の荷重変化曲線を実際の取り付け時ごとに比較して判断することもできる。
【0024】
ボタン20の生地1への取り付け時において、取付具10が受ける荷重は、取付具10のセグメント41を介して取付具10のセンサー要素32aで常に検出され、各センサー要素32aから検出信号が信号線32bを介して制御回路にリアルタイムで送られる。制御回路は、各センサー要素32aからAD変換部を介して入力された検出値を事前に定義され保管された正常な荷重変化曲線の範囲とそれぞれ比較する。そして、取付具10の検出値のすべてが正常範囲内であれば正常と判定し、取付具10のセグメント41の検出データのうち1つでも正常範囲外であれば異常と判定し、判定結果を表示部108に表示する。
図33のグラフは、パンチ51のストロークに対する1つの上方体セグメント41にかかる荷重の変化を示すグラフである。このグラフからパンチ51のストロークが約3.5mmから加締めが始まり、その後、上方体セグメント41にかかる荷重が急激に大きくなることが分かる。このようなセグメント41の荷重の変化曲線を、正常な場合のみならず異常な場合を含めて事前に多数取得し、正常な変化曲線の範囲(ハッチング部分参照)を設定することができる。
【0025】
図12及び13を参照してボタン20の生地1への取り付けが不良の場合の例を説明する。
図12に示す取付具10は、5本の突起12のうちの1本の突起12aのみが半径方向外側に反っている。この場合、ボタン20の生地1への取り付け時に生地1を貫通した突起12aは、ボタン20の開口24からフランジ部22内に入らず、フランジ部22外部で半径方向外側の生地1上に倒れるように変形させられる(
図13参照)。この場合、取付具側ダイ30の上方体40の、突起12aに周方向において対応する1つ又は2つのセグメント41にかかる荷重変化曲線のみが正常範囲外となる。これにより、取り付け不良と判定される。
【0026】
図14及び15を参照してボタン20の生地1への取り付けが不良の場合の別の例を説明する。
図14に示す取付具10は、5本の突起12のうちの1本の突起12bのみが半径方向内側に反っている。この場合、ボタン20の生地1への取り付け時に生地1を貫通した突起12bは、ボタン20の開口24からフランジ部22内に入らず、フランジ部22外部で半径方向内側の生地1上に倒れるように変形させられる(
図15参照)。この場合、取付具側ダイ30の上方体40の、突起12bに周方向において対応する1つ又は2つのセグメント41にかかる荷重変化曲線のみが正常範囲外となる。これにより、取り付け不良と判定される。
【0027】
図16はボタン取付具10の変形例であるボタン取付具60を示す。取付具60は、円環状のベース部61と、ベース部61の半径方向内側端部から軸方向一方に突出する5本の突起62とを備える。取付具60において、各突起62の基端部62aは、ベース部61の底面61aから隆起する隆起部62aとして係止される。取付具60では、ボタン20の生地1への取り付け時にパンチ51から取付具60にかかる荷重が取付具側ダイ30の上方体41に伝達される際、隆起部62aを介して、各突起62に対応する周方向部分にかかる荷重が、突起62の無い周方向部分にかかる荷重よりも明確にセグメント41に伝わる。これにより、各突起62の加締めの良否判定の精度が高まる。
【0028】
以上の実施形態では、取付具側ダイ30の上方体40にかかる荷重の変化に基づいてボタン20の取り付けの良否を判定したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の例として、
図17及び18に示す取付具側ダイ(支持ダイ)70を使用して、取付具10(又は取付具60)の加締め時における上方体71の軸方向におけるわずかなひずみを検出し、この検出結果に基づいてボタン20の取り付けの良否判定を行うことができる。取付具側ダイ70は、取付具10が上端面70aに載置される環状の上方体(支持体)71と、上方体71を下方から支持する円筒状の下方体72と、上方体71の内周面71b上に配置されたひずみセンサー73とを備える。ひずみセンサー73はストレインゲージ等から構成され得る。上方体71及び下方体72は、一定径の内外周面を有し、上方体71及び下方体72の外径は同じであり、上方体71の内径は下方体72の内径よりも大きい。上方体71は、周方向に一例として10に分割された上方体セグメント71aからなる。ひずみセンサー73も周方向に10分割されたセンサー要素73aからなる。各センサー要素73aは各セグメント71aに一対一で対応する。本実施形態では、ボタン20の生地1への取り付け時において、パンチ51から取付具10が荷重を受けると、この荷重が上方体71に伝わり、各セグメント71aが軸方向に圧縮されてわずかにゆがむ。ある1本の突起12が正常に加締められる場合と加締められない場合では、該突起12に周方向において対応する1つ又は2つのセグメント71aのゆがみの変化曲線が異なる。そのため、本実施形態では、各突起12それぞれの加締め時にかかる荷重の変化を周方向に10分割したセグメント71aのゆがみの変化としてセンサー要素73aにより検出し、これに基づいて各突起12の加締め不良の有無を検出し、この検出結果に基づき、ボタン20の取り付けの良否を判定する。
【0029】
以上の実施形態では、ボタン側ダイ50を上方に、取付具側ダイ30、70を下方に配置すると共に、荷重センサー32又はひずみセンサー73を取付具側ダイ30、70側に設けた例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではない。他の例として、
図19に示すように、ボタン20が載置されるボタン側ダイ(支持ダイ)80を下方に、ボタン取付具110を保持させる取付具側ダイ90を上方に配置すると共に、荷重センサー84をボタン側ダイ80に設けることができる。ボタン20及び生地1は
図7と実質的に同じものであるため同じ参照番号を付す。取付具110は、既述した取付具10に対しベース部11の底面10aを覆うように金属製又は樹脂製のキャップ111を付加したものである。ボタン側ダイ80は、取付具側ダイ30とほぼ同様の構成であり、ボタン20が上部に載置される環状の上方体(支持体)81と、上方体81を下方から支持する略円筒状の下方体82と、上方体81の底面と下方体82の上面との間に配置された荷重センサー83と、下方体82の上部の外周に嵌め込まれる環状部材84とを備える。上方体81は周方向に10の上方体セグメント81aに分割され、荷重センサー83も各セグメント81aに一対一で対応する周方向に10のセンサー要素83aに分割される。環状部材84は、10のセグメント81aを半径方向外側からまとめる。上方体81の上部は、既述したパンチ51の底部を上下逆にした構成であり、上方に凸となる中央凸部81bと、中央凸部81bの周りで下方に窪み、ボタン20の係合部21の上部を受け入れる環状溝81cと、環状溝81cから半径方向外側へと下方に傾斜する傾斜面81dとを有する。取付具側ダイ90は、取付具110を底部に保持可能な鋼製のパンチ91を備え、
図19には便宜的に取付具側ダイ90としてパンチ91のみが示される。パンチ91の底部には、取付具110のキャップ111を保持可能な上方に凹となる窪み92が設けられる。
図19の状態からパンチ91を降下させると、取付具110の突起12が生地1を下方に貫通し、次いで、ボタン20の開口24からフランジ部22内に入る。突起12は、パンチ91により、上方体81の傾斜面81dに下方から支持されたフランジ部22の内側面22aに沿って加締められる。各突起12それぞれの加締め時にかかる荷重の変化は、セグメント81a及びセンサー要素83aの各組を介して検出される。この検出値に基づいて各突起12の加締め不良の有無が判断され、ボタン110の取り付けの良否が判定される。
【0030】
図20は、ボタン類としての円環状で金属製のハトメ(図示せず)を生地に取り付ける際にハトメを載置するハトメ用ダイ(支持ダイ)120の縦断面説明図である。
図21は
図20のC−C線断面図である。ハトメ用ダイ120は、後述する上方体121及び荷重センサー123が周方向に3分割される以外は、既述した取付具側ダイ30とほぼ同様の構成である。ハトメ用ダイ120は、ハトメが上端面に載置される環状の上方体(支持体)121と、上方体121を下方から支持する略円筒状の下方体122と、上方体121の底面と下方体122の上面との間に配置された荷重センサー123と、下方体122の上部の外周に嵌め込まれる環状部材124とを備える。上方体40は周方向に3つの上方体セグメント121aに分割され、荷重センサー123も各セグメント121aに一対一で対応する周方向に3つのセンサー要素123aに分割される。環状部材124は、3つのセグメント121aを半径方向外側からまとめる。円環状のハトメを生地に取り付ける際、ハトメは、図示しない上方側のパンチにより上方体121の下方に窪む上端面に対して加締められる。この際、ハトメの生地への取り付けが正常に行われる場合は、ハトメにかかる荷重が周方向にほぼ均等となるため、セグメント121a及びセンサー要素123aの各組を介して検出される荷重の変化は、ほぼ同じとなる。他方、ハトメの取り付けが非正常な場合は、ハトメにかかる荷重が周方向に不均等となるため、1つ又は2つのセグメント121aからの荷重の変化が他のセグメント121aからの荷重の変化と一定以上異なる。このように各セグメント121a間の検出値の差に基づいて加締め不良の有無が判断され、ハトメの取り付けの良否を判定することができる。なお、上方セグメント121及び荷重センサー123の周方向における分割数は3つに限らず、4つ以上でもよい。なお、この3つの荷重センサー123にかかる荷重に基づいて、偏荷重を算出することで、ハトメの取り付けの良否を判定することもできる。具体的には、正常な取り付けにおいては、3つの荷重センサー123に均等に荷重がかかるため、このときの3つの荷重センサー123にかかる荷重に基づいて算出すると、荷重はハトメの中心軸上にて支持ダイ120にかかっているものと見做すことができる。ここで、非正常な場合には、3つの荷重センサー123の荷重に差が生じるため、これらを算出すると、その荷重の中心は、先の正常な取り付けの場合に比べて、ハトメの中心軸からずれたものとなる。このときの中心にかかる荷重を偏荷重と呼ぶ。この偏荷重における中心の位置が、正常な場合とどの位のずれがあるかをもとにして、取り付けの良否の判定をすることができる。つまり、正常な取り付けの場合の偏荷重における中心の位置の範囲を予め設定しておき、正常な範囲内か否かを判定する。算出結果が正常な範囲内の場合は加締めが正常に行われたと判断し、範囲外の場合は加締めが非正常であると判断する。これにより、取り付け不良と判定される。
【0031】
図22は、本発明の別の側面に係るボタン取付具130の斜視図である。取付具130は、円環状のベース部131と、ベース部131の半径方向内側端部から軸方向一方に突出する5本の突起132とを備える。取付具130において、各突起132の基端部132aは、ベース部132の底面131aから窪む矩形状の凹部132aとして形成されている。取付具130は、
図23及び24に示すように、ボタン20を生地1に取り付ける際、既述した取付具10、60と同様に突起132がボタン20のフランジ部22内で加締めされる。また、ボタン20の取り付け時において、取付具130は、既述した上方体セグメント、荷重センサー等を備えていない従来の取付具側ダイの上端面に載置される。なお、既述した取付具側ダイ30、70を使用することもできる。取付具130は加締め時にパンチから荷重を受け、これにより取付具130のベース部131が取付具側ダイの上端面に対し押し付けられる。この押し付けは、ベース部131における各突起132に対応する周方向部分の方が突起132の無い周方向部分よりも大きい。そのため、ベース部131の底面131aにおける各突起132に対応する5つの凹部132aが窪みが無くなるように潰れて底面131aとほぼ面一となり、底面131aが平坦状となる。
図24では、
図23の凹部132aが加締め後に底面131aとほぼ面一となった状態が示され、これを
図25で拡大して示す。ある1本の突起132が正常に加締められる場合と加締められない場合では、加締め後の凹部132aの形態が異なる。正常な場合は、上述したようにベース部131の底面131aとほぼ面一となる(
図25参照)。これに対し、非正常な場合の例を
図26及び27に示す。
図26では、
図23の凹部132aが加締め後でもほぼそのまま残っている状態が示され、これを
図27で拡大して示す。この凹部132aに対応する、ボタン20において正常に加締められなかった突起を参照番号132bで示す。このように、非正常な場合、凹部132aがほとんどそのまま、あるいは一部残る。そのため、例えば、加締め後の取付具130の底面側の画像をカメラ(図示せず)で取得し、各凹部132aの形態から各突起132の加締め不良の有無を検出し、この検出結果に基づいてボタン20の取り付けの良否を判定することができる。
【0032】
図28は、
図22のボタン取付具130の変形例であるボタン取付具140を示す。取付具140は、円環状のベース部141と、ベース部141の半径方向内側端部から軸方向一方に突出する5本の突起142とを備える。取付具140において、各突起142の基端部142aは、ベース部141の底面131aから窪む矩形状の凹部142aとして形成されている。更に、各凹部142aの中央に半球状の凸部142bが設けられる。取付具140は、取付具130と同様に、加締め時に荷重を受け、これにより取付具140のベース部141が取付具側ダイの上端面に対し押し付けられる。これにより、各突起142の加締めが正常に行われる場合、ベース部141の底面141aにおいて、各凹部142aの中央の半球状の凸部142bの球面が潰れて平坦面となる。ある1本の突起142の加締めが非正常な場合、凸142bの球面がほとんどそのまま、あるいは一部残る。そのため、例えば、加締め後の取付具140の底面側の画像をカメラ(図示せず)で取得し、各凸部142bの形態から各突起142の加締め不良の有無を検出し、この検出結果に基づいてボタン20の取り付けの良否を判定することができる。
【0033】
図29は、ボタン取付具の別の例である。このボタン取付具150は、樹脂製又は金属製の部品であり、円板状のベース部151と、ベース部151の中心部からベース部151と同心状に突出する1本の突起152とを備える。
図30は、取付具150を用いてボタン160を生地1に取り付けた状態を示す縦断面説明図である。ボタン160は、ボタン穴に出し入れするタイプのものであり、胴部160bと、胴部160bよりも拡径する頭部160aとに区分される。また、ボタン160は、胴部160bの外周面及び底面と頭部160aの底面をなす外殻部材161と、頭部160aの上面及び周側面をなすキャップ162と、頭部160aに収容される補強板163とを含む。外殻部材161は、胴部160bの底面から胴部160bの内部へと入り込む筒部164を含む。ボタン160の生地1への取り付け時において、生地1を貫通した取付具150の突起152は、ボタン160の筒部164を通った後、図示しないパンチで上方から支持されている補強板163により先端部が潰されるように胴部160b内で加締められる(
図30参照)。この加締め時に取付具150にかかる荷重の変化を、取付具150を支持する取付具側ダイの支持体の荷重やひずみの変化から検出し、これに基づいてボタン160の取り付けの良否判定を行うことができる。これは、例えば、取付具150を用いてボタン160を取り付ける試験を事前に多数行い、突起152が正常に加締められる場合に突起152にかかる荷重の変化曲線の範囲を設定しておく。そして、実際のボタン160の生地1への取り付け時に取付具側ダイの支持体を介してセンサーで検出した検出値が正常な範囲内か否かを判定する。検出値が正常な範囲内の場合は突起152の加締めが正常に行われたと判断し、範囲外の場合は加締めが非正常であると判断する。または、正常に加締められる場合に突起152にかかる荷重の最大値に対して範囲を設定しておき、正常な範囲内か否かを判定する。検出値が正常な範囲内の場合は突起152の加締めが正常に行われたと判断し、範囲外の場合は加締めが非正常であると判断するようにもできる。
【0034】
図31は、ボタン類の別の例であるフック部材170と、フック部材170の生地1への取り付け時に用いる板状部材173とを示す斜視図である。
図32は、フック部材170を、生地1からなるズボン2の腰部のチャック3の上部に取り付けた状態を示す。フック部材170は、引っ掛け部175(
図32)に引っ掛けるフック本体171と、フック部材170の生地1への取り付け時に加締められる2本の突起172とを備える。フック本体171は、生地1から若干離れる表板部171aと、突起172の基端となる裏板部171bと、表板部171aと裏板部171bとを湾曲状に連結する連結部171cとを含む。板状部材173は、各突起172を通す穴174を有する。フック部材170と引っ掛け部175との組み合わせで使用されるものをフックアイと呼ぶ。フック部材170を生地1に取り付ける場合、フック部材170の突起172を生地1に貫通させ、次いで、板状部材173の穴174に通した後、図示しない支持体上で加締める。この加締め時に取付具突起172にかかる荷重の変化を、支持体の荷重やひずみの変化から、この検出結果に基づいてフック部材170の取り付けの良否判定を行うことができる。また、引っ掛け部175に2本の突起を備える場合もあり、この場合には、引っ掛け部175が生地に取り付ける際の取り付けの良否判定を行うことができる。